JPH07277961A - 経皮吸収製剤 - Google Patents

経皮吸収製剤

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JPH07277961A
JPH07277961A JP6074874A JP7487494A JPH07277961A JP H07277961 A JPH07277961 A JP H07277961A JP 6074874 A JP6074874 A JP 6074874A JP 7487494 A JP7487494 A JP 7487494A JP H07277961 A JPH07277961 A JP H07277961A
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drug
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transdermal
percutaneous absorption
adhesive
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JP6074874A
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Hiroshi Kuroda
広志 黒田
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 即効性に優れ、副作用を生じ難い、安全性に
優れた経皮吸収製剤を得る。 【構成】 薬物貯留部の周囲に水不溶性粘着剤からなる
貼着部を配置してなり、薬物貯留部が、塩酸テトラカイ
ン、塩酸プロカイン及び塩酸リドカインからなる群から
選択した少なくとも1種の薬物の10重量%以上、飽和
溶解度以下の難揮発性溶媒溶液を液体保持部材に含浸さ
せてなる経皮吸収製剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、体表に貼着される経皮
吸収製剤に関し、特に、徐放性よりもむしろ即効性が高
められた経皮吸収製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】経皮吸収貼付剤は、皮膚に貼付するため
の貼付剤と、薬効を発揮させるための薬物とを含む。経
皮吸収貼付剤は、貼付剤の基剤や薬物貯留層から、皮膚
に対し薬物を分配、拡散させたり、薬物を血中に移行さ
せたりすることにより、薬物を体内に吸収させるもので
ある。従って、基剤中の薬物の存在状態により、薬物の
移行量の多寡が異なってくることが知られている。
【0003】特に、基剤中における薬物濃度が高ければ
高いほど、薬物の皮膚への移行率が上昇することがよく
知られている。従って、経皮吸収貼付剤では、薬物濃度
が基剤中において高ければ高いほど、薬物の皮膚を介し
ての透過性能が高められる。また、基剤中における薬物
濃度が、基剤中における薬物の飽和溶解度よりも高い状
態、すなわち過飽和状態においては、薬物の皮膚を介し
た透過性がより一層高められる。
【0004】よって、従来、基剤中の薬物濃度を高く
し、薬物の結晶を析出させた経皮吸収製剤や基剤に対す
る飽和溶解度を超えて薬物を過飽和状態で存在させた経
皮吸収貼付剤が提案されている(例えば、特開昭60−
16916号公報、特開昭60−185713号公報、
特開昭63−35521号公報、特開昭63−9371
4号公報など)。
【0005】しかしながら、薬物が飽和状態にある経皮
吸収貼付剤では、その過飽和状態が、経皮吸収貼付剤の
流通段階において低下し、薬物結晶が析出し、薬物の上
記透過性能が低下する問題があった。また、予め薬物の
結晶を析出させた経皮吸収貼付剤では、過飽和濃度以上
に薬物を投入しておく必要があり、1製剤あたりの薬物
量が多くなり、コストが増大するという問題があった。
さらに、過飽和濃度レベルに達した後に、ゆっくりと薬
物結晶を析出させておく経皮吸収貼付剤では、析出まで
に時間がかかるため、製造効率を著しく低下させるとい
う問題があった。
【0006】他方、飽和溶解度以上の薬物が基剤中に分
散されている経皮吸収貼付剤の製造方法については、前
述した先行技術の他、特開昭62−273913号公報
や特開昭62−273914号公報などにも開示されて
いる。しかしながら、これらのいずれの製造方法におい
ても、以下のような問題があった。
【0007】(a)薬物を基剤中において過飽和状態と
した後に予め薬物結晶を析出させる方法では、結晶の析
出に長時間を要する。従って、流通にのせられる前に薬
物結晶を析出させておく場合には、製造に長時間を要す
る。また、流通にのせられた後に薬物結晶を析出させる
ように構成した場合には、使用者の手に経皮吸収貼付剤
が渡ったときに、結晶が析出しているものと、結晶が析
出していないものとが発生することになる。よって、外
観や薬物の透過性能がばらつくという問題が生じる。
【0008】(b)薬物結晶を分散析出させておいた経
皮吸収貼付剤では、上記のような外観や透過性能のばら
つきは生じ難い。しかしながら、基剤や基剤溶液の粘度
が高い場合には、薬物結晶を均一に分散析出させておく
ことは極めて困難であり、従って均一な品質の経皮吸収
貼付剤を提供することが非常に困難である。
【0009】(c)また、高分子材料中に薬物を含浸さ
せてなる経皮吸収製剤では、皮膚と基剤との間の薬物の
不連続的な移行により、生体に薬物が吸収される。その
ため、基剤側及び皮膚側の何れかにおける薬物拡散速度
が律速段階となる。従って、徐放性という点においては
優れているが、即効性の点で劣るという問題があった。
従って、このような経皮吸収貼付剤に即効性を期待する
場合には、過剰な量の薬物を投与する必要があり、副作
用を引き起こすおそれが生じるという問題があった。
【0010】上記のような問題を解決するものとして、
軟膏や液状製剤として生体に適用する方法が従来より知
られている。しかしながら、軟膏や液状製剤では、定量
的に投与することが困難である。そのため、過剰に適用
したり、あるいは逆に少ない量の薬物を適用したりする
ことにより、副作用が引き起こされたり、あるいは十分
な治療効果が得られなかったりするという問題が生じ
る。
【0011】他方、局部麻酔薬の中でも、リドカイン
は、局部麻酔性の他、炎症反応を特異的に抑制したり、
抗菌作用を有することが知られており、従って、局部麻
酔薬としてだけでなく、治療用薬剤として用い得ること
が知られている(特願表4−503055号公報、特願
平2−200138号公報、特開平1−299215号
公報、特開平4−305523号公報)。また、リドカ
インを用いた経皮吸収貼付剤が、上記特開平1−299
215号公報及び特願平4−305523号公報などに
開示されている。しかしながら、リドカインを用いたこ
れらの経皮吸収貼付剤は、リドカインを粘着性ゲル基剤
と混合したり、あるいはリドカインを分散させた自己接
着性マトリクスを用いたものである。すなわち、経皮吸
収貼付剤を構成するにあたって、生体に粘着性を発揮さ
せるための材料に薬物であるリドカインを直接配合して
なるものに過ぎなかった。そのため、リドカインを高い
濃度で含有させることができず、しかも、リドカインの
生体への移行速度が十分でなく、即効性の点で難があっ
た。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
した従来の経皮吸収製剤の欠点を解消し、生体の体表に
貼付される経皮吸収製剤でありながら、即効性に優れ、
副作用が生じ難い、安全性に優れた新規な経皮吸収製剤
を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本願の請求項1に記載の
発明は、薬物貯留部と、貼着部とを有する経皮吸収製剤
であって、前記薬物貯留部の周囲に前記貼着部が配置さ
れており、前記薬物貯留部が、少なくとも1種の薬物を
溶質とし、難揮発性溶媒を溶媒とした10重量%以上、
飽和溶解度以下の溶液を液体保持部材に含浸させてな
り、前記貼着部が、水不溶性粘着剤により構成されてい
ることを特徴とする経皮吸収製剤である。
【0014】また、本発明では、好ましくは、請求項2
に記載のように、上記薬物として、塩酸テトラカイン、
塩酸プロカイン及び塩酸リドカインからなる群から選択
した少なくとも1種が用いられる。
【0015】以下、本発明の経皮吸収製剤につき説明す
る。本発明では、経皮吸収製剤が、薬物貯留部及び貼着
部を有する。そして、薬物貯留部の周囲に貼着部が配置
されており、従って、薬物貯留部は、経皮吸収製剤の外
周縁には至らないように構成されている。よって、薬物
貯留部に含浸されている薬物溶液が周辺に漏出するおそ
れがない。
【0016】貼着部は、薬物貯留部の周囲に配置されて
おり、薬物貯留部を包囲しているため、上記のように薬
物貯留部に含浸された薬物溶液の漏出を防止する機能を
果たしている。
【0017】上記薬物貯留部及び貼着部の相互の関係
は、上述の通りであり、個々の具体的な厚みや平面形状
については、上記の関係を満たす限り任意に定め得る。
すなわち、薬物貯留部の平面形状は、円形、矩形等の適
宜の形状とすることができ、かつ貼着部の形状について
も、上記薬物貯留部を囲み得る限り、適宜の平面形状を
有するように構成し得る。また、上記薬物貯留部の周囲
に配置される貼着部は、少なくとも一面において、薬物
貯留部を露出させるように配置することが望ましい。す
なわち、生体に適用される際に、薬物貯留部が生体に直
接接触するように、該薬物貯留が露出されることが好ま
しい。
【0018】また、上記薬物貯留部及び貼付部を支持す
る合成樹脂フィルムや布もしくは紙等からなる基材を別
途備えていてもよい。すなわち、これらの基材の一面
に、上記薬物貯留部及び貼付部が支持されているテープ
状もしくはシート状の経皮吸収貼付剤として構成されて
いてもよい。
【0019】上記薬物貯留部は、生体に適用される少な
くとも1種部の薬物を溶質とし、難揮発性溶液を溶媒と
した10重量%以上、飽和溶解度以下の溶液を用いて構
成されている。ここで用いる薬物としては、請求項2に
記載のように、塩酸テトラカイン、塩酸プロカイン及び
塩酸リドカインからなる群から選択した少なくとも1種
を用い得るが、その他の経皮吸収製剤に用いられる適宜
の薬物を使用することができる。
【0020】使用し得る薬物の中でも、上記塩酸テトラ
カイン、塩酸プロカイン及びリドカインは、局所麻酔剤
として従来より知られているものであるが、抗菌作用を
有する薬剤としても知られている。従って、塩酸テトラ
カイン、塩酸プロカインあるいは塩酸リドカインを上記
薬物として用いることにより、炎症反応を抑制したり抗
菌作用を発揮し得る経皮吸収製剤を提供し得る。
【0021】上記薬物貯留部には、さらに薬物の経皮吸
収性を高めるために、経皮吸収促進剤を含有してもよ
い。経皮吸収促進剤としては、薬物溶液に薬物とともに
溶解し得るものであれば、種類の如何を問わず用いるこ
とができる。このような経皮吸収促進剤の例としては、
例えばN−ラウロイルサルコシン、マレイン酸などが挙
げられる。
【0022】また、上記薬物貯留部には、薬物の安定性
を高めるために、安定剤が配合されていてもよい。この
ような安定剤としては、例えば、抗酸化剤、pH調節剤
などがあり、前者の例としては、アスコルビン酸、酢酸
トコフェロールなどがあり、後者の例としては、フマル
酸、安息香酸、クエン酸などを挙げることができる。
【0023】また、上記難揮発性溶媒とは、揮発し難
く、従って薬物濃度を安定に保ち得る液体をいい、具体
的には35℃での飽和蒸気圧が0.8気圧未満のものを
いう。揮発性がこれよりも高い液体を用いた場合には、
保存に際し液状成分が揮発し、性能が低下するおそれが
ある。上記難揮発性溶媒としては、種々の液体を用い得
るが、好ましくは水が用いられる。貼付部が水不溶性粘
着剤で構成されているため、難揮発性溶媒として水を用
いることにより、薬物貼付部における薬物濃度の変化を
効果的に抑制することができる。
【0024】上記薬物の難揮発性溶媒への投入量は、1
0重量%以上、飽和溶解度以下とされる。飽和溶解度と
は、35℃における上記難揮発性溶媒に対する薬物の飽
和溶解度をいうものとする。なお、薬物の濃度が10重
量%未満の場合には、経皮吸収製剤における経皮吸収性
が十分でなくなり、特に、即効性が低下するという問題
が生じる。また、飽和溶解度を超えて薬物を含有させた
場合には、溶液中に薬物を保持しきれず、薬物結晶の析
出が生じるおそれがある。また、性能がさほど高められ
ないにも関わらず、薬物使用量が増大するため、コスト
の上昇を招く。上記薬物溶液を含浸させる液体保持部材
としては、薬物溶液を含浸させ得る適宜の材料を用いる
ことができ、例えば、織布、不織布または発泡体を用い
ることができる。
【0025】上記織布とは、水に不溶性の繊維により通
常の方法で製造されたものであり、かつ上記薬物溶液を
保持するのに十分な細孔を有するものであれば、種類の
如何を問わず使用することができる。このような織布を
構成する材料の例としては、綿、絹、麻、羊毛、ポリエ
ステル、レーヨン、アセテート、ビニロン、キュプラ、
ポリオレフィン、ナイロン、アクリル等があり、商品と
して日本薬局方ガーゼ等がある。
【0026】また、上記不織布は、水に不溶性の繊維に
より通常の方法により製造されたものであり、かつ上記
薬物溶液を保持するのに十な細孔を有するものであれ
ば、種類の如何を問わず使用することができる。このよ
うな不織布の材料としては、例えば、綿、絹、麻、羊
毛、ポリエステル、レーヨン、アセテート、ビニロン、
キュプラ、ポリオレフィン、ナイロン、アクリル等があ
る。
【0027】上記発泡体は、水に不溶性の発泡材料によ
り通常の方法により得られるものであり、かつ上記薬物
溶液を保持するのに十分な細孔を有するものであれば、
種類の如何を問わず用いることができる。このような発
泡体としては、例えば、ポリウレタン、ポリスチレン、
ポリエチレン等の発泡体からなるものが挙げられる。上
記貼着部は、経皮吸収製剤を生体に貼り付ける機能を果
たす部分であり、通常、粘着剤により構成される。用い
る粘着剤としては、通常の経皮吸収貼付剤に用いられる
材料であり、かつ水に不溶性であれば、任意のものを用
い得る。このような粘着剤の例としては、例えば、アク
リル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコン系粘着剤及びウ
レタン系粘着剤などを挙げることができる。
【0028】上記薬物貯留部及び貼着部は、前述した基
材により支持されていてもよい。すなわち、経皮吸収製
剤を実際に構成するにあたって、薬物貯留部及び貼着部
を支持するための支持体(基材)としては、薬物溶液が
不透過性である貼付剤に通常用いられる支持体であれ
ば、種類の如何を問わず使用することができる。このよ
うな支持体を構成する材料の例としては、酢酸セルロー
ス、エチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート
(PET)、可塑化酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、
ナイロン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、可塑化ポリ
塩化ビニル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニリデン、アル
ミニウムなどがある。これらは、例えば単層のシート
(フィルム)や、2枚以上の積層(ラミネート)体とし
て用いられる。上記支持体表面に、薬物と、場合によっ
ては経皮吸収剤及び/または安定剤を含有する薬物貯留
部と、粘着剤からなる貼着部が形成されることにより、
テープ状もしくはシート状の経皮吸収製剤が得られる。
このような貼着部を形成するにあたっては、溶剤塗工
法、ホットメルト塗工法、電子線硬化エマルジョン塗工
法などの種々の塗工法を用いることができる。
【0029】上記塗工法の中でも、好ましくは、溶剤塗
工法が用いられる。溶剤塗工法では、粘着基剤層を形成
するには、例えば粘着剤を適当な溶剤で希釈し、得られ
た溶液を支持体表面に塗布・乾燥する。溶液を直接支持
体表面に塗布せずにシリコン樹脂などをコーティングし
た離型紙上に塗布し、乾燥後に支持体を密着させてもよ
い。このような離型紙は、使用時まで貼付剤の粘着剤層
表面を保護するために用いられる。粘着剤層の厚みは、
もちろん剤型、使用目的によって異なるが、通常30〜
500μmである。30μmを下回ると貼付性が不充分
であったり、500μmを上回ると効果にはほとんど影
響が無いが、製造コストが上昇するために無意味であ
る。
【0030】本発明の経皮吸収製剤の好ましい具体的な
例としては、例えば、円形の日本薬局方ガーゼ10cm
2 に塩酸リドカイン20重量%水溶液10mlを含浸さ
せたものに対し、水に不溶性の粘着剤であるところの、
2−エチルヘキサンアクリレート60〜70モル%及び
N−ビニルピロリドン30〜40モル%を共重合させた
ものを60〜80μmの厚みになるように塗布・乾燥し
たものによりオーバーレイしたものが挙げられる。
【0031】
【作用】本発明の経皮吸収製剤では、薬物貯留部の周囲
に貼着層が配置されており、薬物貯留部において少なく
とも1種の薬物が10重量%以上、飽和溶解度以下の難
揮発性溶媒の溶液として液体保持部材に含浸されてい
る。すなわち、適用される薬物は薬物貯留部に含有され
ており、経皮吸収製剤を生体に貼付する機能は上記貼着
部により果たされる。従って、上記のように薬物貯留部
と貼付部とに機能が分担されているため、並びに薬物が
上記特定の濃度範囲で薬物貯留部に含有されているた
め、薬物が生体に効率良く移行される。よって、経皮吸
収製剤でありながら、即効性が効果的に高められる。
【0032】また、請求項2に記載のように、上記薬物
として、塩酸テトラカイン、塩酸プロカイン及び塩酸リ
ドカインからなる群から選択した少なくとも1種を用い
た場合には、該塩酸テトラカイン、塩酸プロカイン及び
/または塩酸リドカインが10重量%以上、飽和溶解度
以下の濃度で含有されているため、これらの発揮する抗
菌作用を利用することにより、生体表面の炎症を抑制し
たり、細菌性の疾患を効果的に治療することができる。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、薬物貯留部と貼着部と
に上述のように機能が分担されているため、薬物貯留部
に上記特定の濃度で含有されている薬物が生体に効率良
く移行する。従って、即効性に優れた経皮吸収製剤を提
供することが可能となる。
【0034】上記のように経皮吸収製剤でありながら即
効性が高められているため、過剰に薬物を投与する必要
がないため、副作用を引き起こすおそれが少ない。さら
に、経皮吸収製剤であるため、特定の部位に適用するこ
とができ、しかも少量的に適用することが容易であるた
め、副作用が発生したり、十分な治療効果が得られない
といった問題も生じない。また、貼付部位と薬物投与部
位とが異なることになるため、刺激性がある薬物におい
ても、その炎症を増大させる粘着剤が共に存在しないた
め、刺激性の少ない経皮吸収製剤を提供することができ
る。
【0035】従って、即効性に優れているだけでなく、
安全性の点においても優れている経皮吸収製剤を提供す
ることが可能となる。また、請求項2に記載のように、
塩酸テトラカイン、塩酸プロカイン及び塩酸ナドカイン
からなる群から選択した少なくとも1種を薬物として用
いた場合には、これらの薬物が上記特定の濃度範囲で含
有されているため、これらの薬物の有する抗菌作用によ
り、細菌性疾患等を効果的に治療することができる。し
かも、上記のように経皮吸収製剤でありながら即効性に
優れているため、より確実かつ大きな治療効果を期待す
ることができる。
【0036】
【実施例】以下、本発明の非限定的な実施例を説明する
ことにより、本発明を明らかにする。
【0037】実施例1 日本薬局方ガーゼ(川本包帯社製)を4枚重ね、面積が
10cm2 の円形としたものを用意する。塩酸リドカイ
ン2gを8mlの蒸留水に溶解したものをパスツールペ
ットで全量採取し、これを前記ガーゼ上に滴下する。
【0038】別に、ポリエチレンテレフタレートフィル
ムとエチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムを積層した
フィルム(厚さ50μm)上に下記の粘着剤を60μm
の厚みになるように塗布し、20cm2 の円形としたテ
ープ上に貼付する。
【0039】粘着剤の調製……2−エチルヘキシルアク
リレート65重量部、N−ビニルピロリドン35重量
部、及び酢酸エチル400重量部を攪拌装置、及び冷却
装置付きセパラブルフラスコに供給し、攪拌及び窒素置
換しながら60℃に昇温した。過酸化ラウロイル2.0
重量部をシクロヘキサン100重量部に溶解した溶液を
10分割し、その1をセパラブルフラスコに添加し、重
合を開始した。過酸化ラウロイルのシクロヘキサン溶液
残部の9を反応開始後5時間目から1時間間隔で添加
し、添加終了後、さらに19時間反応した。なお、粘度
調節のために反応開始後5時間ごとに酢酸エチルを50
重量部ずつ5回添加した。反応終了後に冷却し、固形分
35重量%になるように酢酸エチルを添加し、上記粘着
剤を得た。
【0040】実施例2 上記薬物を塩酸プロカインに変更したことを除いては、
実施例1と同様とした。
【0041】実施例3 上記の薬物を塩酸テトラカインに変更したことを除いて
は、実施例1と同様とした。
【0042】比較例1 実施例1で用いた粘着剤中に塩酸リドカインが1重量%
含有されており、しかも、基剤中にて薬物が飽和状態に
なるように結晶を析出させたものを作製するために、前
記粘着剤溶液中に塩酸リドカインエタノール溶液を混合
し、これをポリエチレンテレフタレートフィルムとエチ
レン−酢酸ビニル共重合体フィルムを積層したフィルム
(厚さ50μm)上に60μmの厚みになるように塗布
し、さらに、10cm2 の円形の形状とした。
【0043】比較例2 塩酸リドカインを5重量%含有しているキシロカイン歯
科用軟膏(藤沢薬品社製)を比較例2とした。
【0044】比較例3 塩酸リドカインを4重量%含有しているキシロカイン液
(藤沢薬品社製)を比較例3とした。
【0045】(実験例)各実施例・比較例について下記
の操作を行った。なお、比較例2,3については塗布面
積を10cm2 とした。
【0046】すなわち、ラット(雄、6週齢・Whister
系)の背部をバリカン・シェーバー等を用いて無毛状態
とし、さらに1日置いた後に皮膚に傷・炎症のないこと
を確認した後に実施例1〜3、比較例1〜3の製剤をそ
れぞれ10匹に適用した後、30分、2時間、4時間後
に下記の試験により評価した。
【0047】評価……製剤を適用した部分の中央に直径
0.5mmの針を深さ5mmに渡って1分間刺し、目視
にて刺激等の反応の有無についてその匹数をカウントす
る。表1にその結果を示す。
【0048】実施例の製剤はいずれの時間においても優
れた麻酔効果を示しているのに対して、比較例1では3
0分後においては効果の発現があまり見られず、即効性
に欠けていることをがわかる。また、比較例2,3は2
時間後、4時間後においての効果が弱く、持効性が欠如
していることを示している。
【0049】
【表1】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薬物貯留部と、貼着部とを有する経皮吸
    収製剤であって、 前記薬物貯留部の周囲に前記貼着部が配置されており、 前記薬物貯留部が、少なくとも1種の薬物を溶質とし、
    難揮発性溶媒を溶媒とした10重量%以上、飽和溶解度
    以下の溶液を液体保持部材に含浸させてなり、 前記貼着部が、水不溶性粘着剤により構成されているこ
    とを特徴とする経皮吸収製剤。
  2. 【請求項2】 前記薬物が、塩酸テトラカイン、塩酸プ
    ロカイン、及び塩酸リドカインからなる群から選択して
    少なくとも1種である請求項1に記載の経皮吸収製剤。
JP6074874A 1994-04-13 1994-04-13 経皮吸収製剤 Pending JPH07277961A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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