JP2005506297A - ペルゴリドの経皮送達 - Google Patents
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Abstract
液体保持固体部材とこの部材に結合している液体ペルゴリドとを有する多相基材を備えた経皮送達デバイス、例えば、基材の一方の面に付着され、かつ露出面を有するバリヤー層を備え、バリヤー層の露出面には装着層が付着されており、基材の他方の面には除去可能層が付着されている経皮送達デバイスであって、液体保持部材の例は、吸収材料、例えば、天然または合成繊維ガーゼ、医療用不織吸収材、天然スポンジおよび合成スポンジである。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は患者に対するペルゴリドの投与に関する。より具体的に言えば、本発明はペルゴリドの経皮送達に関する。
ペルゴリドは、個体を冒す種々の健康障害の治療に用いられる。例えば、ペルゴリドは、パーキンソン病の症状を治療したり、高プロラクチン血症の治療に関連する血漿プロラクチン濃度を低下させるのに用いられている。パーキンソン病治療において、典型的な投薬クールは、14日間にわたって経口用量を徐々に増やし、同時に血清中濃度を徐々に高めるものである。パーキンソン病治療におけるメシル酸ペルゴリドの経口投薬研究から、最大約500ピコグラム/ml(2.5mgを経口投与してから2〜3時間後の最大血清中濃度)〜約60ピコグラム/ml(0.5mgを経口投与してから8時間後の血清中濃度)の範囲の血清中濃度が治療域内であると考えられている。通常、経口投薬は、3mg/24時間を3回に分けて行い、血清中濃度は約200pg/mlでピークに達する。
【0002】
ペルゴリドの経口投与は、投与が簡単であるという利点がある。しかし、経口投与の場合、血清中濃度が投薬間で変動し、薬物は、血流にのって全身に分配される前に肝臓を通過しなければならず、肝系での代謝損失を埋め合わせるのに十分なほど高い投薬量レベルを必要とする。したがって、ペルゴリドの経口用量投与に関連する不利点が存在する。
【0003】
また、経皮送達によるペルゴリド投与も公知であり、そのような送達法は経口送達より有利である。本発明は、ペルゴリドの経皮送達に関する。
【背景技術】
【0004】
欧州特許公開公報第EP0913128A1号は、多様な薬物、例えばペルゴリドを送達するための経皮デバイスを開示している。このデバイスは、薬物が均一に分散された高分子接着層を用いる。この薬剤含有接着層は、成分を溶剤に溶解することによって調製される。得られた溶液は、溶剤を蒸発させると凝固して薬物含有層を形成する。このデバイスはさらに、接着層の一方の面上に、使用・貯蔵時に接着層を保護するバッキング層を有し、接着剤層の他方の面上に、貯蔵時に接着層の露出面を保護する剥離可能な剥離層を有する。剥離可能層は、デバイスの接着層を体膜(body membrane)に貼付する前に剥がされる。
【0005】
ペルゴリドの経皮送達は、ヤム(Yum)に付与された米国特許第6,001,390号にも開示されている。この’390特許は、ヒト皮膚サンプルを介したメシル酸ペルゴリドのイン・ビトロ送達を開示している。ヤムの特許で開示されている送達デバイスの1つの実施形態において、液体ペルゴリド含有組成物は、デバイスの空隙内に保持され、この空隙からペルゴリドが体膜に接触している微孔質膜を介して拡散して体膜に送達される。このデバイスは、体膜と接触して配置されている微孔質膜の表面を被覆し、使用時に剥がされる剥離可能層を有する。ヤム特許に開示されている別の実施形態では、ペルゴリドは、ペルゴリドと高分子担体との溶液を生成し、溶剤を蒸発させて高分子フィルムを形成して作製される硬質高分子フィルム内に収容されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ペルゴリドを経皮送達するための現在の方法の不都合の1つは、所望の治療ペルゴリド血清濃度を達成するために、送達デバイスに比較的大量のペルゴリドを使用する必要があることである。本発明は、患者にペルゴリドを経皮送達するための改良された手段に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明により、固体の液体保持部材と、この部材に結合している液体ペルゴリドとを包含する多相基材(multi−phase matrix)を備えた経皮送達デバイスが提供される。好ましい実施形態において、液体保持部材は、例えば、医療用不織吸収材であり、ペルゴリドは水性溶剤に溶解されている。
【0008】
本発明の別の態様は、体膜に直接接触している液体ペルゴリド保持部材から液体ペルゴリドを体膜に送達することを含むペルゴリドの経皮送達法を提供することである。本発明のこの実施形態において、ペルゴリドは、供給源から、供給源と体膜表面との間に挿入された材料に妨げられずに、体膜に直接送達される。
【0009】
本発明は、比較的大量のペルゴリドを効率的に経皮送達して、所望のペルゴリド血清中濃度を達成する方法を提供する。これは、患者の体膜を刺激せずに達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、ペルゴリドが送達される動物の膜と接触して保持される経皮送達デバイスからの液体ペルゴリドの経皮送達に関する。本発明の送達デバイスは、液体ペルゴリドを保持するための固体材料を有する多相基材を備えている。このデバイスは、その使用または機能に関連する他の要素を有し得る。そのような要素の例は、使用中にデバイスを適正な位置に固定する層、体膜に接触していない基材表面上にあって、その表面から液体ペルゴリドが滲出するのを防止するバリヤー層、およびデバイスを使用していないときに基材の他方の表面を周囲から遮蔽する剥離層である。
【0011】
本発明の送達デバイスの多相基材は、少なくとも2つの要素、すなわち、液体ペルゴリドと、この液体に対して親和性を有し、したがって液体保持部材として機能する固体材料とを有する。液体ペルゴリドを含有する組成物と液体保持固体部材との親和性は、例えば、物理的もしくは化学的吸着などの吸着、または固体材料の空隙内の吸収に起因し得る。
【0012】
通常、液体ペルゴリドは、以下に説明するように、他の成分を含み得る組成物中に含有されている。この組成物は、液体保持部材によって、該組成物をデバイスから排出させることなく通常の使用および操作中にデバイスが受け得る圧力に耐えるのに十分な強い力で保持されている。
【0013】
本発明の送達デバイスの液体保持部材は、任意の適切な材料製のものであってよい。一般に、そのような材料は、液体ペルゴリドを含有する組成物の成分の一部またはすべてに対して親和性を有していなければならない。材料は、組成物のどの成分とも不可逆反応または相互作用してはならない。例えば、材料は、組成物による劣化に耐性を有していなければならない。逆に、材料は組成物のどの成分にも悪影響を与えてはならない。この点で、液体保持部材の製造には、組成物の成分に不活性でありかつ溶解しない材料が適している。適当な材料の代表的な例は、織ガーゼ、比較的長い短繊維吸収材(staple absorbent masses)、不織ファイバーウエブ、および多孔質ポリマーで表面処理した不織ウエブの形態の天然または合成繊維である。好ましい材料は、多孔質ポリエチレンで被覆されたレーヨンウエブを含んでなる不織布、例えば、3M社から入手し得る1603医療用不織吸収材である。
【0014】
上記材料は、その材料を構成する空洞、細孔またはチャネル内に液体ペルゴリドを含有する組成物を保持し得る。また、液体保持部材は液体ペルゴリドを吸着する材料であってもよい。例えば、液体組成物中のある成分の表面は、液体保持部材を構成する材料の表面に吸着され、液体組成物の非吸着成分との凝集性相互作用により、組成物の大部分が部材により保持される。
【0015】
本発明の送達デバイスの固体の液体保持部材は、この部材と関連する、液体状態にあるペルゴリドを有する。本明細書において、用語「ペルゴリド」とは、遊離塩基8−β−[(メチルチオ)メチル]−6−プロピルエルゴリンの薬理特性と同様な薬理特性を有する任意の医薬として許容され得る種のエルゴリンを意味するように用いられている。異常な身体状態の治療、例えば、パーキンソン病および高プロラクチン血症の症状の治療に適した多種のペルゴリドが存在することが確認されている。上記遊離塩基に加えて、この遊離塩基およびエルゴリン環の構造的変異を有する化合物の酸性塩が医薬上有効であることは公知である。薬理特性を示し、かつ本発明を実施する際に用い得るペルゴリドおよびエルゴリン環の構造的変異を有する化合物の医薬として許容され得る塩の例が、コーンフェルド(Kornfeld)らに付与された米国特許第4,166,182号に開示されている。本発明を実施する際には、2種以上のペルゴリドの混合物を用い得る。
【0016】
本発明を実施する際に用いるのに好ましいペルゴリドの形態は、メシル酸ペルゴリドおよびペルゴリド遊離塩基であり、どちらも室温では固体であり、医薬上有効量の溶解したペルゴリド種を含有する溶液を形成するのに十分に、水または非水性溶剤に可溶性である。
【0017】
本発明に用いるのに適したペルゴリド種の多くは、周囲温度では固体である。したがって、送達デバイスの基材は、通常、ペルゴリドの他に「ペルゴリド」溶剤を含有する組成物を包含するであろう。周囲条件下で液体である医薬として許容され得るペルゴリド種と共に、液体ペルゴリドの希釈剤または担体として機能する溶剤も用いられ得る。
【0018】
送達デバイスの基材に包含させるのに十分と考えられる量のペルゴリドを溶解し得る任意の適当な溶剤(無機または有機)を用い得る。使用し得る溶剤の例としては、水、例えば、エタノールのようなアルコール類、ジメチルスルホキシド(DMSO)、例えば、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールのようなグリコール類がある。
【0019】
比較的大量のペルゴリドを直接に塗布すると皮膚や粘膜を刺激することは公知である。「ペルゴリド」溶剤は、希釈剤として作用し、また望ましくない刺激を低減させる機能も果たす。この溶剤は、皮膚または粘膜に対するペルゴリドの浸透性を高める役割も果たし得る。さらに、この溶剤は、ペルゴリドが身体に入るときにペルゴリドの体膜通過を促進する拡散媒として機能し得る。
【0020】
ペルゴリド含有組成物は、単相組成物、例えば、ペルゴリド溶液を含んでもよいし、多相組成物、例えば、エマルション、ゲル、もしくは液体ペルゴリドを含有する分散液を含んでもよい。エマルションは、連続液相中に分散されたペルゴリド溶液の液滴を含み得る。ゲルは、分散相を構成する適切なゲル化剤で増粘された連続溶液相を含み得る。分散液は、ペルゴリド固体粒子、例えば、ペルゴリドナノ粒子が分散された溶解ペルゴリドの液体溶液からなり得る。
【0021】
上記組成物は、好ましい形態において、室温下に、例えば、溶液の送出に用いるピペットから基材の液体保持部材まで溶液が容易に流動するような粘度を有するペルゴリド溶液を含む。炭化水素性溶剤を含む水性溶液が特に好ましい。
【0022】
ペルゴリド含有組成物は、この組成物に所望の特性を付与するように機能する1種以上の添加剤を含み得る。例えば、この組成物は、主溶剤中のペルゴリドの溶解度を高める共溶剤を含み得る。具体例として、水中でのペルゴリドの溶解度を高める共溶剤としてアルコールを用いる。該組成物は、ペルゴリドの経皮送達能力を高める働きをする促進剤を含み得る。促進剤の例は、アルコール、グリコール、脂肪酸および脂肪酸エステルである。添加剤の別の例は、組成物に所望の粘性を付与するように作用する増粘剤、例えば、ヒドロキシメチルセルロースである。
【0023】
他の代表的な添加剤は、例えば、安定剤、防腐剤および酸化防止剤である。安定剤は、“Handbook of Pharmaceutical Additives,”アッシュ(Ash)、マイケル(Michael)およびアイリーン(Irene)、Gower、1995年において、増粘し、分離を防止し、粘度の増大により酸化を遅延させ、かつより滑らかな生成物を生成する医薬添加剤であると定義されている技術的に認知された化合物である。酸化防止剤も技術的に認知された化合物であり、Handbook of Pharmaceutical Additivesにより、有機物質の酸化、劣化、酸敗およびガム生成を遅らせる物質であると定義されている。防腐剤も、Handbook of Pharmaceutical Additivesにより、医薬組成物を変質、脱色または腐敗から保護し、微生物または化学変質を遅延または防止するのに用いられる天然または合成物質であると定義されている技術的に認知された化合物である。“Handbook of Pharmaceutical Excipients,”キッビ エイチ アーサー(Kibbe H.Arthur)、第3版、American Pharmaceutical Association 2000年は、認知されている多くの化合物:安定剤としては、例えば、L−メチオニン;酸化防止剤としては、例えば、クエン酸、アスコルビン酸、ブチル化ヒドロキシアニソール(BAH)およびブチル化ヒドロキシトルエン(BHT);防腐剤としては、例えば、ベンジルアルコール、エチルアルコールおよびクエン酸を列挙している。本発明の組成物は上記化合物をもう1種さらに含み得る。
【0024】
添加剤のなかにはペルゴリド組成物の2つ以上の特性を改良するものがある。例えば、DMSOは、ペルゴリドの溶解度と経皮送達能とを高め得る。
本明細書に言及されているタイプの添加剤はもとより、ペルゴリド組成物用の他の添加剤も公知である。したがって、ペルゴリド含有組成物には上述のもの以外の化合物も使用し得るものと理解すべきである。好ましい形態において、添加剤はペルゴリド組成物中に溶存態で存在する。
【0025】
組成物に占めるペルゴリドの量は、医薬上有効量のペルゴリドを身体に経皮送達するのに十分な量でなければならない。そのような量は、多くの要素、たとえば、用いられるペルゴリドの種類、治療すべき症状、基材の液体保持部材を構成する材料の性質、および体膜に接触する基材表面の面積に応じて変化するであろう。ほとんどの用途には、約0.1〜約10重量%のペルゴリドを含む組成物が有効であると考えられる。しかし、組成物が上記より低いか高い比率のペルゴリドを含む用途も存在すると理解すべきである。
【0026】
同様に、組成物に占める特定の添加剤の量も多くの要素に依存するであろう。ほとんどの用途に対して、添加剤は、通常、組成物の約0.01〜約50重量%を構成すると考えられる。特定の添加剤および関連用途に応じて、上記より低率または高率の量を用い得る。例えば、安定剤、防腐剤または酸化防止剤などの添加剤は、組成物の約0.4〜約2重量%を構成し得る。
【0027】
約90〜約96重量%の水と、約0.4〜約2重量%のβ−シクロデキストリンと、約3〜約6重量%のヒドロキシプロピルセルロースと、約0.1〜約1重量%のメシル酸ペルゴリドとを含む好ましい組成物は、液体ペルゴリド形態としても、安定剤、酸化防止剤および防腐剤を添加して液体ペルゴリド組成物を生成し得る基礎組成物としても特に有用である。最大約0.4重量%までの酸化防止剤、例えば、約0.05〜0.4重量%のアスコルビン酸および/もしくはクエン酸、ならびに/または最大約4重量%までの防腐剤、例えば、約0.05〜約4重量%のベンジルアルコールおよび/もしくは乳酸を添加すると、特に好ましい格別に安定した組成物が得られることが判明した。
【0028】
別の好ましい組成物は、防腐剤および共溶剤として基礎組成物に添加され得る最大約5重量%まで(例えば、約1〜約5重量%)のエチルアルコールを含み、この組成物に、追加の酸化防止剤、安定剤および防腐剤を添加すると、格別に安定した組成物を生成することができる。
【0029】
本発明の基材は、ペルゴリド含有組成物に適した親和性を有する液体保持材料を選択し、この材料を所望の大きさの表面積を有する所望形状に成形または切断し、この材料に所望量の組成物を塗布することにより調製され得る。あるいは、液体保持材料全体に組成物を塗布してから、材料を所望サイズに賦形するか、または切断してもよい。任意の適当な形状の保持材料が用いられ得る。材料は、典型的には、2つの面と縁を有するディスクまたはパッドの形態である。
【0030】
本発明の経皮送達デバイスは、例えば、基材の一方の面を被覆するバリヤー層、デバイスを治療すべき体表面に固定する層、および基材の他方の面を保護し、デバイスを使用するときには除去され得る除去可能層を含む、経皮送達デバイスに通常存在するタイプの他の要素を有し得る。
【0031】
好ましい形態において、基材の液体保持材料は、使用中、体膜に直接接触する。しかし、デバイスが、例えば、ペルゴリドが体表面に向かって通過流動し得、かつ基材膜において体膜と向い合う面を被覆する微孔質膜などの透過層を有することが有用な用途も存在し得る。このタイプの実施形態において、透過層の、基材面と接触しない面は除去可能層で被覆され得る。
【0032】
本発明に従って、経皮送達デバイスを作製し、これらのデバイスを、別々のイン・ビトロ測定およびイン・ビボ測定に使用してペルゴリド送達流量を測定した。ペルゴリド送達流量のイン・ビトロ測定は、いずれの場合も、ヒト皮膚サンプルを、角質層が送達デバイスまたは液体の形態にあるペリゴリドを含有する組成物に接触し得るように固定した拡散セルを用いて実施した。
【0033】
典型的な測定では、受容液体(receiver liquid)として食塩溶液を充填した拡散セル上に皮膚サンプルを固定した。液体ペルゴリド含有組成物のアリコートまたは本発明の経皮送達デバイスを固定されたサンプルの角質層に貼付した後、拡散セルを評価中均一温度に維持した環境下に放置した。
【0034】
典型的な測定においては、所定時間中、拡散セルを平衡させ、次いで受容液体からサンプルを取りだしてベースラインを設定した。一定の時間間隔で受容液体から次々と後続のサンプルを取り出した。
【実施例】
【0035】
第1実施例グループは本発明の経皮送達デバイスの例示である。これらのデバイスは、以下の表1に列挙されている種々の材料からなるディスク形状の液体保持材料(実施例1〜8)と、1cm2の面積を被覆する液体ペルゴリド相とを有する多相基材を備えている。
【0036】
表1の実施例1〜5のデバイスに用いた液体ペルゴリドは、0.48重量%のメシル酸ペルゴリドと、0.8重量%のβ−シクロデキストリンと、3.0重量%のヒドロキシプロピルセルロースと、95.7重量%の水とを含む粘性液体組成物であり、これは特に好ましい組成物である。実施例6のデバイスは、0.5重量%のメシル酸ペルゴリドと、3.0重量%のヒドロキシプロピルセルロースと、96.5重量%の水とを含む液体組成物を備えていた。実施例7のデバイスは、0.55重量%のメシル酸ペルゴリドと、6.0重量%のヒドロキシプロピルセルロースと、93.45重量%の水とを含む液体組成物を備え、実施例8のデバイスは、0.05重量5のメシル酸ペルゴリドと、99.95重量%の水とを含む組成物を有していた。
【0037】
これらの実施例の経皮デバイスに用いた組成物はいずれも、メシル酸ペルゴリドの固体粒子を脱イオン水に溶解させ、(使用する場合には)β−シクロデキストリンと(使用する場合には)ヒドロキシプロピルセルロースとを添加して、列挙されている重量%の組成物を生成して調製した。これらの組成物は、従来のピペットから液体保持材料上に分与するのに十分なほど低粘度のものであった。
【0038】
本明細書に記載されている典型的な経皮送達デバイスはすべて、選択された液体保持材料を所望の形状および面積(例えば、パッドまたはディスク)に形成し、次いで、賦形された材料の一方の面を、バリヤー層として機能する9732ポリエステルフィルム(3M社)の断片に積層して作製した。このフィルムは、得られたラミネートのバリヤー層が保持材料の縁を越えて延びるような大きさに形成された。このラミネートを、9772PVCフォームテープ(3M社)の接着面に、バリヤー層がこのテープと保持材料との間に挟まれるように固定した。PVCフォームテープは、このテープが、ラミネートを該デバイスが適用される膜と接触して保持する接着層として機能するように、バリヤー層の縁を越えて延びる大きさに形成された。
【0039】
保持材料の露出表面の制御領域全体にペルゴリド組成物を塗布した。ペルゴリド組成物を塗布した領域は、経皮送達が起こり得る所望の大きさの領域(活性領域)が得られるように選択した。この選択領域に、ペルゴリド組成物を70μl/cm2の量で塗布した。表1の実施例1〜5のデバイスでは、これによって、液体保持材料1cm2当たり約0.346mgのメシル酸ペルゴリドを有するデバイスが得られた。実施例6および7のデバイスは、液体保持材料1cm2当たり0.89mgのメシル酸ペルゴリドを有し、実施例8のデバイスは、液体保持材料1cm2当たり0.07mgメシル酸ペルゴリドを有していた。液体保持材料に関して述べた領域は、表面積として測定された、液体組成物が塗布されたパッド領域である。
【0040】
液体組成物を液体保持材料に塗布した後、この材料の露出された表面基材およびPVCフォームテープの露出された接着面を、164Zポリエステル−ドーバート剥離ライナー(Polyester−daubert release liner)(サノ コーポレイション(Sano Corp.))製の剥離ライナーで被覆した。使用前に、経皮デバイスから剥離ライナーを剥がし、液体保持材料およびフォームテープの露出表面を拡散セル上に取り付けられたヒト皮膚切片に貼付した。
【0041】
これらのデバイスに対して、本明細書で上述した方法に従ってイン・ビトロ ペルゴリド送達流量測定を行った。その結果を表1の各測定物の隣に要約した。前記結果はイン・ビトロ測定による追加データが提示されている図面をさらに参照する。
【0042】
【表1】
上記表1のデータは、本発明の経皮送達デバイスからペルゴリドを、ペルゴリドの治療血清中濃度の確立に相応した送達流量で、送達し得ることを示している。
【0043】
次の実施例グループは、上述のものと類似の送達デバイスのヒト患者への使用を示している。これらのデバイスの液体保持材料は、10cm2または30cm2の面積に液体ペルゴリドを塗布するのに十分な表面積を有する1603医療用不織吸収材(3M社)パッドであった。これらのデバイスは、表1の実施例1〜6のデバイスに用いたものと同じ組成物(0.48重量%のメシル酸ペルゴリド、0.8重量%のβ−シクロデキストリン、3.0重量%のヒドロキシプロピルセルロース、95.7重量%の水)を有していた。10cm2の活性領域を有する12個のデバイスと、30cm2の活性領域を有する4個のデバイスを作製した。10cm2の活性領域を有する1個のデバイスを4人の被験者に貼付した。他の4人の被験者には、それぞれ10cm2の活性領域を有する2個のデバイスを貼付し、また、他の4人の被験者にはそれぞれ、30cm2の活性領域を有するデバイスを貼付した。これらのデバイスは、ヒト被験者の外側上腕の皮膚に貼付された。被験者から定期的に血液サンプルを採取し、ペルゴリド濃度を調べた。ペルゴリド血清中濃度は、試験プロトコル#AN47849−101−PPDに従って、血液サンプルを質量分光検出を用いる液体クロマトグラフィーにかけることにより測定された。
【0044】
同じパッドサイズを有するデバイスを貼付した4人の被験者からのサンプルから得た血清中濃度を平均した。その平均データをサンプルを採取した時間の平均と共に表2に示す。この研究からの追加平均データを図5にグラフで示す。
【0045】
【表2】
比較のために、以下の表3に、メシル酸ペルゴリドをヒト被験者に経口投与した後で観察された血清中濃度の代表的な例を示す。
【0046】
【表3】
上記表2および表3に記載した結果を比較すると、本発明の経皮デバイスは、治療レベルのメシル酸ペルゴリドを送達することが明らかである。さらに、ヒト被験者に貼付された経皮デバイスは、貼付部位に皮膚刺激を起こさなかった。
【0047】
次の例グループは事実上の比較に関する。
ペルゴリド遊離塩基と促進剤とをアクリレートベースの感圧接着剤(PSA)のアリコート中にブレンドし、この組成物をフィルムにキャストして、ペルゴリド塩基と促進剤とを包含する基材を有する経皮デバイスを作製した。前記フィルムにおいて、ペルゴリド遊離塩基は固溶体として存在する。キャストフィルム基材は、ナショナルスターチ社接着剤(National starch adhesives)87−2074(基材A)、87−2620(基材B)、87−2696(基材C)と、モンサント社接着剤(Monsanto Adhesive)2873 ゲルベア マルチポリマー アクリル樹脂(Gelvea muntipolymer acrylic resin)(基材D)を用いて作製した。基材A、B、Dの組成物は、2重量%のペルゴリド遊離塩基と98.0重量%の各使用PSAであった。基材Cの組成物は5重量%のペルゴリド遊離塩基と95重量%の使用PSAであった。キャストフィルムはギプス包帯のように皮膚に粘着性であった。
【0048】
これらのキャストフィルムを1cm2ユニットに分割した。これらのキャストフィルム基材からのペルゴリド送達流量を、上述のイン・ビトロ試験手順に従って、1cm2ユニットを含むラミネートを拡散セル上に取り付けられたヒト皮膚サンプルに接着させて測定した。
【0049】
図6に、これらの測定の結果を、それぞれ基材A〜Dに関する線A〜Dとしてグラフで示す。これらの例の結果は、上述の実施例のものと比べると、ペルゴリド充填重量%が4倍であっても、固溶体からのペルゴリド送達流量が低過ぎてパーキンソン病治療のためのペルゴリド治療血清中濃度を得るには有効でないことを示している。
【0050】
次の実施例グループは、本発明を実施する際に用い得るペルゴリド含有組成物の例示である。これらの組成物は以下の表4で確認される。組成物は、指定された量の示された溶剤または溶剤混合物を適当な混合容器に入れ、無水粉末状の固体メシル酸ペルゴリドおよび表4に示されている添加剤を固体成分が溶解するまで25℃で攪拌しながら溶剤に添加して調製した。調製した種々の組成は列挙されている成分の重量%として表4に示す。
【0051】
【表4】
表4に示されている各液体ペルゴリド組成物のアリコートを拡散セル上に取り付けられたヒト皮膚切片に直接塗布した。組成物から得られる送達流量を上述のイン・ビトロ法に従って測定した。これらの測定の結果は、表5に要約されるとともに、追加データを含む図面も参照する。
【0052】
【表5】
別個の実験で、水を含まない組成物D(表5)を1603医療用不織吸収材(3M社)の1cm2パッドに塗布し、パッドを拡散セル上に取り付けられた皮膚サンプルに貼付した。このパッチからの送達流量をイン・ビトロ測定すると、21時間後に0.05μg/cm2/hrペルゴリドのピーク送達流量を示した。表5の組成物は、患者を治療するための経皮送達デバイスに用いられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の経皮送達デバイスからのイン・ビトロのペルゴリド送達流量のグラフ。
【図2】本発明の経皮送達デバイスからのイン・ビトロのペルゴリド送達流量のグラフ。
【図3】本発明の経皮送達デバイスからのイン・ビトロのペルゴリド送達流量のグラフ。
【図4】本発明の経皮送達デバイスからのイン・ビトロのペルゴリド送達流量のグラフ。
【図5】本発明の経皮送達デバイスにより達成されるイン・ビボのペルゴリド血清中濃度のグラフ。
【図6】ペルゴリド固溶体を含有する比較組成物の使用に関連するイン・ビトロのペルゴリド送達流量のグラフ。
【図7】液体ペルゴリド組成物の皮膚への直接塗布によるイン・ビトロのペルゴリド送達流量のグラフ。
【図8】液体ペルゴリド組成物の皮膚への直接塗布によるイン・ビトロのペルゴリド送達流量のグラフ。
【図9】液体ペルゴリド組成物の皮膚への直接塗布によるイン・ビトロのペルゴリド送達流量のグラフ。
【0001】
本発明は患者に対するペルゴリドの投与に関する。より具体的に言えば、本発明はペルゴリドの経皮送達に関する。
ペルゴリドは、個体を冒す種々の健康障害の治療に用いられる。例えば、ペルゴリドは、パーキンソン病の症状を治療したり、高プロラクチン血症の治療に関連する血漿プロラクチン濃度を低下させるのに用いられている。パーキンソン病治療において、典型的な投薬クールは、14日間にわたって経口用量を徐々に増やし、同時に血清中濃度を徐々に高めるものである。パーキンソン病治療におけるメシル酸ペルゴリドの経口投薬研究から、最大約500ピコグラム/ml(2.5mgを経口投与してから2〜3時間後の最大血清中濃度)〜約60ピコグラム/ml(0.5mgを経口投与してから8時間後の血清中濃度)の範囲の血清中濃度が治療域内であると考えられている。通常、経口投薬は、3mg/24時間を3回に分けて行い、血清中濃度は約200pg/mlでピークに達する。
【0002】
ペルゴリドの経口投与は、投与が簡単であるという利点がある。しかし、経口投与の場合、血清中濃度が投薬間で変動し、薬物は、血流にのって全身に分配される前に肝臓を通過しなければならず、肝系での代謝損失を埋め合わせるのに十分なほど高い投薬量レベルを必要とする。したがって、ペルゴリドの経口用量投与に関連する不利点が存在する。
【0003】
また、経皮送達によるペルゴリド投与も公知であり、そのような送達法は経口送達より有利である。本発明は、ペルゴリドの経皮送達に関する。
【背景技術】
【0004】
欧州特許公開公報第EP0913128A1号は、多様な薬物、例えばペルゴリドを送達するための経皮デバイスを開示している。このデバイスは、薬物が均一に分散された高分子接着層を用いる。この薬剤含有接着層は、成分を溶剤に溶解することによって調製される。得られた溶液は、溶剤を蒸発させると凝固して薬物含有層を形成する。このデバイスはさらに、接着層の一方の面上に、使用・貯蔵時に接着層を保護するバッキング層を有し、接着剤層の他方の面上に、貯蔵時に接着層の露出面を保護する剥離可能な剥離層を有する。剥離可能層は、デバイスの接着層を体膜(body membrane)に貼付する前に剥がされる。
【0005】
ペルゴリドの経皮送達は、ヤム(Yum)に付与された米国特許第6,001,390号にも開示されている。この’390特許は、ヒト皮膚サンプルを介したメシル酸ペルゴリドのイン・ビトロ送達を開示している。ヤムの特許で開示されている送達デバイスの1つの実施形態において、液体ペルゴリド含有組成物は、デバイスの空隙内に保持され、この空隙からペルゴリドが体膜に接触している微孔質膜を介して拡散して体膜に送達される。このデバイスは、体膜と接触して配置されている微孔質膜の表面を被覆し、使用時に剥がされる剥離可能層を有する。ヤム特許に開示されている別の実施形態では、ペルゴリドは、ペルゴリドと高分子担体との溶液を生成し、溶剤を蒸発させて高分子フィルムを形成して作製される硬質高分子フィルム内に収容されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ペルゴリドを経皮送達するための現在の方法の不都合の1つは、所望の治療ペルゴリド血清濃度を達成するために、送達デバイスに比較的大量のペルゴリドを使用する必要があることである。本発明は、患者にペルゴリドを経皮送達するための改良された手段に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明により、固体の液体保持部材と、この部材に結合している液体ペルゴリドとを包含する多相基材(multi−phase matrix)を備えた経皮送達デバイスが提供される。好ましい実施形態において、液体保持部材は、例えば、医療用不織吸収材であり、ペルゴリドは水性溶剤に溶解されている。
【0008】
本発明の別の態様は、体膜に直接接触している液体ペルゴリド保持部材から液体ペルゴリドを体膜に送達することを含むペルゴリドの経皮送達法を提供することである。本発明のこの実施形態において、ペルゴリドは、供給源から、供給源と体膜表面との間に挿入された材料に妨げられずに、体膜に直接送達される。
【0009】
本発明は、比較的大量のペルゴリドを効率的に経皮送達して、所望のペルゴリド血清中濃度を達成する方法を提供する。これは、患者の体膜を刺激せずに達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、ペルゴリドが送達される動物の膜と接触して保持される経皮送達デバイスからの液体ペルゴリドの経皮送達に関する。本発明の送達デバイスは、液体ペルゴリドを保持するための固体材料を有する多相基材を備えている。このデバイスは、その使用または機能に関連する他の要素を有し得る。そのような要素の例は、使用中にデバイスを適正な位置に固定する層、体膜に接触していない基材表面上にあって、その表面から液体ペルゴリドが滲出するのを防止するバリヤー層、およびデバイスを使用していないときに基材の他方の表面を周囲から遮蔽する剥離層である。
【0011】
本発明の送達デバイスの多相基材は、少なくとも2つの要素、すなわち、液体ペルゴリドと、この液体に対して親和性を有し、したがって液体保持部材として機能する固体材料とを有する。液体ペルゴリドを含有する組成物と液体保持固体部材との親和性は、例えば、物理的もしくは化学的吸着などの吸着、または固体材料の空隙内の吸収に起因し得る。
【0012】
通常、液体ペルゴリドは、以下に説明するように、他の成分を含み得る組成物中に含有されている。この組成物は、液体保持部材によって、該組成物をデバイスから排出させることなく通常の使用および操作中にデバイスが受け得る圧力に耐えるのに十分な強い力で保持されている。
【0013】
本発明の送達デバイスの液体保持部材は、任意の適切な材料製のものであってよい。一般に、そのような材料は、液体ペルゴリドを含有する組成物の成分の一部またはすべてに対して親和性を有していなければならない。材料は、組成物のどの成分とも不可逆反応または相互作用してはならない。例えば、材料は、組成物による劣化に耐性を有していなければならない。逆に、材料は組成物のどの成分にも悪影響を与えてはならない。この点で、液体保持部材の製造には、組成物の成分に不活性でありかつ溶解しない材料が適している。適当な材料の代表的な例は、織ガーゼ、比較的長い短繊維吸収材(staple absorbent masses)、不織ファイバーウエブ、および多孔質ポリマーで表面処理した不織ウエブの形態の天然または合成繊維である。好ましい材料は、多孔質ポリエチレンで被覆されたレーヨンウエブを含んでなる不織布、例えば、3M社から入手し得る1603医療用不織吸収材である。
【0014】
上記材料は、その材料を構成する空洞、細孔またはチャネル内に液体ペルゴリドを含有する組成物を保持し得る。また、液体保持部材は液体ペルゴリドを吸着する材料であってもよい。例えば、液体組成物中のある成分の表面は、液体保持部材を構成する材料の表面に吸着され、液体組成物の非吸着成分との凝集性相互作用により、組成物の大部分が部材により保持される。
【0015】
本発明の送達デバイスの固体の液体保持部材は、この部材と関連する、液体状態にあるペルゴリドを有する。本明細書において、用語「ペルゴリド」とは、遊離塩基8−β−[(メチルチオ)メチル]−6−プロピルエルゴリンの薬理特性と同様な薬理特性を有する任意の医薬として許容され得る種のエルゴリンを意味するように用いられている。異常な身体状態の治療、例えば、パーキンソン病および高プロラクチン血症の症状の治療に適した多種のペルゴリドが存在することが確認されている。上記遊離塩基に加えて、この遊離塩基およびエルゴリン環の構造的変異を有する化合物の酸性塩が医薬上有効であることは公知である。薬理特性を示し、かつ本発明を実施する際に用い得るペルゴリドおよびエルゴリン環の構造的変異を有する化合物の医薬として許容され得る塩の例が、コーンフェルド(Kornfeld)らに付与された米国特許第4,166,182号に開示されている。本発明を実施する際には、2種以上のペルゴリドの混合物を用い得る。
【0016】
本発明を実施する際に用いるのに好ましいペルゴリドの形態は、メシル酸ペルゴリドおよびペルゴリド遊離塩基であり、どちらも室温では固体であり、医薬上有効量の溶解したペルゴリド種を含有する溶液を形成するのに十分に、水または非水性溶剤に可溶性である。
【0017】
本発明に用いるのに適したペルゴリド種の多くは、周囲温度では固体である。したがって、送達デバイスの基材は、通常、ペルゴリドの他に「ペルゴリド」溶剤を含有する組成物を包含するであろう。周囲条件下で液体である医薬として許容され得るペルゴリド種と共に、液体ペルゴリドの希釈剤または担体として機能する溶剤も用いられ得る。
【0018】
送達デバイスの基材に包含させるのに十分と考えられる量のペルゴリドを溶解し得る任意の適当な溶剤(無機または有機)を用い得る。使用し得る溶剤の例としては、水、例えば、エタノールのようなアルコール類、ジメチルスルホキシド(DMSO)、例えば、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールのようなグリコール類がある。
【0019】
比較的大量のペルゴリドを直接に塗布すると皮膚や粘膜を刺激することは公知である。「ペルゴリド」溶剤は、希釈剤として作用し、また望ましくない刺激を低減させる機能も果たす。この溶剤は、皮膚または粘膜に対するペルゴリドの浸透性を高める役割も果たし得る。さらに、この溶剤は、ペルゴリドが身体に入るときにペルゴリドの体膜通過を促進する拡散媒として機能し得る。
【0020】
ペルゴリド含有組成物は、単相組成物、例えば、ペルゴリド溶液を含んでもよいし、多相組成物、例えば、エマルション、ゲル、もしくは液体ペルゴリドを含有する分散液を含んでもよい。エマルションは、連続液相中に分散されたペルゴリド溶液の液滴を含み得る。ゲルは、分散相を構成する適切なゲル化剤で増粘された連続溶液相を含み得る。分散液は、ペルゴリド固体粒子、例えば、ペルゴリドナノ粒子が分散された溶解ペルゴリドの液体溶液からなり得る。
【0021】
上記組成物は、好ましい形態において、室温下に、例えば、溶液の送出に用いるピペットから基材の液体保持部材まで溶液が容易に流動するような粘度を有するペルゴリド溶液を含む。炭化水素性溶剤を含む水性溶液が特に好ましい。
【0022】
ペルゴリド含有組成物は、この組成物に所望の特性を付与するように機能する1種以上の添加剤を含み得る。例えば、この組成物は、主溶剤中のペルゴリドの溶解度を高める共溶剤を含み得る。具体例として、水中でのペルゴリドの溶解度を高める共溶剤としてアルコールを用いる。該組成物は、ペルゴリドの経皮送達能力を高める働きをする促進剤を含み得る。促進剤の例は、アルコール、グリコール、脂肪酸および脂肪酸エステルである。添加剤の別の例は、組成物に所望の粘性を付与するように作用する増粘剤、例えば、ヒドロキシメチルセルロースである。
【0023】
他の代表的な添加剤は、例えば、安定剤、防腐剤および酸化防止剤である。安定剤は、“Handbook of Pharmaceutical Additives,”アッシュ(Ash)、マイケル(Michael)およびアイリーン(Irene)、Gower、1995年において、増粘し、分離を防止し、粘度の増大により酸化を遅延させ、かつより滑らかな生成物を生成する医薬添加剤であると定義されている技術的に認知された化合物である。酸化防止剤も技術的に認知された化合物であり、Handbook of Pharmaceutical Additivesにより、有機物質の酸化、劣化、酸敗およびガム生成を遅らせる物質であると定義されている。防腐剤も、Handbook of Pharmaceutical Additivesにより、医薬組成物を変質、脱色または腐敗から保護し、微生物または化学変質を遅延または防止するのに用いられる天然または合成物質であると定義されている技術的に認知された化合物である。“Handbook of Pharmaceutical Excipients,”キッビ エイチ アーサー(Kibbe H.Arthur)、第3版、American Pharmaceutical Association 2000年は、認知されている多くの化合物:安定剤としては、例えば、L−メチオニン;酸化防止剤としては、例えば、クエン酸、アスコルビン酸、ブチル化ヒドロキシアニソール(BAH)およびブチル化ヒドロキシトルエン(BHT);防腐剤としては、例えば、ベンジルアルコール、エチルアルコールおよびクエン酸を列挙している。本発明の組成物は上記化合物をもう1種さらに含み得る。
【0024】
添加剤のなかにはペルゴリド組成物の2つ以上の特性を改良するものがある。例えば、DMSOは、ペルゴリドの溶解度と経皮送達能とを高め得る。
本明細書に言及されているタイプの添加剤はもとより、ペルゴリド組成物用の他の添加剤も公知である。したがって、ペルゴリド含有組成物には上述のもの以外の化合物も使用し得るものと理解すべきである。好ましい形態において、添加剤はペルゴリド組成物中に溶存態で存在する。
【0025】
組成物に占めるペルゴリドの量は、医薬上有効量のペルゴリドを身体に経皮送達するのに十分な量でなければならない。そのような量は、多くの要素、たとえば、用いられるペルゴリドの種類、治療すべき症状、基材の液体保持部材を構成する材料の性質、および体膜に接触する基材表面の面積に応じて変化するであろう。ほとんどの用途には、約0.1〜約10重量%のペルゴリドを含む組成物が有効であると考えられる。しかし、組成物が上記より低いか高い比率のペルゴリドを含む用途も存在すると理解すべきである。
【0026】
同様に、組成物に占める特定の添加剤の量も多くの要素に依存するであろう。ほとんどの用途に対して、添加剤は、通常、組成物の約0.01〜約50重量%を構成すると考えられる。特定の添加剤および関連用途に応じて、上記より低率または高率の量を用い得る。例えば、安定剤、防腐剤または酸化防止剤などの添加剤は、組成物の約0.4〜約2重量%を構成し得る。
【0027】
約90〜約96重量%の水と、約0.4〜約2重量%のβ−シクロデキストリンと、約3〜約6重量%のヒドロキシプロピルセルロースと、約0.1〜約1重量%のメシル酸ペルゴリドとを含む好ましい組成物は、液体ペルゴリド形態としても、安定剤、酸化防止剤および防腐剤を添加して液体ペルゴリド組成物を生成し得る基礎組成物としても特に有用である。最大約0.4重量%までの酸化防止剤、例えば、約0.05〜0.4重量%のアスコルビン酸および/もしくはクエン酸、ならびに/または最大約4重量%までの防腐剤、例えば、約0.05〜約4重量%のベンジルアルコールおよび/もしくは乳酸を添加すると、特に好ましい格別に安定した組成物が得られることが判明した。
【0028】
別の好ましい組成物は、防腐剤および共溶剤として基礎組成物に添加され得る最大約5重量%まで(例えば、約1〜約5重量%)のエチルアルコールを含み、この組成物に、追加の酸化防止剤、安定剤および防腐剤を添加すると、格別に安定した組成物を生成することができる。
【0029】
本発明の基材は、ペルゴリド含有組成物に適した親和性を有する液体保持材料を選択し、この材料を所望の大きさの表面積を有する所望形状に成形または切断し、この材料に所望量の組成物を塗布することにより調製され得る。あるいは、液体保持材料全体に組成物を塗布してから、材料を所望サイズに賦形するか、または切断してもよい。任意の適当な形状の保持材料が用いられ得る。材料は、典型的には、2つの面と縁を有するディスクまたはパッドの形態である。
【0030】
本発明の経皮送達デバイスは、例えば、基材の一方の面を被覆するバリヤー層、デバイスを治療すべき体表面に固定する層、および基材の他方の面を保護し、デバイスを使用するときには除去され得る除去可能層を含む、経皮送達デバイスに通常存在するタイプの他の要素を有し得る。
【0031】
好ましい形態において、基材の液体保持材料は、使用中、体膜に直接接触する。しかし、デバイスが、例えば、ペルゴリドが体表面に向かって通過流動し得、かつ基材膜において体膜と向い合う面を被覆する微孔質膜などの透過層を有することが有用な用途も存在し得る。このタイプの実施形態において、透過層の、基材面と接触しない面は除去可能層で被覆され得る。
【0032】
本発明に従って、経皮送達デバイスを作製し、これらのデバイスを、別々のイン・ビトロ測定およびイン・ビボ測定に使用してペルゴリド送達流量を測定した。ペルゴリド送達流量のイン・ビトロ測定は、いずれの場合も、ヒト皮膚サンプルを、角質層が送達デバイスまたは液体の形態にあるペリゴリドを含有する組成物に接触し得るように固定した拡散セルを用いて実施した。
【0033】
典型的な測定では、受容液体(receiver liquid)として食塩溶液を充填した拡散セル上に皮膚サンプルを固定した。液体ペルゴリド含有組成物のアリコートまたは本発明の経皮送達デバイスを固定されたサンプルの角質層に貼付した後、拡散セルを評価中均一温度に維持した環境下に放置した。
【0034】
典型的な測定においては、所定時間中、拡散セルを平衡させ、次いで受容液体からサンプルを取りだしてベースラインを設定した。一定の時間間隔で受容液体から次々と後続のサンプルを取り出した。
【実施例】
【0035】
第1実施例グループは本発明の経皮送達デバイスの例示である。これらのデバイスは、以下の表1に列挙されている種々の材料からなるディスク形状の液体保持材料(実施例1〜8)と、1cm2の面積を被覆する液体ペルゴリド相とを有する多相基材を備えている。
【0036】
表1の実施例1〜5のデバイスに用いた液体ペルゴリドは、0.48重量%のメシル酸ペルゴリドと、0.8重量%のβ−シクロデキストリンと、3.0重量%のヒドロキシプロピルセルロースと、95.7重量%の水とを含む粘性液体組成物であり、これは特に好ましい組成物である。実施例6のデバイスは、0.5重量%のメシル酸ペルゴリドと、3.0重量%のヒドロキシプロピルセルロースと、96.5重量%の水とを含む液体組成物を備えていた。実施例7のデバイスは、0.55重量%のメシル酸ペルゴリドと、6.0重量%のヒドロキシプロピルセルロースと、93.45重量%の水とを含む液体組成物を備え、実施例8のデバイスは、0.05重量5のメシル酸ペルゴリドと、99.95重量%の水とを含む組成物を有していた。
【0037】
これらの実施例の経皮デバイスに用いた組成物はいずれも、メシル酸ペルゴリドの固体粒子を脱イオン水に溶解させ、(使用する場合には)β−シクロデキストリンと(使用する場合には)ヒドロキシプロピルセルロースとを添加して、列挙されている重量%の組成物を生成して調製した。これらの組成物は、従来のピペットから液体保持材料上に分与するのに十分なほど低粘度のものであった。
【0038】
本明細書に記載されている典型的な経皮送達デバイスはすべて、選択された液体保持材料を所望の形状および面積(例えば、パッドまたはディスク)に形成し、次いで、賦形された材料の一方の面を、バリヤー層として機能する9732ポリエステルフィルム(3M社)の断片に積層して作製した。このフィルムは、得られたラミネートのバリヤー層が保持材料の縁を越えて延びるような大きさに形成された。このラミネートを、9772PVCフォームテープ(3M社)の接着面に、バリヤー層がこのテープと保持材料との間に挟まれるように固定した。PVCフォームテープは、このテープが、ラミネートを該デバイスが適用される膜と接触して保持する接着層として機能するように、バリヤー層の縁を越えて延びる大きさに形成された。
【0039】
保持材料の露出表面の制御領域全体にペルゴリド組成物を塗布した。ペルゴリド組成物を塗布した領域は、経皮送達が起こり得る所望の大きさの領域(活性領域)が得られるように選択した。この選択領域に、ペルゴリド組成物を70μl/cm2の量で塗布した。表1の実施例1〜5のデバイスでは、これによって、液体保持材料1cm2当たり約0.346mgのメシル酸ペルゴリドを有するデバイスが得られた。実施例6および7のデバイスは、液体保持材料1cm2当たり0.89mgのメシル酸ペルゴリドを有し、実施例8のデバイスは、液体保持材料1cm2当たり0.07mgメシル酸ペルゴリドを有していた。液体保持材料に関して述べた領域は、表面積として測定された、液体組成物が塗布されたパッド領域である。
【0040】
液体組成物を液体保持材料に塗布した後、この材料の露出された表面基材およびPVCフォームテープの露出された接着面を、164Zポリエステル−ドーバート剥離ライナー(Polyester−daubert release liner)(サノ コーポレイション(Sano Corp.))製の剥離ライナーで被覆した。使用前に、経皮デバイスから剥離ライナーを剥がし、液体保持材料およびフォームテープの露出表面を拡散セル上に取り付けられたヒト皮膚切片に貼付した。
【0041】
これらのデバイスに対して、本明細書で上述した方法に従ってイン・ビトロ ペルゴリド送達流量測定を行った。その結果を表1の各測定物の隣に要約した。前記結果はイン・ビトロ測定による追加データが提示されている図面をさらに参照する。
【0042】
【表1】
上記表1のデータは、本発明の経皮送達デバイスからペルゴリドを、ペルゴリドの治療血清中濃度の確立に相応した送達流量で、送達し得ることを示している。
【0043】
次の実施例グループは、上述のものと類似の送達デバイスのヒト患者への使用を示している。これらのデバイスの液体保持材料は、10cm2または30cm2の面積に液体ペルゴリドを塗布するのに十分な表面積を有する1603医療用不織吸収材(3M社)パッドであった。これらのデバイスは、表1の実施例1〜6のデバイスに用いたものと同じ組成物(0.48重量%のメシル酸ペルゴリド、0.8重量%のβ−シクロデキストリン、3.0重量%のヒドロキシプロピルセルロース、95.7重量%の水)を有していた。10cm2の活性領域を有する12個のデバイスと、30cm2の活性領域を有する4個のデバイスを作製した。10cm2の活性領域を有する1個のデバイスを4人の被験者に貼付した。他の4人の被験者には、それぞれ10cm2の活性領域を有する2個のデバイスを貼付し、また、他の4人の被験者にはそれぞれ、30cm2の活性領域を有するデバイスを貼付した。これらのデバイスは、ヒト被験者の外側上腕の皮膚に貼付された。被験者から定期的に血液サンプルを採取し、ペルゴリド濃度を調べた。ペルゴリド血清中濃度は、試験プロトコル#AN47849−101−PPDに従って、血液サンプルを質量分光検出を用いる液体クロマトグラフィーにかけることにより測定された。
【0044】
同じパッドサイズを有するデバイスを貼付した4人の被験者からのサンプルから得た血清中濃度を平均した。その平均データをサンプルを採取した時間の平均と共に表2に示す。この研究からの追加平均データを図5にグラフで示す。
【0045】
【表2】
比較のために、以下の表3に、メシル酸ペルゴリドをヒト被験者に経口投与した後で観察された血清中濃度の代表的な例を示す。
【0046】
【表3】
上記表2および表3に記載した結果を比較すると、本発明の経皮デバイスは、治療レベルのメシル酸ペルゴリドを送達することが明らかである。さらに、ヒト被験者に貼付された経皮デバイスは、貼付部位に皮膚刺激を起こさなかった。
【0047】
次の例グループは事実上の比較に関する。
ペルゴリド遊離塩基と促進剤とをアクリレートベースの感圧接着剤(PSA)のアリコート中にブレンドし、この組成物をフィルムにキャストして、ペルゴリド塩基と促進剤とを包含する基材を有する経皮デバイスを作製した。前記フィルムにおいて、ペルゴリド遊離塩基は固溶体として存在する。キャストフィルム基材は、ナショナルスターチ社接着剤(National starch adhesives)87−2074(基材A)、87−2620(基材B)、87−2696(基材C)と、モンサント社接着剤(Monsanto Adhesive)2873 ゲルベア マルチポリマー アクリル樹脂(Gelvea muntipolymer acrylic resin)(基材D)を用いて作製した。基材A、B、Dの組成物は、2重量%のペルゴリド遊離塩基と98.0重量%の各使用PSAであった。基材Cの組成物は5重量%のペルゴリド遊離塩基と95重量%の使用PSAであった。キャストフィルムはギプス包帯のように皮膚に粘着性であった。
【0048】
これらのキャストフィルムを1cm2ユニットに分割した。これらのキャストフィルム基材からのペルゴリド送達流量を、上述のイン・ビトロ試験手順に従って、1cm2ユニットを含むラミネートを拡散セル上に取り付けられたヒト皮膚サンプルに接着させて測定した。
【0049】
図6に、これらの測定の結果を、それぞれ基材A〜Dに関する線A〜Dとしてグラフで示す。これらの例の結果は、上述の実施例のものと比べると、ペルゴリド充填重量%が4倍であっても、固溶体からのペルゴリド送達流量が低過ぎてパーキンソン病治療のためのペルゴリド治療血清中濃度を得るには有効でないことを示している。
【0050】
次の実施例グループは、本発明を実施する際に用い得るペルゴリド含有組成物の例示である。これらの組成物は以下の表4で確認される。組成物は、指定された量の示された溶剤または溶剤混合物を適当な混合容器に入れ、無水粉末状の固体メシル酸ペルゴリドおよび表4に示されている添加剤を固体成分が溶解するまで25℃で攪拌しながら溶剤に添加して調製した。調製した種々の組成は列挙されている成分の重量%として表4に示す。
【0051】
【表4】
表4に示されている各液体ペルゴリド組成物のアリコートを拡散セル上に取り付けられたヒト皮膚切片に直接塗布した。組成物から得られる送達流量を上述のイン・ビトロ法に従って測定した。これらの測定の結果は、表5に要約されるとともに、追加データを含む図面も参照する。
【0052】
【表5】
別個の実験で、水を含まない組成物D(表5)を1603医療用不織吸収材(3M社)の1cm2パッドに塗布し、パッドを拡散セル上に取り付けられた皮膚サンプルに貼付した。このパッチからの送達流量をイン・ビトロ測定すると、21時間後に0.05μg/cm2/hrペルゴリドのピーク送達流量を示した。表5の組成物は、患者を治療するための経皮送達デバイスに用いられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の経皮送達デバイスからのイン・ビトロのペルゴリド送達流量のグラフ。
【図2】本発明の経皮送達デバイスからのイン・ビトロのペルゴリド送達流量のグラフ。
【図3】本発明の経皮送達デバイスからのイン・ビトロのペルゴリド送達流量のグラフ。
【図4】本発明の経皮送達デバイスからのイン・ビトロのペルゴリド送達流量のグラフ。
【図5】本発明の経皮送達デバイスにより達成されるイン・ビボのペルゴリド血清中濃度のグラフ。
【図6】ペルゴリド固溶体を含有する比較組成物の使用に関連するイン・ビトロのペルゴリド送達流量のグラフ。
【図7】液体ペルゴリド組成物の皮膚への直接塗布によるイン・ビトロのペルゴリド送達流量のグラフ。
【図8】液体ペルゴリド組成物の皮膚への直接塗布によるイン・ビトロのペルゴリド送達流量のグラフ。
【図9】液体ペルゴリド組成物の皮膚への直接塗布によるイン・ビトロのペルゴリド送達流量のグラフ。
Claims (22)
- 固体の液体保持部材と、前記部材に関連している液体ペルゴリドとを有する多相基材を備えた経皮送達デバイス。
- 前記部材が吸収材料を含んでなる、請求項1に記載の送達デバイス。
- 液体溶剤と前記溶剤に溶解している固体形態にあるペルゴリドとを含有する溶液を含んでなる組成物を包含する、請求項1に記載の送達デバイス。
- 前記組成物が、前記溶液の液滴が分散されている連続液体相を有するエマルションを含んでなる、請求項3に記載の送達デバイス。
- 前記基材がさらに液体の促進剤を含む、請求項1に記載の送達デバイス。
- 前記部材が、1種以上の天然繊維ガーゼ、合成繊維ガーゼ、医療用不織吸収材、天然スポンジおよび合成スポンジを含んでなる、請求項1に記載の送達デバイス。
- 前記基材が、液体溶剤と前記溶剤に溶解しているメシル酸ペルゴリドとを含んでなる組成物を包含する、請求項1に記載の送達デバイス。
- 前記基材が、1種以上の液体溶剤と、前記溶剤に溶解している前記ペルゴリドおよび促進剤を含んでなる組成物を包含する、請求項1に記載の送達デバイス。
- 前記吸収部材が、多孔質ポリエチレンフィルムで被覆された不織レーヨンウエブを有する医療用吸収材である、請求項6に記載の送達デバイス。
- 液体溶剤として水が含まれる、請求項3に記載の送達デバイス。
- 液体溶剤として共溶剤が含まれる、請求項10に記載の送達デバイス。
- 共溶剤がアルコールである、請求項11に記載の送達デバイス。
- 溶液がさらに、分散されたペルゴリド固体粒子を含有する、請求項3に記載の送達デバイス。
- (A)前記基材の一方の面に付着され、かつ露出面を有するバリヤー層と、(B)前記バリヤー層の露出面に付着された装着層と、(C)前記基材の他方の面に付着された除去可能層とをさらに備えた、請求項1に記載の送達デバイス。
- 液体形態にあるペルゴリドを、体膜に直接接触する液体ペルゴリド保持部材から体膜に送達することを含んでなる、ペルゴリドの経皮送達方法。
- 前記溶液が、
(A)約0.1〜約1重量%のメシル酸ペルゴリド、
(B)約0.4〜約2重量%のβ−シクロデキストリン、
(C)約3〜約6重量%のヒドロキシプロピルセルロース、および
(D)約90〜約96重量%の水
を含んでなる、請求項3に記載の送達デバイス。 - 前記溶液が最大約0.4重量%までの酸化防止剤をさらに含んでなる、請求項16に記載の送達デバイス。
- 酸化防止剤が、アスコルビン酸、クエン酸またはそれらの混合物のうちから選択される、請求項17に記載の送達デバイス。
- 前記溶液が最大約4重量%までの防腐剤をさらに含んでなる、請求項16に記載の送達デバイス。
- 防腐剤が、ベンジルアルコール、乳酸またはそれらの混合物のうちから選択される、請求項19に記載の送達デバイス。
- 前記溶液が、最大約5重量%までのエタノールをさらに含んでなる、請求項16に記載の送達デバイス。
- 前記溶液が、さらに、アスコルビン酸、クエン酸またはそれらの混合物のうちから選択される酸化防止剤を最大約2重量%まで含んでなる、請求項21に記載の送達デバイス。
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