JPH1148295A - 磁気テープカセット用収納ケースおよび該収納ケースを成形する成形金型 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気テープカセット用収納ケース内に不所望
に形成される気泡の除去と、樹脂材料を成形する際に金
型内に滞留する気体の排出を図る。 【解決手段】 磁気テープカセット用ケースを樹脂成形
する成形金型３１について、樹脂材料４３の充填にとも
ない圧迫されるガスを樹脂材料４３の注入位置に対し高
い位置に形成したガス抜き用スリット４１から排出させ
る。この結果、樹脂材料４３を固化して得られる収納ケ
ース内に気体が滞留せず、したがって気泡が形成されな
いので、内部の視認性に優れ、また美観的に優れ、更に
強度が向上した収納ケースが得られる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、磁気テープカセッ
トを収納するケースと、このケースを成形する成形金型
に関し、特に磁気テープカセット収納時の使い勝手およ
び強度を向上させるための製造技術に関する。

【０００２】

【従来の技術】磁気テープカセット用収納ケース（以
下、単に収納ケースと略称する）は、収納する磁気テー
プカセットの形態に応じて種々のものが提案されてい
る。以下に、図４および図５を参照して従来の収納ケー
スと磁気テープカセットの一例を説明する。図４に示す
磁気テープカセット６１はいわゆるワンリールカートリ
ッジであり、主としてコンピュータのバックアップ用と
して使用されている。この磁気テープカセット６１は、
上ハーフケース６２と下ハーフケース６３との間に磁気
テープ巻回用のリールを回動自在に設け、このリールに
巻回した磁気テープを側面に設けた開口部６５から引き
出すとともに巻き戻すように構成したものである。前記
磁気テープカセット６１を保管する際、さらに持ち運ぶ
場合は、防塵や傷付き防止のため図５に示すように専用
の収納ケース７１内に収納する。

【０００３】収納ケース７１は、磁気テープカセット６
１を収納する収納部７３と蓋部７５、更にヒンジ部７７
を備えている。収納部７３は、平板部８１とその外周囲
の三方に一体に形成された側壁部８３を備え、前方は開
口部になっている。但しこの開口部は、図５に実線で示
すように蓋部７５を閉じた場合に、蓋部７５に形成した
前方閉塞部８５で閉塞されるようになっている。蓋部７
５は、平板部８７に一体成形した側壁部８９と、前記前
方閉塞部８５とを備え、ヒンジ部７７は開口側から見て
背面側に形成された側板部８３と平板部８７との間に薄
肉部を形成して折り曲げ自在に構成したものである。こ
のヒンジ部７７を形成することにより、蓋部７５は矢印
ａ，ｂ方向に繰り返し折り曲げ可能になり、収納部７３
内に磁気テープカセット６１を収納した状態で収納部７
３と蓋部７５とを書籍のように閉じることができる。

【０００４】なお、前記収納ケース７１は、保管時等に
おいて積み重ねられるが、積み崩れ防止のため、以下に
説明する構成が採られている。すなわち、蓋部７５を構
成する平板部８７の表面には、２つの溝９１が枠状に形
成されている。また、図５では目視できないが、収納部
７３を構成する平板部８１の下側面に、前記溝９１に係
合する枠状リブが形成されている。したがって、収納ケ
ース７１を積み重ねれば、図５に示す溝９１にその上部
に重ねられた収納ケース７１の枠状リブが係合し、横滑
りや積み崩れが防止される。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】前記収納ケース７１
は、合成樹脂で一体に射出成形されるが、収納した磁気
テープカセット６１に貼付されたラベル等を読み取り可
能にするため、透明あるいは薄い乳白色等の半透明に成
形される。ところが、前記のような枠状リブ、すなわち
突起を有する収納ケースを成形する場合、リブより低い
位置で樹脂を注入したときに、リブを形成する部分の樹
脂流動が遅れガスが円滑に排出されず、例えば蓋部７５
の平板部８７等のラベルを読み取る部分などに気泡が残
ってしまうことがあった。このような気泡が残ると、ラ
ベルを読み取りにくいうえに、収納ケース７１が透明の
場合は気泡が目立つので外観としても問題がある。さら
に、外力が加わった場合に、気泡の部分からクラックが
生じるなど、強度的にも問題があった。

【０００６】本発明は前記状況に鑑みてなされたもので
あり、その目的は気泡が混在しない磁気テープカセット
用収納ケースを提供することにある。本発明の他の目的
は、気泡が混在しない磁気テープカセット用収納ケース
を射出成形する成形金型を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明に係る上記目的
は、下記（１）に記載する磁気テープカセット用収納ケ
ースと（２）に記載する成形金型により達成される。 （１） 磁気テープカセットを収納する平板部と側壁部
からなる収納部と、前記収納部を覆う蓋部と、前記収納
部および前記蓋部を開閉可能に連結するヒンジ部とによ
り一体に構成され、前記平板部の外側面に突状のリブを
有する磁気テープカセット用収納ケースにおいて、前記
収納部を構成する平板部の外側面を上にして射出成形さ
れ、前記外側面に設けられた突状のリブより低い位置で
樹脂を注入され、前記リブの頂部で金型内のガスを排出
して成形されたことを特徴とする磁気テープカセット用
収納ケース。 （２） 磁気テープカセットを収納する平板部と側壁部
からなる収納部と、前記収納部を覆う蓋部と、前記収納
部および前記蓋部を開閉可能に連結するヒンジ部とによ
り一体に構成され、前記平板部の外側面に突状のリブを
有する磁気テープカセット用収納ケースを、前記平板部
の外側面を上にして成形する成形金型において、前記外
側面に設けられた突状のリブより低い位置に樹脂注入部
を有し、前記リブの頂部にガス抜き用スリットを有する
ことを特徴とする成形金型。

【０００８】前記ガス抜き用スリットは樹脂注入口から
離れている程好ましい。前記収納ケースは、該収納ケー
スを成形する際に樹脂中の気泡が除去されている。した
がって、樹脂を固化した収納ケース中に気泡が混在せ
ず、内部の視認性に優れ、外観上および強度的にも優れ
たものになる。また、前記収納ケースを成形する金型
は、磁気テープカセットを収納する収納部に形成した突
状のリブの成形位置に隙間を形成し、金型内に滞留して
樹脂流動により圧迫された気体を前記隙間から排出する
ように構成したので、収納ケース内に気泡を混在させる
ことなく射出成形を行うことができる。

【０００９】

【発明の実施の形態】次に、図面を参照して本発明に係
る磁気テープカセット用収納ケースの実施形態を説明す
る。図１は磁気テープカセット用収納ケースの構成を示
す斜視図、図２は収納ケースを成形する金型の構成を示
す模式的断面図、図３は成形金型内における気体の排出
を説明するための成形金型の一部拡大断面図である。な
お、実施形態の説明にあたっては、従来例の説明に参照
した図４および図５を適宜援用する。

【００１０】収納ケース１は合成樹脂を一体成形したも
のであり、収納部３と蓋部５とをヒンジ部７を介して連
結した構成になっている。収納部３は、平板部１１とそ
の外周囲の三方に一体に形成された側壁部１３、更に平
板部１１および側壁部１３との間に形成した補強部１５
とを備えている。なお、図１は収納ケース１の底部構成
を示すため、底面側から見た斜視図になっている。収納
ケース１は、図５を参照して説明したように磁気テープ
カセット６１を収納して積み重ねられるが、積み重ね状
態では平板部１１が下側になり図５に示した蓋部７５上
に重ねられる。その際の積み崩れを防止するため、平板
部１１には係合用の枠状リブ１７が形成され、収納ケー
ス１を積み重ねた際に、図５を参照して説明した溝９１
に係合するようになっている。なお、枠状リブ１７は、
本発明でいう突状のリブに相当するものである。

【００１１】蓋部５は、平板部２１と２側面の外周囲に
一体成形した側壁部２３と、前方閉塞部２５とを備えて
いる。なお、前方閉塞部２５は、矢印Ｘに示すように蓋
部５を閉じた場合に収納部３の前方開口部１９を閉塞す
るものであり、閉塞時に平板部１１の端部に係止する係
止爪２７と、平板部１１に形成した係止爪１１ａに係合
する凹状の係合部２９とが形成されている。ヒンジ部７
は、平板部２１と側板部１３との連結位置を薄肉にして
折り曲げ自在に形成したものであり、このヒンジ部７を
形成することにより収納部３と蓋部５とを書籍のように
閉じることができる。

【００１２】以上に説明した収納ケース１は、図２に示
すような成形金型３１を用いて一体成形される。以下、
図１にに示すＡ−Ａ線に沿う位置を例にして、金型構造
および成形作用を説明する。成形金型３１は、上下方向
に駆動される基部金型３３、合成樹脂を圧入するゲート
（樹脂注入口）３５を備えた上金型３７および左右方向
に駆動される側部金型３９ａ，３９ｂにより構成されて
いる。基部金型３３、上金型３７、側部金型３９ａ，３
９ｂにより収納ケース１を成形する空間Ｇが形成され、
この空間Ｇにゲート３５から合成樹脂が圧入され、収納
ケース１が成形される。磁気テープカセット３に対する
ゲート３５の位置を図１に符号３５ａで示す。ゲート位
置３５ａは少なくとも一方の枠状リブ１７の中央の平板
部に一カ所設けられる。

【００１３】前記成形金型３１にあっては、平板部１１
を成形する空間ｇ１に対し高い位置に枠状リブ１７を成
形する空間ｇ２が形成されている。そして、空間ｇ２に
連通するようにして、ガス抜き用スリット４１が形成さ
れている。このスリット４１は、上金型３７と側部金型
３９ａ，３９ｂとの合わせ目を利用して形成されるもの
であり、合成樹脂の材質と成形後のいわゆるバリとの関
係で適切な値に設定される。例えばポリプロピレンで成
形する場合は、スリット間隔は３〜２０μｍが好まし
く、更に７〜１４μｍ程度が好ましい。このスリット４
１は枠状リブ１７の頂部に相当する部分に設けられるの
が好ましいが、枠状リブ１７の概ね上部に相当する部分
であれば有効である。磁気テープカセット３に対するガ
ス抜き用スリット４１の位置を図１に符号４１ａで示
す。スリット位置４１ａは各枠状リブ１７の長手方向両
端部に一カ所ずつ設けられる。

【００１４】次に、成形時の気体の排出作用を一方の空
間ｇ１について説明する。図３に示すように、ゲート３
５から樹脂材料４３が注入されると、空間Ｇ内を流動す
る。このとき、空間Ｇ内に滞留したガスは、樹脂材料４
３に圧迫されて前面部分に移動するが、空間ｇ１におい
て矢印Ｂに示すように上昇し、樹脂材料４３の圧入とと
もにガス抜き用スリット４１から成形金型３１外に排出
される。そして、樹脂材料４３はガスの排出された空間
Ｇを充填するので、空間Ｇ内にはガスが残留せず、した
がって樹脂材料４３を固化して得られる収納ケース１内
にガスが混在しなくなる。このため、収納ケース１に残
留ガスによる気泡が形成されず、気泡によるラベルの読
み取り難、外観上の問題、強度低下等の諸問題が一挙に
解消される。上記実施形態は収納ケースに設けた積み崩
れ防止用の枠状リブを成形する部分からガス抜きを行う
ものであるが、本発明は収納ケースに設けた突状のリブ
であればその設置場所、機能は問わず、リブより低い位
置で樹脂注入を行い、リブの頂部でガス抜きを行えばよ
い。

【００１５】

【発明の効果】以上のように本発明に係る成形金型は、
磁気テープカセットを収納する収納部に形成した突状の
リブの成形位置にガス抜き用スリットを形成し、金型内
に滞留して樹脂流動により圧迫されたガスを前記スリッ
トから排出するように構成した。したがって、収納ケー
ス内に気泡を混在させることなく射出成形を行うことが
でき、この成形金型により成形された収納ケースは気泡
が混在しないので、内部の視認性に優れ収納した磁気テ
ープカセットのラベルの読み取りの障害がなく、また美
観を損なうことがなく、更に気泡による強度低下を防止
できるなど優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の磁気テープカセット用収納ケースを示
す斜視図である。

【図２】収納ケースを成形する成形金型の構成を示す断
面図である。

【図３】射出成形時の気体の排出を示す成形金型の一部
拡大断面図である。

【図４】磁気テープカセットの一例を示す斜視図であ
る。

【図５】従来の収納ケースの構成を示す斜視図である。

【符号の説明】

１ 磁気テープカセット収納ケース ３ 収納部 ５ 蓋部 ７ ヒンジ部 １１，２１ 平板部 １３，２３ 側壁部 １７ 枠状リブ １９ 基部 ３１ 成形金型 ３３ 基部金型 ３５ ゲート ３７ 上金型 ３９ａ，３９ｂ 側部金型 ４１ ガス抜き用スリット ４３ 樹脂材料 ６１ 磁気テープカセット Ｇ，ｇ１，ｇ２ 空間

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 磁気テープカセットを収納する平板部と
   側壁部からなる収納部と、前記収納部を覆う蓋部と、前
   記収納部および前記蓋部を開閉可能に連結するヒンジ部
   とにより一体に構成され、前記平板部の外側面に突状の
   リブを有する磁気テープカセット用収納ケースにおい
   て、 前記収納部を構成する平板部の外側面を上にして射出成
   形され、前記外側面に設けられた突状のリブより低い位
   置で樹脂を注入され、前記リブの頂部で金型内のガスを
   排出して成形されたことを特徴とする磁気テープカセッ
   ト用収納ケース。
2. 【請求項２】 磁気テープカセットを収納する平板部と
   側壁部からなる収納部と、前記収納部を覆う蓋部と、前
   記収納部および前記蓋部を開閉可能に連結するヒンジ部
   とにより一体に構成され、前記平板部の外側面に突状の
   リブを有する磁気テープカセット用収納ケースを、前記
   平板部の外側面を上にして成形する成形金型において、 前記外側面に設けられた突状のリブより低い位置に樹脂
   注入部を有し、前記リブの頂部にガス抜き用スリットを
   有することを特徴とする成形金型。