JP3867333B2 - カセット収納ケース - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばオーディオ用のコンパクトカセット等のテープカセットを収納するのに好適なカセット収納ケースに関し、特に収納ケースの一側部に形成したカセット挿入口からカセットを長手方向にスライド式に出し入れすることのできるカセット収納ケースに係わるものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種、収納ケースの一側部に形成したカセット挿入口からコンパクトカセットを長手方向に出し入れすることのできるカセット収納ケースとしては、例えば実開昭57−201675号公報、実開昭58−148774号公報、実開平4−118388号公報及び特開平4−311483号公報に記載されたものがある。
【0003】
ここで、従来のカセット収納ケースの一例を実開平4−118388号公報に記載されたものを図13〜図16を参照して説明する。
【0004】
図13はカセット収納ケースの上面板を破断して内部が見えるようにした斜視図、図14はコンパクトカセットの斜視図、図15は収納状態のカセットを仮想線で示したカセット収納ケースの平面図、図16はカセット収納状態の収納ケースをカセット挿入口から見た側面図である。
【0005】
まず、図14においてコンパクトカセットの構成について説明する。
コンパクトカセット30はカセット筐体内に図示しない一対のテープリールが回転可能に収容され、カセット筐体の上下面にそれぞれ形成した一対の開口部31a,31bにリールハブ孔32a,32bが一致している。また、コンパクトカセット30の一側部にはテープのマウスを構成する台形状の膨出部33を有すると共に、この膨出部33側のカセット筐体の両側面にガイド突起(通称、耳部ともいう)34を設けている。
【0006】
さて、カセット収納ケースはプラスチック成形品からなり一側面にカセット挿入口35を有し、その他は底面板36a、上面板36b、左右側面板36c,36d及び背面板36eからなる偏平箱型形状から構成され、カセット挿入口35からコンパクトカセット30が長手方向にスライド式に出し入れされる。カセット挿入口35の底面板36a及び上面板36b部分にはそれぞれ切欠部35a,35bが形成され、カセット収納ケース内に収納されたコンパクトカセット30を取り出す際に、図11に示すように切欠部35a,35bから露出しているカセット端部を摘んで引き出せるようになっている。
【0007】
底面板36aにはカセット挿入口35のほぼ中央部で奥行き方向に間隔を隔てて弾性作用により起伏可能の2つのリブ状のリール回り止め片37a,37bが一体成形されている。このリール回り止め片37a,37bは奥行き方向に対して直交する向きにされ、リール回り止め片37a,37bの間隔はコンパクトカセット30のリールハブ孔32a,32bの間隔に対応している。
【0008】
また、底面板36aにはリール回り止め片37a,37bを左右から挟む位置で奥行き方向に受けガイド38a,38bが肉厚状に突出形成されている。この受けガイド38a,38bと対向するように上面板36b部分にも受けガイド39a,39bが肉厚状に突出形成されている(図16参照)。
【0009】
さらに、底面板36a及び上面板36bのカセット挿入口35近くで、受けガイド38a,38b及び39a,39bの外側部分にストッパ片40a,40b及び41a,41bが上下に対向し合って配置されている。
【0010】
このように構成されたカセット収納ケースはカセット挿入口35からコンパクトカセット30をガイド突起33側から挿入すると、リール回り止め片37a,37bがカセットによって弾性変形して押し倒されるが、カセットが最も奥まで挿入されたときリール回り止め片37a,37bがリールハブ孔32a,32bと対応することになり、これによって、リール回り止め片37a,37bが弾性復帰して立ち上がりリールハブ孔32a,32b内に係合することでリールの回り止めが行える。
【0011】
また、カセット収納ケース内へのコンパクトカセット30の収納状態においては、底面板36a及び上面板36bから突出形成された受けガイド38a,38b及び39a,39bでカセット30の膨出部33以外の上下面が保持されることで、図16に示すように収納ケース内でコインパクトカセット30がガタ付くことなく安定して収納できる。
【0012】
さらに、コンパクトカセット30の収納状態においては、図15に示すように膨出部33の側端部がストッパ片40a,41aに係合されることで、収納ケースからコンパクトカセット30の抜け出しが防止されている。
【0013】
上述したカセット収納ケースはコンパクトカセット30を左右反転させた状態でも上述の場合と同様に挿入させ収納することができるが、この場合はコンパクトカセット30の膨出部33の側端部が他方のストッパ片40b,41bに係合されされ抜け出しが防止されることになる。
【0014】
また、カセット収納ケース内からコンパクトカセット30を取り出すときにもリール回り止め片37a,37bが弾性変形して押し倒されてリールハブ孔32a,32bから抜け出し、カセットの取り出し後はリール回り止め片37a,37bは弾性復帰して再び立ち上がる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、一般にプラスチック材による射出成形品は、肉厚が厚い成形部分や肉厚が急激に変化するような成形品の場合にいわゆる「肉ヒケ」現象が生じると、これに伴って成形品自体に反りによる外観上の変形が生じたり寸法的に不都合が生じる。例えば、図13においてカセット収納ケースの底面板36a及び上面板36bには肉厚状の受けガイド38a,38b及び39a,39bとなっているため、この肉厚部における「肉ヒケ」現象が発生し底面板36a及び上面板36bに反りによる外観上の変形や寸法的にくるいが生じる原因となる。
【0016】
また、肉厚部分の面積が多いほどプラスチック原材料の使用量が増加し成形品のコストアップの要因となる。
【0017】
一方、肉ヒケ現象を少なくするために成形品を肉薄状に成形すると、成形品自体が外圧に対して撓みやすく、最悪の場合に成形品にクラックが発生したり割れてしまうことがある。
【0018】
本発明は、上述したような課題を解消するためになされたもので、成形品に肉ヒケの発生を少なくして変形や寸法のくるいを回避し、かつ成形品の外力に対する撓みを防止し商品価値を高めることのできるカセット収納ケースを得ることを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明によるカセット収納ケースは、
収納ケースがカセット筐体の一側部に台形状の膨出部を有するテープカセット用の収納ケースであって、下ハーフと上ハーフとで合体式に構成されるケースの一側面にカセット挿入口を有し、カセット挿入口の一側部でカセット挿入口から奥行き方向にテープカセットの膨出部が挿入される凹面状のガイド溝が下ハーフと上ハーフの内面に形成され、上ハーフ上面にカセット取り出しのための指挿入用開口部を設け、下ハーフ底面にカセットのリールハブ孔と係合される一対のリール回り止め片を有するリール回り止め部材が取り付けられるカセット収納ケースにおいて、
下ハーフ及び上ハーフはそのハーフ面を少なくともガイド溝以外の奥行き方向からカセット挿入口に亘ってフレーム状の肉厚部とし、この肉厚部以外のハーフ面部分を肉薄部に形成し、上ハーフの指挿入用開口部が肉薄部に形成され、指挿入用開口部の裏面側周囲に肉薄部の補強リブを形成し、下ハーフの肉薄部中央部分にリール回り止め部材の周囲を位置決めする奥行き方向に長い長円状の案内リブを一体形成し、且つ案内リブで囲まれる肉薄部上に複数のカシメピンを形成したことを特徴とするものである。
【0020】
また、上ハーフのフレーム状の肉厚部は、肉厚部の奥行き長さを短い肉厚部に形成したものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるカセット収納ケースの実施例をオーディオ用のコンパクトカセットの収納ケースについて図面を参照して説明する。
【0022】
図1はカセット収納ケースの要部を分離した斜視図、図2は上ハーフを裏面より見た斜視図、図3はカセット収納ケースの組み立て状態の拡大縦断面図、図4は同じく拡大横断面図である。
【0023】
カセット収納ケースは合体式の下ハーフ1と上ハーフ2から構成され、下ケース1は例えばHIPS(高衝撃性ポリスチレン)のプラスチック成形品からなり、上ハーフ2は例えばGPPS(一般用ポリスチレン)のプラスチック成形品からなる。
【0024】
下ハーフ1と上ハーフ2の一側部は半割状のカセット挿入口3a,3bが形成され、図3に示した合体された両ハーフ1,2により形成されるカセット挿入口3から図14に示したコンパクトカセット30が長手方向にスライド式に出し入れされる。このため、上,下ハーフ1,2にはカセット挿入口3a,3bから奥行き方向にコンパクトカセット30の膨出部33が案内されるガイド溝8a,8bを有している。
【0025】
ここで、下ハーフ1及び上ハーフ2の構成を図1及び図2についてさらに詳しく説明する。
【0026】
まず、下ハーフ1について説明すると、下ハーフ1はガイド溝8a以外の底面では、当該ガイド溝8a側の奥行き方向からカセット挿入口3a側及び側壁面1dの奥行き方向に亘って全体がコ字形状の肉厚部1aに形成され、この肉厚部1aで囲まれた底面部分は肉薄部1bに形成していわゆる肉盗みされている。一例として肉厚部1aは厚み2.5mm、肉薄部1bは厚み1.6mmであり、この場合、上述したガイド溝8aの厚みは0.8mmである。また、肉薄部1bは下ハーフ1の壁面を構成する厚みとほぼ同一の厚みを有している。従って、下ハーフ1は全体としてやや薄肉状であるがコ字形状の肉厚部1aによって補強されている。
【0027】
上述した肉薄部1bからなる底面にはコンパクトカセット30のリール回り止め部材9を位置決めするための奥行き方向に長い長円状の案内リブ16が一体形成されている。この案内リブ16は肉厚部1aと同一平面以下の高さに形成され、案内リブ16で囲まれる肉薄部1b上に複数のカシメピン17が形成されている。
【0028】
リール回り止め部材9は例えばPP(ポリプロピレン)のプラスチック成形品からなり、図1に示すように複数のカシメ固定孔10aを有するベース板10と、このベース板10から一体に立設した弾性作用により起伏可能の一対のリール回り止め片11,11から構成されている。このリール回り止め片11,11の間隔はコンパクトカセット30のリールハブ孔32a,32bの間隔に対応している。
【0029】
また、下ハーフ1にはカセット挿入口3aとは反対側で、下ハーフ1の奥壁面1cの両コーナー部分に上ハーフ2が合体される際の位置決め片15a,15bが当該下ハーフ1の上縁より上方へ突出するように一体成形され、かつ位置決め片15a,15bの先端部外側にテーパー面が形成されている。そして、この位置決め片15a,15bは収納状態のコンパクトカセット30の側端面の突き当て面も兼ねており、このため、コンパクトカセット30の突き当て状態では図5に示すようにガイド突起34が奥壁面1cに突き当たらないように位置決め片15a,15bの厚みを厚くしガイド突起34を保護している。従って、ガイド突起34が奥壁面1cに突き当らないように当該奥壁面1cの肉厚を薄くするような構成に比べて奥壁面1cの強度を向上することができる。
【0030】
さらに、下ハーフ1の奥壁面1c側で上述した他方の位置決め片15bに片持ち状に固定された状態で側壁面1dとは平行にカセット抜け止め片18が一体成形されている。そして、このカセット抜け止め片18の先端部内面側に抜け止め凸部19が形成されている。この抜け止め凸部19の位置はケース内に収納されたときのコンパクトカセット30の背面に設けられている誤消去防止爪20(図7参照)と対応している。尚、符号21は抜け止め片18とほぼ平行な面で側壁面1dに沿って設けられているカセットガイド片である。
【0031】
一方、上ハーフ2には指挿入用開口部22が形成されている。この指挿入用開口部22は上述した下ハーフ1の底面に形成した案内リブ16の上部に対応し、図6に示すように案内リブ16の形状より大きく開口している。このため、指挿入用開口部22からリール回り止め部材9を挿入することができる。
【0032】
また、上ハーフ2は図2に示すようにガイド溝8b以外のハーフ面では、当該ガイド溝8b側の奥行き方向からカセット挿入口3b及び側壁面の奥行き方向に亘って全体がコ字形状の肉厚部2aに形成され、この肉厚部2aで囲まれたハーフ面部分は肉薄部2bに形成していわゆる肉盗みされている。肉厚部2aは一例として厚み2.5mm、肉薄部2bは厚み1.6mmであり、この場合、上述したガイド溝8bの厚みは0.8mmである。また、肉薄部2bは上ハーフ2の壁面を構成する厚みとほぼ同一の厚みを有している。このため、上ハーフ2は全体としてやや薄肉状であるがコ字形状の肉厚部2aによって補強されている。さらに、上ハーフ2の指挿入用開口部22の裏面周囲に補強リブ23が形成されている。
【0033】
さらに、上ハーフ2の奥壁面中央部に下ハーフ1と合体される際の位置決め片15cが当該上ハーフ2の下縁より下方へ突出するように一体成形され、かつ位置決め片15cの先端部外側にテーパー面が形成されている。
【0034】
また、下ハーフ1のカセット挿入口3a側でガイド溝8a以外の肉厚部1a部分に傾斜面24が形成され、同様に上ハーフ2のカセット挿入口3b側でガイド溝8b以外の肉厚部2aに傾斜面25が形成されている。従って、上下ハーフ1,2を合体し一体化した収納ケースは図3に示すようにカセット挿入口3の上下開口部が傾斜面24,25によって広く開口された状態となる。
【0035】
このように構成した本発明のカセット収納ケースの組み立ては、下ハーフ1の2つの位置決め片15a,15bと上ハーフ2の1つの位置決め片15cとを利用して両ハーフ1,2を奥壁面側から合体することで、両ハーフ1,2の縁部が位置決め片15a,15b及び15cの先端部のテーパー面で呼び込まれ正確な位置に合体することができる。この両ハーフ1,2の合体状態では、下ハーフ1の位置決め片15a,15bと上ハーフ2の位置決め片15cとにより両ハーフ1,2が係合し合い、このため、合体状態のまま次の工程へ搬送する場合であっても両ハーフ1,2が位置ずれすることもない。
【0036】
かくして、両ハーフ1,2の接合面は超音波溶着することで収納ケースが構成されるが、下ハーフ1の底面へのリール回り止め部材9の固定は、両ハーフを合体する前に下ハーフ1のカシメピン17にリール回り止め部材9のベース板10のカシメ固定孔10aを位置決めしカシメ固定する方法と、両ハーフ1,2を合体したあと上ハーフ2の指挿入用開口部22からリール回り止め部材9を挿入しベース板10のカシメ固定孔10aをカシメピン17にカシメ固定する方法とのいずれの場合であってもよい。
【0037】
このように構成された本発明によるカセット収納ケースは、コンパクトカセット30をその台形状の膨出部33をガイド溝8a,8b側に対応してカセット挿入口3から挿入すると、リール回り止め部材9のリール回り止め片11,11がカセットの挿入によって弾性変形して押し倒されるが、カセットが最も奥まで挿入されたときリール回り止め片11,11がカセットのリールハブ孔32a,32bと対応することになり、これによって、リール回り止め片11,11が弾性復帰して立ち上がりリールハブ孔32a,32b内に係合することでリールの回り止めが図れる。
【0038】
上述したリール回り止め片11はそれ自体が弾性変形で撓むようにされているが、図8に示すようにリール回り止め片11が立設されている部分のベース板10にコ字状のスリット26を形成することで、リール回り止め片11の弾性変形作用と共にベース板10の一部も撓ませることができるようになり、これによって、リール回り止め片11に加わる過度の変形を回避し、繰り返しの変形に対してもリール回り止め片11の破損を防止することきができる。
【0039】
また、コンパクトカセット30の挿入時はカセットの背面30aがカセットガイド片21にガイドされて挿入されるが、カセットの収納直前においてカセット背面30aが抜け止め凸部19と接触することでカセット抜け止め片18が弾性変形して後退し、その後、カセットの収納状態において図7に示すように抜け止め凸部19にカセットの誤消去防止爪20の前面の一段低くなっている凹み部20aを係止させることができ、これによって、コンパクトカセット30は収納状態において強く保持され、ケースに振動や衝撃が生じてもカセットの抜け出しを防止することができる。
【0040】
さらに、カセット挿入口3からコンパクトカセット30を挿入する際、カセット挿入口3に対して上下方向に多少傾いた姿勢で挿入されたとしても、カセット挿入側端部が傾斜面24,25によって挿入口3内に呼び込まれカセットは自然に水平な姿勢状態となってスムーズに挿入することができる。これによって、カセット挿入時に収納ケースに無理な外力が生じることもなく収納ケースの破損を防止することができ、また、カセット側の損傷を防止することができる。
【0041】
さて、ここで本発明によるカセット収納ケースの最も特徴とする部分について説明する。
【0042】
すなわち、下ハーフ1については図1にその特徴部分が示され、上ハーフ2については図2にその特徴部分が示されているように、下ハーフ1及び上ハーフ2は前述したように全体として肉薄状に成形されていることである。
【0043】
例えば、下ハーフ1の場合では、その底部を構成する面積の広い部分が肉薄状のガイド溝8aとこれよりやや肉があるが肉盗みされた肉薄部1bからなるため、肉厚の変化がなくなってほぼ均一されるようになり、よって下ハーフ1の射出成形時に金型キャビティー内への樹脂の流れがよくなり肉ヒケの発生を殆どなくすことができる。また、下ハーフ1のガイド溝8a以外の底部にはその奥行き方向からカセット挿入口3aに亘ってコ字形状の肉厚部1aを設けたことで、下ハーフ1全体の強度を補強することができる。特にカセット挿入口3aの部分を肉厚部1aで補強したことで、カセット挿入口部分の強度を高め挿入口の形状を保形することができる。尚、肉厚部1aは幅の狭いフレーム状であるため、肉厚部1aの部分に肉ヒケが殆ど生じることはない。
【0044】
また、肉薄部1bからなる下ハーフ1の底部中央部にはリール回り止め部材9の案内リブ16が成形されていることで、この案内リブ16が肉薄部1bの補強を兼ねることができ、下ハーフ底面が外力によって撓むようなことが解消できる。
【0045】
一方、上ハーフ2の場合も、その底部を構成する面積の広い部分が肉薄状のガイド溝8bとこれよりやや肉があるが肉盗みされた肉薄部2bからなるため、肉厚の変化がなくなってほぼ均一されるようになり、上ハーフ2の射出成形時に金型キャビティー内への樹脂の流れがよくなり肉ヒケの発生を殆どなくすことができる。また、上ハーフ2のガイド溝8b以外の底部にはその奥行き方向からカセット挿入口3bに亘ってコ字形状の肉厚部2aを設けたことで、上ハーフ2全体の強度を補強することができる。さらにカセット挿入口3bの部分を肉厚部2aで補強したことで、カセット挿入口部分の強度を高め挿入口の形状を保形することができる。
【0046】
また、上ハーフ2の上面の指挿入用開口部22は肉薄部2bに形成されるが、この指挿入用開口部22の裏面周囲に補強リブ23を形成したことで、指挿入用開口部22の補強と共に、上ハーフ2上面が外力によって撓むようなことが解消できる。
【0047】
このように本発明のカセット収納ケースは、上下ハーフの成形時の肉ヒケの発生が防止でき、これによって、形状の変形や寸法のくるいを回避することができ、しかも、収納ケースが外力に対して撓みにくくすることができるといった利点がある。
【0048】
また、収納ケースの肉薄化が可能となったことで、プラスチック原材料の使用量が少なくてすみ成形品のコストダウン化を図ることができる。
【0049】
尚、下ハーフ1と上ハーフ2の肉厚部1a,2aは、実施例ではガイド溝8a,8b側の奥行き方向からカセット挿入口3a,3b及びハーフ側壁面の奥行き方向に亘ってコ字状に設けた場合について説明したが、ガイド溝8a,8b側の奥行き方向からカセット挿入口3a,3b、あるいはハーフ側壁面の奥行き方向からカセット挿入口に亘ってL字状に形成するようにしてもよい。
【0050】
ところで、上述したカセット収納ケースは図9に示すようにコンパクトカセット30がカセット挿入口3から挿入されたとき、リール回り止め部材9のリール回り止め片11が弾性変形して押し倒されるが、この際、コンパクトカセット30はリール回り止め片11の弾性復帰力により上ハーフ2側へ押し上げられながら挿入される。このとき、コンパクトカセット30は膨出部33とは反対側のカセット上面がカセットのガタ付きを防止するための作用を兼ねている図10に斜線で示したケース側面側の肉厚部2aに摩擦することになる。特にこの摩擦はコンパクトカセット30の先端部のエッジ部分が肉厚部2aに擦られて多く発生する。そして、この摩擦作用はコンパクトカセットの出し入れの度に発生し、これが双方に擦れ傷と共に擦れ粉が発生し機能上及び製品性を損なうといった問題がある。
【0051】
また、上述した側面側の肉厚部2aは図10に示したようにガイド溝8b側の肉厚部2aより幅があり、しかも、肉薄部2bと厚みの差が存在することから、上ハーフ2の射出成形時に双方の境界部分に肉ヒケが発生し、特に上ハーフ成形時に樹脂を供給するゲートが肉厚部2aのケース外側に位置する場合では、図10の破線で示したゲートG付近の肉厚部2a及びケース部分に大きな肉ヒケが発生し、この肉ヒケ部が成形品の表面から容易に確認できることから製品価値が損なわれるといった問題もある。
【0052】
そこで、コンパクトカセットの出し入れに伴う擦れ傷及び擦れ粉の発生を回避し、また肉厚部及びケース部分における肉ヒケが生じることのないカセット収納ケースの上ハーフ2を図11に示す。
【0053】
この上ハーフ2は図10に示した上ハーフのフレーム状の肉厚部2aを、ガイド溝8bとは対向側の肉厚部2aの奥行き長さをカセット挿入口から奥行き方向に短い肉厚部2a′に形成し、それ以外は肉薄部2bと同様の厚さに形成したものである。詳しくは、短い肉厚部2a′の奥行き側の端部は図3に示したカセット収納ケースの断面図において下ハーフ1の底面にカシメ固定したリール回り止め部材のカセット挿入口3側に近いリール回り止め片11と平行する位置にほぼ達する長さにされている。
【0054】
また、上述した短い肉厚部2a′の延長上である上ハーフ2の最奥部に傾斜面27aを有する短いカセット受け部27が形成されている。このカセット受け部27の肉厚は肉厚部2a′と同じ肉厚にされている。
【0055】
このように構成したカセット収納ケースを上ハーフ2では肉厚部2a′から切断した断面図を図12に示す。
【0056】
カセット挿入口3からコンパクトカセット30が挿入されると、台形状の膨出部33がガイド溝8a,8bに案内されると共に、膨出部33と反対側のカセット上下面が上下ハーフ1,2の肉厚部1a,2aに案内される。そして、コンパクトカセット30が入口側のリール回り止め片11を弾性変形して押し倒し乗り上がると同時に、コンパクトカセット30はリール回り止め片11の弾性復帰力により上ハーフ2側へ押し上げられる。コンパクトカセット30がリール回り止め片11によって押し上げられた時点では、カセット先端部が短い肉厚部2aを通過し肉薄部2b側に移動しているので、カセット上面と上ハーフ2の内面との間に十分な空間dが生じ、カセット挿入時におけるカセット上面が上ハーフ2に摩擦することもなく、これによって、双方に擦れ傷や擦れ粉の発生を未然に防止することができる。上述した作用はカセット収納ケースにコンパクトカセット30が出し入れされる度毎に同様に行われる。
【0057】
そして、コンパクトカセット30が収納ケース内に完全に収納される時点では、カセットの先端部が上ハーフ2の最奥部に設けた傾斜面27aを滑り、図12の仮想線で示すようにカセット30の上面がカセット受け部27の面に接触するようになる。すなわち、収納状態のカセット30は、台形状の膨出部33とは反対側のカセット部分では、カセット下面では下ハーフ1の肉厚部1aでガイドされ、カセット上面では上ハーフ2の短い肉厚部2a′とカセット受け部27とでガイドされているため、収納ケース内でカセットが上下方向にガタ付くこともなく安定して収納することができる。
【0058】
一方、上ハーフ2において図11に示したようにカセット挿入口3側から奥行き方向に短い肉厚部2a′とし、それ以外の部分を肉薄部2bと同様な厚みにしたことにより、上ハーフ2の成形時に肉厚部2a′と肉薄部2bとの境界部分での肉ヒケを防止することができる。これは肉厚部2a′が短く樹脂量が少ないことと、樹脂が供給されるゲートGから離れていることで肉厚部2a′の部分が均一に冷えることがあげられる。尚、図11に示した実施例において肉厚状のカセット受け部27側のケース外面にゲートGを有する場合では、カセット受け部27の樹脂量が少ないためゲートG付近におけるケース部分の肉ヒケの発生を防止することができる。
【0059】
上述したようなカセット収納ケースによれば、カセット出し入れ時の摩擦による擦れ傷や擦れ粉の発生を未然に防止することができると共に、収納状態のカセットのガタ付きもなく安定して収納することができることになる。また、上ハーフ成形時の肉厚部の肉ヒケも発生することもなく、カセット収納ケースの機能及び品質を向上することができるといった利点がある。
【0060】
尚、本発明のカセット収納ケースでは、カセット受け部27は必ずしも必要とするものでなく、カセット挿入口3側から奥行き方向に短い肉厚部2a′のみを形成しただけであってもカセット収納ケースの機能及び品質を十分に得ることができる。
【0061】
本発明は、上述しかつ図面に示した実施例に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0062】
実施例ではオーディオ用のコンパクトカセットがスライド式に出し入れされるカセット収納ケースに適用した場合について説明したが、その他、8ミリ用ビデオカセットやデジタル・ビデオ・カセット(DVC)等がスライド式に出し入れされるカセット収納ケースにも広く適用可能である。この場合にはケースの内面側にはコンパクトカセットの台形状の膨出部が案内される案内ガイドは不要となる。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のカセット収納ケースは、下ハーフ及び上ハーフがそのハーフ面を少なくとも上記ガイド溝以外の奥行き方向から上記カセット挿入口に亘ってフレーム状の肉厚部とし、この肉厚部以外のハーフ面部分を肉薄部に形成したことによって、上下ハーフの成形時の肉ヒケの発生を防止し、形状の変形や寸法のくるいを回避することができ、しかも、収納ケースが外力に対して撓みにくくすることができるといった効果がある。また、収納ケースの肉薄化が可能となったことで、プラスチック原材料の使用量が少なくてすみ成形品のコストダウン化を図ることができる。
また本発明のカセット収納ケースでは、上ハーフの上面の指挿入用開口部は肉薄部に形成されるが、この指挿入用開口部の裏面周囲に補強リブを形成したことで、指挿入用開口部の補強と共に、上ハーフの上面が外力によって撓むようなことが解消される。
さらに本発明のカセット収納ケースでは、肉薄部からなる下ハーフの底部中央部にリール回り止め部材を位置決めする案内リブが成形されていることで、この案内リブが肉薄部の補強を兼ねることができ、下ハーフの底面が外力によって撓むようなことが解消される。
【0064】
また、上ハーフのフレーム状の肉厚部が、ガイド溝と対向側の肉厚部の奥行き長さをカセット挿入口側のリール回り止め片と平行する位置にほぼ達する短い肉厚部に形成したことによって、カセットの収納及び取出し時におけるカセットと肉厚部との摩擦による擦れ傷及び擦れ粉の発生を回避することができると共に、上ハーフ成形時の肉厚部の肉ヒケを防止することができカセット収納ケースの機能の向上及び品質を高めることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるカセット収納ケースの分離状態の斜視図である。
【図2】上ハーフを裏面より見た斜視図である。
【図3】カセット収納ケースの拡大縦断面図である。
【図4】同じくカセット収納ケースの拡大横断面図である。
【図5】位置決め片とガイド突起との関係の要部拡大図である。
【図6】カセット収納ケースの平面図である。
【図7】カセット収納状態の一部を破断して示したカセット収納ケースの平面図である。
【図8】リール回り止め部材の別の例の斜視図である。
【図9】カセット収納ケースへのカセット収納時の問題点の断面図である。
【図10】同じく上ハーフを裏面より見た斜視図である。
【図11】改良された上ハーフを裏面より見た斜視図である。
【図12】改良されたカセット収納ケースへのカセット収納時の断面図である。
【図13】従来のカセット収納ケースの破断斜視図である。
【図14】コンパクトカセットの斜視図である。
【図15】図9のカセット収納ケースとコンパクトカセットの関係の平面図である。
【図16】同じくカセット収納状態をカセット挿入口側から見た正面図である。
【符号の説明】
1 下ハーフ、1a 肉厚部、1b 肉薄部、2 上ハーフ、2a 肉厚部、2a′ 短い肉厚部、2b 肉薄部、3 カセット挿入口、9 リール回り止め部材、11 リール回り止め片、15a,15b 位置決め片、16 案内リブ、18 カセット抜け止め片、22 指挿入用開口部、23 補強リブ、24,25 傾斜面、27 カセット受け部、30 コンパクトカセット
Claims (4)
- 収納ケースがカセット筐体の一側部に台形状の膨出部を有するテープカセット用の収納ケースであって、下ハーフと上ハーフとで合体式に構成されるケースの一側面にカセット挿入口を有し、上記カセット挿入口の一側部で当該カセット挿入口から奥行き方向に上記テープカセットの膨出部が挿入される凹面状のガイド溝が上記下ハーフと上ハーフの内面に形成され、上記上ハーフ上面にカセット取り出しのための指挿入用開口部を設け、上記下ハーフ底面にカセットのリールハブ孔と係合される一対のリール回り止め片を有するリール回り止め部材が取り付けられるカセット収納ケースにおいて、
上記下ハーフ及び上ハーフはそのハーフ面を少なくとも上記ガイド溝以外の奥行き方向から上記カセット挿入口に亘ってフレーム状の肉厚部とし、この肉厚部以外の上記ハーフ面部分を肉薄部に形成し、
上記上ハーフの上記指挿入用開口部が肉薄部に形成され、上記指挿入用開口部の裏面側周囲に肉薄部の補強リブを形成し、
上記下ハーフの肉薄部中央部分に上記リール回り止め部材の周囲を位置決めする奥行き方向に長い長円状の案内リブを一体形成し、且つ当該案内リブで囲まれる肉薄部上に複数のカシメピンを形成したことを特徴とするカセット収納ケース。 - 請求項1記載のカセット収納ケースにおいて、
上記フレーム状の肉厚部は上記下ハーフ及び上ハーフの補強リブを兼ねていることを特徴とするカセット収納ケース。 - 請求項1記載のカセット収納ケースにおいて、
上記上ハーフのフレーム状の肉厚部は、上記ガイド溝と対向側の肉厚部の奥行き長さを上記カセット挿入口側のリール回り止め片と平行する位置にほぼ達する短い肉厚部に形成したことを特徴とするカセット収納ケース。 - 請求項3記載のカセット収納ケースにおいて、
上記短い肉厚部の延長上である上記上ハーフの最奥部に傾斜面を有する短いカセット受け部を設けたことを特徴とするカセット収納ケース。
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