JPH1146491A - ブラシレス直流モータ - Google Patents

ブラシレス直流モータ

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JPH1146491A
JPH1146491A JP9198806A JP19880697A JPH1146491A JP H1146491 A JPH1146491 A JP H1146491A JP 9198806 A JP9198806 A JP 9198806A JP 19880697 A JP19880697 A JP 19880697A JP H1146491 A JPH1146491 A JP H1146491A
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Toshio Inaji
稲治  利夫
Takeshi Shimobatake
剛 下畠
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 駆動トランジスタでの電力損失を小さく抑え
た状態で固定子巻線の相切換を滑らかに行うことによ
り、振動・騒音の少ない、電力効率に優れたブラシレス
直流モータを提供する。 【解決手段】 第1の駆動トランジスタ群5aの動作電
圧が第1の基準電圧発生手段9の基準電圧信号E1に等
しくなるように第2の駆動トランジスタ群5bを制御
し、第2の駆動トランジスタ群5bの動作電圧が第2の
基準電圧発生手段10の基準電圧信号E2に等しくなる
ように電圧変換手段4の直流出力電圧を制御する。固定
子巻線11,12,13の電流を順次相切換する駆動ト
ランジスタ群の動作電圧を位置信号合成手段40の複数
相の位置信号とホール素子1,2,3のバッファ増幅器
31,32,33の整形信号に応じて変化させることに
より、相切換期間における駆動電流の波形歪みを防止
し、相切換を滑らかに行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブラシレス直流モ
ータに関し、特に電源から供給される電力を効率よく利
用するようにしたブラシレス直流モータに関する。
【0002】
【従来の技術】ブラシレス直流モータはブラシ付の直流
モータに比べると、機械的接点を持たないため長寿命で
あると同時に電気的雑音も少ない。この利点のため、近
年では高信頼性が要求される産業用機器や映像・音響機
器に広くブラシレス直流モータが使用されている。
【0003】従来のブラシレス直流モータにおいては、
出力電圧が一定の直流電源から供給される電圧を電圧制
御トランジスタなどを用いて可変制御し、例えば回転速
度に応じた電圧をモータに供給していた。したがって、
モータ駆動に利用される有効電圧は常に直流電源の電圧
よりも低く、直流電源電圧と実際にモータに供給される
電圧との差はほとんど電圧制御トランジスタのコレクタ
損失(熱損失)となり、その結果、電力効率を低下させ
ていた。
【0004】ブラシレス直流モータの電力効率を向上す
るために、電圧制御トランジスタをスイッチング制御す
ることにより電圧制御トランジスタのコレクタ損失を低
減する方法がいくつか提案されている。
【0005】そのうちの一例では、直流電源の一端と固
定子巻線の電流給電端子との間の電流路を形成する第1
の駆動トランジスタ群を、電流指令と位置信号に応じて
電流制御する。そして、直流電源の他端と電流給電端子
との間の電流路を形成する第2の駆動トランジスタ群
を、第1の駆動トランジスタ群の動作電圧の最小電圧が
所定の基準電圧に等しくなるように制御する。さらに電
圧制御用のスイッチングトランジスタを、第2の駆動ト
ランジスタ群の動作電圧が所定の基準電圧に等しくなる
ようにオン・オフ制御する。このようにして、モータに
供給される電圧が制御される。このような制御を行うこ
とにより、モータの電力効率を大幅に改善している(例
えば、特開昭58−198189号公報参照)。
【0006】上記のような構成は、エミッタを共通接続
した差動トランジスタのベース入力に位置信号を与えて
差動切換を行うので、固定子巻線駆動電流は安定に切り
換えられる。しかし、固定子巻線に流れる駆動電流は通
電幅が電気角でほぼ120度の矩形波状となり、急峻に
オン・オフされる。このため、振動・騒音を発生しやす
くなる。
【0007】固定子巻線の相切換を滑らかに行うため
に、ある相から次の相に電流切換を行う際、2相に同時
に電流を通電させる期間が存在する、いわゆるオーバラ
ップ駆動を行う方法がある(例えば、特開昭62−22
1894号公報参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来技術におい
て、第1及び第2の駆動トランジスタ群をオーバラップ
駆動し、電力効率を向上するために第1及び第2の駆動
トランジスタ群のエミッタ・コレクタ間の残り電圧を低
減してトランジスタの動作電圧を低減すると、今度は電
流切換が滑らかに行われず、駆動電流波形に歪みが発生
し、この状態でモータを駆動すると振動・騒音を発生す
る。この問題の詳細については、後述する発明の実施の
形態の中で図7を用いて説明を加える。
【0009】本発明は上記のような従来の問題点に鑑
み、可変出力の直流電圧を出力できるスイッチング制御
方式の電圧制御を使用し、固定子巻線の相切換を滑らか
に行うことにより、振動、騒音が少なく、かつ、電力効
率に優れたブラシレス直流モータを提供することを目的
とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によるブラシレス
直流モータは、複数の磁極を有する回転子と、複数相の
固定子巻線と、前記回転子の回転位置を検出するための
複数のホール素子と、前記複数のホール素子の出力から
複数相の位置信号を生成する位置信号合成手段と、直流
電源から可変出力の直流電圧を得る電圧変換手段と、前
記電圧変換手段の出力端子対の一方と前記固定子巻線の
各相の給電端子との間の電流路を形成する複数のトラン
ジスタを含む第1の駆動トランジスタ群と、前記固定子
巻線への電流供給を指令する指令信号及び前記位置信号
合成手段の出力に応じて前記第1の駆動トランジスタ群
に流れる電流を分配制御する第1の分配制御手段と、前
記電圧変換手段の出力端子対の他方と前記固定子巻線の
各相の給電端子との間の電流路を形成する複数のトラン
ジスタを含む第2の駆動トランジスタ群と、前記位置信
号合成手段の出力に応じて前記第1の駆動トランジスタ
群の最小動作電圧が第1の基準電圧に一致するように前
記第2の駆動トランジスタ群に流れる電流を分配制御す
る第2の分配制御手段と、前記第2の駆動トランジスタ
群の最小動作電圧が第2の基準電圧に一致するように前
記電圧変換手段の出力電圧を制御する電圧制御手段とを
備える。
【0011】そして、前記第1及び第2の基準電圧は、
前記第1及び第2の駆動トランジスタ群においてそれぞ
れ固定子巻線の1相から次の相に電流切換が行われ2相
に同時に電流が流れる相切換通電状態のほうが、1相に
のみに電流が流れる1相通電状態より大きくなるように
構成されている。
【0012】上記のような構成によれば、位置信号合成
手段の出力する位置信号により第1の駆動トランジスタ
群と第2の駆動トランジスタ群がそれぞれ分配制御さ
れ、固定子巻線に通電される電流の相切換が順次行わ
れ、回転子が回転駆動される。第1の駆動トランジスタ
群のエミッタ・コレクタ間の動作電圧が第1の基準電圧
発生手段の出力する基準電圧に等しくなるように第2の
駆動トランジスタ群の通電電流を制御し、第2の駆動ト
ランジスタ群のエミッタ・コレクタ間の動作電圧が第2
の基準電圧発生手段の出力する基準電圧信号に等しくな
るようにスイッチング制御方式の電圧変換手段の直流出
力電圧を制御する。
【0013】そして、第1の駆動トランジスタ群と第2
の駆動トランジスタ群のエミッタ・コレクタ間の動作電
圧を位置信号合成手段の出力する位置信号に応じて変化
させる。すなわち、第1の駆動トランジスタ群及び第2
の駆動トランジスタ群を構成するそれぞれの複数の駆動
トランジスタにおいて、駆動電流の相切換が行われてい
る相切換期間では、対応する駆動トランジスタのエミッ
タ・コレクタ間の動作電圧を高めに切り換えているの
で、固定子巻線の駆動電流の相切換動作が滑らかに行わ
れる。その結果、振動・騒音が非常に少ない状態でブラ
シレス直流モータを駆動できる。
【0014】一方、駆動電流の相切換の完了している1
相通電期間では、駆動電流を通電している駆動トランジ
スタのエミッタ・コレクタ間の動作電圧をできるだけ低
く設定するので、その駆動トランジスタでの電力損失を
小さく抑えることができる。このようにして、本発明に
よれば、振動・騒音の少ない、電力効率に優れたブラシ
レス直流モータを実現することができる。
【0015】上記の構成において好ましくは、前記固定
子巻線の1相から次の相に電流切換が行われ2相に同時
に電流が流れる相切換通電状態と、1相にのみ電流が流
れる1相通電状態とにおいて、前記第1及び第2の基準
電圧が連続的に変化し、前記相切換通電状態では2相に
流れる電流が略等しくなる時点を頂点とする三角波状に
変化する。相切換通電状態で高めに切り換える第1及び
第2の基準電圧を対称的な三角波状に変化させるので、
固定子巻線の駆動電流の相切換動作をさらに滑らかに行
うことができ、ブラシレス直流モータの駆動時の振動・
騒音を一層低減することができる。
【0016】また、前記第1及び第2の基準電圧が前記
固定子巻線への電流供給を指令する指令信号に応じて変
化することも好ましい。固定子巻線への電流供給の大小
変化に応じて第1及び第2の基準電圧を変えるので、駆
動電流の変化にかかわらず、常に、電流切換が滑らかに
行われ、駆動電流の波形歪みを発生しない状態でモータ
を駆動することができる。その結果、電力効率に優れ、
かつ振動・騒音が少ない効果が一層高まる。
【0017】さらに好ましくは、前記位置信号合成手段
は、前記複数のホール素子の各出力を増幅する複数のバ
ッファ増幅器と、前記複数のバッファ増幅器の各出力の
差を生成する複数の減算回路とから構成され、前記第1
及び第2の基準電圧は、前記位置信号合成手段が出力す
る複数相の位置信号と前記バッファ増幅器の出力を波形
整形した整形信号とから生成される。これにより、簡単
な回路構成で第1及び第2の基準電圧を生成することが
できる。
【0018】本発明によるブラシレス直流モータの別の
構成は、複数の磁極を有する回転子と、複数相の固定子
巻線と、前記回転子の回転位置を検出するための複数の
ホール素子と、前記複数のホール素子の出力から複数相
の位置信号を生成する位置信号合成手段と、直流電源の
出力端子対の一方と前記固定子巻線の各相の給電端子と
の間の電流路を形成する複数のトランジスタを含む第1
の駆動トランジスタ群と、前記固定子巻線への電流供給
を指令する指令信号及び前記位置信号合成手段の出力に
応じて前記第1の駆動トランジスタ群に流れる電流を分
配制御する第1の分配制御手段と、前記直流電源の出力
端子対の他方と前記固定子巻線の各相の給電端子との間
の電流路を形成する複数のトランジスタを含む第2の駆
動トランジスタ群と、前記位置信号合成手段の出力に応
じて前記第1の駆動トランジスタ群の最小動作電圧が基
準電圧に一致するように前記第2の駆動トランジスタ群
に流れる電流を分配制御する第2の分配制御手段とを備
え、前記基準電圧は、前記第1の駆動トランジスタ群に
おいてそれぞれ固定子巻線の1相から次の相に通電電流
の切換が行われ2相に同時に電流が流れる相切換通電状
態のほうが、1相にのみ電流が流れる1相通電状態より
大きくなるように構成されている。
【0019】上記の構成では、第2の駆動トランジスタ
群を構成する複数の駆動トランジスタが直接、直流電源
に接続されている。この場合、スイッチング制御方式の
電圧変換手段を省略でき、第1の駆動トランジスタ群を
構成する複数の駆動トランジスタの電力損失を低減する
ことができる。そして、電力損失が大きい第2の駆動ト
ランジスタ群を構成する複数の駆動トランジスタは外付
けのディスクリートトランジスタで構成し、電力損失が
小さく発熱の少ない第1の駆動トランジスタ群を構成す
る複数個の駆動トランジスタは駆動回路を含む集積回路
内に含めることが容易になる。
【0020】この構成において好ましくは、前記固定子
巻線の1相から次の相に電流切換が行われ2相に同時に
電流が流れる相切換通電状態と、1相にのみ電流が流れ
る1相通電状態とにおいて、前記基準電圧が連続的に変
化し、前記相切換通電状態では2相に流れる電流が略等
しくなる時点を頂点とする三角波状に変化する。相切換
通電状態で高めに切り換える基準電圧を対称的な三角波
状に変化させるので、固定子巻線の駆動電流の相切換動
作をさらに滑らかに行うことができ、ブラシレス直流モ
ータの駆動における振動・騒音の抑制が促進される。
【0021】また、前記基準電圧が固定子巻線への電流
供給を指令する指令信号に応じて変化することも好まし
い。固定子巻線への電流供給の大小変化に応じて基準電
圧を変えるので、駆動電流の変化にかかわらず、常に、
電流切換が滑らかに行われ、駆動電流の波形歪みを発生
しない状態でモータを駆動することができる。したがっ
て、電力効率に優れ、かつ、振動・騒音が少ないブラシ
レス直流モータを提供することができる。
【0022】さらに、前記位置信号合成手段が、前記複
数のホール素子の各出力を増幅する複数のバッファ増幅
器と、前記複数のバッファ増幅器の各出力の差を生成す
る複数の減算回路とから構成され、前記基準電圧信号
が、前記位置信号合成手段が出力する複数相の位置信号
と前記バッファ増幅器の出力を波形整形した整形信号と
から生成されることも好ましい。これにより、簡単な回
路構成で基準電圧信号を発生することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明によるブラシレス直
流モータの具体的な実施形態について、図面を参照しな
がら説明する。
【0024】図1に本発明の実施形態によるブラシレス
直流モータの回路構成を示す。図1において、27は複
数の磁極を有する永久磁石の回転子、11,12,13
は回転子27との間に所定の空隙ができるように設けら
れた固定子巻線、5aは第1の駆動トランジスタ群、5
bは第2の駆動トランジスタ群、20は直流電源、4は
直流電源20から可変出力の直流電圧を得るスイッチン
グ制御方式の電圧変換回路である。
【0025】第1の駆動トランジスタ群5aは3個のN
PN型の駆動トランジスタ21,22,23からなり、
各駆動トランジスタ21,22,23はそれぞれ固定子
巻線11,12,13の電流給電端子A,B,Cと電圧
変換回路4の負極側端子(GND)との間の電流路に介
装されている。また第2の駆動トランジスタ群5bは3
個のPNP型の駆動トランジスタ24,25,26から
なり、各駆動トランジスタ24,25,26はそれぞれ
電圧変換回路4の正極側端子と固定子巻線11,12,
13の電流給電端子A,B,Cとの間の電流路に介装さ
れている。
【0026】図1左端に位置する1,2,3は回転子2
7との間に所定の空隙ができるように配置された3個の
ホール素子である。30は3個のホール素子1,2,3
の直流電源、31,32,33はバッファ増幅器であ
り、各ホール素子1,2,3の差動出力に比例した出力
H1,H2,H3を出力する。41,42,43は減算
回路である。
【0027】減算回路41は、バッファ増幅器31の出
力H1とバッファ増幅器33の出力H3とを入力し、こ
れらの差(H1−H3)に比例する電流Ip1を出力す
る。減算回路42は、バッファ増幅器32の出力H2と
バッファ増幅器31の出力H1とを入力し、これらの差
(H2−H1)に比例する電流Ip2を出力する。減算
回路43は、バッファ増幅器33の出力H3とバッファ
増幅器32の出力H2とを入力し、これらの差(H3−
H2)に比例する電流Ip3を出力する。各出力電流I
p1,Ip2,Ip3は3相の位置信号となる。バッフ
ァ増幅器31,32,33と減算回路41,42,43
とで位置信号合成回路40が構成されている。
【0028】減算回路41,42,43は、それぞれ3
つの出力電流が得られるように構成されている。つま
り、電流信号Ip1,Ip2,Ip3、これらの電流信
号と同極性の電流信号Ip1’,Ip2’,Ip3’、
及び、極性を反転した電流信号Ip1”,Ip2”,I
p3”の3種類の出力電流が得られる。
【0029】そのうち、電流信号Ip1,Ip2,Ip
3は3相の位置信号に相当し、ダイオード54,55,
56により負極性側のみが取り出されて電流g,i,e
となり、第1の分配回路6aに入力される。また、分岐
した出力電流Ip1,Ip2,Ip3は、ダイオード5
1,52,53により正極性側のみが取り出されて電流
d,f,hとなり、第2の分配回路6bに入力される。
【0030】駆動トランジスタ21,22,23の各ベ
ースには、第1の分配回路6aによって形成された3相
の電流信号g’,i’,e’がそれぞれ供給され、駆動
トランジスタ21,22,23の通電を制御する。同様
に、駆動トランジスタ24,25,26の各ベースに
は、第2の分配回路6bによって形成された3相の電流
信号d’,f’,h’がそれぞれ供給され、駆動トラン
ジスタ24,25,26の通電を制御する。NPN型ト
ランジスタ21,22,23のベースには流し込む方向
の電流が加えられ、PNP型トランジスタ24,25,
26のベースには引き出す方向の電流が加えられる。
【0031】図1中、57は電流検出抵抗であり、3相
の固定子巻線11,12,13に通電される電流を電圧に
変換する。36は第1の比較制御回路であり、指令端子
50に入力される指令信号と電流検出抵抗57に得られ
た電圧とを比較する。その結果得られた制御信号CLは
第1の分配回路6aに与えられ、入力された位置信号
g,i,eの大きさを制御して電流信号g’,i’,
e’を生成する。これらの電流信号g’,i’,e’が
駆動トランジスタ21,22,23の動作を制御するこ
とにより、3相の固定子巻線11,12,13に供給さ
れる電流の大きさが制御される。
【0032】図1において、7は第1の駆動トランジス
タ群5aを構成する駆動トランジスタ21,22,23
の最小動作電圧Lを検出する第1の動作電圧検出回路、
9は第2の比較制御回路34に基準電圧を供給する第1
の基準電圧発生回路、37はバッファ増幅器31,3
2,33の各出力H1,H2,H3を波形整形し、整形
信号D1,D2,D3を出力する整形回路である。
【0033】第1の基準電圧発生回路9は、減算回路4
1,42,43のそれぞれ3つの出力電流のうちのそれ
ぞれ1つずつの出力電流と整形回路37の整形信号D
1,D2,D3とから基準電圧信号E1を形成する。第
2の比較制御回路34は、第1の基準電圧発生回路9が
発生する第1の基準電圧信号E1と第1の動作電圧検出
回路7が出力する最小動作電圧Lとを比較する。その結
果得られた制御信号CUは第2の分配回路6bに与えら
れ、入力された位置信号d,f,hの大きさを制御して
電流信号d’,f’,h’を生成する。これらの電流信
号d’,f’,h’が駆動トランジスタ24,25,2
6の動作を制御することにより、3相の固定子巻線1
1,12,13に供給される電流の大きさが制御され
る。
【0034】図1中、8は第2の駆動トランジスタ群5
bを構成する駆動トランジスタ24,25,26の最小
動作電圧Uを検出する第2の動作電圧検出回路であり、
10は電圧変換回路4に対する電圧制御回路35に第2
の基準電圧信号E2を供給する第2の基準電圧発生回路
である。第2の基準電圧発生回路10は、減算回路4
1,42,43のそれぞれ3つの出力電流のうちのそれ
ぞれ1つずつの出力電流と整形回路37の整形信号D
1,D2,D3とから基準電圧信号E2を形成する。
【0035】電圧制御回路35は第2の基準電圧発生回
路10が発生する基準電圧信号E2と第2の動作電圧検
出回路8に得られた最小動作電圧Uとを比較し、制御信
号CSを電圧変換回路4に出力する。電圧変換回路4
は、直流電源20の正極端子から固定子巻線11,1
2,13に至る給電路に直列に挿入され、電圧制御回路
35の制御信号CSに応じて電圧変換回路4の出力電圧
VMを制御するように構成されている。
【0036】電圧変換回路4は、直流電源20の正極端
子から固定子巻線11,12,13に至る給電路に直列
に挿入された給電制御用スイッチングトランジスタ10
1と、電圧制御回路35からの制御信号CSに基づいて
スイッチングトランジスタ101をオン・オフ制御する
スイッチング制御回路100と、環流ダイオード105
と、インダクタンスコイル106と、平滑コンデンサ1
07によって構成されている。
【0037】電圧制御回路35には、第2の動作電圧検
出回路8により得られた最小動作電圧Uに応じた制御信
号CSを生成する。スイッチング制御回路100はこの
制御信号CSに対応したパルス信号によってスイッチン
グトランジスタ101をオン・オフ制御する。これによ
って、電圧変換回路4は直流電源20の電圧VSを出力
電圧VMに変換して出力し、第2の駆動トランジスタ群
5bに供給する。なお、スイッチング制御回路100
は、例えば200kHzの三角波電圧信号を発生する三
角波発生回路と、電圧制御回路35の制御信号CSを三
角波電圧信号と比較するコンパレータなどの周知の回路
を用いて構成することもできる。
【0038】つぎに、図1における第1の動作電圧検出
回路7の具体的な回路例を図3に示す。図3において、
81から84はダイオードであり、それぞれのアノード
端子が共通接続され、ダイオード81,82,83のカ
ソード端子はそれぞれ3相の固定子巻線11,12,1
3の電流給電端子A,B,Cに接続されている。85は
抵抗であり、その一端は接地され、他端にダイオード8
4のカソード端子が接続されている。86は定電流源で
あり、ダイオード81〜84のアノード共通端子に一定
電流を供給している。87はこの第1の動作電圧検出回
路7の出力端子である。電流給電端子A,B,Cに接続
されている3個のダイオード81,82,83のうちカ
ソード電位の最も低いダイオードがオンになると、ダイ
オードのアノード共通端子の電位はオン状態のダイオー
ドの順方向電圧分だけカソード電位より高くなる。定電
流源回路86の出力電流はダイオード84を介して抵抗
85にも供給される。したがって、抵抗85にはアノー
ド共通端子の電位よりダイオードの順方向電圧分だけ下
降した電圧が発生する。したがって、3相の固定子巻線
11,12,13の電流給電端子A,B,Cのうち最小
の電圧である最小動作電圧Lが第1の動作電圧検出回路
7の出力端子87から出力される。
【0039】つぎに、図1における第2の動作電圧検出
回路8の具体的な回路例を図4に示す。図4において、
91,92,93はダイオードであり、それぞれのカソ
ード端子が共通接続されている。ダイオード91,9
2,93のアノード端子はそれぞれ3相の固定子巻線1
1,12,13の電流給電端子A,B,Cに接続されて
いる。94はPNP型のトランジスタであり、エミッタ
は抵抗96を介してスイッチング制御方式の電圧変換回
路4の出力電圧VMに接続され、コレクタは抵抗95を
介して接地されている。
【0040】トランジスタ94のベースはダイオード9
1,92,93の共通接続されたカソード端子に接続さ
れている。97は定電流源回路であり、ダイオード9
1,92,93のカソード共通端子とトランジスタ94
のベースから一定電流を引き出している。98はこの第
2の動作電圧検出回路8の出力端子である。
【0041】電流給電端子A,B,Cに接続されている
3個のダイオード91,92,93のうち、アノード電
位の最も高いダイオードだけがオンになると、ダイオー
ドのカソード共通端子の電位はオン状態のダイオードの
順方向電圧分だけアノード電位より低くなる。トランジ
スタ94のベースはダイオード91,92,93のカソ
ード共通端子に接続され、トランジスタ94のエミッタ
・ベース間の電圧はオン状態のダイオード順方向電圧に
ほぼ等しいので、トランジスタ94のエミッタ電位VE
は電流給電端子A,B,Cのうち最も高い電位とほぼ等
しくなる。
【0042】抵抗96の一端は電圧変換回路4の出力電
位VMに接続されているので、抵抗96には電位差(V
M−VE)に応じた電流が流れ、この電流とほぼ等しい
電流がトランジスタ94のコレクタに流れる。したがっ
て、抵抗95と抵抗96の抵抗値を等しく選べば抵抗9
5の両端には、抵抗96の両端と同じ(VM−VE)の
電位差を発生する。したがって、電圧変換回路4の出力
電圧VMと3相の固定子巻線11,12,13の電流給
電端子A,B,Cのうちの最も高い電位VEとの差(V
M−VE)、すなわち電流給電端子A,B,Cのうち電
圧変換回路4の出力電圧VMとの差が最も小さい最小動
作電圧Uが第2の動作電圧検出回路8の出力端子98か
ら出力される。
【0043】図1において、第1の分配回路6aは1種
の乗算器で構成されており、入力された位置信号g,
i,eを第1の比較制御回路36の制御信号CLに応じ
て大きさを変化させた電流信号g’,i’,e’を出力
する。これらの3相の電流信号g’,i’,e’は、第
1の駆動トランジスタ群5aを構成する駆動トランジス
タ21,22,23の各ベースに与えられ、駆動トラン
ジスタ21,22,23の通電を制御する。第1の比較
制御回路36は指令端子50に入力される指令信号と電
流検出抵抗57に得られた電圧とを比較し、得られた制
御信号CLを第1の分配回路6aに与える。このように
して、3相の固定子巻線11,12,13に供給される
電流の大きさは、指令端子50に入力される指令信号に
応じて制御される。
【0044】図1において第2の分配回路6bも一種の
乗算器で構成されている。第2の分配回路6bに入力さ
れた位置信号d,f,hは、第2の比較制御回路34の
出力である制御信号CUに応じて大きさが変えられ、電
流信号d’,f’,h’が出力される。3相の電流信号
d’,f’,h’は、第2の駆動トランジスタ群5bを
構成する駆動トランジスタ24,25,26の各ベース
に与えられ、駆動トランジスタ24,25,26の通電
を制御する。
【0045】第2の比較制御回路34は第1の基準電圧
発生回路9が発生する基準電圧信号E1と第1の動作電
圧検出回路7により得られた最小動作電圧Lとを比較
し、その結果である制御信号CUを第2の分配回路6b
に出力する。第2の分配回路6bが出力する電流信号
d’,f’,h’は駆動トランジスタ24,25,26
のベースに入力され、第2の駆動トランジスタ群5bの
出力電流を制御する。この結果、3相の固定子巻線1
1,12,13の電流給電端子A,B,Cの最小電圧が
基準電圧信号E1に等しくなるように制御される。
【0046】同様にして、電圧制御回路35は、第2の
基準電圧発生回路10が発生する基準電圧信号E2と第
2の動作電圧検出回路8で得られた最小動作電圧Uとを
比較し、その結果である制御信号CSを電圧変換回路4
のスイッチング制御回路100に出力する。スイッチン
グ制御回路100はスイッチングトランジスタ101を
制御して直流電源20の出力電圧VSを調整し、出力電
圧VMとして第2の駆動トランジスタ群5bに出力す
る。したがって、出力電圧VMと3相の固定子巻線1
1,12,13の電流給電端子A,B,Cの電圧差が第2
の基準電圧信号E2に等しくなるように制御される。す
なわち、第2のトランジスタ群5bを構成する駆動トラ
ンジスタ24,25,26のエミッタ・コレクタ間の最
小動作電圧が基準電圧信号E2に等しくなるように制御
される。
【0047】図2は、上述のようなブラシレスモータが
定常回転状態にあるときの位置信号合成回路40の動作
に関する各部の信号波形を示している。図2において、
(1)は固定子巻線11,12,13に誘起される逆起
電力波形a,b,cを示し、(2)はホール素子1,
2,3の差動出力をバッファ増幅器31,32,33で
増幅した後の出力波形H1,H2,H3を示す。出力波
形H1,H2,H3はそれぞれ120度ずつ位相がずれ
ている。また、出力波形H1,H2,H3は、それぞれ
の逆起電力波形a,b,cに対して位相が30度ずつ進
んでいる。
【0048】図2において、(3)は減算回路41,4
2,43の出力電流波形Ip1,Ip2,Ip3であ
り、3相の位置信号となる。(4)は減算回路41,4
2,43の出力電流Ip1’,Ip2’,Ip3’の負
極性側をダイオード51,52,53でカットした電流
波形d,f,hを示し、(5)は出力電流Ip1,Ip
2,Ip3の極性を反転した電流信号Ip1”,Ip
2”,Ip3”の正極性側ををダイオード54,55,
56でカットした電流波形g,i,eを示す。(6),
(7),(8)は、バッファ増幅器31,32,33の
出力H1,H2,H3を波形整形した整形信号D1,D
2,D3をそれぞれ示す。整形信号D1,D2,D3の
立ち上がりエッジはバッファ増幅器31,32,33の
各出力H1,H2,H3の立ち上がり側のゼロクロス点
に対応し、整形信号D1,D2,D3の立ち下がりエッ
ジは各出力H1,H2,H3の立ち下がり側のゼロクロ
ス点に対応している。
【0049】以上のような信号処理により得られた信号
で本発明のブラシレス直流モータを駆動したときの各部
の信号波形を図5に示す。また、比較のために、従来の
ブラシレス直流モータにおける同様の信号波形を図6及
び図7に示す。
【0050】図6は、従来のブラシレス直流モータにお
ける次の問題を説明するために用いられる。基準電圧信
号E1及びE2を十分大きく設定したとき、固定子巻線
11,12,13に流れる駆動電流Ia,Ib,Icは
相切換期間において滑らかに変化する歪みのない台形波
状の電流となる。しかしその反面、駆動トランジスタ2
1,22,23及び24,25,26のエミッタ・コレ
クタ間の動作電圧を大きく設定することになるので各駆
動トランジスタでの電力損失が大きくなる。
【0051】一方、図7は、従来のブラシレス直流モー
タにおける次の問題を説明するために用いられる。電力
損失を抑えるために基準電圧信号E1及びE2を十分小
さい値E1’,E2’に設定したときは、駆動トランジ
スタが飽和領域で動作することになり、エミッタ・コレ
クタ間の動作電圧が不足するため、固定子巻線11,1
2,13に流れる駆動電流Ia,Ib,Icが相切換期
間で歪みを生じるようになる。
【0052】図6は、第1の基準電圧発生回路9が発生
する基準電圧信号E1と第2の基準電圧発生回路10が
発生する基準電圧信号E2を十分大きな一定電圧に設定
したときの各部の信号波形を示している。
【0053】図6において、a,b,cは固定子巻線1
1,12,13に誘起される逆起電力であり、VA,V
B,VCは3相の固定子巻線11,12,13の電流給
電端子A,B,Cの電圧波形である。また、g’,
i’,e’は第1の分配回路6aから第1の駆動トラン
ジスタ群5aを構成する駆動トランジスタ21,22,
23のベースへ流し込まれる台形波状の3相電流信号で
あり、d’,f’,h’は第2の駆動トランジスタ群5
bを構成する駆動トランジスタ24,25,26のベー
スから第2の分配回路6bへ引き出される台形波状の3
相電流信号である。Ia,Ib,Icは3相の固定子巻
線11,12,13に通電される台形波状の駆動電流で
ある。
【0054】駆動トランジスタ21,22,23及び2
4,25,26はそれぞれ電気特性がそろったトランジ
スタを使用するので、基準電圧信号E1及びE2の大き
さを十分大きく設定した場合は、駆動トランジスタ2
1,22,23及び24,25,26のエミッタ・コレ
クタ間の動作電圧も十分大きいので、それぞれのトラン
ジスタの電流増幅率(hfe)は十分に大きくばらつき
も少ない。したがって、3相の固定子巻線11,12,
13の駆動電流Ia,Ib,Icは、駆動トランジスタ
21,22,23のベースに入力される台形波状の3相
の電流信号g’,i’,e’及び駆動トランジスタ2
4,25,26のベースに入力される台形波状の3相の
電流信号d’,f’,h’を等しく電流増幅することが
できる。その結果、歪みのない正確な台形波状の駆動電
流Ia,Ib,Icを3相の固定子巻線11,12,1
3に供給することができる。
【0055】図6に示す期間(1)においては、ベース
から引き出される電流信号d’が大きいので駆動トラン
ジスタ24はオンになる。これに対して、ベースから引
き出される電流信号f’,h’は零であるので駆動トラ
ンジスタ25,26はオフとなる。また、ベースに流し
込まれる電流信号g’は零であるので駆動トランジスタ
21はオフとなる。このように、縦続接続された駆動ト
ランジスタ24,21の同時オンが防止される。
【0056】そして、ベースに流し込まれる電流信号
i’が次第に減少する駆動トランジスタ22のオン抵抗
は次第に増加し、ベースに流し込まれる電流信号e’が
次第に増加する駆動トランジスタ23のオン抵抗は次第
に減少する、一対の駆動トランジスタ22,23の合成
オン抵抗は一定に保たれる。したがって、駆動トランジ
スタ24から固定子巻線11に流し込まれた電流Iaは
中性点oで固定子巻線12,13に分流され、固定子巻
線12には電流Ibが流れ、固定子巻線13には電流I
cが流れる。固定子巻線12,13に流れる駆動電流I
b,Icは駆動トランジスタ22,23を介して引き出
される。
【0057】図6の期間(1)において、第2の駆動ト
ランジスタ群5bを構成する3個の駆動トランジスタ2
4,25,26のうち、オンとなっているのは駆動電流
Iaを流す駆動トランジスタ24のみであり、この駆動
トランジスタ24については1相通電期間T1となって
いる。また、第1の駆動トランジスタ群5aを構成する
3個の駆動トランジスタ21,22,23のうち、2つ
の駆動トランジスタ22,23がオンとなっていて、駆
動電流Ib,Icの相切換が行われているので、これら
の駆動トランジスタ22,23については相切換期間T
2となっている。
【0058】また、図6の期間(2)においては、ベー
スから引き出される電流信号d’が次第に減少するので
駆動トランジスタ24のオン抵抗が次第に増加し、固定
子巻線11に流し込まれる駆動電流Iaは次第に減少す
る。一方、ベースから引き出される電流信号f’が次第
に増加するので駆動トランジスタ25のオン抵抗が次第
に減少し、固定子巻線12に流し込まれる駆動電流Ib
は次第に増加する。二つの駆動電流の合計(Ia+I
b)は一定である。固定子巻線11,12へ駆動トラン
ジスタ24,25を介して流し込まれる駆動電流Ia,
Ibは中性点oで合流し、固定子巻線13には駆動電流
Ic(=Ia+Ib)が流れる。この駆動電流Icは駆
動トランジスタ23を介して引き出される。
【0059】期間(2)において、第1の駆動トランジ
スタ群5aを構成する3個の駆動トランジスタ21,2
2,23のうち、オンとなっているのは駆動電流Icを
流す駆動トランジスタ23のみであり、この駆動トラン
ジスタ23については1相通電期間T1となっている。
また、第2の駆動トランジスタ群5bを構成する3個の
駆動トランジスタ24,25,26のうち、2つの駆動
トランジスタ24,25がオンとなっていて、駆動電流
Ia,Ibの相切換が行われているので、これらの駆動
トランジスタ24,25については相切換期間T2とな
っている。
【0060】期間(1),(2)以外の期間においても
同様の動作が行われる。以上のように、第1の基準電圧
信号E1と第2の基準電圧信号E2を十分大きく設定し
た場合は、各駆動トランジスタのエミッタ・コレクタ間
の動作電圧も十分大きくそれぞれの電流増幅率(hf
e)が十分に大きいので、3相の固定子巻線11,1
2,13に対して相切換期間T2においても切り換えが
滑らかな歪みのない台形波状の駆動電流Ia,Ib,I
cを供給することができる。
【0061】しかしながら、基準電圧信号E1と基準電
圧信号E2の大きさを十分大きく設定し、駆動トランジ
スタ21,22,23及び24,25,26のエミッタ
・コレクタ間の動作電圧を大きく設定した場合、駆動ト
ランジスタでの電力損失が大きくなるという問題があ
る。
【0062】そこで、モータ駆動の電力効率を高めるた
めには、つぎに述べるように、駆動トランジスタ21,
22,23及び24,25,26のエミッタ・コレクタ
間の動作電圧をできるだけ小さく設定する必要がある。
図7は、第1の基準電圧発生回路9が発生する基準電圧
信号E1と第2の基準電圧発生回路10が発生する基準
電圧信号E2を十分小さい電圧E1’,E2’に設定し
たときの各部の信号波形を示している。
【0063】図7において、a,b,cは固定子巻線1
1,12,13に誘起される逆起電力であり、図6と同
一の波形である。VA,VB,VCは3相の固定子巻線
11,12,13の電流給電端子A,B,Cの電圧波形
を示し、それぞれの電圧の値は図6に比べて低くなって
いる。Ia,Ib,Icは、第1の基準電圧発生回路9
が発生する基準電圧信号E1と第2の基準電圧発生回路
10が発生する基準電圧信号E2を小さい電圧に設定し
たときの3相の固定子巻線11,12,13に供給され
るほぼ台形波状の駆動電流である。
【0064】図7に示す期間(1)において、固定子巻
線11に駆動トランジスタ24から流し込まれる電流I
aは、図6と同様に一定の電流である。一方、固定子巻
線11に流し込まれた電流Iaが中性点oで固定子巻線
12,13に分流し、固定子巻線12(電流Ib)から
固定子巻線13(電流Ic)へ電流の相切換が行われる
とき、固定子巻線12,13に流れる電流を制御する駆
動トランジスタ22,23は、基準電圧信号E1’の大
きさを十分小さく設定しているため、飽和領域で動作し
ている。したがって、駆動トランジスタ22,23の電
流増幅率(hfe)は、トランジスタのエミッタ・コレ
クタ間の動作電圧(図7のVA,VB,VCにほぼ等し
い)に依存する。その結果、固定子巻線12,13に流
れる駆動電流Ib,Icは、電流切換が滑らかに行われ
ないことに起因する波形歪みを生ずる。すなわち、駆動
トランジスタ24についての1相通電期間T1では駆動
電流Iaに歪みは発生しないが、駆動トランジスタ2
2,23についての相相切換期間T2においては駆動電
流Ib,Icに歪みが発生する。
【0065】同様に、図7に示す期間(2)において、
固定子巻線11,12へそれぞれ駆動トランジスタ2
4,25から流し込まれる駆動電流Ia,Ibの合計
(Ia+Ib)は一定であり、これらの電流Ia,Ib
は中性点oで合流し、固定子巻線13に電流Ic(=I
a+Ib)が流れる。この電流Icは固定子巻線13か
ら駆動トランジスタ23を介して引き出される。
【0066】図7の期間(2)では、固定子巻線13か
ら駆動トランジスタ23を介して引き出される電流Ic
は図6と同様に一定の電流波形である。一方、固定子巻
線11(駆動電流Ia)から固定子巻線12(駆動電流
Ib)へ電流の相切換が行われるときは、固定子巻線1
1,12に流れる電流を制御する駆動トランジスタ2
4,25のエミッタ・コレクタ間の動作電圧は、基準電
圧信号E2’の大きさを十分小さく設定しているため、
駆動トランジスタ24,25は、期間(2)においては
トランジスタの飽和領域で動作している。したがって、
駆動トランジスタ24,25の電流増幅率(hfe)
は、トランジスタのエミッタ・コレクタ間の動作電圧
(図7のVM−VA,VM−VBにほぼ等しい)に依存
する。その結果、固定子巻線11,12に流れるそれぞ
れの駆動電流Ia,Ibは、電流切換が滑らかに行われ
ず、駆動電流Ia,Ibは波形歪みを発生する。すなわ
ち、駆動トランジスタ23についての1相通電期間T1
では駆動電流Icに歪みは発生しないが、駆動トランジ
スタ24,25についての相切換期間T2においては駆
動電流Ia,Ibに歪みが発生する。
【0067】期間(1),(2)以外の期間においても
同様の動作が行われる。すなわち、電力損失を抑えるた
めに基準電圧信号E1及び基準電圧信号E2を十分小さ
く設定したときは、駆動トランジスタが飽和領域で動作
することになり、エミッタ・コレクタ間の動作電圧が不
足するため、固定子巻線11,12,13に流れる駆動
電流Ia,Ib,Icが相切換期間T2において歪みを
生じ、このような状態でモータを駆動すると振動・騒音
を発生する。
【0068】このような問題を解決するために、本発明
のブラシレス直流モータでは、図5に示すような各部の
信号波形が得られるように制御する。つまり、第1の基
準電圧発生回路9が発生する基準電圧信号E1と第2の
基準電圧発生回路10が発生する基準電圧信号E2の大
きさを、固定子巻線11,12,13に誘起される逆起
電力a,b,cのタイミングに同期して連続的に変化さ
せるように構成している。
【0069】図5に示すように、第1の基準電圧発生回
路9が発生する基準電圧信号E1は、逆起電力a,b,
cの各信号が正から負へ変化するタイミングから徐々に
増大し、逆起電力a,b,cのうちの2つが交叉する点
を頂点としてそれ以後は徐々に減少するように変化す
る。一方、第2の基準電圧発生回路10が発生する第2
の基準電圧信号E2は、逆に逆起電力a,b,cの各信
号が正から負へ変化するタイミングから徐々に増大し、
逆起電力a,b,cのうちの2つが交叉する点を頂点と
してそれ以後は徐々に減少するように変化する。
【0070】以下、このような基準電圧信号E1及びE
2を発生させる具体回路とその動作について詳しく説明
する。図8は本発明のブラシレス直流モータにおける第
1の基準電圧発生回路9の一例を示し、図9は定常回転
状態における各部の信号波形を示す。図8において、1
11,112,113はダイオードであり、それぞれカ
ソード端子が共通接続され、抵抗114の一端に接続さ
れている。抵抗114の他端は基準電圧源115の低め
に設定された基準電圧E1’を介して接地されている。
ダイオード111,112,113の各アノード端子
は、スイッチ回路116,117,118の一端と接続
され、スイッチ回路116,117,118の他端は接
地されている。
【0071】図8において、121,122,123
は、2入力のアンド回路であり、片方の入力端子には、
整形回路37で得られた整形信号D1,D2,D3をそ
れぞれのインバータ回路124,125,126で反転
した反転信号が入力されている。2入力アンド回路12
1,122,123の他方の入力端子には、それぞれ整
形信号D3,D1,D2が入力されている。
【0072】スイッチ回路116,117,118は、
アンド回路121,122,123の出力がHレベルの
ときに閉じ、Lレベルのときに開くように構成されてい
る。そして、ダイオード111,112,113の各ア
ノード端子には、それぞれ減算回路31,32,33が
出力する電流信号Ip1,Ip2,Ip3の極性を反転
した電流信号Ip1”,Ip2”,Ip3”が入力され
る。また、119は第1の基準電圧発生回路9の出力端
子であり、基準電圧信号E1が出力される。
【0073】つぎに、図8に示す第1の基準電圧発生回
路9の動作を、回転子27が定常回転している場合につ
いて、図9の波形図を参照しながら説明する。図9
(1)は、減算回路31,32,33から第1の基準電
圧発生回路9に入力される電流信号波形Ip1”,Ip
2”,Ip3”を示し、図9(2),(3),(4)
は、整形回路37が出力する整形信号波形D1,D2,
D3を示している。図9(5),(6),(7)は、図
8のアンド回路121,122,123の出力波形(2
入力の論理積)を示す。図9(8)は、第1の基準電圧
発生回路9の出力端子119より出力される基準電圧信
号波形E1を示す。
【0074】スイッチ回路116,117,118は、
図9(5),(6),(7)に示す信号で開閉されるの
で、第1の基準電圧発生回路9に入力される電流信号I
p1”,Ip2”,Ip3”は、それぞれスイッチ回路
116,117,118が開いているときのみダイオー
ド111,112,113を介して抵抗114に流れ
る。その結果、第1の基準電圧発生回路9の出力端子1
19には、基準電圧源115の基準電圧E1’に、ダイ
オード111,112,113を介して通電される電流
により抵抗114で発生する電圧降下分を加算した電圧
が発生し、図9(8)に示すような山形の基準電圧信号
波形E1が出力される。
【0075】つぎに、本発明のブラシレス直流モータに
おける第2の基準電圧発生回路10の一例を図10に示
す。また、定常回転状態における各部の信号波形を図1
1に示す。
【0076】図10において、131,132,133
はダイオードであり、それぞれカソード端子が共通接続
され、抵抗134の一端に接続されている。抵抗134
の他方は基準電圧源135の低めに設定された基準電圧
E2’を介して接地されている。ダイオード131,1
32,133の各アノード端子は、スイッチ回路13
6,137,138と接続され、スイッチ回路136,
137,138を介して接地されている。141,14
2,143は2入力のアンド回路であり、片方の入力端
子には、整形回路37で得られた整形信号D1,D2,
D3が入力され、他方の入力端子には、整形信号D3,
D1,D2をインバータ回路144,145,146で
反転した反転信号が入力されている。
【0077】スイッチ回路136,137,138は、
アンド回路141,142,143の出力によって開閉
され、出力がHレベルのときに閉じ、Lレベルのときに
開くように構成されている。そして、ダイオード13
6,137,138の各アノード端子には、それぞれ減
算回路31,32,33が出力する電流信号Ip1’,
Ip2’,Ip3’が入力される。139は第2の基準
電圧発生回路10の出力端子で、基準電圧信号E2が出
力される。
【0078】つぎに、図10に示す第2の基準電圧発生
回路10の動作を、回転子27が定常回転している場合
について、図11の波形図を参照して説明する。図11
(1)は、減算回路31,32,33から第2の基準電
圧発生回路10に入力される電流信号波形Ip1’,I
p2’,Ip3’を示し、図11(2),(3),
(4)は、整形回路37が出力する整形信号波形D1,
D2,D3を示す。図11(5),(6),(7)は、
図10のアンド回路141,142,143の出力波形
(2入力の論理積)を示す。図11(8)は、第2の基
準電圧発生回路10の出力端子139より出力される基
準電圧信号波形E2を示す。スイッチ回路136,13
7,138は、図10(5),(6),(7)に示す信
号で開閉されるので、第2の基準電圧発生回路10に入
力される電流信号Ip1’,Ip2’,Ip3’は、そ
れぞれのスイッチ回路136,137,138が開いて
いるときのみダイオード131,132,133を介し
て抵抗134に流れる。その結果、第2の基準電圧発生
回路10の出力端子139には、基準電圧源135の基
準電圧E2’に、ダイオード131,132,133を
介して流れる電流により抵抗134で発生する電圧降下
分を加算した電圧が発生し、図11(8)に示すような
山形の基準電圧信号波形E2が出力される。
【0079】図9(8)及び図11(8)より明らかな
ように、第1の基準電圧発生回路9から出力される第1
の基準電圧信号E1と第2の基準電圧発生回路10から
出力される第2の基準電圧信号E2とは位相が180度
ずれている。
【0080】図5に示す期間(1)においては、図6で
説明したのと同様に、ベースから引き出す電流信号d’
が大きいので駆動トランジスタ24はオンとなるのに対
して、引き出す電流信号f’,h’は零であるので駆動
トランジスタ25,26はオフとなる。また、ベースに
流し込む電流信号g’は零であるので駆動トランジスタ
21はオフとなり、縦続接続された二つの駆動トランジ
スタ24,21の同時オンを防止する。そして、ベース
に流し込む電流信号i’が次第に減少する駆動トランジ
スタ22のオン抵抗は次第に増加し、流し込む電流信号
e’が次第に増加する駆動トランジスタ23のオン抵抗
は次第に減少し、二つの駆動トランジスタ22,23の
総合オン抵抗は一定に保たれる。したがって、固定子巻
線11には駆動トランジスタ24より駆動電流Iaが流
し込まれ、この駆動電流Iaは中性点oで固定子巻線1
2,13に分流される。そして、固定子巻線12には駆
動電流Ibが流れ、固定子巻線13には駆動電流Icが
流れる。これらの駆動電流Ib,Icは駆動トランジス
タ22,23を介して引き出される。
【0081】期間(1)において、第2の駆動トランジ
スタ群5bを構成する3個の駆動トランジスタ24,2
5,26のうちオンとなっているのは駆動電流Iaを流
す1つの駆動トランジスタ24のみであり、この駆動ト
ランジスタ24については1相通電期間T1となってい
る。この駆動トランジスタ24についての1相通電期間
T1においては、固定子巻線11に流し込まれる駆動電
流Iaは一定の値を保っている。この1相通電期間T1
において、第2の基準電圧発生回路10が出力する基準
電圧は、低めに設定された基準電圧信号E2’となり、
駆動トランジスタ24のエミッタ・コレクタ間の動作電
圧が低いので電力損失は少ない。
【0082】また、期間(1)において、第1の駆動ト
ランジスタ群5aを構成する3個の駆動トランジスタ2
1,22,23のうち、2つの駆動トランジスタ22,
23がオンとなっていて、駆動電流Ib,Icの相切換
が行われているので、これらの駆動トランジスタ22,
23については相切換期間T2となっている。この相切
換期間T2においては、第1の基準電圧発生回路9が出
力する基準電圧は、低めに設定された基準電圧信号E
1’に山形の電圧信号が加算された高めの基準電圧信号
E1となり、駆動トランジスタ22,23のエミッタ・
コレクタ間の動作電圧は十分に大きい。
【0083】したがって、図7の場合のように駆動トラ
ンジスタ22,23の電流増幅率(hfe)がトランジ
スタのエミッタ・コレクタ間の動作電圧(図7のVB,
VCにほぼ等しい)に依存するといったことはない。ま
た、電流給電端子B,Cの電圧VB,VCの波形が滑ら
かになるため、固定子巻線12,13に流れるそれぞれ
の駆動電流Ib,Icは電流切換が滑らかに行われるこ
とになり、相切換期間T2であっても波形歪みが発生し
ない。
【0084】また、図5に示す期間(2)において、図
6で説明したのと同様に、ベースから引き出される電流
信号d’が次第に減少するので駆動トランジスタ24の
オン抵抗が次第に増加し、固定子巻線11に流し込まれ
る駆動電流Iaは次第に減少する。一方、ベースから引
き出される電流信号f’が次第に増加するので駆動トラ
ンジスタ25のオン抵抗が次第に減少し、固定子巻線1
2に流し込まれる駆動電流Ibは次第に増加する。二つ
の駆動電流の合計(Ia+Ib)は一定である。固定子
巻線11,12へそれぞれ駆動トランジスタ24,25
を介して流し込まれる駆動電流Ia,Ibは中性点oで
合流され、固定子巻線13には駆動電流Ic(=Ia+
Ib)が流れ、この駆動電流Icは駆動トランジスタ2
3を介して引き出される。
【0085】期間(2)において、第1の駆動トランジ
スタ群5aを構成する3個の駆動トランジスタ21,2
2,23のうち、オンとなっているのは駆動電流Icを
流す駆動トランジスタ23のみであり、この駆動トラン
ジスタ23については1相通電期間T1となっている。
この1相通電期間T1においては、固定子巻線13に流
れる駆動電流Icは一定の値を保っている。この1相通
電期間T1においては、第1の基準電圧発生回路9が出
力する基準電圧は、低めに設定された第1の基準電圧信
号E1’となり、駆動トランジスタ23でのエミッタ・
コレクタ間の動作電圧が低いので電力損失は少ない。
【0086】また、期間(2)において、第2の駆動ト
ランジスタ群5bを構成する3個の駆動トランジスタ2
4,25,26のうち、2つの駆動トランジスタ24,
25がオンとなっていて、駆動電流Ia,Ibの相切換
が行われているので、これらの駆動トランジスタ24,
25については相切換期間T2となっている。これら駆
動トランジスタ24,25についての相切換期間T2に
おいては、第2の基準電圧発生回路10が出力する基準
電圧は、低めに設定された第2の基準電圧信号E2’に
山形の電圧信号が加算された高めの第2の基準電圧信号
E2となり、駆動トランジスタ24,25のエミッタ・
コレクタ間の動作電圧は十分に大きなものとなる。した
がって、図7の場合のように駆動トランジスタ24,2
5の電流増幅率(hfe)がトランジスタのエミッタ・
コレクタ間の動作電圧(図7のVM−VA,VM−VB
にほぼ等しい)に依存するといったことはなく、また、
電流給電端子A,Bの電圧VA,VBの波形も滑らかに
なる。その結果、固定子巻線11,12に通電されるそ
れぞれの駆動電流Ia,Ibは電流切換が滑らかに行わ
れることになり、相切換期間T2であっても、駆動電流
Ia,Ibには波形歪みが発生しない。
【0087】期間(1),(2)以外の期間においても
同様の動作が行われる。以上のように構成することによ
り、第1の駆動トランジスタ群5aを構成する3個の駆
動トランジスタ21,22,23で、固定子巻線11,
12,13の駆動電流の相切換の行われる相切換期間T
2においては、第1の基準電圧発生回路9から高めの第
1の基準電圧信号E1を出力することによって駆動トラ
ンジスタ21,22,23のエミッタ・コレクタ間の動
作電圧を十分高く設定して飽和領域での動作を避ける一
方、相切換の完了した1相通電期間T1においては、駆
動トランジスタ21,22,23のエミッタ・コレクタ
間の動作電圧は、もともと低めに設定されていた第1の
基準電圧信号E1’の出力に基づいて十分低く設定され
る。
【0088】同様に、第2の駆動トランジスタ群5bを
構成する3個の駆動トランジスタ24,25,26の駆
動電流の相切換の行われる相切換期間T2においては、
第2の基準電圧発生回路10から高めの第2の基準電圧
信号E2を出力することによって駆動トランジスタ2
4,25,26のエミッタ・コレクタ間の動作電圧を十
分高く設定して飽和領域での動作を避ける一方、相切換
の完了した1相通電期間T1においては、駆動トランジ
スタ24,25,26のエミッタ・コレクタ間の動作電
圧は、もともと低めに設定されていた第2の基準電圧信
号E2’の出力に基づいて十分低く設定される。
【0089】以上の説明から明らかなように、第1及び
第2の基準電圧発生回路9,10から基本的に低めに設
定された基準電圧信号E1’及びE2’をそれぞれ出力
することにより、駆動トランジスタ21,22,23及
び24,25,26のエミッタ・コレクタ間の動作電圧
を小さく設定することができるので、駆動トランジスタ
での電力損失を小さく抑えることができる。しかも、高
めの基準電圧信号E1及びE2として、固定子巻線1
1,12,13に誘起される逆起電力a,b,cのタイ
ミングに同期して山形に変化させた信号を出力すること
により、固定子巻線11,12,13の駆動電流の相切
換動作が波形歪みの発生なしに滑らかに行われるので、
振動・騒音が非常に少ないブラシレス直流モータの駆動
が可能となる。
【0090】なお、図8に示した第1の基準電圧発生回
路9及び図10に示した第2の基準電圧発生回路10で
は、低めに設定された基準電圧信号E1’及び基準電圧
信号E2’の大きさは一定としたが、第1の駆動トラン
ジスタ群5a及び第2の駆動トランジスタ群5bを構成
する駆動トランジスタ21,22,23,24,25,
26のエミッタ・コレクタ間の動作電圧を固定子巻線へ
の電流供給を指令する指令信号に応じて変化させるよう
に構成し、供給電流が大きくなったときには基準電圧信
号E1’及びE2’の大きさを増加するように構成して
もよい。
【0091】また、上記の実施の形態では、第1の駆動
トランジスタ群5aを構成する3個の駆動トランジスタ
21,22,23のエミッタ・コレクタ間の動作電圧及
び第2の駆動トランジスタ群5bを構成する3個の駆動
トランジスタ24,25,26のエミッタ・コレクタ間
の動作電圧の大きさを位置信号合成回路の出力する複数
相の位置信号とホール素子の各出力を増幅するバッファ
増幅器の出力を波形整形した整形信号に応動して変化さ
せるように構成したが、例えば第1の駆動トランジスタ
群5aを構成する3個の駆動トランジスタ21,22,
23のエミッタ・コレクタ間の動作電圧のみを変化させ
るように構成し、第2の駆動トランジスタ群5bを構成
する3個の駆動トランジスタ24,25,26は直接直
流電源20に接続してもよい。この場合にはスイッチン
グ制御方式の電圧変換回路4を省略でき、第1の駆動ト
ランジスタ群5aを構成する3個の駆動トランジスタ2
1,22,23の電力損失を低減することができるの
で、電力損失の大きい第2の駆動トランジスタ群5bを
構成する3個の駆動トランジスタ24,25,26は外
付けのディスクリートトランジスタで構成し、電力損失
が小さく発熱の少ない第1の駆動トランジスタ群5aを
構成する3個の駆動トランジスタ21,22,23は駆
動集積回路内に含めて構成することが容易になる。
【0092】また、上記実施形態では、固定子巻線1
1,12,13から流れ出す駆動電流の合計を電流検出
抵抗57で検出し、駆動電流の合計が一定となるように
制御することにより駆動電流Ia,Ib,Icの波形が
台形状になるように構成したが、台形状の駆動電流に限
らず固定子巻線11,12,13から流れ出す駆動電流
の合計を変調(例えば、特開昭61−150695公報
参照)することにより駆動電流Ia,Ib,Icの波形
を正弦波状となるように構成してもよい。
【0093】また、本発明は、上記実施形態のような3
相モータに限らず、単相モータ、又は4相以上のモータ
にも適用することができる。
【0094】
【発明の効果】以上のように、本発明のブラシレス直流
モータによれば、第1の駆動トランジスタ群のエミッタ
・コレクタ間の動作電圧を第1の基準電圧発生回路の出
力する基準電圧信号に等しくなるように第2の駆動トラ
ンジスタ群の通電電流を制御し、また第2の駆動トラン
ジスタ群のエミッタ・コレクタ間の動作電圧を第2の基
準電圧発生回路の出力する基準電圧信号に等しくなるよ
うに電圧変換回路の直流出力電圧を制御し、第1の駆動
トランジスタ群と第2の駆動トランジスタ群のエミッタ
・コレクタ間の動作電圧を位置信号合成回路の出力する
複数相の位置信号とホール素子の各出力を増幅するバッ
ファ増幅器の出力を波形整形した整形信号に応じて変化
させ、1相通電期間では、駆動電流を通電している駆動
トランジスタのエミッタ・コレクタ間の動作電圧をでき
るだけ低く設定するように構成しているので、その駆動
トランジスタでの電力損失を小さく抑えることができ
る。さらに、駆動電流の相切換の行われている相切換期
間では、対応する駆動トランジスタのエミッタ・コレク
タ間の動作電圧を高めに切り換えているので、固定子巻
線の駆動電流の相切換動作を滑らかに行い、ブラシレス
直流モータを振動・騒音の非常に少ない状態で駆動する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るブラシレス直流モータ
の回路図
【図2】図1のブラシレス直流モータを構成する位置信
号合成回路及び整形回路の動作を説明するための各部の
信号波形図
【図3】図1のブラシレス直流モータにおける第1の動
作電圧検出回路の一例を示す回路図
【図4】図1のブラシレス直流モータにおける第2の動
作電圧検出回路の一例を示す回路図
【図5】図1のブラシレス直流モータにおいて駆動トラ
ンジスタの動作電圧を位置信号に応じて変化させたとき
の動作を説明するための各部の信号波形図
【図6】従来のブラシレス直流モータにおいて電力損失
が大きくなる問題を説明するための各部の信号波形図
【図7】従来のブラシレス直流モータにおいて第1及び
第2の基準電圧信号を低く設定したときに相切換期間に
おいて固定子巻線の駆動電流に波形歪みが発生する問題
を説明するための各部の信号波形図
【図8】図1のブラシレス直流モータにおける第1の基
準電圧発生回路の一例を示す回路図
【図9】図8に示す第1の基準電圧発生回路の動作を説
明するための各部の信号波形図
【図10】図1のブラシレス直流モータにおける第2の
基準電圧発生回路の一例を示す回路図
【図11】図10に示す第2の基準電圧発生回路の動作
を説明するための各部の信号波形図
【符号の説明】
1,2,3 ホール素子 4 電圧変換回路 5a 第1の駆動トランジスタ群 5b 第2の駆動トランジスタ群 6a 第1の分配制御回路 6b 第2の分配制御回路 9 第1の基準電圧発生回路 10 第2の基準電圧発生回路 11,12,13 固定子巻線 27 回転子 40 位置信号合成回路

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の磁極を有する回転子と、複数相の
    固定子巻線と、前記回転子の回転位置を検出するための
    複数のホール素子と、前記複数のホール素子の出力から
    複数相の位置信号を生成する位置信号合成手段と、直流
    電源から可変出力の直流電圧を得る電圧変換手段と、前
    記電圧変換手段の出力端子対の一方と前記固定子巻線の
    各相の給電端子との間の電流路を形成する複数のトラン
    ジスタを含む第1の駆動トランジスタ群と、前記固定子
    巻線への電流供給を指令する指令信号及び前記位置信号
    合成手段の出力に応じて前記第1の駆動トランジスタ群
    に流れる電流を分配制御する第1の分配制御手段と、前
    記電圧変換手段の出力端子対の他方と前記固定子巻線の
    各相の給電端子との間の電流路を形成する複数のトラン
    ジスタを含む第2の駆動トランジスタ群と、前記位置信
    号合成手段の出力に応じて前記第1の駆動トランジスタ
    群の最小動作電圧が第1の基準電圧に一致するように前
    記第2の駆動トランジスタ群に流れる電流を分配制御す
    る第2の分配制御手段と、前記第2の駆動トランジスタ
    群の最小動作電圧が第2の基準電圧に一致するように前
    記電圧変換手段の出力電圧を制御する電圧制御手段とを
    備え、前記第1及び前記第2の基準電圧は、前記第1及
    び第2の駆動トランジスタ群においてそれぞれ固定子巻
    線の1相から次の相に電流切換が行われ2相に同時に電
    流が流れる相切換通電状態のほうが、1相のみに電流が
    流れる1相通電状態より大きくなるように構成されてい
    ることを特徴とするブラシレス直流モータ。
  2. 【請求項2】 前記固定子巻線の1相から次の相に電流
    切換が行われ2相に同時に電流が流れる相切換通電状態
    と、1相にのみ電流が流れる1相通電状態とにおいて、
    前記第1及び第2の基準電圧が連続的に変化し、前記相
    切換通電状態では2相に流れる電流が略等しくなる時点
    を頂点とする三角波状に変化することを特徴とする請求
    項1に記載のブラシレス直流モータ。
  3. 【請求項3】 前記第1及び第2の基準電圧が前記固定
    子巻線への電流供給を指令する指令信号に応じて変化す
    ることを特徴とする請求項1に記載のブラシレス直流モ
    ータ。
  4. 【請求項4】 前記位置信号合成手段は、前記複数のホ
    ール素子の各出力を増幅する複数のバッファ増幅器と、
    前記複数のバッファ増幅器の各出力の差を生成する複数
    の減算回路とから構成され、前記第1及び第2の基準電
    圧は、前記位置信号合成手段が出力する複数相の位置信
    号と前記バッファ増幅器の出力を波形整形した整形信号
    とから生成されることを特徴とする請求項1に記載のブ
    ラシレス直流モータ。
  5. 【請求項5】 複数の磁極を有する回転子と、複数相の
    固定子巻線と、前記回転子の回転位置を検出するための
    複数のホール素子と、前記複数のホール素子の出力から
    複数相の位置信号を生成する位置信号合成手段と、直流
    電源の出力端子対の一方と前記固定子巻線の各相の給電
    端子との間の電流路を形成する複数のトランジスタを含
    む第1の駆動トランジスタ群と、前記固定子巻線への電
    流供給を指令する指令信号及び前記位置信号合成手段の
    出力に応じて前記第1の駆動トランジスタ群に流れる電
    流を分配制御する第1の分配制御手段と、前記直流電源
    の出力端子対の他方と前記固定子巻線の各相の給電端子
    との間の電流路を形成する複数のトランジスタを含む第
    2の駆動トランジスタ群と、前記位置信号合成手段の出
    力に応じて前記第1の駆動トランジスタ群の最小動作電
    圧が基準電圧に一致するように前記第2の駆動トランジ
    スタ群に流れる電流を分配制御する第2の分配制御手段
    とを備え、前記基準電圧は、前記第1の駆動トランジス
    タ群においてそれぞれ固定子巻線の1相から次の相に通
    電電流の切換が行われ2相に同時に電流が流れる相切換
    通電状態のほうが、1相にのみ電流が流れる1相通電状
    態より大きくなるように構成されていることを特徴とす
    るブラシレス直流モータ。
  6. 【請求項6】 前記固定子巻線の1相から次の相に電流
    切換が行われ2相に同時に電流が流れる相切換通電状態
    と、1相にのみ電流が流れる1相通電状態とにおいて、
    前記基準電圧が連続的に変化し、前記相切換通電状態で
    は2相に流れる電流が略等しくなる時点を頂点とする三
    角波状に変化することを特徴とする請求項5に記載のブ
    ラシレス直流モータ。
  7. 【請求項7】 前記基準電圧が固定子巻線への電流供給
    を指令する指令信号に応じて変化することを特徴とする
    請求項5に記載のブラシレス直流モータ。
  8. 【請求項8】 前記位置信号合成手段は、前記複数のホ
    ール素子の各出力を増幅する複数のバッファ増幅器と、
    前記複数のバッファ増幅器の各出力の差を生成する複数
    の減算回路とから構成され、前記基準電圧信号は、前記
    位置信号合成手段が出力する複数相の位置信号と前記バ
    ッファ増幅器の出力を波形整形した整形信号とから生成
    されることを特徴とする請求項5に記載のブラシレス直
    流モータ。
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CN106788016A (zh) * 2016-12-21 2017-05-31 天津瑞能电气有限公司 一种双馈电机定子电流失真区域的判断方法

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