JPH1143443A - 食中毒菌に対する選択的殺菌剤 - Google Patents

食中毒菌に対する選択的殺菌剤

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JPH1143443A
JPH1143443A JP9338281A JP33828197A JPH1143443A JP H1143443 A JPH1143443 A JP H1143443A JP 9338281 A JP9338281 A JP 9338281A JP 33828197 A JP33828197 A JP 33828197A JP H1143443 A JPH1143443 A JP H1143443A
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stevia
acid
extract
poisoning bacteria
stevia extract
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Toshio Tomita
敏夫 冨田
Yoshiyuki Kamio
好是 神尾
Naohiko Sato
直彦 佐藤
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    • AHUMAN NECESSITIES
    • A01AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
    • A01NPRESERVATION OF BODIES OF HUMANS OR ANIMALS OR PLANTS OR PARTS THEREOF; BIOCIDES, e.g. AS DISINFECTANTS, AS PESTICIDES OR AS HERBICIDES; PEST REPELLANTS OR ATTRACTANTS; PLANT GROWTH REGULATORS
    • A01N65/00Biocides, pest repellants or attractants, or plant growth regulators containing material from algae, lichens, bryophyta, multi-cellular fungi or plants, or extracts thereof
    • A01N65/08Magnoliopsida [dicotyledons]
    • A01N65/12Asteraceae or Compositae [Aster or Sunflower family], e.g. daisy, pyrethrum, artichoke, lettuce, sunflower, wormwood or tarragon
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/04Antibacterial agents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 天然物由来で副作用がなく、食中毒菌に対し
て選択的な殺菌性を有し、ビフィズス菌や乳酸菌のよう
な人体や動物に有用な腸管内細菌に対してはほとんど殺
菌性を示さず、ヒト及び動物の腸内細菌叢を正常に維持
する食中毒菌の選択的殺菌剤を提供する。 【解決手段】 ステビアの植物組織の抽出液の中に腸内
細菌叢に悪影響を与えることなく、病原性腸内細菌のみ
に選択的に作用する殺菌物質が含まれ、この物質の作用
は有機酸の存在により、熟成により或いは熟成と有機酸
の添加により極度に向上する。この殺菌剤は乳酸菌やビ
フィズス菌に対しては殺菌効果を有しない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は選択性を有する、す
なわち、O 157のような食中毒性大腸菌、サルモネラ
菌、黄色ブドウ球菌等の食中毒菌に対して殺菌性を有
し、ビフィズス菌や乳酸菌のような人体や動物に有用な
腸内細菌に対しては殺菌性を有しない、ステビア由来食
中毒菌に対する選択的殺菌剤に関する。
【0002】
【従来の技術】近時、衛生環境の改善が進み、細菌の増
殖し易い高温多湿な夏期においても各種食品を生食する
習慣が定着してきた。一方、各種抗生物質の開発により
多少の食中毒も容易に緩解されることから抗生物質が多
用され、その結果耐性菌が出現し、重大な結果を招くこ
とになる。抗生物質の歴史は新規な抗生物質の開発と耐
性菌の出現との競争であった。
【0003】一方、ステビアはその葉に多く含有される
ステビオサイドやレバディオサイドが少量で強い甘味を
有し、砂糖代替低カロリー天然甘味料として使用されて
いることから天然低カロリー甘味料の原料物質として知
られている。特公平7−13021号公報には、ステビ
アの茎から抽出した濃縮醗酵液が消化器系疾患の治療用
内服液として有効であると開示されている。この技術は
成熟したステビアの茎を原料とし、乾燥粉末を熱湯中で
煮沸抽出後、濃縮し、25℃で半年以上にわたって醗酵
させたものである。この醗酵液が具体的に便秘、食欲不
振、冷え性、胃部不快感に有効であったと記載されてい
る。特公平7−13021号公報に記載される技術は、
一般的な消化器の不調に有効であり、食中毒性細菌に対
して直接的に有効である旨の記載がなく、ましてO157
のような悪性の腸内細菌に対して選択的な殺菌作用を有
することについては何ら開示されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近時、大腸菌O 157に
よる消化器疾患が先進国において蔓延している。大腸菌
自体が通常人体に存在する細菌であるため抗生物質の使
用もままならず、またこれが産生するベロ毒素の毒性も
強い。耐性菌の出現が宿命的である従来の抗生物質とは
異なり、天然物由来であって単独で或いは抗生物質と併
用して使用できる食中毒に有効な物質が求められてい
た。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決することを目的とし、ステビアの植物組織の抽出液の
中に腸内細菌叢に悪影響を与えることなく、病原性腸内
細菌のみに選択的に作用する物質が含まれていることを
見出して完成した。すなわち、ステビアの植物組織の抽
出物は食中毒菌に対し強い殺菌作用を有し、ベロ毒素の
産生も抑制し、しかも乳酸菌やビフィズス菌に対しては
殺菌効果を有しない。有効成分はステビアの植物組織中
のいかなる成分であるか未だ特定することはできない
が、冷水、熱水、水親和性の溶媒で容易に抽出されるこ
とから比較的低分子量の複数の親水性物質であると推測
される。
【0006】ステビアの茎及び葉の抽出液は中性であ
り、食中毒菌に対して殺菌性を有しない。この液を常温
で放置すると醗酵して炭酸ガスを発生し、同時に酢酸、
乳酸等の有機酸を生成していることを見出した。そし
て、この醗酵液又は抽出直後の液に有機酸を添加すると
殺菌作用は極度に向上する。しかもこの殺菌作用は選択
性を有し、乳酸菌やビフィズス菌等の動物の消化器内の
微生物叢を正常に保つ有用菌の生育にはほとんど害を及
ぼさない。したがって、この殺菌剤を経口的に投与し
て、消化器内の細菌叢に悪影響を与えることなく、選択
的にヒト及び動物の消化器系病原微生物、特に大腸菌O
157に作用し、その増殖を抑制し、更にベロ毒素の放出
を抑制することができる。また、感染源となりがちな家
畜の餌などに添加することにより、食中毒菌による感染
を防止することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の原料となるステビアと
は、南米原産のキク科の多年生植物、ステビア・レバウ
ディアナ・ベルトニ(Stevia rebaudiana Beryoni )及
びその類縁植物である。実験の結果、有効成分は葉及び
茎、特に蕾を持つ前の茎や成熟した植物の茎に多く含有
されるが、根にも、花にも、幼弱植物にも有効成分が含
有されることを確認した。また、ステビアの甘味成分と
して知られるステビオサイドやレバディオサイドには殺
菌効果が認められなかった。したがって、本発明はステ
ビアの植物組織全体の抽出物が含有されていればよく、
他の物質と配合されていても差支えない。
【0008】抽出法は特に限定はなく、ステビアの植物
組織に含有される成分を溶出できればよく、熱水抽出、
冷水抽出、或いは低級アルコール等による抽出液も使用
できる。有効成分を特定することはできないが、親水性
物質と考えられるため、例えばメチルアルコール、エチ
ルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピル
アルコール等の低級アルコールで抽出する。
【0009】抽出するにあたっては、葉のみを摘み取
り、或いは植物の地上部を刈り取り、乾燥して微粉砕す
る。茎は固いため微粉砕に先立ち断裁する。一般に、根
は来春発芽させるために使用しない。有効成分の溶出を
容易にするためには微粉砕することが好ましい。抽出は
熱水を用いて30分以上煮沸する。場合によっては一回
目の抽出工程で得られた抽出水を分離した残滓を、新た
な抽出用熱水に投入して再抽出すると有効成分がほぼ完
全に抽出される。また、微粉末を常温の水に2〜3日浸
漬した上清、30〜50℃の水に3時間浸漬した上清に
も充分に有効成分が溶出している。ステビア抽出液は濃
縮して固形物濃度16〜20W/V%の抽出原液として
使用する。一般にステビアの微粉砕物1kgから0.3
〜3リットルの抽出原液が得られる。
【0010】抽出原液に有機酸を加えることにより顕著
な選択的殺菌作用を発現する。有機酸としては酢酸、乳
酸、プロピオン酸、吉草酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ
酸、マレイン酸、フマール酸、アクリル酸等を挙げるこ
とができる。塩酸等の無機酸には殺菌作用促進効果を期
待することができない。
【0011】抽出原液を常温で容器に保存すると醗酵し
て炭酸ガスが充満する。したがって、内圧が一定に達し
た時には自動的に炭酸ガスを放出する装置を備えた容器
に入れて熟成することが好ましい。熟成初期には炭酸ガ
スの発生が顕著で次第に緩徐になるが、少なくとも5年
は醗酵が継続する。熟成により酢酸、乳酸その他の有機
酸が発生するため熟成した抽出液は殺菌作用を有する。
この熟成物に酢酸、乳酸等の有機酸を添加すると殺菌効
果が格段に向上する。また、抽出直後の液に酢酸、乳酸
等の有機酸を添加しても優れた殺菌効果を有する。
【0012】
【実施例】(1)ステビア試験液の製造 春にステビアの株苗を定植し、蕾を持つ前に地上部を刈
り取った。刈り取り後風乾して葉と茎とに分離した。葉
は粉砕機により10μm以下に粉砕しステビア葉粉末を
製造し、茎は5cmの大きさに切断後、粉砕機により1
0μm以下に粉砕しステビア茎粉末を製造した。かくし
て得られたステビア葉粉末とステビア茎粉末を、3:7
の割合に配合し均一に混合し、ステビア混合粉末の濃縮
原料とした。
【0013】ステビア混合粉末1kgに対し水10リッ
トルを用いて1時間煮沸した。冷却後絞り機により搾り
かすを分離し、3時間煮詰めて1.2リットルの未熟成
ステビア抽出原液を得た。この未熟成抽出原液を容器に
入れ常温で放置したところ醗酵が進行して間欠的に炭酸
ガスを放出する必要があった。醗酵は初期には激しく行
われ、3〜4か月経過すると次第に緩徐になるが、1年
経過後、2〜3年以上経過後も醗酵は継続した。本実施
例においては、この1年醗酵させた熟成ステビア抽出原
液を使用した。したがって、本実施例におけるステビア
液は、原料ステビア混合粉末1.2g/cm3 に相当す
る。また、このステビア液は約20%の固形分濃度であ
った。
【0014】(2)菌株 食中毒性細菌は、宮城県保健環境センターで臨床的に分
離し、保存している下記の菌株を使用して試験を行っ
た。特に記載しない限り、ブレインハートインヒュージ
ョン培地で一晩静置培養し、この培養物0.5mlを5m
lの新しい培地に移し、緩やかに撹拌しながら37℃で
3時間培養して用いた。(3)殺菌効果の測定法 殺菌効果は下記の方法で試験した。約1.0×109 コロ
ニー形成単位(cfu)の細菌を0.5mlのブレインハート
インヒュージョン培地に懸濁し、熟成ステビア抽出原液
及び生理食塩水との混合液0.5mlと混合し、37℃で
2時間静置培養した。10倍希釈系列法で各混合物を調
製した。希釈液0.1mlを抜取って普通寒天培地プレー
トに塗抹して37℃で2時間放置した後に生理食塩水で
希釈し、一定量を普通寒天プレートに塗抹して培養しコ
ロニー形成単位(cfu)を測定した。
【0015】実施例1 下記の腸管出血性大腸菌及び病原性大腸菌について、ス
テビア抽出原液の殺菌効果試験を行った。 大腸菌(Escherichia coli) EC 282(O 157:H7、 VT1産生) EC 177(O 157:H7、 VT2産生) EC 183(O 157:H7、 VT1及びVT2産生) EC 164(O 157:H7、 VT1及びVT2産生) EC 189(O 157:H- 、 VT1及びVT2産生) EC 217(O 26 :H11、 VT1産生) EC 300(O 114:H- 、 VT2産生) EC 174(O 124:H- 、 腸管浸入性大腸菌) EC 127(O 169:H41、 熱安定性毒素産生大腸
菌)
【0016】図1はステビア抽出原液濃度と病原性大腸
菌に対する殺菌効果との関係を示すグラフである。図1
より明らかなように、熟成ステビア抽出原液の濃度40
V/V%以上の培地で37℃で2時間培養すれば、すべて
の菌株は約109 あったものが102 cfu/ml以下に減
少した。比較的抵抗性の株もあったが、これも30 V/V
%以上の濃度のステビア抽出原液を用いれば効率的に殺
菌した。熟成ステビア抽出原液に対する感受性に関して
は、試験を行った病原性大腸菌株は明らかに2つのグル
ープに分けられる。腸管出血性大腸菌EC164とEC
189、腸管浸入性大腸菌EC174及び毒素産生性大
腸菌EC127は感受性の大きい株で、ステビア抽出原
液の濃度20 V/V%の培地で37℃、2時間培養で10
9 あったものが105 以下に減少した。一方、腸管出血
性大腸菌EC183、EC282、EC177及びEC
300は比較的抵抗性の株で同等の条件では実質的に殺
菌できなかった。
【0017】実施例2 大腸菌の感受性株(EC183株)と比較的抵抗性の株
(EC164株)を熟成ステビア抽出原液の存在下で3
7℃、2時間培養し、遠心分離し、上清中のVT1及び
VT2を検査して図2及び図3に示した。図2及び図3
から明らかなように、熟成ステビア抽出原液は濃度10
及び20V/V%でも大腸菌のVT1及びVT2産生及び
/又は分泌を抑制することが判明した。この濃度は図1
で明らかなように、充分な殺菌性を発現しない低濃度で
ある。現実にはステビア原液濃度10%ではコロニー数
は多いが、各コロニーの大きさが小さくなっていた。
【0018】なお、大腸菌のベロ毒素産生能は下記の方
法で測定した。腸管出血性大腸菌を5mlのCA−YE
培地で一晩静置培養した。150015分の遠心分離
法で大腸菌を集め、遠心分離法で2回洗浄し、CA−Y
E培地に再度懸濁させた。この大腸菌懸濁液を等量の上
記熟成ステビア抽出原液+生理食塩水と混合し、37℃
で2時間培養し、1500で15分間遠心分離した。
得られた遠心分離上清の2倍希釈系列を作成し、“逆受
身ラテックス凝集法による”「ベロ毒素検出キット」
(デンカ生研社製)を使用して上清中のベロ毒素を免疫
学的に測定した。すなわち、抗VT1又はVT2抗体が
結合しているラテックスビーズに菌の培養上清を反応さ
せると、上清中のVT1又はVT2がこのビーズの抗体
と結合して凝集する。
【0019】実施例3 ステビア抽出原液の他の病原性細菌に対する殺菌効果を
測定した。使用した細菌は下記の通りである。 サルモネラ菌(Salmonella enteritidis) SA188 SA181 サルモネラ菌(Salmonella typhimurium ) SA173 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus au
reus) ST86 コアグラーゼ型 II ST116 コアグラーゼ型 III ST126 コアグラーゼ型 VII ST82 コアグラーゼ型 VIII セレウス菌(Bacillus cereus) BC43 BC37 エルシニア菌(Yersinia enterocol
itica) YE21 O 3 YE15 O 5 ビブリオ菌(Vibrio parahemolyti
cus) VP78 O3,K6 VP76 O4,K9
【0020】図4は熟成ステビア抽出原液の他の病原性
微生物に対する殺菌効果を示すグラフである。試験は上
記いずれの種に関しても独立に分離された少なくとも2
つの株を用いたが、熟成ステビア抽出原液に対する感受
性の相違は同一の種に属する株の間では無視し得る程小
さかったため、図4には種のみを示した。
【0021】Vibrio parahemolyticusは3%NaCl添
加ディフコ社製ペプトン(pH7.8)培地で生育させ
た。V. parahemolyticusBacillus cereus は10 V/V
%以下の熟成ステビア抽出原液で効果的に殺菌された。
B. cereus は胞子を形成してわずかに生き残ったと思わ
れる。Salmonella enteritidisSalmonella typhimuri
umは20 V/V%の熟成ステビア抽出原液で37℃、2時
間培養すると約109あったものが102 cfu/ml以下に
減少した。この殺菌効果はステビア感受性の大腸菌より
高い。Yersinia enterocolitica 及びStaphylococcus a
ureus は、30V/V%の熟成ステビア抽出液で殺菌さ
れ、比較的ステビアに抵抗性の大腸菌と近似した殺菌効
果を示した。
【0022】実施例4 図1において、熟成ステビア抽出原液は20 V/V%以上
の濃度で、大腸菌EC164に対して高度の殺菌性を示
したが、この殺菌性は使用前に2N NaOHでpH7.0
に中和すると失われた。この結果を図1の結果と併せて
図5に示した。図5中、ステビア抽出液濃度0、10、
20、30、40及び50 V/V%溶液のpHはそれぞ
れ、7.0、4.7、4.4、4.3、4.3及び4.2であった。
熟成ステビア抽出原液中には有機酸として主として酢酸
及び乳酸が含まれ、塩酸のような無機酸による酸性条件
下では殺菌効果が得られなかった。図5より明らかなよ
うに、熟成ステビア抽出液のpHは4.1であり、この酸
性が殺菌性に関与しており、熟成したステビア抽出液が
酸性条件下で殺菌性を有することが理解される。
【0023】実施例5 有機酸単独の殺菌効果と有機酸とステビア抽出液との相
乗効果を比較し、その結果を図6に示した。本実施例で
使用した熟成ステビア抽出原液は236mMの乳酸基と
130mMの酢酸基を有していたので、pH4.1の乳酸
緩衝液とpH4.1の酢酸緩衝液を調製し、これらの酸の
大腸菌EC164に対する殺菌効果を測定した。20 V
/V%のステビア抽出液は47mMの乳酸基と26mMの
酢酸基を含有するが、乳酸緩衝液も酢酸緩衝液も100
mMの濃度では実質的に大腸菌EC164を殺すことは
できなかった。すなわち、酢酸も乳酸も単独では20 V
/V%のステビア抽出液と同等の濃度の脂肪酸を含有する
熟成ステビア抽出液と比較して格段に劣る殺菌効果しか
示さなかった。しかしながら、両脂肪酸に10 V/V%、
すなわち有効濃度以下のステビア抽出液を添加すると高
度の殺菌効果を示した。この事実から熟成ステビア抽出
液の殺菌活性は有機酸による酸性条件下で得られると共
に、増強されると推測される。
【0024】実施例6 抽出直後の未熟成ステビア抽出原液と未熟成ステビア抽
出原液に酢酸を添加した場合の大腸菌EC164に対す
る殺菌効果を測定し、図7に示した。本実施例の未熟成
ステビア抽出原液としては、「(1)ステビア試験液の
製造」の項で説明した熱水による抽出法で抽出し、醗酵
させずに直ちに使用した。この未熟成ステビア抽出原液
はpHほぼ7であり、図7に示すように、大腸菌EC1
64に対して殺菌効果を示さなかった。一方、未熟成ス
テビア抽出原液にpH4.1の酢酸緩衝液150mMを添
加した場合には未熟成ステビア抽出原液の添加量に応じ
た殺菌効果を示した。この事実からステビア抽出液の殺
菌作用の少なくとも一部は熟成前のステビア抽出物中に
存在する物質に依存するものと考えられる。
【0025】実施例7 図8は熟成ステビア抽出液のビフィズス菌及び乳酸菌に
対する殺菌効果を示すグラフである。下記のビフィズス
菌及び乳酸菌を使用した。 ビフィズス菌(Bifidobacterium longum) JCM
1217(ATCC 15707) ビフィズス菌(Bifidobacterium adolescentis) JCM
1275(ATCC 15703) 乳酸菌(Lactobacillus acidophilus )JCM 1275
(ATCC 4356,IFO 13951) 乳酸菌(Lactobacillus casei ) JCM 1134
(ATCC 393)
【0026】殺菌効果は「(3)殺菌効果の測定法」に
示した方法で測定した。ビフィズス菌についてはBL培
地(日水製薬社製)を乳酸菌についてはMRS培地を用
いて嫌気的条件下で培養した。図8より明らかな通り、
熟成ステビア抽出原液は50V/V%の高濃度であっても
B. longum にもB. adolescentis にもL. acidophilus
L.casei にも有意の殺菌効果が認められなかった。こ
の事実は、本発明の殺菌剤が動物にとって有用な微生物
には作用せず、病原性微生物にのみ有効な選択性を有す
ることを意味し、きわめて望ましい殺菌剤である。
【0027】実施例8 殺菌剤は毒性が低いことが望ましく毒性試験を行った。
しかしながら、毒性に関しては本発明殺菌剤があまりに
低毒性であるため正確な毒性値を測定し得なかった。す
なわち、BALB/cマウスに体重1kgあたり1日1
回50g以上の大量の熟成ステビア抽出原液を1週間投
与したが、異常が認められなかった。
【0028】
【発明の効果】ステビアの植物組織の抽出物を含有する
本発明殺菌剤は食中毒菌に対する選択的殺菌効果を有
し、その効果は有機酸の存在により一層増大される。経
口投与することにより、ヒト及び動物の食中毒原因微生
物に対しては選択的に増殖を抑制し、毒素産生菌に対し
ては毒素の産生を抑制する効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は熟成ステビア抽出原液濃度と病原性大腸
菌に対する殺菌効果との関係を示すグラフである。
【図2】図2はステビア抽出原液濃度とEC183株の
ベロ毒素産生量との関係を示すグラフである。
【図3】図3はステビア抽出原液濃度とEC164株の
ベロ毒素産生量との関係を示すグラフである。
【図4】図4は熟成ステビア抽出原液の他の病原性微生
物に対する殺菌効果を示すグラフである。
【図5】図5はEC164株に対する熟成ステビア抽出
原液の効果のpH依存性を示すグラフである。
【図6】図6は有機酸単独の場合と、有機酸とステビア
抽出原液の大腸菌EC164に対する殺菌効果を比較す
るグラフである。
【図7】図7は未熟成ステビア抽出液とこれに酢酸を添
加した場合の大腸菌EC164に対する殺菌効果を示す
グラフである。
【図8】図8は熟成ステビア抽出液のビフィズス菌及び
乳酸菌に対する殺菌効果を示すグラフである。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステビアの植物組織の抽出液を含有する
    ことを特徴とする食中毒菌に対する選択的殺菌剤。
  2. 【請求項2】 ステビアの植物組織の抽出液が熱水抽出
    液、冷水抽出液又は低級アルコール抽出液であることを
    特徴とする請求項2記載の食中毒菌に対する選択的殺菌
    剤。
  3. 【請求項3】 ステビアの植物組織の抽出液と有機酸を
    含有することを特徴とする食中毒菌に対する選択的殺菌
    剤。
  4. 【請求項4】 有機酸が酢酸、乳酸、プロピオン酸、吉
    草酸、クエン酸、酒石酸及びリンゴ酸から選ばれた少な
    くとも1種であることを特徴とする請求項3記載の食中
    毒菌に対する選択的殺菌剤。
  5. 【請求項5】 ステビアの植物組織の抽出液が熱水抽出
    液、冷水抽出液又は低級アルコール抽出液であることを
    特徴とする請求項3又は4記載の食中毒菌に対する選択
    的殺菌剤。
  6. 【請求項6】 ステビアの植物組織の抽出液を醗酵させ
    たことを特徴とする食中毒菌に対する選択的殺菌剤。
  7. 【請求項7】 ステビアの植物組織の抽出液の醗酵物と
    有機酸を含有することを特徴とする食中毒菌に対する選
    択的殺菌剤。
JP9338281A 1997-05-27 1997-11-25 食中毒菌に対する選択的殺菌剤 Pending JPH1143443A (ja)

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