JPH1136192A

JPH1136192A - 紙の表面特性向上法

Info

Publication number: JPH1136192A
Application number: JP19919397A
Authority: JP
Inventors: Toshiaki Sugiyama; 俊明杉山; Noriyuki Shiba; 範行柴
Original assignee: Hymo Corp
Current assignee: Hymo Corp
Priority date: 1997-07-10
Filing date: 1997-07-10
Publication date: 1999-02-09

Abstract

(57)【要約】【課題】インクジェット用紙の表面に塗布し、インクジ
ェット式プリンターによるカラー印刷物の耐水性，発色
性を向上させる表面塗布剤を得る。【解決手段】（メタ）アクリル酸ヒドロキシアルキル
系単量体およびカチオン性単量体を含有する単量体の重
合物を紙の表面に塗布することにより、上記目的を達成
することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は紙の表面特性向上法
に関するものであり、特にインクジェットプリンターに
よる印刷後の耐水性・発色性が向上する紙の表面特性向
上法に関する。

【０００２】

【従来の技術】インクジェット印刷用紙の耐水化剤とし
てはカチオン性の重合体が一般的に使用されている。用
紙には専用紙と共用紙とよばれる種類があり、専用紙は
微粉末シリカ、ポリビニルアルコールおよび耐水化剤が
主要薬品であり、共用紙はポリビニルアルコールや塗工
用デンプンに耐水化剤を配合したものを塗布し表面処理
を行なう。

【０００３】耐水性を向上させるための一般的な方法と
しては耐水化剤のカチオン当量値を増加させることであ
るが、副作用として印刷後の発色の品位が低下してしま
う。発色の低下を抑えるために非イオンあるいはカチオ
ン性のゲルあるいは不溶性微粒子、または微粒子ととも
にカチオン性重合体を塗布する方法などが存在するがこ
の方法は耐水性が不十分である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は発色を向上さ
せようとすると耐水性が低下してしまうという矛盾を解
決しようとするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明の請求項１の発明
は、（メタ）アクリル酸ヒドロキシアルキル系単量体お
よびカチオン性単量体を含有する単量体の重合物を紙の
表面に塗布することを特徴とする紙の表面特性向上法で
ある。

【０００６】本発明の請求項２の発明は、（メタ）アク
リル酸ヒドロキシアルキル系単量体が（メタ）アクリル
酸２−ヒドロキシエチルであることを特徴とする請求項
１に記載の紙の表面特性向上法である。

【０００７】本発明の請求項３の発明は、全単量体中の
（メタ）アクリル酸ヒドロキシアルキル系単量体の割合
が５〜５０モル％であることを特徴とする請求項１ない
し請求項２に記載の紙の表面特性向上法である。

【０００８】本発明の請求項４の発明は、インクジェッ
ト印刷用紙として使用することを特徴とする請求項１な
いし請求項３に記載の紙の表面特性向上法である。

【０００９】

【発明の実施の形態】本発明の限定の第一は、（メタ）
アクリル酸ヒドロキシアルキル系単量体およびカチオン
性単量体を含有する単量体の重合物を紙の表面に塗布す
ることを特徴とする紙の表面特性向上法である。本発明
の限定の第二は、請求項１に記載の紙の表面特性向上法
において、（メタ）アクリル酸ヒドロキシアルキル系単
量体が（メタ）アクリル酸２−ヒドロキシエチルである
ことを特徴とする。本発明の限定の第三は、請求項１な
いし請求項２に記載の紙の表面特性向上法において、全
単量体中の（メタ）アクリル酸ヒドロキシアルキル系単
量体の割合が５〜５０モル％であることを特徴とする。
本発明の限定の第四は、請求項１ないし請求項２に記載
の紙の表面特性向上法において、インクジェット印刷用
紙として使用することを特徴とする。

【００１０】本発明で使用する（メタ）アクリル酸ヒド
キシアルキル系単量体の具体的例としてアクリル酸２−
ヒドロキシエチルまたはメタクリル酸２−ヒドロキシエ
チルなどである。またカチオン性単量体の具体例として
はジメチルアミノエチル（メタ）アクリレート、ジメチ
ルアミノプロピル（メタ）アクリルアミドなどの塩およ
び／またはハロゲン化メチルあるいはハロゲン化ベンジ
ルによる四級化物が有り、さらにジメチルジアリルアン
モニウム塩化物などが使用される。またこれら（メ
タ）アクリル酸ヒドロキシアルキル系単量体とカチオン
性単量体のほかに対象とする紙の機能、用途に応じてそ
の他のイオン性・非イオン性単量体、たとえばアクリル
アミド、Ｎ−ビニルピロリドン、Ｎ−ビニルカルボン酸
アミド、スチレン、アクリル酸などを共重合することも
できる。

【００１１】次に（メタ）アクリル酸ヒドロキシアルキ
ル系単量体とカチオン性単量体との共重合比率について
述べる。（メタ）アクリル酸ヒドロキシアルキル系単量
体のモル比としては５〜５０モル％が一般的であるが、
好ましくは５〜３０モル％である。一方カチオン性単
量体は２０〜９５モル％が一般的であるが、好ましくは
３０〜９０モル％、さらに好ましくは４０〜９０モル％
である。

【００１２】本発明で使用する重合体の分子量を回転粘
度計で表現した場合、重合体濃度２０％、２５℃におい
て一般的には５〜１００、０００ｍｐａ・ｓであるが、
好ましくは１０〜５００００ｍｐａ・ｓ、さらに好まし
くは２０〜５、０００ｍｐａ・ｓである。一般的にいっ
て粘度が高くなると塗工工程における操業上の問題、あ
るいは塗工後の印刷適性の点などトラブルが起きる可能
性が高く、好ましくない。

【００１３】重合体の製造法として特に制限はなく水溶
液重合、逆相乳化重合、分散重合などの重合法を用い
て、有機、無機の過酸化物あるいはアゾ系化合物、さら
に過酸化物と還元剤によるレドックスシステムでラジカ
ル重合を行ない重合体の水溶液や分散液を得ることがで
きる。重合は一般的には０〜１００℃で行なうことが可
能で、反応は単量体濃度として１０〜５０％で行なうの
が効率的である。

【００１４】本発明で使用する重合体は共用紙の処方で
あれば重合体単独で０．５〜５％の重合体濃度で使用さ
れ、塗工用デンプンやポリビニルアルコールと配合して
使用するなら塗工液中に１０〜５０％添加する。また専
用紙の処方であれば微粉末シリカ、ポリビニルアルコー
ル、重合体の合計に対して１〜１０％配合する。塗工操
作はサイズプレスやゲートロールコーターを用いて行な
う一般の塗工と同様であるが、通常使用している表面サ
イズ剤、各種填料類、表面強度剤、染料類、消泡剤類な
どと同時に配合しても問題はない。

【００１５】

【実施例】以下実施例によって発明をさらに具体的に説
明する。

【００１６】（重合体の合成）単量体濃度２２％、ｐＨ
４．０において各種組成の単量体溶液を調製し重合度調
節剤として２−メルカプトエタノールを表１に示す量添
加し、２、２アゾビスアミジノプロパン二塩化物を開始
剤として用い６０℃、６時間重合した。重合後、溶液を
２０％に調節し回転粘度計により２５℃における溶液粘
度を測定した。結果は表１に示す。

【００１７】

【表１】

【００１８】（実施例１〜９）合成した各種重合体Ｎ
ｏ．１〜９につき坪量７０ｇ／ｍ²、ステキヒトサイズ
度２５秒の上質紙を原紙として用い、下記のような塗
工、印刷、耐水性の評価試験を行なった。塗工用酸化デ
ンプンとして敷島スターチ製、Ｍ−2 ００を５％に加熱
溶解し、各重合体溶液の５％溶液とともに重量比でデン
プン対重合体を４：１に混合し、コーテイングロッドで
固形分が片面１．０ｇ／ｍ²塗布した後、１００℃、５
分間乾燥し塗工紙を得た。３時間放置後、キャノン製バ
ブルジェット式プリンターＢＪＣ−６００Ｊで印字およ
びベタ印刷した。その後以下のような性能評価試験を行
なった。（１）ベタ印刷部均一性目視による観察（２）印刷後のベタ部発色状態日本電色製比色計ＮＲ−３０００を用いて測定（３）流水による耐水性試験５ｍｌ／ｓｅｃで流れる水中に１０分間浸し、試験前後
の変化を比色計で測定し、変化量をΔＥで表す。ここ
で ΔＥ＝｛（Ｌ^*２−Ｌ^*１）²＋（ａ^*２−ａ^*１）²
＋（ｂ^*２−ｂ^*１）²｝^1/2 但し、Ｌ^*２，ａ^*２，ｂ^*２は試験後の測定値、Ｌ^*
１、ａ^*１、ｂ^*１は試験前の測定値である。Ｌ^*、ａ
^*、ｂ^*は規格化されたハンターの色空間座標パラメー
ターを表す。以上の結果は表２に示す。

【００１９】（比較例１〜４）合成した各種重合体Ｎ
ｏ．１０，１１，１２，および一級アミノ化率６８％の
ポリ（ビニルホルムアミド・ビニルアミン）塩化物、２
５℃における２０％溶液粘度１１７ｍｐａ・ｓ（比較品
１）を用い、実施例と同様に性能評価を行なった。結果
を表２に示す。

【００２０】

【表２】

【００２１】（実施例１０〜１８）実施例１〜９と同様
の原紙、試験条件で重合体Ｎｏ．１〜９につき以下の組
成の塗工液を固形分２０％に調製し片面５ｇ／ｍ²塗布
し、各試験を行ない表３のような結果を得た。・微粉末シリカ（アエロジル３８０、日本アエロジル製）；５０％・ポリビニルアルコール１１７（クラレ製）；４６％・本発明重合体；４％上記組成にて混合しホモジナイザーで１００００ｒｐ
ｍ，３分間攪拌する。

【００２２】（比較例５〜８）比較例１〜４と同様の比
較品を用いて実施例１０〜１８の塗工液の組成で塗布、
印刷、性能評価試験を行なった。結果を表３に示す。

【００２３】

【表３】

【００２４】

【発明の効果】本発明品を用いた場合は比較例に比較し
インクジェット用紙として用いた場合に明らかな発色特
性および耐水性の向上が認められる。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】（メタ）アクリル酸ヒドロキシアルキル
系単量体およびカチオン性単量体を含有する単量体の重
合物を紙の表面に塗布することを特徴とする紙の表面特
性向上法。
【請求項２】（メタ）アクリル酸ヒドロキシアルキル
系単量体が（メタ）アクリル酸２−ヒドロキシエチルで
あることを特徴とする請求項１に記載の紙の表面特性向
上法。
【請求項３】全単量体中の（メタ）アクリル酸ヒドロ
キシアルキル系単量体の割合が５〜５０モル％であるこ
とを特徴とする請求項１ないし請求項２に記載の紙の表
面特性向上法。
【請求項４】インクジェット印刷用紙として使用する
ことを特徴とする請求項１ないし請求項３に記載の紙の
表面特性向上法。