JPH1135444A - 新規化粧料 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】化粧料において、最近の天然指向、植物指向に
合った天然物由来であって、高い効果を有する過酸化脂
質生成抑制剤が含有され、さらにその過酸化脂質抑制効
果が長期間持続する化粧料が望まれている。 【解決手段】本発明は、油溶性トマト抽出物を含有する
ことにより、皮膚上の過酸化脂質が原因となって発生す
る皮膚障害、皮膚の炎症等を防止する優れた化粧料を提
供する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、油溶性トマト抽出
物を含有する新規化粧料、詳しくは皮膚における過酸化
脂質の生成の抑制効果を有する化粧料に関する。

【０００２】

【従来の技術】ヒトの皮膚では、皮膚成分の過酸化反応
が進行し、この過酸化反応の進行によって生成される過
酸化脂質は皮膚の炎症等の皮膚障害を引き起こし、皮膚
の老化や皮膚癌の原因となっていると考えられている。
この障害は、太陽光線に含まれる紫外線を浴びることに
よりさらに増加される。このような過酸化脂質の生成を
抑制して、皮膚障害を防止し、皮膚の老化、色素沈着、
皮膚癌を予防するため、過酸化脂質の生成抑制剤を、皮
膚外用剤、化粧品等に含有することが効果的である。
又、化粧品において、天然物指向、植物指向が高まって
おり、植物由来の原料として、トマトの水による抽出物
が保湿目的や過酸化脂質の生成抑制を目的として含有さ
れている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記植物由来の抽出物
は、トマトの果実を圧搾・ろ過したトマト果汁やトマト
の果実を、水やプロピレングリコ−ル、1,3-ブチレング
リコ−ルで抽出したもので、その効果は低い。そのた
め、最近の天然物指向、植物指向に合った天然物由来で
あって、高い効果を有する過酸化脂質生成抑制剤が含有
された化粧料、さらにその過酸化脂質抑制効果が長期間
持続する化粧料が望まれている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記課題に鑑み、本発明
者等は鋭意研究を重ねた結果、トマト果実から有機溶媒
により抽出された油溶性組成物を化粧料に含有すること
によって、過酸化脂質生成抑制効果が高く、皮膚老化防
止効果がある新規化粧料を見出し、本発明を完成するに
至った。即ち、本発明は油溶性トマト抽出物を含有する
ことを特徴とする化粧料である。

【０００５】

【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を説明する。
本発明に使用される油溶性トマト抽出物は、トマトの果
実をヘキサン、酢酸エチル、エタノ−ル、エチルエ−テ
ルのような有機溶媒、又はこれらの有機溶媒の１種又は
２種以上を組み合わせて抽出することにより得られる油
溶性の赤色の混合物で、その内容成分は、油脂類及びカ
ロチノイド類等である。

【０００６】当該油脂類は、例えばトリグリセリド、ス
テロイド等である。又、当該カロチノイド類は、例えば
β−カロチン、リコピン等である。

【０００７】本発明においてトマト抽出に使用される有
機溶媒は、ヘキサン、ヘプタン、メチルエチルケトン、
酢酸エチル、酢酸ブチル、トリクロロエタン等である
が、作業性、安全性及び経済性等の理由によりヘキサン
が好ましい。

【０００８】本発明の化粧料において使用される油溶性
トマト抽出物の含有量は、化粧料全量に対して、好まし
くは0.001〜30％、更に好ましくは0.005〜10％である。
0.001％より少ないと、抽出物の過酸化脂質抑制効果が
十分でなく、30％を越えると、化粧料中に均一に配合す
ることが困難となる。

【０００９】本発明の化粧料は、肌へ塗布することによ
り、皮膚における過酸化脂質の生成を有効に抑制し、皮
膚の老化を防止する。

【００１０】水抽出物が皮膚内に吸収されず皮膚表面に
とどまるのに比べ、本発明の化粧料は、皮膚から吸収さ
れ皮脂質に貯蔵されるため、その効果は顕著で持続的に
発揮される。このため、該化粧料を長期間連用すること
によって、肌の老化を抑制するとともに、皮膚のつやの
消失を防ぎ、シットリとした若々しい肌を長期間保つこ
とができる。

【００１１】本発明の化粧料において、油溶性トマト抽
出物と、例えばβ−カロチン、ビタミンＥ、ビタミンＥ
アセテ−ト、ビタミンＣ又はアスコルビン酸リン酸マグ
ネシウム等の酸化防止剤とを併用することにより効果が
更に高まる。

【００１２】本発明の化粧料は、当該油溶性トマト抽出
物を必須成分とするが、加えて、本発明の効果を損なわ
ない範囲で化粧料に用いられる成分、例えば、油分、粉
体、顔料、高級アルコ−ル、紫外線吸収剤、界面活性
剤、保湿剤、増粘剤、酸化防止剤、抗炎症剤、香料、色
素、防腐剤等を配合することができる。

【００１３】本発明の化粧料は、種々の形態、例えばク
リーム、化粧乳液、化粧水、油性化粧料、パック、ファ
ンデーション、口紅及びボディ化粧品等として用いるこ
とができる。

【００１４】

【実施例】次に、実施例を挙げて本発明をさらに説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。

【００１５】(実施例１) <過酸化脂質の生成抑制試験>油溶性トマト抽出物による
過酸化脂質の生成抑制力を下記の方法により測定した。

【００１６】スクワレンを水蒸気蒸留により精製して、
過酸化物価０．１以下のものを試験に使用した。このス
クワレンに本品を添加してガラス瓶に入れ、経時的に過
酸化物価（ＰＯＶ：meq/Kg）を測定した。過酸化物価測
定法は基準油脂分析試験法に記載されている方法を使用
した。その結果を表１に示した。

【００１７】

【表１】

【００１８】本試験に使用する油溶性トマト抽出物とし
て、LycoRed Natural ProductsIndustries 社 (イス
ラエル国)の製品 Lyco-O-Mato^TMを使用した。

【００１９】表１から明らかなように、油溶性トマト抽
出物には過酸化物の生成抑制効果が認められた。

【００２０】(実施例２) <ホルマリン生成抑制試験>下記の方法によりホルマリン
量を測定した。プロピレングリコ−ル中に、実施例１で
使用したものと同じ油溶性トマト抽出物、トマト果汁、
又はトマトエキスを添加して、５０℃の高温槽に３日間
及び１週間保存した後、ホルマリン量を測定した。測定
は、衛生試験法の一般試験法により、比色定量した。そ
の結果を表２に示した。

【００２１】

【表２】

【００２２】トマト果汁は、トマトをミキサ−で破砕し
た後、加圧ろ過して試料とした。トマトエキスは、トマ
トをミキサ−で破砕した後、等量のプロピレングリコ−
ルを加えて撹拌した後、ろ過して試料とした。

【００２３】表２から明らかなように、油溶性トマト抽
出物には顕著なホルマリンの生成抑制効果が認められ
た。

【００２４】(実施例３) ＜クリームの処方における老化防止効果＞表３に示す処
方のクリ−ムを用いて、肌荒れ、老化防止効果を、パネ
ラ−で試験した。

【００２５】

【表３】

【００２６】製法 表３に示す組成Ａの混合物及び組成Ｂの混合物をそれぞ
れ80℃に加熱溶解し、混合物Ｂを混合物Ａに撹拌しなが
ら加えて乳化し、冷却して45℃になるまで撹拌した。

【００２７】試験方法 ２２才〜４３才の健康な女性２０名をパネラ−とし、４
週間連続して毎日、朝晩２回、洗顔後に、顔面に適量を
塗布した。４週間後、塗布による皮膚の老化防止効果を
目視により観察し、下記の評価基準により評価した。

【００２８】肌荒れ・老化防止効果 評点 皮膚の状態 ３ つや、はりが改善された ２ つや、はりがやや改善された １ 試験前と変化なし

【００２９】その結果を表４に示した。

【００３０】

【表４】

【００３１】表４より明らかなように本発明(処方1、2)
の皮膚に対する老化防止効果は顕著であった。

【００３２】(実施例４) <日焼け油の処方による効果>表５に示す処方の日焼け油
を用いて、肌荒れ・老化防止効果を、パネラ−で試験し
た。

【００３３】

【表５】

【００３４】製法 成分（２）を成分（１）に均一に溶解した後、成分
（３）を撹拌しながら加え、さらに（４）以降の成分を
加える。

【００３５】試験方法 ２２才〜４３才健康な女性２０名をパネラ−とし、２週
間連続して毎日、昼１回、洗顔後に、顔面に適量を塗布
した後、１時間、日光浴をした。２週間後、塗布による
皮膚の老化防止効果を目視により観察し、下記の評価基
準により評価した。

【００３６】肌荒れ・老化防止効果 評点 皮膚の状態 ３ つや、はりが改善された ２ つや、はりがやや改善された １ 試験前と比べ変化なし −１ つや、はりがやや減少した

【００３７】その結果を表６に示した。

【００３８】

【表６】

【００３９】表６の結果より明らかなように、本発明品
(処方6)は、日焼けによる皮膚の老化に対しても抑制す
る効果があることが判明した。

【００４０】 (実施例５) 〈乳液の処方における長期間の安定性(効果の持続性)〉 （Ａ）POE(20)ベヘニルエーテル (NIKKOL BB-20) 0.5％ モノステアリン酸グリセリン (NIKKOL MGS-B) 1.0％ テトラオレイン酸POE(60)ソルビット (NIKKOL GO-460) 1.0％ プロピレングリコ−ルジカプリレ−ト 10.0％ セタノール 0.5％ ステアリン酸 0.5％ 油溶性トマト抽出物 （実施例１で使用したもの） 0.1％ ブチルパラベン 0.1％ （Ｂ） メチルパラベン 0.1％ 1,3-ブチレングリコール 5.0％ カーボポール940 1%水溶液 (NaOH中和) 7.0％ 精製水で 100.0％ （Ｃ） 香料 適 量 製法 実施例３と同様の調製法で乳液を調製し、成分Ｃは乳化
後、冷却工程の４５℃になるまでに添加した。

【００４１】試験方法 老化防止効果の試験は、この乳液を用いて（１）調製直
後、50℃の恒温槽に（２）１か月、（３）３か月保存後
に同様に２０名のパネラ−による老化防止効果試験を実
施した。試験方法は実施例３と同じ条件で実施した。そ
の結果を表7に示した。

【００４２】

【表７】

【００４３】表7の結果より明らかなように、油溶性ト
マト抽出物の老化防止効果は製剤中で経時的に安定であ
った。

【００４４】（実施例６−９）実施例５と同様に、下記
の実施例6-9の処方における長期間の安定性及び効果を
調べた。

【００４５】 （実施例６) 〈栄養クリームの処方〉 処方 （Ａ）モノパルミチン酸POE(20)ソルビタン (NIKKOL TP-10) 1.0％ テトラオレイン酸POE(60)ソルビット (NIKKOL GO-460) 1.5％ 自己乳化型モノステアリン酸グリセリン (NIKKOL MGS-BSE-C) 1.5％ 流動パラフィン＃70 5.0％ トリ（カプリル・カプリン酸）グリセリン 12.0％ セタノール 3.0％ 蜜ロウ 2.0％ MCステアリン酸 3.0％ パラフィンワックス 135°F 3.0％ 油溶性トマト抽出物 0.3％ ブチルパラベン 0.1％ （Ｂ）メチルパラベン 0.1％ 1,3-ブチレングリコール 5.0％ 精製水で 100.0％ （Ｃ）香料 適 量

【００４６】 実施例７ 〈マッサージクリームの処方〉 処方 （Ａ） モノステアリン酸POE(20)ソルビタン (NIKKOL TS-10) 2.0％ テトラオレイン酸POE(60)ソルビット (NIKKOL GO-460) 1.5％ 自己乳化型モノステアリン酸グリセリン (NIKKOL MGS-ASE) 2.0％ 水素添加メドウフォーム油 4.0％ メドウフォーム油 10.0％ 流動パラフィン＃70 35.0％ 蜜ロウ 3.0％ パラフィンワックス 135°F 2.5％ セタノール 1.0％ MCステアリン酸 2.0％ 油溶性トマト抽出物 0.2％ ブチルパラベン 0.1％ （Ｂ） メチルパラベン 0.1％ 1,3-ブチレングリコール 5.0％ 精製水で 100.0％ （Ｃ）香料 適 量

【００４７】 (実施例８) 〈リップクリームの処方〉 処方 流動パラフィン 30.0％ スクワラン 10.0％ カルナバワックス１号 2.0％ 精製キャンデリラロウ 10.0％ セシレンワックス 4.0％ メドウフォーム油 10.0％ 油溶性トマト抽出物 0.5％ ヒマシ油 33.5％

【００４８】 (実施例９) 〈ハンドクリームの処方〉 処方 （Ａ）水素添加メドウフォーム油 5.0％ 蜜ロウ 3.5％ パラフィンワックス 135°F 1.0％ セタノール 2.0％ 牛脂 (NIKKOL Trifat T-42) 4.0％ イソオクタン酸セチル (NIKKOL CIO) 3.0％ モノステアリン酸ポリエチレングリコール (EO25) 1.5％ モノステアリン酸グリセリン (NIKKOL MGS-DEX) 3.5％ シリコーン油 (KF-96, 300cs) 0.2％ 油溶性トマト抽出物 0.3％ ブチルパラベン 0.1％ （Ｂ）メチルパラベン 0.1％ グリセリン 3.0％ 精製水で 100.0％

【００４９】実施例５〜９の化粧料を、４０℃の恒温槽
で１か月保存した後外観を観察したところ色調変化はな
く安定であった。実施例５〜９の製剤を長期連用するこ
とにより、シットリした若々しい肌になり、日焼けを防
止するという結果が得られた。

【００５０】

【発明の効果】本発明の化粧料は、油溶性トマト抽出物
を含有する化粧料であり、皮膚上に生成された過酸化脂
質を有効に除去する。従って、皮膚上の過酸化脂質が原
因となって発生する皮膚障害、皮膚の炎症及び老化等を
防止する。さらに、本発明の化粧料に用いられる油溶性
トマト抽出物は精製が容易なため、それを含有した化粧
料は工業的に優位であり、安価に提供できる。また、最
近の植物指向化粧品に適したものであり、さらに皮膚に
対する刺激性がないため、安心して使用することができ
るものである。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】油溶性トマト抽出物を含有することを特徴
   とする化粧料。
2. 【請求項２】油溶性トマト抽出物が、油脂類及びカロチ
   ノイド類を含有する請求項１に記載の化粧料。
3. 【請求項３】油溶性トマト抽出物が、過酸化脂質生成抑
   制効果を有する請求項１-２に記載の化粧料。
4. 【請求項４】油溶性トマト抽出物を0.001-30%(重量)含
   有する請求項1−3に記載の化粧料。