JPH11353934A - 有機−無機複合導電性ゾル及びその製造法 - Google Patents

有機−無機複合導電性ゾル及びその製造法

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JPH11353934A
JPH11353934A JP10174131A JP17413198A JPH11353934A JP H11353934 A JPH11353934 A JP H11353934A JP 10174131 A JP10174131 A JP 10174131A JP 17413198 A JP17413198 A JP 17413198A JP H11353934 A JPH11353934 A JP H11353934A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】新規の導電性ゲルの提供 【解決手段】5〜50nmの一次粒子径を有する導電性
酸化物のコロイド粒子例えば導電性アンチモン酸亜鉛の
コロイド粒子、導電性アンチモン酸インジウムのコロイ
ド粒子、又はそれらの混合物と、導電性ポリマーのコロ
イド粒子例えば2〜10nmの一次粒子径を有するポリ
チオフェン又はポリチオフェン誘導体とからなる有機−
無機複合導電性ゾル。この導電性ゾルは、樹脂、プラス
チックス、ガラス、紙、磁気テープ等の透明性帯電防止
材料、透明性紫外線吸収材料、透明性熱線吸収材料、透
明性抵抗材料、高屈折率ハードコート剤、反射防止剤な
ど様々の用途に用いられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導電性酸化物のコ
ロイド粒子と導電性ポリマーのコロイド粒子からなる有
機−無機複合導電性ゾル及びその製造法に関する。本発
明の有機−無機複合導電性ゾルは、樹脂、プラスチック
ス、ガラス、紙、磁気テープ等の透明性帯電防止材料、
透明性紫外線吸収材料、透明性熱線吸収材料、透明性抵
抗材料、高屈折率ハードコート剤、反射防止剤など様々
の用途に用いられる。
【0002】
【従来の技術】導電性酸化物として、酸化アンチモンド
ープ酸化スズ、酸化スズドープ酸化インジウム、導電性
アンチモン酸亜鉛、導電性アンチモン酸インジウム、導
電性酸化亜鉛などが知られており、これらは粉末、水性
ゾル、有機溶媒ゾルとして市販されている。
【0003】特開平6−219743号公報には、0.
8〜1.2のZnO/Sb25モル比と、5〜500n
mの一次粒子径を有する導電性無水アンチモン酸亜鉛が
開示されている。
【0004】特開平7−144917号公報には、I
n:Sb:Oのモル比として1:0.02〜1.25:
1.55〜4.63の比率のインジウム原子、アンチモ
ン原子及び酸素原子からなり、且つ5〜500nmの一
次粒子径を有する導電性酸化物粒子が開示され、更には
In:Sb:Oのモル比として1:0.83〜1.2
5:3.58〜4.63の比率のインジウム原子、アン
チモン原子及び酸素原子からなり、且つ5〜500nm
の一次粒子径を有するアンチモン酸インジウムの結晶構
造を有する導電性酸化物粒子が開示されている。
【0005】導電性ポリマーとしては、ポリアニリン、
ポリアニリン誘導体、ポリチオフェン、ポリチオフェン
誘導体、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリパラフェ
ニレン、ポリフェニレンビニレンなどが知られている。
【0006】特開平6−287454号公報には、ポリ
アニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、又はポリ
(パラ硫化フェニレン)等の重合体を含む水溶性導電性
物質が開示されている。
【0007】特開平5−170904号公報には、有機
溶媒に可溶性で、ドーピングにより高い導電率を示すポ
リアニリン誘導体が開示されている。
【0008】特開平5−171010号公報には、0.
5重量%以上の濃度のポリアニリン若しくはその誘導
体、又は炭素数4以上のアルキル置換ポリチオフェンの
導電性高分子化合物と、この導電性高分子化合物を構成
する単量体に対して2モル%以上のジアミン化合物を含
有する導電性高分子化合物溶液が開示されている。
【0009】特開平6−76652号公報には、ピロー
ル系、フラン系、チオフェン系、アニリン系又はベンジ
ジン系等のモノマーを溶媒に溶解して得た溶液を、高分
子成形体に接触することにより含浸させ、酸化剤と接触
し、高分子成形体表面を導電性とするプロセスが開示さ
れている。
【0010】特開平1−313521号公報、特開平7
−90060号公報及び特開平9−12968号公報に
は、ポリチオフェン及びポリチオフェン誘導体、並びに
これらの組成物から成る透明な帯電防止コーティング剤
が開示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】導電性酸化物および導
電性ポリマーは適切な有機バインダーと混合使用するこ
とによりいずれもプラスチック成形体、フィルム等の帯
電防止処理に利用することができる。特に、透明性の高
い導電性酸化物微粒子のゾルは、その微粒子の特長を生
かして透明性帯電防止塗料として利用することができ
る。導電性酸化物は電子電導性であるため、例えば透明
性帯電防止塗料として利用した場合、塗膜の導電性が安
定であり、また、無機フィラーとしての効果も有するの
で硬度の高い塗膜を得ることもできる。しかし、導電性
酸化物だけを用いる方法では、バインダーに対する導電
性酸化物の配合量を多くすると良好な導電性を得ること
ができ、塗膜の着色性についても問題ないが、塗膜の透
明性や塗膜の柔軟性が低下したり、配合量を減少すると
導電性を発現しにくい欠点を持っている。また、塗膜形
成後に塗膜及び基材を例えば延伸するような加工を行う
と、導電性酸化物粒子相互の距離が大きくなり、導電性
が低下するなどのことが起きる。
【0012】一方、導電性ポリマーはそれ自体が比較的
良好な造膜性を有するので、用途によっては単独使用す
ることもできるが、コロイド溶液であることから膜強度
は弱く、実用に供するには導電性酸化物と同様に、有機
バインダーと混合使用する必要がある。有機バインダー
に対する導電性ポリマーの配合量が多いと良好な導電性
を示すが、例えば透明性帯電防止塗料として利用する場
合、塗膜の着色が大きくなり透明性が低下したり、膜の
柔軟性には優れるが塗膜硬度が出にくいという欠点を有
している。また、導電性ポリマーコロイドは非常に微小
な粒子からなっているために、バインダーとの相溶性が
乏しく、増粘したりする欠点を有している。また、配合
量が少ないと導電性が発現しにくくなる欠点を持ってい
る。また、導電性ポリマーを用いた導電膜は着色性、コ
ストなどの点で膜厚を大きくすることが困難であり、膜
の導電性の安定性が得られにくい。
【0013】導電性酸化物コロイドまたは導電性ポリマ
ーコロイドを帯電防止用途に用いる場合、例えば透明性
帯電防止塗料として利用する場合、単独では十分な性能
を発揮することができない場合、例えば、配合量の少な
い場合とか塗膜を後加工する場合などに、単に導電性酸
化物ゾルと導電性ポリマー溶液を混合・併用するだけで
は両者の欠点を補うことはできない。通常、導電性酸化
物ゾルと導電性ポリマーを単に混合しただけでは凝集、
ゲル化を起こし実用に供する事はできない。
【0014】本発明は、導電性酸化物ゾルと導電性ポリ
マーコロイド溶液の欠点を改良した、有機−無機複合導
電性ゾル及びその製造方法を提供するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本願の請求項1に記載の
発明は、5〜50nmの一次粒子径を有する導電性酸化
物のコロイド粒子と、導電性ポリマーのコロイド粒子と
からなる有機−無機複合導電性ゾルである。
【0016】また請求項2に記載の発明は、導電性酸化
物のコロイド粒子が導電性アンチモン酸亜鉛のコロイド
粒子、導電性アンチモン酸インジウムのコロイド粒子、
又はそれらの混合物である請求項1に記載の有機−無機
複合導電性ゾルである。
【0017】また請求項3に記載の発明は、導電性ポリ
マーのコロイド粒子が2〜10nmの一次粒子径を有す
る請求項1又は請求項2に記載の有機−無機複合導電性
ゾルである。
【0018】また請求項4に記載の発明は、導電性ポリ
マーがポリチオフェン又はポリチオフェン誘導体である
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の有機−無
機複合導電性ゾルである。
【0019】また請求項5に記載の発明は、導電性酸化
物と導電性ポリマーの割合が、導電性酸化物/導電性ポ
リマーの重量比で98/2〜5/95である請求項1乃
至請求項4のいずれか1項に記載の有機−無機複合導電
性ゾルである。
【0020】また請求項6に記載の発明は、0.1〜5
重量%濃度の導電性酸化物ゾルと0.01〜0.5重量
%濃度の導電性ポリマーコロイド溶液を混合した後、該
混合溶液を濃縮する請求項1に記載の有機−無機複合導
電性ゾルの製造法である。
【0021】そして請求項7に記載の発明は、導電性酸
化物ゾルが実質的にイオンを含有しない水性ゾルであ
り、且つ導電性ポリマーコロイド溶液が水性コロイド溶
液である請求項6に記載の有機−無機複合導電性ゾルの
製造法である。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明において導電性酸化物とし
ては、5〜50nmの1次粒子径を有する。
【0023】ここで1次粒子径とは凝集形態にある粒子
の直径ではなく、個々に分離したときの1個の粒子の直
径として電子顕微鏡観察により求められる。
【0024】これらの導電性酸化物のコロイド粒子は、
酸化アンチモンドープ酸化スズ、酸化スズドープ酸化イ
ンジウム、導電性アンチモン酸亜鉛、導電性アンチモン
酸インジウム、導電性酸化亜鉛などの透明性の高い導電
性酸化物が挙げられ、これらを単独で又は混合物として
用いる事が出来る。これらの導電性酸化物は水性ゾル又
は有機溶媒ゾルとして市販されている。また、必要に応
じてこれらの導電性酸化物粉末を水または有機溶媒中で
湿式粉砕することによってゾルを作成し用いることがで
きる。例えば、特開平6−219743号公報に記載の
方法で得られる無水アンチモン酸亜鉛ゾルを用いること
ができる。即ち、0.8〜1.2のZnO/Sb25
ル比に亜鉛化合物(例えば炭酸亜鉛、塩基性炭酸亜鉛、
硝酸亜鉛、塩酸亜鉛、硫酸亜鉛、ぎ酸亜鉛、酢酸亜鉛、
蓚酸亜鉛が挙げられる。)とコロイダル酸化アンチモン
(五酸化アンチモンゾル、五酸化アンチモン粉末、微粒
子状三酸化アンチモン粉末が挙げられる。)を混合した
後、500〜680℃で焼成して得られた無水アンチモ
ン酸亜鉛を、水又は有機溶媒中でサンドグラインダー、
ボールミル、ホモジナイザー、ディスパー、コロイドミ
ルなどにより湿式粉砕することにより無水アンチモン酸
亜鉛の水性ゾル又は有機溶媒ゾルを得ることが出来る。
【0025】また特開平7−144917号公報に記載
の方法で得られるアンチモン酸インジウムを用いること
もできる。即ち、インジウム化合物(例えば水酸化イン
ジウム、酸化インジウム、炭酸インジウム、塩基性炭酸
インジウム、硝酸インジウム、塩化インジウム、硫酸イ
ンジウム、スルファミン酸インジウム、シュウ酸インジ
ウム、テトラエトキシインジウム等が挙げられる。)と
コロイダル酸化アンチモン(五酸化アンチモンゾル、五
酸化アンチモン粉末、微粒子状三酸化アンチモン粉末が
挙げられる。)を、In/Sbのモル比で0.8〜1.
2に混合し、そして大気中で700〜900℃で焼成し
て得られたアンチモン酸インジウムを、水又は有機溶媒
中でサンドグラインダー、ボールミル、ホモジナイザ
ー、ディスパー、コロイドミルなどにより湿式粉砕する
ことによりアンチモン酸インジウムの水性ゾル又は有機
溶媒ゾルを得ることが出来る。
【0026】特に、実質的にイオンを含有しない導電性
酸化物水性ゾルが好ましい。
【0027】導電性ポリマーとしては、2〜10nmの
1次粒子径を有するコロイド粒子が好ましく、例えばポ
リアニリン、ポリアニリン誘導体、ポリチオフェン、ポ
リチオフェン誘導体、ポリピロール、ポリアセチレン、
ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレンなどを用
いることができる。又、ドーパントとしては、Cl-
Br-、ClO4 -、パラトルエンスルホン酸、スルホン
化ポリスチレン、ポリメタクリル酸、スルホン化ポリビ
ニルアルコールなどが用いられている。
【0028】通常、ドーパント入りの導電性ポリマーが
導電性ポリマーとして粉末または分散液で市販されてお
り、これを使用することができる。本発明においては、
このドーパント入り導電性ポリマーを導電性ポリマーと
称する。本発明において使用する導電性ポリマーは、導
電性酸化物と同等以上の導電性を有するものが好まし
く、特に、ポリチオフェン及びポリチオフェン誘導体好
ましい。例えば、特開平1−313521号公報、特開
平7−90060号公報、特開平9−12968号公報
に記載の方法で得られるポリチオフェン及びポリチオフ
ェン誘導体を好ましく用いることができる。
【0029】導電性酸化物ゾルと導電性ポリマーコロイ
ド溶液を併用することによって相互に欠点を補うには、
導電性酸化物ゾルと導電性ポリマーコロイド溶液の単な
る混合物では導電性酸化物粒子と導電性ポリマー粒子が
別個に挙動し、十分な併用の効果を得ることはできな
い。従って、導電性酸化物ゾルと導電性ポリマーコロイ
ド溶液の併用による十分な効果を得るためには、導電性
酸化物コロイドと導電性ポリマーコロイドが相互に結合
又は吸着するなどによって複合化されていることが必要
である。
【0030】また、導電性酸化物ゾル及び導電性ポリマ
ーコロイド溶液または有機無機複合導電性ゾルは、例え
ば透明性帯電防止塗料として用いられる。この場合、導
電性酸化物ゾルや導電性ポリマーコロイド溶液が凝集、
ゲル化すると、透明性帯電防止塗料として十分な透明性
を得ることができない。
【0031】ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリア
ニリン、ポリピロール、ポリパラフェニレン、ポリパラ
フェニレンビニレン及びこれらの誘導体などの導電性ポ
リマーのコロイド粒子については、その重合方法、重合
条件によってかなり異なっており、形状の不明確なも
の、繊維状のもの、粒子形状を有するものなどが報告さ
れている。
【0032】例えば、ポリアニリンでは、Adv.Ma
ter.1993,5,No.4,第300〜305頁
に100〜200nmの球状粒子が記載されている。P
orymer,1993,vol.34,No.1,第
158〜162頁にはN置換ポリアニリン誘導体が数百
nmの羽毛状凝集体を形成していることが報告されてい
る。
【0033】市販のポリアニリン、ポリチオフェンは透
過型電子顕微鏡観察によると、球状粒子、明確な形状の
繊維状粒子、形の不明確な粒子の凝集体の混合物として
存在していることがわかる。特に形の不明確な粒子の凝
集体はアモルファスなアルミナ水和物コロイド粒子の羽
毛状凝集体に形状が酷似していることから、小さなコロ
イド粒子の凝集体と考えられる。
【0034】一方、酸化スズドープ酸化インジウム(I
TO)、酸化アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、導
電性アンチモン酸亜鉛、導電性アンチモン酸インジウ
ム、導電性酸化スズなどの透明性導電性酸化物コロイド
粒子は、一般に5〜50nmの1次粒子径を有し、単独
で(1次粒子として)又は小さな凝集体として存在して
いる。
【0035】市販のポリチオフェン(バイエル(株)
製、商品名バイトロンP)は、透過型電子顕微鏡観察の
結果、10〜100nmの球状に凝集した粒子、短軸2
〜5nm、長軸50〜100nmの繊維状粒子の凝集
体、形状のはっきりしない数nmの粒子の凝集体が認め
られ、量的には2〜10nmの一次粒子径を有する粒子
の凝集体が多いことが確認された。
【0036】市販のポリアニリンは、2〜5nmの粒子
が単分散したものから、数個から数十個の小さな凝集
体、さらに大きな凝集体及び数は少ないが200nm以
上の球状粒子(球状凝集体)が確認された。
【0037】これらの結果から、導電性ポリマーコロイ
ドは、いずれも基本的には非常に小さな粒子(数nm)
が弱くランダム方向に凝集したもの、強く結合し繊維状
や球状になったものであると言うことができる。特に、
弱い凝集体は機械的な力、濃度、pH(水性の場合)、
溶媒などを適切に選ぶことにより、凝集体を著しく小さ
くすることができる。
【0038】前述の導電性酸化物コロイドはいずれも塩
基性酸化物を含有しており、コロイダルシリカのように
コロイド全体及びすべてのサイトが負に帯電しているの
ではなく、部分的に又は全体が正に帯電している。例え
ば、アンチモン酸亜鉛ゾルでは、中性〜酸性では−O−
Sb5+−O−のサイトは負に帯電しているが−O−Zn
2+−O−のサイトは正に帯電している。一方、導電性ポ
リマーは一般にドーパントとして酸を含有しており、負
に帯電している。そのため、導電性ポリマーコロイド溶
液とシリカゾルはきわめて良好に混合できるが、導電性
酸化物ゾルと導電性ポリマーコロイド溶液を混合すると
顕著な凝集やゲル化を引き起こす。特に導電性ポリマー
コロイドの粒子径が小さい場合には顕著である。従っ
て、導電性酸化物ゾルと導電性ポリマーコロイド溶液を
併用することは簡単ではない。
【0039】導電性酸化物コロイドと導電性ポリマーコ
ロイドをハイブリッドにすることにより、導電性酸化物
コロイド粒子(単分散又は小さなクラスター粒子)の表
面を導電性ポリマーコロイドで被覆することができる。
【0040】本発明においては、導電性酸化物コロイド
の周りに導電性ポリマーコロイドを強く吸着又は結合さ
せるという複合化を目指したものである。
【0041】本来凝集、ゲル化するものを安定に混合
し、目的とする複合導電性ゾルを得るためには、顕著な
凝集を起こさない濃度で強撹拌下に混合する必要があ
る。
【0042】混合と撹拌は、0.1〜5重量%濃度の導
電性酸化物ゾルと0.01〜0.5重量%濃度の導電性
ポリマーコロイド溶液を用い、100℃以下の温度で、
好ましくは室温で、0.1〜5時間、強い撹拌下で行わ
れる。
【0043】導電性酸化物ゾルと導電性ポリマーコロイ
ド溶液の割合は、導電性酸化物/導電性ポリマー重量比
で98/2〜5/95が好ましい。これよりも導電性酸
化物が多くなると、導電性酸化物ゾルの性質が支配的と
なり複合化の効果が十分に得られなくなる。また、導電
ポリマーの割合が大きくなると、導電性ポリマーの性質
が支配的となり複合化の効果が十分に得られなくなる。
導電性酸化物コロイドと導電性ポリマーコロイドのハイ
ブリットにおいて、導電性酸化物と導電性ポリマーの比
を適切に選び、導電性ポリマーの微少コロイドの個数が
過剰になるようにすることにより、濃度の低い状態、即
ちバインダー中でハイブリット化されたコロイド粒子の
量が少ない状態でも良好な導電性を有することができ
る。
【0044】この様に複合化して得られた導電性酸化物
と導電性ポリマーの有機−無機複合導電性ゾル(ハイブ
リッドゾル)は、レーザー散乱法による測定で100〜
300nmの粒子径を有する。
【0045】特に、導電性ポリマーコロイドは凝集しや
すい性質を有しているので、ちょうど繊維状粒子と同じ
ように挙動するため、良好な導電性を発現しやすい。
【0046】混合にはディスパー、ホモジナイザー、ミ
キサー、サタケ式撹拌機などを用いることができるが、
せん断力の大きい物が好ましい。
【0047】混合後、必要に応じて濃度1〜30%まで
濃縮することができる。濃縮は、常圧又は減圧下でエバ
ポレータ等を用いる蒸発法や限外濾過膜法で行われる。
この様に製造された有機−無機複合導電性水性ゾルは、
分散媒を水からメタノール、エタノール等の有機溶媒に
溶媒置換して、有機−無機複合導電性オルガノゾルを製
造する事ができる。
【0048】本発明の導電性酸化物と導電性ポリマーと
からなる有機−無機複合導電性ゾル(ハイブリッドゾ
ル)は単独で使用する方法、あるいは有機又は無機のバ
インダーと混合して使用する方法がある。
【0049】有機バインダーとしては、アクリル系、ア
クリルスチレン系などの樹脂エマルジョン、ポリエステ
ルエマルジョン、エポキシ樹脂エマルジョン、シリコー
ン樹脂エマルジョンなどの樹脂エマルジョン、ポリビニ
ルアルコール、メラミン樹脂液などの水溶性ポリマーな
どの水性系バインダー及び、γ−グリシドキシプロピル
トリメトキシシランなどのシランカップリング剤加水分
解液、紫外線硬化型アクリル樹脂液、エポキシ樹脂液、
シリコーン樹脂液、ポリビニル酢酸、ポリカーボネー
ト、ポリビニル酪酸、ポリアクリレート、ポリメタアク
リレート、ポリスチレン、ポリアクリルニトリル、ポリ
塩化ビニル、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリエ
ーテルの有機溶媒溶解液などの有機溶媒系バインダーを
用いることができる。
【0050】無機バインダーとしては、エチルシリケイ
ト加水分解液、シリカゾル、特殊水ガラス、などを用い
ることができる。
【0051】本願発明の有機−無機複合導電性ゾルを写
真材料に用いる場合は、セルロースアセテート、セルロ
ースアセトフタレート、セルロースエーテルフタレー
ト、メチルセルロース等のセルロース誘導体、可溶性ポ
リイミド、スチレンと無水マレイン酸とのコポリマー、
アクリル酸メチル、塩化ビニリデンおよびイタコン酸と
のコポリマー等のような乳化重合コポリマー、ゼラチン
等をバインダーとして当該ゾルに加える事が好ましい。
【0052】本発明の有機−無機複合導電性ゾルを用い
て帯電防止または電気伝導処理できる基体は有機プラス
チック、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、
酢酸セルロース及びセルロースの成形体、無機材料例え
ばガラスまたは酸化アルミニウム及び/または二酸化ケ
イ素のセラミック材料などがあげられる。
【0053】本発明の有機−無機複合導電性ゾルは、前
記のような有機または無機のバインダーおよびテトラエ
トキシシランなどの金属アルコキシドの加水分解により
得られるゾル液またはエポキシ、アクリルなどの光硬化
樹脂と混合して、LCD、CRT、プラズマディスプレ
イなどの表示管の帯電防止、電磁波シールド、熱線遮蔽
用途に用いることができる。また、本発明の有機−無機
複合導電性ゾルを基体に塗布した後に、有機または無機
のバインダーおよびテトラエトキシシランなどの金属ア
ルコキシドの加水分解により得られるゾル液またはエポ
キシ、アクリルなどの光硬化樹脂を塗布し、使用するこ
ともできる。
【0054】
【実施例】下記の実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明は下記の実施例により限定されるものでは
ない。 実施例1 特開平6−219743号公報に記載の方法で無水アン
チモン酸亜鉛水性ゾルを得た。得られた無水アンチモン
酸亜鉛水性ゾルは透明性を有する青緑色で、pH3.
2、濃度12%であった。このゾルの電気伝導度は13
2.5μs/cmで、実質的にイオンを含有していな
い。このゾルを純水にて濃度0.2%に希釈した溶液の
透過率は60.2%であった。また、このゾルの乾燥物
のBET法による比表面積より算出した粒子径、及びこ
のゾルの透過型電子顕微鏡観察による一次粒子径は15
nmであった。この無水アンチモン酸亜鉛水性ゾルの透
過型電子顕微鏡写真(倍率20万倍)を図1に示した。
【0055】ポリチオフェンコロイド溶液は、バイエル
(株)より、商品名バイトロンPとして市販されている
ものを用いた。このバイトロンPは下記
【化1】 のような構造を有する、ポリエチレン−ジオキシチオフ
ェンコロイドの水性分散液であり、ドーパントとしてポ
リスチレンスルホン酸を含有している。
【0056】バイトロンPは、透過型電子顕微鏡観察の
結果、10〜100nmの球状に凝集した粒子、短軸2
〜5nm、長軸50〜100nmの繊維状粒子の凝集
体、形状のはっきりしない数nmの粒子の凝集体が認め
られ、量的には2〜10nmの一次粒子径を有する粒子
の凝集体が多いことが確認された。
【0057】上記の無水アンチモン酸亜鉛水性ゾル43
2.5gを純水にて1731gに希釈し、これに上記の
ポリチオフェンコロイド溶液(バイエル(株)製、商品
名バイトロンP、濃度1.3%)250gを純水にて1
810gに希釈したものを、ディスパーの撹拌下に添加
し、添加後1.5時間さらにディスパーにて撹拌した。
この有機−無機複合導電性ゾルをロータリーエバポレー
ターを用いて735gまで濃縮した。得られた有機−無
機複合導電性ゾルは、導電性酸化物/導電性ポリマー重
量比が94.2/5.8で、濃度7.3%、pH2.
5、レーザー散乱法粒度分布測定器による測定では粒径
157nmであった。このゾルを純水にて濃度0.2%
に希釈した溶液の透過率は44.9%であった。このゾ
ルを、クリアランスが10μmのアプリケーターを用い
てガラス板上に塗布し、110℃で乾燥させて得られた
塗膜の表面抵抗は、0.5〜0.7MΩであった。ま
た、このゾルの乾燥物の体積抵抗率は81Ω・cmであ
った。さらに、このゾルを透過型電子顕微鏡を用いて観
察したところ、無水アンチモン酸亜鉛粒子の周りにポリ
チオフェンコロイドが吸着または結合していることが観
察された。この有機−無機複合導電性ゾルの透過型電子
顕微鏡写真(20万倍)を図2に示した。
【0058】実施例2 実施例1で使用した無水アンチモン酸亜鉛水性ゾル50
0gを純水にて2000gに希釈し、これに実施例1で
使用したポリチオフェンコロイド溶液(バイエル(株)
製、商品名バイトロンP、濃度1.3%)145gを純
水にて1045gに希釈したものを、ディスパーの撹拌
下に添加し、添加後1.5時間さらにディスパーにて撹
拌した。この有機−無機複合導電性ゾルをロータリーエ
バポレーターを用いて825gまで濃縮した。得られた
有機−無機複合導電性ゾルは、導電性酸化物/導電性ポ
リマー重量比が97/3で、濃度7.4%、pH2.
8、レーザー散乱法粒度分布測定器による測定では粒径
151nmであった。このゾルを純水にて濃度0.2%
に希釈した溶液の透過率は51.5%であった。このゾ
ルを、クリアランスが10μmのアプリケーターを用い
てガラス板上に塗布し、110℃で乾燥させて得られた
塗膜の表面抵抗は、1.5〜2.3MΩであった。ま
た、このゾルの乾燥物の体積抵抗率は151Ω・cmで
あった。
【0059】実施例3 実施例1で使用した無水アンチモン酸亜鉛水性ゾル40
0gを純水にて1600gに希釈し、これに実施例1で
使用したポリチオフェンコロイド溶液(バイエル(株)
製、商品名バイトロンP、濃度1.3%)346gを純
水にて2500gに希釈したものを、ディスパーの撹拌
下に添加し、添加後1.5時間さらにディスパーにて撹
拌した。この有機−無機複合導電性ゾルをロータリーエ
バポレーターを用いて700gまで濃縮した。得られた
有機−無機複合導電性ゾルは、導電性酸化物/導電性ポ
リマー重量比が91.5/8.5で、濃度7.2%、p
H2.3、レーザー散乱法粒度分布測定器による測定で
は粒径156nmであった。このゾルを純水にて濃度
0.2%に希釈した溶液の透過率は40.4%であっ
た。このゾルを、クリアランスが10μmのアプリケー
ターを用いてガラス板上に塗布し、110℃で乾燥させ
て得られた塗膜の表面抵抗は、0.3〜0.5MΩであ
った。また、このゾルの乾燥物の体積抵抗率は61Ω・
cmであった。
【0060】実施例4 実施例1で使用した無水アンチモン酸亜鉛水性ゾル50
0gを純水にて2000gに希釈し、これに実施例1で
使用したポリチオフェンコロイド溶液(バイエル(株)
製、商品名バイトロンP、濃度1.3%)217gを純
水にて1563gに希釈したものを、ディスパーの撹拌
下に添加し、添加後1.5時間さらにディスパーにて撹
拌した。この有機−無機複合導電性ゾルをロータリーエ
バポレーターを用いて837gまで濃縮した。得られた
有機−無機複合導電性ゾルは、導電性酸化物/導電性ポ
リマー重量比が95.5/4.5で、濃度7.4%、p
H2.6、レーザー散乱法粒度分布測定器による測定で
は粒径153nmであった。このゾルを純水にて濃度
0.2%に希釈した溶液の透過率は47.9%であっ
た。このゾルを、クリアランスが10μmのアプリケー
ターを用いてガラス板上に塗布し、110℃で乾燥させ
て得られた塗膜の表面抵抗は、0.7〜1.2MΩであ
った。また、このゾルの乾燥物の体積抵抗率は102Ω
・cmであった。
【0061】実施例5 特開平6−219743号公報に記載の方法で無水アン
チモン酸亜鉛水性ゾルを得た。得られた無水アンチモン
酸亜鉛水性ゾルは透明性を有する青緑色で、pH4.
1、濃度20%であった。このゾルを純水にて濃度0.
2%に希釈した溶液の透過率は68.1%であった。ま
た、このゾルの乾燥物のBET法による比表面積より算
出した粒子径、及びこのゾルの透過型電子顕微鏡観察に
よる一次粒子径は15nmであった。
【0062】この無水アンチモン酸亜鉛水性ゾル400
gを純水にて2800gに希釈し、これに実施例1で使
用したポリチオフェンコロイド溶液(バイエル(株)
製、商品名バイトロンP、濃度1.3%)400gを純
水にて1600gに希釈したものを、ディスパーの撹拌
下に添加し、添加後0.5時間さらにディスパーにて撹
拌した。この有機−無機複合導電性ゾルをロータリーエ
バポレーターを用いて800gまで濃縮した。得られた
有機−無機複合導電性ゾルは、導電性酸化物/導電性ポ
リマー重量比が94.2/5.8で、濃度10.6%、
pH2.6、レーザー散乱法粒度分布測定器による測定
では粒径193nmであった。このゾルを純水にて濃度
0.2%に希釈した溶液の透過率は44.9%であっ
た。また、このゾルの乾燥物の体積抵抗率は105Ω・
cmであった。
【0063】実施例6 特開平6−219743号公報に記載の方法で無水アン
チモン酸亜鉛水性ゾルを得た。得られた無水アンチモン
酸亜鉛水性ゾルは透明性を有する青緑色で、pH3.
2、濃度12.5%であった。このゾルの電気伝導度は
102.0μs/cmで、実質的にイオンを含有してい
ない。このゾルを純水にて濃度0.2%に希釈した溶液
の透過率は38.6%であった。また、このゾルの乾燥
物のBET法による比表面積より算出した粒子径、及び
このゾルの透過型電子顕微鏡観察による一次粒子径は2
0nmであった。
【0064】この無水アンチモン酸亜鉛水性ゾル482
gを純水にて2000gに希釈し、これにポリチオフェ
ンコロイド溶液(バイエル(株)製、商品名バイトロン
P、濃度1.3%)288gを純水にて1800gに希
釈したものを、ディスパーの撹拌下に添加し、添加後
1.5時間さらにディスパーにて撹拌した。この有機−
無機複合導電性ゾルをロータリーエバポレーターを用い
て850gまで濃縮した。得られた有機−無機複合導電
性ゾルは、導電性酸化物/導電性ポリマー重量比が9
4.2/5.8で、濃度7.4%、pH2.4、レーザ
ー散乱法粒度分布測定器による測定では粒径170nm
であった。このゾルを純水にて濃度0.2%に希釈した
溶液の透過率は31.1%であった。このゾルを、クリ
アランスが10μmのアプリケーターを用いてガラス板
上に塗布し、110℃で乾燥させて得られた塗膜の表面
抵抗は、0.5〜0.7MΩであった。また、このゾル
の乾燥物の体積抵抗率は74Ω・cmであった。
【0065】実施例7 実施例1で使用した無水アンチモン酸亜鉛水性ゾル50
0gを純水にて2000gに希釈し、これに実施例1で
使用したポリチオフェンコロイド溶液(バイエル(株)
製、商品名バイトロンP、濃度1.3%)1154gを
純水にて8300gに希釈したものを、ディスパーの撹
拌下に添加し、添加後2時間さらにディスパーにて撹拌
した。この有機−無機複合導電性ゾルをロータリーエバ
ポレーターを用いて1180gまで濃縮した。得られた
有機−無機複合導電性ゾルは、導電性酸化物/導電性ポ
リマー重量比が80/20で、濃度6.4%、pH2.
0、レーザー散乱法粒度分布測定器による測定では粒径
173nmであった。このゾルを純水にて濃度0.2%
に希釈した溶液の透過率は18.5%であった。このゾ
ルを、クリアランスが25μmのアプリケーターを用い
てガラス板上に塗布し、110℃で乾燥させて得られた
塗膜の表面抵抗は、0.1〜0.4MΩであった。ま
た、このゾルの乾燥物の体積抵抗率は106Ω・cmあ
った。
【0066】実施例8 実施例1で使用した無水アンチモン酸亜鉛水性ゾル10
8gを純水にて433gに希釈し、これに実施例1で使
用したポリチオフェンコロイド溶液(バイエル(株)
製、商品名バイトロンP、濃度1.3%)1000gを
純水にて7220gに希釈したものを、ディスパーの撹
拌下に添加し、添加後2時間さらにディスパーにて撹拌
した。この有機−無機複合導電性ゾルをロータリーエバ
ポレーターを用いて1000gまで濃縮した。得られた
有機−無機複合導電性ゾルは、導電性酸化物/導電性ポ
リマー重量比が50/50で、濃度2.7%、pH1.
9、レーザー散乱法粒度分布測定器による測定では粒径
159nmであった。このゾルを純水にて濃度0.2%
に希釈した溶液の透過率は5.0%であった。このゾル
を、クリアランスが80μmのアプリケーターを用いて
ガラス板上に塗布し、110℃で乾燥させて得られた塗
膜の表面抵抗は、0.02〜0.03MΩであった。ま
た、このゾルの乾燥物の体積抵抗率は98Ω・cmであ
った。
【0067】実施例9 実施例1で使用した無水アンチモン酸亜鉛水性ゾル27
gを純水にて108gに希釈し、これに実施例1で使用
したポリチオフェンコロイド溶液(バイエル(株)製、
商品名バイトロンP、濃度1.3%)1000gを純水
にて7220gに希釈したものを、ディスパーの撹拌下
に添加し、添加後2時間さらにディスパーにて撹拌し
た。この有機−無機複合導電性ゾルをロータリーエバポ
レーターを用いて1000gまで濃縮した。得られた有
機−無機複合導電性ゾルは、導電性酸化物/導電性ポリ
マー重量比が20/80で、濃度1.7%、pH1.
9、レーザー散乱法粒度分布測定器による測定では粒径
191nmであった。このゾルを純水にて濃度0.2%
に希釈した溶液の透過率は1.5%であった。このゾル
を、クリアランスが125μmのアプリケーターを用い
てガラス板上に塗布し、110℃で乾燥させて得られた
塗膜の表面抵抗は、0.02〜0.03MΩであった。
また、このゾルの乾燥物の体積抵抗率は155Ω・cm
であった。
【0068】比較例1 実施例1で使用した無水アンチモン酸亜鉛水性ゾル(濃
度12%)432.5gに、実施例1で使用したポリチ
オフェンコロイド溶液(バイエル(株)製、商品名バイ
トロンP、濃度1.3%)250gをディスパーの撹拌
下に添加し、添加後さらに1.5時間ディスパーにて撹
拌した。ポリチオフェンコロイド溶液添加時に凝集物が
生成し、1.5時間撹拌してもこの凝集物は消失しなか
った。この混合物は凝集物が沈降し2層に分離したが、
上澄みは複合ゾルであった。
【0069】比較例2 実施例1で使用した酸性の無水アンチモン酸亜鉛水性ゾ
ルにKOH水溶液を加え、pH8の安定なアルカリ性の
ゾルを得た。このアルカリ性ゾルと実施例1で使用した
ポリチオフェンコロイド溶液を比較例1の割合で混合し
た。混合時、顕著な凝集物が生成し、撹拌によっても分
散せず、凝集物は全部沈降した。上澄みは、バイトロン
のみであった。
【0070】
【発明の効果】本発明の導電性酸化物と導電性ポリマー
の複合ゾルは単独でも乾燥物(被膜)の着色性が少な
く、透明性が良好で、高い導電性を示し、ゾルの安定性
は良好である。そのため、単独でも帯電防止剤として用
いることができる。この導電性酸化物と導電性ポリマー
の複合ゾルは、有機バインダーとの相溶性も良好で、例
えば、透明性帯電防止塗料を作成することができる。こ
の有機−無機複合導電性ゾルを用いた透明性帯電防止塗
料は、プラスチック板、プラスチックフィルムなどに塗
布、乾燥することにより、膜厚を大きくしても良好な透
明性、導電性を有し、柔軟性、膜硬度も良好である。ま
た、膜厚を小さくしても良好で安定な導電性を示す。さ
らに、塗布、乾燥後に加工を行っても導電性を維持する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1で使用した無水アンチモン酸
亜鉛水性ゾルの粒子構造を示す透過型電子顕微鏡写真で
あり、倍率は20万倍である。
【図2】図2は、実施例1で製造された無水アンチモン
酸亜鉛粒子の周りにポリチオフェンコロイドが吸着また
は結合した粒子から成る有機−無機複合導電性ゾルの粒
子構造を示す透過型電子顕微鏡写真であり、倍率は20
万倍である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 5〜50nmの一次粒子径を有する導電
    性酸化物のコロイド粒子と、導電性ポリマーのコロイド
    粒子とからなる有機−無機複合導電性ゾル。
  2. 【請求項2】 導電性酸化物のコロイド粒子が導電性ア
    ンチモン酸亜鉛のコロイド粒子、導電性アンチモン酸イ
    ンジウムのコロイド粒子、又はそれらの混合物である請
    求項1に記載の有機−無機複合導電性ゾル。
  3. 【請求項3】 導電性ポリマーのコロイド粒子が2〜1
    0nmの一次粒子径を有する請求項1又は請求項2に記
    載の有機−無機複合導電性ゾル。
  4. 【請求項4】 導電性ポリマーがポリチオフェン又はポ
    リチオフェン誘導体である請求項1乃至請求項3のいず
    れか1項に記載の有機−無機複合導電性ゾル。
  5. 【請求項5】 導電性酸化物と導電性ポリマーの割合
    が、導電性酸化物/導電性ポリマーの重量比で98/2
    〜5/95である請求項1乃至請求項4のいずれか1項
    に記載の有機−無機複合導電性ゾル。
  6. 【請求項6】 0.1〜5重量%濃度の導電性酸化物ゾ
    ルと0.01〜0.5重量%濃度の導電性ポリマーコロ
    イド溶液を混合した後、該混合溶液を濃縮する請求項1
    に記載の有機−無機複合導電性ゾルの製造法。
  7. 【請求項7】 導電性酸化物ゾルが実質的にイオンを含
    有しない水性ゾルであり、且つ導電性ポリマーコロイド
    溶液が水性コロイド溶液である請求項6に記載の有機−
    無機複合導電性ゾルの製造法。
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