JPH11351605A - 空調装置の外壁パネル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 空調装置の外壁パネルの防音性能を向上させ
る。 【解決手段】 外壁パネル３は、合成樹脂によって額縁
状に形成した縁部材６と、その縁部材６の外側面に取り
付けた金属製の外板１１と、同上の縁部材６の内側面に
取り付けた金属製の内板１２と、上記の縁部材６と外板
１１と内板１２とによって囲まれた空間に充填した発泡
体Ｆと、上記の外板１１の外面から所定の隙間Ｈをあけ
て配置した金属製のカバー板１３とを備える。そのカバ
ー板１３の内面と上記の縁部材６の外側面との間に額縁
状のガスケット１５を設けて、上記のカバー板１３の周
縁の折曲げ部分１３ａを上記の縁部材６の外周面６ｃに
ビス１６によって固定する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、空調装置のケー
シングの外壁として使用するパネルに関する。

【０００２】

【従来の技術】この種の空調装置の外壁パネルは、従来
では、所定の間隔をあけて配置した外板と内板との間に
ウレタン樹脂等の発泡体を充填して構成したものがあ
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記の従来の外壁パネ
ルは、ケーシング内の冷熱または暖熱が外部へ逃げるの
をウレタン樹脂等の発泡体によって阻止できる点で優れ
るが、ケーシング内に設置したファン等の騒音を低減さ
せるうえで改善が要望されていた。本発明の目的は、空
調装置の外壁パネルの防音性能を向上させることにあ
る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、請求項１の発明は、例えば図１に示すように、空調
装置の外壁パネルを次のように構成した。即ち、合成樹
脂によって額縁状に形成した縁部材６と、その縁部材６
の外側面に取り付けた金属製の外板１１と、同上の縁部
材６の内側面に取り付けた金属製の内板１２と、上記の
縁部材６と外板１１と内板１２とによって囲まれた空間
に充填した発泡体Ｆと、上記の外板１１の外面と上記の
内板１２の外面との少なくとも一方の外面から所定の隙
間Ｈをあけた状態で前記の縁部材６に取り付けた金属製
のカバー板１３とを備える、ことを特徴とするものであ
る。なお、上記の構成において、上記のカバー板１３
は、前記の外板１１の外側に配置される場合と、前記の
内板１２の外側に配置される場合と、上記の外板１１の
外側に配置されると共に上記の内板１２の外側にも配置
される場合との三つの場合がある。

【０００５】上記の請求項１の発明は次の作用効果を奏
する。例えば、外板の外側だけにカバー板を配置した場
合において、ケーシング内のファン等に起因する騒音
は、まず、外壁パネルの内板と発泡体と外板とを通る間
に順に減衰され、次いで、上記の外板とカバー板との間
の隙間を通り、その後、カバー板を通ってケーシング外
へ伝播する。上記の隙間内の空気層によって騒音を吸収
できるうえ上記のカバー板によって遮音できるので、外
壁パネルは透過損失が大きくなって防音性能が向上す
る。また、内板の外側だけにカバー板を配置した場合に
おいても、上記と同様に作用して防音性能が向上する。
そして、外板の外側にカバー板を配置すると共に内板の
外側にもカバー板を配置した場合においては、防音性能
がさらに向上する。

【０００６】しかも、上記の外壁パネルを製作するとき
には、外板と内板とを縁部材に取り付けて、これらによ
って囲まれた空間に発泡体を充填し、その後、上記の縁
部材にカバー板を取り付けるだけでよいので、製作作業
に手間がかからない。

【０００７】上記の請求項１の発明においては、請求項
２に示すように構成することが好ましい。即ち、例えば
同上の図１に示すように、前記の縁部材６の外側面と内
側面との少なくとも一方の側面と前記カバー板１３の内
面との間に額縁状のガスケット１５を設けて、そのカバ
ー板１３の周縁の折曲げ部分１３ａを上記の縁部材６の
外周面６ｃに取り付けて構成するのである。上記の請求
項２の発明によれば、前記の外板とカバー板との間に形
成した隙間の気密性をガスケットによって確保できるの
で、防音性能がさらに高まる。そのうえ、上記のカバー
板の周縁の折曲げ部分を縁部材の外周面に取り付けたの
で、そのカバー板の外側面にビス等の締結具を設ける必
要がなくなり、外壁パネルの外観も良くなる。

【０００８】また、前記の目的を達成するため、請求項
３の発明は、例えば図３に示すように、空調装置の外壁
パネルを次のように構成した。即ち、内外二枚のパネル
部分５・５を所定の隙間Ｈをあけて対面させ、上記の各
パネル部分５を、合成樹脂によって額縁状に形成した縁
部材６と、その縁部材６の外側面に取り付けた金属製の
外板１１と、同上の縁部材６の内側面に取り付けた金属
製の内板１２と、上記の縁部材６と外板１１と内板１２
とによって囲まれた空間に充填した発泡体Ｆとによって
構成し、上記の二つの縁部材６・６を気密状に固定する
連結板２１を設けたものである。

【０００９】上記の請求項３の発明は次の作用効果を奏
する。ケーシング内のファン等に起因する騒音は、ま
ず、内側パネル部分の内板と発泡体と外板とを通る間に
順に減衰され、次いで、内側パネル部分と外側パネル部
分との間の隙間を通り、引き続いて、外側パネル部分の
内板と発泡体と外板とを通る間に順に減衰され、その
後、ケーシング外へ伝播する。上記の内外のパネル部分
によって騒音エネルギーを十分に減衰できるうえ、これ
ら内外のパネル部分の間の隙間に設けた空気層によって
騒音を吸収できる。このため、外壁パネルは透過損失が
大きくなって防音性能が向上する。しかも、外壁パネル
を製作するときには、内外のパネル部分の縁部材同士を
連結板によって固定するだけでよいので、製作作業に手
間がかからない。

【００１０】請求項４の発明は、上記の請求項１から３
のいずれかの構成において、前記の発泡体Ｆが、合成樹
脂製の発泡成形材料と二酸化ケイ素を主成分とした無機
質の微細粒子との混合物からなる、ことを特徴とするも
のである。上記の請求項４の発明によれば、発泡体に混
入した微細粒子の重量効果等によって外壁パネルの遮音
性能を向上できる。しかも、その微細粒子が二酸化ケイ
素を主成分とする無機質であるので、外壁パネルのリサ
イクルが容易である。

【００１１】

【発明の実施の形態】(第１実施形態)図１と図２は本発
明の第１実施形態を示している。まず、図１によって本
発明に係る外壁パネルの構造を説明する。その図１は、
空調装置のケーシング１の断面視部分図を示している。

【００１２】上記ケーシング１はフレーム２を備え、そ
のフレーム２の外面に複数枚の外壁パネル３・３が着脱
自在で気密状に固定される。符号４はガスケットであ
る。上記の外壁パネル３は、合成樹脂製で額縁状の縁部
材６を備える。その縁部材６の外側面(ここでは上側面)
の外溝６ａに金属製の外板１１を嵌着すると共に、同上
の縁部材６の内側面(ここでは下側面)の内溝６ｂに金属
製の内板１２を嵌着してある。上記の縁部材６と上記の
外板１１と上記の内板１２とによって囲まれたパネル空
間に、断熱性と防音性を備えた発泡体Ｆが充填される。
その発泡体Ｆは、ウレタン樹脂と発泡剤とを組み合わせ
た発泡成形材料を公知の方法によって発泡させてある。

【００１３】上記の外板１１の外面から所定の隙間Ｈを
あけて金属製のカバー板１３が配置される。そのカバー
板１３の内面と前記の縁部材６の外側面との間には額縁
状のゴム製ガスケット１５が設けられている。なお、符
号Ｃは、上記の隙間Ｈ内の空気層である。上記のカバー
板１３の周縁の折曲げ部分１３ａが、上記の縁部材６の
外周面６ｃに多数のタッピンねじ１６(ここでは１本だ
け示している)によって取り付けられる。

【００１４】図２は、上記の第１実施形態と比較例とを
比べた試験結果を示し、透過損失と周波数との関係を示
すグラフである。上記の第１実施形態に係る試験用の外
壁パネル３は、前記の図１に示すように、次のように構
成してある。

【００１５】外板１１と内板１２とは、板厚ｔが約0.6
ｍｍの圧延鋼板にメッキを施したものを使用し、縦寸法
が約540ｍｍで横寸法が約840ｍｍである。また、カバー
板１３も、板厚ｔが約0.6ｍｍの圧延鋼板にメッキを施
したものを使用し、上記の外板１１および内板１２と比
べて少しだけ大きい寸法である。前記の発泡体Ｆの厚さ
Ｔは約29ｍｍである。その発泡体Ｆは、ウレタン樹脂と
発泡剤との組み合わせを用い、その発泡後の密度は40kg
/m³であった。前記の隙間Ｈは、第１テスト例では約５m
mであり、第２テスト例では約10mmである。

【００１６】上記構成の外壁パネル３の面密度は、第１
テスト例では18.96kg/m²で、第２テスト例では20.94kg/
m²であった。なお、透過損失の試験時には、上記の外壁
パネル３の外周縁部を、ほぼ等間隔に配置した６本のボ
ルトによって試験用ダクトに固定した。

【００１７】これに対して、比較例に係る試験用の外壁
パネルは、前記のカバー板１３と前記ガスケット１５と
前記タッピンねじ１６を設けてないことが、第１実施形
態に係る試験用の外壁パネル３とは異なる。なお、その
比較例の外壁パネルの面密度は、12.13kg/m²であった。

【００１８】上記の図２の試験結果によれば、本発明の
第１実施形態(第１テスト例と第２テスト例)は、比較例
と比べて、125Hz付近と１KHzから4KHzの周波数領域で防
音性能を向上できることが明らかとなった。

【００１９】上記の第１実施形態は次のように変更可能
である。前記の外板１１と前記の内板１２とを前記の縁
部材６に取り付ける方法は、嵌着することに代えて、ビ
ス止めや接着等の他の取り付け方法であってもよい。上
記の金属製の外板１１・内板１２・カバー板１３は、鋼
板にメッキを施したものに代えて、鋼板に塗装を施した
もの又はアルミニウムに表面処理を施したもの等であっ
てもよい。なお、外板１１と内板１２の表面仕上げの状
態は、カバー板１３の表面仕上げの状態よりも仕様程度
が低いものであっても差し支えない。これにより、外壁
パネル３の製作コストを低減できる。

【００２０】また、前記カバー板１３を前記の縁部材６
に取り付ける構造は、ビス止めに代えて、接着等の他の
接合構造であってもよい。また、そのカバー板１３は、
上記の縁部材６の外周面６ｃに取り付けることに代え
て、その縁部材６の外側面(図中の上側面)に取り付けて
もよい。上記のカバー板１３の板厚は、前記の外板１１
や内板１２とは異なる厚さであってもよい。なお、その
カバー板１３を剛性が高い構造に造ることにより、前記
ガスケット１５を省略可能である。さらに、上記のカバ
ー板１３は、外板１１の外側に配置することに代えて、
又は、それに加えて、内板１２の外側に配置してもよ
い。

【００２１】(第２実施形態)図３と図４は、第２実施形
態を示している。この第２実施形態においては、上記の
第１実施形態と同じ構成の部材には同一の符号を付けて
あり、その第１実施形態とは異なる構成について説明す
る。図３は前記の図１に相当する図で、図４は前記の図
２に相当する図である。

【００２２】この場合、内外二枚のパネル部分５・５を
所定の隙間Ｈをあけて対面させてある。符号Ｃは空気層
である。上記の各パネル部分５は、前記の第１実施形態
と同様に、合成樹脂によって額縁状に形成した縁部材６
と、その縁部材６の外側面に取り付けた金属製の外板１
１と、同上の縁部材６の内側面に取り付けた金属製の内
板１２と、上記の縁部材６と外板１１と内板１２とによ
って囲まれた空間に充填した発泡体Ｆとによって構成し
てあり、これらの部材の寸法や材質は前記の第１実施形
態と同じである。上記二つの縁部材６・６が連結板２１
によって気密状に固定される。符号２２はゴム製ガスケ
ットで、符号２３はタッピンねじである。ここでは、上
記の連結板２１の板厚は1.2mmで、上記ガスケットの厚
さは2mmに設定してある。

【００２３】上記の両パネル部分５・５の隙間Ｈは10mm
に設定してある。また、前記の第１実施形態と同様に、
発泡体Ｆの厚さＴは約29mmで、外板１１と内板１２の各
板厚ｔは約0.6mmである。従って、この第２実施形態(第
３テスト例)の外壁パネル３は、全体の厚さは約70mmで
あり、面密度が24.25kg/m²であった。

【００２４】上記の図４の試験結果によれば、この第２
実施形態(第３テスト例)は、前記の比較例と比べて、12
5Hz以上の周波数領域で防音性能を向上できる。そし
て、その効果は、500Hzから2KHzの領域で大きいことが
明らかとなった。

【００２５】上記の第２実施形態は次のように変更可能
である。前記の連結板２１によって前記の二つの縁部材
６・６を固定する構造は、ビス止めに代えて、接着等の
他の接合構造であってもよい。また、上記の縁部材６を
合成樹脂によって構成してあるので、前記ガスケット２
２を省略した場合であっても前記の隙間Ｈの気密性を保
持することが可能である。

【００２６】上記の第１と第２の各実施形態は、さらに
次のように変更可能である。前記の隙間Ｈにはグラスウ
ール等の吸音材を装着してもよい。この場合には、外壁
パネル３の防音性能を大幅に向上できる。前記の発泡体
Ｆは、前述した合成樹脂製の発泡成形材料と二酸化ケイ
素を主成分とした無機質の微細粒子との混合物によって
構成してもよい。その微細粒子は、資源を再利用するた
め、ガラス容器等のガラス製品をリサイクルしたものを
利用することが好ましい。

【００２７】なお、上記の発泡体Ｆの遮音性向上と良好
な発泡性とを両立させるため、次のように構成すること
が好ましい。即ち、前記の微細粒子の粒径が10μｍから
5.0ｍｍの範囲内であり、発泡前の材料状態では、上記
の微細粒子が、前記の発泡成形材料と同上の微細粒子と
の和に対して、20から95(体積)％の範囲内であることで
ある。さらに好ましいのは、次のように構成することで
ある。即ち、前記の微細粒子の粒径が10μｍから1.2ｍ
ｍの範囲内であり、発泡前の材料状態では、上記の微細
粒子が、前記の発泡成形材料と同上の微細粒子との和に
対して、40から80(体積)％の範囲内であることである。
そして、試験結果によれば、上記の微細粒子と上記の発
泡成形材料との体積混合割合を発泡前の材料状態でほぼ
１：１に設定した場合には、遮音性能を約２ｄＢも向上
できることが分かった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施形態を示し、空調装置のケー
シングの断面視部分図である。

【図２】上記の第１実施形態の試験結果を示し、透過損
失と周波数との関係を示すグラフである。

【図３】本発明の第２実施形態を示し、前記の図１に相
当する図である。

【図４】上記の第２実施形態の試験結果を示し、前記の
図２に相当する図である。

【符号の説明】

５…パネル部分、６…縁部材、６ｃ…外周面、１１…外
板、１２…内板、１３…カバー板、１３ａ…折曲げ部
分、１５…ガスケット、２１…連結板、Ｆ…発泡体、Ｈ
…隙間。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 合成樹脂によって額縁状に形成した縁部
   材(６)と、その縁部材(６)の外側面に取り付けた金属製
   の外板(１１)と、同上の縁部材(６)の内側面に取り付け
   た金属製の内板(１２)と、上記の縁部材(６)と外板(１
   １)と内板(１２)とによって囲まれた空間に充填した発
   泡体(Ｆ)と、上記の外板(１１)の外面と上記の内板(１
   ２)の外面との少なくとも一方の外面から所定の隙間
   (Ｈ)をあけた状態で前記の縁部材(６)に取り付けた金属
   製のカバー板(１３)とを備える、ことを特徴とする空調
   装置の外壁パネル。
2. 【請求項２】 請求項１に記載した空調装置の外壁パネ
   ルにおいて、前記の縁部材(６)の外側面と内側面との少
   なくとも一方の側面と前記カバー板(１３)の内面との間
   に額縁状のガスケット(１５)を設けて、そのカバー板
   (１３)の周縁の折曲げ部分(１３ａ)を上記の縁部材(６)
   の外周面(６ｃ)に取り付けた、ことを特徴とする空調装
   置の外壁パネル。
3. 【請求項３】 内外二枚のパネル部分(５)(５)を所定の
   隙間(Ｈ)をあけて対面させ、上記の各パネル部分(５)
   を、合成樹脂によって額縁状に形成した縁部材(６)と、
   その縁部材(６)の外側面に取り付けた金属製の外板(１
   １)と、同上の縁部材(６)の内側面に取り付けた金属製
   の内板(１２)と、上記の縁部材(６)と外板(１１)と内板
   (１２)とによって囲まれた空間に充填した発泡体(Ｆ)と
   によって構成し、上記の二つの縁部材(６)(６)を気密状
   に固定する連結板(２１)を設けた、ことを特徴とする空
   調装置の外壁パネル。
4. 【請求項４】 請求項１から３のいずれかに記載した空
   調装置の外壁パネルにおいて、 前記の発泡体(Ｆ)が、合成樹脂製の発泡成形材料と二酸
   化ケイ素を主成分とした無機質の微細粒子との混合物か
   らなる、ことを特徴とする空調装置の外壁パネル。