JP7174138B1 - 防音材 - Google Patents

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【課題】極めて簡易な構造で取付けが容易で吸音性能にも優れる防音材を提供することを目的にする。【解決手段】比重0.2以下のスキン層を有するゴムスポンジからなり全体が押出成形により架橋発泡された防音材50であって、上下面51,52が平担で、左右横方向に延びる横仕切り壁55によって上下に2つ以上の中空部58が形成され、縦方向に延びる縦仕切り壁56によって左右に2つ以上の中空部58が形成されてなる。例えば、自動車用ドア100のドアインナーパネル102に形成された開口部Hを覆うドアホールシール30に取付けられる。【選択図】図2

Description

本発明は、例えば、自動車のドアなどに取付けられる防音材に関するものである。
図10及び図11に示すように、防音材として自動車のドア100に取付けられるドアホールシール10のシート本体部11に適用されたものが知られている。
自動車のドア100は、ドアアウターパネル101とドアインナーパネル102で構成され、ドアホールシール10は、ドアインナーパネル102に形成された開口部Hを覆うとともに、ドア100内部の防音性対策と防水性確保のためドアインナーパネル102とドアトリム103の間に設けられている。
このドアホールシール10は、シート本体部11にPE(ポリエチレン)フィルム12が熱溶着(溶着部T)により一体化されたもので、シート本体部11は高発泡のスポンジゴムシートからなる。また、シート本体部11の車内側には複数の山型形状の凹凸部11aが形成されている。PEフィルム12の車外側面には接着剤としてブチルゴムシール剤13が設けられ、これによってドアホールシール10はドアインナーパネル102に固着されている。
このようなドアホールシール10のシート本体部11を構成するゴムスポンジの原料ゴムとしてEPDM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)が使用される場合があるが、帯状のEPDMスポンジはその特性上、面振動を用いた吸音が主となるため、薄い肉厚においては特にロードノイズ(低周波数帯域)の吸音性能が十分ではない傾向にある。
また、ドアインナーパネル102とドアトリム103の間の空間に繊維系吸音材が用いられることが知られている(図示せず)。
繊維系吸音材でロードノイズ(低周波数帯域)に対する吸音性能を十分に発揮しようとする場合、例えば、40mmを超えるような非常に厚い肉厚が必要となるため、近年のスペース効率にシビアな自動車設計において不利であると考えられる。
さらに、繊維系吸音材は水を吸収するため、例えば泥水のような不純物を含んだ水が繊維系吸音材に降りかかると、繊維内部に泥等の不純物が堆積することによる吸音性能の低下や、寒冷地では吸収した水が凍結することによる吸音性能の低下というような懸念があるため、繊維系吸音材の設置は水が浸入しない場所に限られる。
そこで、図12に示すように、複数の共鳴筒部2からなる共鳴吸音構造体1が開示されている(特許文献1の図1)。
これは、一方側の端部が開口し他方側の端部が閉口した共鳴筒部2で開口の断面積が400mm2以下のものを100以上並べて配置したものであり、自動車の車室などの限られた空間において中低周波数の音を効率よく吸音することができるというものである。
また、図13に示すように、EPDMスポンジを使用した吸音シート3として、押出成形品で、吸音シート3の上側は、表側スキン層4に、表側スキン層4と裏側スキン層5の間に形成された発泡層6に達する多数の孔7が互いに間隔をあけて形成された孔形成領域8Aとされ、吸音シート3の下側は、多数の孔7が形成されていない孔非形成領域8Bとされたものが開示されている(特許文献2の図5)。
これによれば、表側スキン層4及び裏側スキン層5と、表側スキン層4から裏側スキン層5まで形成された発泡層6とを有するシンプルな構造で、これが押出成形品であるため、容易に一体成形可能である。また、表側スキン層4には発泡層6に達する孔7が形成されているので、吸音シート3に向かって進んだ音は孔7内に入るとともに、孔7内で開口している発泡層6の気泡6a内にも入り、これにより音エネルギーと熱エネルギーに変換されて効果的に吸音される。また、多数の孔7が吸音シート3の上側に形成され、下側には形成されないので、自動車の風切り音とロードノイズ等、周波数特性が異なる音それぞれに対して吸音性能が向上するといったものである。
特開2017-116706号公報 特許第6795892号公報
しかしながら、特許文献1に記載の発明(図12)は、複数の共鳴筒部2を接着シート、連結バンド、ねじ、リベットなどの固定部材を用いて連結するものであるので製造が煩雑でコスト高になるといった問題がある。
また、押出成形などにより一体的に形成することできると記載されているが、開口した一方側の端部に対して他方側の端部は閉口であるため、押出成形に加えて閉口に加工する工程が必要になる。
さらに、共鳴筒部2を形成する材料は、合成樹脂(プラスチック)、紙、金属、および、これらの複合材からなり、100以上配列するものであるので重量が重くなってしまう。特に紙のものは水がかかる場所には使用することができないし、金属のものは錆を懸念する必要がある。
一方、特許文献2に記載の発明(図13)は、EPDMスポンジを使用した吸音シート3は、特許文献1に記載の発明と比較して重量は軽く容易に押出成形することができるものであるが、吸音シート3の上側は孔形成領域8Aで、吸音シート3の下側は、多数の孔7が形成されていない孔非形成領域8Bとされるものであるので、取付作業時に注意が必要になり時間がかかってしまう。
また、多数の孔7はレーザー光を照射することによって形成されるため、製造が煩雑である。
また、特許文献2に記載の発明は、約1000Hz~2000Hzの間で吸音効果に優れるものであるが、約800Hz~1000Hzといった低周数における吸音効果は十分ではない。
そこで、本発明の目的とするところは、極めて簡易な構造で取付けが容易で吸音性能にも優れる防音材を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本願請求項1に係る発明の防音材は、全体が押出成形により架橋発泡されることにより得られる比重0.2以下のスキン層を有するゴムスポンジのみからなる単体の防音材(50)であって、
前記押出成形により架橋発泡されることにより、上下面(51,52)が平担で、内部には、左右横方向に延びる横仕切り壁(55)によって上下に2つ以上の中空部(58)が形成されるとともに、縦方向に延びる縦仕切り壁(56)によって左右に2つ以上の中空部(58)が形成されてなることを特徴とする。
また本発明は、全体が押出成形により架橋発泡されることにより得られる比重0.2以下のスキン層を有するゴムスポンジのみからなる単体の防音材(50)であって、
前記押出成形により架橋発泡されることにより、上下面(51,52)が平担で、内部には、左右横方向に延びる横仕切り壁(55)によって上下に2つ以上の中空部(58)が形成されるとともに、縦方向に延びる縦仕切り壁(56)によって左右に2つ以上の中空部(58)が形成されてなり、
前記防音材(50)を、水平面と垂直面からなるコーナー部において、前記水平面及び垂直面に前記防音材(50)を変形させることなく接触させた場合の断面形状から、
前記断面形状における前記上面の左右方向の断面幅(L)を取得するとともに、
前記断面形状において、前記水平面に平行で、前記上面の最高点を通る平坦基準線(SL)を設定し、前記平坦基準線(SL)を、前記断面幅(L)の範囲で左右に等間隔で分割する複数個の点から垂下した線が前記上面に交わる点までの距離の平均値(MA)を取得し、
前記平均値(MA)を、前記断面幅(L)で割った百分率((MA/L)×100)が2%以下になるようにしたことを特徴とする。
また本発明は、前記複数個の点の数を10以上としたことを特徴とする。
また本発明は、全体が押出成形により架橋発泡されることにより得られる比重0.2以下のスキン層を有するゴムスポンジのみからなる単体の防音材(50)であって、
前記押出成形により架橋発泡されることにより、上下面(51,52)が平担で、内部には、左右横方向に延びる横仕切り壁(55)によって上下に2つ以上の中空部(58)が形成されるとともに、縦方向に延びる縦仕切り壁(56)によって左右に2つ以上の中空部(58)が形成されてなり、
前記防音材(50)を、水平面と垂直面からなるコーナー部において、前記水平面及び垂直面に前記防音材(50)を変形させることなく接触させた場合の断面形状から、
前記断面形状における前記上面の左右方向の断面幅(L)を取得するとともに、
前記断面形状において、前記水平面に平行で、前記上面の最高点を通る平坦基準線(SL)を設定し、前記上面の左右両端部を除く位置で、前記平坦基準線(SL)から垂下した線が前記上面に交わる点までの距離の最大値(MB)を取得し、
前記最大値(MB)を、前記断面幅(L)で割った百分率((MB/L)×100)が5%以下になるようにしたことを特徴とする。
また本発明は、前記上下面(51,52)のいずれか一方の面が、自動車用ドア(100)のドアインナーパネル(102)若しくはドアインナーパネル(102)に形成された開口部(H)を覆うドアホールシール(30)に取付けられることを特徴とする。
また本願請求項6に係る発明の防音材は、全体が押出成形により架橋発泡されることにより得られる比重0.2以下のスキン層を有するゴムスポンジのみからなる単体の防音材(50)であって、
前記押出成形により架橋発泡されることにより、上下面(51,52)のうちいずれか一方の面が平担で、内部には、左右横方向に延びる横仕切り壁(55)によって上下に2つ以上の中空部(58)が形成されるとともに、縦方向に延びる縦仕切り壁(56)によって左右に2つ以上の中空部(58)が形成されてなることを特徴とする。
なお、括弧内の記号は、図面および後述する発明を実施するための形態に記載された対応要素または対応事項を示す。
本発明の防音材は、比重0.2以下のスキン層を有するゴムスポンジからなり全体が押出成形により架橋発泡されたものであるので、疎水性に優れ、防音材の両端が開口していることで水がかかっても滞水せず排水可能であるため、例えばドアアウターパネルとドアインナーパネル間のような不純物を含んだ水がかかる場所にも使用することができる。
さらに、非常に柔軟性に優れているため、取り付けられる相手の形状に合わせて容易に変形することができるので、接触する相手部材との間に音が通る隙間が発生しにくく、加えて、振動によって防音材に何かが接触した場合であっても接触音や破損が生じにくい。
また、特にEPDMスポンジは、その断面外側には「スキン層」と呼ばれる発泡層よりも密度が高い弾性を持った薄膜の層が形成され、この層は、内部に水は通さないが、弾性薄膜の振動によって内部へ音は侵入し、音波が侵入することによって、内部にてエネルギーの減衰が起こり効果的に吸音できるといった特徴を有している。
そして、防音材には、横仕切り壁及び縦仕切り壁による仕切りにより複数の中空部が形成され中空部は空気層となっているので、吸音ピークを約800Hz~1000Hzといった低周波数へシフトさせることができる。
また横仕切り壁及び縦仕切り壁の位置を変えて中空部の大きさを変えることで吸音ピークを容易に微調整することもできる。
また、防音材の上面(下面についても同様)の平担について、押出成形による架橋発泡で凹凸のない完全な平担にすることは困難であるが、本発明によれば、防音材を、水平面と垂直面からなるコーナー部において、水平面及び垂直面に防音材を変形させることなく接触させた場合の断面形状から、上面の左右方向の断面幅(L)を取得するとともに、水平面に平行で、上面の最高点を通る平坦基準線(SL)を設定し、平坦基準線(SL)を、断面幅(L)の範囲で左右に等間隔で分割する複数個の点から垂下した線が上面に交わる点までの距離の平均値(MA)を取得し、平均値(MA)を、断面幅(L)で割った百分率((MA/L)×100)が2%以下になるようにしたり、あるいは、同じく上面の左右両端部を除く位置で、平坦基準線(SL)から垂下した線が上面に交わる点までの距離の最大値(MB)を取得し、最大値(MB)を、断面幅(L)で割った百分率((MB/L)×100)が5%以下になるようにすることによって、防音材の上面(下面についても同様)の平担度を規定することができるので、防音材と取付相手との間に制御できない隙間が発生することの防止や、このような規定に沿って防音材を量産することが可能となる。
本発明の実施形態に係る防音材50が取付けられた状態を示す図10のA-A線拡大断面図である。 本発明の実施形態に係る防音材50を示す斜視図である。 図2のB-B線拡大断面図である。 上面及び下面が平担ではない防音材60の断面を示した写真である。 本発明の実施形態に係る防音材50Aにおける平担度を測定する手順を示すもので、(a)は、防音材50Aが設置される前のコーナー部を示す断面図であり、(b)は防音材50Aが設置された後の状態を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る防音材50Aの平担度を測定した状態を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る防音材50Bの平担度を測定した状態を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る防音材50A,50Bと比較した防音材61の平担度を測定した状態を示す断面図である。 防音材の周波数特性を示すグラフである。 自動車の外観側面図である。 従来例に係る防音材が取付けられた状態を示す図10のA-A線拡大断面図である。 従来例に係る別の防音材を示す斜視図である。 従来例に係るさらに別の防音材を示す断面図である。
図面を参照して、本発明の実施形態に係る防音材50の構造について説明する。これは、自動車のドア100に取付けられるドアホールシール30のシート本体部31に適用したものである。なお、従来例と同一部分には同一符号を付した。
図1及び図10に示すように、このドアホールシール30は、ドアアウターパネル101とともに、ドア100を構成するドアインナーパネル102とドアトリム103の間に設けられ、ドアインナーパネル102に形成された開口部Hを覆っている。
ドアホールシール30は、遮音性及び吸音性に優れたシート本体部31とそのシート本体部31に熱溶着(溶着部T)によって固着一体化され、シート本体部31をドアインナーパネル102の車内側に取付ける合成樹脂フィルム(PEフィルム)32からなる。合成樹脂フィルム32の車外側面には接着剤としてブチルゴムシール剤33が設けられ、これによってドアホールシール30はドアインナーパネル102に固着されている。
なお、シート本体部31は、合成樹脂フィルム(PEフィルム)32にかえて樹脂成型品と一体化してもよいし、ドアインナーパネル102と一体化してもよい。一体化する手段も、例えば樹脂成型品が一体化先であれば、樹脂成型品に鍵爪状の係止部を設けてシート本体部31を係止させてもよいし、ドアインナーパネル102が一体化先であれば、シート本体部31にクリップや両面テープ、接着剤、ホットメルトのような固定手段をあらかじめ取り付け、ドアインナーパネル102に前記固定手段で取付けるようにしてもよい。また、図1に示すように、ここでは、シート本体部31を、合成樹脂フィルム(PEフィルム)32の車外側面に取付けるようにしたが車内側面に取付けるようにすることもできる。
シート本体部31は、ドア100に取付けられた状態ではその上下端は開口している。
シート本体部31に適用される防音材50は帯状で、0.2以下の比重でEPDMスポンジからなり全体が押出成形により架橋発泡されたものである。なお、0.15以下の低比重で高発泡のものがより好ましい。また、本実施形態では防音材50を構成するゴムスポンジの原料ゴムとして、制音性、生産性、耐久性などの観点からEPDMを採用しているが、押出成形による架橋発泡した場合にスキン層が形成されるものであれば他のゴムでもよい。例えば、NR(天然ゴム)、NBR(ニトリルゴム)、Q(シリコーンゴム)、SBR(スチレンゴム)、CR(クロロプレンゴム)などが挙げられる。
また、図2及び図3に示すように、防音材50の上面51及び下面52は平担で、左右横方向に延びる横仕切り壁55によって上下に2つ以上の中空部58が形成され、縦方向に延びる縦仕切り壁56によって左右に2つ以上の中空部58が形成されている。ここでは、1本の横仕切り壁55と2本の縦仕切り壁56(56A,56B)によって上下に2つの中空部58,左右に3つの中空部58で計6つの中空部58が形成されたものを示している。
サイズ的には、図3に示すように、防音材50の上面51及び下面52の左右方向(横方向)の幅を50mm,左側面53及び右側面54の上方方向の高さを15mm,上面51及び下面52の厚みを1.3mm,左側面53及び右側面54の厚みを1.3mm,横仕切り壁55及び縦仕切り壁56(56A,56B)の厚みを1.2mmにした。なお、6つの中空部58は同じ大きさになるように、横仕切り壁55は上下方向の高さの中央になる位置に形成され、2つの縦仕切り壁56(56A,56B)は左右方向を均等に3つに分ける位置に形成されている。これにより、中空部58は、左右方向(横方向)15mm,縦方向(上下方向)5.6mmの大きさにしている。
防音材50は、平担にされた上面51及び下面52のいずれか一方の面が、合成樹脂フィルム(PEフィルム)32に固着され、上下に延びるものが、数本左右方向(ドア100の前側から後側)に並設されることによってシート本体部31が構成されている。左右に隣接する防音材50同士は、突き合わされているだけであるが接着剤などにより固定するようにしてもよい。また、合成樹脂フィルム(PEフィルム)32を使用することなく、シート本体部31をドアインナーパネル102にクリップ等の固定手段を使用して取付ける場合には、防音材50の上面51及び下面52のいずれか一方の面がドアインナーパネル102に取付けられる。
また、シート本体部31には、図示は省略するが、各種ケーブルを貫通させたり作業者が作業時に手を挿入したりするための穴や切欠き部が形成されている。
実際に防音材50を、0.2以下の比重のEPDMスポンジで押出成形により架橋発泡する場合、内側に横仕切り壁55及び縦仕切り壁56を設けて均一な中空部58を形成することは極めて困難であり、上面51及び下面52を狙いとする平坦にすることはできない。
例えば、図4に示す防音材60のように、上面及び下面が平坦ではないものができてしまう。そのため、上下面51,52が平担で、左右横方向に延びる横仕切り壁55によって上下に2つ以上の中空部58が形成され、縦方向に延びる縦仕切り壁56によって左右に2つ以上の中空部58が形成されてなる防音材50は、従来、まったく存在するものではなかった。
そこで、本実施形態で、「平担」について次の通り規定して規定以内の防音材50を製造することに成功した。ここでは、図2及び図3で示したような理想の形状をした防音材を符号50で示し、実際に押出成形により架橋発泡して上面及び下面を平坦にした防音材を符号50A,50Bで示した。
すなわち、図5(a)に示すような、水平面201と垂直面202からなるコーナー部において、図5(b)に示すように、防音材50Aを、水平面201及び垂直面202に変形させることなく接触させた場合の断面形状から「平担」について規定した。
まず、防音材50Aの断面形状における上面51の左右方向の断面幅Lを取得する。断面幅Lは、防音材50Aの左側面53と右側面54間の距離であり、左側面53は最も左側に突出した部位を通る垂直面で、右側面54は最も右側に突出した部位を通る垂直面である。
次に、水平面に平行で、上面51の最高点を通る平坦基準線SLを設定する。
次に、平坦基準線SLを、断面幅Lの範囲で左右に等間隔で分割する複数個、ここでは10個の点(E1~E10)から垂下した線が上面51に交わる点までの距離(M1~M10)を取得する。断面幅Lの範囲で10個の分割点(E1~E10)を設定した場合、平坦基準線SLは11個に均等に分割される。なお、最も左側の点E1は左側面53に一致させることなく、最も右側の点E10も右側面54に一致させないようにしている。なお、平坦基準線SLを左右に等間隔で分割する複数個の点の数については、精度を高める上でも10以上にすることが好ましい。
次に、距離(M1~M10)から平均値(MA)を取得する。
そして、平均値(MA)を、断面幅(L)で割った百分率((MA/L)×100)、すなわち平担度が2%以下になるようにすることで、防音材50の上面51の「平担」を規定する。
なお、防音材50Aを、水平面201と垂直面202からなるコーナー部において、180度反転させて、水平面201及び垂直面202に変形させることなく接触させることにより、同様の手順から防音材50の下面52側についての「平担」を規定することができる。
図5に示した防音材50Aのサイズは、具体的には、図6に示すように、断面幅L=70.2mm,M1=0.2mm,M2=0.7mm,M3=0.6mm,M4=0.6mm,M5=0.8mm,M6=1.0mm,M7=0.7mm,M8=1.4mm,M9=2.5mm,M10=2.2mmで、平均値MA=1.07である。
そして、平均値MA=1.07を、断面幅(L=70.2mm)で割った百分率((MA/L)×100)、すなわち平担度は、1.5%であり、この値が2%以下であるので、防音材50Aの上面51は平坦であるといえる。
次に図7に示した防音材50Bは、左右横方向に延びる1本の横仕切り壁55と縦方向に延びる3本の縦仕切り壁56(56A,56B,56C)によって上下に2つ,左右に4つで計8つの中空部58が形成されたものを示している。
この防音材50Bのサイズは、断面幅L=58.6mm,M1=0.7mm,M2=0.8mm,M3=0.9mm,M4=0.5mm,M5=0.1mm,M6=0.1mm,M7=0.1mm,M8=0.6mm,M9=1.3mm,M10=1.5mmで、平均値MA=0.66である。
そして、平均値MA=0.66を、断面幅(L=58.6mm)で割った百分率((MA/L)×100)、すなわち平担度は、1.1%であり、この値も2%以下であるので、防音材50Bの上面51は平坦であるといえる。
比較例として、図8に示した防音材61のサイズは、断面幅L=52.5mm,M1=3.4mm,M2=3.5mm,M3=3.9mm,M4=0.1mm,M5=1.2mm,M6=2.7mm,M7=0.5mm,M8=3.3mm,M9=5.9mm,M10=5.5mmで、平均値MA=3.00である。
そして、平均値MA=3.00を、断面幅(L=52.5mm)で割った百分率((MA/L)×100)、すなわち平担度は、5.7%であり、この値は2%を超えるものであるので、防音材61の上面は平坦ではない。
ここで、図5及び図6で示した防音材50A(実施品1)と、図7で示した防音材50B(実施品2)において、周波数に対する垂直入射吸音率をJIS1405-2:2007に準拠して測定したところ、図9に示すように、実施品1,実施品2のいずれも、約800Hz~1000Hzといった低周数における吸音効果が突出して優れることが確認された。また、実施品1,実施品2のいずれも、約2800Hz~3500Hzといった周数数においても吸音効果が優れることが確認された。
なお、比較品1は、厚みを13mmとした繊維系吸音材であり、比較品2は、厚みを27mmとした繊維系吸音材である。
比較品2は、比較品1よりも約800Hz~1000Hzといった低周数における吸音効果は優れるものの、実施品1,2の半分以下であり吸音効果は十分とはいえない。
実施品1,2と同等の効果を得るには、従来例で説明したように、42mmなどの非常に厚い肉厚が必要となる。
以上のように構成された防音材50(50A,50B)によれば、比重0.2以下のEPDMスポンジからなり全体が押出成形により架橋発泡されたものであるので、疎水性に優れ、防音材の両端が開口していることで水がかかっても滞水せず排水可能であるため、例えばドアアウターパネルとドアインナーパネル間のような不純物を含んだ水がかかる場所にも使用することができる。
さらに、非常に柔軟性に優れているため、取り付けられる相手の形状に合わせて容易に変形することができるので、接触する相手部材との間に音が通る隙間が発生しにくく、加えて、振動によって防音材に何かが接触した場合であっても接触音や破損が生じにくい。
また、特にEPDMスポンジは、その断面外側には「スキン層」と呼ばれる発泡層よりも密度が高い弾性を持った薄膜の層が形成され、この層は、内部に水は通さないが、弾性薄膜の振動によって内部へ音は侵入し、音波が侵入することによって、内部にてエネルギーの減衰が起こり効果的に吸音できるといった特徴を有している。
そして、防音材50(50A,50B)には、横仕切り壁55及び縦仕切り壁56による仕切りにより複数の中空部58が形成され中空部58は空気層となっているので、吸音ピークを約800Hz~1000Hzといった低周波数へシフトさせることができる。
また横仕切り壁55及び縦仕切り壁56の位置を変えて中空部58の大きさを変えることで吸音ピークを容易に微調整することもできる。
本実施形態では、防音材50(50A,50B)の上面51及び下面52の平担度について、設定した平坦基準線SLを、断面幅Lの範囲で左右に等間隔で分割する複数個の点から垂下した線が上面51に交わる点までの距離の平均値MAを、断面幅Lで割った百分率((MA/L)×100)が2%以下になるように規定したが、これに限定されることなく他の規定であってもよい。
例えば、図5(b)で示したように、防音材50Aを水平面201と垂直面202からなるコーナー部に変形させることなく接触させた場合の断面形状から、上面51の左右方向の断面幅Lを取得するとともに、平坦基準線SLを設定した後、上面51の左右両端部を除く位置で、平坦基準線SLから垂下した線が上面51に交わる点までの距離の最大値(MB)を取得し、その最大値MBを、断面幅Lで割った百分率((MB/L)×100)が5%以下になるようにして規定することもできる。また、「5%以下」をさらに小さく設定することでさらに平担度を小さく規定するようにしてもよい。
図5(b)及び図6で示した防音材50Aの場合、最大値MBは2.5mmとなり、その最大値MBを、断面幅Lで割った百分率((MB/L)×100)は3.6%となる。
また、図7で示した防音材50Bの場合、最大値MBは1.5mmとなり、その最大値MBを、断面幅Lで割った百分率((MB/L)×100)は2.6%となる。
また、図8で示した防音材61の場合、最大値MBは5.9mmとなり、その最大値MBを、断面幅Lで割った百分率((MB/L)×100)は11.2%となる。
このように平担度を規定することにより、防音材と取付相手との間に制御できない隙間が発生することの防止や、このような規定に沿って防音材を量産することが可能となる。
また、防音材50A,防音材50Bとも、横仕切り壁55で上下2段となるように中空部58を形成したものであったが、横仕切り壁55を2つにして、中空部58を上下に3段,左右に3段で、計9つの中空部58を形成したものであってもよい。また、本発明が示す要件に該当すれば、横仕切り壁55の個数や、中空部58の上下又は左右の段数、さらに中空部58の形状などは変更することが可能で、様々な形態が本発明に含まれる。
また、発明の実施形態に係る防音材50の構造について自動車のドア100に取付けられるドアホールシール30のシート本体部31に適用した場合について説明したが、自動車のドア100以外にも、例えばエンジンルームやタイヤの中の部品として設けることもできる。
また、発明の実施形態に係る防音材を、自動車以外にも列車,船舶,航空機のドアなどや、住宅の床面や壁面など様々なところに使用することができる。
また、両端末を金型成形等の追加加工によって閉じることで内部を密閉することにより、断熱材として使用することもできる。
1 共鳴吸音構造体
2 共鳴筒部
3 吸音シート
4 表側スキン層
5 裏側スキン層
6 発泡層
7 孔
8A 孔形成領域
8B 孔非形成領域
10 ドアホールシール
11 シート本体部
11a 凹凸部
12 PEフィルム(合成樹脂フィルム)
13 ブチルゴムシール剤
30 ドアホールシール
31 シート本体部(防音材)
32 PEフィルム(合成樹脂フィルム)
33 ブチルゴムシール剤
50(50A,50B) 防音材
51 上面
52 下面
53 左側面
54 右側面
55 横仕切り壁
56(56A,56B,56C) 縦仕切り壁
58 中空部
60 防音材
61 防音材
100 ドア
101 ドアアウターパネル
102 ドアインナーパネル
103 ドアトリム
E1~E10 分割点
H 開口部
M1~M10 距離
SL 平担基準線
T 溶着部

Claims (6)

  1. 全体が押出成形により架橋発泡されることにより得られる比重0.2以下のスキン層を有するゴムスポンジのみからなる単体の防音材であって、
    前記押出成形により架橋発泡されることにより、上下面が平担で、内部には、左右横方向に延びる横仕切り壁によって上下に2つ以上の中空部が形成されるとともに、縦方向に延びる縦仕切り壁によって左右に2つ以上の中空部が形成されてなることを特徴とする防音材。
  2. 全体が押出成形により架橋発泡されることにより得られる比重0.2以下のゴムスポンジからなる単体の防音材であって、
    前記押出成形により架橋発泡されることにより、上下面が平担で、内部には、左右横方向に延びる横仕切り壁によって上下に2つ以上の中空部が形成されるとともに、縦方向に延びる縦仕切り壁によって左右に2つ以上の中空部が形成されてなり、
    前記防音材を、水平面と垂直面からなるコーナー部において、前記水平面及び垂直面に変形させることなく接触させた場合の断面形状から、
    前記断面形状における前記上面の左右方向の断面幅(L)を取得するとともに、
    前記断面形状において、前記水平面に平行で、前記上面の最高点を通る平坦基準線を設定し、前記平坦基準線を、前記断面幅(L)の範囲で左右に等間隔で分割する複数個の点から垂下した線が前記上面に交わる点までの距離の平均値(MA)を取得し、
    前記平均値(MA)を、前記断面幅(L)で割った百分率((MA/L)×100)が2%以下になるようにしたことを特徴とする防音材。
  3. 前記複数個の点の数を10以上としたことを特徴とする請求項2に記載の防音材。
  4. 全体が押出成形により架橋発泡されることにより得られる比重0.2以下のゴムスポンジからなる単体の防音材であって、
    前記押出成形により架橋発泡されることにより、上下面が平担で、内部には、左右横方向に延びる横仕切り壁によって上下に2つ以上の中空部が形成されるとともに、縦方向に延びる縦仕切り壁によって左右に2つ以上の中空部が形成されてなり、
    前記防音材を、水平面と垂直面からなるコーナー部において、前記水平面及び垂直面に変形させることなく接触させた場合の断面形状から、
    前記断面形状における前記上面の左右方向の断面幅(L)を取得するとともに、
    前記断面形状において、前記水平面に平行で、前記上面の最高点を通る平坦基準線を設定し、前記上面の左右両端部を除く位置で、前記平坦基準線から垂下した線が前記上面に交わる点までの距離の最大値(MB)を取得し、
    前記最大値(MB)を、前記断面幅(L)で割った百分率((MB/L)×100)が5%以下になるようにしたことを特徴とする防音材。
  5. 前記上下面のいずれか一方の面が、自動車用ドアのドアインナーパネル若しくはドアインナーパネルに形成された開口部を覆うドアホールシールに取付けられることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一つに記載の防音材。
  6. 全体が押出成形により架橋発泡されることにより得られる比重0.2以下のスキン層を有するゴムスポンジのみからなる単体の防音材であって、
    前記押出成形により架橋発泡されることにより、上下面のうちいずれか一方の面が平担で、内部には、左右横方向に延びる横仕切り壁によって上下に2つ以上の中空部が形成されるとともに、縦方向に延びる縦仕切り壁によって左右に2つ以上の中空部が形成されてなることを特徴とする防音材。
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