JPH11349759A - 難燃性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

難燃性熱可塑性樹脂組成物

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JPH11349759A
JPH11349759A JP15741398A JP15741398A JPH11349759A JP H11349759 A JPH11349759 A JP H11349759A JP 15741398 A JP15741398 A JP 15741398A JP 15741398 A JP15741398 A JP 15741398A JP H11349759 A JPH11349759 A JP H11349759A
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JP
Japan
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weight
flame
resin composition
thermoplastic resin
monomer
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JP15741398A
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Kaoru Nishigaki
薫 西垣
Daisuke Kuwabara
大助 桑原
Keiji Nakagawa
啓次 中川
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】塩素および臭素化合物を使用することなく、耐
衝撃性、耐熱性、成形時の流動性、難燃性に優れたAB
S樹脂を提供する。 【解決手段】グラフト共重合体、ビニル系共重合体、フ
ッ素系樹脂の水性分散体とりわけ微粒子のフッ素系樹脂
の水性分散体、および特定のリン酸エステル化合物を特
定の割合で配合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は難燃性に優れ、かつ
耐衝撃性、耐熱性、成形加工性が均衡して優れた塩素お
よび臭素化合物を含有しない熱可塑性樹脂組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】プラスチックスはすぐれた機械的性質、
成形加工性、電気絶縁性によって家庭電気機器、OA機
器、自動車などの各部品を始めとする広範な分野で使用
されている。しかしながら、プラスチックスの大半は易
燃性であり、安全性の問題で難燃化に対し種々の技術が
案出されてきた。
【0003】一般的には、難燃化効率の高い塩素および
臭素系難燃剤と酸化アンチモンを樹脂に配合して難燃化
する方法が採用されている。しかし、この方法は、燃焼
時の火種の落下(ドリップ)防止のために難燃剤を多く
含有するので、樹脂組成物の機械的性質や耐熱性が悪化
する欠点があり、さらに成形時や燃焼時にハロゲン化合
物の分解により有毒ガスが発生する問題を有していた。
【0004】近年の環境問題に関連し、塩素および臭素
系難燃剤を含有しない難燃性樹脂が求められ、特開昭5
9−24736号公報および特開昭63−117057
号公報のように、樹脂にリン化合物を添加する方法が提
案されているが、難燃性が十分とはいえなかった。
【0005】これに対して、特開平9−296120号
公報のように、熱可塑性樹脂、リン含有フェノール樹
脂、リン酸エステルおよびフッ素樹脂からなる熱可塑性
樹脂組成物が提案されている。しかし、従来の単なるフ
ッ素樹脂の混合では、衝撃強度も十分とはいえなかっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、塩素および
臭素化合物を使用することなく、フッ素系樹脂の水性分
散体の使用、とりわけ微粒子のフッ素系樹脂の水性分散
体の使用により、少量添加で難燃性が得られ、耐衝撃
性、耐熱性、成形時の流動性および難燃性に優れた樹脂
組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決すべく鋭意検討した結果、グラフト共重合体、ビニル
系共重合体、フッ素系樹脂の水性分散体とりわけ微粒子
のフッ素系樹脂の水性分散体、および特定のリン酸エス
テル化合物を配合することにより、上記目的が効率的に
達成されることを見出し本発明に到達した。
【0008】すなわち、本発明はゴム質重合体(a)2
0〜80重量部存在下に 芳香族ビニル系単量体(b)
40〜90重量%、シアン化ビニル系単量体(c)10
〜60重量%およびその他の共重合可能なビニル系単量
体(d)0〜80重量%からなる単量体混合物80〜2
0重量部をグラフト共重合してなるグラフト共重合体
(A)1〜99重量%、芳香族ビニル系単量体(b)4
0〜90重量%、シアン化ビニル系単量体(c)10〜
60重量%およびその他の共重合可能なビニル系単量体
(d)0〜80重量%からなる単量体混合物を共重合し
てなるビニル系共重合体(B)1〜99重量%からなる
スチレン系ゴム強化樹脂100重量部に対し、フッ素系
樹脂水性分散体(C)0.01〜5重量部および下記一
般式(I)で表されるリン酸エステル化合物(D)1〜
40重量部からなることを特徴とする難燃性熱可塑性樹
脂組成物。
【0009】
【化2】 (式中、Xはアリーレン基。R1,R2,R3,R4は置換
または非置換のフェニル基。)
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。
【0011】本発明におけるグラフト共重合体(A)と
は、ゴム質重合体(a)20〜80重量部存在下に芳香
族ビニル系単量体(b)40〜90重量%、シアン化ビ
ニル系単量体(c)10〜60重量%およびその他の共
重合可能なビニル系単量体(d)0〜80重量%からな
る単量体混合物80〜20重量部をグラフト共重合して
なるグラフト共重合体である。ここでいうグラフト共重
合体とは、ゴム質重合体にグラフト共重合した構造をと
った材料の他に、グラフトしていない共重合体を含むも
のである。
【0012】上記ゴム質重合体(a)としては、ガラス
転移温度が0℃以下のものが好適であり、ジエン系ゴム
が好ましく用いられる。具体的にはポリブタジエン、ス
チレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタ
ジエン共重合体、スチレン−ブタジエンのブロック共重
合体、アクリル酸ブチル−ブタジエン共重合体などのジ
エン系ゴム、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系ゴ
ム、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン−ジエン系
三元共重合体などが挙げられる。なかでもポリブタジエ
ンまたはブタジエン共重合体が好ましい。
【0013】ゴム質重合体(a)のゴム粒子径は、ゴム
粒子の重量平均粒子径が0.1〜0.6μm、特に0.
15〜0.5μmのものが耐衝撃性の点で好ましい。
【0014】なお、ゴム粒子の平均重量粒子径は「Ru
bber Age Vol.88p.484〜490
(1960)by E.Schmidt, P.H.B
iddison」記載のアルギン酸ナトリウム法(アル
ギン酸ナトリウムの濃度によりクリーム化するポリブタ
ジエン粒子径が異なることを利用して、クリーム化した
重量割合とアルギン酸ナトリウム濃度の累積重量分率よ
り累積重量分率50%の粒子径を求める)により測定す
る。
【0015】グラフト共重合体(A)およびビニル系共
重合体(B)に用いる芳香族ビニル系単量体(b)とし
てはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、
o−エチルスチレン、p−t−ブチルスチレンなどが挙
げられるが、特にスチレンが好ましい。
【0016】グラフト共重合体(A)およびビニル系共
重合体(B)に用いるシアン化ビニル系単量体(c)と
してはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタク
リロニトリルなどが挙げられるが、特にアクリロニトリ
ルが耐衝撃性の点で好ましい。
【0017】グラフト共重合体(A)およびビニル系共
重合体(B)に用いるその他の共重合可能なビニル系単
量体(d)としてはマレイミド、N−メチルマレイミ
ド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系単量
体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレ
イン酸、フタル酸、イタコン酸などのα,β−不飽和カ
ルボン酸およびその無水物、アクリル酸メチル、アクリ
ル酸ブチル、、どのα,β−不飽和カルボン酸エステル
およびアクリルアミドなどが使用でき、中でもN−フェ
ニルマレイミド、メタクリル酸メチルが成形性の点で好
ましい。
【0018】グラフト共重合体(A)において用いる単
量体混合物は、芳香族ビニル系単量体(b)は40〜9
0重量%が必要であり、好ましくは50〜80重量%で
ある。芳香族ビニル系単量体(b)が40重量%未満で
は、得られる難燃性熱可塑性樹脂組成物の流動性が十分
でなく、90重量%を越えると得られる難燃性熱可塑性
樹脂組成物の耐衝撃性が十分ではない。また、シアン化
ビニル系単量体(c)は10〜60重量%が必要であ
り、好ましくは20〜50重量%である。シアン化ビニ
ル系単量体(c)が10重量%未満だと、得られる難燃
性熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が十分でなく、60重
量%を越えると、得られる難燃性熱可塑性樹脂組成物の
流動性が十分でない。また、その他の共重合可能なビニ
ル系単量体(d)は0〜80重量%が必要であり、好ま
しくは0〜70重量%である。その他の共重合可能なビ
ニル系単量体(d)が80重量%を越えると、得られる
難燃性熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が十分でない。
【0019】グラフト共重合体(A)を得る際のゴム質
重合体(a)と単量体混合物との割合は、ゴム質重合体
(a)20〜80重量部の存在下に、単量体混合物80
〜20重量部をグラフト重合する必要がある。ゴム質重
合体(a)が20重量部未満では、得られる難燃性熱可
塑性樹脂組成物の耐衝撃性が十分でなく、80重量部を
越えると、得られる難燃性熱可塑性樹脂組成物の流動性
が十分でない。
【0020】グラフト共重合体(A)は公知の重合法で
得ることができる。例えばゴム質重合体(a)のラテッ
クスの存在下に単量体および連鎖移動剤の混合物と乳化
剤に溶解したラジカル発生剤の溶液を連続的に重合容器
に供給して乳化重合する方法などによって得ることがで
きる。
【0021】グラフト共重合体(A)は、ゴム質重合体
(a)にグラフトした構造をとった材料の他に、グラフ
トしていない共重合体を含有する。グラフト共重合体
(A)のグラフト率は特に制限がないが、耐衝撃性およ
び光沢が均衡して優れる樹脂組成物を得るために30〜
120重量%が好ましい。ここで、グラフト率は次式に
より算出される。 グラフト率(%)=<ゴム質重合体にグラフト重合した
ビニル系共重合体量>/<グラフト共重合体のゴム含有
量>×100
【0022】グラフトしていない共重合体の特性として
は特に制限されないが、グラフト共重合体(A)のメチ
ルエチルケトン可溶分の極限粘度[η](30℃で測
定)が、0.2〜0.6dl/g、特に0.25〜0.
55dl/gの範囲が、耐衝撃性の点で、好ましく用い
られる。
【0023】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物では、
芳香族ビニル系単量体(b)40〜90重量%、シアン
化ビニル系単量体(c)10〜60重量%およびその他
の共重合可能なビニル系単量体(d)0〜80重量%か
らなる単量体混合物を共重合してなるビニル系共重合体
(B)を1〜99重量%配合を必要とする。ここで、単
量体混合物中の芳香族ビニル系単量体(b)は、40〜
90重量%が必要であり、好ましくは50〜80重量%
である。芳香族ビニル系単量体(b)が40重量%未満
では、得られる難燃性熱可塑性樹脂組成物の流動性が十
分でなく90重量%を越えると、得られる難燃性熱可塑
性樹脂組成物の耐衝撃性が十分ではない。また、シアン
化ビニル系単量体(c)は10−60重量%が必要であ
り、好ましくは20〜50重量%である。シアン化ビニ
ル系単量体(c)が10重量%未満だと、得られる難燃
性熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が十分でなく、60重
量%を越えると、得られる難燃性熱可塑性樹脂組成物の
流動性が十分でない。また、その他の共重合可能なビニ
ル系単量体(d)は0−80重量%が必要であり、好ま
しくは0〜70重量%である。その他の共重合可能なビ
ニル系単量体(d)が80重量%を越えると、得られる
難燃性熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が十分でない。
【0024】また、ビニル系共重合体(B)の分子量と
しては特に制限がないが、極限粘度[η](N,N−ジ
メチルホルムアミド溶媒、30℃測定)が0.3〜0.
9dl/g、特に0.4〜0.8dl/gの範囲のもの
が、優れた耐衝撃性、成形加工性の樹脂組成物が得られ
ることから好ましく用いられる。
【0025】ビニル系共重合体(B)の製造法は特に制
限がなく、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、溶液
重合法、塊状−懸濁重合法、溶液−塊状重合法など通常
の公知の方法で製造することができる。
【0026】本発明で用いられる フッ素系樹脂水性分
散体(C)とは、フッ素を含量する樹脂を水中に分散さ
せたもので、テトラフルオロエチレン、テトラフルオロ
エチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、および
テトラフルオロエチレンとフッ素を含まないエチレン性
不飽和モノマ−との共重合体などを乳化重合して得られ
る。フッ素系樹脂のフッ素含量は特に制限は無いが、難
燃性の点から65〜76重量%が好ましく、さらに好ま
しくは70〜76重量%である。
【0027】フッ素系樹脂水性分散体(C)の粒子径は
0.05〜0.7μmが好ましく、さらに好ましくは
0.1〜0.65μmであるものが用いられる。なお、
フッ素系樹脂水性分散体(D)の粒子径は、150℃x
15分+280℃x30分焼成したのち光学顕微鏡で測
定できる。
【0028】フッ素系樹脂水性分散体(C)の製造方法
は特に制限がなく、例えば水性媒体中で、触媒ペルオキ
シ二硫酸ナトリウム、カリウムまたはアンモニウムを用
いて、7〜71kg/cm2 の圧力下、0〜200℃の
温度において、テトラフルオロエチレン等の重合を行う
などの公知の方法を用いることができる。
【0029】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物には、
下記一般式(I)で表わされる リン酸エステル化合物
(D)が配合される。
【化3】 式(I)中、Xはアリーレン基、R1,R2,R3,R4
置換または非置換のフェニル基を意味する。
【0030】アリーレン基としては、o−フェニレン
基,m−フェニレン基、p−フェニレン基、ビフェニレ
ン基、フェニレンオキシフェニレン基などが例示され、
なかでもm−フェニレン基、p−フェニレン基が好まし
く用いられる。
【0031】またR1,R2,R3,R4は置換または非置
換のフェニル基であるが、「R1,R2,R3,R4のうち
少なくとも1つが、炭素数1〜6のアルキル基置換のフ
ェニル基」、さらに「R1,R2,R3,R4が炭素数1〜
6のアルキル基置換のフェニル基」、またさらに
「R1,R2,R3,R4が炭素数1〜6のアルキル基二置
換のフェニル基」の構造を有するものが好ましく用いら
れ、さらにアルキル基の炭素数として1〜3のものが好
ましく用いられる。
【0032】具体的には、1,4−フェニレン−テトラ
キス(2,6−ジメチルフェニル)リン酸エステル、
1,4−フェニレン−テトラキス(3,5−ジメチルフ
ェニル)リン酸エステル、1,4−フェニレン−テトラ
キス(2,6−ジエチルフェニル)リン酸エステル、
1,4−フェニレン−テトラキス(3,5−ジエチルフ
ェニル)リン酸エステル、1,4−フェニレン−テトラ
キス(2,6−ジプロピルフェニル)リン酸エステル、
1,4−フェニレン−テトラキス(3,5−ジプロピル
フェニル)リン酸エステル、1,3−フェニレン−テト
ラキス(2,6−ジメチルフェニル)リン酸エステル、
1,3−フェニレン−テトラキス(3,5−ジメチルフ
ェニル)リン酸エステル、1,3−フェニレン−テトラ
キス(2,6−ジエチルフェニル)リン酸エステル、
1,3−フェニレン−テトラキス(3,5−ジエチルフ
ェニル)リン酸エステル、1,3−フェニレン−テトラ
キス(2,6−ジプロピルフェニル)リン酸エステル、
1,3−フェニレン−テトラキス(3,5−ジプロピル
フェニル)リン酸エステル、4,4´−ビフェニレン−
テトラキス(2,6−ジメチルフェニル)リン酸エステ
ル、4,4´−ビフェニレン−テトラキス(3,5−ジ
メチルフェニル)リン酸エステル、4,4´−ビフェニ
レン−テトラキス(2,6−ジエチルフェニル)リン酸
エステル、4,4´−ビフェニレン−テトラキス(3,
5−ジエチルフェニル)リン酸エステル、4,4´−ビ
フェニレン−テトラキス(2,6−ジプロピルフェニ
ル)リン酸エステル、4,4´−ビフェニリン−テトラ
キス(3,5−ジプロピルフェニル)リン酸エステル、
1,4−フェニレン−テトラキス(2−メチルフェニ
ル)リン酸エステル、1,4−フェニレン−テトラキス
(3−メチルフェニル)リン酸エステル、1,4−フェ
ニレン−テトラキス(4−メチルフェニル)リン酸エス
テル、1,4−フェニレン−テトラキス(5−メチルフ
ェニル)リン酸エステル、1,4−フェニレン−テトラ
キス(6−メチルフェニル)リン酸エステル、1,3−
フェニレン−テトラキス(2−メチルフェニル)リン酸
エステル、1,3−フェニレン−テトラキス(3−メチ
ルフェニル)リン酸エステル、1,3−フェニレン−テ
トラキス(4−メチルフェニル)リン酸エステル、1,
3−フェニレン−テトラキス(5−メチルフェニル)リ
ン酸エステル、1,3−フェニレン−テトラキス(6−
メチルフェニル)リン酸エステル、4,4´−ビフェニ
レン−テトラキス(2−メチルフェニル)リン酸エステ
ル、4,4´−ビフェニレン−テトラキス(3−メチル
フェニル)リン酸エステル、4,4´−ビフェニレン−
テトラキス(4−メチルフェニル)リン酸エステル、
4,4´−ビフェニレン−テトラキス(5−メチルフェ
ニル)リン酸エステル、4,4´−ビフェニレン−テト
ラキス(6−メチルフェニル)リン酸エステル、などが
挙げられ、特に1,4−フェニレン−テトラキス(2,
6−ジメチルフェニル)リン酸エステル、1,3−フェ
ニレン−テトラキス(2,6−ジメチルフェニル)リン
酸エステル、4,4´−ビフェニレン−テトラキス
(2,6−ジメチルフェニル)リン酸エステル、1,4
−フェニレン−テトラキス(3−メチルフェニル)リン
酸エステル、1,3−フェニレン−テトラキス(3−メ
チルフェニル)リン酸エステル、4,4´−ビフェニレ
ン−テトラキス(3−メチルフェニル)リン酸エステル
が剛性、難燃性に優れ好ましい。
【0033】リン酸エステル化合物(D)の製造法は特
に制限がなく、例えば溶媒中で、オキシ塩化リンとハイ
ドロキノンを実質的に2:1のモル比で反応させた後、
2,6−ジメチルフェノ−ルを適量加えて反応させるこ
とによりハイドロキノン−ビス(2,6−ジメチルフェ
ニル)ホスフェ−トを得ることができる。
【0034】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物におい
て、グラフト共重合体(A)は1〜99重量%であり、
好ましくは5〜95重量%である。グラフト共重合体
(A)が99重量%を越えると、得られる難燃性熱可塑
性樹脂組成物の流動性が十分でなく、1重量%未満では
得られる難燃性熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が十分で
ない。また、ビニル系共重合体(B)は1〜99重量%
であり、好ましくは、5〜95重量%である。ビニル系
共重合体(B)が99重量%を越えると得られる難燃性
熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が十分でなく、1重量%
未満では得られる難燃性熱可塑性樹脂組成物の流動性が
十分でない。
【0035】また、フッ素系樹脂水性分散体(C)は
0.01〜5重量部であり、好ましくは0.05〜4.
5重量部である。フッ素系樹脂水性分散体(C)が0.
01重量部未満では、得られる難燃性熱可塑性樹脂組成
物の難燃性が十分ではなく、5重量部を越えると得られ
る難燃性熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が十分でない。
また、一般式(I)で表わされるリン酸エステル化合物
(D)は1〜40重量部であり、好ましくは3〜35重
量部である。リン酸エステル化合物(D)が1重量部未
満だと得られる難燃性熱可塑性樹脂組成物の難燃性が十
分ではなく、40重量部を越えると得られる難燃性熱可
塑性樹脂組成物の耐衝撃性が十分でない。
【0036】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物の製造
方法に関しては特に制限はなく、グラフト共重合体
(A)、ビニル系共重合体(B)、フッ素系樹脂水性分
散体(C)およびリン酸エステル化合物(D)を例えば
バンバリミキサー、ロール、エクストルーダー、ニーダ
ーなどで溶融混練することによって製造することができ
る。
【0037】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物には、
本発明の目的を損なわない範囲で、ポリエチレン、ポリ
プロピレンなどのポリオレフィン、ナイロン6、ナイロ
ン66などのポリアミド、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ボリシクロヘキサン
ジメチルテレフタレートなどのポリエステル、ポリフェ
ニレンエーテル、ポリグルタルイミド、ポリフェニレン
サルファイド、および各種エラストマー類を配合するこ
とにより、成形用樹脂組成物として性能をさらに改良す
ることができる。
【0038】また、本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物
には、必要に応じてヒンダードフェノール系、含硫黄化
合物系、含リン有機化合物系などの酸化防止剤、フェノ
ール系、アクリレート系などの熱安定剤、ベンゾトリア
ゾール系、ベンソフェノン系、サクシレート系などの紫
外線吸収剤、有機ニッケル系、ヒンダードアミン系など
の光安定剤などの各種安定剤、高級脂肪酸の金属塩類、
高級脂肪酸アミド類などの滑剤、フタル酸エステル類、
リン酸エステル類などの可塑剤、カーボンブラック、酸
化チタン、顔料および染料などを添加することもでき
る。
【0039】さらに、本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成
物には、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、
炭素繊維および金属繊維などの補強剤や充填剤を添加す
ることもできる。
【0040】上記によって得られた難燃性熱可塑性樹脂
組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形、真空成
形、圧縮成形および、ガスアシスト成形などの現在熱可
塑性樹脂の成形に用いられる公知の方法によって成形す
ることができ、特に制限されるものではない。
【0041】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は耐衝
撃性、耐熱性、成形時の流動性、難燃性に優れた特徴を
生かして、OA機器、家電機器などのハウジングおよび
それらの部品類に適している。
【0042】
【実施例】本発明をさらに具体的に説明するために、以
下、実施例および比較例を挙げて説明する。なお、実施
例中の部数および%はそれぞれ重量部および重量%を示
す。
【0043】参考例1( グラフト共重合体(A)の調
製) 以下にグラフト共重合体の調製方法を示す。なおグラフ
ト率は次の方法で求めたものである。グラフト共重合体
の所定量(m)にアセトンを加え4時間還流した。この
溶液を8000rpm(10,000G)30分遠心分
離後、不溶分を濾過した。この不溶分を70℃で5時間
減圧乾燥し、重量(n)を測定した。 グラフト率=[(n)−(m)×L]/[(m)×L]
×100 ここでLはグラフト共重合体のゴム含有率を意味する。
【0044】<A−1>ポリブタジエンラテックス(平
均ゴム粒子径0.21μm、ゲル含率80%)45部
(固形分換算)の存在下でスチレン79%、アクリロニ
トリル21%からなる単量体混合物55部を乳化重合し
た。得られたグラフト共重合体を硫酸で凝固し、苛性ソ
ーダで中和、洗浄、ろ過、乾燥して、パウダー状のグラ
フト共重合体(A−1)を調製した。
【0045】得られたグラフト共重合体(A−1)のグ
ラフト率は41%であった。またこのグラフト共重合体
(A−1)には、スチレン含有率79%、アクリロニト
リル含有率21%の非グラフト性スチレンーアクリロニ
トリル共重合体を36%含有するものであった。またメ
チルエチルケトン可溶分の極限粘度は0.43dl/g
であった。
【0046】<A−2>ポリブタジエンラテックス(平
均ゴム粒子径0.32μm、ゲル含率88%)60部
(固形分換算)の存在下でスチレン70%、アクリロニ
トリル30%からなる単量体混合物40部を乳化重合し
た。得られたグラフト共重合体は硫酸で凝固し、苛性ソ
ーダで中和、洗浄、ろ過、乾燥してパウダー状のグラフ
ト共重合体(A−2)を調製した。
【0047】得られたグラフト共重合体(A−2)は、
グラフト共重合体(A−1)と同じ方法で測定し、グラ
フト率が38%であった。このグラフト共重合体(A−
2)はスチレン含有率70%、アクリロニトリル含有率
30%からなる非グラフト性スチレンーアクリロニトリ
ル共重合体を17%含有するものであった。またメチル
エチルケトン可溶分の極限粘度は0.37dl/gであ
った。
【0048】参考例2 ビニル系共重合体(B)の調
<B−1>スチレン70%、アクリロニトリル30%の
単量体混合物を懸濁重合してビニル系共重合体(B−
1)を調製した。得られたビニル系共重合体(C−1)
はN,N−ジメチルホルムアミド可溶分の極限粘度が
0.65dl/gであった。
【0049】<B−2>スチレン50%、N−フェニル
マレイミド30%、アクリロニトリル20%、の単量体
混合物を乳化重合してビニル系共重合体(B−2)を調
製した。得られたビニル系共重合体(B−2)はN,N
−ジメチルホルムアミド可溶分の極限粘度が0.56d
l/gであった。
【0050】参考例3 フッ素系樹脂水性分散体(C) <C−1>ポリテトラフルオロエチレンを乳化重合して
得られたダイキン工業(株)製ポリフロンD−2C(粒
子径0.15〜0.35μmm、60%水溶液)を使用
した。
【0051】<C−2>ポリテトラフルオロエチレンで
あるポリフロンF201(ダイキン工業(株)製)(A
STM D1457で測定の粒子径(二次)が0.5m
m)を使用した。
【0052】参考例4 リン酸エステル化合物(D) <D−1>1,4−フェニレンテトラキス(2,6−ジ
メチルフェニル)リン酸エステルである大八化学工業
(株)製PX201を使用した。
【0053】<D−2>1,3−フェニレン−テトラキ
ス(2,6−ジメチルフェニル)リン酸エステルである
大八化学工業(株)製PX200を使用した。
【0054】<D−3>4,4´−ビフェニレンテトラ
キス(2,6−ジメチルフェニル)リン酸エステルを使
用した。
【0055】実施例1〜8(難燃性熱可塑性樹脂組成物
の製造) 参考例で示したグラフト共重合体(A)、ビニル系共重
合体(B)、フッ素系樹脂水性分散体(C)およびリン
酸エステル(D)を表1に示した配合比で混合し、ベン
ト付30mmφ2軸押出機で樹脂温度240℃で溶融混
練、押出しを行うことによって、ペレット状の難燃性熱
可塑性樹脂組成物を製造した。次いで射出成形機によ
り、シリンダー温度260℃、金型温度60℃で試験片
を成形し、次の条件で物性を測定し、得られた測定結果
を表2に示した。
【0056】1/4″アイゾット衝撃強さ:ASTM
D256−56A 1/8″アイゾット衝撃強さ:ASTM D256−5
6A 耐熱性:ASTM D648(試験厚:1/4”、18.5
6kg/cm2荷重) MFR(メルトフローレート値):JIS K7207
(220℃、1000g) 難燃性:UL94規格に従い、垂直型燃焼テストを1/
8″×1/2″×5″の燃焼試験片で行った。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】比較例1〜5 参考例で調製した グラフト共重合体(A)、 ビニル
系共重合体(B)、フッ素系樹脂水性分散体(C)およ
びリン酸エステル(D)を表1に示した配合比で混合
し、実施例と同様の方法で各物性を測定し、測定結果を
表2に示した。
【0060】表2の結果から次のことが明らかである。
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物(実施例1〜8)は
いずれも耐衝撃性、耐熱性、流動性(MFR値)および
難燃性が均衡してすぐれる。
【0061】グラフト共重合体(A)が1重量%未満の
場合(比較例1)は耐衝撃性が悪く好ましくない。フッ
素系樹脂水性分散体(C)の配合量が0.01重量部未
満の場合(比較例2)は難燃性が劣り、5重量部を越え
る場合(比較例3)は耐衝撃性、流動性が悪くなるので
好ましくない。また本発明以外の微粒子固形フッ素樹脂
を使用した場合(比較例5)はフッ素系樹脂水性分散体
に比較し分散性が悪く難燃性が好ましくない。
【0062】リン酸エステル化合物(D)の配合量が、
40重量部を越える場合(比較例4)は耐衝撃性が悪く
なり好ましくない。
【0063】
【発明の効果】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、
臭素および塩素化合物を含有せず、またフッ素系樹脂水
性分散体の使用により、少量添加で難燃性が得られすぐ
れた難燃性、耐衝撃性、耐熱性、成形時の流動性をもつ
ものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 27:12)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ゴム質重合体(a)20〜80重量部存在
    下に 芳香族ビニル系単量体(b)40〜90重量%、
    シアン化ビニル系単量体(c)10〜60重量%および
    その他の共重合可能なビニル系単量体(d)0〜80重
    量%からなる単量体混合物80〜20重量部をグラフト
    共重合してなるグラフト共重合体(A)1〜99重量
    %、芳香族ビニル系単量体(b)40〜90重量%、シ
    アン化ビニル系単量体(c)10〜60重量%およびそ
    の他の共重合可能なビニル系単量体(d)0〜80重量
    %からなる単量体混合物を共重合してなる、ビニル系重
    合体(B)1〜99重量%からなるスチレン系ゴム強化
    樹脂((A)+(B))100重量部に対しフッ素系樹
    脂の水性分散体(C)0.01〜5重量部および下記一
    般式(I)で表わされるリン酸エステル化合物(D)1
    〜40重量部からなることを特徴とする難燃性熱可塑性
    樹脂組成物。 【化1】 (式中、Xはアリーレン基。R1,R2,R3,R4は置換
    または非置換のフェニル基。)
  2. 【請求項2】 グラフト共重合体(A)のゴム質重合体
    が重量平均粒子径0.15〜0.6μmのポリブタジエ
    ンゴムであり、グラフト率が30〜120重量%のスチ
    レンーアクリロニトリルーブタジエン共重合体であこと
    を特徴とする請求項1または2記載の難燃性熱可塑性樹
    脂組成物.
  3. 【請求項3】フッ素系樹脂水性分散体(C)のフッ素系
    樹脂の粒子径が0.05〜0.7μmであることを特徴
    とする請求項1または2記載の難燃性熱可塑性樹脂組成
    物。
  4. 【請求項4】リン酸エステル化合物(D)が、一般式
    (I)であり、R1,R2,R3,R4のうち少なくとも1
    つが、炭素数1〜6のアルキル基置換のフェニル基であ
    ることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の難燃
    性熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】リン酸エステル化合物(D)が、一般式
    (I)であり、R1,R2,R3,R4が炭素数1〜6のア
    ルキル基二置換のフェニル基であることを特徴とする請
    求項1〜4いずれかに記載の難燃性熱可塑性樹脂組成
    物。
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