JP2001323121A - 難燃性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

難燃性熱可塑性樹脂組成物

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JP2001323121A
JP2001323121A JP2000141060A JP2000141060A JP2001323121A JP 2001323121 A JP2001323121 A JP 2001323121A JP 2000141060 A JP2000141060 A JP 2000141060A JP 2000141060 A JP2000141060 A JP 2000141060A JP 2001323121 A JP2001323121 A JP 2001323121A
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Japan
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weight
flame
thermoplastic resin
resin composition
monomer
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JP2000141060A
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Makoto Matsumoto
誠 松本
Masa Matsuda
政 松田
Akihiro Omura
昭洋 大村
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 難燃性、耐衝撃性および熱安定性に優れ、か
つ特にリサイクル使用時におけるこれらの物性の低下が
小さい難燃性熱可塑性樹脂組成物の提供。 【解決手段】 ゴム質重合体を含有するグラフト共重合
体と、ビニル系(共)重合体とからなる熱可塑性樹脂組
成物に対し、難燃剤、酸化アンチモンおよびフッ素系樹
脂の各特定量を含有せしめてなり、かつ、スウェル比が
1.3〜3.0の範囲である難燃性熱可塑性樹脂組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難燃性、耐衝撃性
および熱安定性に優れ、かつ特にリサイクル使用時にお
けるこれらの物性の低下が小さい難燃性熱可塑性樹脂組
成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ABS樹脂に代表されるスチレン系樹脂
は、すぐれた機械的性質、成形加工性および電気絶縁性
を有することから、家庭電気機器、OA機器および自動
車などの各部品を始めとする広範な分野で使用されてい
る。しかしながら、スチレン系樹脂を含むプラスチック
スの大半は易燃性であるため、安全性の問題で難燃化に
対し種々の技術が案出されてきた。
【0003】一般的に、プラスチックスの難燃化手法と
しては、難燃化効率の高い塩素または臭素系難燃剤と酸
化アンチモンとを組合せて樹脂に配合することにより、
難燃化する方法が採用されている。
【0004】しかし、従来の塩素または臭素系難燃剤を
含む難燃性スチレン系樹脂組成物は、リサイクル時に難
燃性低下や衝撃強度の低下を生じるため、特に再生回数
が増加した場合や再生材比率が高い場合に、十分な難燃
性や衝撃性を得ることができないという問題があった。
【0005】難燃性スチレン系樹脂組成物のリサイクル
性を向上させる技術として、例えば特開平7−2904
54号公報に、難燃性ポリスチレン樹脂をリサイクルす
る際にさらに難燃剤を添加することにより、難燃性の低
下を抑制する方法が開示されているが、この方法では、
リサイクル品の物性低下や色調低下が招かれるという問
題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来技術における問題点の解決を課題として検討した結果
達成されたものである。
【0007】したがって、本発明の目的は、難燃性、耐
衝撃性および熱安定性に優れ、かつ特にリサイクル使用
時におけるこれらの物性の低下が小さい難燃性熱可塑性
樹脂組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意検討した結果、スチレン系樹脂に対
して、難燃剤、酸化アンチモンおよびフッ素系樹脂を配
合することにより、上記目的が効率的に達成されること
を見出し、本発明に到達した。
【0009】すなわち、本発明の難燃性熱可塑性樹脂組
成物は、ゴム質重合体(a)に対し、芳香族ビニル系単
量体(b)、シアン化ビニル系単量体(c)およびその
他の共重合可能なビニル系単量体(d)から選ばれた1
種以上の単量体をグラフト共重合せしめたグラフト共重
合体(A)と、芳香族ビニル系単量体(b)、シアン化
ビニル系単量体(c)およびその他の共重合可能なビニ
ル系単量体(d)から選ばれた1種以上の単量体からな
るビニル系(共)重合体(B)とを、(A):(B)の
重量比が10:90〜60:40の範囲となる割合で含
む熱可塑性樹脂組成物(I)100重量部に対し、難燃
剤(II)1〜30重量部、酸化アンチモン(III)0.
5〜15重量部およびフッ素系樹脂(IV)0.01〜5
重量部を含有せしめてなり、かつ、スウェル比が1.3
〜3.0の範囲であることを特徴とする。
【0010】なお、本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物
においては、上記ゴム質重合体(a)の重量平均粒子径
が0.1〜0.5μmであり、かつ上記グラフト共重合
体(A)におけるゴム質重合体(a)の含有量が20〜
80重量%であること、上記グラフト共重合体(A)を
構成する単量体組成が、芳香族ビニル系単量体(b)1
0〜90重量%、シアン化ビニル系単量体(c)0〜5
0重量%およびその他の共重合可能なビニル系単量体
(d)0〜90重量%からなること、上記ビニル系
(共)重合体(B)を構成する単量体組成が、芳香族ビ
ニル系単量体(b)10〜90重量%、シアン化ビニル
系単量体(c)0〜50重量%およびその他の共重合可
能なビニル系単量体(d)0〜90重量%からなるこ
と、および上記フッ素系樹脂(IV)がポリテトラフルオ
ロエチレンであることが、いずれも好ましい条件として
挙げられる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の難燃性熱可塑性
樹脂組成物について詳細に説明する。
【0012】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物におけ
るベースポリマは、ゴム質重合体(a)に対し、芳香族
ビニル系単量体(b)、シアン化ビニル系単量体(c)
およびその他の共重合可能なビニル系単量体(d)から
選ばれた1種以上の単量体をグラフト共重合せしめたグ
ラフト共重合体(A)と、芳香族ビニル系単量体
(b)、シアン化ビニル系単量体(c)およびその他の
共重合可能なビニル系単量体(d)から選ばれた1種以
上の単量体からなるビニル系(共)重合体(B)とを含
む熱可塑性樹脂組成物(I)である。
【0013】上記グラフト共重合体(A)に用いられる
ゴム質重合体(a)には特に制限はなく、ジエン系ゴ
ム、アクリル系ゴムおよびエチレン系ゴムなどを使用す
ることができる。これらゴム質重合体(a)の具体例と
しては、ポリブタジエン、ポリ(ブタジエン−スチレ
ン)、ポリ(ブタジエン−アクリロニトリル)、ポリイ
ソプレン、ポリ(ブタジエン−アクリル酸ブチル)、ポ
リ(ブタジエン−メタクリル酸メチル)、ポリ(アクリ
ル酸ブチル−メタクリル酸メチル)、ポリ(ブタジエン
−アクリル酸エチル)、エチレン−プロピレンラバー、
エチレン−プロピレン−ジエンラバー、ポリ(エチレン
−イソプレン)およびポリ(エチレン−アクリル酸メチ
ル)などが挙げられる。これらのゴム質重合体(a)
は、1種または2種以上の混合物で使用される。これら
のゴム質重合体(a)のなかでも、ポリブタジエン、ポ
リ(ブタジエン−スチレン)、ポリ(ブタジエン−アク
リロニトリル)およびエチレン−プロピレンラバーが、
耐衝撃性の点で好ましく用いられる。
【0014】本発明におけるグラフト共重合体(A)を
構成するゴム質重合体(a)の重量平均粒子径には特に
制限はないが、0.1〜0.5μmの範囲であることが
好ましい。
【0015】本発明におけるグラフト共重合体(A)お
よびビニル系(共)重合体(B)に用いる芳香族ビニル
系単量体(b)には特に制限はなく、具体例としてはス
チレン、α−メチルスチレン、オルソメチルスチレン、
パラメチルスチレン、パラ−t−ブチルスチレンおよび
ハロゲン化スチレンなどが挙げられ、これらは1種また
は2種以上を用いることができる。これら芳香族ビニル
系単量体(b)なかでも、スチレンおよびα−メチルス
チレンが好ましく、スチレンが特に好ましく用いられ
る。
【0016】本発明におけるグラフト共重合体(A)お
よびビニル系(共)重合体(B)に用いるシアン化ビニ
ル系単量体(c)には特に制限はなく、具体例としては
アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルなどが挙げ
られ、これらは1種または2種以上用いることができ
る。これらシアン化ビニル系単量体(c)なかでも、ア
クリロニトリルが耐衝撃性の点で好ましく用いられる。
【0017】本発明におけるグラフト共重合体(A)お
よびビニル系(共)重合体(B)に用いる共重合可能な
その他のビニル系単量体(d)には特に制限はなく、具
体例としては(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アク
リル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メ
タ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブ
チル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アク
リル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチ
ル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチルなどの炭素数
1〜6のアルキル基または置換アルキル基を持つ(メ
タ)アクリル酸エステル化合物、N−メチルマレイミ
ド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレ
イミドなどのマレイミド化合物、マレイン酸などの不飽
和ジカルボン酸、無水マレイン酸などの不飽和ジカルボ
ン酸無水物およびアクリルアミドなどの不飽和アミド化
合物に代表される共重合可能なビニル化合物などを挙げ
ることができ、これらは単独ないし2種以上を用いるこ
とができる。
【0018】グラフト共重合体(A)に用いる単量体組
成としては、芳香族ビニル系単量体(b)10〜90重
量%、シアン化ビニル系単量体(c)0〜50重量%、
およびその他の共重合可能なビニル系単量体(d)0〜
90重量%からなることが好ましい。より好ましくは、
芳香族ビニル系単量体(b)20〜80重量%、シアン
化ビニル系単量体(c)0〜40重量%、および共重合
可能なその他のビニル系単量体(d)0〜80重量%で
ある。
【0019】本発明におけるビニル系(共)重合体
(B)を構成する芳香族ビニル系単量体(b)、シアン
化ビニル系単量体(c)および必要に応じて共重合可能
なその他のビニル系単量体(d)の組成には特に制限は
ないが、成形性および耐衝撃性のバランスをとる点で、
芳香族ビニル系単量体(b)10〜90重量%、シアン
化ビニル系単量体(c)0〜50重量%、およびその他
の共重合可能なビニル系単量体(d)0〜90重量%で
あることが好ましい。さらに好ましくは、芳香族ビニル
系単量体(b)20〜80重量%、シアン化ビニル系単
量体(c)0〜40重量%、および共重合可能なその他
のビニル系単量体(d)0〜80重量%の範囲である。
【0020】本発明の熱可塑性樹脂(I)を構成するグ
ラフト共重合体(A)とビニル系(共)重合体(B)と
の混合比は、(A):(B)の重量比が10:90〜6
0:40、好ましくは20:80〜50:50の範囲と
なる割合である。グラフト共重合体(A)の割合が上記
の範囲未満もしくはビニル系(共)重合体(B)の割合
が上記の範囲を越えると、衝撃強度が低下する傾向とな
る。また、グラフト共重合体(A)の割合が上記の範囲
を越えると、溶融粘度が上昇して成形性が悪くなる傾向
が招かれる。
【0021】また、グラフト共重合体(A)におけるゴ
ム質重合体(a)の含有量には特に制限はないが、20
〜80重量%、特に35〜60重量%の範囲にあること
が好ましい。ゴム質重合体(a)の含有量が上記の範囲
未満では、得られる難燃性熱可塑性樹脂組成物の衝撃強
度が低下する傾向を生じ、上記の範囲を越えると、溶融
粘度が上昇して成形性が悪くなる傾向を生じる。
【0022】なお、グラフト共重合体(A)に配合され
る単量体混合物は、そのすべてがゴム質重合体(a)と
結合してグラフト化している必要はなく、単量体混合物
の単量体同士で結合し、グラフト化していない重合体と
して含まれていてもよい。しかし、グラフト率は好まし
くは、10〜100%、特に20〜50%の範囲にある
ことが好ましい。
【0023】本発明におけるビニル系(共)重合体
(B)の還元粘度(ηsp/c)には特に制限はない
が、0.1〜0.8dl/g、特に0.3〜0.7dl
/gの範囲にあることが好ましい。還元粘度が上記の範
囲以外の場合には、耐衝撃性が低下するか、或いは溶融
粘度が上昇して成形性が悪くなりやすい傾向を生じる。
【0024】本発明におけるグラフト共重合体(A)お
よびビニル系(共)重合体(B)の製造方法には特に制
限はなく、塊状重合、溶液重合、懸濁重合および乳化重
合などのいずれであってもよい。製造時における単量体
の仕込方法にも特に制限はなく、初期一括仕込み、単量
体の一部または全てを連続仕込み、あるいは単量体の一
部または全てを分割仕込みのいずれの方法を用いてもよ
い。
【0025】次に、本発明において使用する難燃剤(I
I)は、特に限定されるものではないが、添加型である
ハロゲン系難燃剤であることが好ましい。
【0026】ハロゲン系難燃剤としては、例えば臭素化
ビスフェノール系エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェ
ノールA、そのオリゴマー、および臭素化トリアジン系
難燃剤などが好ましく使用され、臭素化ビスフェノール
系エポキシ樹脂の使用がより好ましい。
【0027】本発明における難燃剤(II)の添加量は、
熱可塑性樹脂組成物(I)100重量部に対し、1〜3
0重量部、特に3〜25重量部の範囲であることが、難
燃性、耐衝撃性、熱安定性および耐熱性のバランス点で
好ましい。難燃剤(II)の添加量が上記の範囲未満では
難燃性が十分でなく、上記の範囲を越えると得られる熱
可塑性樹脂の機械的強度および熱安定性が低下する傾向
が招かれる。
【0028】本発明で使用する酸化アンチモン(III)
としては、三酸化アンチモンおよび四酸化アンチモンな
どが好ましく、より好ましくは三酸化アンチモンであ
る。三酸化アンチモンの製造法自体には特に限定はな
い。
【0029】本発明における酸化アンチモン(III)の
添加量は、熱可塑性樹脂組成物100重量部に対し0.
5〜15重量部、特に1〜10重量部の範囲であること
が好ましい。酸化アンチモン(III)の添加量が上記の
範囲未満では難燃性が十分でなく、上記の範囲を越える
と得られる熱可塑性樹脂の機械的強度が低下する傾向を
生じる。
【0030】本発明において使用するフッ素系樹脂(I
V)は、特に限定されるものではないが、ポリテトラフ
ルオロエチレンが好ましい。ポリテトラフルオロエチレ
ンには特に限定はないが、粉末または水性分散体が好ま
しく使用される。
【0031】本発明におけるフッ素系樹脂(IV)の添加
量は、熱可塑性樹脂組成物100重量部に対し0.01
〜5重量部、特に0.05〜4.5重量部の範囲である
ことが好ましい。フッ素系樹脂(IV)の添加量が上記の
範囲未満では、得られる難燃性樹脂組成物のスウェル比
が1.3以下となって、リサイクル時の難燃性が十分で
なく、また上記の範囲を越えると、得られる熱可塑性樹
脂組成物の耐衝撃性が低下する傾向を生じる。
【0032】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、後
述する方法で測定したスウェル比が1.3〜3.0、特
に1.4〜2.5の範囲にあることが好ましい。得られ
る難燃性樹脂組成物のスウェル比が上記の範囲以外で
は、リサイクル時の難燃性が不十分となるか、或いは耐
衝撃性が低下する傾向を生じる。
【0033】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物の製造
方法に関しては特に制限はなく、熱可塑性樹脂(I)、
難燃剤(II)、酸化アンチモン(III)およびフッ素系
樹脂(IV)を、例えばバンバリミキサー、ロール、エク
ストルーダーおよびニーダーなどで溶融混練することに
より製造することができる。
【0034】なお、本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物
には、本発明の目的を損なわない範囲で、各種の熱可塑
性樹脂やエラストマー類を配合することにより、成形用
樹脂組成物として性能をさらに改良することができる。
【0035】また、本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物
には、必要に応じてヒンダードフェノール系、含硫黄化
合物系、含リン有機化合物系などの酸化防止剤、フェノ
ール系、アクリレート系などの熱安定剤、ベンゾトリア
ゾール系、ベンソフェノン系、サクシレート系などの紫
外線吸収剤、有機ニッケル系、ヒンダードアミン系など
の光安定剤などの各種安定剤、高級脂肪酸の金属塩類、
高級脂肪酸アミド類などの滑剤、フタル酸エステル類、
リン酸エステル類などの可塑剤、三酸化アンチモン、五
酸化アンチモンなどの難燃助剤、カーボンブラック、顔
料および染料などを添加することもできる。
【0036】さらに、本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成
物には、各種の補強剤や充填剤を添加することもでき
る。
【0037】上記によって得られた本発明の難燃性熱可
塑性樹脂組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形、
真空成形、圧縮成形およびガスアシスト成形などの現在
熱可塑性樹脂の成形に用いられる公知の方法によって成
形することができ、成形方法自体は特に制限されるもの
ではない。
【0038】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、本
来の難燃性、耐衝撃性および熱安定性に優れており、か
つ特にリサイクル使用時におけるこれらの物性の低下が
小さいという特徴を有することから、これらの特徴を生
かして、難燃性樹脂が広く使用され、かつリサイクル使
用される各種の分野、特にOA機器、家電機器などのハ
ウジングおよびそれらの部品類として好適に使用するこ
とができる。
【0039】
【実施例】以下に、本発明を実施例および比較例にてさ
らに詳細に説明するが、これをもって本発明を制限する
ものではない。なお、実施例および比較例中、特にこと
わりのない限り「部」または「%」で表示したものは、
すべて重量比率を表わしたものである。
【0040】また、難燃性熱可塑性樹脂組成物の特性に
ついて、分析方法を下記する。 (1)重量平均ゴム粒子径 「Rubber Age Vol.88 p.484〜
490(1960)by E.Schmidt, P.
H.Biddison」記載のアルギン酸ナトリウム法
によって求めた。すなわち、アルギン酸ナトリウムの濃
度によりクリーム化するポリブタジエン粒子径が異なる
ことを利用して、クリーム化した重量割合とアルギン酸
ナトリウム濃度の累積重量分率より累積重量分率50%
の粒子径を求めた。 (2)グラフト率 グラフト共重合体の所定量(m)にアセトンを加えて3
時間還流し、この溶液を8800r/min(1000
0G)で40分間遠心分離した後、不溶分を濾取し、こ
の不溶分を60℃で5時間減圧乾燥して、重量(n)を
測定した。グラフト率は、下記式より算出した。
【0041】グラフト率(%)={[(n)−(m)×
L]/[(m)×L]}×100 ここで、Lはグラフト共重合体のゴム含有量である。 (3)還元粘度ηsp/c サンプル1gにアセトン200mlを加えて3時間還流
し、この溶液を8800r/min(10000G)で
40分間遠心分離した後、不溶分を濾過する。濾液をロ
ータリーエバポレーターで濃縮し、析出物(アセトン可
溶分)を60℃で5時間減圧乾燥後、0.4g/100
ml(メチルエチルケトン、30℃)に調整し、ウベロ
ーデ粘度計を用いηsp/cを測定した。 (4)アイゾット衝撃強度 ASTM D256の規定に準拠し、12.7mmノッ
チ付き、23℃の条件で測定した。 (5)MFR(メルトフローレート値) ISO1133(220℃、98N荷重)に準拠して測
定した。 (6)難燃性 UL規格94法(米国:Underwriters L
aboratories Inc,規格)に準拠し、試
験片厚み1.5mmの条件で測定した。 (7)スウェル比 上記MFRの測定条件にて押し出される樹脂サンプルの
膨らみ具合を測定、評価した。具体的には、上記MFR
の測定条件にて、樹脂を50mm押出した後、切り取
り、平らなところに置く。5分間静置後、樹脂サンプル
の中央部(両端から25mm)の径を測定した。2回測
定し、その平均値を計算して、次式により算出した。
【0042】スウェル比=[押し出された樹脂サンプル
径(2回の平均値)]/[オリフィス径(2.095m
m)] [参考例1] グラフト共重合体(A)の製造方法 窒素置換した反応器に、純水120部、ブドウ糖0.5
部、ピロリン酸ナトリウム0.5部、硫酸第一鉄0.0
05部およびポリブタジエンラテックス(ゴム粒子径
0.3μm,ゲル含有率85%)60部(固形分換算)
を仕込み、撹拌しながら反応器内の温度を65℃に昇温
した。内温が65℃に達した時点を重合開始としてモノ
マ(スチレン30部およびアクリロニトリル10部)お
よびt−ドデシルメルカプタン0.3部からなる混合物
を5時間かけて連続滴下した。同時に並行してクメンハ
イドロパーオキサイド0.25部,オレイン酸カリウム
2.5部および純水25部からなる水溶液を7時間かけ
て連続滴下し、反応を完結させた。
【0043】得られたスチレン系共重合体ラテックスを
硫酸で凝固し、苛性ソーダで中和した後、洗浄、濾過、
乾燥してグラフト共重合体(A)A1を得た。このスチ
レン系グラフト共重合体(A)A1のグラフト率は35
%、樹脂成分のηsp/cは0.35dl/gであっ
た。 [参考例2] ビニル系(共)重合体(B)の製造方法 容量が20リットルで、バッフルおよびファウドラ型撹
拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、メタクリ
ル酸メチル20重量%、アクリルアミド80重量%から
なる共重合体0.05部をイオン交換水165部に溶解
した溶液を400rpmで撹拌し、系内を窒素ガスで置
換した。次に、アクリロニトリル30部、スチレン5.
0部、t−ドデシルメルカプタン0.46部、2,2’
−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.3
9部および2,2’−アゾビスイソブチルニトリル0.
05部の混合溶液を反応系を撹拌しながら添加し、58
℃に昇温し重合を開始した。重合開始から15分が経過
した後、オートクレーブ上部に備え付けた供給ポンプか
らのスチレン65部を110分かけて添加した。この
間、反応温度を65℃まで昇温した。スチレンの反応系
への添加を終了した後、50分かけて100℃まで昇温
した。
【0044】以降は、通常の方法にしたがって、反応系
の冷却、ポリマーの分離、洗浄、乾燥を行ない、ビニル
系(共)重合体(B)B1を得た。このビニル系(共)
重合体(B)B1のηsp/cは0.53dl/gであ
った。 [参考例3] 難燃剤(II) 臭素化ビスフェノール系エポキシ樹脂“プラサーム”E
PR−16(大日本インキ化学社製)を準備した。 [参考例4] 酸化アンチモン(III) 三酸化アンチモン“Timonox”(ANZON社
製)を準備した。 [参考例5] フッ素系樹脂(IV) 下記2種類のフッ素系樹脂を準備した。
【0045】<IV−1> ポリテトラフルオロエチレン“ポリフロン”D−2C
(ダイキン工業社製) 粒子径0.15〜0.35μm,60%水溶液 <IV−2> ポリテトラフルオロエチレン“ポリフロン”F201
(ダイキン工業社製) ASTM D1457で測定の粒子径(二次)0.5m
m。 [実施例1〜3]参考例で示したグラフト共重合体
(A)、ビニル系(共)重合体(B)、難燃剤(II)、
酸化アンチモン(III)およびフッ素系樹脂(IV)を、
それぞれ表1に示した配合比で混合し、ベント付30m
mφ2軸押出機(池貝製PCM−30)を使用して樹脂
温度230℃で溶融混練し、押出しを行うことによっ
て、ペレット状の難燃性熱可塑性樹脂組成物を製造し
た。次いで、射出成形機により、シリンダー温度230
℃、金型温度60℃で試験片を成形し、上記条件で物性
を測定し、得られた測定結果を表1に示した。
【0046】また、射出成形した試験片を粉砕機で粉砕
し、この粉砕品を射出成形機により、シリンダー温度2
30℃、金型温度60℃でリサイクル成形することによ
り得られた試験片について、上記条件で物性を測定した
結果(リサイクル特性)を表1に併せて示した。 [比較例1〜6]参考例で示したグラフト共重合体
(A)、ビニル系(共)重合体(B)、難燃剤(II)、
酸化アンチモン(III)およびフッ素系樹脂(IV)を、
それぞれ表1に示した配合比で混合し、実施例と同様の
方法で成形して得られた試験片について、各物性を測定
し、その測定結果を表1に併記した。
【0047】また、射出成形した試験片を粉砕機で粉砕
し、この粉砕品を実施例と同様の方法でリサイクル成形
することにより得られた試験片について、上記条件で物
性を測定した結果(リサイクル特性)を表1に併記し
た。
【0048】
【表1】 表1の結果からは、次のことが明らかである。すなわ
ち、本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物(実施例1〜
3)は、いずれも本来の難燃性、耐衝撃性および熱安定
性に優れるばかりか、リサイクル時の難燃性が保たれて
おり、かつリサイクル後の耐衝撃性にも優れるものであ
る。
【0049】また、ビニル系(共)重合体(B)の配合
量が90重量部を越えるもの(比較例3)は、耐衝撃性
が劣る傾向となる。
【0050】難燃剤(II)の添加量が1重量部未満のも
の(比較例4)は、難燃性に劣り、30重量部を越える
もの(比較例6)は、耐衝撃性に劣るものとなる。
【0051】酸化アンチモン(III)の添加量が0.5
重量部未満のもの(比較例5)は、難燃性に劣るものと
なる。
【0052】一方、フッ素系樹脂(IV)が0.01重量
部未満のもの(比較例1)は、スウェル比が1.3以下
となってリサイクル時の難燃性に劣り、5重量部を越え
るもの(比較例2)は、耐衝撃性に劣るものとなる。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の難燃性熱
可塑性樹脂組成物は、本来の難燃性、耐衝撃性および熱
安定性に優れており、かつ特にリサイクル使用時におけ
るこれらの物性の低下が小さいという特徴を有すること
から、これらの特徴を生かして、難燃性樹脂が広く使用
され、かつリサイクル使用される各種の分野、特にOA
機器、家電機器などのハウジングおよびそれらの部品類
として好適に使用することができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 51:04 C08L 51:04 27:12) 27:12) Fターム(参考) 4J002 BC06X BD154 BG10X BN14W BN15W BN16W CD123 DE127 EC046 FD020 FD050 FD060 FD070 FD090 FD130 FD133 FD136 FD137 GC00 GN00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴム質重合体(a)に対し、芳香族ビニ
    ル系単量体(b)、シアン化ビニル系単量体(c)およ
    びその他の共重合可能なビニル系単量体(d)から選ば
    れた1種以上の単量体をグラフト共重合せしめたグラフ
    ト共重合体(A)と、芳香族ビニル系単量体(b)、シ
    アン化ビニル系単量体(c)およびその他の共重合可能
    なビニル系単量体(d)から選ばれた1種以上の単量体
    からなるビニル系(共)重合体(B)とを、(A):
    (B)の重量比が10:90〜60:40の範囲となる
    割合で含む熱可塑性樹脂組成物(I)100重量部に対
    し、難燃剤(II)1〜30重量部、酸化アンチモン(II
    I)0.5〜15重量部およびフッ素系樹脂(IV)0.
    01〜5重量部を含有せしめてなり、かつ、スウェル比
    が1.3〜3.0の範囲であることを特徴とする難燃性
    熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 上記ゴム質重合体(a)の重量平均粒子
    径が0.1〜0.5μmであり、かつ、上記グラフト共
    重合体(A)におけるゴム質重合体(a)の含有量が2
    0〜80重量%であることを特徴とする請求項1に記載
    の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 上記グラフト共重合体(A)を構成する
    単量体組成が、芳香族ビニル系単量体(b)10〜90
    重量%、シアン化ビニル系単量体(c)0〜50重量%
    およびその他の共重合可能なビニル系単量体(d)0〜
    90重量%からなることを特徴とする請求項1または2
    に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 上記ビニル系(共)重合体(B)を構成
    する単量体組成が、芳香族ビニル系単量体(b)10〜
    90重量%、シアン化ビニル系単量体(c)0〜50重
    量%およびその他の共重合可能なビニル系単量体(d)
    0〜90重量%からなることを特徴とする請求項1〜3
    のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 上記フッ素系樹脂(IV)が、ポリテトラ
    フルオロエチレンであることを特徴とする請求項1〜4
    のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009132939A (ja) * 2002-04-12 2009-06-18 Mba Polymers Inc リサイクル・プラスチックを含む材料組成物
US7802685B2 (en) 2002-04-12 2010-09-28 Mba Polymers, Inc. Multistep separation of plastics

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