JPH11344037A - 情報機器のスピンドルモータの回転支持装置 - Google Patents

情報機器のスピンドルモータの回転支持装置

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JPH11344037A
JPH11344037A JP10149842A JP14984298A JPH11344037A JP H11344037 A JPH11344037 A JP H11344037A JP 10149842 A JP10149842 A JP 10149842A JP 14984298 A JP14984298 A JP 14984298A JP H11344037 A JPH11344037 A JP H11344037A
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JP
Japan
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bearing
ball
inner ring
spindle motor
raceway
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JP10149842A
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Takashi Anzai
隆 安西
Kenichiro Naito
健一郎 内藤
Yoshimitsu Hirasawa
義光 平澤
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Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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    • F16C33/00Parts of bearings; Special methods for making bearings or parts thereof
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    • F16C33/58Raceways; Race rings
    • F16C33/583Details of specific parts of races
    • F16C33/585Details of specific parts of races of raceways, e.g. ribs to guide the rollers
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
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    • F16C19/00Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement
    • F16C19/02Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing balls essentially of the same size in one or more circular rows
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 音響寿命の向上 【解決手段】 玉軸受3の内輪3a、外輪3b、さらに
はボール3cは(フェライト+セメンタイト)のミクロ
組織を有する鋼材からなり、かつ、これら構成部品の表
面硬度はHRC57以上である。また、内輪3aの軌道
面3a1の溝深さh1、外輪3bの軌道面3b1の溝深
さh2は、ぞれぞれ、ボール3cの直径Dwに対して、
h1≧0.15Dw、h2≧0.15Dwである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハードディスクド
ライブ(HDD)等の情報機器に搭載されるスピンドル
モータの回転支持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】情報機器は、大別して、データ処理およ
び記憶を行う電算機と、記憶のみを行う補助記憶装置に
分けることができる。記憶部分にはディスクやテープを
使用するものと、全て電子部品からなる半導体を使用す
るものとがあり、現在では、コストの点からディスクや
テープが広く使用されている。ディスクやテープを使用
する補助記憶装置としては、磁気ディスクドライブ(H
DD、FDD)、光ディスク装置(CD、DVD)、光
磁気ディスク装置(MO、ODD)、ディジタルオーデ
ィオテープレコーダ(DAT)、ビデオテープレコーダ
(VTR)等がある。さらに、情報機器にはレーザビー
ムプリンタ(LBP)、ディジタルFAX、ディジタル
PPC等も含まれる。
【0003】上記のような情報機器関連の小型スピンド
ルモータでは、近時の機器製品の需要傾向等を反映し
て、より一層の小型・軽量化、高速化、高性能化、高寿
命化、低コスト化等が求められており、それに伴ってス
ピンドルモータの回転支持装置に対する要求特性も年々
厳しくなってきている。特に、この種のスピンドルモー
タの回転支持装置は、高速で回転するスピンドルを支持
する際に、軸受部から発生する音響(振動)が可及的に
小さいことが要求され、音響の許容基準値が一般用途の
軸受に比べてかなり低い値に設定される。そのため、軸
受部の寿命は一般的な転がり疲労寿命ではなく、音響の
許容基準値から判断される音響寿命である。
【0004】軸受部の音響特性を低下させる要因の一つ
として、軸受部に静荷重や衝撃荷重が加わった際に、軌
道輪とボールとの接触部分に圧痕が発生し、軌道面やボ
ール表面の表面性状が劣化することが考えられる。すな
わち、この種のスピンドルモータは0.5〜2.0kg
f程度の予圧を付与して運転されるものであるが、スピ
ンドルモータは情報機器の内部にあって50°C以上の
高温環境下で長時間停止状態を維持する場合が多い。そ
のため、軌道輪とボールとの接触部分が静的応力によっ
て塑性変形を起こし、軌道面やボール表面に極めて微小
ではあるが凹陥状の圧痕が発生する場合がある。また、
装置組立て時の無理圧入、予圧過大、軸受再利用時の抜
き取り等により軸受部に静荷重が加わった場合、さら
に、軸受単体取扱い時や装置取扱い時の不備により(軸
受の落下、装置の落下、転倒、衝突等)、軸受部に衝撃
荷重が加わった場合も、上記と同様に、軌道面やボール
表面に圧痕が発生する場合がある。
【0005】軸受部に作用する上記の静荷重や衝撃荷重
は、通常の場合、軸受の静負荷容量に比較して小さなも
のであり、軌道面やボール表面に発生する圧痕も一般用
途の軸受では問題にならない程度の微小なものである。
しかし、この種の回転支持装置の軸受部では、そのよう
な微小な圧痕の発生が音響劣化の一因として問題にな
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】耐静荷重性や耐衝撃荷
重性を高める手段として、軸受サイズをアップすること
が考えられるが、軸受サイズのアップは回転支持装置の
大型・重量化につながり、近時の技術傾向に沿わない。
特に、薄形ノート型パソコンに搭載されるHDD用スピ
ンドルモータ等のように、極めて限定されたスペース内
に配置されるものでは、軸受サイズをアップするだけの
スペース的余裕がないのが実状である。
【0007】本発明は、軸受サイズ等をアップすること
なく、軸受部の音響特性を低下させる一因となる軌道面
やボール表面の圧痕発生を防止し、軸受部の音響寿命の
増大を図った情報機器のスピンドルモータの回転支持装
置を提供することをその目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、情報機器の回転要素が装着され、ロータ
とステータとの間に生じる電磁力によって回転駆動され
る回転部材と、この回転部材を固定部材に対して回転自
在に支持する玉軸受とを備えた情報機器のスピンドルモ
ータの回転支持装置において、玉軸受が、外周に軌道面
が設けられた内輪と、内周に軌道面が設けられた外輪
と、内輪の軌道面と外輪の軌道面との間に転動自在に配
された複数のボールとを有し、内輪の内径がφ8mm以
下で、内輪および外輪のうち少なくとも一方の軌道面の
溝深さがボールの直径の15%以上である構成を提供す
る。
【0009】「内輪の内径がφ8mm以下」の玉軸受
は、一般に小径玉軸受、ミニアチュア玉軸受と呼ばれ、
このサイズの軸受では、通常、内輪および外輪の軌道面
の溝深さが、それぞれボールの直径の15%未満になっ
ている。そのため、軸受部が静アキシャル荷重や衝撃荷
重を受けた場合、ボールと軌道面との接触部分における
接触楕円の一部が軌道面の溝肩から外れ(いわゆる「ボ
ールの乗り上げ」)、上記接触部分に過大な応力集中が
起こる場合があり、これが、軌道面やボール表面の圧痕
発生の原因となる。これに対して、本発明では、内輪お
よび外輪のうち少なくとも一方の軌道面の溝深さをボー
ルの直径の15%以上に設定しているので、上記のよう
なボールの乗り上げによる応力集中が起こりにくい。そ
のため、軌道面やボール表面の圧痕発生による表面性状
劣化、それによる軸受部の音響劣化が生じにくい。これ
により、軸受部の音響寿命が向上する。
【0010】上記構成に加え、耐静荷重性や耐衝撃荷重
性を材料面からも改善するため、玉軸受の少なくとも内
輪および外輪を(フェライト+セメンタイト)のミクロ
組織を有する鋼材で構成することが好ましい。鋼材とし
ては、例えば高炭素クロム軸受鋼(JISで規定されて
いるSUJ1〜SUJ3等)を用いることができる。
【0011】鋼材における(フェライト+セメンタイ
ト)のミクロ組織は、鋼材を焼入れした後、焼戻しの第
3段階の温度以上(図4参照)で焼戻しを行うことによ
って得ることができる。焼戻しの第3段階の温度以上で
焼戻しを行うことにより、鋼材のミクロ組織は、焼入れ
直後に存在する残留セメンタイト(「球状セメンタイ
ト」とも呼ばれる。)と、焼入れマルテンサイトが焼戻
しにより分解して生成されたフェライトおよび微小なセ
メンタイトと(この混合組織は「焼戻しトルースタイ
ト」と呼ばれる。)、焼入れ時の残留オーステナイトが
焼戻しで分解して生成されたフェライトおよび微小なセ
メンタイトになる。従って、焼戻し後の鋼材のミクロ組
織は、球状セメンタイトと、フェライトおよび微小なセ
メンタイトの3相からなり(実質的に「フェライト+セ
メンタイト」の2相組織である。)、その大部分はフェ
ライトになる。
【0012】図4は鋼材の焼戻し過程を示している。焼
戻し過程において、鋼材は同図に示す3段の変化をして
最終安定相の「フェライト+セメンタイト」になる。第
1段の変化は20〜200°Cで起こり、第2段の変化
は200〜300°Cで起こる。焼戻しの第2段階では
残留オーステナイトが分解して生じたフェライトおよび
ε−炭化物、焼入れマルテンサイトが分解して生じた低
炭素マルテンサイトおよびε−炭化物等の混合組織にな
る。尚、焼戻しの第2段階ではこれらの組織の他に、上
記の残留セメンタイトが通常存在するが、同図に示す過
程では、焼入れ温度を高くして残留セメンタイトが存在
しない状態にしている。すなわち、焼戻しの第2段階を
経た後の組織は、フェライト、ε−炭化物および低炭素
マルテンサイトからなる3相である。
【0013】焼戻しの第3段階の温度以上の高温焼戻し
によって、焼入れ組織中のマルテンサイトは分解して
(フェライト+セメンタイト)の混合組織になり、組織
が一層安定化される。一方、高温焼戻しによって表面硬
度は若干小さくなるのであるが、極めて小さな量の塑性
変形を問題にする場合には、組織の安定化はむしろ微小
応力の下での塑性変形に対する耐性を高めるものと考え
られる。
【0014】焼戻しの第2段階で生成される低炭素マル
テンサイトと、焼戻しの第3段階で生成されるフェライ
トとの本質的な違いは、炭素固溶量の違いである。すな
わち、低炭素マルテンサイトは0.3%程度の炭素を固
溶するのに対し、フェライトでは0.002%以下の炭
素しか固溶できない。そして、この炭素固溶量の違いに
より格子定数が異なり、結晶学的には低炭素マルテンサ
イトが正方晶であるのに対し、フェライトではより安定
な立方晶である。このように、結晶構造が安定なものと
なるにつれて、格子欠陥も小さくなり、微小応力での微
小な塑性変形が小さくなるものと考えられる。すなわ
ち、焼戻しの第3段階を経て、極めて安定になった結晶
構造においては、高温下での静荷重による塑性変形や衝
撃荷重による塑性変形も生じにくい。また、焼戻しの第
2段階ではε−炭化物が必ず存在しているのであるが、
焼戻しの第3段階でこのε−炭化物はセメンタイトに変
化している。
【0015】焼戻しの第2段階で析出するε−炭化物の
大きさは1000 以下であり、5000倍程度の倍率
でその組織を識別することは困難である。これに対し、
焼戻しの第3段階の温度以上での焼戻しによって析出し
たセメンタイトは、電子顕微鏡で明確に観察できる程度
になる(例えば0.1μm程度)。このように微細では
あるが、ある程度の大きさを持ち、均一に分散したセメ
ンタイトが軽荷重下での塑性変形を阻止する要因になる
ものと考えられる。顕微鏡観察の結果によると、焼戻し
の第2段階をほぼ終了した250°C焼戻品では、18
0°C焼戻品と同様に、微小なセメンタイトの析出は識
別できなかったが、焼戻しの第3段階である300°C
焼戻品では、微小なセメンタイトの析出が認められた。
このセメンタイトは、形状的には細長く、その長さは
0.2μm程度であった。また、焼戻し温度を上げた3
50°C焼戻品では、微小セメンタイトの成長が認めら
れた。
【0016】上記のようにして内・外輪を構成する鋼材
のミクロ組織を(フェライト+セメンタイト)にした
後、内・外輪の少なくとも軌道面に表面硬化処理を施し
て、それらの表面硬度をHRC57以上にするのが好ま
しい。ここでの表面硬化処理としては、例えば、ショッ
トピーニングやローリング等の機械加工処理を挙げるこ
とができる。もちろん、その他の処理法でもかまわな
い。尚、「HRC」はロックウェル硬さのCスケールを
表している例えば、軸受鋼SUJ2の場合では、焼戻し
の第3段階の温度以上の温度で焼戻しを行うと、表面硬
度が若干低下するが、それがHRC57未満になると、
研削加工で軌道面に傷が付き易くなり、軸受を組立てて
作動させた時の初期の音響(初期音)が高くなることが
ある。また、軸受内部への異物侵入によって作動中に軌
道面に傷がついて音響(経時音)が高くなることがあ
る。表面硬度をHRC57以上にすることは、こうした
不都合を回避する上で有効である。尚、表面硬化処理の
際に生成された残留応力の不均一さを除去するために、
200°C以下の温度で再度焼戻しを行っても良い。
【0017】あるいは、鋼材の焼入れ処理として、通常
の焼入れ(ずぶ焼入れ)や浸炭焼入れに代えて浸炭窒化
焼入れを行い、表面直下に高窒素組織を形成しておく
と、焼戻しの第3段階終了後も表面硬度をHRC58以
上に維持することができ、圧痕や傷による表面の性状劣
化を防止し、音響寿命を向上させる上で有効である。
【0018】以上説明した材料面からの改善は、少なく
とも玉軸受の内輪および外輪について行えば所期の効果
を得ることができるが、ボールを鋼材で形成する場合に
は、さらにボールについても同様の改善を行うことによ
り、ボール表面の圧痕や傷による性状劣化を抑制し、音
響寿命をより一層向上させることができる。あるいは、
ボールの材質として、鋼材に代えてセラミック材を使用
することも有効である。ボールをセラミック製とするこ
とにより、高温環境下で静荷重や衝撃荷重が作用した場
合でもボール表面には圧痕が殆ど形成されず、またボー
ル表面の耐摩耗性も向上する。セラミックスとしては、
転がり軸受に通常使用されているものをそのまま用いる
ことができ、例えば、窒化珪素、炭化珪素、アルミナ、
ジルコニア等を用いることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】図3は、情報機器の一種であるハ
ードディスクドライブ(HDD)のスピンドルモータを
例示している。このスピンドルモータは、ディスクハブ
4が装着される軸1と、軸1が挿入されるハウジング2
と、軸1をハウジング2に対して回転自在に支持する上
下一対の玉軸受3とを主体とする回転支持装置Aと、ス
テータ5およびロータマグネット6を主体とするモータ
部Bとを備えている。ディスクハブ4には、磁気ディス
ク7が装着される。例えば、ステータ5はハウジング2
の外周に固定され、ロータマグネット6はディスクハブ
4の内周に固定され、所定のラジアルギャップを介して
相対向する。
【0020】ステータ5に通電すると、ステータ5とロ
ータマグネット6との間に電磁力が発生し、この電磁力
を受けて、ロータマグネット6、ディスクハブ4、磁気
ディスク7、および軸1が一体となって鉛直軸心回りに
一定回転数で回転する。そして、磁気ディスク7が回転
すると、磁気ディスク7の上又は下を、アクセスアーム
と呼ばれる板棒の先端に装着された磁気ヘッド(図示省
略)が移動して、磁気ディスク7の所定の位置に情報を
書き込んだり、また、磁気ディスク7の所定の位置から
情報を読み出したりする。
【0021】図1は、回転支持装置Aに用いられる玉軸
受3の一形態を例示している。玉軸受3は、軸受内径
(内輪3aの内径)がφ8mm以下のいわゆる小径玉軸
受、ミニアチュアベアリングで、外周に軌道面3a1が
設けられた内輪3aと、内周に軌道面3b1が設けられ
た外輪3bと、内輪3aの軌道面3a1と外輪3bの軌
道面3b1との間に転動自在に配された複数のボール3
cと、ボール3cを円周所定間隔に保持する保持器3d
と、外輪3bの上方または下方に面した端部に装着され
たシール3eとを備えている。玉軸受3は上下一対とし
て使用され、それぞれ、内輪3aが図3に示す軸1の外
周に位置決め間座8を介して嵌合され、外輪3bがハウ
ジング2の内周に嵌合される。位置決め間座8の幅調整
により、一対の玉軸受3に所定の予圧が付与される。
【0022】この実施形態において、玉軸受3の内輪3
a、外輪3b、さらにはボール3cは上述した(フェラ
イト+セメンタイト)のミクロ組織を有する鋼材からな
り、かつ、これら構成部品の表面硬度はHRC57以
上、例えばHRC57〜59である。また、内輪3aの
軌道面3a1の溝深さh1、外輪3bの軌道面3b1の
溝深さh2は、ぞれぞれ、ボール3cの直径Dwに対し
て、h1≧0.15Dw、h2≧0.15Dwであり、
例えばh1=0.19Dw、h2=0.195Dwであ
る。さらに、内輪3aの軌道面3a1の溝曲率は例えば
1.06Dw、外輪3bの軌道面3b1の溝曲率は例え
ば1.12Dw、初期ラジアルすきまは例えば13〜2
0μmである。尚、図2に示すように、内輪3aの軌道
面3a1とランド3a2との境界にチャンファ3a3が
設けられている場合は、軌道面3a1の溝深さh1はチ
ャンファ3a3の半径方向寸法tを除いた値とする。
【0023】
【実施例】図1に示す玉軸受3と同じ形態の試験軸受を
種々製作して、音響試験と圧痕深さの測定を行った。 [試験軸受]素材および焼戻し条件が異なる10種類の
試験軸受(軸受サイズ#696)を製作した(No.1
〜No.10)。
【0024】素材 内輪、外輪、及びボールの素材として、通常のSUJ2
相当鋼(鋼X)、SUJ2鋼の含有Si量を1.0%に
増加した鋼(鋼Y)を用いた。鋼Xおよび鋼Yの化学成
分組成を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】焼入れ処理 鋼X、鋼Yを用いて内輪、外輪、及びボールを形成し、
850°Cで0.5時間加熱した後、油中で急令した
(全試験軸受について同一条件)。
【0027】焼戻し処理 焼入れ処理後、表2に示すように、内輪、外輪、および
ボールに150〜500°Cの温度範囲にて120分
間、焼戻し処理を行った。
【0028】表面仕上 内・外輪の軌道面およびボールの表面に研磨仕上げを施
した(全試験軸受について同一条件)。 [試験方法]一対の試験軸受(同一種類の試験軸受)を
所定の接触面圧が負荷されるように試験装置に組み込
み、所定の回転数で回転させて軸受単体のアキシャル方
向振動速度を測定し、その測定値を軸受が発する音響値
として評価した。振動測定に使用した測定器は、回転軸
にアキシャル方向の振動速度を測定する検出器が内蔵さ
れており、軸受の内輪の端面に測定器の回転軸を軽く押
し当てて測定した。内・外輪の軌道面とボールとの間の
最大接触面圧は1.3GPa、軸受回転数は2000r
pmとし、測定周波数は300〜6300Hzの可聴域
とした。
【0029】まず、室温にてアキシャル方向振動速度を
測定し、次いで90°Cに加熱して120時間放置した
後に、再度アキシャル方向振動速度を測定した。加熱後
の測定振動速度値Vhと加熱前の測定振動速度値Vcと
の比Vh/Vcを音響劣化量とし、デシベル値に換算し
た{20log(Vh/Vc)}。また、振動速度の測
定と並行して圧痕深さの測定も行った。 [試験結果]試験結果を表2にまとめて示す。尚、表2
における鋼種Xは内輪、外輪、ボールを鋼Xで形成した
場合、鋼種Yは内輪、外輪、ボールを鋼Yで形成した場
合を示している。
【0030】
【表2】
【0031】表2に示す結果から、焼戻し温度が高いほ
ど音響劣化量は小さくなり、この傾向は素材の種類(鋼
X、鋼Y)によって大差がないことが分かる。しかし、
鋼Xを用いた場合と鋼Yを用いた場合とを比較すると、
Si含有量の少ない鋼Xを用いた場合の方が低い焼戻し
温度で音響劣化量が小さくなる傾向が認められる。これ
は、鋼Xの方が焼戻しの第3段階がより低い温度で始ま
るためと考えられる。
【0032】また、図1に示す玉軸受3と同じ形態の試
験軸受(実施例品:h1=0.19Dw、h2=0.1
95Dw)と、軌道面の溝深さが従来軸受と同じである
試験軸受(比較品:h1<0.15Dw、h2<0.1
5Dw)を製作し、音響試験を行った。尚、軌道面の溝
深さを除く他の仕様(素材、熱処理条件、内・外輪の軌
道面の溝曲率、表面仕上げ、初期ラジアルすきま等)は
両者ともに同じ、軸受サイズは両者ともに内径φ4mm
×外径φ8mm×幅2mm、ボール直径φ1mmとし
た。 [試験方法]一個の試験軸受を試験装置に組み込み、一
定の静アキシャル荷重を負荷した状態で所定時間放置し
た。その後、所定の回転数で回転させて軸受のアキシャ
ル方向振動速度を測定し、その測定値を軸受が発する音
響値として評価した。振動測定に使用した測定器は、回
転軸にアキシャル方向の振動速度を測定する検出器が内
蔵されており、軸受の内輪の端面に測定器の回転軸を軽
く押し当てて測定した。静アキシャル荷重の大きさは、
0、5、10、15、20、25kgfとし、それぞれ
の場合ごとに試験軸受を取り替えて振動値を測定した。
尚、軸受回転数は2000rpmとした。 [試験結果]試験結果を図5にまとめて示す。図5に示
すように、実施例品は比較品に比べて静荷重負荷後の音
響劣化が少なく(静アキシャル荷重が5、10kgfの
場合は、0kgfの場合と殆ど同じ振動値を示し
た。)、その傾向は静荷重が大きくなるほど顕著になる
ことが認められた。この試験結果から、内・外輪の軌道
面の溝深さをボールの直径の15%以上とすることによ
り、耐静荷重性が向上し(耐衝撃荷重性も同様に向上す
ると考えられる。)、音響劣化の抑制に効果的であるこ
とが分かる。尚、軌道面の溝深さに加え、軌道面の溝曲
率やラジアルすきまを最適設定することにより、耐静荷
重性や耐衝撃荷重性はより一層向上すると考えられる。
【0033】尚、本発明はハードディスクドライブのみ
ならず、光ディスク装置、レーザビームプリンタ、その
他の情報機器用スピンドルモータの回転支持装置にも同
様に適用することができる。
【0034】
【発明の効果】本発明の回転支持装置は、玉軸受の内輪
および外輪のうち少なくとも一方の軌道面の溝深さがボ
ールの直径の15%以上である構成を有するので、耐静
荷重性や耐衝撃荷重性が高く、軌道面やボール表面の圧
痕発生による表面性状劣化、それによる軸受部の音響劣
化が生じにくい。そのため、軸受部の音響寿命が向上
し、回転支持装置の長期使用が可能となる。また、軸受
サイズやボールの直径・個数をアップする必要がないの
で、回転支持装置、ひいてはスピンドルモータの小型・
軽量化に寄与する。
【0035】玉軸受の少なくとも内輪および外輪を(フ
ェライト+セメンタイト)のミクロ組織を有する鋼材で
構成し、さらには内輪および外輪の軌道面の表面硬度を
HRC57以上とすることにより、耐静荷重性や耐衝撃
荷重性が素材面からも改善されるので、軸受部の音響寿
命がより一層向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】玉軸受の実施形態を示す断面図である。
【図2】玉軸受の他の実施形態を示す部分拡大断面図で
ある。
【図3】ハードディスクドライブの一構成例を示す断面
図である。
【図4】鋼材の焼戻し過程を示す図である。
【図5】音響試験の結果を示す図である。
【符号の説明】
A 回転支持装置 1 軸 2 ハウジング 3 玉軸受 3a 内輪 3b 外輪 3c ボール 4 ロータハブ 5 ステータ 6 ロータマグネット 7 ディスク h1 内輪の軌道面の溝深さ h2 外輪の軌道面の溝深さ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 情報機器の回転要素が装着され、ロータ
    とステータとの間に生じる電磁力によって回転駆動され
    る回転部材と、この回転部材を固定部材に対して回転自
    在に支持する玉軸受とを備えた情報機器のスピンドルモ
    ータの回転支持装置において、 上記玉軸受が、外周に軌道面が設けられた内輪と、内周
    に軌道面が設けられた外輪と、内輪の軌道面と外輪の軌
    道面との間に転動自在に配された複数のボールとを有
    し、内輪の内径がφ8mm以下で、内輪および外輪のう
    ち少なくとも一方の軌道面の溝深さがボールの直径の1
    5%以上であることを特徴とする情報機器のスピンドル
    モータの回転支持装置。
  2. 【請求項2】 上記玉軸受の少なくとも内輪および外輪
    が(フェライト+セメンタイト)のミクロ組織を有する
    鋼材からなることを特徴とする請求項1記載の情報機器
    のスピンドルモータの回転支持装置。
  3. 【請求項3】 上記内輪および外輪の軌道面の表面硬度
    がHRC57以上であることを特徴とする請求項2記載
    の情報機器のスピンドルモータの回転支持装置。
JP10149842A 1998-05-29 1998-05-29 情報機器のスピンドルモータの回転支持装置 Pending JPH11344037A (ja)

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