JP2001012475A - 転がり軸受 - Google Patents

転がり軸受

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JP2001012475A
JP2001012475A JP2000126760A JP2000126760A JP2001012475A JP 2001012475 A JP2001012475 A JP 2001012475A JP 2000126760 A JP2000126760 A JP 2000126760A JP 2000126760 A JP2000126760 A JP 2000126760A JP 2001012475 A JP2001012475 A JP 2001012475A
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bearing
zirconia
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rolling
load
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Norifumi Ikeda
憲文 池田
Toyohisa Yamamoto
豊寿 山本
Manabu Ohori
學 大堀
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NSK Ltd
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    • F16C33/00Parts of bearings; Special methods for making bearings or parts thereof
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Abstract

(57)【要約】 【課題】特に予圧を負荷して使用される小径転がり軸受
の音響劣化、予圧抜け、耐衝撃性の向上を図る。 【解決手段】例えば常温における線膨張係数が6.0×
10-6/K〜12.5×10-6/Kであるようなジルコ
ニアを主成分とするセラミックスで転動体を構成するこ
とにより、音響劣化を抑制防止できるのは勿論、軸受使
用中の熱膨張量を内輪・外輪と同等にして予圧変化を抑
制防止し、更にジルコニア系セラミックスのヤング率が
比較的小さいことから衝撃荷重による軌道面への圧痕の
発生を抑制防止して耐衝撃性の向上を図る。また、転動
体の製造法を限定して、断面空孔率を0.7以下とする
ことにより音響特性を向上する。更に、軌道輪の熱処理
を限定して、耐衝撃性を向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビデオテープレコ
ーダ(VTR)のビデオヘッドシリンダやハードディス
クドライブ(HDD)のスピンドルに用いられるよう
な、転動体にセラミックス材料を用い、二つの軸受間に
予圧を負荷して使用される小径の転がり軸受に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年、VTRやHDD等の情報記録装置
は、小型化が進む一方で再現画像の繊細さ、情報記録容
量の高密度化が望まれ、ビデオヘッドシリンダやHDD
スピンドルの主軸に使用される転がり軸受にも、小径
化、高速回転化、低トルク化、高回転精度化の要求が益
々厳しくなる傾向にある。転がり軸受として、低トルク
化、高回転精度化を実現するためには、例えば封入され
るグリースの粘度を下げたり、その封入量を減少させた
りといった対策が採られる場合が多い。しかし、これら
の対策は、一方で内輪・外輪と転動体との間の潤滑油膜
形成を阻害する場合があり、振動による油膜切れによっ
て生じるフレッチングや、微小焼付きによる音響寿命劣
化を生じやすくなる。そこで、従来のこれらの用途で用
いられる転がり軸受には、軸受鋼よりも耐焼付性に優
れ、回転寿命の長い窒化珪素を転動体として用いたハイ
ブリッド型転がり軸受が用いられている。
【0003】また、回転精度要求を達成するための軸受
組合せ構造として、対向する軸受間に予圧を負荷した組
合せ軸受ユニットが用いられている。図1は、転動体F
が玉である転がり玉軸受の一例であるが、二つの軸受A
間に設けられたハウジングBの凸部Cが各軸受Aの外輪
Dを位置決めし、内輪Eを基準圧力で抑えながら固定す
ることにより、軸受間に予圧を負荷する構造となってい
る。装置構造によっては、内輪と外輪とが逆の場合もあ
る。このように軸受間に予圧を負荷することにより、主
軸の剛性向上、振れ回り減少、共振周波数の回避等の効
果があり、前述のように回転精度要求の高い軸受ユニッ
トでは、予圧負荷は回転性能維持のために必要不可欠と
なっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、転動体
を窒化珪素で構成した場合、それを装置に組み込んで使
用すると予圧が減少して、主軸の回転精度が劣化するこ
とがある。これは、転動体に用いられる窒化珪素の使用
温度範囲における線膨張係数が1×10-6〜2×10-6
/K程度と、内輪・外輪を構成する軸受鋼の12.5×
10-6/Kや、ステンレス鋼の10.5×10-6/Kに
比較して非常に小さいことに原因がある。即ち、軸受回
転時の温度上昇による内輪・外輪の熱膨張量に対して、
転動体の熱膨張量が小さく、軸受の内部すきま量が増加
するため、もともと軸受間に負荷してある予圧荷重が減
少し、場合によっては完全な予圧抜けになることもあ
る。この予圧抜けにより、軸の剛性低下、軸芯の振れ回
り増大、軸の共振周波数変化などの回転性能劣化を引き
起こすのである。
【0005】また、転動体に窒化珪素を用いた場合のも
う一つの問題として、軸受の耐衝撃性劣化が挙げられ
る。即ち、軸受に外部から過大な衝撃が加わった場合、
応力の集中する転動体と内輪・外輪との接触部に微小圧
痕が生じる場合がある。この圧痕の発生は軌道面上で生
じるため、軸受の音響、振動性能を著しく劣化させ、ひ
いてはVTRやHDD自体の性能をも阻害する。これ
は、転動体として用いられる窒化珪素は、軸受鋼やステ
ンレス鋼に比べて剛性が高く、弾性変形もし難いため、
軌道面の圧痕発生の原因となる応力集中を顕著にし、圧
痕を生じ易くするのである。
【0006】本発明は前記諸問題を解決すべく開発され
たものであり、前記従来の窒化珪素を転動体に用いた転
がり軸受に見られる予圧抜け及び圧痕発生を抑制防止
し、回転性能の劣化並びに音響、振動性能の劣化を防止
することができる転がり軸受を提供することを目的とす
るものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】而して、本発明に係る転
がり軸受は、内輪と外輪との間に複数の転動体を配設し
て構成される転がり軸受において、前記転動体が、ジル
コニアを主成分とするセラミックス材料で構成されるこ
とを特徴とするものである。また、前記転動体の0℃〜
100℃における線膨張率が6.0×10-6/K〜1
2.5×10-6/Kであることが望ましい。
【0008】以下に、本発明の詳細を説明する。まず、
本発明の転がり軸受の転動体に用いるジルコニアを主成
分とするセラミックス材料について説明する。これは、
加水分解法、熱分解法、共沈法等で得られたジルコニア
粉末若しくはジルコニア化合物粉末を原材料として、金
型成形や造粒成形により球形としたものを常圧、加圧、
またはHIP焼結して得られる。このとき、原材料には
カルシア(CaO)、イットリア(Y2 3 )、マグネ
シア(MgO)、セリア(CeO)等の安定化剤が添加
される。これらの代表例としては、部分安定化ジルコニ
ア(PSZ)や正方晶安定化ジルコニア(TSZ)が挙
げられるが、何れも高靱性で軸受の転動体としては望ま
しい。また、導電性を付与する目的で、窒化チタン(T
iN)や炭化チタン(TiC)、鉄や鉄系酸化物(Fe
2 3 、FeO)等の導電性物質を添加することもあ
る。これら導電性ジルコニアは、PSZ、TSZ同様に
強靱な性質を持ち、転動体として好適に用いることがで
きる。
【0009】これらのPSZ、TSZ、導電性ジルコニ
ア等のジルコニア系セラミックスは金属に比較して高融
点、高硬度を有し、鉄鋼材料との焼付き性にも優れるた
め、鋼製転動体で問題となったフレッチングや、微小焼
付きによる音響寿命劣化の問題は、窒化珪素と同様に改
善できる。特に、導電性ジルコニアは導電性を有し、静
電気を帯電し難いため、転動体材料としては特に望まし
い。これは、静電気を帯電した転動体は大気中の異物を
収集し易いため、軸受内部汚染の一因となる場合がある
が、導電性ジルコニアを用いることによりこれを回避す
ることができる。また、導電性ジルコニアを組み込んだ
軸受は、軸受が支持する回転体の帯電も速やかに接地す
ることができる。
【0010】ジルコニア系セラミックスは、母材の線膨
張係数が9×10-6/K程度であるため、添加剤を加え
て強靱性、導電性を付与した場合でも、軸受の内輪・外
輪を構成する軸受鋼やステンレス鋼に近い線膨張率を容
易に得ることができる。即ち、ジルコニアを主成分とす
るセラミックス材料であれば、材料強度、焼付き性等の
要求性能を劣化させることなく、軸受の内輪・外輪との
線膨張率差が小さい材料を設計することができる。従っ
て、転動体として前記ジルコニア系セラミックスを用い
ることにより、窒化珪素を転動体として用いた転がり軸
受で問題と考えられた、温度上昇による予圧抜けの問題
を抑制防止することができる。このとき、予圧抜けを効
果的に防止するためには、前記ジルコニア系セラミック
スの中でも0℃〜100℃の線膨張係数が6.0×10
-6/K〜12.5×10-6/Kとしたものが望ましい。
これに対し、軸受鋼の転動体を基準として設計された軸
受ユニットに、線膨張係数が6.0×10-6/K未満の
材料を転動体として用いる場合には、当該軸受ユニット
性能に重大な影響を及ぼすほどの予圧抜けを生じる可能
性がある。一方、前記軸受に線膨張係数が12.5×1
-6/Kを超える材料を転動体に用いた場合、温度上昇
により予圧を増加させる方向に作用するため、軸受のト
ルク増大、寿命劣化を引き起こす。
【0011】また、前述のように転動体として用いる材
料の剛性は、軸受の耐衝撃性を支配する要因となる。こ
のため、耐衝撃性を向上させるためにはヤング率の小さ
い材料を転動体として用いる必要がある。ここで、ジル
コニア系セラミックスは、汎用で用いられている構造用
セラミックスの中でも特にヤング率の小さい材料であ
る。一方、従来技術で転動体として用いられている窒化
珪素セラミックスのヤング率は320GPaと大きく、
内輪・外輪と転動体との間の接触面積が大きくなるた
め、衝撃荷重に対して微少圧痕がつき易く、軸受の耐衝
撃性が問題となる場合がある。これに対して、ジルコニ
ア系セラミックスのヤング率は殆どが210GPa程度
で、軸受鋼の208GPa、ステンレス鋼の200GP
aと同程度であり、窒化珪素に比較して非常に小さい。
また、TiNを添加した導電性ジルコニアはやや大きい
ヤング率を示すが、それでも300GPa以下と窒化珪
素に比較して小さく、当該窒化珪素を転動体に用いる転
がり軸受に比較して耐衝撃性の向上が期待できる。つま
り、ジルコニア系セラミックスを転動体として用いる
と、窒化珪素を転動体として用いた場合で問題となった
軸受の耐衝撃性劣化を抑制防止することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。まず、内輪・外輪が軸受鋼で構成される外
径13mm、内径5mm、幅4mm、玉数8個の転がり
玉軸受において、表1に示すような転動体材料を変化さ
せた実施例及び比較例を作製した。なお、保持器は冠型
ナイロン系樹脂保持器、グリースにはNS7を用いた。
【0013】
【表1】
【0014】これらの試験軸受に対し、雰囲気温度70
℃、アキシャル荷重98N、回転速度10000rpm
の条件で音響試験を行った。試験は、初期音響が同程度
の各軸受を前記条件で300時間回転させ、試験終了
後、アンデロンメータで音響測定を行い、各軸受の音響
劣化を評価した。試験結果を図2に示す。縦軸のアンデ
ロン値は、転動体が軸受鋼SUJ2で構成される比較例
1を1としたときの比で表す。同図から明らかなよう
に、実施例1〜3のジルコニア系セラミックス材料を転
動体に用いた軸受は、比較例1、2の鋼製転動体を用い
た軸受よりも遙かに軸受音響の劣化が少ない。
【0015】次に、予圧変化量について、前記図1と同
様の構造の軸受ユニットに前記試験軸受を組み込み、加
振しながら加熱して、主軸の共振周波数を測定すること
によって評価した。試験結果を図3に示す。縦軸は、転
動体が軸受鋼SUJ2で構成される比較例1の20℃に
おける予圧量を1としたときの比で表す。同図から明ら
かなように、窒化珪素を転動体として用いた比較例3の
軸受は、80℃付近でほぼ予圧が完全に0になったのに
対して、ジルコニア系セラミックス材料を転動体に用い
た実施例1〜3の軸受では、予圧変化が非常に小さい。
【0016】次に、耐衝撃性について、衝撃荷重による
圧痕で生じる軸受音響レベルの変化から評価した。衝撃
荷重を段階的に増加しながら各軸受の音響レベルを測定
し、音響レベルが急激に上昇したときの衝撃荷重を圧痕
発生荷重とした。試験結果を図4に示す。縦軸は、転動
体が軸受鋼SUJ2で構成される比較例1の限界荷重を
1としたときの比で表す。同図から明らかなように、窒
化珪素を転動体として用いた比較例3の軸受に比べて、
ジルコニア系セラミックス材料を転動体に用いた実施例
1〜3の軸受では圧痕発生荷重が大きく、衝撃荷重に対
して圧痕を生じ難いことが分かる。
【0017】次に、本発明の転がり軸受の第2実施形態
について説明する。この実施形態では、前記ジルコニア
系セラミックス材料を主成分とする軸受部材のうち、特
に転動体は、金型プレス法や造粒法で一次成形したもの
を加圧雰囲気又は常圧雰囲気で焼結し、二工程以上の研
磨工程を経て要求精度を満たす球体に仕上げた。ここ
で、一次成形体を得る方法として、金型若しくは硬質ゴ
ム型を用い、一方向加圧によって製造した場合、一次成
形体密度が低く、内部に相当量の空孔が存在しているの
で、焼結時に加圧焼結する必要がある。即ち、金型若し
くは硬質ゴム型を用いた一方向加圧で、球体又は金型合
わせ部に所謂耳がある球体の一次成形体を常圧で焼結し
た場合、粉体粒子間の摩擦や内部圧力の均衡等により、
成形体全体に十分な加圧力が生じない場合がある。この
ため、一次成形体内部に相当量の空孔が存在している。
このような密度の低い成形体を常圧で焼結しても、内部
に空孔が残存するので、この焼結体を軸受用転動体とし
て加工すると、内部空孔が表面に露出して、軸受の音響
特性に悪影響を及ぼすことがある。また、一次成形密度
の低い成形体を常圧下で焼結しても、疎な部分での粒界
拡散が十分行われず、粒界強度が得られない場合があ
り、転動体加工時に結晶粒界で粒子脱落が生じ、必要と
される最終精度が得られない場合がある。これに対し、
HIP法によって焼結された焼結体は、一次焼結体の内
部空孔を焼結圧力によって排除することができ、粒界反
応も促進するため、粒界強度も得られる。従って、金型
若しくは硬質ゴム型を用いた一方向加圧で成形された一
次成形体でも、殆ど空孔がなく、加工精度の高い軸受用
転動体を得ることができる。
【0018】また、一次成形を造粒成形法で行うことに
より、高い成形体密度の一次成形体を得ることができ
る。転動造粒法は、金型若しくは硬質ゴム型による一方
向加圧と異なり、粒体を運動させながら雪だるま式に粒
径を大きくする成型方法である。前述のように、一方向
加圧では粉体粒子間の摩擦や内部圧力の均衡等により一
次成形体密度が制限されるが、転動造粒法では粉体の凝
集によって球体が成形されるため、最終的に密度の高い
一次成形体を得ることができる。こうして得られた密度
の高い一次成形体をHIP法により焼結することで、真
密度でほぼ100%で空孔のない焼結体を得ることがで
きる。また、転動造粒法によって得られた一次成形体で
あれば、常圧で焼結しても、残留する空孔は微少であ
る。従って、ジルコニアを主成分とする転動体は、転動
造粒法によって一次成形されたものが望ましい。
【0019】このようにして得られた実施例及び比較例
の転がり軸受に対して音響試験を行った。転がり軸受の
諸元は、内輪及び外輪が軸受鋼で構成される外径13m
m、内径5mm、幅4mm、玉数8個の転がり軸受であ
り、表2に示すように、転動体の成形方法及び焼結方法
を変えて実施例及び比較例の転がり軸受を作製した。
【0020】
【表2】
【0021】これら実施例及び比較例の転動体の切断面
を図5に示す。これらは、φ2mmのジルコニア球を切
断し、φ38.1mm(1.5インチ)のベークライト
樹脂にそれぞれ10球ずつ埋め込んだものを、#100
0程度のSiCペーパで、露出断面径が1.8mm程度
となるまで粗研磨し、9μmのダイヤモンド遊離砥粒を
用いて面圧約5Paで約30分研磨し、粒径0.3μm
のアルミナ遊離砥粒を用いて面圧約11kPaで約2時
間仕上研磨をした。これらの代表的な中心部を金属顕微
鏡(200倍)で観察したものである。そして、断面空
孔率を前記表2に合わせて示す。断面空孔率は、前記研
磨によって得られた切断面について、金属顕微鏡(50
0倍)を用いて空孔の最も多く存在する視野(130μ
m×100μm)を探索し、その画像を画像解析装置に
て欠陥部の面積比を算出した。画像処理する際は、空孔
の円相当径が1μm以上を閾値とし、それ以下の空孔は
無視した。測定は夫々10個ずつ行い、その平均を代表
値とした。前述した推奨される成型方法及び焼結方法で
ある実施例4(造粒成形ーHIP焼結、図5a)、実施
例5(造粒成形ー常圧焼結、図5b)、実施例6(金型
成形ーHIP焼結、図5c)は、何れも、内部に殆ど空
孔がなく、粒子脱落等も観察されない。これに対して、
比較例4(金型成形ー常圧焼結、図5d)は、結晶粒界
部分に空孔が観察される。これらの空孔は、焼結時から
残存していた空孔と、サンプル研磨時に粒子脱落によっ
て生成された空孔の両方が考えられる。
【0022】転動体に用いたジルコニアはイットリウム
部分安定化ジルコニアで、保持器はナイロン系樹脂保持
器、グリースには、基油にエステル油を用いたリチウム
石鹸系のものを用いた。なお、転動体には、前記一般的
なイットリウム部分安定化ジルコニアに代えて、TiN
若しくはFe化合物を添加した導電性ジルコニアでもよ
く、混合比を特に限定するものではないが、ジルコニア
に50%以下のアルミナを混合した複合材料を用いるこ
とで、望ましい転動体とすることができる。また、保持
器はナイロン系樹脂の他に、フッ素系樹脂でもよい。ま
た、潤滑には、フッ素オイルを内・外輪又は転動体の表
面にプレーティングしたものでもよい。
【0023】軸受初期音響測定にはアンデロンメータを
使用し、軸受回転時のラジアル方向振動について中周波
数帯と高周波数帯の二乗平均値を測定した。回転条件
は、軸方向荷重3kgf、回転数1800rpmであ
る。測定は、サンプル各10個について行い、それぞれ
回転開始後30秒〜60秒の平均値を記録した。音響評
価結果を図6に示す。評価は、事前に測定したスチール
ボール組込み軸受(標準品)の音響測定値を1として、
標準化した。同図から明らかなように、前記金型成形ー
常温焼結のジルコニア球を組込んだ比較例4の軸受は、
表面に露出した微小空孔の影響で軸受回転音が全体的に
大きく、サンプル間のばらつきも大きい。これに比較し
て、実施例4〜実施例6は、何れも音響値が小さく、サ
ンプル間でまとまっている。特に、造粒成形法で一次成
形体を作製し、HIP焼結した実施例4が最も低く安定
した軸受初期音響特性を示した。
【0024】次に、前記表2に示す断面空孔率と前記音
響値(アンデロン値)との関係を図7に示す。断面空孔
率が0.1%〜0.7%の実施例4〜実施例6は、何れ
もスチールボール組込み軸受よりも低い初期音響値を示
している。これに対して、断面空孔率が1.3%であっ
た比較例4の軸受は、初期音響値が1.29と高い。こ
のことから、転動体の断面空孔率は0.7%以下である
ことが望ましい。なお、この実施形態では、断面空孔率
を調査し、断面空孔率が0.7%以下であることが望ま
しいとしたが、前述したように、加工工程で内部空孔が
表面に露出すること、空孔の存在はほぼ同方性を有する
ので、完成品表面の空孔率に置き換えることも可能であ
り、そのようにすれば軸受特性を非破壊的に調べること
ができる。
【0025】次に、本発明の転がり軸受の第3実施形態
について説明する。この実施形態では、ジルコニアを主
成分とするセラミックスとアルミナとを複合したものに
ついて説明する。表3に数例を挙げる。また、表3には
純アルミナの特性も併記した。
【0026】
【表3】
【0027】ジルコニアにアルミナを添加して焼結する
と、ジルコニア粒子の粒成長を抑制し、組織を緻密化す
るため、高強度、高靱性の焼結体を得られることが知ら
れている。また、アルミナ添加量の増加に伴い、密度が
小さくなるため、軸受全体を軽量化することができ、高
速回転時の遠心力による回転ぶれを抑制することができ
る。更に、原料粉末としてのアルミナ粉末は、ジルコニ
ア粉末に対して安価で、原料費を低減できるというメリ
ットもある。また、線膨張率がジルコニア素材と大きく
変わらないため、前述した予圧抜けの問題もない。一
方、アルミナの添加量が多くなると、ヤング率が増加す
るという問題点がある。前述のように、転動体材料のヤ
ング率の増加は、転動体と内・外輪の転走面接触部との
圧痕発生臨界荷重を低下させ、軸受ユニットに衝撃が加
わったときに圧痕が発生しやすくなる、所謂耐衝撃性の
低下につながる。
【0028】しかしながら本出願人は、一方で、特開平
7−103241号公報に記載されるように、内・外輪
を構成する鋼中の残留オーステナイトなどの軟質相は降
伏応力が低く、衝撃によって圧痕が発生すると考え、玉
軸受に必要な硬さを保持しながら、且つ残留オーステナ
イトを低減するために、SUJ2であれば焼入後、サブ
ゼロ処理するか、或いは220〜240℃程度の比較的
高い温度で焼戻しするなどして、可能な限り残留オース
テナイトを低減化若しくは消失せしめ、衝撃荷重による
音響劣化を防止する改良を行ってきた。また、代表的に
2%Da(軌道輪の軌道表面からの深さが転動体直径の
2%に相当する長さの意)位置における軌道面の最大剪
断応力位置での窒素量を制御する浸炭窒化処理を開発
し、それを内・外輪に施すことで、高ヤング率の材料を
転動体として使用しても耐衝撃性に優れた軸受を得るこ
とができることを見出している。
【0029】そこで、前記表1に示すセラミックス材料
で転動体を作製すると共に、通常の浸炭窒化処理を施し
たSUJ2製の内・外輪と、前記軌道面の最大剪断応力
位置、つまり前記軌道輪の軌道表面からの深さが2%D
a位置における窒素量を増加させるように、浸炭窒化処
理時のアンモニアガス量がコントロールされた特殊熱処
理を施したSUJ2製の内・外輪とを作製し、前記転動
体と組み合わせて、下記表4に示す実施例及び比較例の
転がり軸受を作製した。
【0030】
【表4】
【0031】実施例7〜実施例12及び比較例7に使用
したセラミックス材料はアルミナとジルコニアを複合焼
結させたもので、それぞれヤング率が異なる。例示する
と、日本特殊陶業株式会社製のアルジル(I)、アルジ
ル(II)、サンゴバン・ノートン株式会社製のAZー6
7、AZー93等が挙げられる。軸受は、外径13m
m、内径5mm、幅4mmで、各転動体は全てJIS等
級でG10以下までラップ加工してあるが、特に高精度
を要求される用途の場合には、転動体の精度はG3以下
が好ましい。
【0032】内・外輪には軸受用鋼を用いた。全ての実
施例の内・外輪には830±30℃で浸炭窒化処理を施
し、その後、サブゼロ処理した。浸炭窒化時の雰囲気中
のアンモニアガス量は1〜5vol%とし、内・外輪表
面の最大剪断応力位置として、代表的な前記2%Da位
置の窒素(N)量が0.05〜0.5%となるように調
整した。その後、組織安定化のために270±20℃で
焼戻し、仕上加工を施した。本熱処理条件によって、軌
道面は残留オーステナイト1%以下、硬度Hv750以
上である。また、軸受使用時の最大剪断応力位置は、使
用条件、軸受設計諸元により変化するので、軌道面から
の深さの代表位置である前記2%Da位置の窒素量を前
述のように限定した。更に、軸受の耐衝撃性を向上させ
るために、この2%Da位置で残留オーステナイト0
%、硬度Hv770以上、窒素濃度0.1〜0.4%を
好ましい数値とした。前述のように、最大剪断応力位置
での窒素濃度の高い方が耐衝撃性に対しては好ましい
が、窒素濃度が高くなると表面の硬度が増し、軸受の仕
上加工が困難になる。なお、焼戻し後にショットピーニ
ングなどによって表面に圧縮残留応力を付加してもよ
い。ちなみに、残留オーステナイト量はX線回折法によ
って測定し、前記2%Da位置での窒素濃度はEPMA
により断面窒素濃度分布を測定することで求めた。保持
器には樹脂製保持器を用い、軸受の潤滑には内部防錆油
及び鉱油系グリースを使用した。
【0033】耐衝撃性評価は、軸受に最初1.2kg
f、次に5kgf、それ以後は0.5kgfずつ増やし
ながら純アキシャル荷重を負荷し、試験前に比較してア
キシャル振動加速度(G値)が20mG増加したところ
を耐衝撃荷重とし、実施例12の耐衝撃荷重を1とした
標準値で評価し、基準値を下回るものを使用負荷とし
た。結果を、転動体素材のヤング率で整理して図8に示
す。同図から明らかなように、通常の熱処理が施された
内・外輪(比較例5〜比較例7)を用いた場合、転動体
のヤング率が340GPaのAZ3を用いると基準値を
下回った。一方、前述した特殊熱処理を施した内・外輪
(実施例7〜実施例12)を用いた場合、転動体のヤン
グ率が370GPaのAZ4(実施例10)でも基準視
を下回ることなく、使用可能であることが分かる。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の転がり軸
受によれば、例えば常温における線膨張係数が6.0×
10-6/K〜12.5×10-6/Kであるようなジルコ
ニアを主成分とするセラミックスで転動体を構成するこ
とにより、窒化珪素転動体を用いた転がり軸受の問題点
であった予圧抜け及び圧痕発生を抑制防止し、回転性能
の劣化並びに音響、振動性能の劣化を防止することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】二つの転がり軸受に予圧を負荷する軸受ユニッ
トの一例を示す縦断面図である。
【図2】本発明の転がり軸受の実施例並びにその比較例
に対して行われた音響試験の結果の説明図である。
【図3】本発明の転がり軸受の実施例並びにその比較例
に対して行われた予圧変化試験の結果の説明図である。
【図4】本発明の転がり軸受の実施例並びにその比較例
に対して行われた耐衝撃性試験の結果の説明図である。
【図5】本発明の転がり軸受の実施例並びにその比較例
の断面空孔率の説明図である。
【図6】本発明の転がり軸受の実施例並びにその比較例
に対して行われた音響試験の結果の説明図である。
【図7】図5の断面空孔率と図6の音響試験の結果との
相関を示す説明図である。
【図8】本発明の転がり軸受の実施例並びにその比較例
に対して行われた耐衝撃性試験の結果の説明図である。
【符号の説明】
Aは転がり軸受 Bはハウジング Cは凸部 Dは外輪 Eは内輪 Fは転動体

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内輪と外輪との間に複数の転動体を配設
    して構成される転がり軸受において、前記転動体が、ジ
    ルコニアを主成分とするセラミックス材料で構成される
    ことを特徴とする転がり軸受。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010001996A (ja) * 2008-06-20 2010-01-07 Ntn Corp 風力発電装置用転がり軸受
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JP2014224608A (ja) * 2009-05-21 2014-12-04 日本精工株式会社 転がり軸受及びその製造方法

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