JP2002276674A - 転がり軸受 - Google Patents

転がり軸受

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JP2002276674A JP2001075279A JP2001075279A JP2002276674A JP 2002276674 A JP2002276674 A JP 2002276674A JP 2001075279 A JP2001075279 A JP 2001075279A JP 2001075279 A JP2001075279 A JP 2001075279A JP 2002276674 A JP2002276674 A JP 2002276674A
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rolling
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Mamoru Aoki
護 青木
Hiroshi Ishiwada
博 石和田
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NSK Ltd
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
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    • F16C33/00Parts of bearings; Special methods for making bearings or parts thereof
    • F16C33/30Parts of ball or roller bearings
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低騒音性や低振動性等が要求されるOA機器
用として好適な転がり軸受を提供する。 【解決手段】 内輪21の外周面に形成された内輪軌道
21aと外輪22の内周面に形成された外輪軌道22b
との間には、複数の転動体13が配設されている。内輪
21、外輪22及び転動体13は高炭素クロム鋼からな
り、内輪21及び外輪22は浸炭窒化処理が施され、内
輪軌道21a及び外輪軌道22bの表面硬さをHRC5
8以上とされている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内輪の外周面に形
成された内輪軌道と外輪の内周面に形成された外輪軌道
との間に複数の転動体を有する転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の転がり軸受は、その軌道
輪材料として例えば高炭素クロム軸受鋼2種であるSU
J2鋼を用い、これを820〜860℃の温度で焼入れ
した後、160〜200℃の温度で焼戻しを行ってHR
C58〜64の表面硬さを得るようにしている。また、
耐食性が要求される場合には、軌道輪材料としてSUS
440Cを使用し、これを1050℃前後の温度で焼入
れした後、深冷(サブゼロ)処理を施し、さらに150
〜200℃の温度で焼戻しを行ってHRC57〜62の
表面硬さを得る技術が例えば特開平7−103241号
公報に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような熱処理によ
って得られる軌道輪の耐圧痕性は、軸受を一般の産業機
械用として使用する場合にはあまり大きな問題となるこ
とはないが、ハードディスクドライブ(HDD)装置、
ビデオテープレコーダ(VTR)、レーザビームプリン
タ(LBP)スキャナモータなどのOA機器用として使
用する場合には、次のような点で問題となることがあっ
た。
【0004】すなわち、HDDやVTR、LBP等のO
A機器で使用される転がり軸受には、騒音低減の点から
非常に厳しい回転精度(例えばJIS 5級以上)が要
求される。しかし、例えばHDD用スピンドルモータに
大きな衝撃荷重が加わると、モータのロータを支承して
いる軸受軌道輪の転動体軌道に圧痕等の塑性変形が生
じ、モータの音響特性や回転精度を低下させるという問
題があった。
【0005】本発明は上記の点に鑑みてなされたもの
で、低騒音性や低振動性等が要求されるOA機器用とし
て好適な転がり軸受を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のうち請求項1に係る発明は、内輪の外周面
に形成された内輪軌道と外輪の内周面に形成された外輪
軌道との間に複数の転動体を転動自在に配設してなる転
がり軸受において、前記内輪または前記外輪のいずれか
一方もしくは両方に浸炭窒化処理を施して前記内輪軌道
および前記外輪軌道のうち少なくとも一方の表面硬さを
HRC58以上としたことを特徴とする。
【0007】請求項1に係る発明のように、内輪軌道お
よび外輪軌道のうち少なくとも一方に浸炭窒化処理を施
すと、従来の転がり軸受に比べて落下衝撃等による圧痕
などの塑性変形が内輪軌道および/又は外輪軌道に生じ
難くなるので、低騒音性や低振動性等が要求されるOA
機器の回転部等を支持する転がり軸受として好適に使用
することが可能となる。ここで、内輪軌道および外輪軌
道のうち少なくとも一方の表面硬さをHRC58以上と
し、浸炭窒化処理したのは、硬さが同じであっても窒素
含有によって浸炭窒化層の弾性係数が浸炭窒化をしない
場合に比べ低くなるため衝撃荷重が加わった際に転動体
との接触面下が低下するからである。
【0008】上述のとおり軸受の耐衝撃性を向上させる
ためには軸受の内輪および/又は外輪に浸炭窒化処理を
施せばよいが、浸炭窒化処理により内外輪中に混入する
窒素濃度が転動体直径の2%に相当する深さで0.6重
量%を超えると浸炭窒化処理後の研削工程において内輪
軌道及び外輪軌道の表面粗さが粗くなる。従って、内輪
および/又は外輪に浸炭窒化処理を施す場合には、請求
項2に記載の発明のように、内輪軌道および/又は外輪
軌道の表面下の窒素濃度が転動体直径の2%に相当する
深さで0.1〜0.6重量%となるように浸炭窒化処理
を施すことが望ましい。
【0009】また、内輪および/又は外輪に浸炭窒化処
理を施すと内外輪を構成する材料(例えばSUJ2等)
の弾性限界は向上するが、逆に圧砕荷重が低下する。そ
して、圧砕荷重が低下すると内外輪をモータのシャフト
やハウジング(ハブ等)に圧入して組付ける場合、内外
輪に割れ等が発生する可能性がある。従って、内輪およ
び/又は外輪に浸炭窒化処理を施す場合には、請求項3
に記載の発明のように、内輪軌道および外輪軌道のうち
少なくとも一方の肉厚を転動体の直径比で20%以上と
することが望ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の実施例を説明する前に、
HDD装置の磁気ディスクを駆動するスピンドルモータ
の構成について図1を参照して説明する。図1におい
て、符号10は磁気ディスク11を回転駆動するスピン
ドルモータを示し、このスピンドルモータ10は、ハブ
12を介して磁気ディスク11を駆動する回転体13
と、この回転体13を回転可能に支持するモータベース
14とから構成されている。
【0011】回転体13はモータベース14に転がり軸
受15,16を介して回転可能に支持された回転軸部1
3aと、この回転軸部13aの図中上端に形成された円
板状のハブ固定部13bと、このハブ固定部13bの外
周縁部に形成された円筒状のマグネット取付け部13c
とからなり、マグネット取付け部13cの内周面にはロ
ータマグネット17が取り付けられている。
【0012】モータベース14はHDD装置のフレーム
等に固定されるプレート部14aと、このプレート部1
4aの中央部からハブ12に向かって延設された支持筒
部14bとからなり、支持筒部14bの外周面にはステ
ータコアとステータコイルとからなるモータステータ1
8が取り付けられている。本発明に係る転がり軸受の実
施例と比較例を表1に示す。
【0013】
【表1】
【0014】表1において、実施例1〜3及び比較例1
は図2に示される玉軸受(内径:4mm、外径:9m
m、玉数:7、玉径:1.588mm(1/16イン
チ))であって、JIS 684に相当するものであ
る。すなわち、図2に示される玉軸受は内輪21、外輪
22、転動体23、保持器24及びシールド25等から
構成され、内輪21、外輪22及び転動体23は高炭素
クロム軸受鋼であるSUJ2から構成されている。ま
た、転動体23は内輪21の内輪軌道21aと外輪22
の外輪軌道22aとの間に転動自在に設けられ、転動体
23を保持する保持器24はプラスチックから構成され
ている。
【0015】ここで、実施例1は、内輪軌道21a及び
外輪軌道22bの表面下32μm(転動体直径の2%)
での窒素濃度が0.1重量%となるように内輪21及び
外輪22に対し浸炭窒化処理を施し、内輪軌道21a及
び外輪軌道22aの表面硬さをHRC62としたもので
ある。また、実施例2は内輪軌道21a及び外輪軌道2
2bの表面下32μm(転動体直径の2%)での窒素濃
度が0.2重量%となるように内輪21及び外輪22に
対し浸炭窒化処理を施し、内輪軌道21a及び外輪軌道
22aの表面硬さをHRC63としたものである。
【0016】実施例3は内輪軌道21a及び外輪軌道2
2bの表面下32μmでの窒素濃度が0.4重量%とな
るように内輪21及び外輪22に対し浸炭窒化処理を施
し、内輪軌道21a及び外輪軌道22aの表面硬さをH
RC63としたものである。そして、比較例1は内輪2
1及び外輪22に通常の熱処理のみを施して内輪軌道2
1a及び外輪軌道22aの表面硬さをHRC62とした
ものである。
【0017】実施例1〜3及び比較例1の玉軸受を図1
に示されるスピンドルモータに組み込み、所定の高さか
ら落下させて衝撃を加えた。そして、衝撃を加える前後
で軸受の振動を測定して劣化の度合いを調べた結果を図
3に示す。なお、ここでの衝撃試験は軸受に加える衝撃
荷重をモータベース14で400〜1200×9.8m
m/s2まで変化させて試験した。
【0018】図3において、◆は比較例1の軸受に落下
衝撃を加えた場合の振動加速度増加分を示し、■は実施
例1の軸受に落下衝撃を加えた場合の振動加速度増加分
を示している。また、▲は実施例2の軸受に落下衝撃を
加えた場合の振動加速度増加分を示し、×は実施例3の
軸受に落下衝撃を加えた場合の振動加速度増加分を示し
ている。
【0019】図3から明らかなように、実施例1〜3の
各軸受は、比較例1の軸受に比べて耐衝撃性が優れてい
ることがわかる。従って、軸受の内輪または外輪のいず
れか一方もしくは両方に浸炭窒化処理を施して内輪軌道
および外輪軌道のうち少なくとも一方の表面硬さをHR
C58以上にすると、落下衝撃による圧痕などの塑性変
形が内輪軌道および/又は外輪軌道に生じ難くなるの
で、低騒音性や低振動性等が要求されるOA機器の回転
部等を支持する転がり軸受として好適に使用することが
可能となる。
【0020】また、浸炭窒化処理によって材料中に混入
する窒素の濃度が多いほど耐衝撃性に優れていることが
図3の試験結果からわかるが、浸炭窒化処理により内外
輪中に混入する窒素濃度が転動体直径の2%に相当する
深さで0.6重量%を超えると浸炭窒化処理後の研削工
程において内輪軌道及び外輪軌道の表面粗さが粗くな
る。従って、内輪および/又は外輪に浸炭窒化処理を施
す場合には、内輪軌道および/又は外輪軌道の窒素濃度
が転動体直径の2%に相当する深さで0.1〜0.6重
量%となるように浸炭窒化処理を施すことが軸受の耐衝
撃性及び加工性の両面から好ましい。
【0021】また、軸受をモータの軸やモータベースに
固定する方法としては、接着や圧入、焼嵌め等がある
が、圧入等で締め代が大きい場合には軌道輪に大きな応
力が加わり、場合によっては割れ等の重大な欠陥を招く
ことがある。しかし、軸受の内外輪に浸炭窒化処理を施
すと内外輪を構成する材料(例えばSUJ2等)の弾性
限界は向上するものの圧砕荷重が低下することが明らか
になった。
【0022】図4は従来の転がり軸受における外輪圧砕
荷重と本発明の転がり軸受における外輪圧砕荷重を測定
した結果を示しており、この図からも軸受の内外輪に浸
炭窒化処理を施すと内外輪の圧砕荷重が低下することが
わかる。従って、軸受の内外輪に浸炭窒化処理を施す場
合には、内外輪を軸やハウジングに固定する際の被応力
も考慮する必要がある。
【0023】一方、OA機器に使用される軸受を軸やハ
ウジングに圧入固定する場合には、その締め代を5μm
程度に設定するのが一般的である。例えば、玉軸受の内
輪溝底厚さと転動体直径との肉厚比(内輪溝底厚さ/転
動体直径)を変化させ、軸と内輪間に締め代を5μmで
与えた場合の最大円周応力値を図5に示す。同図に示す
ように、内輪溝底厚さと転動体直径との比を22.5%
とした場合には最大円周応力値が13.0×9.8N/
mm2の値を示した。
【0024】一般的に軸受を軸やハウジングに圧入する
際には、内輪及び外輪の円周応力を127.4N/mm
2(13.×9.8N/mm2)以下にすることが望まし
いとされている。従って、内輪軌道及び外輪軌道の肉厚
を転動体直径比で20%以上とすれば、圧入による固定
でも割れ等の損傷を防止することができる。なお、上述
した各実施例で軸受の内外両輪に浸炭窒化処理を施した
が、内輪または外輪のいずれか一方のみに浸炭窒化処理
を施しても従来の軸受に比べて耐衝撃性を向上させるこ
とができる。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る発
明によれば、落下衝撃による圧痕等の塑性変形が内輪軌
道および/又は外輪軌道に生じ難くなるので、低騒音性
や低振動性等が要求されるOA機器用として好適な転が
り軸受を提供できる。請求項2に係る発明によれば、H
DD用スピンドルモータ等のOA機器用としてより好適
な転がり軸受を提供できる。
【0026】請求項3に係る発明によれば、請求項1又
は2に係る発明の効果に加え、軸受を軸やハウジングに
圧入して組付ける際に割れ等の発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】HDD用スピンドルモータの一例を示す断面図
である。
【図2】HDD用スピンドルモータに使用される転がり
軸受の断面図である。
【図3】転がり軸受に加えられる衝撃加速度と振動加速
度増加分との関係を示す線図である。
【図4】従来の転がり軸受における外輪圧砕荷重と本発
明の転がり軸受における外輪圧砕荷重とを比較して示す
図である。
【図5】内輪軌道の肉厚比と圧入時の内輪最大円周応力
との関係を示す線図である。
【符号の説明】
10 スピンドルモータ 11 磁気ディスク 12 ハブ 13 回転体 14 モータベース 15 転がり軸受 16 転がり軸受 17 ロータマグネット 18 モータステータ 21 内輪 22 外輪 23 転動体 24 保持器 25 シールド

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内輪の外周面に形成された内輪軌道と外
    輪の内周面に形成された外輪軌道との間に複数の転動体
    を転動自在に配設してなる転がり軸受において、 前記内輪または前記外輪のいずれか一方もしくは両方に
    浸炭窒化処理を施して前記内輪軌道および前記外輪軌道
    のうち少なくとも一方の表面硬さをHRC58以上とし
    たことを特徴とする転がり軸受。
  2. 【請求項2】 前記内輪または前記外輪のいずれか一方
    もしくは両方に、その表面下の窒素濃度が転動体の直径
    の2%に相当する深さ(最大剪断応力位置)で0.1〜
    0.6重量%となるように前記浸炭窒化処理を施したこ
    とを特徴とする請求項1記載の転がり軸受。
  3. 【請求項3】 前記内輪軌道および前記外輪軌道のうち
    少なくとも一方の肉厚を前記転動体の直径比で20%以
    上としたことを特徴とする請求項1又は2記載の転がり
    軸受。
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