JP2002070871A - 転がり軸受 - Google Patents

転がり軸受

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JP2002070871A
JP2002070871A JP2000254762A JP2000254762A JP2002070871A JP 2002070871 A JP2002070871 A JP 2002070871A JP 2000254762 A JP2000254762 A JP 2000254762A JP 2000254762 A JP2000254762 A JP 2000254762A JP 2002070871 A JP2002070871 A JP 2002070871A
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Norifumi Ikeda
憲文 池田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】内輪および外輪が金属で形成され、転動体がセ
ラミックス材料で形成され、予圧を付与して使用される
た転がり軸受において、微小振れを極力小さくする。 【解決手段】転動体13を、ヤング率が250GPa以
上であり、線膨張係数の0℃から800℃までの平均値
が5.0×10-6/K以上であるセラミックス焼結体で
構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハードディスクド
ライブ(HDD)のスピンドルモータ用、ビデオテープ
レコーダ(VTR)の回転ヘッドドラムモータの主軸支
持用、ファンモータ用等として好適な転がり軸受に関す
る。
【0002】
【従来の技術】パーソナルコンピュータに搭載されるH
DDのスピンドルモータ用や、VTRの回転ヘッドドラ
ムモータの主軸支持用の転がり軸受には、静粛性ととも
に、情報記録の高密度化に伴って極めて高い回転精度が
要求されている。特にHDDのスピンドルモータは、ス
ピンドルによって回転駆動している磁気ディスク上の情
報を磁気ヘッドで的確に読み取らせるために、回転中の
転がり軸受に生じる微小振れ(特に、「回転非同期振
れ」と称される、1回転毎に振れ量および振れ位置が異
なる振れ)を極力抑える必要がある。
【0003】上記用途の転がり軸受としては、例えば、
図1に示すような軸受ユニットが従来より使用されてい
る。この軸受ユニットでは、小径の転がり軸受1が2
個、軸方向に対向配置されている。2つの転がり軸受の
両外輪11間には間座3が配置されている。ハウジング
2の上端の開口部には、リング部材4の雄ねじを螺合さ
せる雌ねじが形成されている。このリング部材4は、軸
Sを遊嵌する中心穴と上側の内輪12の上端面を押す押
し付け部とを有する。また、下側の外輪11の下端面
は、ハウジング2の下部に配置されたベースBの上面に
当接されている。
【0004】この軸受ユニットは、ハウジング2の上端
開口部の雌ねじにリング部材4を螺合して、上側の内輪
12の上端面を押すことにより、両外輪12間に配置さ
れた間座3を介して、両方の軸受1に予圧を付与して使
用される。このように予圧を付与することによって、軸
Sの剛性が高くなり、微小振れが抑制され、共振が回避
される効果が得られる。
【0005】なお、図1の軸受ユニットでは、ユニット
の組立性の問題から、リング部材4はハウジングに対し
て螺合するのではなく、特殊な接着剤等で固着される場
合もある。また、2つの転がり軸受の両内輪12間に間
座を挿入して、外輪11を押すことにより予圧を負荷す
るものもある。このような軸受ユニットの予圧負荷方法
には、間座をバネ等の弾性体で構成する定圧予圧型と、
図1のような剛性体の間座を用いた定位置予圧型があ
る。定位置予圧型は定圧予圧型よりも構造が単純である
ため、ユニットの小型化に適している。したがって、小
径の転がり軸受を有する軸受ユニットには、定位置予圧
型の予圧負荷方法が採用されている。このユニットで
は、ハウジング、軸、間座の材料として、鉄鋼材料(軸
受鋼やステンレス鋼等)やアルミニウム等の金属材料が
使用されている。
【0006】また、転がり軸受の静粛性を長期に渡って
保持する目的で、内輪および外輪を軸受鋼等の金属で形
成し、転動体をセラミックス材料で形成することが行わ
れている。このような構成とすると、グリースの劣化等
によって潤滑不良が生じた場合でも、転動体と内輪およ
び外輪との接触部に凝着が生じ難いため、微小焼付きが
発生し難くなって音響寿命が長くなる。この場合、転動
体を構成するセラミックス材料としては、従来より窒化
珪素が使用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、軸受鋼
製の内輪および外輪と窒化珪素製の転動体を用いて、図
1のような軸受ユニットを構成した場合、窒化珪素の線
膨張係数は軸受鋼の1/4程度と小さいことから、軸受
の温度上昇に伴って軸受の内部すきま量が増加する。そ
のため、予圧が減少し、場合によっては予圧が零になる
可能性もある。予圧が零になると、予圧が付与されてい
たことによって得られていた微小振れの抑制効果が得ら
れなくなるため、軸受の回転精度が低下する。その結
果、HDD等の磁気記録装置では、記録データの読取お
よび書き込みに不具合が生じる場合がある。
【0008】また、軸受の温度が常温より低くなった場
合には、軸受ユニットの金属部分の収縮に対して、窒化
珪素製の転動体の収縮が小さいため、軸受の内部すきま
量が減少し、予圧が過大となって、トルク上昇や寿命低
下等の不具合を生じる場合がある。これに対して、窒化
珪素に代えて、金属により近い線膨張係数を有するジル
コニアを用いれば、予圧の減少を防止することができる
(特開2000−74069号公報参照)。しかしなが
ら、ジルコニアの焼結体は、ヤング率が210〜220
GPa程度と低いことや結晶構造が不安定であることに
起因して、高い寸法精度で転動体に加工することが難し
い。この点について以下に詳述する。
【0009】セラミックス製の転動体(玉)は例えば以
下のようにして作製される。先ず、金型プレス法や転動
造粒法等の球体成形方法により、セラミックス材料を球
体に近い形状の一次成形体とする。この一次成形体を加
圧雰囲気または常圧雰囲気で焼成することにより、焼結
体とする。この焼結体からなる素材は、表面粗さが粗
く、金型プレス法で成形された場合には金型の貼り合わ
せ部に帯状の凸部を有している。
【0010】次に、この素材を研削することにより、焼
成面の除去および成形によって生じた表面凸部の除去を
行う。この研削工程は、一般に、高い面圧を付与して粗
い砥石を用い、比較的短時間で行われる。次に、細かい
砥粒のラップ装置を用い、研削工程よりも低い面圧で、
目的の寸法精度が得られるまでラップ工程を行うことに
より、セラミックス製転動体(玉)を得る。
【0011】ヤング率が210〜220GPa程度であ
る安定化ジルコニア(イットリア等の安定化剤を添加し
て得られたジルコニア焼結体)を用い、この方法でセラ
ミックス製転動体(玉)を作製すると、研削工程の際
に、高い面圧によって素材表面の結晶構造が正方晶から
斜方晶に相変態して体積が膨張する。これにより、内部
応力が発生して素材内部にクラックが生じる場合があ
る。
【0012】この内部クラックが生じた素材には、次の
ラップ工程で容易に粒子の脱落が生じるため、高い寸法
精度で加工することは難しい。このような内部クラック
が生じていない素材でも、ヤング率が低いため、次のラ
ップ工程において、ラップ盤間で素材が弾性変形した状
態で加工が進行することから、高い寸法精度で加工する
ことは難しい。
【0013】そのため、ジルコニア製の転動体では、表
面に微小な凹凸が生じ易いし、一つの転がり軸受に組み
込まれている全ての転動体間の直径差が大きくなり易
い。これにより、軸受1回転中に、転動体と外輪および
内輪の軌道面との距離が変化する量も大きくなり易い。
その結果、ジルコニア製の転動体を用いることで、却っ
て微小振れが増大する可能性もある。
【0014】本発明は、このような従来技術の問題点に
着目してなされたものであり、内輪および外輪が金属で
形成され、転動体がセラミックス材料で形成され、予圧
を付与して使用される転がり軸受において、微小振れを
極力小さくすることを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、内輪および外輪が金属で形成され、転動
体がセラミックス材料で形成され、予圧を付与して使用
される転がり軸受において、転動体は、ヤング率が25
0GPa以上であって、且つ線膨張係数の0℃から80
0℃までの平均値が5.0×10-6/K以上であるセラ
ミックス焼結体からなることを特徴とする転がり軸受を
提供する。
【0016】本発明の転がり軸受によれば、転動体がヤ
ング率が250GPa以上のセラミックス焼結体からな
るため、転動体の寸法精度を高くすることができる。具
体的には、前述の転動体作製方法において、ラップ工程
での加工応力による素材の弾性変形が少なくなり、加工
途中での割れや粒子脱落等の欠陥発生を回避できるた
め、転動体を高い寸法精度で加工することができる。
【0017】また、本発明の転がり軸受によれば、転動
体の線膨張係数が金属製の内輪および外輪の線膨張係数
よりも大きいか、小さい場合でもその差が小さいため、
転動体が窒化珪素の場合のように、軸受の温度上昇に伴
って予圧が零になることが防止される。なお、転動体を
構成するセラミックス焼結体のヤング率は、軸受寿命お
よび軸受ユニットの耐衝撃性を良好にする観点から、4
00MPa以下であることが好ましい。転動体のヤング
率が高いほど、転動体と内外輪の軌道面との間での最大
接触面圧が高くなって、軸受寿命が短くなる。また、最
大接触面圧が高くなると、軸受ユニットに衝撃が生じた
場合に、転動体の押し付けによって内外輪の軌道面にの
圧痕が発生し易くなるため、軸受ユニットの耐衝撃性が
低くなる。
【0018】また、転動体を構成するセラミックス焼結
体の線膨張係数は、内輪および外輪を構成する金属と同
じかそれ以下、具体的には0℃から800℃までの平均
値が12.5×10-6/K以下とすることが好ましい。
転動体の線膨張係数が内輪および外輪よりも大きくなる
と、温度上昇に伴う軸受の内部予圧の増加により、軸受
トルクが増大して、トルク過大による回転不良が生じる
可能性もある。
【0019】ヤング率が250GPa以上であって、且
つ線膨張係数の0℃から800℃までの平均値が5.0
×10-6/K以上であるセラミックス焼結体としては、
ジルコニアに、ジルコニアよりもヤング率の高いセラミ
ックスが分散している焼結体が挙げられる。ジルコニア
よりもヤング率の高いセラミックスとしては、アルミ
ナ、窒化チタン、炭化チタン等が挙げられるが、これら
のうち、ジルコニアと同じ酸化物系セラミックスである
アルミナを添加することが好ましい。
【0020】その理由として、アルミナは線膨張係数が
比較的高いため、ジルコニアに添加してもジルコニアの
高い線膨張係数を大きく低下させないで済むことが挙げ
られる。また、ジルコニアにアルミナを添加することに
よって、焼結体内でアルミナの結晶がジルコニアの結晶
粒界に存在するようになるため、アルミナが緩衝材とな
って、前述のようなジルコニアの応力による相変態が抑
制される。この相変態抑制効果を十分に得るためには、
アルミナを20重量%以上80重量%以下の含有率とな
るように添加することが好ましい。この含有率のさらに
好ましい値は、25重量%以上40重量%以下である。
【0021】なお、ジルコニアとアルミナとの混合物か
らなる焼結体のヤング率は、この焼結体中のアルミナ含
有率とほぼ比例関係にあり、アルミナ含有率を20重量
%以上とすることにより、この焼結体のヤング率を25
0GPa以上とすることができる。アルミナ含有率が8
0重量%を超えると、この焼結体のヤング率は340G
Pa以上となるが、焼結体の強度の点からは好ましくな
い。すなわち、アルミナ焼結体の破壊靱性はジルコニア
焼結体の半分程度と低いため、アルミナ含有率が80重
量%を超えるほど高いと、混合物からなる焼結体の強度
は極端に小さくなる。
【0022】このようなヤング率の高いセラミックス焼
結体の市販品としては、日本特殊陶業(株)の「アルジ
ル(I)」、「アルジル(II)」、「KGS20」、サ
ンゴバン・ノートン(株)の「AZ−67」、「AZ−
93」、(株)京セラの「Z703」等が挙げられる。
また、転動体が、ジルコニアよりもヤング率の高いセラ
ミックスがジルコニアに分散している焼結体からなる場
合には、この焼結体のジルコニア結晶粒の大きさが1μ
m以下となっていることが好ましく、0.5μm以下で
あることがさらに好ましい。
【0023】また、窒化珪素に、窒化珪素よりも線膨張
係数の大きいセラミックスを添加することによっても、
ヤング率が250GPa以上であって、且つ線膨張係数
の0℃から800℃までの平均値が5.0×10-6/K
以上であるセラミックス焼結体を得ることができる。窒
化珪素よりも線膨張係数の大きいセラミックスとして
は、アルミナ、ジルコニア、窒化チタン、炭化チタン等
が挙げられるが、焼結性の点から窒化チタンを使用する
ことが好ましい。
【0024】この場合、窒化珪素と窒化チタンの混合物
からなる焼結体中の窒化チタンの結晶粒の大きさは、2
μm以下となっていることが好ましく、1μm以下であ
ることがさらに好ましい。また、この焼結体中の窒化チ
タンの含有率は、焼結体の強度を考慮すると、60重量
%以下にすることが好ましい。本発明の転がり軸受にお
いて、転動体の製造方法は特に限定されず、例えば、上
述したセラミックス製の転動体の製造方法が適用でき
る。上述の製造方法において、一次成形体の形成方法と
しては、焼結体の密度を高くする為に、転動造立法を採
用することが好ましい。また、焼結方法としては、内部
空孔の残存を防ぐために、加圧焼結を採用することが好
ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。
【0026】
【表1】
【0027】表1に示すNo. 1〜13の各セラミックス
焼結体を、転動体の素材(直径2.5mmの面精度の粗
い球体)として用意した。これらの焼結体を、直径30
0mmの横形ダイヤモンド砥石盤を用い、圧力2000
Paの条件で研削することにより、焼結体の焼成面を除
去した。次に、ダイヤモンド砥粒を用い、直径250m
mの縦形ラップ盤により、下記の条件で2段階のラップ
加工を行った。 <ラップ加工条件> 第1段階 加工圧力:400MPa 回転速度:60rpm 第2段階 加工圧力:1000MPa 回転速度:60rpm ラップ加工は、最初に窒化珪素焼結体(No. 13)につ
いて行い、窒化珪素焼結体で加工精度が目標に達するま
でに行ったラップ加工時間を計測し、他の焼結体につい
てもこの時間と同じ時間だけラップ加工を行った。
【0028】このようにして、各サンプル毎に転動体用
の玉(直径2.0mm)を作製し、50個の玉を取り出
して全ての玉の直径を測定した。この測定結果から、各
サンプル毎に直径不同値(1つの玉についての最大直径
と最小直径との差を、50個の玉内で平均した値)を算
出した。その結果から、素材が窒化珪素焼結体(No.1
3)の場合の結果を「1」とした時の相対値を算出し
た。図2は、この値(直径不同値の相対値)と素材のヤ
ング率との関係を示すグラフである。
【0029】このグラフから、素材(焼結体)のヤング
率を250GPa以上とすることで、直径不同値が良好
な値となることが分かる。特に、素材(焼結体)のヤン
グ率を260GPa以上とすることで、直径不同値が、
窒化珪素焼結体を素材とした場合(ヤング率320GP
a)と同等以上となることが分かる。すなわち、素材
(焼結体)のヤング率を250GPa以上とすること、
好ましくは260GPa以上とすることで、転動体の加
工精度が良好になることが分かる。
【0030】次に、これら各サンプルの玉を転動体とし
て用い、外径13mm、内径5mm、幅4mm、転動体
数8個の単列深溝玉軸受を組み立てた。内輪および外輪
としてはSUJ2製のものを使用した。各サンプル毎に
5体の軸受を作製し、9.8Nの予圧を負荷した状態
で、室温で回転速度5400rpmで回転させ、回転初
期のラジアル方向の非回転同期振れを測定した。この測
定は、特開2000−155073の図1に記載されて
いる装置を用い行った。測定結果から、素材が窒化珪素
焼結体(No. 13)の場合の結果の平均値を「1」とし
た時の相対値を算出した。図3は、この値(非回転同期
振れの相対値)と素材のヤング率との関係を示すグラフ
である。
【0031】このグラフから、素材(焼結体)のヤング
率を250GPa以上とすることで、非回転同期振れが
低減できることが分かる。特に、素材(焼結体)のヤン
グ率を260GPa以上400GPa以下とすること
で、非回転同期振れを窒化珪素焼結体を素材とした場合
(ヤング率320GPa)と同等以下に低減できること
が分かる。
【0032】また、表1から得られた、各素材(焼結
体)の破壊靱性値とヤング率との関係を図4に示す。ア
ルミナからなる焼結体は、破壊靱性値が3.5MPa/
0.5程度と、ジルコニアや窒化珪素と比較して低いた
め、加工時に割れや表面欠陥が発生し易い。また、最終
仕上げ工程でも素材の粒子脱落が生じ易いため、上記用
途の軸受機能を満足できる高いレベルの精度で、アルミ
ナ製の転動体を表面加工することは難しい。
【0033】したがって、本発明の転がり軸受におい
て、転動体を構成するセラミックス焼結体の破壊靱性値
は4.0MPa/m0.5 以上であることが好ましい。た
だし、転動体を構成するセラミックス焼結体がアルミナ
焼結体であるNo. 11、およびアルミナを80重量%以
上含有するジルコニア+アルミナ焼結体であるNo. 10
は、これらの焼結体がヤング率250GPa以上且つ線
膨張係数5.0×10-6/K以上を満たすため、転動体
を構成するセラミックス焼結体が窒化珪素焼結体である
No. 13よりも、転がり軸受の非回転同期振れの点で優
れた性能が得られる。
【0034】なお、セラミックス焼結体は、強度が高い
ほど加工性が低下する。また、転動体を構成するセラミ
ックス焼結体の強度が高過ぎると、内外輪の軌道面に高
圧力で押し付けられた場合に、軌道面に傷が発生し易く
なる。これらの点から、転動体を構成するセラミックス
焼結体の破壊靱性値は15MPa/m0.5 以下とするこ
とが好ましい。
【0035】次に、図1に示す構成の軸受ユニットを、
前述の各サンプルの玉を転動体13として用いて組み立
てた。転がり軸受1の寸法は、外径13mm、内径5m
m、幅4mmであり、転動体13の数を8個とした。内
輪12および外輪13としてはSUJ2製のものを使用
した。この軸受ユニットに対して、以下の方法で予圧抜
け温度を調べる試験を行った。
【0036】先ず、リング部材4をハウジング2に螺合
することにより、両転がり軸受1に雰囲気温度25℃で
9.8Nの予圧を負荷した。次に、雰囲気温度を上昇さ
せながら、この軸受ユニットに一定の外部振動を加え
た。そして、この試験中に、軸受ユニットの共振周波数
をモニタし、予圧が完全に抜ける温度を測定した。試験
は雰囲気温度が100℃になるまで行った。
【0037】この試験の結果、転動体が窒化珪素焼結体
からなるNo. 13のみが、60℃で予圧が完全に零とな
った。これ以外のサンプルは全て、100℃でも予圧が
保持されていた。この結果から、線膨張係数の平均値が
5.0×10-6/K以上であると、軸受の温度上昇によ
る予圧の低下が生じ難くなることが分かる。以上のこと
から、ヤング率が250GPa以上であることと、線膨
張係数の0℃から800℃までの平均値が5.0×10
-6/K以上であることの両方を満たすNo. 3〜12の転
動体と、SUJ2製の内輪および外輪とを備えた転がり
軸受は、転動体の寸法精度が高いことと、内輪および外
輪と転動体との線膨張係数差が小さいため軸受の温度上
昇に伴う予圧抜けがないことから、非回転同期振れを極
力小さくできることが分かる。
【0038】さらに、ヤング率が250GPa以上であ
ることと、線膨張係数の0℃から800℃までの平均値
が5.0×10-6/K以上であること、破壊靱性値が
4.0MPa/m0.5 以上の全てを満たすNo. 3〜9,
12の転動体と、SUJ2製の内輪および外輪とを備え
た転がり軸受は、転動体の寸法精度が特に高いことと、
内輪および外輪と転動体との線膨張係数差が小さいため
軸受の温度上昇に伴う予圧抜けがないことから、非回転
同期振れをさらに小さくすることができる。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
内輪および外輪が金属で形成され、転動体がセラミック
ス材料で形成され、予圧を付与して使用される転がり軸
受において、微小振れを極力小さくすることができる。
すなわち、本発明によれば、ハードディスクドライブ
(HDD)のスピンドルモータ用、ビデオテープレコー
ダ(VTR)の回転ヘッドドラムモータの主軸支持用、
ファンモータ用等として好適な転がり軸受が提供され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】HDDのスピンドルモータ用の軸受ユニットの
一例を示す断面図である。
【図2】実施形態で得られた、直径不同値の相対値と素
材のヤング率との関係を示すグラフである。
【図3】実施形態で得られた、非回転同期振れの相対値
と素材のヤング率との関係を示すグラフである。
【図4】実施形態で得られた、素材の破壊靱性値とヤン
グ率との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 転がり軸受 2 ハウジング 11 外輪 12 内輪 13 転動体 3 間座 4 リング部材 S 軸 B ベース
フロントページの続き Fターム(参考) 3J101 AA02 AA33 AA42 AA52 AA62 BA10 EA41 FA01 GA53 5D036 AA12 BB02 CC43 CC54 5D109 BB05 BB16 BB21 BB27 BB31 BB32 5H605 AA05 BB05 CC04 EB10 EB12 EB16 GG06

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内輪および外輪が金属で形成され、転動
    体がセラミックス材料で形成され、予圧を付与して使用
    される転がり軸受において、 転動体は、ヤング率が250GPa以上であって、且つ
    線膨張係数の0℃から800℃までの平均値が5.0×
    10-6/K以上であるセラミックス焼結体からなること
    を特徴とする転がり軸受。
JP2000254762A 2000-08-25 2000-08-25 転がり軸受 Withdrawn JP2002070871A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014228014A (ja) * 2013-05-17 2014-12-08 ポーライト株式会社 軌道輪、転がり軸受及び軌道輪の製造方法

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JP2014228014A (ja) * 2013-05-17 2014-12-08 ポーライト株式会社 軌道輪、転がり軸受及び軌道輪の製造方法

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