JP2001214937A - 酸化ジルコニウム製ベアリングボールおよびそれを用いたベアリング部材並びにモータ機器 - Google Patents

酸化ジルコニウム製ベアリングボールおよびそれを用いたベアリング部材並びにモータ機器

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JP2001214937A
JP2001214937A JP2000026151A JP2000026151A JP2001214937A JP 2001214937 A JP2001214937 A JP 2001214937A JP 2000026151 A JP2000026151 A JP 2000026151A JP 2000026151 A JP2000026151 A JP 2000026151A JP 2001214937 A JP2001214937 A JP 2001214937A
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bearing
bearing ball
zirconium oxide
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Isao Ikeda
功 池田
Yukihiro Takenami
幸宏 武浪
Minoru Takao
実 高尾
Hiroyoshi Tonai
弘喜 藤内
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハードディスクドライブ等の電子機器用ベア
リング部材に適用した際、静電気による不具合を無くし
信頼性のある安定した高速回転を為し得るためのベアリ
ングボールおよびそれを用いたベアリング部材並びにモ
ータ機器を提供する。 【解決手段】 導電性付与部材、例えば4a族,5a
族,6a族,7a族元素の少なくとも1種から炭化物を
含有させた酸化ジルコニウム製ベアリングボール。ま
た、ベアリングボール表面の導電性付与部材の含有量ま
たは最大径を制御することにより、電気抵抗値制御し静
電気による不具合並びに高速回転性を向上させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は酸化ジルコニウム製
ベアリングボール、およびそれを用いたベアリング部材
並びにモータ機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ハードディスクドライブ(HD
D)等の磁気記録装置、光ディスク装置またはDVD、
各種ゲーム機器などの発達は目覚しいものがある。これ
らは通常、スピンドルモータ等の回転駆動装置により回
転軸を高速回転させることにより各種ディスクドライブ
を機能させている。
【0003】従来、このような回転軸を支えるベアリン
グ(軸受)部材、特にベアリングボールには軸受鋼等の
金属が用いられていた。しかしながら、軸受鋼等の金属
は耐摩耗性が十分ではないことから、例えば電子機器等
のように5,000rpm以上の高速回転が要求される分野にお
いては寿命のバラツキが大きく信頼性のある回転駆動を
提供できずにいた。
【0004】このような不具合を解決するために近年は
ベアリングボールに窒化珪素を用いることが試みられる
ようになっていた。窒化珪素はセラミックスのなかでも
摺動特性に優れることから耐摩耗性は十分であり、高速
回転を行ったとしても信頼性のある回転駆動を提供する
ことができていることが確認されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、窒化珪
素製ベアリングボールは電気的に絶縁物であることから
高速回転を行った際に発生する静電気を軸受鋼等の金属
部材により作製された回転軸部材、ボール受け部(いわ
ゆるベアリングボール以外のベアリング部材の構成要
素)に上手く静電気が発散されないと言った問題が発生
してしまうことが分かった。このように静電気が上手く
発散されず必要以上に帯電してしまうと電子機器、例え
ばハードディスクドライブ等のように磁気的信号を用い
る記録媒体に悪影響を与えてしまい、その結果ハードデ
ィスク等の電子機器そのものを破壊してしまうと言った
現象が起きていた。
【0006】また、別の問題では、電子機器例えば携帯
用パソコン、電子手帳、各種モバイル製品等は年々小型
化、携帯化されており、そこに用いるハードディスクも
年々高容量化、小型化の要望が強くなっている。このよ
うな高容量化、小型化に対応するために搭載されるモー
タ機器においてさらなる高速回転化が行われており、将
来的には約10,000rpm程度以上の高速回転が実現化され
ようとしている。
【0007】通常、このようなモータ機器の高速回転を
支えているのは回転軸部材、ベアリングボール部、ボー
ル受け部からなるベアリング(軸受)部材であり、その
過大な圧力は実質的にベアリングボールに集中すること
になる。従来の窒化珪素製ベアリングボールは破壊靭性
値が低いことから高速回転を長時間行った際にベアリン
グボール自体が破壊され易いと言った問題が起きてい
た。また、電子機器の携帯化により頻繁に電子機器その
ものを移動(持ち運び)させながら使用することが多く
なっており、当然、その移動に伴い微妙な振動が軸受部
材に伝わることとなり破壊靭性値の低い窒化珪素ではそ
の振動を上手く吸収できないことから安定した回転駆動
を提供できないと言った問題も起きていた。
【0008】さらに、前述のように高速回転が行われる
とベアリングボールは摺動により加熱される。このとき
窒化珪素製ベアリングボールでは線膨張係数が回転軸部
やボール受け部を構成する軸受鋼、例えばSUJ2とは大き
く異なるため、熱膨張に伴う非同期フレが生じてしま
い、この点からも高速回転を長時間行うこと対しての対
応は十分ではなかった。
【0009】本発明は上記したような問題を解決するた
めになされたものであって、安定した高速回転を実現
し、表面部に導電性部を所定量設けることにより必要以
上の静電気の帯電を防止することができるためハーディ
ディスクドライブ等の電子機器を回転駆動させるための
ベアリング部材に適したベアリングボール、並びにその
ベアリングボールを用いたベアリング部材およびモータ
機器の提供を目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のベアリングボー
ルは、セラミックスの中でも特に破壊靭性値の高い酸化
ジルコニウムを主成分とし、導電性付与部材を含有させ
その電気抵抗値を106〜0.1Ω・cmとすることを特徴とす
る。
【0011】さらに、電気抵抗値(比抵抗値)を調整す
る導電性付与部材として、周期律表4a族、5a族、6
a族、7a族元素の少なくとも1種からなる炭化物、例
えばタンタル(Ta)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Z
r)、マンガン(Mn)、ハフニウム(Hf)、ニオブ(N
b)、チタン(Ti)、タングステン(W)、モリブデン
(Mo)の少なくとも1種の炭化物を含有させることが好
ましく、その含有量を35vol%以下とすることが好まし
い。また、該炭化物は酸化ジルコニウム製ベアリングボ
ール中に分散されていれば特に問題はないが、好ましく
はベアリングボール表面に存在する形態であり、その最
大径は10μm以下が好ましい。
【0012】さらに、通常、高強度の酸化ジルコニウム
を得るためには安定化剤が必要である。このときの安定
化剤として酸化イットリウムを使用したものが好まし
い。
【0013】このような酸化ジルコニウム製ベアリング
ボールを回転軸部材およびボール受け部と組合せてベア
リング部材を構成する。このとき、回転軸部材または/
およびボール受け部が例えばSUJ2等の軸受鋼で形成され
たものである場合が特に信頼性のある高速回転を実現で
き、このようなベアリング部材を用いたモータ機器は長
時間に渡る連続稼動を安定して得ることができる。
【0014】本発明の酸化ジルコニウム製ベアリングボ
ールは、電気抵抗値を制御することにより、例えば電子
機器モータ等に用いた場合に静電気による不具合をなく
すと共に、酸化ジルコニウム本来の耐摩耗性、線膨張係
数、破壊靭性値などを損なわないように導電性付与部材
の量や大きさを特定したものである。また、このような
ベアリングボール、それを用いたベアリング部材並びに
モータ機器を用いることにより各種電子機器において信
頼性のある高速回転を実現するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の酸化ジルコニウム
製ベアリングボール並びにそれを用いたベアリング部材
並びにモータ機器の実施の形態について説明する。
【0016】本発明のベアリングボールは酸化ジルコニ
ウムを主成分とするものである。酸化ジルコニウム自体
は酸化物であることから絶縁性が高く、通常、電気抵抗
値は1×1012程度である。そのためこのままハードディ
スク等の電子機器に用いた場合静電気の除去が十分行わ
れ難いために本発明では電気抵抗値が例えば106〜0.1Ω
・cmである酸化ジルコニウム製ベアリングボールとし
た。
【0017】ベアリングボールの形状としては真球状の
ものが一般的ではあるが、本発明においては円柱状、棒
状であっても特に問題はない。
【0018】所定の電気抵抗値を得るためには、導電性
膜を形成させることも有効であるがベアリングボールの
ように常に摺動する部材においては膜剥離などの問題も
発生することから、導電性のある部材を導電性付与部材
として含有させることが好ましい。この導電性付与部材
としては、炭化物、窒化物、金属など酸化ジルコニウム
製ベアリングボールの電気抵抗値を制御できるものであ
れば特に限定されるものではないが、例えば、周期律表
4a族、5a族、6a族、7a族元素の少なくとも1種
の炭化物が好ましく、その中でもタンタル、クロム、ジ
ルコニウム、マンガン、ニオブ、チタン、タングステ
ン、モリブデンなどの炭化物が最も好ましい。該炭化物
は化学的に安定であり、耐熱性も優れることからベアリ
ングボールが摺動した際に発生する熱による悪影響を受
け難い。これら導電性付与部材の存在はAPMAやX線回折
により分析可能である。
【0019】導電性付与部材、例えば炭化物の含有量と
しては35vol%以下が好ましく、さらに好ましくは10〜25
vol%である。電気抵抗値を所定の値にすることのみを考
慮するのであれば35vol%以上含有させても特に問題はな
いが、あまり含有量が多くなりすぎると酸化ジルコニウ
ム本来の耐摩耗性の良さ、靭性の良さ、線膨張係数が軸
受鋼に近いと言った利点を得られなくなる。一方、含有
量が10vol%未満であると電気抵抗値が所定の値を示し難
いためあまり好ましくはない。
【0020】本発明の導電性付与部材の含有量vol%は、
例えば単位面積100μm×100μmに相当する範囲を任意
の3個所以上、好ましくは表面と断面を2個所ずつ合計
4個所を測定し、その単位面積中に存在する導電性付与
部材の面積比の平均値で特定する方法が有効である。
【0021】また、該導電性付与部材はベアリングボー
ルの表面に存在する形態が好ましい。ここで「表面に存
在する形態」とは、ベアリングボールの摺動面に該導電
性付与部材が存在することであり、いわゆる該導電性付
与部材が表面に剥き出しになっている状態のことであ
る。
【0022】前述のように酸化ジルコニウム自体は絶縁
物であることから電気抵抗値は高く、例えばハードディ
スク等の電子機器に用いると静電気による不具合を抑制
できない。これに対して本発明では導電性付与部材を所
定量含有させることにより所定の電気抵抗値を得ること
により静電気等の不具合を無くすものである。このよう
な所定の電気抵抗値を有していれば静電気による不具合
を無くすことは可能であるが、より効果的には該炭化物
等の導電性付与部材をベアリングボール表面に存在させ
た形態である。
【0023】ベアリングボールの表面に導電性付与部材
である炭化物等を存在させる形態とすることにより、ベ
アリングボール表面の摺動により発生する静電気がベア
リングボール表面の導電性付与部材を通ってベアリング
部材の回転軸部材やボール受け部に効果的に逃げるため
ハードディスク等に悪影響を与えるほどの静電気の帯電
を防ぐことがより可能となる。
【0024】さらにベアリングボール表面に存在する該
炭化物等の導電性付与部材の最大径は10μm以下が好ま
しく、さらに好ましくは5μm以下である。導電性付与
部材がベアリングボールの表面に存在する場合、この導
電性付与部も当然摺動面の一部として存在している。従
って、この導電性付与部材にもある程度の耐摩耗性は要
求されることになるため前述のような炭化物が好まし
い。
【0025】一方、耐摩耗性と言う観点からするとあま
りベアリングボールの表面に存在する導電性付与部材の
サイズが大きすぎると酸化ジルコニウム本来の耐摩耗性
の良さがいかされなくなることから前述の最大径の範囲
内であることが好ましい。また、ベアリングボールの表
面に存在する導電性部の最大径があまり小さすぎると静
電気の帯電防止の効果がやや薄くなると共に摺動時に脱
粒する恐れもあることから最大径は0.5μm以上である
ことが好ましく、最終的にはベアリングボールの表面に
存在する導電性付与部材の最大径は0.5〜3μmが最も好
ましい範囲となる。
【0026】なお、本発明におけるベアリングボールの
表面に存在する導電性付与部材の最大径とは各導電性付
与部材の拡大写真においての最大長さを直線距離で示し
たものである。最大径の測定においては、通常、所定サ
イズの導電性付与部材を酸化ジルコニウム粉末と均一に
混合して製造することから、単位面積100μm×100μm
に相当する面積を任意の3個所調べその中で最も大きい
サイズの導電性付与部材の最大長さを最大径とする方法
を簡易的に用いてもよいこととする。
【0027】また、拡大写真を見たとき、導電性付与部
材どうしが凝集し見掛け上一つの粒子のようになってい
ることがある。本発明においては、このような凝集粒子
も一つの粒子とみなすものとする。従って、最大径10μ
m以下とは凝集した粒子も含めて最大径が10μm以下で
あることを意味するものである。
【0028】ここまでは導電性付与部材について説明を
しているが、本発明の酸化ジルコニウムには他の成分、
例えば安定化剤や焼結助剤などを別途含有させてよいこ
とは言うまでもない。焼結助剤としては一般的に使用さ
れているものでよく、酸化イットリウムなどの希土類化
合物、酸化マグネシウムなどの金属酸化物が好適であ
り、その添加量も特に限定されるものではないが15mol%
以下が好ましく、ベアリングボールのように摺動部材に
おいては熱的に安定性のある酸化ジルコニウムを得易い
酸化イットリウムを安定化剤として用い、その含有量を
2〜7mol%とすることが好ましい。
【0029】このような形態の酸化ジルコニウム製ベア
リングボールであれば酸化ジルコニウム本来の耐摩耗性
や破壊靭性の高さ、線膨張係数が金属に近いという利点
を損なうことがない。従って、このような本発明の酸化
ジルコニウム製ベアリングボールは、例えばハードディ
スクドライブなどの電子機器に用いた場合に静電気の帯
電による不具合は発生しないこととなる。
【0030】このときベアリング部材を構成する回転軸
部材または/およびボール受け部がJIS-G-4805で規定さ
れたSUJ2などの軸受鋼で形成されていると信頼性のある
高速回転を得易い。前述のように酸化ジルコニウムは軸
受鋼と線膨張係数が近似している。モータ機器を高速回
転した際にはその摺動によりベアリング部材は加熱され
る。このときベアリングボールと回転軸部材またはおよ
びボール受け部を構成する材質と線膨張係数の差があま
り大きいと熱歪(非同期フレ)が発生してしまい安定し
て信頼性のある高速回転を実現し難くなる。従って、本
発明のように線膨張係数が軸受鋼に近似した酸化ジルコ
ニウムを主成分としたベアリングボールを用いることに
より熱歪による悪影響を抑制することが可能となる。
【0031】なお、本発明におけるモータ機器は、例え
ば、ハードディスクドライブを搭載した磁気記録装置、
光ディスク装置、DVD、各種ゲーム機器などの回転駆
動を伴う各種機器に適用されるものであると共に、いわ
ゆる旋盤加工機などの工作機械のモータ機器全般に適用
可能なものである。
【0032】製造方法については特に限定されるもので
はないが、例えば次のような方法がある。
【0033】まず、酸化ジルコニウム粉末、安定化剤な
どの焼結助剤、導電性付与部材粉末を所定量均一混合
し、造粒を行った後、成形体を形成し、焼結する方法で
ある。
【0034】原料粉としては、酸化ジルコニウムまたは
焼結助剤は平均粒径0.2〜3μm程度が好ましく、導電性
付与部材粉末は前述のように焼結後に最大径10μm以下
になる範囲のものがよい。
【0035】また、前述のように最大径の測定を簡易化
するために平均粒径のバラツキが少ない粉末、例えば標
準偏差1.5μm以下の粉末を用いることがよい。さら
に、ベアリングボールとしての摺動特性を損なわないた
めには、所定サイズを満たしていたとしてもウイスカー
や繊維を用いるのではなく粒子状粉末を用いた方が好ま
しい。ウイスカーや繊維は、その形状からトゲのような
凸部を表面に有していることからベアリングボールのよ
うな摺動部材には望ましくはない。従って、導電性付与
部材粉末としては、最大径10μm以下、好ましくは5μ
m以下である粒子状粉末が望ましい。
【0036】成形方法に関しては、窒化珪素製ベアリン
グボールを製造するための方法が適用可能である。例え
ば、静水圧成形(CIP)が可能であり、より強度を高
めるのであれば特に継続的に2回以上静水圧成形を行う
方法などが適用できる。
【0037】別の成形方法を述べると、導電性付与部材
を表面に存在させる形態が望ましいことから例えば次の
ような方法もある。例えばベアリングボールの表面から
半径の1/3の部分により導電性付与部材を存在させる
ために、予め半径の1/3から3/3(中心部)に相当
する量の酸化ジルコニウム粉末と必要により焼結助剤を
添加し成形する。その後、導電性付与部材粉末を混合し
た原料粉を転動造粒法により成形する。
【0038】このような方法によれば導電性付与部材粉
末が混入した表面層と混入していない中心層を形成する
ことができる。また、このような方法によれば結果的に
静水圧成形を継続的に2回行うことになり成形体の気孔
などの形成量を抑えることができる。この観点からする
と静水圧成形は2回、もしくは2回以上行う行うことに
より、より特性の良いベアリングボールが得られると言
える。
【0039】焼結方法においては、常圧焼結,加圧焼結
のみであっても特に問題はないが、常圧焼結,加圧焼結
を行った後に熱間静水圧プレス(HIP)を行う2段焼
結が好ましい。特に、焼結時に形成された気孔をHIP
処理によりふさぐことが可能となるためベアリングボー
ルとしての摺動特性が向上すると共に、表面に存在する
導電性付与部材をより表面に固着することができるため
導電性付与部材の脱粒を防ぐことが可能となる。
【0040】以上のような焼結工程を経た後、ベアリン
グボールとしてJIS規格により定めされた表面粗さを得
るための表面研磨を行う。このとき所定の表面粗さを得
ると共に導電性付与部材の最大径を10μm以下にするよ
う研磨工程を制御することが好ましい。
【0041】
【実施例】実施例1〜6、比較例1〜2 導電性付与部材として平均粒径1.5μmの炭化ニオブ粉
末、焼結助剤として平均粒径1.5μmの酸化イットリウ
ム粉末を3mol%、残部平均粒径0.5μm の酸化ジルコニ
ウム粉末を均一混合し、CIP成形法、不活性雰囲気中
1350〜1680℃常圧焼結、続いて該常圧焼結より低い温度
でHIP焼結を行い表1に示した酸化ジルコニウム製ベ
アリングボールを作製した。ベアリングボールは直径2m
mであり、表面粗さはグレード3のものとした。また、
ベアリングボール表面に存在する導電性付与部材の最大
径は3μmであった。
【0042】各ベアリングボールに対して、電気抵抗
値、線膨張係数、破壊靭性値を測定した結果を表1に示
した。電気抵抗値はベアリングボールの上下をラップ加
工し同一平面状に2ヶ所電極を設置し、室温にてその間
の抵抗を絶縁抵抗計で測定した。破壊靭性値は該ラップ
加工を施した試料を使いJIS-R-1607に基づくIF法により
測定した。線膨張係数はJIS-C-2141に基づいた測定を実
施するために各実施例と同様の方法により3×3×10
mmの四角柱状の試験片を作製することにより対応し
た。
【0043】なお、比較のために導電性付与部材を含有
させないこと以外は実施例1と同じ酸化ジルコニウム製
ベアリングボールを比較例1、窒化珪素製ベアリングボ
ールを比較例2とした。
【0044】
【表1】
【0045】表1から分かる通り本発明の酸化ジルコニ
ウム製ベアリングボールは、電気抵抗値が適度な値を示
すと共に、線膨張係数および破壊靭性値も導電性付与部
材である炭化ニオブを含有していない比較例1に近い値
を示している。
【0046】一般に、軸受鋼の線膨張係数は例えば12×
10-6/℃前後であるため線膨張係数の近い本発明のベア
リングボールは、回転軸部材またはおよびボール受け部
が軸受鋼で形成されたベアリング部材に特に有効である
ことが分かる。
【0047】一方、導電性付与部材を添加しない比較例
1および比較例2は共に電気抵抗値1010Ω・cm以上の高
い絶縁性を示した。
【0048】実施例7〜14 導電性付与部材を表2に示した材質に変えた以外は実施
例4(導電性付与部材の含有量20vol%)と同じ酸化ジル
コニウム製ベアリングボールを作製し、同様に電気抵抗
値、線膨張係数、破壊靭性の測定を行った。
【0049】
【表2】
【0050】表2から明らかなように導電性付与部材の
材質を変えたとしても良好な結果が得られた。
【0051】実施例15〜22 導電性付与部材として炭化ニオブの含有量を20vol%に統
一し、酸化イットリウム3mol%含有させた酸化ジルコニ
ウム製ベアリングボールを作製した。作製する際、添加
する導電性付与部材の最大径を制御し、ベアリングボー
ルの表面に最大径が表3に示すような値を示すものとな
るよう作製した。なお、ベアリングボールの直径は2m
m、表面研磨をグレード3とし、電気抵抗値は1×102
あった。
【0052】各ベアリングボールに関し、回転軸部材と
ボール受け部を軸受鋼SUJ2からなる部材と組合せベアリ
ング部材を作製した。このベアリング部材をスピンドル
モータに組込み、ハードディスクドライブ用モータ機器
として使用した。
【0053】このモータ機器を回転速度8000rpmで100時
間連続稼動させたときの静電気による不具合、並びに摺
動特性(高速回転性)を調べた。
【0054】静電気による不具合はハードディスクドラ
イブが静電気により通常の可動が行われなくなったもの
の有無を確認した。高速回転性については8000rpmで連
続100時間回転させた際、最初の1時間時の摺動音を100
とした場合に100時間後の摺動音の音の大きさの変化率
で測定した。摺動音の変化率(%)=[(100時間後
の摺動音−1時間後の摺動音)/1時間後の摺動音]×
100。このような摺動音の変化を測定することによ
り、ベアリングボール以外の部分との熱歪に伴う非同期
フレなどの不具合が分かる。
【0055】比較のために、導電性付与部材を含まない
以外は実施例15と同様の酸化ジルコニウム製ベアリン
グボールを比較例3、導電性付与部材を含まない窒化珪
素製ベアリングボールを比較例4とし同様の測定を行っ
た。その結果を合せて表3に示す。
【0056】なお、ベアリングボール表面の導電性付与
部材の最大径は単位面積100μm×100μmを任意の3個
所測定することにより対応した。
【0057】
【表3】
【0058】表3から分かる通り、導電性付与部材をベ
アリングボール表面に存在させている実施例16〜22
のものは静電気による不具合はないことが分かった。導
電性付与部材を含有しているもののベアリングボール表
面に存在させていないもの、いわゆる摺動面がすべて酸
化ジルコニウムからなる実施例15については、静電気
による影響によりハードディスクが完全に可動しない状
態になっていないものの若干の不具合が観測されたので
不具合の有無を「若干あり」と記載した。
【0059】また、摺動音の変化をみてもおおむね10
%以下と優れた数値を示している。これは線膨張係数が
回転軸部およびボール受け部を形成する軸受鋼SUJ2に近
いため高速回転を実施した際に発生する熱歪をうまく緩
和しているためである。
【0060】なお、ベアリングボールの表面に存在する
導電性付与部材の最大径が10μmより大きい実施例22
は摺動音の変化率が16%とやや大きい値を示している。
これは摺動面であるベアリングボール表面に存在する導
電性付与部材のサイズが大きいため酸化ジルコニウム本
来の線膨張係数が軸受鋼に近いという利点をいかしきれ
ていないためであると考える。また、導電性付与部材の
最大径が0.5μmより小さい実施例16は導電性付与部
材が小さすぎて摺動中に脱粒し易くなってしまうため若
干摺動音が大きくなってしまったものと考える。
【0061】一方、導電性部を有しない比較例3および
比較例4は導電性付与部材が添加されていないことから
静電気による不具合が起きてしまいハードディスクが起
動しなくなってしまっている。
【0062】以上の結果から本発明のように導電性付与
部材として所定の炭化物等を含有させた酸化ジルコニウ
ム製ベアリングボールはハードディスクドライブ等の機
器に用いるベアリング部材並びにモータ機器に適用する
ことにより静電気による不具合を無くすことが可能とな
ることが分かった。
【0063】また、導電性付与部材の含有量、ベアリン
グボール表面での存在の有無、その存在時の最大径など
を特定することにより酸化ジルコニウムが本来持つ軸受
鋼と線膨張係数が近いとする利点を最大限にいかせるよ
うになることが明らかとなった。このような観点からす
ると回転軸部材またはおよびボール受け部が軸受鋼であ
るベアリング部材に用いるとさらに有効であると言え
る。
【0064】
【発明の効果】本発明のように、酸化ジルコニウムを主
成分とし、その表面に所定量の導電性付与部材を含有さ
せることにより例えばハードディスクドライブのような
電子機器用のベアリング部材またはモータ機器に適用す
れば、静電気による不具合をなくすことが可能となる。
【0065】また、ベアリングボール表面に存在させる
導電性付与部材の最大径を工夫することにより摺動音の
変化率を抑えることができる。従って、本発明の酸化ジ
ルコニウム製ベアリングボールは、例えばハードディス
クドライブ等の電子機器用のベアリング部材またはモー
タ機器に用いた場合には、静電気による不具合を改善で
きる。さらに、酸化ジルコニウムの線膨張係数が軸受鋼
と近いという利点を十分にいかせるため安定かつ信頼性
のある高速回転を提供することができ、そのようなベア
リングボールを用いた電子機器は安定した性能を発揮す
ることが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高尾 実 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 藤内 弘喜 神奈川県横浜市鶴見区末広町2丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 Fターム(参考) 3J101 AA02 AA13 BA10 DA20 EA01 EA42 EA72 FA11 FA15 GA53 4G030 AA12 AA17 AA44 AA45 BA01 BA02 BA19 BA20 BA21 CA04 GA29 GA32 4G031 AA08 AA12 AA37 BA01 BA02 BA19 BA20 BA21 CA04 GA12 GA15

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性付与部材を含有したことを特徴と
    する酸化ジルコニウム製ベアリングボール。
  2. 【請求項2】 該導電性付与部材が4a族、5a族、6
    a族、7a族の少なくとも1種の炭化物であることを特
    徴とする請求項1記載の酸化ジルコニウム製ベアリング
    ボール。
  3. 【請求項3】 該導電性付与部材がタンタル、クロム、
    ジルコニウム、ハフニウム、マンガン、ニオブ、チタ
    ン、タングステン、モリブデンの少なくとも1種の炭化
    物であることを特徴とする請求項1または請求項2に記
    載の酸化ジルコニウム製ベアリングボール。
  4. 【請求項4】 電気抵抗値が106〜0.1Ω・cmであること
    を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載
    の酸化ジルコニウム製ベアリングボール。
  5. 【請求項5】 該導電性付与部材が35vol%以下含有さ
    れていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のい
    ずれかに記載の酸化ジルコニウム製ベアリングボール。
  6. 【請求項6】 該導電性付与部材がベアリングボール表
    面に存在していることを特徴とする請求項1ないし請求
    項5のいずれかに記載の酸化ジルコニウム製ベアリング
    ボール。
  7. 【請求項7】 表面に存在している該導電性付与部材の
    最大径が10μm以下であることを特徴とする請求項6に
    記載の酸化ジルコニウム製ベアリングボール。
  8. 【請求項8】 安定化剤が酸化イットリウムであること
    を特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載
    の酸化ジルコニウム製ベアリングボール。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし請求項8のいずれかに記
    載の酸化ジルコニウム製ベアリングボールを用いたこと
    を特徴とするベアリング部材。
  10. 【請求項10】電気抵抗値が106〜0.1Ω・cmである酸化
    ジルコニウム製ベアリングールを用いると共に、回転軸
    部材またはおよびボール受け部が軸受鋼であることを特
    徴とするベアリング部材。
  11. 【請求項11】 請求項10記載のベアリング部材を用
    いたことを特徴とするモータ機器。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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