JP2002029824A - セラミックボール、ボールベアリング、ベアリング付きモータ、ハードディスク装置、ポリゴンスキャナ、及びセラミックボールの製造方法 - Google Patents
セラミックボール、ボールベアリング、ベアリング付きモータ、ハードディスク装置、ポリゴンスキャナ、及びセラミックボールの製造方法Info
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- JP2002029824A JP2002029824A JP2000221084A JP2000221084A JP2002029824A JP 2002029824 A JP2002029824 A JP 2002029824A JP 2000221084 A JP2000221084 A JP 2000221084A JP 2000221084 A JP2000221084 A JP 2000221084A JP 2002029824 A JP2002029824 A JP 2002029824A
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- F16—ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
- F16C—SHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
- F16C33/00—Parts of bearings; Special methods for making bearings or parts thereof
- F16C33/30—Parts of ball or roller bearings
- F16C33/32—Balls
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- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Rolling Contact Bearings (AREA)
- Rotational Drive Of Disk (AREA)
- Motor Or Generator Frames (AREA)
- Permanent Magnet Type Synchronous Machine (AREA)
- Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 耐磨耗性に優れ、ハードディスクドライブな
ど高速回転にて使用されるベアリングボールとして使用
されても異音及び振動を防止できるセラミックボールを
提供する。 【解決手段】 ボールの表面を観察面として、その観察
面上において磁性介在物が観察されないか、あるいは磁
性介在物が観察される場合において前記観察面状に現れ
た粒子外形線の内部を横切らない外接平行線に対し、間
隔最大となる外接平行線の間隔をdmaxと定義したと
き、観察される前記磁性介在物の寸法dmaxが20μm
以下であることを特徴とするセラミックボールは、耐磨
耗性に優れ、HDD用あるいはポリゴンスキャナ用のベ
アリングボールとして使用しても異音及び振動が発生し
ない。
ど高速回転にて使用されるベアリングボールとして使用
されても異音及び振動を防止できるセラミックボールを
提供する。 【解決手段】 ボールの表面を観察面として、その観察
面上において磁性介在物が観察されないか、あるいは磁
性介在物が観察される場合において前記観察面状に現れ
た粒子外形線の内部を横切らない外接平行線に対し、間
隔最大となる外接平行線の間隔をdmaxと定義したと
き、観察される前記磁性介在物の寸法dmaxが20μm
以下であることを特徴とするセラミックボールは、耐磨
耗性に優れ、HDD用あるいはポリゴンスキャナ用のベ
アリングボールとして使用しても異音及び振動が発生し
ない。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はセラミックボール、
該セラミックボールの製造方法及び該セラミックボール
を用いたセラミックボールベアリングならびに該ボール
ベアリングを用いたベアリング付きモータ、ハードディ
スク装置及びポリゴンスキャナに関する。
該セラミックボールの製造方法及び該セラミックボール
を用いたセラミックボールベアリングならびに該ボール
ベアリングを用いたベアリング付きモータ、ハードディ
スク装置及びポリゴンスキャナに関する。
【0002】
【従来の技術】ベアリングに使用されるボール(以下、
ベアリングボールという)は、軸受鋼などの金属にて構
成されたものが一般的であるが、一層の耐摩耗性を付与
するために、セラミック製のベアリングボールを使用し
たものが普及し始めている。ところで、一般工作機械主
軸用などに使用される従来のセラミックベアリングボー
ルには空隙、金属異物あるいは不純物凝集体などが存在
しているものが多いが、上記の用途に使用する場合に
は、ベアリング性能にも大きな支障はないとみなされ、
それほど注意も払われてこなかった。
ベアリングボールという)は、軸受鋼などの金属にて構
成されたものが一般的であるが、一層の耐摩耗性を付与
するために、セラミック製のベアリングボールを使用し
たものが普及し始めている。ところで、一般工作機械主
軸用などに使用される従来のセラミックベアリングボー
ルには空隙、金属異物あるいは不純物凝集体などが存在
しているものが多いが、上記の用途に使用する場合に
は、ベアリング性能にも大きな支障はないとみなされ、
それほど注意も払われてこなかった。
【0003】
【0004】しかしながら、精密電子機器、例えばコン
ピュータハードディスク、あるいはポリゴンスキャナの
駆動部分に用いられるボールベアリングのセラミックボ
ールは、高速回転にて使用されるため、表面にわずかな
欠陥や金属異物あるいは不純物凝集体などが存在して
も、異音あるいは振動の原因となったり、表面の金属異
物あるいは不純物凝集体が剥離して耐摩耗性の低下につ
ながったりするなどの問題がある。
ピュータハードディスク、あるいはポリゴンスキャナの
駆動部分に用いられるボールベアリングのセラミックボ
ールは、高速回転にて使用されるため、表面にわずかな
欠陥や金属異物あるいは不純物凝集体などが存在して
も、異音あるいは振動の原因となったり、表面の金属異
物あるいは不純物凝集体が剥離して耐摩耗性の低下につ
ながったりするなどの問題がある。
【0005】本発明の課題は、高速回転するベアリング
などに適用した場合においても異音及び振動などを抑制
することができるセラミックボールとその製造方法、及
び前記セラミックボールを用いたボールベアリング、さ
らに該ボールベアリングを用いたベアリング付きモー
タ、該ベアリング付きモータを用いたハードディスク装
置及びポリゴンスキャナを提供することである。
などに適用した場合においても異音及び振動などを抑制
することができるセラミックボールとその製造方法、及
び前記セラミックボールを用いたボールベアリング、さ
らに該ボールベアリングを用いたベアリング付きモー
タ、該ベアリング付きモータを用いたハードディスク装
置及びポリゴンスキャナを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】上記課題
を解決するために、本発明のセラミックボールの構成
は、ボールの表面を観察面として、その観察面上におい
て磁性介在物が観察されないか、あるいは磁性介在物が
観察される場合において、前記観察面状に現れた粒子外
形線の内部を横切らない外接平行線に対し、間隔最大と
なる外接平行線の間隔をdmaxと定義したとき、観察さ
れる前記磁性介在物のdmax寸法が20μm以下である
ことを特徴とする。
を解決するために、本発明のセラミックボールの構成
は、ボールの表面を観察面として、その観察面上におい
て磁性介在物が観察されないか、あるいは磁性介在物が
観察される場合において、前記観察面状に現れた粒子外
形線の内部を横切らない外接平行線に対し、間隔最大と
なる外接平行線の間隔をdmaxと定義したとき、観察さ
れる前記磁性介在物のdmax寸法が20μm以下である
ことを特徴とする。
【0007】本明細書において、粒子あるいは空隙のd
maxは以下のように定義する。すなわち、図1に示すよ
うに、観察面上に現れている磁性介在物及び不純物凝集
体の粒子外形線あるいは空隙の空隙外形線に対し、その
内部を横切らないように各種位置関係にて外接平行線を
引き、間隔最大となる線間距離をdmaxとする。
maxは以下のように定義する。すなわち、図1に示すよ
うに、観察面上に現れている磁性介在物及び不純物凝集
体の粒子外形線あるいは空隙の空隙外形線に対し、その
内部を横切らないように各種位置関係にて外接平行線を
引き、間隔最大となる線間距離をdmaxとする。
【0008】上記のようなセラミックボールは、ベアリ
ング転動体として使用でき、例えばハードディスク装置
(以下、HDDという)、CD−ROMドライブ、MO
ドライブあるいはDVDドライブなどのコンピュータ用
周辺機器、あるいはレーザープリンタ等のポリゴンスキ
ャナなどの精密機器における回転駆動部軸受け用のベア
リングボールとして有効に使用することができる。これ
らの精密機器における回転駆動部の軸受けには、例えば
8000rpm以上(さらに高速性の要求される場合に
は、10000rpm以上ないし30000rpm以
上)の高速回転が要求されるが、このような高速回転に
て使用された場合でも、異音や振動などの発生を効果的
に防止ないし抑制するとともに、表面上での剥離などが
起こりにくく耐摩耗性に優れている。そして、近年、レ
ーザープリンタや、ハードディスク装置を含めたコンピ
ュータ周辺機器の生産量が爆発的に増加していることも
あって、小径かつ高性能のベアリング用セラミックボー
ルを高能率に製造する技術が切望されていた。上記本発
明の適用により、ベアリングボール製造工程上の1つの
律速段階であるともいえる精密研磨等の加工工程が能率
化され、ひいては、ハードディスクドライブ、あるいは
ポリゴンスキャナ用ベアリングに使用される高性能のベ
アリングボールを、安価に効率的に供給することが可能
となる。
ング転動体として使用でき、例えばハードディスク装置
(以下、HDDという)、CD−ROMドライブ、MO
ドライブあるいはDVDドライブなどのコンピュータ用
周辺機器、あるいはレーザープリンタ等のポリゴンスキ
ャナなどの精密機器における回転駆動部軸受け用のベア
リングボールとして有効に使用することができる。これ
らの精密機器における回転駆動部の軸受けには、例えば
8000rpm以上(さらに高速性の要求される場合に
は、10000rpm以上ないし30000rpm以
上)の高速回転が要求されるが、このような高速回転に
て使用された場合でも、異音や振動などの発生を効果的
に防止ないし抑制するとともに、表面上での剥離などが
起こりにくく耐摩耗性に優れている。そして、近年、レ
ーザープリンタや、ハードディスク装置を含めたコンピ
ュータ周辺機器の生産量が爆発的に増加していることも
あって、小径かつ高性能のベアリング用セラミックボー
ルを高能率に製造する技術が切望されていた。上記本発
明の適用により、ベアリングボール製造工程上の1つの
律速段階であるともいえる精密研磨等の加工工程が能率
化され、ひいては、ハードディスクドライブ、あるいは
ポリゴンスキャナ用ベアリングに使用される高性能のベ
アリングボールを、安価に効率的に供給することが可能
となる。
【0009】セラミックボールの製造においては、様々
な工程上で磁性介在物が含有される可能性がある。この
ような磁性介在物がセラミック表面上に存在すると、こ
れらの粒子が表面上で盛り上がり、セラミックボールの
寸法精度を悪化させる。また、表面を研磨加工する際に
おいては、これらの粒子が脱落し、セラミックボールの
研磨面を傷つけることによって、研磨面の加工精度をか
えって悪化させる。このようにセラミックボールの表面
に存在する磁性介在物はその表面の加工精度を悪化さ
せ、HDD、あるいはポリゴンスキャナのような高速回
転(例えば、回転数8000rpm以上)するベアリン
グにて使用する場合においては、前述のように異音や振
動の原因となる。また、高速回転することにより、表面
の磁性介在物が剥離しやすくなり、耐摩耗性も低下す
る。
な工程上で磁性介在物が含有される可能性がある。この
ような磁性介在物がセラミック表面上に存在すると、こ
れらの粒子が表面上で盛り上がり、セラミックボールの
寸法精度を悪化させる。また、表面を研磨加工する際に
おいては、これらの粒子が脱落し、セラミックボールの
研磨面を傷つけることによって、研磨面の加工精度をか
えって悪化させる。このようにセラミックボールの表面
に存在する磁性介在物はその表面の加工精度を悪化さ
せ、HDD、あるいはポリゴンスキャナのような高速回
転(例えば、回転数8000rpm以上)するベアリン
グにて使用する場合においては、前述のように異音や振
動の原因となる。また、高速回転することにより、表面
の磁性介在物が剥離しやすくなり、耐摩耗性も低下す
る。
【0010】そこで本発明者らが鋭意検討を行った結
果、HDD、あるいはポリゴンスキャナのような高精度
かつ高速回転が要求されるボールベアリングにて使用す
るセラミックボールの場合、ボールの表面に観察される
磁性介在物の寸法を20μm以下とすることにより、セ
ラミックボールをボールベアリングに組み込んで使用し
た場合に、異音や振動を効果的に防止することが可能と
なり、かつ磁性介在物の剥離などによる耐摩耗性劣化も
抑制することができることがわかった。
果、HDD、あるいはポリゴンスキャナのような高精度
かつ高速回転が要求されるボールベアリングにて使用す
るセラミックボールの場合、ボールの表面に観察される
磁性介在物の寸法を20μm以下とすることにより、セ
ラミックボールをボールベアリングに組み込んで使用し
た場合に、異音や振動を効果的に防止することが可能と
なり、かつ磁性介在物の剥離などによる耐摩耗性劣化も
抑制することができることがわかった。
【0011】なお、観察される磁性介在物の寸法が20
μmを超えると上記の効果を十分に達成できなくなる。
なお、観察される磁性介在物は望ましくは15μm以下
であるのがよく、理想的には観察されないのがよい。
μmを超えると上記の効果を十分に達成できなくなる。
なお、観察される磁性介在物は望ましくは15μm以下
であるのがよく、理想的には観察されないのがよい。
【0012】磁性介在物は、セラミックボールの原料粉
末に不可避的に含有されるていたり、あるいは原料流体
の混合・粉砕あるいは輸送などの工程において混入する
と考えられる。例えば、原料を混合機あるいは粉砕機に
より混合・粉砕したり、配管によって混合及び粉砕ある
いは輸送する際に、装置側からのコンタミにより混入す
る可能性がある。この場合、粉砕ないし混合に使用する
メディアや撹拌具の摩耗による混入もありうるが、多く
のセラミック製造工程ではコンタミ防止を考慮して、セ
ラミックメディアを使用したり、あるいは鉄系の撹拌具
を用いる場合でもセラミックコーティングを施したもの
を使用することが多い。他方、原料流体(例えばスラリ
ー)を輸送するための配管は、粉砕や混合等における問
題よりは目立ちにくいこともあって、これまであまり注
意が払われていなかったため、ほとんどのラインにおい
て鉄系素材が剥き出しになった管内面構造が採用されて
いる。また、長い配管の内面はセラミックコーティング
等の耐摩耗処理を施しにくい事情もある。
末に不可避的に含有されるていたり、あるいは原料流体
の混合・粉砕あるいは輸送などの工程において混入する
と考えられる。例えば、原料を混合機あるいは粉砕機に
より混合・粉砕したり、配管によって混合及び粉砕ある
いは輸送する際に、装置側からのコンタミにより混入す
る可能性がある。この場合、粉砕ないし混合に使用する
メディアや撹拌具の摩耗による混入もありうるが、多く
のセラミック製造工程ではコンタミ防止を考慮して、セ
ラミックメディアを使用したり、あるいは鉄系の撹拌具
を用いる場合でもセラミックコーティングを施したもの
を使用することが多い。他方、原料流体(例えばスラリ
ー)を輸送するための配管は、粉砕や混合等における問
題よりは目立ちにくいこともあって、これまであまり注
意が払われていなかったため、ほとんどのラインにおい
て鉄系素材が剥き出しになった管内面構造が採用されて
いる。また、長い配管の内面はセラミックコーティング
等の耐摩耗処理を施しにくい事情もある。
【0013】しかし、本発明者らの検討によれば、この
配管が磁性介在物発生のもっとも大きい要因であること
もわかった。すなわち、原料流体が管内面を摩擦する
と、摩擦により剥離した管材料が磁性介在物となって製
品に混入しやすい傾向がある。さらに、配管は耐食性確
保のためにステンレス鋼、特に管継手部等の溶接を可能
とするために、フェライト系あるいはオーステナイト系
のステンレス鋼が用いられる場合が多いが、これらのス
テンレス鋼は比較的硬度が低く、硬質のセラミック粒子
を含んだ原料流体からの摩擦による磨耗のため、磁性介
在物を特に生じやすいと考えられる。
配管が磁性介在物発生のもっとも大きい要因であること
もわかった。すなわち、原料流体が管内面を摩擦する
と、摩擦により剥離した管材料が磁性介在物となって製
品に混入しやすい傾向がある。さらに、配管は耐食性確
保のためにステンレス鋼、特に管継手部等の溶接を可能
とするために、フェライト系あるいはオーステナイト系
のステンレス鋼が用いられる場合が多いが、これらのス
テンレス鋼は比較的硬度が低く、硬質のセラミック粒子
を含んだ原料流体からの摩擦による磨耗のため、磁性介
在物を特に生じやすいと考えられる。
【0014】いずれにしろ、セラミックボール中の磁性
介在物を除去するためには、上記のように原料段階で混
入する磁性介在物を、可及的に取り除くことが重要と考
えられる。磁性介在物を除去する方法としては、例え
ば、特許第3004562公報や特開2000−137
2公報に開示されているように、磁選機によって磁性介
在物を吸引・除去する方法が有効である。他方、本発明
においては、HDD用のボールベアリングに組み込んだ
場合の異音及び異常振動の発生を防止するために、表面
に存在する磁性介在物の寸法として、20μm以下とい
う特有の値が実現されるように、磁性介在物の除去レベ
ルを高めなければならない。しかしながら、上記の公報
には、残留する磁性介在物の寸法に関しては何一つ言及
されておらず、当然に、残留する磁性介在物の寸法を上
記特有の値とするための、磁選機が発生する磁界レベル
等についても開示はない。
介在物を除去するためには、上記のように原料段階で混
入する磁性介在物を、可及的に取り除くことが重要と考
えられる。磁性介在物を除去する方法としては、例え
ば、特許第3004562公報や特開2000−137
2公報に開示されているように、磁選機によって磁性介
在物を吸引・除去する方法が有効である。他方、本発明
においては、HDD用のボールベアリングに組み込んだ
場合の異音及び異常振動の発生を防止するために、表面
に存在する磁性介在物の寸法として、20μm以下とい
う特有の値が実現されるように、磁性介在物の除去レベ
ルを高めなければならない。しかしながら、上記の公報
には、残留する磁性介在物の寸法に関しては何一つ言及
されておらず、当然に、残留する磁性介在物の寸法を上
記特有の値とするための、磁選機が発生する磁界レベル
等についても開示はない。
【0015】そこで、上記課題に鑑みて鋭意検討を重ね
た結果、本発明者らは、以下のセラミックボールの製造
方法を完成するに至った。すなわち、該方法は、セラミ
ックの原料粉末を含む原料流体を、表面の磁束密度が8
000ガウス以上である磁気吸引体を有する磁選機に少
なくとも1回以上通過させることにより前記原料流体の
磁性介在物を前記吸引体に吸着させて除去する原料流体
精製工程と、前記原料流体を球状に成形する工程と、得
られた成形体を焼成する工程とを有することを特徴とす
る。
た結果、本発明者らは、以下のセラミックボールの製造
方法を完成するに至った。すなわち、該方法は、セラミ
ックの原料粉末を含む原料流体を、表面の磁束密度が8
000ガウス以上である磁気吸引体を有する磁選機に少
なくとも1回以上通過させることにより前記原料流体の
磁性介在物を前記吸引体に吸着させて除去する原料流体
精製工程と、前記原料流体を球状に成形する工程と、得
られた成形体を焼成する工程とを有することを特徴とす
る。
【0016】すなわち、表面磁束密度が8000ガウス
以上の磁気吸引体を有する磁選機に原料流体を通すこと
により、粒子寸法が20μm以上の磁性介在物を原料流
体から極めて効果的に分離・除去することができ、ひい
ては得られるセラミックボール表面に観察される磁性介
在物の寸法を20μm以下とすることができる。
以上の磁気吸引体を有する磁選機に原料流体を通すこと
により、粒子寸法が20μm以上の磁性介在物を原料流
体から極めて効果的に分離・除去することができ、ひい
ては得られるセラミックボール表面に観察される磁性介
在物の寸法を20μm以下とすることができる。
【0017】本発明の方法においては、原料流体を接触
させる磁気吸引体の表面磁束密度を8000ガウス以上
とすることが重要である。すなわち、原料流体中には、
様々な寸法の磁性介在物が含有されているが、磁気吸引
体の磁力、すなわち表面磁束密度によっては、吸着でき
る磁性介在物の大きさに限界がある。具体的には、磁性
介在物の大きさが小さすぎると、磁性介在物の単位体積
当たりの表面積値が大きくなるため原料流体から受ける
体積当たりの抵抗力も大きくなり、吸引体により引き付
けられにくくなる傾向にある。他方、焼成後のセラミッ
クボールにほとんど影響を与えない小さい磁性介在物
は、磁気吸引体により除去すべき必然性はない。したが
って、除去すべき磁性介在物の下限寸法に応じて、磁気
吸引体の磁力を設定する必要がある。
させる磁気吸引体の表面磁束密度を8000ガウス以上
とすることが重要である。すなわち、原料流体中には、
様々な寸法の磁性介在物が含有されているが、磁気吸引
体の磁力、すなわち表面磁束密度によっては、吸着でき
る磁性介在物の大きさに限界がある。具体的には、磁性
介在物の大きさが小さすぎると、磁性介在物の単位体積
当たりの表面積値が大きくなるため原料流体から受ける
体積当たりの抵抗力も大きくなり、吸引体により引き付
けられにくくなる傾向にある。他方、焼成後のセラミッ
クボールにほとんど影響を与えない小さい磁性介在物
は、磁気吸引体により除去すべき必然性はない。したが
って、除去すべき磁性介在物の下限寸法に応じて、磁気
吸引体の磁力を設定する必要がある。
【0018】そして、その下限寸法値は本発明では20
μmに設定され、これに対応する磁気吸引体の表面磁束
密度値として8000ガウス以上を確保することで、焼
結後のセラミックボールの、ベアリングボールとしての
性能に少なからぬ影響を与える寸法20μm以上の磁性
介在物を極めて効果的に吸引・除去することができ、そ
の結果、焼成されたセラミックボールの表面において観
察される磁性介在物の寸法を20μm以下とすることが
できるのである。
μmに設定され、これに対応する磁気吸引体の表面磁束
密度値として8000ガウス以上を確保することで、焼
結後のセラミックボールの、ベアリングボールとしての
性能に少なからぬ影響を与える寸法20μm以上の磁性
介在物を極めて効果的に吸引・除去することができ、そ
の結果、焼成されたセラミックボールの表面において観
察される磁性介在物の寸法を20μm以下とすることが
できるのである。
【0019】なお、磁性介在物の発生要因としては、前
述の通り、原料流体が輸送されて配管を通るとき、セラ
ミックの原料粒子が配管を削り取ることが考えられる。
また、配管の材質としては、ステンレス鋼が一般的であ
るが、このとき磁石吸引体の表面磁束が8000ガウス
以上であれば、例えば強磁性相が主体となるフェライト
系ステンレス鋼のみならず、若干のフェライト相を含ん
だオーステナイト系ステンレス鋼(例えばSUS304
など)に由来する磁性介在物も吸着することができる。
なお、磁気吸引体の表面磁束密度は、より望ましくは1
0000ガウス以上であるのがよい。
述の通り、原料流体が輸送されて配管を通るとき、セラ
ミックの原料粒子が配管を削り取ることが考えられる。
また、配管の材質としては、ステンレス鋼が一般的であ
るが、このとき磁石吸引体の表面磁束が8000ガウス
以上であれば、例えば強磁性相が主体となるフェライト
系ステンレス鋼のみならず、若干のフェライト相を含ん
だオーステナイト系ステンレス鋼(例えばSUS304
など)に由来する磁性介在物も吸着することができる。
なお、磁気吸引体の表面磁束密度は、より望ましくは1
0000ガウス以上であるのがよい。
【0020】上記のような表面磁束密度を達成するに
は、電磁石を使用することも可能であるが、コイルが不
要であり、しかも狭い空間に効率よく磁場印加すること
ができる、永久磁石式磁気吸引体を用いることが望まし
い。永久磁石としては、上記のような表面磁束密度を達
成するために、希土類永久磁石、例えば希土類−鉄−ホ
ウ素系焼結永久磁石を好適に使用することができる。な
お、磁気吸引体の表面磁束密度は、組み込まれた永久磁
石の着磁面に対応する領域にて測定した平均値を意味す
るものとする。
は、電磁石を使用することも可能であるが、コイルが不
要であり、しかも狭い空間に効率よく磁場印加すること
ができる、永久磁石式磁気吸引体を用いることが望まし
い。永久磁石としては、上記のような表面磁束密度を達
成するために、希土類永久磁石、例えば希土類−鉄−ホ
ウ素系焼結永久磁石を好適に使用することができる。な
お、磁気吸引体の表面磁束密度は、組み込まれた永久磁
石の着磁面に対応する領域にて測定した平均値を意味す
るものとする。
【0021】次に、上記本発明のセラミックボールにお
いては、ボールの表面を観察面として、その観察面上に
おいて不純物凝集体が観察されないか、あるいは不純物
凝集体が観察される場合において、前記観察面上に現れ
た粒子外形線の内部を横切らない外接平行線に対し、間
隔最大となる外接平行線の間隔をdmaxと定義したと
き、観察される前記不純物凝集体のdmax寸法を20μ
m以下とすることができる。
いては、ボールの表面を観察面として、その観察面上に
おいて不純物凝集体が観察されないか、あるいは不純物
凝集体が観察される場合において、前記観察面上に現れ
た粒子外形線の内部を横切らない外接平行線に対し、間
隔最大となる外接平行線の間隔をdmaxと定義したと
き、観察される前記不純物凝集体のdmax寸法を20μ
m以下とすることができる。
【0022】セラミックボールの製造においては、工程
上の種々の要因により、不純物凝集体が含有される可能
性がある。このような不純物凝集体がセラミック表面上
に存在すると、これらの粒子が表面上で盛り上がり、セ
ラミックボールの寸法精度を悪化させる。また、表面を
研磨加工する際においては、これらの粒子が脱落し、セ
ラミックボールの研磨面を傷つけることによって、研磨
面の加工精度をかえって悪化させる。その結果、HD
D、あるいはポリゴンスキャナのような高速回転するベ
アリングにて使用する場合においては、前述のように異
音や振動の原因となる。また、高速回転することによ
り、表面の不純物凝集体が剥離しやすくなり、耐摩耗性
も低下する。
上の種々の要因により、不純物凝集体が含有される可能
性がある。このような不純物凝集体がセラミック表面上
に存在すると、これらの粒子が表面上で盛り上がり、セ
ラミックボールの寸法精度を悪化させる。また、表面を
研磨加工する際においては、これらの粒子が脱落し、セ
ラミックボールの研磨面を傷つけることによって、研磨
面の加工精度をかえって悪化させる。その結果、HD
D、あるいはポリゴンスキャナのような高速回転するベ
アリングにて使用する場合においては、前述のように異
音や振動の原因となる。また、高速回転することによ
り、表面の不純物凝集体が剥離しやすくなり、耐摩耗性
も低下する。
【0023】そこで、本発明者らは、さらに鋭意検討し
た結果、ボールの表面において、不純物凝集体が観察さ
れないか、あるいは観察される場合においても不純物凝
集体の寸法が20μm以下とすることで、高速回転にて
駆動するHDD、あるいはポリゴンスキャナ用等のベア
リングボールとして使用したときに、異音や振動発生等
の不具合を効果的に防止及び抑制するとともに、耐摩耗
性も改善できることがわかった。
た結果、ボールの表面において、不純物凝集体が観察さ
れないか、あるいは観察される場合においても不純物凝
集体の寸法が20μm以下とすることで、高速回転にて
駆動するHDD、あるいはポリゴンスキャナ用等のベア
リングボールとして使用したときに、異音や振動発生等
の不具合を効果的に防止及び抑制するとともに、耐摩耗
性も改善できることがわかった。
【0024】観察される不純物凝集体の寸法が20μm
を超えると上記の効果を十分に達成できなくなる。な
お、観察される磁性介在物は望ましくは15μm以下で
あるのがよく、理想的には観察されないのがよい。
を超えると上記の効果を十分に達成できなくなる。な
お、観察される磁性介在物は望ましくは15μm以下で
あるのがよく、理想的には観察されないのがよい。
【0025】また、本発明のセラミックボールの製造方
法においては、焼結体表面に残留する不純物凝集体の寸
法を上記のような数値範囲とするために、これを原料段
階でなるべく除去しておくことが重要である。具体的に
は、原料流体精製工程において、原料流体を目開き25
μm以下の篩に少なくとも1回以上通過させることによ
り不純物凝集体を除去する分級工程を実施するとよい。
篩の目開きを25μm以下とすることで、前記不純物凝
集体を効果的に分離し取り除くことができる。また、不
純物凝集体に磁性介在物が含まれていればこれも同時に
分離・除去することができる。また篩の目開きのサイズ
は20μm(JIS−K0211に規定されている最小
のサイズ)のものを用いれば、上記効果を一層高めるこ
とができる。
法においては、焼結体表面に残留する不純物凝集体の寸
法を上記のような数値範囲とするために、これを原料段
階でなるべく除去しておくことが重要である。具体的に
は、原料流体精製工程において、原料流体を目開き25
μm以下の篩に少なくとも1回以上通過させることによ
り不純物凝集体を除去する分級工程を実施するとよい。
篩の目開きを25μm以下とすることで、前記不純物凝
集体を効果的に分離し取り除くことができる。また、不
純物凝集体に磁性介在物が含まれていればこれも同時に
分離・除去することができる。また篩の目開きのサイズ
は20μm(JIS−K0211に規定されている最小
のサイズ)のものを用いれば、上記効果を一層高めるこ
とができる。
【0026】また、本発明のセラミックボールにおいて
は、ボールの表面を観察面として、その観察面上におい
て空隙が観察されないか、あるいは空隙が観察される場
合において、前記観察面上に現れた粒子外形線の内部を
横切らない外接平行線に対し、間隔最大となる外接平行
線の間隔をdmaxと定義したとき、観察される空隙の寸
法dmaxが10μm以下であることが望ましい。
は、ボールの表面を観察面として、その観察面上におい
て空隙が観察されないか、あるいは空隙が観察される場
合において、前記観察面上に現れた粒子外形線の内部を
横切らない外接平行線に対し、間隔最大となる外接平行
線の間隔をdmaxと定義したとき、観察される空隙の寸
法dmaxが10μm以下であることが望ましい。
【0027】空隙の形成要因としては、セラミックボー
ル中に粒子間に形成された空隙が焼成時にポアとなって
残留したもののほか、前述の磁性介在物あるいは不純物
凝集体が成形体中に存在している場合に、焼成後にその
介在物や凝集体が脱落して空隙が形成されることも考え
られる。例えば、セラミックボールの断面あるいは表面
において観察される磁性介在物及び不純物凝集体の周り
に空隙ができていることがある。これは、特に金属系の
磁性介在物や不純物凝集体の場合、その熱膨張率がセラ
ミックの熱膨張率より大きく、焼成後の冷却時に膨張率
差によって、磁性介在物及び不純物凝集体がセラミック
成分よりも余計に収縮するためである。また、セラミッ
ク焼成時に、磁性介在物や不純物凝集体の溶融が生じる
場合も、その抜け飛びにより空隙が生ずることも考えら
れる。このような空隙がボール表面に残留していると、
HDD、あるいはポリゴンスキャナのような高速回転す
るベアリングにて使用する場合においては、同様に異音
や振動の原因となる。
ル中に粒子間に形成された空隙が焼成時にポアとなって
残留したもののほか、前述の磁性介在物あるいは不純物
凝集体が成形体中に存在している場合に、焼成後にその
介在物や凝集体が脱落して空隙が形成されることも考え
られる。例えば、セラミックボールの断面あるいは表面
において観察される磁性介在物及び不純物凝集体の周り
に空隙ができていることがある。これは、特に金属系の
磁性介在物や不純物凝集体の場合、その熱膨張率がセラ
ミックの熱膨張率より大きく、焼成後の冷却時に膨張率
差によって、磁性介在物及び不純物凝集体がセラミック
成分よりも余計に収縮するためである。また、セラミッ
ク焼成時に、磁性介在物や不純物凝集体の溶融が生じる
場合も、その抜け飛びにより空隙が生ずることも考えら
れる。このような空隙がボール表面に残留していると、
HDD、あるいはポリゴンスキャナのような高速回転す
るベアリングにて使用する場合においては、同様に異音
や振動の原因となる。
【0028】しかしながら、ボール表面にて観察される
空隙の寸法を10μm以下とすることで、上記不具合を
効果的に防止できる。なお、空隙の寸法は、望ましくは
5μm以下であるのが良く、より望ましくは空隙が観察
されないのがよい。
空隙の寸法を10μm以下とすることで、上記不具合を
効果的に防止できる。なお、空隙の寸法は、望ましくは
5μm以下であるのが良く、より望ましくは空隙が観察
されないのがよい。
【0029】次に、本発明は、ベアリング転動体として
上記本発明のセラミックボールが複数個組み込まれたボ
ールベアリングも提供する。このようなボールベアリン
グは、例えば、ハードディス装置のハードディスク回転
主軸部分の軸受部品又はヘッドアームの駆動回転軸の軸
受部品、さらにはレーザープリンタ等に使用されるポリ
ゴンスキャナのポリゴンミラー回転主軸部分の軸受部品
として使用できる。また、本発明は、上記ボールベアリ
ングを軸受け部品として用いたベアリング付きモータを
提供する。さらに、上記のベアリング付きモータと、そ
のベアリング付きモータにより回転駆動されるハードデ
ィスクとを備えたハードディスク装置、あるいは、上記
のベアリング付きモータと、そのベアリング付きモータ
により回転駆動されるポリゴンミラーとを備えたポリゴ
ンスキャナも提供する。
上記本発明のセラミックボールが複数個組み込まれたボ
ールベアリングも提供する。このようなボールベアリン
グは、例えば、ハードディス装置のハードディスク回転
主軸部分の軸受部品又はヘッドアームの駆動回転軸の軸
受部品、さらにはレーザープリンタ等に使用されるポリ
ゴンスキャナのポリゴンミラー回転主軸部分の軸受部品
として使用できる。また、本発明は、上記ボールベアリ
ングを軸受け部品として用いたベアリング付きモータを
提供する。さらに、上記のベアリング付きモータと、そ
のベアリング付きモータにより回転駆動されるハードデ
ィスクとを備えたハードディスク装置、あるいは、上記
のベアリング付きモータと、そのベアリング付きモータ
により回転駆動されるポリゴンミラーとを備えたポリゴ
ンスキャナも提供する。
【0030】本発明のセラミックボールは、ボールの断
面及び表面において観察される磁性介在物あるいは不純
物凝集体の寸法が20μm以下、及び空隙の寸法が10
μm以下に設定されている。このようなセラミックボー
ルはHDD、あるいはポリゴンスキャナ用のベアリング
ボールとして有効に使用することができる。前記ベアリ
ングボールを複数個組み込んだボールベアリングは、ハ
ードディス装置のハードディスク回転主軸部分の軸受部
品又はヘッドアームの駆動回転軸の軸受部品、さらには
レーザープリンタ等に使用されるポリゴンスキャナのポ
リゴンミラー回転主軸部分の軸受部品として例えば80
00rpm以上の高速回転にて使用されても、異音や異
常振動などが発生せず、長時間使用されてもその性能を
良好に維持することができる。
面及び表面において観察される磁性介在物あるいは不純
物凝集体の寸法が20μm以下、及び空隙の寸法が10
μm以下に設定されている。このようなセラミックボー
ルはHDD、あるいはポリゴンスキャナ用のベアリング
ボールとして有効に使用することができる。前記ベアリ
ングボールを複数個組み込んだボールベアリングは、ハ
ードディス装置のハードディスク回転主軸部分の軸受部
品又はヘッドアームの駆動回転軸の軸受部品、さらには
レーザープリンタ等に使用されるポリゴンスキャナのポ
リゴンミラー回転主軸部分の軸受部品として例えば80
00rpm以上の高速回転にて使用されても、異音や異
常振動などが発生せず、長時間使用されてもその性能を
良好に維持することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。図16は、本発明の一実施例であるセラミ
ックボール43を、金属あるいはセラミック製の内輪4
2及び外輪41の間に組み込んで構成したボールベアリ
ング40を示している。ボールベアリング40の内輪4
2内面に軸SHを固定すれば、ベアリングボール43
は、外輪41又は内輪42に対して回転又は摺動可能に
保持される。すでに詳しく説明した通り、セラミックボ
ール43は、表面に磁性介在物が観察されないか、観察
されてもその寸法が20μm以下である。さらに望まし
くは、不純物凝集体が観察されないか、観察されてもそ
の寸法が20μm以下であり、また、空隙が観察されな
いか、観察されてもその寸法が10μm以下であるセラ
ミックボールである。
て説明する。図16は、本発明の一実施例であるセラミ
ックボール43を、金属あるいはセラミック製の内輪4
2及び外輪41の間に組み込んで構成したボールベアリ
ング40を示している。ボールベアリング40の内輪4
2内面に軸SHを固定すれば、ベアリングボール43
は、外輪41又は内輪42に対して回転又は摺動可能に
保持される。すでに詳しく説明した通り、セラミックボ
ール43は、表面に磁性介在物が観察されないか、観察
されてもその寸法が20μm以下である。さらに望まし
くは、不純物凝集体が観察されないか、観察されてもそ
の寸法が20μm以下であり、また、空隙が観察されな
いか、観察されてもその寸法が10μm以下であるセラ
ミックボールである。
【0032】以下、本発明の実施の形態を、セラミック
ボールの素材を窒化珪素質セラミックとする場合を例に
取り説明する。まず、原料となる窒化珪素粉末はα率が
70%以上のものを使用することが望ましく、これに焼
結助剤として、希土類元素、3A、4A、5A、3Bお
よび4B族の元素群から選ばれる少なくとも1種を酸化
物換算で1〜15重量%、好ましくは2〜8重量%の割
合で混合する。なお、原料配合時においては、これら元
素の酸化物のほか、焼結により酸化物に転化しうる化合
物、例えば炭酸塩や水酸化物等の形で配合してもよい。
ボールの素材を窒化珪素質セラミックとする場合を例に
取り説明する。まず、原料となる窒化珪素粉末はα率が
70%以上のものを使用することが望ましく、これに焼
結助剤として、希土類元素、3A、4A、5A、3Bお
よび4B族の元素群から選ばれる少なくとも1種を酸化
物換算で1〜15重量%、好ましくは2〜8重量%の割
合で混合する。なお、原料配合時においては、これら元
素の酸化物のほか、焼結により酸化物に転化しうる化合
物、例えば炭酸塩や水酸化物等の形で配合してもよい。
【0033】次に、原料流体の精製工程を模式的に図2
に示すが、原料流体の生成工程はこれに限られたもので
はない。まず、上記の配合物に、水系溶媒を加えてアト
ライター等の粉砕機305により湿式混合(あるいは湿
式混合・粉砕)して泥漿6を準備する。泥漿6は配管3
02を通って磁選機303に送られる。泥漿6に磁性介
在物202が混入していた場合、図3に示すように、磁
選機303内に取り付けられている磁気吸引体201の
磁力によりひきつけられ、泥漿6から分離される。磁気
吸引体201は、内部に永久磁石、例えば希土類−鉄−
ホウ素焼結磁石等の希土類永久磁石が組み込まれたもの
であり、表面における磁束密度が8000ガウス以上、
望ましくは10000ガウス以上に設定されている。例
えば摩耗脱落した鉄系配管材料に由来する磁性介在物2
02は、上記磁石式吸引体201にひきつけられ、分離
・除去することができる。
に示すが、原料流体の生成工程はこれに限られたもので
はない。まず、上記の配合物に、水系溶媒を加えてアト
ライター等の粉砕機305により湿式混合(あるいは湿
式混合・粉砕)して泥漿6を準備する。泥漿6は配管3
02を通って磁選機303に送られる。泥漿6に磁性介
在物202が混入していた場合、図3に示すように、磁
選機303内に取り付けられている磁気吸引体201の
磁力によりひきつけられ、泥漿6から分離される。磁気
吸引体201は、内部に永久磁石、例えば希土類−鉄−
ホウ素焼結磁石等の希土類永久磁石が組み込まれたもの
であり、表面における磁束密度が8000ガウス以上、
望ましくは10000ガウス以上に設定されている。例
えば摩耗脱落した鉄系配管材料に由来する磁性介在物2
02は、上記磁石式吸引体201にひきつけられ、分離
・除去することができる。
【0034】なお、泥漿6は、図2に示すようにポンプ
Pにより粉砕機305に戻す形で循環させれば、磁性介
在物202の分離工程を繰り返し行うことができ、その
混入量を可及的に減少させることができる。
Pにより粉砕機305に戻す形で循環させれば、磁性介
在物202の分離工程を繰り返し行うことができ、その
混入量を可及的に減少させることができる。
【0035】上記のようにして可及的に磁性介在物を減
少させた泥漿6は、篩304に送られる。篩網の目開き
のサイズは25μm以下、例えば20μm程度のものを
使用する。例えば図4に示すように、泥漿の輸送経路中
において、その輸送方向と交差する向きに篩面333を
配置することにより、不純物凝集体301が混入してい
る場合は、篩目開きよりも大きいものが篩面333によ
り濾し取られる形で、泥漿6から分離される。このよう
に精製された泥漿6を、以下のように成形用素地粉末と
した後、例えば、後述する転動造粒法により効果的に球
状成形体とすることができる(ただし、成形用素地粉末
の調整方法及び成形方法はこれに限定されるものではな
い)。
少させた泥漿6は、篩304に送られる。篩網の目開き
のサイズは25μm以下、例えば20μm程度のものを
使用する。例えば図4に示すように、泥漿の輸送経路中
において、その輸送方向と交差する向きに篩面333を
配置することにより、不純物凝集体301が混入してい
る場合は、篩目開きよりも大きいものが篩面333によ
り濾し取られる形で、泥漿6から分離される。このよう
に精製された泥漿6を、以下のように成形用素地粉末と
した後、例えば、後述する転動造粒法により効果的に球
状成形体とすることができる(ただし、成形用素地粉末
の調整方法及び成形方法はこれに限定されるものではな
い)。
【0036】成形用素地粉末は、例えば後述する転動造
粒法に好適なものとして、レーザ回折式粒度計にて測定
された平均粒子径が0.3〜2μm、同じく90%粒子
径が0.7〜3.5μm、さらにBET比表面積値が5
〜13m2/gの範囲であることが望ましい。ただし、
転動造粒法以外の成形方法を採用するときはこの限りで
はない。
粒法に好適なものとして、レーザ回折式粒度計にて測定
された平均粒子径が0.3〜2μm、同じく90%粒子
径が0.7〜3.5μm、さらにBET比表面積値が5
〜13m2/gの範囲であることが望ましい。ただし、
転動造粒法以外の成形方法を採用するときはこの限りで
はない。
【0037】レーザー回折式粒度計にて測定された粉末
粒子系は、図11に示す二次粒子径Dを反映したもので
ある。また、粒子の小径側からの相対累積度数は、図1
2に示すように、評価対象となる粒子を粒径の大小順に
配列し、その配列上にて小粒径側から粒子の度数を計数
したときに、着目している粒径までの累積度数をNc、
評価対象となる粒子の総度数をN0として、nrc=(Nc
/N0)×100 (%)にて表される相対度数nrcを
いう。そして、X%粒子径とは、前記した配列において
nrc=X(%)に対応する粒径をいう。例えば、90%
粒子径とは、nrc=90(%)に対応する粒径をいう。
粒子系は、図11に示す二次粒子径Dを反映したもので
ある。また、粒子の小径側からの相対累積度数は、図1
2に示すように、評価対象となる粒子を粒径の大小順に
配列し、その配列上にて小粒径側から粒子の度数を計数
したときに、着目している粒径までの累積度数をNc、
評価対象となる粒子の総度数をN0として、nrc=(Nc
/N0)×100 (%)にて表される相対度数nrcを
いう。そして、X%粒子径とは、前記した配列において
nrc=X(%)に対応する粒径をいう。例えば、90%
粒子径とは、nrc=90(%)に対応する粒径をいう。
【0038】他方、成形用素地粉末の比表面積値は吸着
法により測定され、具体的には、粉末表面に吸着するガ
スの吸着量から比表面積値を求めることができる。一般
には、測定ガスの圧力と吸着量との関係を示す吸着曲線
を測定し、多分子吸着に関する公知のBET式(発案者
であるBrunauer、Emett、Tellerの頭文字を集めたも
の)をこれに適用して、単分子層が完成されたときの吸
着量vmを求め、その吸着量vmから算出されるBET比
表面積値が用いられる。ただし、近似的に略同等の結果
が得られる場合は、BET式を使用しない簡便な方法、
例えば吸着曲線から単分子層吸着量vmを直読する方法
を採用してもよい。例えば、ガス圧に吸着量が略比例す
る区間が吸着曲線に現われる場合は、その区間の低圧側
の端点に対応する吸着量をvmとして読み取る方法があ
る(TheJournal of American Chemical Society、57
巻(1935年)1754頁に掲載の、BrunauerとEmet
tの論文を参照)。いずれにしろ、吸着法による比表面
積値測定においては、吸着する気体分子は二次粒子中に
も浸透して、これを構成する個々の一次粒子の表面を覆
うので、結果として比表面積値は、一次粒子の比表面
積、ひいては図11の一次粒子径dの平均値を反映した
ものとなる。
法により測定され、具体的には、粉末表面に吸着するガ
スの吸着量から比表面積値を求めることができる。一般
には、測定ガスの圧力と吸着量との関係を示す吸着曲線
を測定し、多分子吸着に関する公知のBET式(発案者
であるBrunauer、Emett、Tellerの頭文字を集めたも
の)をこれに適用して、単分子層が完成されたときの吸
着量vmを求め、その吸着量vmから算出されるBET比
表面積値が用いられる。ただし、近似的に略同等の結果
が得られる場合は、BET式を使用しない簡便な方法、
例えば吸着曲線から単分子層吸着量vmを直読する方法
を採用してもよい。例えば、ガス圧に吸着量が略比例す
る区間が吸着曲線に現われる場合は、その区間の低圧側
の端点に対応する吸着量をvmとして読み取る方法があ
る(TheJournal of American Chemical Society、57
巻(1935年)1754頁に掲載の、BrunauerとEmet
tの論文を参照)。いずれにしろ、吸着法による比表面
積値測定においては、吸着する気体分子は二次粒子中に
も浸透して、これを構成する個々の一次粒子の表面を覆
うので、結果として比表面積値は、一次粒子の比表面
積、ひいては図11の一次粒子径dの平均値を反映した
ものとなる。
【0039】以下、上記のような成形用素地粉末の調製
に好適な方法の一例について説明する。図5は成形用素
地粉末調製工程に使用される装置の一実施例である。該
装置において、熱風流通路1は縦に配置された熱風ダク
ト4を含んで形成され、その熱風ダクト4の中間には、
熱風の通過を許容し乾燥メディア2の通過は許容しない
気体流通体、例えば網や穴空き板等で構成されたメディ
ア保持部5が形成されている。そして、そのメディア保
持部5上には、アルミナ、ジルコニア、及びそれらの混
合セラミックのいずれかを主体とするセラミック球から
なる乾燥メディア2が集積され、層状の乾燥メディア集
積体3が形成されている。
に好適な方法の一例について説明する。図5は成形用素
地粉末調製工程に使用される装置の一実施例である。該
装置において、熱風流通路1は縦に配置された熱風ダク
ト4を含んで形成され、その熱風ダクト4の中間には、
熱風の通過を許容し乾燥メディア2の通過は許容しない
気体流通体、例えば網や穴空き板等で構成されたメディ
ア保持部5が形成されている。そして、そのメディア保
持部5上には、アルミナ、ジルコニア、及びそれらの混
合セラミックのいずれかを主体とするセラミック球から
なる乾燥メディア2が集積され、層状の乾燥メディア集
積体3が形成されている。
【0040】図6に示すように、乾燥メディア集積体3
に対し、熱風が熱風ダクト4内においてメディア保持部
5の下側から乾燥メディア2を躍動させつつ上側に抜け
るように流通される。他方、図5に示すように、泥漿6
は泥漿タンク20からポンプPにより汲み上げられ、該
乾燥メディア集積体3に対して上方から落下供給され
る。これにより、図7に示すように、泥漿が熱風により
乾燥されて乾燥メディア2の表面に粉末凝集層PLの形
で付着する。
に対し、熱風が熱風ダクト4内においてメディア保持部
5の下側から乾燥メディア2を躍動させつつ上側に抜け
るように流通される。他方、図5に示すように、泥漿6
は泥漿タンク20からポンプPにより汲み上げられ、該
乾燥メディア集積体3に対して上方から落下供給され
る。これにより、図7に示すように、泥漿が熱風により
乾燥されて乾燥メディア2の表面に粉末凝集層PLの形
で付着する。
【0041】そして、熱風の流通により、乾燥メディア
2は躍動・落下を繰り返して相互に打撃を加え合い、さ
らにその打撃による擦れ合いにより、粉末凝集層PLは
成形用素地粉末粒子9に粉砕される。この解砕された成
形用素地粉末粒子9は、孤立した一次粒子形態のものも
含んでいるが、多くは一次粒子が凝集した二次粒子とな
っている。該成形用素地粉末粒子9は、一定以下の粒径
のものが熱風とともに下流側に流れていく(図5)。他
方、ある程度以上に大きい解砕粒子は、熱風で飛ばされ
ずに再び乾燥メディア集積体3に落下して、メディア間
でさらに粉砕される。こうして、熱風とともに下流側に
流された成形用素地粉末粒子9は、サイクロンSを経て
回収部21に成形用素地粉末10として回収されてい
る。
2は躍動・落下を繰り返して相互に打撃を加え合い、さ
らにその打撃による擦れ合いにより、粉末凝集層PLは
成形用素地粉末粒子9に粉砕される。この解砕された成
形用素地粉末粒子9は、孤立した一次粒子形態のものも
含んでいるが、多くは一次粒子が凝集した二次粒子とな
っている。該成形用素地粉末粒子9は、一定以下の粒径
のものが熱風とともに下流側に流れていく(図5)。他
方、ある程度以上に大きい解砕粒子は、熱風で飛ばされ
ずに再び乾燥メディア集積体3に落下して、メディア間
でさらに粉砕される。こうして、熱風とともに下流側に
流された成形用素地粉末粒子9は、サイクロンSを経て
回収部21に成形用素地粉末10として回収されてい
る。
【0042】図5において、乾燥メディア2の直径は、
熱風ダクト4の流通断面積に応じて適宜設定する。該直
径が不足すると、メディア上に形成される粉末凝集層へ
の打撃力が不足し、所期の粒子径の成形用素地粉末が得
られない場合がある。他方、直径が大きくなり過ぎる
と、熱風を流通しても乾燥メディア2の躍動が起こりに
くくなるので同様に打撃力が不足し、所期の粒子径の成
形用素地粉末が得られない場合がある。なお、乾燥メデ
ィア2は、なるべく大きさの揃ったものを使用すること
が、メディア間に適度な隙間を形成して、熱風流通時の
メディアの運動を促進する上で望ましい。
熱風ダクト4の流通断面積に応じて適宜設定する。該直
径が不足すると、メディア上に形成される粉末凝集層へ
の打撃力が不足し、所期の粒子径の成形用素地粉末が得
られない場合がある。他方、直径が大きくなり過ぎる
と、熱風を流通しても乾燥メディア2の躍動が起こりに
くくなるので同様に打撃力が不足し、所期の粒子径の成
形用素地粉末が得られない場合がある。なお、乾燥メデ
ィア2は、なるべく大きさの揃ったものを使用すること
が、メディア間に適度な隙間を形成して、熱風流通時の
メディアの運動を促進する上で望ましい。
【0043】また、乾燥メディア集積体3における乾燥
メディア2の充填深さt1は、熱風の流速に応じて、メ
ディア2の流動が過不足なく生ずる範囲にて適宜設定さ
れる。充填深さt1が大きくなり過ぎると、乾燥メディ
ア2の流動が困難となり、打撃力が不足して所期の範囲
の粒子径の成形用素地粉末が得られない場合がある。ま
た、充填深さt1が小さくなり過ぎると、乾燥メディア
2が少なすぎて打撃頻度が低下し、処理能率低下につな
がる。
メディア2の充填深さt1は、熱風の流速に応じて、メ
ディア2の流動が過不足なく生ずる範囲にて適宜設定さ
れる。充填深さt1が大きくなり過ぎると、乾燥メディ
ア2の流動が困難となり、打撃力が不足して所期の範囲
の粒子径の成形用素地粉末が得られない場合がある。ま
た、充填深さt1が小さくなり過ぎると、乾燥メディア
2が少なすぎて打撃頻度が低下し、処理能率低下につな
がる。
【0044】次に、熱風の温度は、泥漿の乾燥が十分に
進み、かつ粉末に熱変質等の不具合が生じない範囲にて
適宜設定される。例えば泥漿の溶媒が水を主体とするも
のである場合、熱風温度が100℃未満であると、供給
される泥漿の乾燥が十分進まず、得られる成形用素地粉
末の水分含有量が高くなり過ぎて凝集を起こしやすくな
り、所期の粒子径の粉末が得られなくなる場合がある。
さらに、熱風の流速は、乾燥メディア3を回収部21へ
飛ばさない範囲にて適宜設定する。流速が小さくなり過
ぎると、乾燥メディア2の流動が困難となり、打撃力が
不足して所期の範囲の粒子径の成形用素地粉末が得られ
ない場合がある。また、流速が大きくなり過ぎると、乾
燥メディア2が高く舞い上がり過ぎて却って衝突頻度が
低下し、処理能率の低下につながる。
進み、かつ粉末に熱変質等の不具合が生じない範囲にて
適宜設定される。例えば泥漿の溶媒が水を主体とするも
のである場合、熱風温度が100℃未満であると、供給
される泥漿の乾燥が十分進まず、得られる成形用素地粉
末の水分含有量が高くなり過ぎて凝集を起こしやすくな
り、所期の粒子径の粉末が得られなくなる場合がある。
さらに、熱風の流速は、乾燥メディア3を回収部21へ
飛ばさない範囲にて適宜設定する。流速が小さくなり過
ぎると、乾燥メディア2の流動が困難となり、打撃力が
不足して所期の範囲の粒子径の成形用素地粉末が得られ
ない場合がある。また、流速が大きくなり過ぎると、乾
燥メディア2が高く舞い上がり過ぎて却って衝突頻度が
低下し、処理能率の低下につながる。
【0045】こうして得られた成形用素地粉末10は、
転動造粒成形法により球状に成形することができる。す
なわち、図8に示すように、成形用素地粉末10を造粒
容器132内に投入し、図9に示すように、その造粒容
器132を一定の周速にて回転駆動する。なお、造粒容
器132内の成形用素地粉末10には、例えばスプレー
噴霧等により水分Wを供給する。図10に示すように、
投入された成形用素地粉末は、回転する造粒容器内に形
成される傾斜した粉末層10kの上を転がりながら球状
に凝集して成形体80となる。転動造粒装置30、13
0の運転条件は、得られる成形体Gの相対密度が61%
以上となるように調整される。具体的には、造粒容器1
32の回転速度は10〜200rpmにて調整され、水
分供給量は、最終的に得られる成形体中の含水率が10
〜20重量%となるように調整される。図10(e)に
示すように、水分の供給により、粉末粒子間にその成分
が浸透し、成形体の高密化がさらに促進される。
転動造粒成形法により球状に成形することができる。す
なわち、図8に示すように、成形用素地粉末10を造粒
容器132内に投入し、図9に示すように、その造粒容
器132を一定の周速にて回転駆動する。なお、造粒容
器132内の成形用素地粉末10には、例えばスプレー
噴霧等により水分Wを供給する。図10に示すように、
投入された成形用素地粉末は、回転する造粒容器内に形
成される傾斜した粉末層10kの上を転がりながら球状
に凝集して成形体80となる。転動造粒装置30、13
0の運転条件は、得られる成形体Gの相対密度が61%
以上となるように調整される。具体的には、造粒容器1
32の回転速度は10〜200rpmにて調整され、水
分供給量は、最終的に得られる成形体中の含水率が10
〜20重量%となるように調整される。図10(e)に
示すように、水分の供給により、粉末粒子間にその成分
が浸透し、成形体の高密化がさらに促進される。
【0046】上記のような転動造粒の採用により、例え
ば直径が10mm程度までの高密度の球状成形体を、極
めて高能率に製造することができる。例えば得られる成
形体Gの表面積A’と重量W’との比A’/W’が35
0以上(例えば径が6.73mm以下である)の小径の
ものについては、成形体の密度を、通常のプレス法等で
は不可能な2.0〜2.5g/cm3程度のレベルも十
分に確保できる。
ば直径が10mm程度までの高密度の球状成形体を、極
めて高能率に製造することができる。例えば得られる成
形体Gの表面積A’と重量W’との比A’/W’が35
0以上(例えば径が6.73mm以下である)の小径の
ものについては、成形体の密度を、通常のプレス法等で
は不可能な2.0〜2.5g/cm3程度のレベルも十
分に確保できる。
【0047】転動造粒を行うに際しては、成形体成長を
促すため、図8に示すように、成形核体50を造粒容器
132内に投入しておくことが望ましい。こうすれば、
図10(a)に示すように、成形核体50が成形用素地
粉末層10k上を転がりながら、同図(b)に示すよう
に、該成形核体50の周囲に成形用素地粉末10が球状
に付着・凝集して球状成形体80となる(転動造粒工
程)。この成形体80を焼結することにより、セラミッ
クボールが得られる。
促すため、図8に示すように、成形核体50を造粒容器
132内に投入しておくことが望ましい。こうすれば、
図10(a)に示すように、成形核体50が成形用素地
粉末層10k上を転がりながら、同図(b)に示すよう
に、該成形核体50の周囲に成形用素地粉末10が球状
に付着・凝集して球状成形体80となる(転動造粒工
程)。この成形体80を焼結することにより、セラミッ
クボールが得られる。
【0048】成形核体50は、図13(a)に示す成形
核体50aのように、セラミック粉末を主体に構成する
こと、例えば成形用素地粉末10と類似の組成の材質に
て構成すること(ただし、成形用素地粉末の主体をなす
セラミック粉末(無機材料粉末)とは別材質のセラミッ
ク粉末を用いてもよい)が、最終的に得られるセラミッ
クボール90に対し核体が不純物源として作用しにくい
ので望ましい。しかしながら、核体成分の拡散が得られ
るセラミックボール90の表層部にまで及ぶ懸念のない
場合は、核体を、成形用素地粉末の主体をなすセラミッ
ク粉末(無機材料粉末)とは別材質のセラミック粉末に
より構成したり、あるいは、図13(d)(e)に示す
ように、金属核体50dやガラス核体50e等とするこ
とも可能である。また、焼成時に熱分解あるいは蒸発に
より消滅する材質、例えばワックスや樹脂等の高分子材
料にて核体を形成することも可能である。成形核体は、
例えば図13(b)あるいは(c)に示すように球状以
外の形状としてもよいが、(a)に示すように、球状の
ものを使用することが、得られる成形体の球形度を高め
る上で望ましいことはいうまでもない。
核体50aのように、セラミック粉末を主体に構成する
こと、例えば成形用素地粉末10と類似の組成の材質に
て構成すること(ただし、成形用素地粉末の主体をなす
セラミック粉末(無機材料粉末)とは別材質のセラミッ
ク粉末を用いてもよい)が、最終的に得られるセラミッ
クボール90に対し核体が不純物源として作用しにくい
ので望ましい。しかしながら、核体成分の拡散が得られ
るセラミックボール90の表層部にまで及ぶ懸念のない
場合は、核体を、成形用素地粉末の主体をなすセラミッ
ク粉末(無機材料粉末)とは別材質のセラミック粉末に
より構成したり、あるいは、図13(d)(e)に示す
ように、金属核体50dやガラス核体50e等とするこ
とも可能である。また、焼成時に熱分解あるいは蒸発に
より消滅する材質、例えばワックスや樹脂等の高分子材
料にて核体を形成することも可能である。成形核体は、
例えば図13(b)あるいは(c)に示すように球状以
外の形状としてもよいが、(a)に示すように、球状の
ものを使用することが、得られる成形体の球形度を高め
る上で望ましいことはいうまでもない。
【0049】成形核体の製造方法は特に限定されない
が、セラミック粉末を主体に構成する場合は、例えば図
14に示すような種々の方式を採用できる。まず、
(a)に示す方法は、セラミック粉末60を、ダイ51
a及びプレスパンチ51b,51b(もちろん他の圧縮
方法でもよい)により圧縮成形して核体50を得る方法
である。また、(b)は、粉末を溶融した熱可塑性バイ
ンダーに分散させて溶融コンパウンド63とし、これを
噴霧凝固させて球状の核体50を得る方法である。
(c)は、溶融コンパウンド63を射出金型の球状のキ
ャビティに射出して、球状の核体70を成形する方法で
ある。さらに、(e)では,溶融コンパウンド74をノ
ズルから自由落下させて表面張力により球状とし,空気
中で冷却固化させることにより核体50を得る方法であ
る。また、原料粉末とモノマー(あるいはプレポリマ
ー)及び分散溶媒からなるスラリーを、該スラリーと混
和しない液体中に液滴として分散させ、その状態でモノ
マーあるいはプレポリマーを重合させることにより球状
成形体を得、これを核体とする方法もある一方、図9に
おいて成形用素地粉末10のみを造粒容器132内に投
入して、成形体成長時よりも低速にて容器を回転させる
ことにより粉末の凝集体を生成させ、十分な量及び大き
さの凝集体が生じたら、その後容器132の回転速度を
上げて、その凝集体を核体50として利用する形で成形
体80の成長を行ってもよい。この場合は、上記のよう
に別工程にて製造した核体を、敢えて成形用素地粉末1
0とともに容器132内に投入する必要はなくなる
が、セラミック粉末を主体に構成する場合は、例えば図
14に示すような種々の方式を採用できる。まず、
(a)に示す方法は、セラミック粉末60を、ダイ51
a及びプレスパンチ51b,51b(もちろん他の圧縮
方法でもよい)により圧縮成形して核体50を得る方法
である。また、(b)は、粉末を溶融した熱可塑性バイ
ンダーに分散させて溶融コンパウンド63とし、これを
噴霧凝固させて球状の核体50を得る方法である。
(c)は、溶融コンパウンド63を射出金型の球状のキ
ャビティに射出して、球状の核体70を成形する方法で
ある。さらに、(e)では,溶融コンパウンド74をノ
ズルから自由落下させて表面張力により球状とし,空気
中で冷却固化させることにより核体50を得る方法であ
る。また、原料粉末とモノマー(あるいはプレポリマ
ー)及び分散溶媒からなるスラリーを、該スラリーと混
和しない液体中に液滴として分散させ、その状態でモノ
マーあるいはプレポリマーを重合させることにより球状
成形体を得、これを核体とする方法もある一方、図9に
おいて成形用素地粉末10のみを造粒容器132内に投
入して、成形体成長時よりも低速にて容器を回転させる
ことにより粉末の凝集体を生成させ、十分な量及び大き
さの凝集体が生じたら、その後容器132の回転速度を
上げて、その凝集体を核体50として利用する形で成形
体80の成長を行ってもよい。この場合は、上記のよう
に別工程にて製造した核体を、敢えて成形用素地粉末1
0とともに容器132内に投入する必要はなくなる
【0050】上記のようにして得られる成形核体50
は、多少の外力が作用しても崩壊せずに安定して形状を
保つことができる。その結果、図10(a)に示すよう
に成形用素地粉末層10k上で転がった際にも、自重に
よる反作用を確実に受けとめることができる。また、図
10(c)に示すように、転がった時に巻き込んだ粉末
粒子を表面にしっかりと押しつけることができるので、
粉末が適度に圧縮されて密度の高い凝集層10aを成長
できるものと考えられる。これに対し、図10(d)に
示すように、核体を使用しない場合は、核体に相当する
凝集体100は偶発的な要因でしか発生せず、しかも凝
集度が低く軟弱なため、成形用素地粉末層10k上で転
がったときに変形したり、最悪の場合は解砕されたりし
て、粉末の付着・凝集を起こさせるのに十分な力を発生
させることができないことが多い。その結果、成形体の
成長に時間がかかるうえ、仮に成長したとしてもクラッ
クや粉末粒子のブリッジングによる空隙など、欠陥の多
いものしか得られなくなってしまう場合がある。
は、多少の外力が作用しても崩壊せずに安定して形状を
保つことができる。その結果、図10(a)に示すよう
に成形用素地粉末層10k上で転がった際にも、自重に
よる反作用を確実に受けとめることができる。また、図
10(c)に示すように、転がった時に巻き込んだ粉末
粒子を表面にしっかりと押しつけることができるので、
粉末が適度に圧縮されて密度の高い凝集層10aを成長
できるものと考えられる。これに対し、図10(d)に
示すように、核体を使用しない場合は、核体に相当する
凝集体100は偶発的な要因でしか発生せず、しかも凝
集度が低く軟弱なため、成形用素地粉末層10k上で転
がったときに変形したり、最悪の場合は解砕されたりし
て、粉末の付着・凝集を起こさせるのに十分な力を発生
させることができないことが多い。その結果、成形体の
成長に時間がかかるうえ、仮に成長したとしてもクラッ
クや粉末粒子のブリッジングによる空隙など、欠陥の多
いものしか得られなくなってしまう場合がある。
【0051】なお、核体50の寸法は最小限40μm程
度(望ましくは80μm程度)確保されているのがよ
い。核体50があまりに小さすぎると、凝集層10aの
成長が不完全となる場合がある。また、核体が大きすぎ
ると、形成される凝集層の厚さが不足し、焼結体に欠陥
等が生じやすくなる場合があるので、その寸法を例えば
1mm以下に設定するのがよい。
度(望ましくは80μm程度)確保されているのがよ
い。核体50があまりに小さすぎると、凝集層10aの
成長が不完全となる場合がある。また、核体が大きすぎ
ると、形成される凝集層の厚さが不足し、焼結体に欠陥
等が生じやすくなる場合があるので、その寸法を例えば
1mm以下に設定するのがよい。
【0052】成形核体はセラミック粉末を、成形用素地
粉末のかさ密度(例えば、JIS−Z2504(197
9)に規定された見かけ密度)よりは高密度に凝集させ
た凝集体を使用することが、粉末粒子の押しつけ力を確
実に受けとめて、凝集層10aの成長を促す上で望まし
い。具体的には、成形用素地粉末のかさ密度の1.5倍
以上に凝集させたものを使用するのがよい。この場合、
成形用素地粉末層10k上での転がり衝撃により崩壊し
ない程度に凝集していれば十分である。
粉末のかさ密度(例えば、JIS−Z2504(197
9)に規定された見かけ密度)よりは高密度に凝集させ
た凝集体を使用することが、粉末粒子の押しつけ力を確
実に受けとめて、凝集層10aの成長を促す上で望まし
い。具体的には、成形用素地粉末のかさ密度の1.5倍
以上に凝集させたものを使用するのがよい。この場合、
成形用素地粉末層10k上での転がり衝撃により崩壊し
ない程度に凝集していれば十分である。
【0053】なお、より安定した成形体の成長を行うた
めには、核体50の寸法は得るべき成形体の寸法に応じ
て次のように設定することが望ましい。すなわち、図1
0(b)に示すように、成形核体50の寸法を、これと
同体積の球体の直径dcにて表す一方、(もちろん、核
体50が球状である場合には、その直径がここでいう寸
法そのものに相当する)、最終的に得られる球状成形体
の直径をdgとして、dcが、dc/dgが1/100〜1
/2を満足するように設定する。dc/dgが1/100
未満では、核体が小さすぎて凝集層10aの成長が不完
全となったり、欠陥の多いものしか得られなくなったり
する懸念が生ずる。他方、1/2を超えると、例えば核
体50の密度がそれほど高くない場合には、得られる焼
結体の強度が不足する場合がある。なお、dc/dgは、
望ましくは1/50〜1/5、より望ましくは1/20
〜1/10の範囲にて調整するのがよい。また、成形核
体の寸法dcは、成形用素地粉末の平均粒径を尺度とし
て見た場合は、その平均粒径の20〜200倍に設定す
るのがよい。また、該寸法dcの絶対値は、例えば50
〜500μmに調整するのがよい。
めには、核体50の寸法は得るべき成形体の寸法に応じ
て次のように設定することが望ましい。すなわち、図1
0(b)に示すように、成形核体50の寸法を、これと
同体積の球体の直径dcにて表す一方、(もちろん、核
体50が球状である場合には、その直径がここでいう寸
法そのものに相当する)、最終的に得られる球状成形体
の直径をdgとして、dcが、dc/dgが1/100〜1
/2を満足するように設定する。dc/dgが1/100
未満では、核体が小さすぎて凝集層10aの成長が不完
全となったり、欠陥の多いものしか得られなくなったり
する懸念が生ずる。他方、1/2を超えると、例えば核
体50の密度がそれほど高くない場合には、得られる焼
結体の強度が不足する場合がある。なお、dc/dgは、
望ましくは1/50〜1/5、より望ましくは1/20
〜1/10の範囲にて調整するのがよい。また、成形核
体の寸法dcは、成形用素地粉末の平均粒径を尺度とし
て見た場合は、その平均粒径の20〜200倍に設定す
るのがよい。また、該寸法dcの絶対値は、例えば50
〜500μmに調整するのがよい。
【0054】なお、転動造粒法以外の成形方法として
は、図15(b)に示すように、成形ダイ101のダイ
孔102に挿入される上下のプレスパンチ103、10
3の各先端面に半球状の凹部103a、103aをそれ
ぞれ形成し、両パンチ103、103間で粉末を圧縮す
ることにより、球状のセラミック成形体104を得るこ
とができる。上記のようなダイプレス法においては、プ
レスパンチ103、103のパンチ面外周縁部を平坦化
し、陶領域のプレス圧力を増加させる方法を採用するこ
とが望ましいが、この方法では、プレスパンチ103、
103に平坦化部分103b、103bに対応して、成
形体104には必然的に鍔上の不溶部分104aが形成
される。この不溶部分104aは、焼結前ないしは後に
研磨などにより除去する必要がある。また、図15
(a)のように、ペレット状に成形することもできる。
は、図15(b)に示すように、成形ダイ101のダイ
孔102に挿入される上下のプレスパンチ103、10
3の各先端面に半球状の凹部103a、103aをそれ
ぞれ形成し、両パンチ103、103間で粉末を圧縮す
ることにより、球状のセラミック成形体104を得るこ
とができる。上記のようなダイプレス法においては、プ
レスパンチ103、103のパンチ面外周縁部を平坦化
し、陶領域のプレス圧力を増加させる方法を採用するこ
とが望ましいが、この方法では、プレスパンチ103、
103に平坦化部分103b、103bに対応して、成
形体104には必然的に鍔上の不溶部分104aが形成
される。この不溶部分104aは、焼結前ないしは後に
研磨などにより除去する必要がある。また、図15
(a)のように、ペレット状に成形することもできる。
【0055】また、金型プレスのほか、冷間静水圧プレ
ス(CIP)法を採用することも可能である。具体的に
は、上記のようなダイプレス法等により球状に仮成形
し、その仮成形体をゴム製のチューブ内に封入し、これ
に油や水等の球状成形媒体により静水圧を印加して略当
方的な加圧を行う。なお、一回の冷間静水圧プレスにて
成形体の密度が十分に向上しない場合には、該冷間静水
圧プレスを繰り返し行うサイクルCIP法を採用しても
よい。
ス(CIP)法を採用することも可能である。具体的に
は、上記のようなダイプレス法等により球状に仮成形
し、その仮成形体をゴム製のチューブ内に封入し、これ
に油や水等の球状成形媒体により静水圧を印加して略当
方的な加圧を行う。なお、一回の冷間静水圧プレスにて
成形体の密度が十分に向上しない場合には、該冷間静水
圧プレスを繰り返し行うサイクルCIP法を採用しても
よい。
【0056】さらに、金型成形法以外では、成形用素地
粉末を熱可塑性バインダに分散させてスラリーとし、こ
のスラリーをノズルから自由落下させて表面張力により
球状とし、空気中で冷却・個化させる方法(例えば、特
開昭63−22137号公報に開示されている)、ある
いは、成形用素地粉末とモノマー(あるいはプレポリマ
ー)及び分散溶媒からなるスラリーを、該スラリーと混
和しない液体中に液滴として分散させ、その状態でモノ
マーあるいはプレポリマーを重合させることにより球状
成形体を得る方法(例えば、特開昭平8−52712号
公報に開示されている)等を例示することができる。
粉末を熱可塑性バインダに分散させてスラリーとし、こ
のスラリーをノズルから自由落下させて表面張力により
球状とし、空気中で冷却・個化させる方法(例えば、特
開昭63−22137号公報に開示されている)、ある
いは、成形用素地粉末とモノマー(あるいはプレポリマ
ー)及び分散溶媒からなるスラリーを、該スラリーと混
和しない液体中に液滴として分散させ、その状態でモノ
マーあるいはプレポリマーを重合させることにより球状
成形体を得る方法(例えば、特開昭平8−52712号
公報に開示されている)等を例示することができる。
【0057】上記方法によって得られた成形体を次の手
順で焼成すれば、本発明のセラミックボールを得ること
ができる。焼成は、例えば、一次焼成および二次焼成の
2段階焼成によって行うことができる。一次焼成は、窒
素を含む1〜10気圧以下の非酸化性雰囲気下にて19
00℃以下で行い、一次焼成後の焼結体密度を78%以
上、好ましくは90%以上となるように行うことが望ま
しい。一次焼成密度が78%未満では、二次焼成後にポ
ア等の欠陥が多く残りやすくなる場合がある。また、二
次焼成は、窒素を含む10〜1000気圧の非酸化性雰
囲気にて、1600〜1950℃で行うことができる
(熱間静水圧プレス法の概念も含む)。焼成の圧力が1
0気圧未満では、窒化珪素の分解が抑えられず、この圧
力が1000気圧を超える圧力であっても何ら効果に変
化はなく、また、コスト面でも不利である。また、焼成
温度が1600℃未満では、ポア等の欠陥を消滅させる
ことができず強度が低下やすくなる。ただし、上記の二
次焼成に相当する焼成条件によって十分な高密度化を図
ることができ、欠陥等も少なくできる場合には、一次焼
成を省略して一段階焼成とすることも可能である。ま
た、二次焼成を行う場合は、これを窒素を含む200気
圧以下の常圧又はガス圧により行うことで、得られる焼
結体(ベアリング素球)の表面硬さの過度の上昇を抑制
することができる。これにより、研磨等の加工をよりス
ムーズに行うことができ、ひいては真球度や直径不同な
ど、研磨後のベアリングボールの寸法精度を確保しやす
くなる。
順で焼成すれば、本発明のセラミックボールを得ること
ができる。焼成は、例えば、一次焼成および二次焼成の
2段階焼成によって行うことができる。一次焼成は、窒
素を含む1〜10気圧以下の非酸化性雰囲気下にて19
00℃以下で行い、一次焼成後の焼結体密度を78%以
上、好ましくは90%以上となるように行うことが望ま
しい。一次焼成密度が78%未満では、二次焼成後にポ
ア等の欠陥が多く残りやすくなる場合がある。また、二
次焼成は、窒素を含む10〜1000気圧の非酸化性雰
囲気にて、1600〜1950℃で行うことができる
(熱間静水圧プレス法の概念も含む)。焼成の圧力が1
0気圧未満では、窒化珪素の分解が抑えられず、この圧
力が1000気圧を超える圧力であっても何ら効果に変
化はなく、また、コスト面でも不利である。また、焼成
温度が1600℃未満では、ポア等の欠陥を消滅させる
ことができず強度が低下やすくなる。ただし、上記の二
次焼成に相当する焼成条件によって十分な高密度化を図
ることができ、欠陥等も少なくできる場合には、一次焼
成を省略して一段階焼成とすることも可能である。ま
た、二次焼成を行う場合は、これを窒素を含む200気
圧以下の常圧又はガス圧により行うことで、得られる焼
結体(ベアリング素球)の表面硬さの過度の上昇を抑制
することができる。これにより、研磨等の加工をよりス
ムーズに行うことができ、ひいては真球度や直径不同な
ど、研磨後のベアリングボールの寸法精度を確保しやす
くなる。
【0058】図16に示すように、上記のようにして得
られたセラミックボール43は、例えば金属あるいはセ
ラミック製の内輪42及び外輪41の間に組み込めば、
ラジアル型のボールベアリング40が得られる。ボール
ベアリング40の内輪42内面に軸SHを固定すれば、
セラミックボール43は、外輪41または内輪42に対
して回転又は摺動可能に保持される。
られたセラミックボール43は、例えば金属あるいはセ
ラミック製の内輪42及び外輪41の間に組み込めば、
ラジアル型のボールベアリング40が得られる。ボール
ベアリング40の内輪42内面に軸SHを固定すれば、
セラミックボール43は、外輪41または内輪42に対
して回転又は摺動可能に保持される。
【0059】図17は、上記ボールベアリングを用いた
ハードディスク装置の一構成例を示す縦断面図である。
該ハードディスク装置100は、本体ケース107の底
内面中央に、筒状の軸保持部108が垂直に立ち上がる
形態で形成され、その内側に筒状のベアリング保持ブッ
シュ112が同軸的に嵌め込まれている。ベアリング保
持ブッシュ112は、外周面にブッシュ固定用フランジ
110、138が形成され、これが軸保持部108の片
端に当接する形で軸線方向の位置決めがなされている。
また、ベアリング保持ブッシュ112の内側両端には、
それぞれ本発明のセラミックボール144を内輪140
及び外輪136の間に複数配置した、図16と同様の構
造のボールベアリング116,118が同軸的にはめ込
まれ、ベアリング保持ブッシュ112の内周面から突出
して形成されたベアリング固定フランジ132の両端部
にそれぞれ当接・位置決めされている。
ハードディスク装置の一構成例を示す縦断面図である。
該ハードディスク装置100は、本体ケース107の底
内面中央に、筒状の軸保持部108が垂直に立ち上がる
形態で形成され、その内側に筒状のベアリング保持ブッ
シュ112が同軸的に嵌め込まれている。ベアリング保
持ブッシュ112は、外周面にブッシュ固定用フランジ
110、138が形成され、これが軸保持部108の片
端に当接する形で軸線方向の位置決めがなされている。
また、ベアリング保持ブッシュ112の内側両端には、
それぞれ本発明のセラミックボール144を内輪140
及び外輪136の間に複数配置した、図16と同様の構
造のボールベアリング116,118が同軸的にはめ込
まれ、ベアリング保持ブッシュ112の内周面から突出
して形成されたベアリング固定フランジ132の両端部
にそれぞれ当接・位置決めされている。
【0060】ボールベアリング116,118の各内輪
140,140内にはディスク回転軸146が挿通固定
され、ベアリング116,118によりベアリング保持
ブッシュ112ひいては本体ケース107に対して回転
可能に支持されている。ディスク回転軸146の一端側
には扁平筒状のディスク固定部材(回転部材)152が
一体化されており、その外周縁に沿って壁部154が下
向きに伸びる形で形成されている。その壁部154の内
周面には励磁用永久磁石126が取り付けられる一方、
その内側には、ベアリング保持ブッシュ112の外周面
に固定されたコイル124が励磁用永久磁石126と対
向する形で配置されている。コイル124と励磁用永久
磁石126とはディスク回転駆動用の直流モータ122
を構成する。このモータ122は、回転軸146を出力
軸としてベアリング116,118とともに本発明のベ
アリング付きモータを構成する。その最大回転数は80
00rpm以上の高速回転であり、より大きなアクセス
速度が要求される場合には、最大回転数にて10000
rpm以上、さらには30000rpm以上にも達する
場合がある。従って、コイル124のターン数や励磁用
永久磁石126が発生する外部磁界の値、さらには定格
駆動電圧等が、ディスク回転の負荷を考慮して上記最大
回転数が実現されるように適宜設定されている。また、
ディスク固定部材152の壁部154の外周面からは、
ディスク固定用フランジ156が張り出しており、ここ
に記録用ハードディスク106の内周縁部が、押さえプ
レート121との間に挟まれる形で保持・固定されてい
る。なお、押さえプレート121を貫通する形で、固定
用ボルト151がディスク回転軸146にねじ込まれて
いる。
140,140内にはディスク回転軸146が挿通固定
され、ベアリング116,118によりベアリング保持
ブッシュ112ひいては本体ケース107に対して回転
可能に支持されている。ディスク回転軸146の一端側
には扁平筒状のディスク固定部材(回転部材)152が
一体化されており、その外周縁に沿って壁部154が下
向きに伸びる形で形成されている。その壁部154の内
周面には励磁用永久磁石126が取り付けられる一方、
その内側には、ベアリング保持ブッシュ112の外周面
に固定されたコイル124が励磁用永久磁石126と対
向する形で配置されている。コイル124と励磁用永久
磁石126とはディスク回転駆動用の直流モータ122
を構成する。このモータ122は、回転軸146を出力
軸としてベアリング116,118とともに本発明のベ
アリング付きモータを構成する。その最大回転数は80
00rpm以上の高速回転であり、より大きなアクセス
速度が要求される場合には、最大回転数にて10000
rpm以上、さらには30000rpm以上にも達する
場合がある。従って、コイル124のターン数や励磁用
永久磁石126が発生する外部磁界の値、さらには定格
駆動電圧等が、ディスク回転の負荷を考慮して上記最大
回転数が実現されるように適宜設定されている。また、
ディスク固定部材152の壁部154の外周面からは、
ディスク固定用フランジ156が張り出しており、ここ
に記録用ハードディスク106の内周縁部が、押さえプ
レート121との間に挟まれる形で保持・固定されてい
る。なお、押さえプレート121を貫通する形で、固定
用ボルト151がディスク回転軸146にねじ込まれて
いる。
【0061】コイル124への通電によりモータ122
が作動し、ディスク固定部材152をロータとして回転
駆動力を生ずる。これにより、ディスク固定部材152
に固定されたハードディスク106は、ベアリング11
6,118により支持されたディスク回転軸146の軸
線周りに回転駆動されることとなる。
が作動し、ディスク固定部材152をロータとして回転
駆動力を生ずる。これにより、ディスク固定部材152
に固定されたハードディスク106は、ベアリング11
6,118により支持されたディスク回転軸146の軸
線周りに回転駆動されることとなる。
【0062】次に、図18に、ヘッドアーム駆動部分を
含めたハードディスクドライブ装置(以下、HDDと略
記する。)の構造を示した。この構造では、ハブ401
を介して磁気ディスク402を回転自在に支持する回転
軸403と、先端に磁気ヘッド(図示せず。)を取り付
けたヘッドアーム404の回転軸405という2つの回
転軸を有し、これらの回転軸403,405は、軸方向
に間隔を開けて配置された2個1組みの、すでに説明し
たものと同じ構造の本発明のボールベアリング406,
407で支持している。そして、磁気ディスク402の
回転軸403を支持する一組の玉軸受406の内輪40
8は、回転軸403と一体に回転するように取付け、外
輪409をスピンドルモータ(回転軸403を出力軸と
し、ベアリング406とともに本発明のベアリング付き
モータを構成している)410の筒形固定子411の内
周に嵌めて固定し、深皿形回転子412の中心に回転軸
403を固定して回転軸403をスピンドルモータ41
0で回転させている。
含めたハードディスクドライブ装置(以下、HDDと略
記する。)の構造を示した。この構造では、ハブ401
を介して磁気ディスク402を回転自在に支持する回転
軸403と、先端に磁気ヘッド(図示せず。)を取り付
けたヘッドアーム404の回転軸405という2つの回
転軸を有し、これらの回転軸403,405は、軸方向
に間隔を開けて配置された2個1組みの、すでに説明し
たものと同じ構造の本発明のボールベアリング406,
407で支持している。そして、磁気ディスク402の
回転軸403を支持する一組の玉軸受406の内輪40
8は、回転軸403と一体に回転するように取付け、外
輪409をスピンドルモータ(回転軸403を出力軸と
し、ベアリング406とともに本発明のベアリング付き
モータを構成している)410の筒形固定子411の内
周に嵌めて固定し、深皿形回転子412の中心に回転軸
403を固定して回転軸403をスピンドルモータ41
0で回転させている。
【0063】このような構造によって回転自在に支持さ
れた磁気ディスク402は、スピンドルモータ410の
回転速度に応じて高速回転するが、その際に磁気記録デ
ータを読み書きする磁気ヘッドを取り付けたヘッドアー
ム404も適宜に動作する。ヘッドアーム404の末端
は回転軸405の上部で支持され、この回転軸405を
図外のVCM等からなるアクチュエータで軸周りに回転
させ、ヘッドアーム404の先端を所要角度だけ旋回さ
せて磁気ヘッドを所要位置に移動させる。このように回
転軸405の回転動作により、磁気ディスク402の記
録有効域における所要の磁気記録データの読み書きが可
能となる。
れた磁気ディスク402は、スピンドルモータ410の
回転速度に応じて高速回転するが、その際に磁気記録デ
ータを読み書きする磁気ヘッドを取り付けたヘッドアー
ム404も適宜に動作する。ヘッドアーム404の末端
は回転軸405の上部で支持され、この回転軸405を
図外のVCM等からなるアクチュエータで軸周りに回転
させ、ヘッドアーム404の先端を所要角度だけ旋回さ
せて磁気ヘッドを所要位置に移動させる。このように回
転軸405の回転動作により、磁気ディスク402の記
録有効域における所要の磁気記録データの読み書きが可
能となる。
【0064】次いで、図22は、上記ボールベアリング
を用いたポリゴンスキャナの一例を示すものである
((a)は正面図、(b)は平面図、(c)は縦断面図
である)。ポリゴンスキャナー300は写真撮影やコピ
ー等の画像処理さらにはレーザープリンタにおいて、走
査光ビームを生成するために用いられるものであり、基
体311とそれを蓋するカバー312とよりなる略円筒
状の密閉ケース313に、本発明のベアリング付きモー
タであるモータ314(ここではアウターロータ型とさ
れている)が収容され、その固定軸315の両端がそれ
ぞれ基体311及びカバー312に固定される。多角形
板状体の各側面に反射鏡が形成されてなるポリゴンミラ
ー316はこの例では正八角形板状体とされており、そ
の中央部に形成された取付孔316aにモータ314の
ロータ317が挿通され、これに一体回転可能に固定さ
れる。そして、ロータ317は、図16と同様の構造の
本発明のボールベアリング323,323を介して固定
軸315により回転可能に支持されている。モータ31
4は、最大回転数が例えば10000rpm以上ないし
30000rpm以上にて高速回転する。
を用いたポリゴンスキャナの一例を示すものである
((a)は正面図、(b)は平面図、(c)は縦断面図
である)。ポリゴンスキャナー300は写真撮影やコピ
ー等の画像処理さらにはレーザープリンタにおいて、走
査光ビームを生成するために用いられるものであり、基
体311とそれを蓋するカバー312とよりなる略円筒
状の密閉ケース313に、本発明のベアリング付きモー
タであるモータ314(ここではアウターロータ型とさ
れている)が収容され、その固定軸315の両端がそれ
ぞれ基体311及びカバー312に固定される。多角形
板状体の各側面に反射鏡が形成されてなるポリゴンミラ
ー316はこの例では正八角形板状体とされており、そ
の中央部に形成された取付孔316aにモータ314の
ロータ317が挿通され、これに一体回転可能に固定さ
れる。そして、ロータ317は、図16と同様の構造の
本発明のボールベアリング323,323を介して固定
軸315により回転可能に支持されている。モータ31
4は、最大回転数が例えば10000rpm以上ないし
30000rpm以上にて高速回転する。
【0065】基体311の側面にはポリゴンミラー31
6と対向する位置に光ビーム入出射用の窓318が設け
られており、窓318には窓ガラス319が取付けられ
ている。窓ガラス319は窓318に外側からはめ込ま
れ、一対の板ばね321によって押圧固定される。図
中、322は板ばね321の他端側を基体311に固定
するための取付けねじである。なお、基体311の内面
側には、窓ガラス319の突当て面を構成するための突
出部311aが存在している。
6と対向する位置に光ビーム入出射用の窓318が設け
られており、窓318には窓ガラス319が取付けられ
ている。窓ガラス319は窓318に外側からはめ込ま
れ、一対の板ばね321によって押圧固定される。図
中、322は板ばね321の他端側を基体311に固定
するための取付けねじである。なお、基体311の内面
側には、窓ガラス319の突当て面を構成するための突
出部311aが存在している。
【0066】モータ314の駆動により、ポリゴンミラ
ー316は固定シャフト315の軸心回りに回転し、こ
の回転するポリゴンミラー316に、レーザ光などの光
ビームが窓318を介して所定の方向から入射される。
ポリゴンミラー316の各側面の反射鏡は回転しなが
ら、順次その入射光ビームを反射し、この反射光によっ
て走査光ビームが生成され、この走査光ビームが窓31
8から出射される。
ー316は固定シャフト315の軸心回りに回転し、こ
の回転するポリゴンミラー316に、レーザ光などの光
ビームが窓318を介して所定の方向から入射される。
ポリゴンミラー316の各側面の反射鏡は回転しなが
ら、順次その入射光ビームを反射し、この反射光によっ
て走査光ビームが生成され、この走査光ビームが窓31
8から出射される。
【0067】なお、使用するセラミックは窒化珪素質セ
ラミックに限らず、例えばジルコニア質セラミック、ア
ルミナ質セラミックあるいは炭化珪素質セラミックを使
用することもできる。この場合のセラミックボールの製
造工程は、基本的には窒化珪素質セラミックの場合と同
様のものを採用できる。
ラミックに限らず、例えばジルコニア質セラミック、ア
ルミナ質セラミックあるいは炭化珪素質セラミックを使
用することもできる。この場合のセラミックボールの製
造工程は、基本的には窒化珪素質セラミックの場合と同
様のものを採用できる。
【0068】ジルコニア(酸化ジルコニウム)質セラミ
ックは、いわゆる部分安定化ジルコニアの組成を採用す
ることにより、変態応力緩和に基づくセラミックの強靭
化が可能である。ジルコニア系セラミック相の主体であ
るZrO2及びHfO2は、温度の変化に伴い結晶構造
の異なる3種類の相の間で変態を起こすことが知られて
おり、具体的には室温を含めた低温側で単斜晶系相、そ
れよりも高温側で正方晶系相、さらに高温側で立方晶系
相となる。ジルコニア系セラミック相の全体がZrO2
及びHfO2の少なくともいずれかで構成される場合
は、室温近傍においては、そのほぼすべてが単斜晶系相
になると考えられる。しかしながら、ZrO2及びHf
O2に対し安定化成分として、一定量以上のアルカリ土
類金属の酸化物あるいは希土類金属酸化物(例えばカル
シア(CaO)あるいはイットリア(Y2O3)等)を
固溶させることで、単斜晶系相と正方晶系相との間の変
態温度が下がり、室温近傍の温度域において正方晶系相
を安定化できることが知られている。
ックは、いわゆる部分安定化ジルコニアの組成を採用す
ることにより、変態応力緩和に基づくセラミックの強靭
化が可能である。ジルコニア系セラミック相の主体であ
るZrO2及びHfO2は、温度の変化に伴い結晶構造
の異なる3種類の相の間で変態を起こすことが知られて
おり、具体的には室温を含めた低温側で単斜晶系相、そ
れよりも高温側で正方晶系相、さらに高温側で立方晶系
相となる。ジルコニア系セラミック相の全体がZrO2
及びHfO2の少なくともいずれかで構成される場合
は、室温近傍においては、そのほぼすべてが単斜晶系相
になると考えられる。しかしながら、ZrO2及びHf
O2に対し安定化成分として、一定量以上のアルカリ土
類金属の酸化物あるいは希土類金属酸化物(例えばカル
シア(CaO)あるいはイットリア(Y2O3)等)を
固溶させることで、単斜晶系相と正方晶系相との間の変
態温度が下がり、室温近傍の温度域において正方晶系相
を安定化できることが知られている。
【0069】ここで、上述の正方晶系相から単斜晶系相
への相変態は、いわゆるマルテンサイト変態機構もしく
はそれに類似の相変態機構に基づくものであることが知
られており、外部から応力が付加されると変態温度が上
昇して上記正方晶系相が応力誘起変態を起こすととも
に、その応力による歪エネルギーが変態の駆動力として
消費される結果、付加された応力が緩和される。従っ
て、材料中に発生した亀裂先端部に応力が集中しても、
正方晶系相が単斜晶系相に変態することにより、応力が
緩和されて亀裂の伝播が阻止ないし緩和され、破壊靭性
値が向上する。
への相変態は、いわゆるマルテンサイト変態機構もしく
はそれに類似の相変態機構に基づくものであることが知
られており、外部から応力が付加されると変態温度が上
昇して上記正方晶系相が応力誘起変態を起こすととも
に、その応力による歪エネルギーが変態の駆動力として
消費される結果、付加された応力が緩和される。従っ
て、材料中に発生した亀裂先端部に応力が集中しても、
正方晶系相が単斜晶系相に変態することにより、応力が
緩和されて亀裂の伝播が阻止ないし緩和され、破壊靭性
値が向上する。
【0070】ジルコニア系セラミック相の安定化成分と
しては、Ca、Y、Ce及びMgの1種又は2種以上
を、CaはCaOに、YはY2O3に、CeはCeO2
に、MgはMgOにそれぞれ酸化物換算した値にて、ジ
ルコニア系セラミック相中の含有量として合計で1.4
〜4モル%の範囲にて含有されることが望ましい。安定
化成分の含有量が1.4モル未満になると、単斜晶系相
の含有比率が増大する結果、正方晶系相の含有比率が相
対的に低下して応力緩和効果が十分に得られなくなり、
耐摩耗性等の不足を招く場合がある。一方、安定化成分
の含有量が4モル%を超えると立方晶系相の含有比率が
増大し、同様に耐摩耗性が不足する場合がある。安定化
成分の含有量は、より望ましくは1.5〜4モル%、さ
らに望ましくは2〜4モル%とするのがよい。
しては、Ca、Y、Ce及びMgの1種又は2種以上
を、CaはCaOに、YはY2O3に、CeはCeO2
に、MgはMgOにそれぞれ酸化物換算した値にて、ジ
ルコニア系セラミック相中の含有量として合計で1.4
〜4モル%の範囲にて含有されることが望ましい。安定
化成分の含有量が1.4モル未満になると、単斜晶系相
の含有比率が増大する結果、正方晶系相の含有比率が相
対的に低下して応力緩和効果が十分に得られなくなり、
耐摩耗性等の不足を招く場合がある。一方、安定化成分
の含有量が4モル%を超えると立方晶系相の含有比率が
増大し、同様に耐摩耗性が不足する場合がある。安定化
成分の含有量は、より望ましくは1.5〜4モル%、さ
らに望ましくは2〜4モル%とするのがよい。
【0071】なお、正方晶系相の安定化成分としては具
体的には、Y2O3が、他の安定化成分を使用した場合
と比較して、得られるセラミック材料の強度が高く、ま
た、比較的安価であることから本発明に好適に使用され
る。一方、CaO及びMgOは、Y2O3を使用した場
合ほどではないが、得られるセラミック材料の強度が比
較的高く、またY2O3よりもさらに安価であることか
ら、同様に本発明に好適に使用される。なお、Y
2O3、CaO及びMgOはそれぞれ単独で使用して
も、2種以上のものを複合させて使用しても、いずれで
もよい。
体的には、Y2O3が、他の安定化成分を使用した場合
と比較して、得られるセラミック材料の強度が高く、ま
た、比較的安価であることから本発明に好適に使用され
る。一方、CaO及びMgOは、Y2O3を使用した場
合ほどではないが、得られるセラミック材料の強度が比
較的高く、またY2O3よりもさらに安価であることか
ら、同様に本発明に好適に使用される。なお、Y
2O3、CaO及びMgOはそれぞれ単独で使用して
も、2種以上のものを複合させて使用しても、いずれで
もよい。
【0072】なお、ジルコニア系セラミック相の主成分
(これに限らず、本明細書にて「主成分」とは、最も重
量含有比率の高い成分を意味する)であるZrO2及び
HfO2は化学的及び物理的性質が類似しているので、
いずれか単独で用いることも、両者を複合させて用いる
こともいずれでも可能である。しかしながら、ZrO 2
のほうがHfO2に比べて安価であるため、ジルコニア
系セラミック相はZrO2を主成分に構成することがよ
り望ましいといえる。なお、一般に供給されている通常
純度のZrO2原料には微量のHfO2が含有されてい
ることが多いが、そのような原料を使用する場合におい
ては前述の理由により、含有されるHfO2を積極的に
除去する必要はほとんど生じない。
(これに限らず、本明細書にて「主成分」とは、最も重
量含有比率の高い成分を意味する)であるZrO2及び
HfO2は化学的及び物理的性質が類似しているので、
いずれか単独で用いることも、両者を複合させて用いる
こともいずれでも可能である。しかしながら、ZrO 2
のほうがHfO2に比べて安価であるため、ジルコニア
系セラミック相はZrO2を主成分に構成することがよ
り望ましいといえる。なお、一般に供給されている通常
純度のZrO2原料には微量のHfO2が含有されてい
ることが多いが、そのような原料を使用する場合におい
ては前述の理由により、含有されるHfO2を積極的に
除去する必要はほとんど生じない。
【0073】またジルコニア系セラミック相は、その立
方晶系相の存在重量CWと正方晶相の存在重量TWとの
比率CW/TWが1未満であることが望ましい。立方晶
系相は、前述の安定化成分の含有量が増大して正方晶系
相との間の変態点が低下した場合、あるいは焼成温度が
1600℃を超えた場合において生成しやすく、単斜晶
系相や正方晶系相と比較して、焼成中に結晶粒の粗大化
を起こしやすい性質を有している。そして、粗大化した
立方晶系相の結晶粒は、他の結晶粒との間の界面結合力
が小さいため脱粒しやすく、前述の比率が1を超えるま
で立方晶系相の量が増えると、そのような粗大化した結
晶粒の形成量も増大する。いずれも、前記した条件の尖
鋭エッジ部を形成する際の耐チッピング性を損なうこと
につながる。それ故、比率CW/TWは1未満とするの
がよく、望ましくは0.5未満、さらに望ましくは0.
1未満とするのがよい。
方晶系相の存在重量CWと正方晶相の存在重量TWとの
比率CW/TWが1未満であることが望ましい。立方晶
系相は、前述の安定化成分の含有量が増大して正方晶系
相との間の変態点が低下した場合、あるいは焼成温度が
1600℃を超えた場合において生成しやすく、単斜晶
系相や正方晶系相と比較して、焼成中に結晶粒の粗大化
を起こしやすい性質を有している。そして、粗大化した
立方晶系相の結晶粒は、他の結晶粒との間の界面結合力
が小さいため脱粒しやすく、前述の比率が1を超えるま
で立方晶系相の量が増えると、そのような粗大化した結
晶粒の形成量も増大する。いずれも、前記した条件の尖
鋭エッジ部を形成する際の耐チッピング性を損なうこと
につながる。それ故、比率CW/TWは1未満とするの
がよく、望ましくは0.5未満、さらに望ましくは0.
1未満とするのがよい。
【0074】なお、正方晶系相と立方晶系相との存在比
率に関する情報は、以下のようにして得られる。例え
ば、セラミック材料の一部を鏡面研磨し、その研磨面に
おいてディフラクトメータ法によりX線回折を行う。こ
の場合、得られる回折パターンにおいては、正方晶系相
と立方晶系相との主要回折ピークである(11 1)強
度ピーク位置が互いに近接して現われるため、まず単斜
晶系相の(11 1)及び(1 1 -1)の合計強度Im
と、正方晶系相及び立方晶系相の(11 1)強度の和
It+Icとの比から、単斜晶系相の存在量を求める。次
に、この焼結体を機械的に粉砕して再度X線回折を行
い、単斜晶系相及び立方晶系相の(1 1 1)強度I’
m及びI’cを求める。この場合、上記粉砕に伴う機械的
応力により、焼結体の正方晶系相は単斜晶系相に変態す
ると考えられるので、I’c/(I’m+I’c)から立
方晶系相の存在量を求めることができる。こうして得ら
れるI’c/(I’m+I’c)の値が0.5以下、望ま
しくは0.1以下となっていることが、前記した条件の
尖鋭エッジ部を形成する際の耐チッピング性を向上させ
る上で望ましい。
率に関する情報は、以下のようにして得られる。例え
ば、セラミック材料の一部を鏡面研磨し、その研磨面に
おいてディフラクトメータ法によりX線回折を行う。こ
の場合、得られる回折パターンにおいては、正方晶系相
と立方晶系相との主要回折ピークである(11 1)強
度ピーク位置が互いに近接して現われるため、まず単斜
晶系相の(11 1)及び(1 1 -1)の合計強度Im
と、正方晶系相及び立方晶系相の(11 1)強度の和
It+Icとの比から、単斜晶系相の存在量を求める。次
に、この焼結体を機械的に粉砕して再度X線回折を行
い、単斜晶系相及び立方晶系相の(1 1 1)強度I’
m及びI’cを求める。この場合、上記粉砕に伴う機械的
応力により、焼結体の正方晶系相は単斜晶系相に変態す
ると考えられるので、I’c/(I’m+I’c)から立
方晶系相の存在量を求めることができる。こうして得ら
れるI’c/(I’m+I’c)の値が0.5以下、望ま
しくは0.1以下となっていることが、前記した条件の
尖鋭エッジ部を形成する際の耐チッピング性を向上させ
る上で望ましい。
【0075】次に、アルミナ質セラミックを使用する場
合は、アルミナ粉末に適当な焼結助剤粉末(例えばM
g,Ca,Si,Na等の酸化物)配合したものを、セ
ラミック基質の成形用素地粉末として使用できる。な
お、得られるセラミック基質は、上記の焼結助剤成分を
酸化物換算にて0.1〜10重量%含有し、Al2O3
換算したAl成分にて残部が構成されるアルミナ質セラ
ミック基質とするのがよい。
合は、アルミナ粉末に適当な焼結助剤粉末(例えばM
g,Ca,Si,Na等の酸化物)配合したものを、セ
ラミック基質の成形用素地粉末として使用できる。な
お、得られるセラミック基質は、上記の焼結助剤成分を
酸化物換算にて0.1〜10重量%含有し、Al2O3
換算したAl成分にて残部が構成されるアルミナ質セラ
ミック基質とするのがよい。
【0076】
【実験例】本発明の効果を調べるために以下の実験を行
った。素材粉末として、窒化珪素粉末(平均粒子径1.
0μm、BET比表面積値10m2/g)と、焼結助剤
成分として、アルミナ粉末(平均粒子径0.4μm、B
ET比表面積値10m2/g)、イットリア粉末(平均
粒子径1.5μm、BET比表面積値10m2/g)を
用意した。なお、平均粒子径はレーザー回折式粒度計
(堀場製作所(株)製、品番:LA−500)で、BE
T比表面積値はBET比表面積測定装置(ユアサアイオ
ニクス(株)製、マルチソープ12)でそれぞれ測定し
た。
った。素材粉末として、窒化珪素粉末(平均粒子径1.
0μm、BET比表面積値10m2/g)と、焼結助剤
成分として、アルミナ粉末(平均粒子径0.4μm、B
ET比表面積値10m2/g)、イットリア粉末(平均
粒子径1.5μm、BET比表面積値10m2/g)を
用意した。なお、平均粒子径はレーザー回折式粒度計
(堀場製作所(株)製、品番:LA−500)で、BE
T比表面積値はBET比表面積測定装置(ユアサアイオ
ニクス(株)製、マルチソープ12)でそれぞれ測定し
た。
【0077】上記の素材粉末を組成比が、窒化珪素粉末
が100重量部、アルミナ粉末が3重量部、イットリア
粉末が3重量部となるように配合し、その配合物100
重量部に溶媒としての純水100重量部と、適量の有機
結合剤とを加えてアトライターミルにより10時間混合
を行い、成形用素地粉末の泥漿を得た。なお、成形用素
地粉末の泥漿は、配管途中に設けた図3に示す磁選機3
03及び図4の篩304を通過させつつ循環させた。な
お、磁選機303は、内容積4700cm3であり、磁
気吸引体の寸法は直径25mm×長さ120mmで、N
d−Fe−B焼結磁石を使用することで、外周面の表面
磁束密度を11000ガウスとしたものを、泥漿供給方
向と直交する形態で計7本配置したものを使用してい
る。また、磁選機303及び篩304への泥漿供給速度
は10リットル/分とした。
が100重量部、アルミナ粉末が3重量部、イットリア
粉末が3重量部となるように配合し、その配合物100
重量部に溶媒としての純水100重量部と、適量の有機
結合剤とを加えてアトライターミルにより10時間混合
を行い、成形用素地粉末の泥漿を得た。なお、成形用素
地粉末の泥漿は、配管途中に設けた図3に示す磁選機3
03及び図4の篩304を通過させつつ循環させた。な
お、磁選機303は、内容積4700cm3であり、磁
気吸引体の寸法は直径25mm×長さ120mmで、N
d−Fe−B焼結磁石を使用することで、外周面の表面
磁束密度を11000ガウスとしたものを、泥漿供給方
向と直交する形態で計7本配置したものを使用してい
る。また、磁選機303及び篩304への泥漿供給速度
は10リットル/分とした。
【0078】上記のように精製された成形用素地粉末の
泥漿は、図5に示す装置により成形用素地粉末とした。
なお、得られた成形用素地粉末の平均粒子径は0.7μ
m、同じく90%粒子径は1.5μm、BET比表面積
値は11m2/gであった。
泥漿は、図5に示す装置により成形用素地粉末とした。
なお、得られた成形用素地粉末の平均粒子径は0.7μ
m、同じく90%粒子径は1.5μm、BET比表面積
値は11m2/gであった。
【0079】次に、この成形用素地粉末を転動造粒法に
よって球状成形体とした。得られた球状成形体は、常圧
窒素雰囲気下にて1400℃〜1750℃で3時間一次
焼成した後、50〜100atmの加圧窒素雰囲気下に
て1600℃〜1750℃で2時間二次焼成し、溝付定
盤砥石(番手:#20000)を用いて湿式精密機械研
磨してセラミックボールとした。
よって球状成形体とした。得られた球状成形体は、常圧
窒素雰囲気下にて1400℃〜1750℃で3時間一次
焼成した後、50〜100atmの加圧窒素雰囲気下に
て1600℃〜1750℃で2時間二次焼成し、溝付定
盤砥石(番手:#20000)を用いて湿式精密機械研
磨してセラミックボールとした。
【0080】また、比較例として本発明範囲外の条件に
てセラミックボールを作製した。得られたセラミックボ
ールにおいて、金属顕微鏡(倍率200倍)によって、
セラミックボールの明視野及び暗視野において表面観察
を行った。得られた観察画像を図19(表1のサンプル
No.4に対応)、図20(表1のサンプルNo.3に対
応)、及び図21(表1のサンプルNo.5に対応)に
示す。得られた観察画像において、観察された磁性介在
物及び不純物凝集体の粒子外形線から図1の方法により
磁性介在物及び不純物凝集体の寸法を求めた。
てセラミックボールを作製した。得られたセラミックボ
ールにおいて、金属顕微鏡(倍率200倍)によって、
セラミックボールの明視野及び暗視野において表面観察
を行った。得られた観察画像を図19(表1のサンプル
No.4に対応)、図20(表1のサンプルNo.3に対
応)、及び図21(表1のサンプルNo.5に対応)に
示す。得られた観察画像において、観察された磁性介在
物及び不純物凝集体の粒子外形線から図1の方法により
磁性介在物及び不純物凝集体の寸法を求めた。
【0081】また、上記セラミックボールをベアリング
ボールとして金属製の外輪と内輪との間に配置し、図1
6のようなセラミックボールベアリングを構成した。そ
して、その外輪にマイクロホン(ピックアップセンサ)
を取り付け、さらに外輪を固定し、内輪を10000r
pmにて回転させたときの音の発生の有無を測定した。
判定は、そのセンサ出力が30dBを超えた場合に異音
発生(×)、30〜25dBの場合に軽微な異音発生
(△)、25dB未満の場合に正常(○)として行っ
た。他方、各ベアリングを10000rpmにて200
0時間連続回転させることにより寿命試験を行い、回転
振動に10%以上の変動が見られるか、及び/又は試験
後にセラミックボールの外観に異常を生じたものを不可
(×)、回転振動の変動が10〜5%の範囲に収まって
いるか、及び/又は試験後にセラミックボールの外観に
極軽微なものを除いては異常が見られなかったものを可
(△)、回転振動の変動が5%未満であり、かつ試験後
にセラミックボールの外観に全く異常が見られなかった
ものを良(○)として判定した。以上の結果を表1に示
す。
ボールとして金属製の外輪と内輪との間に配置し、図1
6のようなセラミックボールベアリングを構成した。そ
して、その外輪にマイクロホン(ピックアップセンサ)
を取り付け、さらに外輪を固定し、内輪を10000r
pmにて回転させたときの音の発生の有無を測定した。
判定は、そのセンサ出力が30dBを超えた場合に異音
発生(×)、30〜25dBの場合に軽微な異音発生
(△)、25dB未満の場合に正常(○)として行っ
た。他方、各ベアリングを10000rpmにて200
0時間連続回転させることにより寿命試験を行い、回転
振動に10%以上の変動が見られるか、及び/又は試験
後にセラミックボールの外観に異常を生じたものを不可
(×)、回転振動の変動が10〜5%の範囲に収まって
いるか、及び/又は試験後にセラミックボールの外観に
極軽微なものを除いては異常が見られなかったものを可
(△)、回転振動の変動が5%未満であり、かつ試験後
にセラミックボールの外観に全く異常が見られなかった
ものを良(○)として判定した。以上の結果を表1に示
す。
【0082】
【表1】
【0083】すなわち、ボールの表面あるいは断面にお
いて観察される磁性介在物及び不純物凝集体の寸法が2
0μm以下であり、観察される欠陥の寸法が10μm以
下であるセラミックボールは、高速回転にて使用される
HDD、あるいはポリゴンスキャナ用等のベアリングボ
ールとして使用しても、異音発生がなく有効に使用でき
るとともに、長時間使用しても品質が低下しないことが
わかる。
いて観察される磁性介在物及び不純物凝集体の寸法が2
0μm以下であり、観察される欠陥の寸法が10μm以
下であるセラミックボールは、高速回転にて使用される
HDD、あるいはポリゴンスキャナ用等のベアリングボ
ールとして使用しても、異音発生がなく有効に使用でき
るとともに、長時間使用しても品質が低下しないことが
わかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】粒子の寸法の定義を説明する図。
【図2】原料流体の精製工程を示す図。
【図3】磁選機の作用を説明する図。
【図4】篩の作用を説明する図。
【図5】成形用素地粉末の製造装置の一例を概念的に示
す縦断面図。
す縦断面図。
【図6】図5の装置の作用説明図。
【図7】図6に続く作用説明図。
【図8】転動造粒の工程説明図。
【図9】図8に続く工程説明図。
【図10】転動造粒成形工程の進行過程を説明する図。
【図11】一次粒子径と二次粒子径との概念を説明する
図。
図。
【図12】相対累積度数の概念を示す説明図。
【図13】成形核体をいくつか例示して示す説明図。
【図14】成形核体の製造方法をいくつか例示して示す
説明図。
説明図。
【図15】ダイプレスによる粉末成形法をいくつか例示
して説明する断面図。
して説明する断面図。
【図16】本発明のセラミックボールを用いたボールベ
アリングの模式図。
アリングの模式図。
【図17】図16のボールベアリングを用いたコンピュ
ータ用ハードディスク装置の一例を示す縦断面図。
ータ用ハードディスク装置の一例を示す縦断面図。
【図18】ヘッド駆動機構を備えたコンピュータ用ハー
ドディスク装置の一例を示す断面図。
ドディスク装置の一例を示す断面図。
【図19】本発明範囲外のセラミックボールの表面上に
おける金属顕微鏡観察画像(A)。
おける金属顕微鏡観察画像(A)。
【図20】本発明範囲外のセラミックボールの表面上に
おける金属顕微鏡観察画像(B)。
おける金属顕微鏡観察画像(B)。
【図21】本発明範囲外のセラミックボールの表面上に
おける金属顕微鏡観察画像(C)。
おける金属顕微鏡観察画像(C)。
【図22】図16のボールベアリングを用いたポリゴン
スキャナの一例を示す縦断面図。
スキャナの一例を示す縦断面図。
43、144、413、414 セラミックボール 40、116、118、406、407 ボールベアリ
ング 122 モータ 404 ヘッドアーム 100 ハードディスク駆動機構 300 ポリゴンスキャナ 303 磁選機 201 磁気吸引体 6 原料流体 304 篩 202 磁性介在物 301 不純物凝集体
ング 122 モータ 404 ヘッドアーム 100 ハードディスク駆動機構 300 ポリゴンスキャナ 303 磁選機 201 磁気吸引体 6 原料流体 304 篩 202 磁性介在物 301 不純物凝集体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H02K 21/22 C04B 35/00 E Fターム(参考) 3J101 AA02 DA20 EA41 FA01 FA31 GA53 4G030 AA12 AA36 AA52 BA18 GA01 GA05 GA24 GA27 GA32 5D109 BB05 BB12 BB16 BB21 5H605 BB05 BB14 BB19 CC04 DD09 EA06 EB10 EB17 FF10 GG21 5H621 GA01 HH01 JK08 JK15 JK18 JK19
Claims (14)
- 【請求項1】 ボールの表面を観察面として、その観察
面上において磁性介在物が観察されないか、あるいは磁
性介在物が観察される場合において、前記観察面状に現
れた粒子外形線の内部を横切らない外接平行線に対し、
間隔最大となる外接平行線の間隔をdmaxと定義したと
き、観察される前記磁性介在物のdmax寸法が20μm
以下であることを特徴とするセラミックボール。 - 【請求項2】 ボールの表面を観察面として、その観察
面上において不純物凝集体が観察されないか、あるいは
不純物凝集体が観察される場合において、前記観察面上
に現れた粒子外形線の内部を横切らない外接平行線に対
し、間隔最大となる外接平行線の間隔をdmaxと定義し
たとき、観察される前記不純物凝集体のdmax寸法が2
0μm以下である請求項1に記載のセラミックボール。 - 【請求項3】 ボールの表面を観察面として、その観察
面上において空隙が観察されないか、あるいは空隙が観
察される場合において、前記観察面上に現れた空隙外形
線の内部を横切らない外接平行線に対し、間隔最大とな
る外接平行線の間隔をdmaxと定義したとき、観察され
る空隙のdmax寸法が10μm以下である請求項1又は
2に記載のセラミックボール。 - 【請求項4】 ベアリング転動体として、請求項1ない
し3のいずれかに記載のセラミックボールが複数個組み
込まれたことを特徴とするボールベアリング。 - 【請求項5】 ハードディスク装置のハードディスク回
転主軸部分の軸受部品又はヘッドアームの駆動回転軸の
軸受部品として使用される請求項4に記載のボールベア
リング。 - 【請求項6】 請求項4又は5に記載のボールベアリン
グを軸受け部品として用いたことを特徴とするベアリン
グ付きモータ。 - 【請求項7】 ハードディスク装置のハードディスク回
転駆動部に使用される請求項6記載のベアリング付きモ
ータ。 - 【請求項8】 ポリゴンスキャナのポリゴンミラー駆動
部に使用される請求項6記載のベアリング付きモータ。 - 【請求項9】 最大回転数が8000rpm以上の高速
回転用モータである請求項6ないし8のいずれかに記載
のベアリング付きモータ。 - 【請求項10】 請求項7又は9に記載のベアリング付
きモータと、そのベアリング付きモータにより回転駆動
されるハードディスクとを備えたことを特徴とするハー
ドディスク装置。 - 【請求項11】 請求項8又は9に記載のベアリング付
きモータと、そのベアリング付きモータにより回転駆動
されるポリゴンミラーとを備えたことを特徴とするポリ
ゴンスキャナ。 - 【請求項12】 セラミックの原料粉末を含む原料流体
を、表面の磁束密度が8000ガウス以上である磁気吸
引体を有する磁選機に少なくとも1回以上通過させるこ
とにより前記原料流体中の磁性介在物を前記吸引体に吸
着させて除去する原料流体精製工程と、前記原料流体を
球状に成形する工程と、得られた成形体を焼成する工程
と、を有することを特徴とするセラミックボールの製造
方法。 - 【請求項13】 前記磁気吸引体として、内部に希土類
永久磁石が組み込まれた永久磁石式磁気吸引体が使用さ
れている請求項12記載のセラミックボールの製造方
法。 - 【請求項14】 前記原料流体精製工程は、原料流体を
目開き25μm以下の篩に少なくとも1回以上通過させ
る分級工程を含むことを特徴とする請求項12又は13
に記載のセラミックボールの製造方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000221084A JP2002029824A (ja) | 2000-07-21 | 2000-07-21 | セラミックボール、ボールベアリング、ベアリング付きモータ、ハードディスク装置、ポリゴンスキャナ、及びセラミックボールの製造方法 |
US09/908,662 US20020039459A1 (en) | 2000-07-21 | 2001-07-20 | Ceramic ball, ball bearing, motor having bearing, hard disk drive, polygon scanner, and method for manufacturing ceramic ball |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000221084A JP2002029824A (ja) | 2000-07-21 | 2000-07-21 | セラミックボール、ボールベアリング、ベアリング付きモータ、ハードディスク装置、ポリゴンスキャナ、及びセラミックボールの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002029824A true JP2002029824A (ja) | 2002-01-29 |
Family
ID=18715569
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000221084A Pending JP2002029824A (ja) | 2000-07-21 | 2000-07-21 | セラミックボール、ボールベアリング、ベアリング付きモータ、ハードディスク装置、ポリゴンスキャナ、及びセラミックボールの製造方法 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US20020039459A1 (ja) |
JP (1) | JP2002029824A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010271045A (ja) * | 2009-05-19 | 2010-12-02 | Amatsuji Steel Ball Mfg Co Ltd | セラミックス球の外観検査装置 |
JP2018119689A (ja) * | 2018-04-25 | 2018-08-02 | 株式会社東芝 | 転がり軸受 |
JP2019138474A (ja) * | 2019-05-07 | 2019-08-22 | 株式会社東芝 | 転がり軸受 |
JP2019182694A (ja) * | 2018-04-05 | 2019-10-24 | 三菱ケミカル株式会社 | 合成シリカガラス粉 |
CN112014185A (zh) * | 2020-09-06 | 2020-12-01 | 中国科学院地球化学研究所 | 一种石英中流体包裹体的人工合成方法 |
Families Citing this family (1)
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---|---|---|---|---|
JP2004328991A (ja) * | 2003-04-09 | 2004-11-18 | Nissan Motor Co Ltd | 車両の左右輪駆動装置 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4820665A (en) * | 1986-12-16 | 1989-04-11 | Ngk Insulators, Ltd. | Ceramic sintered bodies and a process for manufacturing the same |
US6464906B1 (en) * | 1998-10-13 | 2002-10-15 | Ngk Spark Plug Co., Ltd. | Method of manufacturing spherical bodies by rotation, spherical bodies made by the method and a powder composition for use in the method |
-
2000
- 2000-07-21 JP JP2000221084A patent/JP2002029824A/ja active Pending
-
2001
- 2001-07-20 US US09/908,662 patent/US20020039459A1/en not_active Abandoned
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010271045A (ja) * | 2009-05-19 | 2010-12-02 | Amatsuji Steel Ball Mfg Co Ltd | セラミックス球の外観検査装置 |
JP2019182694A (ja) * | 2018-04-05 | 2019-10-24 | 三菱ケミカル株式会社 | 合成シリカガラス粉 |
JP2018119689A (ja) * | 2018-04-25 | 2018-08-02 | 株式会社東芝 | 転がり軸受 |
JP2019138474A (ja) * | 2019-05-07 | 2019-08-22 | 株式会社東芝 | 転がり軸受 |
CN112014185A (zh) * | 2020-09-06 | 2020-12-01 | 中国科学院地球化学研究所 | 一种石英中流体包裹体的人工合成方法 |
CN112014185B (zh) * | 2020-09-06 | 2021-06-25 | 中国科学院地球化学研究所 | 一种石英中流体包裹体的人工合成方法 |
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