JP2001294483A - ジルコニア含有セラミックボールとその製造方法、セラミックボールベアリング及びチェックバルブ - Google Patents

ジルコニア含有セラミックボールとその製造方法、セラミックボールベアリング及びチェックバルブ

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JP2001294483A JP2000111304A JP2000111304A JP2001294483A JP 2001294483 A JP2001294483 A JP 2001294483A JP 2000111304 A JP2000111304 A JP 2000111304A JP 2000111304 A JP2000111304 A JP 2000111304A JP 2001294483 A JP2001294483 A JP 2001294483A
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Tomonori Niwa
倫規 丹羽
Tetsuji Yogo
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 空隙寸法が小さく耐久性に優れたジルコニア
含有セラミックボールとその製造方法を提供する。 【解決手段】 酸化ジルコニウムを主体とするジルコニ
ア系セラミック相を10体積%以上含有するジルコニア
含有セラミック材料を構成セラミックとし、かつ、ほぼ
中心を通る研磨断面において、ボール表面から半径方向
において厚さ50μmまでの領域内にて観察される空隙
のうち、最大のものの寸法を3μm以下とする。このよ
うなセラミックボールは、転動造粒法により相対密度6
1%以上に高めた成形体を焼成することに製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セラミックボール
とその製造方法、セラミックボールベアリング及びチェ
ックバルブに関する。
【0002】
【従来の技術】セラミックボールは金属製のボールと比
較して耐摩耗性に優れていることから、ベアリングボー
ルとして使用されている。例えば特開平2000−74
069号公報には、内輪と外輪とに高炭素クロム鋼ある
いはステンレス鋼を用い、ベアリング転動体としてジル
コニアボールを使用したものが開示されている。この構
成によると、内輪/外輪とジルコニアボールとの線膨張
係数がほぼ等しいので、温度変化による予圧変化が少な
く、例えばコンピュータ用ハードディスクドライブなど
の精密機器に適用された場合でも回転精度を高く維持す
ることができる。このような、ジルコニアベアリングボ
ールは、例えば特開平11−153142号公報に開示
されているように、一軸プレスや静水圧プレス、スリッ
プキャスト法、射出成形法により成形体を作り、相対密
度が95%程度以上となるように常圧にて予備焼成し、
さらに熱間静水圧プレス(HIP)を施して製造され
る。
【0003】他方、流体の流路上に設けられて一方向の
流体の流通は許容し、逆方向の流通は阻止するチェック
バルブの分野においても、ビンや缶などに飲料を充填す
る設備や、ウォータージェットルームの緯入れ用のプラ
ンジャポンプなど、高速高頻度に作動するものについて
は、窒化珪素などのセラミックボールが弁体として使用
されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のジルコニアベア
リングボールにおいて、球状の成形体を製造する際に最
も一般的に使用されているのは、一軸プレス法である。
しかし、この方法では金型と粉末との摩擦やブリッジン
グにより、密度(すなわち空隙の分布)が不均一で、局
所的な大きな空隙が多数残留した成形体しか得られない
問題がある。この事情は、その後に冷間静水圧プレスを
行なうと多少は改善されるものの、空隙を完全に解消す
ることは極めて困難である。また、スリップキャスト法
や射出成形法による成形体は本質的に低密度であり、空
隙等がますます残留しやすい欠点がある。
【0005】なお、ジルコニア系セラミックに関する従
来の多くの公報では、HIPを施すことにより、予備焼
結体中に残留していた空隙がつぶれて消滅し、気孔寸法
の非常に小さいものが得られる旨が開示されている。例
えば、特開昭62−235255号公報は、気孔の寸法
を0.1μm以下としたジルコニア焼結体に関するもの
であるが、これらの公報技術はいずれも球状に成形する
ことを前提としておらず、当然に球状に成形して焼成し
た場合の結果については一切開示されていない(例えば
直方体や円柱状など、均一なプレス成形が比較的行ない
やすく欠陥も生じにくい成形形状が採用されたものと推
測される)。いずれにしろ、ベアリング等に使用される
ジルコニア質セラミックボールに関しては、従来の技術
では、上記のような成形方法に由来する空隙の残留が不
可避であるため、たとえHIPを行っても空隙寸法の小
さい焼結体を得ることは不可能であった。
【0006】また、ハードディスクドライブ等に使用さ
れる直径5mm以下の小径ベアリングボールの場合、従
来の成形方法では、成形体の密度はますます小さく不均
一なものとなるから、予備焼結によって相対密度を95
%以上に高めること自体が困難となり、まして98%以
上の相対密度を達成することは不可能である。これで
は、空隙寸法の小さい焼結体はなおさら得ることができ
ない。
【0007】さらに、チェックバルブ弁体用のセラミッ
クボールとしては特開2000−2350号公報に窒化
珪素の使用が開示されているが、耐摩耗性向上のため、
これをジルコニア系セラミックボールで置き換えること
も当然可能である。しかしながら、成形方法に由来する
空隙残留の問題は同様に避け難い。
【0008】本発明の課題は、従来の方法で製造された
ものよりも空隙寸法が小さく耐久性に優れたジルコニア
含有セラミックボールとその製造方法、さらにそれを用
いたセラミックボールベアリング及びチェックバルブを
提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】上記の課
題を解決するために本発明のジルコニア含有セラミック
ボールは、酸化ジルコニウムを主体とするジルコニア系
セラミック相を10体積%以上含有するジルコニア含有
セラミック材料を構成セラミックとし、かつ、ほぼ中心
を通る研磨されたボールの断面において、ボール表面か
ら半径方向において厚さ50μmまでの領域(以下、表
層部領域という)内にて観察される空隙のうち、最大の
ものの寸法(以下、最大空隙寸法という)が3μm以下
であることを特徴とする。
【0010】最大空隙寸法を3μm以下とした上記のよ
うなジルコニア含有セラミックボールは、以下のような
本発明特有の方法により、初めて製造可能となったもの
である。すなわち、該方法は、酸化ジルコニウムを主体
とするジルコニア系セラミック相の体積含有率が10体
積%以上となるように配合・調製された成形用素地粉末
を造粒容器内に入れ、該容器内にて成形用素地粉末の凝
集物を転がしながらこれを球状に成長させることによ
り、相対密度が61%以上の球状成形体を得る転動造粒
成形工程と、その球状成形体を焼成することにより、酸
化ジルコニウムを主体とするジルコニア系セラミック相
を10体積%以上含有するジルコニア含有セラミック材
料を構成セラミックとし、かつ、ほぼ中心を通る研磨断
面において、ボール表面から半径方向において厚さ50
μmまでの領域(以下、表層部領域という)内にて観察
される空隙のうち、最大のものの寸法(以下、最大空隙
寸法という)が3μm以下となるジルコニア含有セラミ
ックボールを得る焼成工程とを含むことを特徴とする。
【0011】ジルコニア含有セラミックボールを製造す
る際に、従来使用されてきた一軸プレス法や冷間静水圧
プレス法では、大きな空隙が欠陥として多数残留した成
形体しか得られないことは既に説明した。本発明者らが
鋭意検討を重ねた結果、この問題を解決するためには、
粉末成形体の密度をできるだけ高めてその不均一の幅を
小さくすることが重要であり、上記のような密度不均一
の少ない成形体を得るための具体的な条件として、成形
体を相対密度の値にて61%以上に高くすることが有効
であることを見出した。このような高密度な成形体は、
金型プレス法や冷間静水圧プレス(CIP)法では製造
が困難であるが、上記のような転動造粒法を採用すれば
容易に実現することができる。そして、このような球状
成形体を焼成することにより、従来不可能であった空隙
寸法レベル、具体的には最大空隙寸法を3μm以下とし
た上記のようなジルコニア含有セラミックボールが得ら
れることを見出し、本発明を完成するに至ったのであ
る。また、転動造粒法によれば、球状成形物を得る上で
の製造能率が高く、加えてプレス成形のように成形体に
帯状の不要部分も発生しないので、研磨代増大の問題も
回避できる利点もあわせて生ずる。
【0012】なお、本明細書において、「主成分」
(「主体」あるいは「主に」等も同義)とは、特に断り
がない限り、着目している物質において重量%含有率の
最も大きい成分を意味する。
【0013】以下、ジルコニア系セラミック相について
詳しく説明する。ジルコニア系セラミック相の主体であ
るZrO及びHfOは、温度の変化に伴い結晶構造
の異なる3種類の相の間で変態を起こすことが知られて
おり、具体的には室温を含めた低温側で単斜晶系相、そ
れよりも高温側で正方晶系相、さらに高温側で立方晶系
相となる。ジルコニア系セラミック相の全体がZrO
及びHfOの少なくともいずれかで構成される場合
は、室温近傍においては、そのほぼすべてが単斜晶系相
になると考えられる。しかしながら、ZrO及びHf
に対し安定化成分として、一定量以上のアルカリ土
類金属の酸化物あるいは希土類金属酸化物(例えばカル
シア(CaO)あるいはイットリア(Y)等)を
固溶させることで、単斜晶系相と正方晶系相との間の変
態温度が下がり、室温近傍の温度域において正方晶系相
を安定化できることが知られている。
【0014】ここで、上述の正方晶系相から単斜晶系相
への相変態は、いわゆるマルテンサイト変態機構もしく
はそれに類似の相変態機構の基づくものであることが知
られており、外部から応力が付加されると変態温度が上
昇して上記正方晶系相が応力誘起変態を起こすととも
に、その応力による歪エネルギーが変態の駆動力として
消費される結果、付加された応力が緩和されることとな
る。従って、このような正方晶系相を含有するジルコニ
ア系セラミック相粒子が、例えば分散したセラミック組
織においては、組織に破壊の原因となる亀裂が発生しよ
うとすると、亀裂先端近傍に上記ジルコニア系セラミッ
ク相粒子が存在していると、該亀裂先端部に集中する応
力によりその正方晶系相が単斜晶系相に変態する。これ
により、亀裂先端部への応力集中が緩和されて亀裂の伝
播が阻止ないし緩和される。
【0015】本発明のジルコニア含有セラミックボール
において、構成セラミック中のジルコニア系セラミック
相の含有量が10体積%未満になると、ベアリング用セ
ラミックボールやチェックバルブ用セラミックボールと
して用いた場合に、耐久性を十分に確保できなくなる。
ジルコニア系セラミック相の含有量は、より望ましく
は、60体積%以上(100体積%を含む)とするのが
よい。
【0016】また、ジルコニア含有セラミック材料の相
対密度は98%以上であることが望ましい。相対密度が
98%以下では耐久性を十分に確保できなくなる。な
お、ジルコニア系セラミック相の含有量が10体積%未
満になると、ホットプレスやHIP等の加圧焼結法を採
用しても相対密度を98%以上に高めることができない
場合があり、相対密度確保の観点においてもジルコニア
系セラミック相の含有量を上記の範囲に調整することが
望ましいといえる。
【0017】ジルコニア系セラミック相の安定化成分と
しては、Ca、Y、Ce及びMgの1種又は2種以上
を、CaはCaOに、YはYに、CeはCeO
に、MgはMgOにそれぞれ酸化物換算した値にて、ジ
ルコニア系セラミック相中の含有量として合計で1.4
〜4モル%の範囲にて含有されることが望ましい。安定
化成分の含有量が1.4モル%未満になると、単斜晶系
相の含有比率が増大する結果、正方晶系相の含有比率が
相対的に低下して前述の応力緩和効果が十分に得られな
くなり、ボールの耐久性(特に耐摩耗性)が不足する場
合がある。一方、安定化成分の含有量が4モル%を超え
ると立方晶系相の含有比率が増大し、同様に耐久性が不
足する場合がある。安定化成分の含有量は、より望まし
くは1.5〜4モル%、さらに望ましくは2〜4モル%
とするのがよい。
【0018】なお、正方晶系相の安定化成分としては具
体的には、Yが、他の安定化成分を使用した場合
に比較して、得られるセラミック材料の強度が高く、ま
た、比較的安価であることから本発明に好適に使用され
る。一方、CaO及びMgOは、Yを使用した場
合ほどではないが、得られるセラミック材料の強度が比
較的高く、またYよりもさらに安価であることか
ら、同様に本発明に好適に使用される。なお、Y
、CaO及びMgOはそれぞれ単独で使用して
も、2種以上のものを複合させて使用してもいずれでも
よい。
【0019】次に、ジルコニア系セラミック相の主成分
であるZrO及びHfOは化学的及び物理的性質が
類似しているので、いずれか単独で用いることも、両者
を複合させて用いることもいずれでも可能である。しか
しながら、ZrOのほうがHfOに比べて安価であ
るため、セラミック粒子体はZrOを主成分に構成す
ることがより望ましいといえる。なお、一般に供給され
ている通常純度のZrO原料には微量のHfOが含
有されていることが多いが、そのような原料を使用する
場合においては前述の理由により、含有されるHfO
を積極的に除去する必要はほとんど生じない。
【0020】またジルコニア系セラミック相は、その立
方晶系相の存在重量CWと正方晶相の存在重量TWとの
比率CW/TWが1未満であることが望ましい。立方晶
系相は、前述の安定化成分の含有量が増大して正方晶系
相との間の変態点が低下した場合、あるいは焼成温度が
1600℃を超えた場合において生成しやすく、単斜晶
系相や正方晶系相と比較して、焼成中に結晶粒の粗大化
を起こしやすい性質を有している。そして、粗大化した
立方晶系相の結晶粒は、他の結晶粒との間の界面結合力
が小さいため脱粒しやすく、前述の比率が1を超えるま
で立方晶系相の量が増えると、そのような粗大化した結
晶粒の形成量も増大する。いずれも、ボールの耐久性が
損なわれることにつながる。それ故、比率CW/TWは
1未満とするのがよく、望ましくは0.5未満、さらに
望ましくは0.1未満とするのがよい。
【0021】なお、正方晶系相と立方晶系相との存在比
率に関する情報は、以下のようにして得られる。例え
ば、ボールの構成セラミックの一部を鏡面研磨し、その
研磨面においてディフラクトメータ法によりX線回折を
行なう。この場合、得られる回折パターンにおいては、
正方晶系相と立方晶系相との主要回折ピークである(1
1 1)強度ピーク位置が互いに近接して現われるた
め、まず単斜晶系相の(11 1)及び(1 1 -1)の
合計強度Imと、正方晶系相及び立方晶系相の(11
1)強度の和It+Icとの比から、単斜晶系相の存在量
を求める。次に、この焼結体を機械的に粉砕して再度X
線回折を行い、単斜晶系相及び立方晶系相の(1 1
1)強度I’m及びI’cを求める。この場合、上記粉砕
に伴う機械的応力により、焼結体の正方晶系相は単斜晶
系相に変態すると考えられるので、I’c/(I’m+
I’c)から立方晶系相の存在量を求めることができ
る。こうして得られるI’c/(I’m+I’c)の値が
0.5以下、望ましくは0.1以下となっていること
が、ボールの耐久性を向上させる上で望ましい。
【0022】次に、ボールの構成セラミックは、ジルコ
ニア系セラミック相の残部をなすセラミック相(以下、
残余セラミック相ともいう)が、金属カチオン成分がH
f、Mo、Ti、Zr、Nb、W及びSiの少なくとも
いずれかである導電性無機化合物、及び/又はアルミナ
を主体に構成される、複合セラミック材料とすることが
できる。例えば残余セラミック相にアルミナを含有させ
ると、ジルコニア含有セラミック材料の強度を飛躍的に
高めることができ、ボールの耐久性を大幅に向上させる
ことができる。この場合、アルミナ複合による強度の向
上効果を十分に確保するためには、ジルコニア系セラミ
ック相の含有量を10〜80体積%とし、かつアルミナ
を主成分とする残余セラミック相の含有量を10〜80
体積%とするのがよい。
【0023】他方、導電性無機化合物を残余セラミック
相に含有させることにより、ジルコニア含有セラミック
材料に導電性を付与することができ、ボールの帯電が効
果的に防止ないし抑制される。これにより、例えば小径
ボール等において、製造中にボールが静電気により装置
(例えば容器)用に付着してスムーズな工程進行が妨げ
られたりする不具合が生じにくくなる。また、高速回転
にて使用される精密電子機器、例えばコンピュータハー
ドディスクドライブにベアリングボールとして使用され
る場合、ボールの帯電による異物の付着、ひいては異音
や振動の発生が効果的に防止ないし抑制される。例えば
このような精密電子機器にて、高速回転(例えば540
0〜15000rpm)で使用されても、長期間にわた
ってその寿命を確保することができる。
【0024】導電性無機化合物相は、カチオン成分がH
f、Mo、Ti、Zr、Nb、W及びSiの少なくとも
いずれかである導電性無機化合物とすることができる。
これらの導電性無機化合物は導電性が良好で、しかも硬
度も比較的高く耐久性に優れることから、本発明のベア
リング用セラミックボールの構成セラミックとして好適
に使用できる。導電性無機化合物は、Hf、Mo、T
i、Zr、Nb、Taの少なくともいずれかを金属カチ
オン成分とする金属窒化物、金属炭化物、金属硼化物、
金属炭窒化物、炭化タングステン及び炭化珪素の少なく
ともいずれかとすることができ、具体的には、窒化チタ
ン、炭化チタン、硼化チタン、炭化タングステン、窒化
ジルコニウム、炭窒化チタン、炭化珪素及び炭化ニオブ
等を例示できる。また、導電性無機化合物相は導電性酸
化物としてもよい。導電性酸化物としては、具体的には
酸化チタン(例えばTiО)、酸化スズ(Sn
О)、酸化銅(CuО)、酸化クロム(Cr
)、酸化ニッケル(NiO)などを使用できる。
この場合、構成セラミックの導電性の確保と強度とを両
立させるためには、ジルコニア系セラミック相の含有量
を10〜80体積%とし、かつ上記の導電性無機化合物
相の含有量を15〜70体積%とするのがよい。
【0025】以下、転動造粒成形工程の望ましい態様に
ついて説明する。転動造粒法によると、従来のプレス成
形では球形度の高い均質な成形体を得るのが困難であっ
た、直径が14mm以下、とりわけ7mm以下(例えば
2〜5mm)の小径の成形体も、高密度のものを容易に
製造することができる。これを焼成すれば、12mm以
下、とりわけ5mm以下(例えば1.5〜4mm)のジ
ルコニア含有セラミックボールを、前記した最大空隙寸
法範囲(3μm以下)を満たしつつ極めて高能率に製造
できる。
【0026】転動造粒により成形途中の成形体には、液
状成形媒体を主体とする液体を供給しつつ、これに成形
用素地粉末を付着させることにより球状成形体を得るよ
うにする手法を採用することが、成形体の一層の高密度
化を図る上で有効である。液状成形媒体は、具体的には
水あるいは水に適宜添加物を配合した水溶液などの、水
系溶媒を使用することができるが、これに限られるもの
ではなく、例えば有機溶媒を使用してもよい。該方法に
よれば、成形体の表面に存在する凹凸部分に液状成形媒
体と成形用素地粉末とが付着したときに、その液状成形
媒体の浸透圧によって粉末粒子が密に再配列しながら付
着するので、成形体の密度を上昇させることができると
考えられる。なお、このような効果を高めるには、成形
体に液状成形媒体を直接吹きかけることが望ましい。ま
た、液状成形媒体を吹きかける工程は、成形工程(例え
ば転動造粒工程)の全期間にわたって行なうようにして
もよいし、成形工程の一部期間(例えば最終段階のみ)
にのみ行なうようにしてもよい。また、液状成形媒体は
連続的に供給しても断続的に供給してもいずれでもよ
い。
【0027】なお、以下の説明において、本明細書で
は、粒子の小粒径側からの相対累積度数は、図12に示
すように、評価対象となる粒子を粒径の大小順に配列
し、その配列上にて小粒径側から粒子の度数を計数した
ときに、着目している粒径までの累積度数をNc、評価
対象となる粒子の総度数をN0として、nrc=(Nc/N
0)×100(%)にて表される相対度数nrcをいう。
そして、X%粒子径とは、前記した配列においてnrc=
X(%)に対応する粒径をいう。例えば、90%粒子径
とは、nrc=90(%)に対応する粒径をいう。
【0028】他方、結晶粒子あるいは欠陥の寸法とは、
図16に示すように、SEM等による研磨面組織上にお
いて結晶粒子あるいは欠陥に対し、それらの内部を横切
らない外接平行線を、該結晶粒子あるいは欠陥との位置
関係を変えながら各種引いたときに、その平行線の最小
間隔dmin と、最大間隔dmaxとの平均値(すなわち、
d=(dmin+dmax)/2)にて表すものとする。
【0029】さて、転動造粒法を採用する場合、成形用
素地粉末として以下のようなものを使用するとさらに効
果的である。すなわち、レーザー回折式粒度計にて測定
された平均粒子径が0.3〜2μm、同じく90%粒子
径が0.7〜3.5μm、さらにBET比表面積値が5
〜13m/gである成形用素地粉末を使用する。
【0030】レーザー回折式粒度計にて測定した平均粒
子径及び90%粒子径が上記の範囲に属し、かつBET
比表面積値が上記範囲となる成形用素地粉末を使用する
ことにより、粉末の偏り等による密度不均一や不連続境
界部などの欠陥が生じにくく、結果として焼結体の不均
一収縮による変形や、割れあるいは欠けによる不良発生
率を大幅に減少させることができる。レーザー回折式粒
度計の測定原理は公知であるが、簡単に説明すれば、試
料粉末に対しレーザー光を照射し、粉末粒子による回折
光をフォトディテクタにより検出するとともに、その検
出情報から求められる回折光の散乱角度と強度とから粒
径を知ることができる。
【0031】ここで、セラミック原料からなる成形用素
地粉末は、図11に模式的に示すように、添加された有
機結合材の働きや静電気力の作用など種々の要因によ
り、複数の一次粒子が凝集して二次粒子を形成している
ことが多い。この場合、レーザー回折式粒度計による測
定では、入射レーザー光の凝集粒子による回折挙動と孤
立した一次粒子による回折挙動とで大きな差異を生じな
いため、測定された粒径が、一次粒子単体で存在するも
のの粒径なのか、あるいはこれが凝集した二次粒子の粒
径なのかが互いに区別されない。すなわち、該方法で測
定した粒子径は、図11における二次粒子径Dを反映し
た値となる(この場合、凝集を起こしていない孤立した
一次粒子も広義の二次粒子とみなす)。また、これに基
づいて算出される平均粒子径あるいは90%粒子径と
は、いずれも二次粒子の平均粒子径あるいは90%粒子
径の値を反映したものとなる。
【0032】他方、成形用素地粉末の比表面積値は吸着
法により測定され、具体的には、粉末表面に吸着するガ
スの吸着量から比表面積値を求めることができる。一般
には、測定ガスの圧力と吸着量との関係を示す吸着曲線
を測定し、多分子吸着に関する公知のBET式(発案者
であるBrunauer、Emett、Tellerの頭文字を集めたも
の)をこれに適用して、単分子層が完成されたときの吸
着量vmを求め、その吸着量vmから算出されるBET比
表面積値が用いられる。ただし、近似的に略同等の結果
が得られる場合は、BET式を使用しない簡便な方法、
例えば吸着曲線から単分子層吸着量vmを直読する方法
を採用してもよい。例えば、ガス圧に吸着量が略比例す
る区間が吸着曲線に現われる場合は、その区間の低圧側
の端点に対応する吸着量をvmとして読み取る方法があ
る(The Journal of American Chemical Society、57
巻(1935年)1754頁に掲載の、BrunauerとEmet
tの論文を参照)。いずれにしろ、吸着法による比表面
積値測定においては、吸着する気体分子は二次粒子中に
も浸透して、これを構成する個々の一次粒子の表面を覆
うので、結果として比表面積値は、一次粒子の比表面
積、ひいては図11の一次粒子径dの平均値を反映した
ものとなる。
【0033】そして、上記の成形用素地粉末は、焼結体
の緻密化が十分に促進され、かつ欠陥が少なく十分な強
度の焼結体が得られるよう、一次粒子径を反映したBE
T比表面積値を5〜13m/gとある程度小さく設定
する。そして、重要な点は、二次粒子径を反映したレー
ザー回折式粒度計による平均粒子径あるいは90%粒子
径が、それぞれ、0.3〜2μmあるいは0.7〜3.
5μmと、スプレードライ法等により得られる成形用素
地粉末と比較して、1/10程度以下の小さな値に設定
していることである。これは、成形用素地粉末における
二次粒子としての凝集状態ひいては局所的な粒子充填の
粗密をなるべく解消することを意味し、このような粒子
径の範囲を採用することにより、最終的に得られる成形
体に粉末の偏り等が生じにくくなるのである。
【0034】なお、成形用素地粉末の上記平均粒子径が
2μmを超えるか、あるいは90%粒子径が3.5μm
を超えると、成形体に粉末の偏り等が生じやすくなり、
不均一収縮による焼結体の変形や、割れあるいは欠けと
いった不良が発生しやすくなる。他方、上記平均粒子径
が0.3μm未満、もしくは90%粒子径が0.7μm
未満の微粉末は、調製(例えば粉砕時間)に相当の長時
間を要するので、製造能力低下によるコスト高を招く。
なお、成形用素地粉末の平均粒子径は、望ましくは0.
3〜1μmとするのがよく、90%粒子径は、望ましく
は0.7〜2μmとするのがよい。
【0035】一方、成形用素地粉末のBET比表面積値
が5m/g未満になると、一次粒子径が粗大化し過ぎ
て焼結の均一性が損なわれ、得られる球状焼結体に欠陥
が発生して強度が低下する。他方、BET比表面積値が
13m/gを超える成形用素地粉末は、調製(例えば
粉砕時間)に相当の長時間を要するので、製造能力低下
によるコスト高を招く。なお、成形用素地粉末のBET
比表面積値は、望ましくは5〜10m/gとするのが
よい。
【0036】上記のような成形用素地粉末の調製工程
は、例えば、セラミック粉末と焼結助剤粉末とを溶媒と
ともに混合して泥奬を調製する泥奬調製工程と、熱風流
通路の中間に、セラミック又は金属にて粒状又は塊状に
形成された乾燥メディアの集積体を、予め定められた空
間範囲内にて流動あるいは振動可能な状態で配置し、そ
の乾燥メディア集積体に対し熱風を通じてこれを空間範
囲内で流動ないし振動させ、その流動ないし振動する乾
燥メディア集積体に対して泥奬を供給することにより、
該泥奬を乾燥メディアと混合しつつ溶媒を蒸発させる乾
燥工程と、その乾燥により得られる成形用素地粉末を熱
風とともに乾燥メディア集積体の下流側に導いてこれを
回収する回収工程とを含むものとすることができる。
【0037】上記方法では、乾燥メディアの集積体に泥
漿が供給され、該泥奬が熱風により乾燥されて粉末とな
りメディアの表面に付着して粉末凝集層を形成する。そ
して、熱風の流通により粉末凝集層が形成された乾燥メ
ディアは振動ないし流動して、相互にぶつかり合い、あ
るいは擦れ合いを起こす。このとき、メディア表面に付
着した粉末凝集層は解砕され、凝集状態が緩和されつつ
吹き飛ばされて回収される。これにより、前記した粒子
径範囲の成形用素地粉末を容易にかつ高能率で得ること
ができる。なお、乾燥メディアとしては、なるべく摩耗
しにくいセラミックメディアを使用するのがよく、例え
ばアルミナ、ジルコニア、及びそれらの混合セラミック
のいずれかを主体とするものを使用すれば、仮に摩耗し
て成形用素地粉末中に混入しても、焼結助剤成分として
機能することから混入の影響を小さくすることができ
る。
【0038】上記成形用素地粉末調製工程における乾燥
工程では、熱風流通路は縦に配置された熱風ダクトを含
んで形成することができ、その熱風ダクトの中間に熱風
の通過を許容し、乾燥メディアの通過は許容しない網等
の気体流通体で構成されたメディア保持部を形成するこ
とができる。この場合、メディア保持部上に保持された
乾燥メディア集積体に対し、泥奬を上方から落下供給す
ることができる。また、熱風は熱風ダクト内において該
乾燥メディア集積体の下側から乾燥メディアを躍動させ
つつ上側に抜けるように流通させることができ、乾燥後
の粉末は該熱風とともに該熱風ダクトを通って下流側に
配置された回収部に回収することができる。
【0039】この方式によると、下側から吹き上げられ
る熱風により乾燥メディアが吹き上げられて躍動し、さ
らに集積体上に落下させられるというサイクルが繰り返
されるので、乾燥メディア上の粉末凝集層に衝撃を効率
的かつ比較的均一に加えることができる。また、解砕さ
れた凝集粒子のうち粗大なものは熱風により吹き飛ばさ
れず、再び乾燥メディア集積体上に戻されて引き続き解
砕を受けるので、その後の成形工程で粉末偏り等の原因
となる粗大な二次粒子の発生を一層生じにくくすること
ができる。
【0040】なお、転動造粒においては、造粒容器内に
成形用素地粉末と成形核体とを投入し、造粒容器内にて
成形核体を転がしながら、該成形核体の周囲に成形用素
地粉末を球状に付着・凝集させて球状成形体を得るよう
にすることが望ましい。すなわち、造粒容器内にて、例
えば成形用素地粉末層の上で成形核体を転がしながら、
該成形核体の周囲に成形用素地粉末を球状に付着・凝集
させて球状成形体を得るようにすることで、成形核体の
周囲に成長する成形用素地粉末の凝集層の密度を格段に
高めることができる上、形成される凝集層には粉末粒子
のブリッジング等によるポアや、クラックといった欠陥
も少なくなる。なお、成形核体(あるいは成長中の成形
体)を造粒容器内で転がす方法としては、造粒容器を回
転させる方法が簡便であるが、例えば振動式バレル研磨
装置と類似の原理により、造粒容器に振動を加え、その
振動に基づいて成形核体を転がすようにしてもよい。
【0041】この場合、焼成により得られるセラミック
ボールは、略中心を通る断面において、その中心部に、
外層部と識別可能な核部が形成されたものとなる。ここ
でいう「識別可能」とは、単に視覚的に識別可能である
ことのみを意味するものではなく、核部と外層部との間
に差異を生じている特定の物性値(例えば密度や硬さな
ど)の測定により、識別を行なう場合をも含む。
【0042】こうした組織の現われる焼結体構造とする
ことで、ベアリング等の性能向上の鍵を握る表層部の欠
陥形成割合が小さく、高密度で強度の高いセラミックボ
ールが実現される。具体的には、本発明の方法により製
造された上記の球状成形体を焼成すれば、得られるセラ
ミックボールは、例えば略中心を通る断面を研磨してこ
れを拡大観察したときに、その中心部に、成形核体に由
来する核部が、高密度で欠陥の少ない凝集層に由来する
外層部との間で識別可能に形成されることとなる。
【0043】成形体の焼成方法としては、常圧焼結法、
ホットプレス法、熱間静水圧プレス(HIP)法等を採
用できる。また、常圧焼結法により予備焼成して、さら
に熱間静水圧プレスを施すなど、上記の方法のいくつか
組み合わせることも可能である。焼成温度は、1300
〜1900℃、望ましくは1400〜1600℃の範囲
で設定することができる。上記の転動造粒法により相対
密度を61%以上に高めた成形体を上記の条件で焼成す
ることにより、球状成形体であるにもかかわらず、焼結
後のボールは、その表層部領域の最大空隙寸法を3μm
以下とすることができる。また、HIP法では、焼成を
100〜2000気圧の不活性ガス雰囲気中にて行なう
ことができる。HIP法を採用すると、最大空隙寸法を
より小さい2μm以下程度、さらには1μm以下程度に
まで小さくすることができる。
【0044】また、上記の転動造粒法により相対密度を
61%以上に高めた成形体を上記の条件で焼成すること
により、焼結後のボールは、表層部領域にて観察される
寸法1μm以上の空隙の累積面積率を1%以下とするこ
とが可能となる。1μm以上の空隙の累積面積率をこの
ように小さく抑えたジルコニア含有セラミックボール
は、例えばベアリング用セラミックボールやチェックバ
ルブ用セラミックボールとして使用することで、その耐
久性を大幅に高めることができる。
【0045】以下、本発明のジルコニア含有セラミック
ボールをベアリング用セラミックボールとして用いる態
様について説明する。内輪と外輪との間に、ベアリング
転動体として本発明のジルコニア含有セラミックボール
を複数個組み込むことによりボールベアリングを構成で
きる。このようなボールベアリングは、例えば、磁気記
憶媒体であるハードディスクの回転主軸部分の軸受部品
として好適に使用できる。具体的には、上記のボールベ
アリングと、そのボールベアリングの外輪及び内輪のう
ち一方を固定側、他方を回転側として、その回転側とな
る部材(以下、回転部材という)を回転駆動する駆動部
と、回転部材と一体的に回転するハードディスクとを備
えたハードディスク駆動機構を構成できる。特に、小型
ハードディスク駆動機構に使用される直径5mm以下
(例えば1.5〜4mm)のベアリングボールでも、転
動造粒法を用いることで成形体の相対密度を61%以上
に高めることが可能となり、このような小径のボールに
おいては従来不可能であった最大空隙寸法3μm以下あ
るいは1μm以下のレベルを問題なく達成できる。これ
により、ベアリングボールの寿命が向上することはもち
ろん、このような空隙がボール表面に露出して開気孔と
なった場合に、ベアリングとしての使用時に発生する異
音や振動等も効果的に防止することができる。
【0046】内輪と外輪とは、例えば高炭素クロム軸受
鋼(例えばJISに規定されたSUJ1、SUJ2ある
いはSUJ3など)や、マルテンサイト系ステンレス鋼
(例えばSUS440など)など、Ni含有量が3重量
%以下(0重量%を含む)の鋼材で構成できる。この場
合、ジルコニア含有セラミックボールをベアリングボー
ル(転動体)として採用する際に、そのジルコニア含有
セラミック(構成セラミック)の20〜100℃の平均
熱膨張係数が6〜9(×10−6/℃)となるように、
その組成を調整しておくことが望ましい。このようにす
ると、内輪あるいは外輪を構成する上記のような鋼材の
線膨張係数がおおむね8(×10−6/℃)前後であ
り、ベアリングボールの構成セラミックの線膨張係数を
これに近づけることができる。特に高速回転でベアリン
グが使用される場合、摺動により自己発熱などによりベ
アリングの温度は最高80℃前後まで上昇する。このと
き、もしボールの構成セラミックと内輪あるいは外輪を
構成する鋼材との熱膨張係数の差が大きいと、ボールと
内/外輪とのクリアランスが大きくなって、ベアリング
の回転精度が損なわれてしまう問題を生ずる。しかしな
がら、ベアリングの構成セラミックの熱膨張係数を上記
のように調整することで、このような不具合を効果的に
防止することができる。
【0047】本発明のジルコニア含有セラミックボール
をベアリング用セラミックボールとして使用する場合
は、表面を真球度が0.08μm以下となるように研磨
した研磨面とすることが望ましい。また、研磨面の算術
平均粗さRaが0.012μm以下であることが望まし
い。また、研磨面において観察される寸法1μm以上の
開気孔(空隙)の累積面積率は1%以下であること、あ
るいは開気孔の1mm 当たりの平均存在個数が500
個以下であることが望ましい。
【0048】なお、本明細書において算術平均粗さRa
は、JIS−B0601(1994)に規定された方法
により測定された算術平均粗さをいう。この規定によれ
ば、算術平均粗さRaが0.012μm以下の範囲にあ
るとき、カットオフ値は0.08mm、評価長さは0.
4mmが標準値となる。研磨面にて観察される開気孔の
寸法の定義は、前述の表層部領域の空隙寸法と同じであ
る。
【0049】ベアリング用セラミックボールにおいて
は、その真球度を0.08μm以下に確保しつつ、さら
に、研磨面において観察される寸法1μm以上の開気孔
の累積面積率を1%以下に留めること、あるいは該欠陥
の1mm当たりの平均存在個数を500個以下に留め
ることにより、例えばコンピュータハードディスクドラ
イブ等の精密電子機器にて使用した場合に、高速回転
(例えば5400〜15000rpm)で使用されて
も、音や振動の発生が極めて効果的に防止ないし抑制さ
れ、長期間にわたってその寿命を確保することができ
る。また、研磨面の算術平均粗さRaを0.012μm
以下の範囲に確保することで、前述の真球度あるいは欠
陥の累積面積率及び/又は平均存在個数の値とも相俟っ
て、前述の振動や異音発生の不具合を一層効果的に防止
することができる。
【0050】真球度が0.08μmを超えるかあるいは
研磨面の算術平均粗さRaが0.012μmを超えた場
合には、ボールベアリングにセラミックボールを組み込
んで使用した場合に、振動や異音が生じやすくなる。真
球度は、より望ましくは0.03μm以下であるのがよ
く、研磨面の算術平均粗さRaは、より望ましくは0.
01μm以下であるのがよい。なお、真球度と同様の理
由により、ボールの直径不同の値は0.10μm以下、
望ましくは0.07μm以下となっていることが望まし
い。
【0051】また、研磨面において観察される寸法1μ
m以上の欠陥の累積面積率が1%を超えるか、又はその
1mm当たりの平均存在個数が500個を超えると、
たとえ研磨面の表面粗さRaが0.012μm以下に確
保されていても、ボールベアリングにセラミックボール
を組み込んで使用した場合に、振動や異音が生じやすく
なる。
【0052】次に、本発明のジルコニア含有セラミック
ボールを用いてチェックバルブを構成することもでき
る。具体的には、流体通路が形成されたバルブ本体と、
その流体通路内において、流体の一方向の流動を許容し
逆方向の流動を阻止するように配置されたボールとを備
え、該ボールが、上記の本発明のジルコニア含有セラミ
ックボールとして構成される。転動造粒法の採用により
実現される最大空隙寸法が3μm以下のジルコニア含有
セラミックボールを使用することで、ボールの耐久性が
向上し、ひいては長寿命のチェックバルブが実現され
る。
【0053】チェックバルブ用のセラミックボールの場
合も、従来の方法では最大空隙寸法の縮小が困難であっ
た、ボール径が12mm以下、あるいはさらに小径の5
mm以下の場合に、本発明の効果が一層顕著に発揮され
る。
【0054】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、ま
ず、ベアリング用セラミックボールとしての適用を図る
場合を例にとって説明する。まず、ボールの原料となる
のは、CaO、YあるいはMgO等からなる安定
化成分(例えばY)を、1.4〜4モル%の範囲
にて含有するジルコニア粉末である。なお、始めからジ
ルコニア中に安定化成分を固溶させた固溶粉末を用いて
も、あるいは安定化成分を含有させないジルコニア粉末
に、安定化成分の粉末を混合した混合粉末を用いてもい
ずれでもよい。後者の場合、焼成時にジルコニア中に安
定化成分が拡散してジルコニア系セラミック相を形成す
ることとなる。
【0055】以下、成形用素地粉末の調製方法と成形方
法との一例について説明するが、前述の通りこれに限ら
れるものではない。図8は成形用素地粉末調製工程に使
用される装置の一実施例である。該装置において、熱風
流通路1は縦に配置された熱風ダクト4を含んで形成さ
れ、その熱風ダクト4の中間には、熱風の通過を許容し
乾燥メディア2の通過は許容しない気体流通体、例えば
網や穴開き板等で構成されたメディア保持部5が形成さ
れている。そして、そのメディア保持部5上には、アル
ミナ、ジルコニア、及びそれらの混合セラミックのいず
れかを主体とするセラミック球からなる乾燥メディア2
が集積され、層状の乾燥メディア集積体3が形成されて
いる。
【0056】他方、原料は、ジルコニア粉末に、水系溶
媒を加えてボールミルやアトライターにより湿式混合
(あるいは湿式混合・粉砕)して得られる泥漿の形で準
備される。この場合、その一次粒子の大きさは、BET
比表面積値が5〜13m/gとなるように調整され
る。
【0057】図9に示すように、乾燥メディア集積体3
に対し、熱風が熱風ダクト4内においてメディア保持部
5の下側から乾燥メディア2を躍動させつつ上側に抜け
るように流通される。他方、図8に示すように、泥漿6
は泥漿タンク20からポンプPにより汲み上げられ、該
乾燥メディア集積体3に対して上方から落下供給され
る。これにより、図10に示すように、泥漿が熱風によ
り乾燥されて乾燥メディア2の表面に粉末凝集層PLの
形で付着する。
【0058】そして、熱風の流通により、乾燥メディア
2は躍動・落下を繰り返して相互に打撃を加え合い、さ
らにその打撃による擦れ合いにより、粉末凝集層PLは
成形用素地粉末粒子9に粉砕される。この解砕された成
形用素地粉末粒子9は、孤立した一次粒子形態のものも
含んでいるが、多くは一次粒子が凝集した二次粒子とな
っている。該成形用素地粉末粒子9は、一定以下の粒径
のものが熱風とともに下流側に流れていく(図8)。他
方、ある程度以上に大きい解砕粒子は、熱風で飛ばされ
ずに再び乾燥メディア集積体3に落下して、メディア間
でさらに粉砕される。
【0059】こうして、熱風とともに下流側に流された
成形用素地粉末粒子9は、サイクロンSを経て回収部2
1に成形用素地粉末10として回収されている。回収さ
れる成形用素地粉末10は、レーザー回折式粒度計にて
測定された平均粒子径が0.3〜2μm、同じく90%
粒子径が0.7〜3.5μm、さらにBET比表面積値
が5〜13m/gのものとされる。
【0060】図8において、乾燥メディア2の直径は、
熱風ダクト4の流通断面積に応じて適宜設定する。該直
径が不足すると、メディア上に形成される粉末凝集層へ
の打撃力が不足し、所期の粒子径の成形用素地粉末が得
られない場合がある。他方、直径が大きくなり過ぎる
と、熱風を流通しても乾燥メディア2の躍動が起こりに
くくなるので同様に打撃力が不足し、所期の粒子径の成
形用素地粉末が得られない場合がある。なお、乾燥メデ
ィア2は、なるべく大きさの揃ったものを使用すること
が、メディア間に適度な隙間を形成して、熱風流通時の
メディアの運動を促進する上で望ましい。
【0061】また、乾燥メディア集積体3における乾燥
メディア2の充填深さt1は、熱風の流速に応じて、メ
ディア2の流動が過不足なく生ずる範囲にて適宜設定さ
れる。充填深さt1が大きくなり過ぎると、乾燥メディ
ア2の流動が困難となり、打撃力が不足して所期の粒子
径の成形用素地粉末が得られない場合がある。また、充
填深さt1が小さくなり過ぎると、乾燥メディア2が少
なすぎて打撃頻度が低下し、処理能率低下につながる。
【0062】次に、熱風の温度は、泥漿の乾燥が十分に
進み、かつ粉末に熱変質等の不具合が生じない範囲にて
適宜設定される。例えば泥漿の溶媒が水を主体とするも
のである場合、熱風温度が100℃未満になると、供給
される泥漿の乾燥が十分進まず、得られる成形用素地粉
末の水分含有量が高くなり過ぎて凝集を起こしやすくな
り、所期の粒子径の粉末が得られなくなる場合がある。
【0063】さらに、熱風の流速は、乾燥メディア3を
回収部21へ飛ばさない範囲にて適宜設定する。流速が
小さくなり過ぎると、乾燥メディア2の流動が困難とな
り、打撃力が不足して所期の粒子径の成形用素地粉末が
得られない場合がある。また、流速が大きくなり過ぎる
と、乾燥メディア2が高く舞い上がり過ぎて却って衝突
頻度が低下し、処理能率の低下につながる。
【0064】こうして得られた成形用素地粉末10は、
転動造粒成形法により球状に成形することができる。す
なわち、図1に示すように、成形用素地粉末10を造粒
容器132内に投入し、図2に示すように、その造粒容
器132を一定の周速にて回転駆動する。なお、造粒容
器132内の成形用素地粉末10には、例えばスプレー
噴霧等により水分Wを供給する。図5に示すように、投
入された成形用素地粉末は、回転する造粒容器内に形成
される傾斜した粉末層10kの上を転がりながら球状に
凝集して成形体80となる。転動造粒装置30の運転条
件は、得られる成形体Gの相対密度が61%以上となる
ように調整される。具体的には、造粒容器132の回転
速度は10〜200rpmにて調整され、水分供給量
は、最終的に得られる成形体中の含水率が10〜20重
量%となるように調整される。前記した種類の焼結助剤
粉末を1〜10重量%の範囲内にて配合した成形用素地
粉末を使用すれば、上記の条件により、成形体の相対密
度を61%以上に確保できる。
【0065】転動造粒を行なうに際しては、成形体成長
を促すため、図1に示すように、成形核体50を造粒容
器132内に投入しておくことが望ましい。こうすれ
ば、図5(a)に示すように、成形核体50が成形用素
地粉末層10k上を転がりながら、同図(b)に示すよ
うに、該成形核体50の周囲に成形用素地粉末10が球
状に付着・凝集して球状成形体80となる(転動造粒工
程)。この成形体80を焼結することにより、図6に示
すように、ベアリング素球90が得られる。
【0066】成形核体50は、図3(a)に示す成形核
体50aのように、セラミック粉末を主体に構成するこ
と、例えば成形用素地粉末10と類似の組成の材質にて
構成すること(ただし、成形用素地粉末の主体をなすセ
ラミック粉末(無機材料粉末)とは別材質のセラミック
粉末を用いてもよい)が、最終的に得られるセラミック
ボール90に対し核体が不純物源として作用しにくいの
で望ましい。しかしながら、核体成分の拡散が得られる
セラミックボール90の表層部にまで及ぶ懸念のない場
合は、核体を、成形用素地粉末の主体をなすセラミック
粉末(無機材料粉末)とは別材質のセラミック粉末によ
り構成したり、あるいは、図3(d)(e)に示すよう
に、金属核体50dやガラス核体50e等としたりする
ことも可能である。また、焼成時に熱分解あるいは蒸発
により消滅する材質、例えばワックスや樹脂等の高分子
材料にて核体を形成することも可能である。成形核体
は、例えば図3(b)あるいは(c)に示すように球状
以外の形状としてもよいが、(a)に示すように、球状
のものを使用することが、得られる成形体の球形度を高
める上で望ましいことはいうまでもない。
【0067】成形核体の製造方法は特に限定されない
が、セラミック粉末を主体に構成する場合は、例えば図
4に示すような種々の方式を採用できる。まず、(a)
に示す方法は、セラミック粉末60を、ダイ51a及び
プレスパンチ51b,51b(もちろん他の圧縮方法で
もよい)により圧縮成形して核体50を得る方法であ
る。また、(b)は、粉末を溶融した熱可塑性バインダ
ーに分散させて溶融コンパウンド63とし、これを噴霧
凝固させて球状の核体50を得る方法である。(c)
は、溶融コンパウンド63を射出金型の球状のキャビテ
ィに射出して、球状の核体50を成形する方法である。
さらに、(e)では,溶融コンパウンド63をノズルか
ら自由落下させて表面張力により球状とし,空気中で冷
却固化させることにより核体50を得る方法である。ま
た、原料粉末とモノマー(あるいはプレポリマー)及び
分散溶媒からなるスラリーを、該スラリーと混和しない
液体中に液滴として分散させ、その状態でモノマーある
いはプレポリマーを重合させることにより球状成形体を
得、これを核体とする方法もある一方、図2において成
形用素地粉末10のみを造粒容器132内に投入して、
成形体成長時よりも低速にて容器を回転させることによ
り粉末の凝集体を生成させ、十分な量及び大きさの凝集
体が生じたら、その後容器132の回転速度を上げて、
その凝集体を核体50として利用する形で成形体80の
成長を行ってもよい。この場合は、上記のように別工程
にて製造した核体を、敢えて成形用素地粉末10ととも
に容器132内に投入する必要はなくなる
【0068】前記のようにして得られる成形核体50
は、多少の外力が作用しても崩壊せずに安定して形状を
保つことができる。その結果、図5(a)に示すように
成形用素地粉末層10k上で転がった際にも、自重によ
る反作用を確実に受けとめることができる。また、図5
(e)に示すように、転がった時に巻き込んだ粉末粒子
を表面にしっかりと押しつけることができるので、粉末
が適度に圧縮されて密度の高い凝集層10aを成長でき
るものと考えられる。なお、核体を使用せずに転動造粒
を行なうことも可能である。この場合、図5(d)に示
すように、核体に相当する凝集体100は、成形初期の
段階においては凝集度がやや低く軟弱なため、欠陥発生
等につながらないように、容器の回転速度を多少落とす
ことが得策である。
【0069】なお、核体50の寸法は最小限40μm程
度(望ましくは80μm程度)確保されているのがよ
い。核体50があまりに小さすぎると、凝集層10aの
成長が不完全となる場合がある。また、核体が大きすぎ
ると、形成される凝集層の厚さが不足し、焼結体に欠陥
等が生じやすくなる場合があるので、その寸法を例えば
1mm以下に設定するのがよい。
【0070】成形核体はセラミック粉末を、成形用素地
粉末のかさ密度(例えば、JIS−Z2504(197
9)に規定された見かけ密度)よりは高密度に凝集させ
た凝集体を使用することが、粉末粒子の押しつけ力を確
実に受けとめて、凝集層10aの成長を促す上で望まし
い。具体的には、成形用素地粉末のかさ密度の1.5倍
以上に凝集させたものを使用するのがよい。この場合、
成形用素地粉末層10k上での転がり衝撃により崩壊し
ない程度に凝集していれば十分である。
【0071】なお、より安定した成形体の成長を行なう
ためには、核体50の寸法は得るべき成形体の寸法に応
じて次のように設定することが望ましい。すなわち、図
5(b)に示すように、成形核体50の寸法を、これと
同体積の球体の直径dcにて表す一方、(もちろん、核
体50が球状である場合には、その直径がここでいう寸
法そのものに相当する)、最終的に得られる球状成形体
の直径をdgとして、dcが、dc/dgが1/100〜1
/2を満足するように設定する。dc/dgが1/100
未満では、核体が小さすぎて凝集層10aの成長が不完
全となったり、欠陥の多いものしか得られなくなったり
する懸念が生ずる。他方、1/2を超えると、例えば核
体50の密度がそれほど高くない場合には、得られる焼
結体の強度が不足する場合がある。なお、dc/dgは、
望ましくは1/50〜1/5、より望ましくは1/20
〜1/10の範囲にて調整するのがよい。また、成形核
体の寸法dcは、成形用素地粉末の平均粒径を尺度とし
て見た場合は、その平均粒径の20〜200倍に設定す
るのがよい。また、該寸法dcの絶対値は、例えば50
〜500μmに調整するのがよい。
【0072】例えば、成形体80を後述の方法により焼
成すればセラミック素球(以下、単に素球ともいう)を
得ることができる。ジルコニア系セラミックの焼成は従
来HIPで行われることも多かったが、転動造粒法で製
造した成形体は相対密度が61%以上に高められ、かつ
均一に粉末が付着・凝集していることから、局所的に大
きな空隙等が極めて生じにくく、常圧焼結を用いても十
分な高密度化を計ることができる。この場合、常圧焼結
の雰囲気としては大気、真空あるいは不活性ガス雰囲気
を用いることができ、焼成温度は1300〜1900
℃、望ましくは1400〜1600℃の範囲で設定す
る。しかし、HIP法を用いることももちろん可能であ
り、この場合は焼成を1000〜2000気圧の不活性
ガス雰囲気中にて、温度1400〜1600℃、望まし
くは1500〜1600℃の範囲で行なうことができ
る。この場合、常圧焼結により相対密度を95%以上に
高めた予備成形体を作り、さらにHIPを行なう二段焼
成を行なうことが、高密度化及び最大空隙寸法の縮小を
図る上で有効である。
【0073】焼結により得られた素球は、前述の転動造
粒法により製造した成形体を用いることで、ボールの中
心を通る研磨断面においてボール表面から半径方向に厚
さ50μmまでの表層部領域に形成される最大の空隙の
寸法が、常圧焼結で3μm以下、HIPを用いればさら
に縮小して1μm以下とすることができる。また、高密
度の成形体を用いることで焼結体の緻密化が顕著に進
み、球表層部にも空隙等の欠陥が残留しにくくなる。こ
の素球に、寸法調整のための粗研磨を経た後に、固定砥
粒を用いて精密研磨することにより、本発明のセラミッ
クボールが得られる。該セラミックボールは、その研磨
面にて観察される寸法1μm以上の欠陥の累積面積率は
1%以下、同じく1mm当りの欠陥の平均形成個数は
500個以下とすることができる。また、研磨面の算術
平均粗さRaを0.012μm以下とすることができ、
その真球度は0.08μm以下に確保できる。さらに、
直径不同は0.10μm以下に確保することが可能であ
る。
【0074】なお、転動造粒法により得られた球状成形
体80を焼成して得られる素球90は、図6に示すよう
に、略中心を通る断面を研磨してこれを拡大観察したと
きに、その中心部に、成形核体に由来する核部91が、
凝集層に由来する高密度で欠陥の少ない外層部92との
間で識別可能に形成されることとなる。研磨された断面
において、この核部91は、外側部との間に明るさ及び
色調の少なくともいずれかにおいて目視識別可能なコン
トラストを呈することが多い。これは、外層部92を構
成するセラミックの密度ρeが、核部91を構成するセ
ラミックの密度ρcと異なるためであると推測される。
例えば、成形核体50(図5)が凝集層10aよりも低
密度の場合は、外層部92を構成するセラミックの密度
ρeが、核部91を構成するセラミックの密度ρcよりも
高密度となることが多く、外層部92は核部91よりも
明るい色調で表れる。なお、外層部92の相対密度は、
セラミックの強度や耐久性確保の観点から、99%以
上、望ましくは99.5%以上となっているのがよい。
いずれにせよ、研磨断面に上記のような組織の現われる
焼結体構造とすることで、ベアリング等の性能向上の鍵
を握る外層部92の欠陥形成割合が小さく(例えば、ポ
アが確認されない程度)、高密度で強度の高い球状セラ
ミック焼結体が実現される。ただし、焼結体は、焼成が
均一に進行した場合には、表層部から中心部半径方向に
おいて、ほぼ一様な密度を呈するものとなる場合もあ
る。また、核部と外層部との間に色調や明度の差異が生
じていても、密度の上ではほとんど差を生じていない、
といったこともあり得る。さらに、焼結がさらに均一に
進行した場合には、核部91あるいは外層部92におけ
る同心的なコントラストを目視により確認することが困
難な場合もある。
【0075】なお、図5(b)に示すように、成形核体
50の直径をdc、焼成により得られた素球の直径をdg
として、dc/dgが1/100〜1/2(望ましくは1
/50〜1/5、より望ましくは1/20〜1/5)の
範囲にて調整される場合、図6において焼結体90の断
面は、核部91(核体として、焼成時に熱分解あるいは
蒸発により消滅する材質、例えばワックスや樹脂、高分
子材料にて構成されたものを使用した場合には、核部9
1は空隙部となる)の寸法をこれと同面積の円の直径D
cにて表す一方、セラミック焼結体の直径をDgとしたと
きに、Dc/Dgが1/100〜1/2(望ましくは1/
50〜1/5、より望ましくは1/20〜1/10)を
満足する組織を呈するようになる。Dc/Dgが1/50
未満では、外層部92のもととなる凝集層10a(図1
1)に欠陥が生じやすくなり、強度不足等につながる場
合がある。他方、1/5を超えると、例えば核体50の
密度がそれほど高くない場合には、焼結体の強度が不足
する場合がある。なお、Dc/Dgは、より望ましくは1
/20〜1/10の範囲にて調整するのがよい。
【0076】素球90において核部91と外層部92と
の間に目視識別可能なコントラストが生ずる状態とし
て、例えば、明るさあるいは色調の差異が球の半径方向
に形成され、周方向には形成されていない状態を例示で
きる。具体的な態様として、研磨された断面において外
側部に、核部91を取り囲む層状パターンが同心的に形
成されている場合がある。これは、転動造粒法を採用し
た場合に見られる特徴的な組織(当然に、研磨後のセラ
ミックボールにも引き継がれる)の一つであるが、形成
原因は以下のように推測できる。すなわち、図5(a)
に示すように成形体80は、成形用素地粉末層10k上
を転がりながら凝集層10aを成長させてゆくが、転動
造粒の継続中において、成形体80は常に成形用素地粉
末層10k上に存在するのではない。すなわち、図7に
示すように、造粒容器132の回転に伴う粉末の雪崩的
な流動により、成形用素地粉末層10kの下側までくる
と成形用素地粉末層10k内に潜り込み、造粒容器の壁
面に連れ上げられて成形用素地粉末層10kの上側へ運
ばれ、再び成形用素地粉末層10k上で転がり落ちる。
成形用素地粉末層10k内へ潜り込んだときは、周囲を
粉末にて押さえ込まれ、転がり落下による衝撃が比較的
加わりにくくなって、粉末粒子は比較的ゆるく付着す
る。これに対し、成形用素地粉末層10k上で転がる際
には、転がり落下による衝撃が加わるほか、水分等の液
状噴霧媒体Wの噴霧も受けやすく、粉末は堅く締まり易
くなる。そして、成形用素地粉末層10k上での転がり
と、成形用素地粉末層10k内への潜り込みとが周期的
に繰り返されることにより粉末の付着形態も周期的に変
化するので、付着する粒子による凝集層10aには半径
方向の疏密が生じ、これが焼成後にも微妙な密度等の差
となって表れる結果、層状パターン93が形成されるも
のと考えられる(疏密の差異が非常に小さい場合は、実
際に粗密が生じていることを、通常の密度測定の精度レ
ベルでは確認できないこともあり得る)。例えば、上記
の層状パターン93は、同心円弧状部分と、それよりも
高密度の残余部分とが半径方向に交互に積層することに
より形成されたものになると考えられる。
【0077】図13に示すように、上記のようにして得
られたセラミックボール43は、例えば金属あるいはセ
ラミック製の内輪42及び外輪41の間に組み込めば、
ラジアル型のボールベアリング40が得られる。ボール
ベアリング40の内輪42内面に軸SHを固定すれば、
セラミックボール43は、外輪41または内輪42に対
して回転又は摺動可能に保持される。セラミックボール
43は、前記した表層部領域に残留する最大空隙寸法が
3μm以下、望ましくは1μm以下となることで、その
耐久性を大幅に向上させることができる。
【0078】図14は、上記ボールベアリングを用いた
ハードディスク駆動機構の一構成例を示す縦断面図であ
る。該ハードディスク駆動機構100は、本体ケース1
02の底内面中央に、筒状の軸保持部108が垂直に立
ち上がる形態で形成され、その内側に筒状のベアリング
保持ブッシュ112が同軸的に嵌め込まれている。ベア
リング保持ブッシュ112は、外周面にブッシュ固定用
フランジ110が形成され、これが軸保持部108の片
端に当接する形で軸線方向の位置決めがなされている。
また、ベアリング保持ブッシュ112の内側両端には、
それぞれ本発明のセラミックボール144を内輪140
及び外輪142の間に複数配置した、図13と同様の構
造のボールベアリング116,118が同軸的にはめ込
まれ、ベアリング保持ブッシュ112の内周面から突出
して形成されたベアリング固定フランジ132の両端部
にそれぞれ当接・位置決めされている。
【0079】ボールベアリング116,118の各内輪
140,140内にはディスク回転軸146が挿通固定
され、ベアリング116,118によりベアリング保持
ブッシュ112ひいては本体ケース102に対して回転
可能に支持されている。ディスク回転軸146の一端側
には扁平筒状のディスク固定部材(回転部材)152が
一体化されており、その外周縁に沿って壁部154が下
向きに伸びる形で形成されている。その壁部154の内
周面には励磁用永久磁石126が取り付けられる一方、
その内側には、ベアリング保持ブッシュ112の外周面
に固定された界磁用コイル124が励磁用永久磁石12
6と対向する形で配置されている。界磁用コイル124
と励磁用永久磁石126とはディスク回転駆動用の直流
モータ122を構成する。また、ディスク固定部材15
2の壁部154の外周面からは、ディスク固定用フラン
ジ156が張り出しており、ここに記録用ハードディス
ク106の内周縁部が、押さえプレート121との間に
挟まれる形で保持・固定されている。なお、押さえプレ
ート121を貫通する形で、固定用ボルト151がディ
スク回転軸146にねじ込まれている。
【0080】界磁用コイル124への通電によりモータ
122が作動し、ディスク固定部材152をロータとし
て回転駆動力を生ずる。これにより、ディスク固定部材
152に固定されたハードディスク106は、ベアリン
グ116,118により支持されたディスク回転軸14
6の軸線周りに回転駆動されることとなる。
【0081】次に、図15は、上記のようにして得られ
たセラミックボールをチェックバルブに適用した例を示
すものである。このチェックバルブ200は、バルブ本
体241内に流体(例えば液体)の入口部242と、通
路本体244と、さらに出口部245とがこの順序で形
成されており、全体として流体通路を形成している。セ
ラミックボール243は、通路本体244内に配置され
ている。通路本体244はセラミックボールよりも大き
な内径を有する円筒面状の内面を有し、その軸線方向に
ボール243が往復動可能となっている。他方、通路本
体244に連通する入口部242は、通路本体244よ
りも小径の円筒面状に形成され、その連通側の開口内縁
はテーパ状の座面242aとされている。他方、出口部
245は、セラミックボール243の流体流通方向への
移動を阻止するストッパ部245a(ここでは、テーパ
状の縮径部)を有するとともに、ストッパ部245aに
止められたセラミックボール243との間に、流体の流
通を許容するための空隙246が形成されるようになっ
ている。なお、セラミックボール243は、ベアリング
用セラミックボールほど表面の仕上げ精度は要求されな
いことから、焼結後未研磨のものあるいは寸法調整用の
簡易な研磨加工を施した状態のものが使用される。
【0082】上記チェックバルブ200は、入口部24
2側から出口部245側に向けて流体が流れる場合は、
セラミックボール243が出口部245側に向けて移動
するが、ストッパ部245aに止められるので、隙間2
46を介して流体の流通が許容される。他方、出口部2
45側から入口部242側に向けて流体が逆流しようと
した場合は、セラミックボール243は入口部242側
に押し戻され、座面242aにおいて入口部242を塞
ぐので、液体の流通が阻止される。
【0083】セラミックボール243として、最大空隙
寸法を3μm以下とした本発明のジルコニア含有セラミ
ックボールを使用することで耐久性に優れ、ビンや缶な
どに飲料を充填する設備など、高速高頻度に作動するチ
ェックバルブに適用した場合でも、その寿命を長期にわ
たって維持することができる。
【0084】
【実験例】本発明の効果を確認するために、以下の実験
を行った。まず、セラミック基質形成用の粉末(以下、
基質粉末という)として、安定化成分としてイットリア
を4.7重量%配合したジルコニア粉末(平均粒子径1
μm、90%粒子径2.5μm、BET比表面積値10
/g)を用意した。この粉末100重量部に溶媒と
しての純水50重量部と、適量の有機結合剤とを加えて
アトライターミルにより30時間混合を行い、成形用素
地粉末の泥漿を得た。泥漿は、図8に示す装置により成
形用素地粉末とした。
【0085】次に、この成形用素地粉末を転動造粒する
ことにより、直径約2.5mmの球状成形体を作製した
(実施例)。比較のため、通常の金型成形により作製し
た球状成形体も用意した。得られた球状成形体は、大気
中で温度1500℃にて5時間常圧焼成した。また、そ
の後さらに、温度1500℃、圧力1500気圧のアル
ゴンガス雰囲気中にて2時間HIP処理したボールも合
せて作成した。焼成後のボールは、表面を、真球度が
0.04μm、算術平均粗さが0.001μmとなるよ
うに精密研磨し、直径約2mmのベアリング用セラミッ
クボールとした。これを金属製の外輪と内輪との間に配
置し、図13のようなベアリングを構成した。そして、
その外輪にマイクロホン(ピックアップセンサ)を取り
付け、さらに外輪を固定し、内輪を10000rpmに
て回転させたときの、音の発生の有無を測定したとこ
ろ、実施例品は異常がなかったが、比較例品は異音の発
生が認められた。また、各ボールは、その中心を通る面
にて切断し、これを鏡面研磨した後、走査型電子顕微鏡
にて観察することにより、ボール表面から厚さ50μm
の表層部領域に存在する空隙の、最大のものの寸法(最
大空隙寸法)を測定した。その結果、実施例品は、常圧
焼成のみを行ったもので2.0μm、HIP処理を行っ
たものは1.2μmとなっていた。さらに、寸法1μm
以上の空隙の累積面積率は、常圧焼成のみを行ったもの
で0.8%、HIP処理を行ったものは0.5%となっ
ていた。他方、比較例品は、最大空隙寸法が7μmであ
った。なお、図17は、(a)が実施例のHIP処理
品、(b)が比較例品の断面の光学顕微鏡観察画像であ
り、画像中黒い点状に表れているのが空隙である(正方
形の枠は、50μm×50μmの領域を示す)。比較例
品の(b)では多数の大きな空隙が観察されるのに対
し、実施例品の(a)では空隙がほとんど観察されない
ことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】転動造粒の工程説明図。
【図2】図2に続く工程説明図。
【図3】成形核体をいくつか例示して示す説明図。
【図4】成形核体の製造方法をいくつか例示して示す説
明図。
【図5】転動造粒成形工程の進行過程を説明する図。
【図6】転動造粒法により製造された球状セラミック焼
結体の断面構造を示す模式図。
【図7】相対累積度数の概念を示す説明図。
【図8】成形用素地粉末の製造装置の一例を概念的に示
す縦断面図。
【図9】図1の装置の作用説明図
【図10】図2に続く作用説明図。
【図11】一次粒子径と二次粒子径との概念を説明する
図。
【図12】結晶粒子の寸法の定義を示す説明図。
【図13】本発明のセラミックボールを用いたボールベ
アリングの模式図。
【図14】図13のボールベアリングを用いたコンピュ
ータ用ハードディスク駆動機構の一例を示す縦断面図。
【図15】チェックバルブの一例を示す側面断面図及び
正面図。
【図16】空隙の寸法dの定義を示す説明図。
【図17】実施例品及び比較例品の研磨断面の光学顕微
鏡観察画像。
【符号の説明】
40,116,118 セラミックボールベアリング 43,243 セラミックボール 100 ハードディスク駆動機構 200 チェックバルブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3H058 AA04 BB24 CA21 EE02 EE03 3J101 AA02 BA10 EA42 FA31 GA24 GA53 4G031 AA03 AA04 AA07 AA08 AA11 AA12 AA14 AA15 AA18 BA19 CA01 CA07 GA01 GA12 GA15 5D109 BB12 BB16 BB21 BB31

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化ジルコニウムを主体とするジルコニ
    ア系セラミック相を10体積%以上含有するジルコニア
    含有セラミック材料を構成セラミックとし、かつ、ほぼ
    中心を通る研磨されたボールの断面において、ボール表
    面から半径方向において厚さ50μmまでの領域(以
    下、表層部領域という)内にて観察される空隙のうち、
    最大のものの寸法(以下、最大空隙寸法という)が3μ
    m以下であることを特徴とするジルコニア含有セラミッ
    クボール。
  2. 【請求項2】 前記表層部領域における前記最大空隙寸
    法が2μm以下である請求項1記載のジルコニア含有セ
    ラミックボール。
  3. 【請求項3】 前記表層部領域にて観察される寸法1μ
    m以上の空隙の累積面積率が1%以下である請求項1又
    は2に記載のジルコニア含有セラミックボール。
  4. 【請求項4】 ベアリング用セラミックボールとして構
    成された請求項1ないし3のいずれかに記載のジルコニ
    ア含有セラミックボール。
  5. 【請求項5】 表面が研磨面とされ、真球度が0.08
    μm以下であり、かつ該研磨面の算術平均粗さRaが
    0.012μm以下である請求項1ないし4のいずれか
    に記載のジルコニア含有セラミックボール。
  6. 【請求項6】 チェックバルブ用セラミックボールとし
    て構成された請求項1ないし3のいずれかに記載のジル
    コニア含有セラミックボール。
  7. 【請求項7】 前記ジルコニア含有セラミック材料は、
    前記ジルコニア系セラミック相の体積含有率が60体積
    %以上である請求項1ないし6のいずれかに記載のジル
    コニア含有セラミックボール。
  8. 【請求項8】 前記ジルコニア系セラミック相の安定化
    成分として、Ca、Y、Ce及びMgの1種又は2種以
    上を、CaはCaOに、YはYに、CeはCeO
    に、MgはMgOにそれぞれ酸化物換算した値にて、
    ジルコニア系セラミック相中の含有量として合計で1.
    4〜4モル%の範囲にて含有する請求項1ないし7のい
    ずれかに記載のジルコニア含有セラミックボール。
  9. 【請求項9】 前記ジルコニア系セラミック相は、立方
    晶系相の存在重量CWと正方晶系相の存在重量TWとの
    比率CW/TWが1未満である請求項1ないし8のいず
    れかに記載のジルコニア含有セラミックボール。
  10. 【請求項10】 前記ジルコニア含有セラミック材料
    は、前記ジルコニア系セラミック相の残部をなすセラミ
    ック相が、アルミナ及び/又は金属カチオン成分がT
    i、Zr、Nb、Ta及びWの少なくともいずれかであ
    る導電性無機化合物を主体に構成される複合セラミック
    材料である請求項1ないし9のいずれかに記載のジルコ
    ニア含有セラミックボール。
  11. 【請求項11】 酸化ジルコニウムを主体とするジルコ
    ニア系セラミック相の体積含有率が10体積%以上とな
    るように配合・調製された成形用素地粉末を造粒容器内
    に入れ、該容器内にて前記成形用素地粉末の凝集物を転
    がしながらこれを球状に成長させることにより、相対密
    度が61%以上の球状成形体を得る転動造粒成形工程
    と、 その球状成形体を焼成することにより、酸化ジルコニウ
    ムを主体とするジルコニア系セラミック相を10体積%
    以上含有するジルコニア含有セラミック材料を構成セラ
    ミックとし、かつ、ほぼ中心を通る研磨断面において、
    ボール表面から半径方向において厚さ50μmまでの領
    域(以下、表層部領域という)内にて観察される空隙の
    うち、最大のものの寸法(以下、最大空隙寸法という)
    が3μm以下となるジルコニア含有セラミックボールを
    得る焼成工程と、 を含むことを特徴とするジルコニア含有セラミックボー
    ルの製造方法。
  12. 【請求項12】 内輪と外輪との間にベアリング転動体
    として、酸化ジルコニウムを主体とするジルコニア系セ
    ラミック相を10体積%以上含有するジルコニア含有セ
    ラミック材料を構成セラミックとし、かつ、ほぼ中心を
    通る研磨断面において、ボール表面から半径方向におい
    て厚さ50μmまでの領域(以下、表層部領域という)
    内にて観察される空隙のうち、最大のものの寸法(以
    下、最大空隙寸法という)が3μm以下であるジルコニ
    ア含有セラミックボールが複数個組み込まれたことを特
    徴とするボールベアリング。
  13. 【請求項13】 請求項12記載のボールベアリング
    と、 そのボールベアリングの外輪及び内輪のうち一方を固定
    側、他方を回転側として、その回転側となる部材(以
    下、回転部材という)を回転駆動する駆動部と、 前記回転部材と一体的に回転するハードディスクとを備
    えたことを特徴とするハードディスク駆動機構。
  14. 【請求項14】 流体通路が形成されたバルブ本体と、
    その流体通路内において、流体の一方向の流動を許容し
    逆方向の流動を阻止するように配置されたボールとを備
    え、該ボールが、酸化ジルコニウムを主体とするジルコ
    ニア系セラミック相を10体積%以上含有するジルコニ
    ア含有セラミック材料を構成セラミックとし、かつ、ほ
    ぼ中心を通る研磨断面において、ボール表面から半径方
    向において厚さ50μmまでの領域(以下、表層部領域
    という)内にて観察される空隙のうち、最大のものの寸
    法(以下、最大空隙寸法という)が3μm以下であるジ
    ルコニア含有セラミックボールにて構成されたことを特
    徴とするチェックバルブ。
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