JPS62235255A - ジルコニア焼結体 - Google Patents

ジルコニア焼結体

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JPS62235255A
JPS62235255A JP61076483A JP7648386A JPS62235255A JP S62235255 A JPS62235255 A JP S62235255A JP 61076483 A JP61076483 A JP 61076483A JP 7648386 A JP7648386 A JP 7648386A JP S62235255 A JPS62235255 A JP S62235255A
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Japan
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zirconia
sintered body
mol
tetragonal
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JP61076483A
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English (en)
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孝樹 正木
中島 紀一
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は、ジルコニア焼結体に関する。
従来の技術 ジルコニア焼結体にはいろいろあるが、特開昭57−1
11278号公報には、いわゆる高強度ジルコニア焼結
体と呼ばれるものが記載されている。この従来の焼結体
は、正方晶系の結晶構造をもつジルコニア(正方晶ジル
コニア)を5〜70モル%含み、かつ気孔率が2〜10
%であるようなものである。しかして、この焼結体は、
それが熱衝撃を受けたときに、正方晶ジルコニアが、単
斜晶系の結晶構造をもつジルコニア(単斜晶ジルコニア
)に変態し、膨張して単斜晶ジルコニアまたはその近傍
に圧縮状態の領域が形成され、それが熱衝撃による歪を
吸収するように作用するので熱衝撃強度が高いといわれ
ている。また、圧縮状態の領域が形成されると、外部応
力を受けた場合の弾性歪エネルギーが減少し、曲げ強度
も向上する。しかしながら、曲げ強度の向上は、気孔率
が2〜10%と比較的高いためにそれほど顕著ではなく
、しかもばらつきが大きい。また、靭性が低いという欠
点もある。さらに、耐蝕性も悪い。
一方、特開昭59−227770号公報においては、安
定化剤と黒色系の着色剤とを含むジルコニア粉末を、黒
鉛モールドを使用し、不活性雰囲低下でホットプレスし
たり熱間静水圧加圧処理処理(HIP処理)してジルコ
ニア焼結体を得ている。この焼結体は、黒色を呈し、か
つ耐熱性や靭性か高いとの記載がある。しかしながら、
この焼結体には、黒鉛モールドを使用し、かつ不活性雰
囲気下で焼結するために炭素や一酸化炭素が残存してお
り、これが焼結体を600℃以上の高温で使用したとき
に炭酸ガスとなって蒸発し、空孔を作るので、強度が大
きく低下するという欠点がおる。
発明が解決しようとする問題点 この発明の目的は、従来の焼結体の上記欠点を解決し、
機械的特性、特に靭性や強度が高く、しかもそのばらつ
きが極めて小さいばかりか、600′C以上の高温で使
用しても強度低下がほとんどないジルコニア焼結体を提
供するにある。
問題点を解決するための手段 上記目的を達成するために、この発明においては、立方
晶系の結晶構造をもつジルコニアと正方晶系の結晶構造
をもつジルコニアとが共存しており、正方晶系の結晶構
造をもつジルコニアは立方晶系の結晶構造をもつジルコ
ニアの粒界および粒内のうちの少なくとも粒界に存在し
ているとともにその粒界に存在する正方晶ジルコニアの
量が少なくとも30モル%であり、イツトリアを1.5
〜5モル%含み、炭素を実質的に含まず、気孔率が0.
6%以下であり、気孔の大きさが0.1μm以下である
ことを特徴とするジルコニア焼結体が提供される。
以下、この発明を製造方法とともにさらに詳細に説明す
る。
この発明においては、まず、純度が99.9%以上でお
る塩化ジルコニウムの水溶液と、純度が99.5%以上
である塩化イツトリウムの水溶液とを所望の割合で混合
した後、周知の共沈法、加水分解法、熱分解法、金属ア
ルコキシド法、ゾル−ゲル法、気相法等を用いて、平均
粒径が0.1μm以下で、かつイツトリアを1.5〜5
モル%含むジルコニア粉末を調製する。別の方法として
、硝酸ジルコニウムと硝酸イツトリウムとの水溶液を使
用することもでき、ジルコニア粉末とイツトリア粉末と
を使用することもできる。
次に、上記粉末を800〜1000’Cで仮焼した後、
ボールミルで粉砕する。必要に応じて゛ががる仮焼、粉
砕を繰り返し行い、原料粉末を得る。
この原料粉末は、ジルコニア粉末とイツトリア粉末とが
均一に混ざり合った固溶体を形成している。
固溶体中にあけるジルコニアは、使用したジルコニアや
イツトリアの純度、粒径、混合割合、仮焼温度、仮焼時
間などによって異なるものの、通常、単斜晶系と正方晶
系の混合相を形成している。
次に、上記原料粉末を、ラバープレス法、射出成形法、
金型成形法、押出成形法、ドクターブレード法などの周
知の成形法を用いて所望の形状に成形し、成形体を得る
次に、上記成形体を加熱炉に入れ、約900’Cまでは
50〜100’C/時の速度で、それ以上は30〜50
’C/時の速度で1100〜1550’Cまで昇温した
後、その温度に数時間保持し、がさ密度が理論密度の9
5%以上である、好ましくは97.5%以上である予備
焼結体を得る。かかる昇温の過程で、ジルコニアの結晶
構造は、単斜晶系と正方晶系との共存状態から、正方晶
系と立方晶系との共存状態か、立方晶系に変態する。こ
のような変態の温度や速度は、イツトリアの量や不純物
の量等によって異なる。だから、状態図を参照しながら
上記のような結晶構造をとる予備焼結温度を上述した範
囲内で決める。予備焼結後、冷却すると、ジルコニアの
結晶構造は、冷却速度によっても異なるものの、正方晶
ジルコニアと、立方晶系の結晶構造をもつジルコニア(
立方晶ジルコニア)との共存状態は、正方晶ジルコニア
の一部が単斜晶ジルコニアに変わり、立方晶ジルコニア
の一部または大部分が正方晶ジルコニアに変わり、さら
にその正方晶ジルコニアの一部が単斜晶ジルコニアに変
わる。立方晶ジルコニアは、その一部または大部分が正
方晶ジルコニアに、ざらにその正方晶ジルコニアの一部
が単斜晶ジルコニアに変わり、結局、正方晶、単斜晶お
よび立方晶ジルコニアの共存状態が生まれる。
次に、上記予備焼結体を、いわゆる本焼結するわけでお
るが、これは酸化性雰囲気中におけるHIP処理によっ
て行う。すなわち、上記予備焼結体を制御された酸素雰
囲気、つまり酸化性雰囲気下で1000〜2000KO
/cm2の圧力下に1100〜1500’Cで数時間加
熱し、その後200〜500’C/時の速度で冷却し、
焼結体を得る。酸素濃度は、’+oo、oppm〜40
体積%である。11000pD未満では、酸素濃度が低
すぎ、炉の構成材料などから放出されたガスによって焼
結体が還元されてしまい、焼結体中に炭素が残存するよ
うになる。また、40体積%を超えるような高濃度酸素
雰囲気では、処理炉を構成している部材の発火点が大き
く低下し、炉の寿命が著しく短くなるので実用的でない
ところで、HIP処理には2つの方法がおる。
ひとつは、成形体をガラスヤ金属の容器(カプセル〉に
入れて処理に供する方法であり、他のひとつは、上述し
た、かぎ密度が理論密度の95%以上である予価焼結体
を得た後それを処理に供する方法である。前者は、比較
的低温でも緻密な焼結体が得られ、また高密度の予価焼
結体を必要としないという利点があるが、容器を使用す
る関係上、複雑な形状のものの製造には適さない。後者
は、そのような形状の制約はないものの、ガスによる加
圧を行う関係上、予備焼結体の気孔が開気孔でなく、閉
気孔であることが必要である。この点、かぎ密度が理論
密度の95%以上である予備焼結体の気孔はほとんどが
閉気孔でおるので問題はない。このようなHIP処理は
、結晶粒子間の結合が強固になり、しかも低温でも緻密
な焼結体が得られることから、機械的特性の高い焼結体
を得るうえで極めて有効である。なお、前者の場合、成
形体に代えて原料粉末を使用することもできる。
HIP処理は、上述したように酸化性雰囲気下で行う必
要がある。というのは、HIP処理はカーボンなどのヒ
ータを使用し、アルゴン雰囲気などの不活性雰囲気下で
行うのが普通であるが、そうすると微量の炭素が焼結体
中に残存するようになる。しかるに、そのような焼結体
を600 ’C以上の高温で使用すると、残存していた
炭素が炭酸ガスになって蒸発し、焼結体中に空孔ができ
て、高温での強度や、高温で使用した後の常温強度がが
大きく低下してしまう。
焼結温度におけるジルコニアの結晶構造は、正方晶系と
立方晶系の共存状態か、立方晶系でおるが、冷却過程に
おいて、正方晶系と立方晶系の共存状態は、正方晶ジル
コニアの一部が単斜晶ジルコニアに変わり、立方晶ジル
コニアの一部または大部分が正方晶ジルコニアに変わり
、さらにその正方晶ジルコニアの一部が単斜晶ジルコニ
アに変わる。立方晶ジルコニアは、その一部または大部
分が正方晶ジルコニアに、ざらにその正方晶ジルコニア
の一部が単斜晶ジルコニアに変わり、結局、正方晶、単
斜晶および立方晶ジルコニアの共存状態へと変わる。
焼結体中における正方晶ジルコニアの量は、原料粉末の
純度、粒径、組成や、予備焼結体の密度、本焼結の温度
や時間、本焼結後の冷却条件など、さまざまな条件によ
って変わる。したがって、製造にあたってはこれらの条
件を厳密に制御1する必要がある。しかして、正方晶ジ
ルコニアは、立方晶ジルコニアの粒界および粒内か、粒
界に析出する。しかるに、この発明においては、粒界に
少なくとも30モル%の正方晶ジルコニアが析出してい
る必要がおる。好ましくは50モル%以上であり、ざら
に好ましくは70モル%以上である。
すなわち、粒界に正方晶ジルコニアが存在していると、
焼結体が曲げや引張りなどの外部応力を受けた場合に正
方晶ジルコニアが単斜晶ジルコニアに変態する、いわゆ
る応力誘起変態が起こり、焼結体の機械的特性、特に靭
性や強度が向上するが、この応力誘起変態機構を十分に
発現させるためには、正方晶ジルコニアの量を30モル
%以上とすることが必要である。もつとも、立方晶ジル
コニアの粒内に存在する正方晶ジルコニアもまた、応力
誘起変態機構をもっている。しかしながら、粒内に析出
する正方晶ジルコニアは、その結晶の大きさが粒界に析
出するものよりも微細であるため、応力誘起変態機構は
粒界に存在するものほど顕著ではない。ここで、粒界の
正方晶ジルコニアの爵は、一般のX線回折法によっては
粒界のものと粒内のものとを区別して求めるのが難しい
ので、次のような測定法を採る。
すなわち、焼結体を研磨した後硫酸等でエツチングして
結晶粒か明確に観察できるようにした後、走査型電子顕
微鏡で組織写真を撮る。次に、それぞれの結晶粒につい
てX線マイクロアナライザを用いてイツトリウム元素を
面分析する。しかして、イツトリアに換界してそれが1
モル%未満を単斜晶ジルコニアとし、1モル%から3.
5モル%未満までを正方晶ジルコニアとし、3.5〜8
モル%までを立方晶ジルコニアとしてそれぞれの面積S
m、St、Soを求める。立方晶ジルコニアの場合、そ
の粒内に正方晶ジルコニアが析出している場合があるか
、イツトリウム元素の面分析によって、高濃度領域の内
部で細かく低濃度領域が確認されること、および結晶の
大きさが正方晶ジルコニアに比較して大きいことから、
立方晶ジルコニアが判別できる。しかして、粒界の正方
晶ジルコニアのff1Pt(モル%)を、次式により計
算する。
Pt−[St/(Sm+S、十S。)]X’100 また、焼結体は、次のようにして求めた、粒界と粒内に
おける正方晶ジルコニアの量、すなわち総量c下(モル
%)が50モル%以上であるのが好ましい。
すなわち、焼結体を#150〜300番の砥石で研磨加
工し、さらにダイヤモンドペーストで光学器間する。し
かして、その研磨した焼結体の面をX線回折し、正方晶
ジルコニア111面の回折強度(面積強度。以下、同じ
)Aと、単斜晶ジルコニア111面の回折強度Bと、単
斜晶ジルコニア111面の回折強度Cを求め、それらか
ら次式によって算出する。ただし、回折強度はローレン
ツ因子による補正後の値を使用する。
C1−= [A/ (A十B+C> ] x100同様
に、立方晶ジルコニアのff1cc(モル%)は次式に
よって求める。
CC=[(D/D+E+F)]X100ただし、D二立
方品ジルコニア400面の回折強度 E:正方晶ジルコニア004面の回 折強度 F:正方晶ジルコニア400面の回 折強度 正方晶ジルコニアと立方晶ジルコニアの量が求まれば、
残余が単斜晶ジルコニアということになるが、単斜晶ジ
ルコニアは、その周囲にマイクロクランクや圧縮応力場
を形成するため、その量が1重端に多くなると焼結体の
強度や靭性が低下する。
そのため、単斜晶ジルコニアの量は10モル%以下であ
るのが好ましい。また、立方晶ジルコニアの存在は、立
方晶ジルコニアはジルコニアの中でも熱に対する安定性
が最も高いので、焼結体の熱的安定性を向上させる。
この発明における焼結体には、ジルコニアの安定化剤と
してイツトリアが1.5〜5モル%含まれている。この
1.5〜5モル%という範囲は、粒界における正方晶ジ
ルコニアの量を少なくとも30モル%以上とするための
必要条件である。粒界の正方晶ジルコニアの量は、イツ
トリアの量が少ないと多くなり、多いと少なくなる。粒
内の正方晶ジルコニアの工が、イツトリアの量が少なく
なるほど少なくなるのと対照的である。しかしながら、
十分条件ではない。すなわち、正方晶ジルコニアの量は
、上述したように原お1扮末、予備焼結条件、本焼結条
件などによっても異なる。これらの条件とイツトリアの
量が協同して、はじめて、粒界における正方晶ジルコニ
アの量を30モル%以上にし得るのでおる。イツトリア
の使用は、比較的低温での焼結を可能とし、緻密な焼結
体を得ることができるという利点がおるが、他の安定化
剤の併用を除外するものではない。たとえば、マグネシ
アやカルシア、セリアなど、ジルコニアと固溶する他の
酸化物を安定化剤として併用することができる。
この発明の焼結体は、上述したように、高温強度の低下
原因になる炭素を実質的に含んでいない。
ここにおいて、炭素を実質的に含んでいない焼結体とは
、以下のように定義されるものである。
すなわち、ジルコニア焼結体中の炭素量の分析には、燃
焼赤外法、SIMSと呼ばれる2次イオン質量分析法、
レーザーラマン分光分析法など、いろいろな方法が使用
されるが、この発明においては、レーザーラマン分光分
析法を使用し、アルゴンレーザーを用いて焼結体を波長
4880人および4579人の光で励起した場合に、ア
モルファスカーボンとして検出される炭素の存在が認め
られないとき、その焼結体には炭素が実質的に含まれて
いないものと定義する。
この発明においては、焼結体の気孔率が0.6%以下で
あり、しかも気孔の大きさが0.1μm以下であること
を必須とする。ここにおいて、気孔率P(%)は、式、 P=[1−(かざ密度/理論密度)]X100で定義さ
れるものである。すなわち、焼結体の強度やそのばらつ
きは気孔率に大きく左右されるが、同時に気孔の大きざ
にも左右される。気孔があると、その部分に応力集中を
招くからである。強度低下やばらつきは、気孔率が低く
、かつ気孔が小′さい場合にはそれほどでもないが、気
孔率が0゜6%を超え、かつ気孔の大きさが0.1μm
を超えると急激に大きくなる。それゆえ、この発明にお
いては、そのような不都合を生じないよう、気孔率を0
.6%以下とし、合わせて気孔の大きざを0.1μm以
下に制限している。好ましい気孔率は、0.3%以下で
ある。なお、この分野においては、強度のばらつきを統
計的に表わす指標としてワイブル係数が使用されている
。このワイブル係数が大きいほどばらつきが少なく、信
頼性が高いということになる。
この発明の焼結体においては、気孔がジルコニアの結晶
粒界の主として3重点に存在しているのが好ましい。す
なわち、一般に、気孔はジルコニアの粒界や粒内に現わ
れ、また粒界に現われる場合、2つの結晶粒が接する部
分に現われたり、3つの結晶粒が接する部分、つまり3
重点に現われたりする。しかるに、粒内や2つの結晶粒
の粒界の気孔は、結晶粒の成長や、焼結体の緻密化が十
分でない場合に現われ、焼結体の強度を低下させる原因
になる。3重点に現われる気孔もまた、強度低下の原因
にはなるが、その低下の程度は、結晶粒同士の結合力を
それほど低くしないことから、粒内や2つの結晶粒の粒
界に現われるものほど顕著ではないのでおる。
図面は、後述する実施例2で得られたこの発明の焼結体
を示す電子顕微鏡写真であるが、矢印で示す気孔の大き
さが0.02μm前後と極めて小さいことがわかる。
気孔率や気孔の大きさは、焼結体の耐蝕性にも大きな影
響を与える。すなわち、気孔があると、それに水分が作
用したとき、それが引金になって正方晶ジルコニアが単
斜晶ジルコニアに変態しやすくなる。すなわち、耐蝕性
が低下する。だから、気孔率が0.6%以下であり、気
孔の大きさが0゜1μm以下であるということは、耐蝕
性を向上させるという意味からも大変有効なことである
上述したこの発明の焼結体は、0.2〜0.6程度の平
均反射係数を有していて、透光性がおり、色調に深みが
ある。ここで、平均反射係数とは、次のようにして測定
したものである。
すなわち、分光器を使用し、かつ白色のアルミナ焼結体
を標準試料として、400〜700nmの波長について
焼結体の分光反射率Rと標準試料の分光反射率Roとを
求め、それらから次式を用いてそれぞれの波長における
分光反射係数rλを求める。
r λ−LOQ (R/RO) ざらに、平均反射係数rmは、上式で求めた分光反射係
数を波長400nmから700nmまで積分し、それを
波長間隔で割ることによって求めここで、積分球は直径
60cmのものを使用する。また、標準試料たるアルミ
ナ焼結体の反射率を100%として測定する。さらに、
試料は、焼結体の表面を9400のエメリーメーパーで
研磨し、その研磨面を測定に供する。
以上において、焼結体が、イツトリア以外に、0.1〜
1重量%、好ましくは0.2〜0.5単量%の範囲で、
アルミナやチタニア、または銅、ニッケル、鉄、コバル
ト、クロムなどの遷移金属の酸化物を含んでいると、強
度や靭性がより一層向上するので好ましい。
また、色彩に富んだ焼結体を得たい場合には、O9O○
1〜2重量%程度の範囲で酸化物を加えるとよい。たと
えば、酸化ニッケル、酸化クロム、酸化銅、酸化チタン
などを加えると、焼結体がかっ色または緑色を呈するよ
うになる。また、ピンク色には酸化エルビウムが、黄色
には酸化バナジウム、酸化セリウムまたは酸化コバルト
が、紫色には酸化ネオジウムまたは酸化コバルトが、オ
レンジ色には酸化鉄が、青色には酸化コバルトまたは酪
化ニッケルがそれぞれ有効で必る。これらは2種以上を
併用してもよい。
次に、実施例に基いてこの発明をさらに詳細に説明する
実施例1 純度が99.9%で必るオキシ塩化ジルコニウムの水溶
液と、純度が99.9%である塩化イツトリウムの水溶
液とを、焼結体中におけるイツトリアとしての量が1.
5モル%になるように混合した。
次に、上記水溶液を約100’Cまで徐々に加熱し、そ
の温度に約150時間保持して水をとばし、さらに約1
00’C/時の昇温速度で約900’Cまで加熱し、そ
の温度に約3時間保持して仮焼粉末を得た。ざらに、こ
の仮焼粉末をウレタンを内張すしたボールミルで粉砕し
、平均粒子径が約0゜07μmである原料粉末を得た。
次に、上記原料粉末をラバープレス法を用いて成形し、
成形体を得た。成形時の加圧力は約5000Kg/cr
r+2とシタ。
次に、上記成形体を加熱炉に入れ、約900’Cまでは
約50’C/時の速度で、それ以上は約50’C/時の
速度で約1300℃まで昇温した後、その温度に約2時
間保持し、かざ密度が理論密度の約98%である予備焼
結体を得た。
次に、HIP処理により、上記予備焼結体を本焼結した
。すなわち、白金ヒータを用い、予備焼結体を、酸素が
約3%で、残余がアルゴンガスである酸化性雰囲気下で
約50’C/時の速度で約1200’Cまで昇温し、同
時に圧力が2000KCI/Cm2になるように昇圧し
、約1.5時間保持した後、約100’C/時の速度で
冷却し、焼結体を冑た。
かくして得られた焼結体について、正方晶ジルコニアの
総量と、粒界の正方晶ジルコニアの吊と、気孔率と、気
孔の大きざと、気孔の位置と、炭素の有無と、曲げ強度
と、破壊靭性と、ワイブル係数と、空気中にて1000
’Cで100時間保持した後の曲げ強度(高温強度〉を
測定した。なお、気孔の大きざの測定は電子顕微鏡によ
った。また、曲げ強度の測定はJ l5−R160’l
によった。
さらに、破壊靭性の測定はMI法(微小圧子圧入法〉に
よった。この方法は、試験片の表面にビッカース圧痕を
入れ、そのとき発生する亀裂の長さを測定し、新原の式
から計算により求めるものである。さらにまた、ワイブ
ル係数はn数を20として求めた。測定結果は次のとお
りでめった。
正方晶ジルコニアの総ffi:90モル%粒界の正方晶
ジルコニアのm:88モル%気孔率        二
0.6% 気孔の大きさ     :0.08μm炭素の有無  
    :検出せず 曲げ強度       :1300MPa破壊靭性  
     :15Mpa、iワイブル係数     :
14 高温強度       : 1250MPa実施例2 イツトリアの量が3モル%になるようにしたほかは実施
例1と同様にして、この発明の焼結体を得た。この焼結
体を実施例1と同様に測定した結果を以下に示す。
正方晶ジルコニアの総量二92モル% 粒界の正方晶ジルコニアの量:83モル%気孔率   
     二0.4% 気孔の大きざ     :0.02μm炭素の有無  
    :検出せず 曲げ強度       : 1500MPa破壊靭性 
      : −t、 3vpa f〒ワイブル係数
     :15 高温強度       : ’1450MPa実施例3 イツトリアの量が5モル%になるようにしたほかは実施
例1と同様にして、この発明の焼結体を得た。この焼結
体を実施例1と同様に測定した結果を以下に示す。
正方晶ジルコニアの総量=50モル% 粒界の正方晶ジルコニアの量:30モル%気孔率   
     二0.5% 気孔の大きさ     :0.08μm炭素の有無  
    :検出せず 曲げ強度       : 1250MPa破壊靭性 
      :5.2MPaFWワイブル係数    
 =12 高温強度       : 1140MPa比較例1 イツトリアの量が0.8モル%になるようにしたほかは
実施例1と同様にして、焼結体を得た。
この焼結体を実施例1と同様に測定した結果を以下に示
す。ただ、気孔の大きざは、正方晶から単斜晶への結晶
構造の変態に伴う大きな亀裂が多数存在していて、気孔
と亀裂を区別して観察できないために求めることができ
なかった。
正方晶ジルコニアの総量二63モル% 、  粒界の正方晶ジルコニアの1:60モル%気孔率
        =8% 炭素の有無      :検出せず 曲げ強度       :300MPa破壊靭性   
    : 4.1MPa FWワイブル係数    
 =5 高温強度       : 100MPa比較例2 イツトリアの吊が5.5モル%になるようにしたほかは
実施例1と同様にして、焼結体を10だ。
この焼結体を実施例1と同様に測定した結果を以下に示
す。
正方晶ジルコニアの総量=25モル% 粒界の正方晶ジルコニアの1:20モル%気孔率   
     二〇。1% 気孔の大きさ     :0.02μm炭素の有無  
    :検出せず 曲げ強度       : 600MPa破壊靭性  
     :4.5vpa、Wワイブル係数     
:11 高温強度       :590MPa比較例3 成形体を得るときの加圧力を約2000Kq/Cm2と
したほかは実施例2と同様にして、焼結体を得た。この
焼結体を実施例1と同様に測定した結果を以下に示す。
正方晶ジルコニアの総量:85モル% 粒界の正方晶ジルコニアのffi:80モル%気孔率 
       二0.6% 気孔の大きさ     =0.15μm炭素の有無  
    :検出せず 曲げ強度       : 1350MPa破壊靭性 
      ニア、1MPaFワイブル係数     
ニア 高温強度       : 1340MPa比校例4 実施例2と同様にして、ただし成形体を得るときの加圧
力を約2000Kg/cm2とし、予僅焼結温度を約1
450℃にし、またHIP処理をカーボンヒータを使用
し、かつアルゴン雰囲気下で約1400℃で行って焼結
体を得た。この焼結体を実施例1と同様に測定した結果
を以下に示す。
ただ、炭素については、レーザーラマン分光分析法でそ
の存在が認められたものの、その絶対量は、燃焼分析法
による検出限界以下であったことがら極く微量であるも
のと考えられる。
正方晶ジルコニアの総量二88モル% 粒界の正方晶ジルコニアの量:84モル%気孔率   
     :0.05% 気孔の大きさ     :0.02μm曲げ強度   
    : 1650MPa破壊靭性       :
aMpa、/iワイブル係数     :14 高温強度       :500MPa比校例5 比較例2と同様にして、ただし成形体を得るときの温度
を約1500’C,圧力を約2000Kg/Cm2とし
、また本焼結温度を約1400’Cに変更して焼結体を
得た。この焼結体を実施例1と同様に測定した結果を以
下に示す。
正方晶ジルコニアの総量:28モル% 粒界の正方晶ジルコニアの量:22モル%気孔率   
     二0.1% 気孔の大きさ     :0.02μm炭素の有無  
    二検出せず 曲げ強度       : 600MPa破壊’FM性
       : 5.1MPa 5ワイブル係数  
   :12 高温強度       :590MPa発明の効果 この発明のジルコニア焼結体は、立方晶ジルコニアの粒
界に少なくとも30モル%の正方晶ジルコニアが存在し
ており、イツトリアを1.5〜5モル%含み、気孔率が
0.6%以下でおり、気孔の大きさが0.1μm以下で
あるからして、実施例にも示したように、靭性や強度が
高く、またそれらの特性のばらつきが極めて少ない。ま
た、実質的に炭素を含んでいないので、600 ’C以
上の高温で使用しても強度低下がほとんどない。ざらに
、耐蝕性も向上する。
この発明の焼結体は、上述したように靭性が高く、かつ
高強度で、しかもそのばらつきが極めて少なくて信頼性
に富み、かつ600 ’C以上の高温で使用しても強度
低下がほとんどないばかりか、耐蝕性に優れ、ざらに透
光性が必って深みのある色調をもっている。そのため、
いろいろな用途に使用することができる。以下にその一
例を示す。
A、 副燃焼至、ターボチャージャ、ピストンキャップ
、シリンダ、シリンダライナ、プレートニゲシーストバ
ルブヘッド、ガスタービン翼、燃焼器、ノーズコーン、
シュラッド、排気弁、各種断熱部材などの内燃機関用材
料。
B、 ダイス、ノズル、キャピラリー、精密測定用ブロ
ックやゲージ、リング、加熱シリンダ、断熱スペーサ、
断熱スリーブ、メカニカルシール、プランジャポンプ、
ポンチ、バネ、コイルスプリング、絞り加工工具、軸受
、ベアリング用ポール、粉砕機用ポール、ガイドロール
、圧延ロール、スラリー用ポンプのインペラー、スクリ
ュー、スリーブ、バルブ、オリフィス、タイル、ワイヤ
ラッピング用スリーブ、ドライバー、糸道ガイドなどの
各種産業機械用材料。
C9繊維、紙、フィルム、磁気テープ等のカッタ(スリ
ッタや丸刃)、剃刀、バリカン刃、各種はさみ、各種ナ
イフ、各種包丁などの刃物材料。
D、 メス、ピンセット、歯根、歯冠、間接、骨固定材
などの医療器具材料または医療材料。
E、 人工宝石、印鑑、ネクタイピン、カラスボタン、
時計用部品などの装飾材料または宝石代用材料。
F6 碁石、ゴルフクラブ、釣糸ガイドなどのスポーツ
・レジャー用具材料。
G、 スプーン、フォーク、皿などの食器具材料。
H9ポールペン用ボール、ペン先などの筆記具材料。
【図面の簡単な説明】
図面は、この発明に係るジルコニア焼結体の結晶構造を
示す電子顕微鏡写真である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 立方晶系の結晶構造をもつジルコニアと正方晶系の結晶
    構造をもつジルコニアとが共存しており、正方晶系の結
    晶構造をもつジルコニアは立方晶系の結晶構造をもつジ
    ルコニアの粒界および粒内のうちの少なくとも粒界に存
    在しているとともにその粒界に存在する正方晶ジルコニ
    アの量が少なくとも30モル%であり、イットリアを1
    .5〜5モル%含み、炭素を実質的に含まず、気孔率が
    0.6%以下であり、気孔の大きさが0.1μm以下で
    あることを特徴とするジルコニア焼結体。
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