JPH11343637A - 旋回式クローラキャリア - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】簡単な構造で効果的な防振作用がなされ、かつ
構造が簡単で堅固であり、耐久性に優れ、製造費も安価
となる旋回式クローラキャリアを提供する。 【解決手段】クローラを有する走行体１上に旋回装置２
を設置する。旋回装置２の旋回輪４上に多角形または円
形のインナフレーム６を固定する。インナフレーム６に
対応する形状のインナフレーム６との結合部１１を有す
るメインフレーム１０を備える。インナフレーム６に、
インナフレーム６の全周にわたり配置した防振ゴム２１
を介してメインフレーム１０を固定する。メインフレー
ム１０に上部構造体を搭載する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、林道工事や河川工
事等に使用され、クローラ式走行体上に旋回装置を介し
て荷台や運転席等を搭載した旋回式クローラキャリアに
関する。

【０００２】

【従来の技術】旋回式クローラキャリアは、ダンプベッ
セルが旋回可能であるため、林道工事や河川工事等にお
いて、狭隘な不整地、軟弱地盤等において車体の向きを
変更することなくダンプ方向を変更できるという利便性
がある。

【０００３】このような旋回式クローラキャリアとし
て、荷台を降下させたときの振動や走行時の振動を吸収
するため、実用新案登録第３０３５７３５号公報に記載
のように、荷台、運転席およびパワーユニット等からな
る上部構造体と旋回板との間に防振ゴムを介在させたも
のがある。すなわち、旋回板上に左右２列にフレームを
設け、該フレームと、上部構造体を搭載するメインフレ
ームとの間に左右２列に防振ゴムを配列して防振機構を
構成している。また、過荷重時の振れ止めとして、下方
向荷重および前後方向荷重に対しては、ゴムストッパを
設置し、上方向過荷重の跳ね上がり防止機構は、空気ば
ね方式を採用している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記従来構造において
は、防振ゴムの配列が縦２列であり、上下および左右方
向の防振機構としてはよいが、前後方向に対しては防振
効果が少ない。また、過荷重時の振れ止めとしては、下
方向荷重および前後方向荷重に対してはゴムストッパを
設置しているが、上方向過荷重の跳ね上がり防止機構は
空気ばね方式であり、建設機械用には複雑にして高価す
ぎるという問題点がある。

【０００５】また、メインフレームにストッパ装着のた
めのブラケットを部分的に設けており、そのため、メイ
ンフレーム構造が複雑になり、応力集中によって強度的
に弱くなる。

【０００６】本発明は、上記問題点に鑑み、簡単な構造
で効果的な防振作用がなされ、かつ構造が簡単で堅固で
あり、耐久性に優れ、製造費も安価となる旋回式クロー
ラキャリアを提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】請求項１の発明は、クロ
ーラを有する走行体上に旋回装置を設置し、該旋回装置
の旋回輪上に多角形または円形のインナフレームを固定
し、該インナフレームとの結合部を有するメインフレー
ムを、前記インナフレームに緩衝材を介して固定し、該
メインフレームに上部構造体を搭載したことを特徴とす
る。

【０００８】請求項２の発明は、クローラを有する走行
体上に旋回装置を設置し、該旋回装置の旋回輪上に多角
形または円形のインナフレームを固定し、該インナフレ
ームに対応する形状のインナフレームとの結合部を有す
るメインフレームを、インナフレームに、インナフレー
ムの全周にわたり配置した防振ゴムを介して固定し、該
メインフレームに上部構造体を搭載したことを特徴とす
る。

【０００９】このように、インナフレームの全周に緩衝
材または防振ゴムを配置し、該インナフレームに防振ゴ
ムを介してメインフレームを固定することにより、イン
ナフレームの全周にわたり防振構造が実現される。これ
により、上下、左右、前後について効果的な防振作用が
なされる。また、インナフレームやメインフレームのイ
ンナフレーム対応部が閉じた多角形あるいは円形をなす
ため、構造は単純で堅固となり、不整地走行時に発生す
る衝撃に対しても、前記防振構造ともあいまって、耐久
性に優れ、製造費も安価となる。

【００１０】請求項３の発明は、請求項１または２にお
いて、前記インナフレームまたはメインフレームのいず
れか一方にゴムストッパを設け、他方に、上部構造体の
過荷重が生じた場合に該ゴムストッパが圧接する受部材
を設けることにより、前記上部構造体からの過荷重によ
る衝撃を吸収する装置を構成したことを特徴とする。

【００１１】このように、衝撃荷重を吸収する構造を採
用することにより、防振ゴムに過大な荷重かかからず、
耐久性がさらに向上する。

【００１２】請求項４の発明は、請求項１から３までの
いずれかにおいて、前記インナフレームまたはメインフ
レームのいずれか一方にゴムストッパを設け、他方に、
上部構造体の浮き上がり時に該ゴムストッパが圧接する
受部材を設けることにより、メインフレームの浮き上が
り防止装置を構成したことを特徴とするこのように、メ
インフレームの浮き上がりを制限する構造を採用するこ
とにより、防振ゴムが過大に変形することが防止され、
耐久性がさらに向上する。

【００１３】請求項５の発明は、請求項１から４までの
いずれかにおいて、前記インナフレームの前記旋回輪に
対する取付位置は、前記上部旋回体の重心位置の前後方
向の位置ずれに対応して設定されることを特徴とする。

【００１４】このように、重心位置の異なる上部構造体
に対して共通の枠体を使用することにより、経済化が達
成できる。

【００１５】請求項６の発明は、請求項２または５にお
いて、該インナフレームの防振ゴム取付面とこれに対向
するメインフレームの防振ゴム取付面を傾斜させ、これ
らの傾斜面間に防振ゴムを傾斜させて取り付けたことを
特徴とする。

【００１６】このように、インナフレーム、メインフレ
ームの防振ゴムの取付面を傾斜させ、防振ゴムを傾斜さ
せて取り付けることにより、防振ゴムに防振効果のみな
らず、過荷重に対するふれ止め効果を持たせることがで
き、ゴムの数を少なくすることができるため、経済化が
達成できる。

【００１７】

【発明の実施の形態】図１は本発明による旋回式クロー
ラキャリアの一実施の形態を示す側面図、図２はその平
面図、図３は図１の要部拡大図、図４（Ａ）はインナフ
レームの形状を示す平面図である。図１ないし図４
（Ａ）において、１はクローラ式走行体、２はそのフレ
ーム上に設置した旋回装置であり、３は旋回モータ、４
は旋回輪、５は走行体１の走行モータ等に圧油を供給す
るためのセンタージョイントである。

【００１８】６は図３、図４（Ａ）に示すように、旋回
輪４上にボルト７により固定される矩形をなすインナフ
レームであり、前記旋回モータ３やセンタージョイント
５を取り付けた底板部８と縦枠部９とを有する。

【００１９】１０はメインフレームであり、該メインフ
レーム１０は前記インナフレーム６に対応する結合部１
１が矩形をなし、結合部１１の後方に延長する部分１２
はダンプベッセル１３の支持部となり、その後端にダン
プベッセル１３がピン１４（図１参照）を中心として起
伏自在に取り付けられる。１５は該ダンプベッセル１３
を起伏させるためにメインフレーム１０とダンプベッセ
ル１３との間に取り付けた油圧シリンダである。

【００２０】メインフレーム１０の前部には、運転室１
７やパワーユニット１９を搭載する枠部２０（図１参
照）が一体に設けられる。前記ダンプベッセル１３、運
転室１７およびパワーユニット１９等が上部構造体を構
成する。

【００２１】２１はインナフレーム６の全周にわたって
配置した防振ゴムであり、該防振ゴム２１を介して前記
メインフレーム１０のインナフレーム結合部１１がボル
ト２２、ナット２３（図３参照）により結合される。こ
のような構造により、不整地走行等における振動の運転
室１７等への伝達が低減され、乗り心地が改善される。

【００２２】さらに、本実施例においては、防振ゴム２
１に過大な荷重がかかることを防止するため、次のよう
な構造をとる。すなわち、図３に示すように、インナフ
レーム６に棚２４を設け、該棚２４の上面にゴムストッ
パ２５を設け、前記メインフレーム１０に該ゴムストッ
パ２５の上面を受ける受部材２６を設けることにより、
前記上部構造体からの過荷重による衝撃を吸収する装置
を構成する。

【００２３】また、前記受部材２６の上面にもゴムスト
ッパ２７を設け、前記インナフレーム６の棚２４に固定
した受部材２９の受面３０を前記ゴムストッパ２７の上
面に対向させることにより、メインフレーム１０の浮き
上がりを防止する装置を構成する。

【００２４】このように、インナフレーム６の全周に防
振ゴム２１を配置し、防振ゴム２１を介して、メインフ
レーム１０をそのインナフレーム結合部１１において結
合することにより、インナフレーム６の全周にわたり防
振構造が実現される。これにより、上下、左右、前後に
ついて効果的な防振作用がなされる。また、旋回輪４に
固定されるインナフレーム６とメインフレーム１０のイ
ンナフレーム結合部１１がそれぞれ一体的に結合される
枠状をなすため、構造は単純で堅固となり、不整地走行
時に発生する衝撃も緩和され、前記防振構造ともあいま
って、耐久性に優れ、製造費も安価となる。

【００２５】また、ゴムストッパ２５や受部材２６から
なる衝撃吸収装置を構成したことにより、重量のある荷
をダンプベッセルに積み込んだ際等における下向きの過
荷重にが作用した際に、ゴムストッパ２５に受部材２６
が圧接することにより、防振ゴム２１の過度の変形を防
止することができる。また、不整地走行等において、上
部構造体が浮き上がり時にゴムストッパ２７が受部材２
９の受面３０に圧接することにより、防振ゴム２１の過
度の変形も防止できる。これにより耐久性がさらに向上
する。

【００２６】なお、過荷重防止用のゴムストッパ２５は
メインフレーム１０に下向きに取り付け、そのゴムスト
ッパ２５の下面を、インナフレーム６に取り付けた受部
材に過荷重時に圧接させる構成としてもよく、また、浮
き上がり防止用のゴムストッパ２７はインナフレーム６
に下向きに取り付け、そのゴムストッパの下面に、メイ
ンフレーム１０に取り付けた受部材が、上部構造体の浮
き上がり時に圧接する構成としてもよい。

【００２７】また、図５（Ａ）の側面図および図５
（Ｂ）に正面図に示すように、例えばクレーン４０を旋
回装置２の旋回中心より前部に搭載する場合のように、
上部構造体の重心が前方に移る場合、図４（Ｂ）に示す
ように、旋回輪４に対してインナフレーム６を後方に移
してボルト７により固定して取付位置を変更することに
より、上部構造体の重心位置を旋回中心に合わせること
ができる。このように、上部構造体として異なる機器を
搭載する場合であっても、同じ形状のインナフレーム６
を用いることにより、経済化が達成される。

【００２８】図６は本発明の他の実施の形態を示す側面
図、図７はその平面図であり、本実施の形態は、インナ
フレーム６の防振ゴム取付面３２と、これに対向するメ
インフレーム１０の防振ゴム取付面３３を傾斜させ、こ
れらの傾斜面間に防振ゴム２１を傾斜させて取り付けた
ものである。この防振ゴム２１は、図３と同様にボル
ト、ナットにより取付けられる。

【００２９】このように、インナフレーム６、メインフ
レーム１０の防振ゴム２１の取付面３２、３３を傾斜さ
せ、防振ゴム２１を傾斜させて取り付けることにより、
上部構造体の振動を防振ゴム２１で斜め方向に受けるこ
とができ、これにより防振ゴム２１は図１〜図３に示し
たように剪断方向に荷重を受ける場合に比較して荷重を
受ける力が大となり、防振ゴム２１に防振効果のみなら
ず、過荷重に対するふれ止め効果を持たせることがで
き、下方への過荷重防止のためのゴムストッパや、上方
への振れ止めと行うためのゴムストッパが不要となり、
ゴムの数を少なくすることができ、経済化が達成され
る。

【００３０】図６の実施の形態においては、インナフレ
ーム６の防振ゴム取付面３２はインナフレーム６の外面
が上向きになるように形成したが、図８に示すように、
インナフレーム６の外縁部の内面を傾斜させて防振ゴム
取付面３４とし、メインフレーム１０の傾斜面３５はそ
の防振ゴム取付面３４に対向するように、メインフレー
ム１０から下方に突出した部分の外面に形成した構造と
してもよい。

【００３１】上記実施の形態においては、インナフレー
ム６の形状を矩形としたが、他の多角形あるいは円形に
形成してもよい。

【００３２】

【発明の効果】請求項１、２によれば、クローラを有す
る走行体上に旋回装置を設置し、該旋回装置の旋回輪上
に多角形または円形のインナフレームを固定し、該イン
ナフレームに対応する形状のインナフレームとの結合部
を有するメインフレームを、インナフレームに、緩衝材
またはインナフレームの全周にわたり配置した防振ゴム
を介して固定し、該メインフレームに上部構造体を搭載
したので、インナフレームの全周にわたり防振構造が実
現され、上下、左右、前後について効果的な防振作用が
なされる。また、旋回輪に固定されるインナフレームや
メインフレームのインナフレーム結合部が閉じた多角形
あるいは円形をなすため、構造は単純で堅固となり、不
整地走行時に発生する衝撃に対しても、前記防振構造と
もあいまって、耐久性に優れ、製造費も安価となる。

【００３３】請求項３によれば、請求項１、２におい
て、前記インナフレームまたはメインフレームのいずれ
か一方にゴムストッパを設け、他方に、上部構造体の過
荷重が生じた場合に該ゴムストッパが圧接する受部材を
設けることにより、前記上部構造体からの過荷重による
衝撃を吸収する装置を構成したので、過荷重時に防振ゴ
ムに過大な荷重かかからず、耐久性がさらに向上する。

【００３４】請求項４によれば、請求項１から３までの
いずれかにおいて、前記インナフレームまたはメインフ
レームのいずれか一方にゴムストッパを設け、他方に、
上部構造体の浮き上がり時に該ゴムストッパが圧接する
受部材を設けることにより、メインフレームの浮き上が
り防止装置を構成したので、不整地走行等における時に
上部構造体の浮き上がりによって防振ゴムが過大に変形
することが防止され、耐久性がさらに向上する。

【００３５】請求項５によれば、請求項１から４までの
いずれかにおいて、前記インナフレームは上部構造体の
形式による重心の前後方向に位置ずれに対応して、前記
旋回輪に対する取付位置を変更させたので、重心位置の
異なる上部構造体に対して共通の枠体を使用することが
でき、経済化が達成できる。

【００３６】請求項６によれば、請求項２または５にお
いて、該インナフレームの防振ゴム取付面とこれに対向
するメインフレームの防振ゴム取付面を傾斜させ、これ
らの傾斜面間に防振ゴムを傾斜させて取り付けたので、
防振ゴムに防振効果のみならず、過荷重に対するふれ止
め効果を持たせることができ、ゴムの数を少なくするこ
とができるため、経済化が達成できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による旋回式クローラキャリアの一実施
の形態を示す側面図である。

【図２】図１の平面図である。

【図３】図１の要部拡大図である。

【図４】（Ａ）、（Ｂ）はそれぞれ図１〜図３のインナ
フレームの取付構造を、旋回輪に対する取付位置を変更
させて示す平面図である。

【図５】（Ａ）、（Ｂ）はそれぞれクレーンを有するク
ローラキャリアの側面図、正面図である。

【図６】本発明による旋回式クローラキャリアの他の実
施の形態を示す側面図である。

【図７】図６の平面図である。

【図８】図６の変形例を示す側面図である。

【符号の説明】

１：クロ−ラ式走行体、２：旋回装置、４：旋回輪、
６：インナフレーム、１０：メインフレーム、１１：イ
ンナフレーム結合部、１３：ダンプベッセル、１５：油
圧シリンダ、１７：運転室、１９：パワーユニット、２
１：防振ゴム、２４：棚、２５：ゴムストッパ、２６：
受部材、２７：ゴムストッパ、２９：受部材、３２〜３
５：防振ゴム取付面、４０：クレーン

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】クローラを有する走行体上に旋回装置を設
   置し、 該旋回装置の旋回輪上に多角形または円形のインナフレ
   ームを固定し、 該インナフレームとの結合部を有するメインフレーム
   を、前記インナフレームに緩衝材を介して固定し、 該メインフレームに上部構造体を搭載したことを特徴と
   する旋回式クローラキャリア。
2. 【請求項２】クローラを有する走行体上に旋回装置を設
   置し、 該旋回装置の旋回輪上に多角形または円形のインナフレ
   ームを固定し、 該インナフレームに対応する形状のインナフレームとの
   結合部を有するメインフレームを、インナフレームに、
   インナフレームの全周にわたり配置した防振ゴムを介し
   て固定し、該メインフレームに上部構造体を搭載したこ
   とを特徴とする旋回式クローラキャリア。
3. 【請求項３】請求項１または２において、 前記インナフレームまたはメインフレームのいずれか一
   方にゴムストッパを設け、他方に、上部構造体の過荷重
   が生じた場合に該ゴムストッパが圧接する受部材を設け
   ることにより、前記上部構造体からの過荷重による衝撃
   を吸収する装置を構成したことを特徴とする旋回式クロ
   ーラキャリア。
4. 【請求項４】請求項１から３までのいずれかにおいて、 前記インナフレームまたはメインフレームのいずれか一
   方にゴムストッパを設け、他方に、上部構造体の浮き上
   がり時に該ゴムストッパが圧接する受部材を設けること
   により、メインフレームの浮き上がり防止装置を構成し
   たことを特徴とする旋回式クローラキャリア。
5. 【請求項５】請求項１から４までのいずれかにおいて、 前記インナフレームの前記旋回輪に対する取付位置は、
   前記上部旋回体の重心位置の前後方向の位置ずれに対応
   して設定されることを特徴とする旋回式クローラキャリ
   ア。
6. 【請求項６】請求項２または５において、 該インナフレームの防振ゴム取付面とこれに対向するメ
   インフレームの防振ゴム取付面を傾斜させ、これらの傾
   斜面間に防振ゴムを傾斜させて取り付けたことを特徴と
   する旋回式クローラキャリア。