JPH11342518A - フェノール樹脂の射出成形方法 - Google Patents

フェノール樹脂の射出成形方法

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JPH11342518A
JPH11342518A JP16582398A JP16582398A JPH11342518A JP H11342518 A JPH11342518 A JP H11342518A JP 16582398 A JP16582398 A JP 16582398A JP 16582398 A JP16582398 A JP 16582398A JP H11342518 A JPH11342518 A JP H11342518A
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phenol resin
resin
injection molding
screw
cylinder
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JP16582398A
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Tomozo Sakaguchi
知三 坂口
Nobuo Nagata
信夫 永田
Takashi Inoue
隆 井上
Takeyoshi Murakami
武義 村上
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Unitika Ltd
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 補強材及び金属含有有機滑剤を用いず、硬化
度が均一で、しかも気泡等を含まない均質なフェノール
樹脂成形物を生産性良く得ることができるフェノール樹
脂の射出成形方法を提供する。 【解決手段】 粒径が50μm以上で、ディスクキュア
ー法で測定した熱流動性が60〜180mmである粒状
フェノール樹脂の表層に融点が30〜160℃の低表面
張力物質を対フェノール樹脂組成比0.1〜5重量%被
覆してなるフェノール樹脂成形材料を、ヘッド部2にお
ける圧縮比が2.0〜6.0であり、シリンダー3の内
壁面との間隔が変動し、最近接位置ではシリンダー内壁
面に滞留した樹脂を掻き取ることのできるヘッド部2を
有するスクリュー1を備えた射出成形機を用いて射出成
形する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フェノール樹脂の
射出成形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ガラス繊維や金属含有有機滑剤等のフィ
ラーを含まないフェノール樹脂成形物は、真空中又は不
活性ガス雰囲気中で高温焼成することにより、アモルフ
ァスカーボン(グラッシーカーボン)、グラファイト等
のような炭素材料として磁気ディスク基板、るつぼ容器
等の多様な用途に用いられている。しかし、ガラス繊維
や金属含有有機滑剤等のフィラーを含まないフェノール
樹脂の射出成形においては、混練部での異常発熱を防ぐ
ために、低圧縮比のスクリューを備えた射出成形機を用
いているが、成形材料を十分に混練することができず、
十分混練されていない成形材料を金型内へ射出しても均
質な成形物を得ることは出来ない欠点があった。
【0003】そこで、成形材料を十分混練するためにフ
ルフライトスクリューを備えた射出成形機を用いること
もあるが、混練部で樹脂がせん断及び圧縮により異常発
熱し、気泡や過硬化物の発生の原因となっており、また
スクリューのフライトに沿って送られてきた可塑化され
た成形材料が加熱筒から熱を多く受けシリンダー内で硬
化してしまう問題もあった。従って、このような形状の
スクリューを備えた射出成形機では、ガラス繊維や金属
含有有機滑剤等のフィラーを含まないフェノール樹脂の
可塑化には不適当であり、混練が不十分であったり、気
泡や過硬化物が発生し、成形物には気泡や過硬化物の混
入が避けられない状況にあった。
【0004】ガラス繊維や金属含有有機滑剤等のフィラ
ーを含まないフェノール樹脂成形物は、上記のように磁
気ディスク基板、るつぼ容器等の多様な用途に用いられ
ているが、特に磁気ディスク基盤の場合には、板状成形
物の板表面の平滑性が高度に優れたものが要求され、そ
のために成形物表面を精密研磨して仕上げる方法がとら
れている。しかし、この際に成形工程で混入する欠陥、
例えば気泡、過硬化物、不純物の存在が研磨面の欠陥と
なって顕れるので、従来品では低グレードのものしか得
られていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】かかる状況に鑑み、本
発明の課題は、補強材及び金属含有有機滑剤を用いず、
硬化度が均一で、しかも気泡等を含まない均質なフェノ
ール樹脂成形物を生産性良く得ることができるフェノー
ル樹脂の射出成形方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するものであって、粒径が50μm以上で、ディス
クキュアー法で測定した熱流動性が60〜180mmで
ある粒状フェノール樹脂の表層に融点が30〜160℃
の低表面張力物質を対フェノール樹脂組成比0.1〜5
重量%被覆してなるフェノール樹脂成形材料を、ヘッド
部における圧縮比が2.0〜6.0であり、シリンダー
の内壁面との間隔が変動し、最近接位置ではシリンダー
内壁面に滞留した樹脂を掻き取ることのできるヘッド部
を有するスクリューを備えた射出成形機を用いて射出成
形することを特徴とするフェノール樹脂の射出成形方法
である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用する粒状フェノール樹脂としては、粒径が
50μm以上、好ましくは100μm以上で、ディスク
キュアー法で測定した熱流動性が60〜180mm、好
ましくは90〜160mmであるフェノール樹脂を用い
る。
【0008】ここで、粒径とは、粒体の平均最大径、す
なわち最大径(外接球直径)の平均値を表す。粒径が5
0μm未満の場合は、成形機への供給が安定して行えな
い。粒径の上限は特にないが、実用的な粒径としては1
00〜4000μmが適当である。粒体の形状は球形、
円筒形、円柱形、立方体形等のいずれでも良いが、粒径
が小さい場合は球形の方が成形などにさいしての輸送性
が優れている。
【0009】前記の熱流動性とは、常温では固体である
が、加熱状態で負荷をかけたときに流動性を示す特性を
いう。しかし、フェノール樹脂は通常の熱可塑性の樹脂
の場合と異なって、自己硬化性を有するので、ある程度
以上の長時間にわたった流動性を示す温度にて加熱を続
けると、分子内及び/又は分子間での縮合が始まって架
橋して硬化する性質をもっている。そこで、熱流動性を
表す尺度として、後記するJIS規格(ディスクキュア
ー法)で測定した160℃における所定荷重下の試料樹
脂円板の流れ(直径の伸び;mm)で表す。この熱流動
性が60mm未満の樹脂は成形性が悪くなり、他方、熱
流動性が180mmを越える樹脂は、硬化反応に必要な
時間が長くなるため、生産性が悪く、しかも、硬化反応
によって生成する水分等が成形物内へ閉じ込められるた
め、欠陥製品となる恐れがある。
【0010】粒状フェノール樹脂の製造法としては各種
の方法が採用され、例えば特開平4−159320号公
報に記載されている方法のように、ノボラック樹脂をヘ
キサメチレンテトラミンのようなアルカリ触媒兼メチレ
ン架橋剤及び懸濁安定剤の存在下、水媒体中で懸濁重合
を行う方法(自己硬化型変性ノボラック樹脂法)、フェ
ノール及びホルムアルデヒドを塩基性触媒及び懸濁安定
剤の存在下、水性媒体中にて懸濁重合を行う方法等の重
合法(固形レゾール樹脂法)が好適に採用することがで
きる。これらの方法によれば、極めて高純度で真球状に
近い球状微粒体が得られる。粒径の大きな成形材料を得
るには、上記微粒体を造粒して所定の粒度の成形材料を
調製する方法が有効である。
【0011】前記粒状フェノール樹脂を被覆する低表面
張力物質は、表面張力が低い物質であって、例えば常温
〔25℃〕で臨界表面張力が約35ダイン/cm以下の
物質が望ましく、かつ低表面張力物質に特有の潤滑性、
離型性、非付着性等の特性を有する化合物であって、特
に金属塩類のような金属元素を含まないものを用いる。
前記の低表面張力物質としては、融点が30〜160
℃、好ましくは40〜80℃であって、常温にて固体状
の低融点化合物を用いる。融点が30℃未満では成形時
に計量不良が起こる傾向にあり、融点が160℃を超え
ると、成形機のシリンダー内で潤滑性が乏しく、安定し
た成形性が得られない傾向にある。
【0012】低表面張力物質の代表的な例としては、ラ
ウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の高級脂肪
酸;ラウリン酸モノグリセライド、エチルステアレー
ト、ステアリン酸モノグリセライド、ソルビタンモノパ
ルミテート、ソルビタンモノステアレート等の高級脂肪
酸エステル;トリラウリン、トリステアリン、硬化ひま
し油等の固形油脂類;ステアリン酸アマイド、エチレン
ビスステアリン酸アマイド等の高級脂肪酸アマイド;セ
チルアルコール、ステアリルアルコール等の高級脂肪族
アルコール;ステアリルメタクリレート、ステアリルア
クリレート等の高級脂肪族(メタ)アクリレート;パラ
フィンワックス等のワックス状炭化水素;パーフルオロ
オクタン酸、9H−ヘキサデカフルオロノナノン酸等の
含多価フッ素高級脂肪酸;N−エチルパーフルオロオク
チルスルホンアミド等の含多価フッ素高級脂肪族スルホ
ンアミド;2−(パーフルオロオクチル)沃化エチル、
2−(パーフルオロデシル)沃化エチル等の含多価フッ
素高級脂肪族沃化物;1H,1H,9H−ヘキサデカフ
ルオロノナノール、2−(パーフルオロオクチル)エタ
ノール、2−(パーフルオロデシル)エタノール等の含
多価フッ素高級脂肪族アルコール;2−(パーフルオロ
デシル)メチルメタクリレート、1H,1H,11H−
アイコサフルオロウンデシルアクリレート等の含多価フ
ッ素高級脂肪族(メタ)アクリレート;パーフルオロド
デカン等の含多価フッ素高級脂肪族炭化水素;2−(P
−オキシ安息香酸メチル・ヘキサフルオロプロペン3量
体付加物等の含多価フッ素脂肪族芳香族化合物、ペンタ
フルオロベンズアミド等の含多価フッ素芳香族炭化水
素;TFEワックス(テトラフルオロエチレンテロマ
ー)、CTFEテロマー(クロロトリフルオロエチレン
テロマー)等の含多価フッ素オリゴマー化合物等、ある
いはこれらの誘導体、これらの一種以上よりなる混合物
並びにこれらに重合触媒等の添加物を配合した組成物等
の低表面張力物質が挙げられる。
【0013】前記粒状フェノール樹脂の表面に被覆する
前記低表面張力物質の量は、フェノール樹脂に対して
0.1〜5重量%、好ましくは0.2〜3重量%であ
る。低表面張力物質の被覆量がフェノール樹脂に対して
0.1重量%未満では、成形の際に、成形機のシリンダ
ー内で閉塞が起こり、連続して成形を行うことが困難に
なることがあり、他方、低表面張力物質の被覆量が5重
量%を越えると、成形性の向上効果が頭打ちとなり、ま
た透明な成形物が得にくいことがある。
【0014】粒状フェノール樹脂に対する低表面張力物
質の被覆は、各粒子間にできるだけ均一に分布し、しか
も膜厚が均等であるように施されているものが好まし
い。被覆法としては、前記粒状フェノール樹脂と低表面
張力物質を、例えば加熱装置付きブレンダーにて、低表
面張力物質の融点以上、粒状フェノール樹脂の軟化点以
下の温度域内の所定温度にて加熱しつつ混和・攪拌する
方法、前記粒状フェノール樹脂と低表面張力物質を上記
温度下に流動床攪拌する方法、粒状フェノール樹脂に対
して溶解性を示さず低表面張力物質に対して良溶解性を
示す溶媒によって低表面張力物質を溶解し、この溶液に
粒状フェノール樹脂を混和して溶媒を留去・乾燥する方
法等が推奨される。
【0015】得られたフェノール樹脂成形材料は、後記
するように、少なくとも成形時には水分含有量が1重量
%以下に制御されていることが好ましい。しかし、通
常、重合後の原料フェノール樹脂は、数重量%以上の水
分を含有するので、前記被覆に先立って、上記限度内に
水分が低減するように乾燥しておき、上記被覆を施すの
が有効である。この際の乾燥法としては、粒状フェノー
ル樹脂を真空中又は乾燥空気循環下に60〜120℃の
温度に加熱して行う方法が推奨される。本方法におい
て、低表面張力物質によるフェノール樹脂の被覆とフェ
ノール樹脂の乾燥とを併せて行うのも効率的である。
【0016】このようにして調製されたフェノール樹脂
成形材料は、被覆膜が通常、撥水性で低透湿性の低表面
張力物質よりなるため、そのままでも長期間設定水分含
有量以下に維持することができるが、工業的には品質管
理上、成形直前まで密封容器あるいは密封包装に収納し
て保管するのが好ましい。もちろん、上記のように粒状
フェノール樹脂を乾燥せず、そのまま被覆処理したフェ
ノール樹脂成形材料であっても、成形直前に乾燥を充分
に行い、吸湿しない条件下に成形すれば、上記と同様の
成形物となすことができる。
【0017】この際、前記したようにフェノール樹脂成
形材料として水分含有量が1重量%以下にすることが好
ましく、0.5重量%以下にすることがより好ましい。
水分含有量が1重量%を越えると、成形の際に成形物中
に気孔が残り、また成形条件によっては加水分解等の劣
化現象が派生することもある。
【0018】フェノール樹脂成形材料には、同一種類の
樹脂の硬化物を含むことができる。この樹脂硬化物を含
む成形材料は、焼成により均一な炭素材料を与える。
【0019】前記フェノール樹脂成形材料を射出成形す
るに当たっては、図1に示すようなヘッド部2における
圧縮比が2.0〜6.0であり、シリンダー3の内壁面
との間隔が変動し、最近接位置ではシリンダー3の内壁
面に付着滞留した樹脂を掻き取ることのできるヘッド部
2を有するスクリューを備えた射出成形機を用いて射出
成形することにより、硬化度が均一でしかも気泡等を含
まない均質なフェノール樹脂成形物を生産性良く得るこ
とができる。
【0020】ここで、ヘッド部2における圧縮比とは、
図1のA−A断面(一例)におけるスクリュー1の溝部
4(主として隣接するフライト5,5間の凹部)とシリ
ンダー内壁面との間隙の面積SA (図3参照)とB−B
断面におけるスクリューのヘッド部2(スクリューテー
パー部6の基部)とシリンダー内壁面との間隙の面積S
B (図2参照)の比、つまり、SA /SB である。スク
リューのヘッド部2における圧縮比を2.0〜6.0に
することにより、樹脂の通路面積を縮小し、樹脂に十分
なシェア(剪断力)を与えることにより、エアーの噛み
込みを抑えることができる。また、過剰なシェアを樹脂
に与えないので、樹脂が急激に硬化することを抑え、多
量の縮合水等の発生を抑えることができる。よって、成
形物中の気泡の発生抑制効果が大きい。しかも、射出の
際に逆流しようとする樹脂を抑制し、射出圧力を一定に
保持して所定量の樹脂が安定して射出することが可能と
なる。
【0021】スクリューのヘッド部2における圧縮比が
2.0未満の場合には、樹脂溶融時に樹脂にかかるシェ
アが不充分なため、エアーの噛み込みを充分に抑えるこ
とができず、成形体に気泡が生じる。また、射出の際に
逆流しようとする樹脂の抑制が不充分となり、金型内へ
の射出樹脂量が変動するため、安定な射出が不可能であ
る。スクリューのヘッド部2における圧縮比が6.0よ
り大きい場合には、樹脂に過剰なシェアがかかり急激に
硬化するため、多量の縮合水等の発生を抑えることがで
きない。よって、成形体中に気泡が発生しやすい。より
好ましい圧縮比の範囲は2.5〜5.0である。
【0022】本発明で使用する射出成形機は、スクリュ
ーのヘッド部2にシリンダー内壁面に付着滞留した樹脂
を掻き取ることのできる掻き取り機構7を備えたもので
あり、この掻き取り機構7はスクリューのヘッド部2に
一体に形成されていても、着脱自在にヘッド部2に装着
し得るものであってもよく、また着脱自在のヘッド部2
に掻き取り機構7が一体又は装着可能状態で取付けら
れ、このヘッド部2がスクリュー本体に着脱自在に装着
し得るものでもよい。
【0023】前記掻き取り機構7とは、シリンダーの内
壁面との間隔が変動し、最近接位置ではシリンダー内壁
面に付着、滞留した樹脂を掻き取ることのできるもので
あれば、羽根状などのいかなる形状でもよく、例えば図
1,図2に示したように、スクリュー軸に対して直交方
向(周方向に)配置されているものが望ましいが、傾斜
方向に配置されていてもよい。前記掻き取り機構とシリ
ンダーの内壁面との間隔は、常時シリンダー内壁面に付
着、滞留した樹脂を掻き取る位置にある場合には、圧縮
比を2.0〜6.0の範囲内に維持することができない
ため、この範囲を維持できる程度に変動するように、例
えば図2に示すように断面が円形状等のものの円弧部分
を直線、曲線状に間欠的に切削した形状とすることが望
ましい。
【0024】一般に、射出成形機のシリンダーの先端部
におけるシリンダー内壁面に付着滞留した樹脂は、所定
の射出時に射出されないで熱履歴の大きい過硬化物とな
って、数ショット後に射出され、成形物中に過硬化物が
混入する欠陥が発生するが、本発明では、スクリューの
ヘッド部における掻き取り機構7によって、可塑化、混
練時(計量時)にスクリューの回転に伴ってシリンダー
の内壁面に付着滞留した樹脂を掻き取ることができるの
で、熱履歴の大きい過硬化物の発生を未然に防止するこ
とができる。スクリューの回転に伴って計量毎に掻き取
りの動作が繰り返されるため、シリンダー内壁面に付着
滞在する樹脂が無く、掻き取られた樹脂は、直後に射出
されるため過硬化物とはならない。
【0025】従来のフェノール樹脂成形材料の成形にお
いては、前記したようにガラス繊維補強材を用い、しか
も金属含有有機滑剤を併用して成形しないと満足な成形
ができなかったが、本発明においては、スクリューのヘ
ッド部の圧縮比が2.0〜6.0であり、シリンダーの
内壁面と僅かな隙間をもちシリンダー内の過硬化物を掻
き取る機構を備えている射出成形用スクリューを用い射
出成形することにより、均一で欠陥の少ないフェノール
樹脂成形物を大量生産することが可能となる。また、本
発明によって得られた成形物を所定温度でキュアリング
することにより、硬化度の高い各種製品が得られ、さら
に、補強材及び金属含有有機滑剤を含んでいないため、
真空中又は不活性ガス雰囲気中で高温焼成することによ
り、高純度のアモルファスカーボン(グラッシーカーボ
ン)、高純度グラファイト等の炭素材料となり、磁気デ
ィスク基板、るつぼ容器等の多様な用途に用いることが
できる。
【0026】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。 実施例1〜4 ノボラック樹脂(三井東圧化学(株)製#600)15
0重量部を160℃で溶融して、完全けん化ポリビニル
アルコール(重合度約2000)1重量部を溶解した9
0℃の熱水(220重量部)中へ攪拌しながら投入して
分散し懸濁系を形成し、続いてヘキサミン24重量部を
40重量部の温水に溶解して添加し、さらに同温度にて
20分間攪拌を続けて懸濁重合を行い、反応が終了した
後、懸濁体を固液分離し、乾燥して粒状フェノール樹脂
を得た。この粒状フェノール樹脂の特性を表1に示す。
【0027】なお、表1に示すこれらの特性は、次の方
法で測定した。熱流動性(HPF)は、JIS−K−6
91119795.3.2〔成形材料(円板式)〕の方法に
基づき、試料2gを160℃で1分間1145kgの荷
重下で熱プレスし、形成される円板の直径(最長径と最
短径の平均値)から求めた。平均粒径は、試料をガラス
プレート上に展開して顕微鏡写真を撮り、任意に選んだ
100個の粒径を測定して、その平均値で示した。水分
は、試料10gを赤外線ヒーターで80℃で30分間加
熱し、その重量減少から求めた。
【0028】
【表1】
【0029】次に、上記の粒状フェノール樹脂と、低表
面張力物質としてのステアリン酸モノグリセライド0.
5重量部、ステアリン酸0.5重量部の混合物とを加熱
装置付ブレンダーにて73℃にて加熱しながら攪拌して
粒状フェノール樹脂に低表面張力物質を被覆したフェノ
ール樹脂成形材料を作製した。
【0030】得られたフェノール樹脂成形材料を、M1
50BL−TS型射出成形機(株式会社名機製作所製)
を用いてヘッド部の圧縮比を表2に示すように変えて
(ヘッドを交換して)射出成形して、直径260mm、
厚さ5.2mm、目付350gの各円板を作製した。射
出成形機及びスクリューの諸元は次の通りである。 型締力 :150トン シリンダー内径(スクリュー外径):D=φ55mm スクリューの山のピッチ :P=50.2mm スクリュー長/スクリュー外径 :L/D=15.5 掻き取り機構7 :あり(図1、図2参照) 得られた各成形物について、次に述べる方法で気泡発生
率、過硬化物発生率を算出した結果を表2に示す。 気泡発生率:(直径100μm以上の気泡が発生した成
形物の数÷全ショット数)×100 過硬化物発生率:(過硬化物が発生した成形物の数÷全
ショット数)×100
【0031】
【表2】
【0032】比較例1、2 実施例で製造した表1に示すフェノール樹脂を用い、M
150BL−TS型射出成形機(株式会社名機製作所
製)を用いて、直径260mm、厚さ5.2mm、目付
350gの円板を成形した。射出成形機及びスクリュー
の諸元は次の通りである。 型締力 :150トン シリンダー内径(スクリュー外径):D=φ55mm スクリューの山のピッチ :P=50.2mm スクリュー長/スクリュー外径 :L/D=15.5 掻き取り機構 :あり この成形物について、前記のようにして気泡発生率、過
硬化物発生率を計算した結果を表3に示す。
【0033】
【表3】
【0034】比較例3〜5 実施例で製造した表1に示す特性を有するフェノール樹
脂成形材料を用い、M150BL−TS型射出成形機
(株式会社名機製作所製)を用いて、直径260mm、
厚さ5.2mm、目付350gの円板を成形した。射出
成形機及びスクリューの諸元は次の通りである。 型締力 :150トン シリンダー内径(スクリュー外径):D=φ55mm スクリューの山のピッチ :P=50.2mm スクリュー長/スクリュー外径 :L/D=15.5 掻き取り機構 :なし この成形物について、前記のようにして気泡発生率、過
硬化物発生率を計算した結果を表4に示す。
【0035】
【表4】
【0036】本発明によれば、繊維補強材及び金属含有
有機滑剤を全く含まないにもかかわらず、安定して射出
成形が可能であり、気泡、過硬化物等の欠陥を殆ど含ま
ない成形物が得られる。さらに、本実施例で得られた成
形物は、いずれも不活性ガス中で、1600℃で焼成し
て、高純度のアモルファスカーボン材料となることを確
認することができた。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、硬化度が均一で、しか
も気泡等を含むことなく均一なフェノール樹脂成形物を
生産性良く得ることができ、大量生産も可能となる。ま
た、得られるフェノール樹脂成形物は、気泡発生率が低
く、安価で耐熱性、剛性率、硬度、電気絶縁性、耐薬品
性等の諸特性が優れた光学部品、容器、ウインドー材等
の製品として多様な用途に好適に使用することができ
る。また、得られるフェノール樹脂成形物は、真空また
は不活性雰囲気中で高温焼成することにより、高純度の
炭素材料として磁気ディスク基盤、るつぼ容器等の多様
な用途に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に使用する射出成形機のスクリュ
ーのヘッド部の一例を示した概略図である。
【図2】図1のB−B線に沿う断面図である。
【図3】図1のA−A線に沿う断面図である。
【符号の説明】
1 スクリュー 2 スクリューのヘッド部 3 シリンダー 4 溝部 5 フライト 6 スュクリューテーパー
部 7 掻き取り機構
フロントページの続き (72)発明者 村上 武義 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒径が50μm以上で、ディスクキュア
    ー法で測定した熱流動性が60〜180mmである粒状
    フェノール樹脂の表層に融点が30〜160℃の低表面
    張力物質を対フェノール樹脂組成比0.1〜5重量%被
    覆してなるフェノール樹脂成形材料を、ヘッド部におけ
    る圧縮比が2.0〜6.0であり、シリンダーの内壁面
    との間隔が変動し、最近接位置ではシリンダー内壁面に
    滞留した樹脂を掻き取ることのできるヘッド部を有する
    スクリューを備えた射出成形機を用いて射出成形するこ
    とを特徴とするフェノール樹脂の射出成形方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003026900A (ja) * 2001-07-17 2003-01-29 Unitika Ltd 射出成形用樹脂材料の製造方法

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