JPH06206957A - フェノール樹脂成形材料 - Google Patents

フェノール樹脂成形材料

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JPH06206957A
JPH06206957A JP2067493A JP2067493A JPH06206957A JP H06206957 A JPH06206957 A JP H06206957A JP 2067493 A JP2067493 A JP 2067493A JP 2067493 A JP2067493 A JP 2067493A JP H06206957 A JPH06206957 A JP H06206957A
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molding
phenol resin
molding material
phenolic resin
surface tension
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JP2067493A
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Shingo Sasaki
新吾 佐佐木
Rikunori Yamao
陸矩 山尾
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Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 トランスファー成形、射出成形あるいは押出
成形のような高流動成形によって透明で大気孔及び含有
金属の殆どないフェノール樹脂成形体を成形することが
できるフェノ−ル樹脂成形材料を提供する。 【構成】 特定の熱流動性を有する粒状フェノ−ル樹脂
の表面に常温にて固体状で低融点の低表面張力物質を均
一に被覆したフェノ−ル樹脂成形材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フェノール樹脂成形材
料に関し、詳しくは、高流動成形可能なフェノール樹脂
熱流動性粒状成形材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】フェノール樹脂は安価で耐熱性、剛性
率、硬度、電気絶縁性、耐薬品性等の諸特性が優れた樹
脂として、古来、電気材料等の各種製品に多用されてい
るが、最近、高純度の常温にて固体(粉粒体)の熱流動
性を有する成形材料(以後、熱流動性粒状成形材料と略
称する。)が各種高性能部品の素材として脚光を浴び、
広く普及しつつある。
【0003】本材料はフェノール樹脂の成形法として最
も一般的に用いられてきた圧縮成形法以外にトランスフ
ァー成形法、射出成形法あるいは押出成形法(以後、単
に高流動成形法と略称する。また、「トランスファー成
形、射出成形あるいは押出成形」又は「トランスファー
成形体、射出成形体あるいは押出成形体」についても、
同様に高流動成形、又は高流動成形体と略称する。)の
ような高流動状態で成形する、したがって高精度で生産
性の高い成形用樹脂であって、従来の積層板ような比較
的単純な形状のものから精密電気・機械部品のような複
雑な高寸法精度を要求される成形製品にまで、多様な製
品を成形できる素材である。
【0004】ところで、従来のフェノール樹脂成形材料
は、高流動成形可能な熱流動性粒状成形材料でも、通
常、特公平1−38816号公報に記載のように、ガラ
ス繊維ような繊維補強材やステアリン酸亜鉛のような金
属含有有機滑剤を含むものでないと満足な成形ができな
い現状にある。すなわち、かかる成形材料からガラス繊
維や金属含有有機滑剤を除いたフェノール樹脂成形材料
を高流動成形すると成形機のシリンダー内で、成形材料
のスムーズな流動性が損なわれ、安定してかつ高精度に
成形することが困難となる。
【0005】一方、ポリメタクリル樹脂、ポリカーボネ
ート樹脂のような透明樹脂を用いた透明成形品に相当す
るような透明なフェノール樹脂成形品が成形できれば上
記フェノール樹脂の特性を有し、しかも透明なので、上
記した従来品に比較して一段と高性能で安価な光学部
品、容器、ウインドー材等の製品として多様な用途展開
が期待されるが、現状では圧縮成形(熱プレス成形)に
て板状体のような比較的単純な形状の製品が得られるの
みで、しかもサイクルタイムが長くかかるため高価なも
のしか生産できない状況にある。ちなみに、高流動成形
法にてこれを成形しようとすると、上記した繊維補強材
や金属含有有機滑剤を配合した成形品は透明性が失われ
るため、未だにこのような高流動成形体製品は開発され
ていない。
【0006】透明なフェノール樹脂成形品は、上記した
透明樹脂製品以外に、これを真空中、あるいは不活性雰
囲気中で焼成処理を行うことにより、高純度のアモルフ
ァスカーボン(グラッシーカーボン)、グラファイト等
の炭素材料よりなる成形体に変性し得るものと期待れる
が、上記した透明高流動成形体製品の得られない現状で
は、このような期待は果たし得ぬ夢に終わっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】かかる状況に鑑み、本
発明は、透明性に優れ、気泡及び金属を殆ど含まぬフェ
ノール樹脂高流動成形体を成形するためのフェノール樹
脂成形材料を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、本課題を
解決すべく鋭意研究を行った結果、フェノール樹脂熱流
動性粒状成形材料を常温にて固体状で低融点の低表面張
力物質によって被覆した粒状の成形材料により本課題が
解決することを見出し、本発明に到達したものである。
【0009】すなわち、本発明は、粒径が50μm 以上、
ディスクキュアー法で測定した熱流動性が60〜160mm で
ある粒状フェノール樹脂の表層に、融点が30〜160 ℃の
低表面張力物質が対フェノール樹脂組成比0.2 〜5 重量
%量被覆されてなるフェノール樹脂成形材料を要旨とす
るものである。
【0010】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明の粒状フェノール樹脂としては、粒径が50μm 以
上、好ましくは100 μm 以上で、ディスクキュアー法で
測定した熱流動性が60〜160mm であるフェノール樹脂が
好適に使用することができる。
【0011】ここで、粒径とは、粒体の平均最大径(外
接球直径)を表す。粒径が50μm 未満の場合は、成形機
への供給が安定して行えない。粒径の上限には特に制限
はない。例えば、実用的な粒径としては100 〜4000μm
が適当である。粒体形状は球形、円筒形、立方体形等い
ずれでも良いが粒径が小さい場合は球形の方が成形中の
輸送性が優れている。本発明における熱流動性とは常温
にては固体であるが、加熱状態にて負荷をかけたときに
流動性を示す特性をいうが、ただし、通常の熱可塑性の
樹脂の場合と異なって自己硬化性を有するので、ある程
度以上長時間流動性を示す温度にて加熱を続けると分子
内及び/又は分子間での縮合が始まって架橋が形成され
硬化する性質をもっている。この熱流動性を表す尺度と
して、後記するJIS規格(ディスクキュアー法)で測
定した160 ℃における所定荷重下の試料樹脂円板の流れ
(直径の伸び;mm)で表す。この熱流動性が60mm未満の
樹脂は成形性が悪くなり、他方、160mm を越える樹脂
は、硬化反応に必要な時間が長くなるため生産性が悪
く、しかも、硬化反応によって生成する水分等が成形品
内へ閉じ込められるため、欠陥製品となる恐れがある。
【0012】本発明の粒状フェノール樹脂の製造法とし
ては、例えば特開平4−159320号公報記載の方法
のように、ノボラック樹脂をヘキサメチレンテトラミン
のようなアルカリ触媒兼メチレン架橋剤及び懸濁安定剤
の存在下、水媒体中で懸濁重合を行う方法(自己硬化型
変性ノボラック樹脂法)、フェノール及びホルムアルデ
ヒドを塩基性触媒及び懸濁安定剤の存在下、水性媒体中
にて懸濁重合を行う方法等の重合法(固形レゾール樹脂
法)が好適に採用することができる。これらの方法にて
は、極めて高純度で真球状に近い球状微粒体が得られ
る。粒径の大きな成形原料を得るには、上記粒状フェノ
ール樹脂を造粒して所定の粒度の原料を調製する方法が
有効である。
【0013】本発明の低表面張力物質は、融点が30℃〜
160 ℃の常温にて固体状の低融点化合物で、かつ潤滑
性、離型性、非付着性等の低表面張力物質(例えば、常
温[ 25℃] で臨界表面張力が約35ダイン/cm以下の物
質)に特有の特性を有する物質であって、特に金属塩類
のような金属元素を含まないものが好ましい。
【0014】代表的な例としては、ラウリン酸、パルミ
チン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸;エチルステアレ
ート、ラウリン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノ
グリセライド、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタ
ンモノステアレート等の高級脂肪酸エステル;トリラウ
リン、トリステアリン、硬化ひまし油等の固形油脂類;
ステアリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマ
イド等の高級脂肪酸アマイド;セチルアルコール、ステ
アリルアルコール等の高級脂肪族アルコール;ステアリ
ルメタクリレート、ステアリルアクリレート等の高級脂
肪族(メタ)アクリレート;パラフィンワックス等のワ
ックス状炭化水素;パーフルオロオクタン酸、9H−ヘ
キサデカフルオロノナノン酸等の含多価フッ素高級脂肪
酸;N−エチルパーフルオロオクチルスルホンアミド等
の含多価フッ素高級脂肪族スルホンアミド;2−(パー
フルオロオクチル)沃化エチル、2−(パーフルオロデ
シル)沃化エチル等の含多価フッ素高級脂肪族沃化物;
1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノナノール、2−
(パーフルオロオクチル)エタノール、2−(パーフル
オロデシル)エタノール等の含多価フッ素高級脂肪族ア
ルコール;2−(パーフルオロデシル)メチルメタクリ
レート、1H,1H,11H−アイコサフルオロウンデシル
アクリレート等の含多価フッ素高級脂肪族(メタ)アク
リレート;パーフルオロドデカン等の含多価フッ素高級
脂肪族炭化水素;2−(P −オキシ安息香酸メチル・ヘ
キサフルオロプロペン3量体付加物等の含多価フッ素脂
肪族芳香族化合物、ペンタフルオロベンズアミド等の含
多価フッ素芳香族炭化水素;TFEワックス(テトラフ
ルオロエチレンテロマー)、CTFEテロマー(クロロ
トリフルオロエチレンテロマー)等の含多価フッ素オリ
ゴマー化合物等、あるいはこれらの誘導体、これらの一
種以上よりなる混合物並びにこれらに重合触媒等の添加
剤を配合した組成物等の低表面張力物質が挙げられる。
【0015】本発明のフェノール樹脂成形材料は、上記
粒状フェノール樹脂の粒体表面に上記低表面張力物質が
対フェノール樹脂組成比0.2 〜5 重量%好ましくは0.3
〜3重量%被覆されてなる複合粒状組成物であって、従
来、使用されていた圧縮成形のみならず、トランスファ
ー成形、射出成形、あるいは押出成形等の高流動成形に
ても使用できる成形材料である。
【0016】低表面張力物質が0.2 重量%未満では、成
形の際に、成形機のシリンダー内で閉塞が起こり連続し
て成形を行うことが困難になることがあり、他方、5重
量%を越えると成形性の向上効果が頭打ちとなり、また
透明な成形品が得にくい傾向がある。
【0017】粒状フェノール樹脂に対する低表面張力物
質の被覆は、各粒子間にてできるだけ均一に分布し、し
かも膜厚が均等であるように施されているものが好まし
い。
【0018】本発明の被覆法としては、所定組成の粒状
フェノール樹脂と低表面張力物質を、加熱装置付ブレン
ダーにて、低表面張力物質の融点以上粒状フェノール樹
脂の軟化点以下の温度域内の所定温度にて加熱しつつ混
和・攪拌する方法、両原料を上記温度下に流動床攪拌す
る方法、粒状フェノール樹脂に対して溶解性を示さず低
表面張力物質に対して良溶解性を示す溶媒によって低表
面張力物質を溶解し、この溶液に粒状フェノール樹脂を
混和しつ溶媒を留去・乾燥する方法等が推奨される。
【0019】この際、後記するように、本発明のフェノ
ール樹脂成形材料は、少なくとも成形時には水分含有量
が1重量%以下に制御されていることを必須の要件とす
るが、通常、重合後の原料フェノール樹脂は、数重量%
以上の水分を含有するので、使用に先立って、上記限度
内に水分が低減するように乾燥しておき、上記被覆を施
すのが有効な方法である。この際の乾燥法としては、粒
状フェノール樹脂を真空中又は乾燥空気循環下に60〜12
0 ℃の温度に加熱して行う方法が推奨される。本方法に
おいて、低表面張力物質によるフェノール樹脂の被覆と
フェノール樹脂の乾燥とを併せて行うのも効率的であ
る。
【0020】この方法で調製された成形材料は被覆膜が
撥水性低透湿性の低表面張力物質よりなるため、そのま
までも長期間設定水分含有量以下に維持することができ
るが、工業的には品質管理上、成形直前まで密封容器あ
るいは密封包装に収納して保管するのが好ましい。
【0021】もちろん、上記のように粒状フェノール樹
脂を乾燥せずそのまま被覆処理したフェノール樹脂成形
材料であっても、成形直前に乾燥を充分に行い、吸湿し
ない条件下に成形すれば、上記と同様の成形体となすこ
とができる。
【0022】本発明のフェノール樹脂成形材料を用い
て、通常の成形条件にて、トランスファー成形、射出成
形あるいは押出成形等の高流動成形を行うと、透明で気
泡を殆ど含まないフェノール樹脂高流動成形体が得られ
る。この際前記したように、成形機に供給するフェノー
ル樹脂成形材料としては、水分含有量が1重量%以下、
好ましくは0.2 重量%以下のものを用いることが推奨さ
れる。水分含有量が1重量%を越えると、成形の際に、
成形品中に気孔が残る。本発明のフェノール樹脂成形材
料より得られた成形体は、そのままでも多様な用途に使
用できるが、成形後140 〜240 ℃の温度域内の所定温度
でキュアリングすると、架橋がさらに進行し、硬化度の
高い各種製品が得られる。
【0023】本発明のフェノール樹脂成形材料より得ら
れる成形体、なかんずく上記水分含有量以下に制御した
成形材料を用いて高流動成形した高流動成形体は、波長
800nm の可視光線の光路1mm当りの光透過率が80%以上
の透明性で、1cm3 当り孔径100 μm 以上、好ましくは
20μm 以上の気孔が1個未満、気孔率が200 ppm 以下、
金属含有量が200 重量 ppm以下の高純度な成形体で、上
記特性を活かして光学製品等の種々の製品分野に適用す
ることができるが、これを真空または不活性雰囲気中で
高温焼成することにより、高純度のアモルファスカーボ
ンのような炭素材料として磁気ディスク基盤、坩堝容器
等の多様な用途に用いることができる。
【0024】例えば、磁気ディスク基盤の場合、板状成
形体の板表面の平滑性が高度に優れたものを要求され、
そのために成形品表面を精密研磨して仕上げる方法がと
られているが、この際、気泡、不純物、局在金属の存在
が研磨面の欠陥となって顕れるので、従来品では低グレ
ードのものしか得られていなかった。それに対して、本
発明のフェノール樹脂成形材料より得られる成形体は、
下記の特性を満足するものであるので、炭素材料に仕上
げた場合、このような欠陥が殆どなく、一段と高性能な
製品になる。
【0025】すなわち、本発明のフェノール樹脂成形体
より得られた高流動成形体は高透明性で、気孔が一段と
少ないものであり、また金属が殆ど含まれない高純度の
ものであって、化学構造的にも極めて均一なものであ
る。完全に高純度のフェノール樹脂でもキノイド系副反
応生成物等の分子性光吸収物の存在によって若干着色し
ているが、フェノール樹脂以外の微小な夾雑不純物や気
孔の存在によって、さらなる光の吸収、散乱等の損失を
生じ、透明性が失われる。したがって、透明性が優れて
いることは、これら微小な夾雑不純物や気孔が少ないこ
とを示している。これら不純物や気孔は、炭素材料にし
たとき面粗度を低下させる欠陥となる。特に孔径100 μ
m 以上の気孔は重欠陥となる。本発明のフェノール樹脂
成形材料は、水分含有量を低減して高流動成形すると極
めて高透明性で気孔が少なく、特に孔径100 μm 以上の
気孔は殆ど含まれないので、上記欠陥は殆ど顕れない。
【0026】また、金属の混入は、それが単体金属、あ
るいは金属酸化物、金属炭化物、金属硫化物、金属炭酸
化物、金属硫酸化物等の金属化合物、又は有機酸塩類、
錯塩類、キレート類等の有機金属化合物等いずれの形で
存在する場合でも、炭素材料に仕上げた時に炭素素材中
に夾雑する微小な単体金属、金属酸化物、金属炭化物、
等の局在金属となり、近傍の炭素を異質化して欠陥とな
る。本発明のフェノール樹脂成形材料は主原料の粒状フ
ェノール樹脂が高純度で金属を殆ど含まない上に、被覆
剤の低表面張力物質も金属を殆ど含まない物質であるの
で、上記した局在金属による欠陥は殆ど生じない。
【0027】
【作用】従来のフェノール樹脂熱流動性粒状成形材料の
高流動成形においては、前記したようにガラス繊維補強
材を用い、しかも金属含有有機滑剤を併用して成形して
いたが、前記したように超高精度炭素製品等の二次加工
品にて要請される特性上の要望から、この両配合剤を排
除して成形しようとすると、成形機の加熱ゾーン以降で
閉塞を起こし全く成形ができない。
【0028】これに対して、本発明のフェノール樹脂成
形材料は、各粉粒体が潤滑性の高い低表面張力物質によ
って均一に被覆されているため、固体輸送部はもとよ
り、加熱ゾーンの圧縮輸送部までの全輸送区間において
も均一輸送(プラッグフロー)が達成され、しかも、加
熱ゾーンの樹脂が溶融する直前の圧縮輸送区間において
も粒状フェノール樹脂と低表面張力物質が分離すること
なく流動性を維持し、しかも溶融された低表面張力物質
によって粒状フェノール樹脂が被覆された状態にて液状
潤滑しつつ移動する。次いで同加熱ゾーンにて低表面張
力物質によってに被覆されたフェノール樹脂が溶融し凝
集・混練を開始すると同時に液状の低表面張力物質とフ
ェノール樹脂が二層に分離して、均一なフェノール樹脂
層の表面に低表面張力物質の液状被覆が形成される。か
くして低表面張力物質の液状被覆はシリンダー壁面にお
ける流体の流動抵抗を低減せしめて、均質かつ高流動性
の成形流体を形成し、トランスファー成形あるいは射出
成形の場合は金型内に、押出成形の場合はダイズ(ノズ
ル)より外系に、射出あるいは押出す。低表面張力物質
は金型内でも成形品表面を被覆し、金型より成形体を離
型する際、離型性を向上せしめる。
【0029】上記したように、本発明のフェノール樹脂
成形材料の成形は加熱ゾーンの圧縮輸送区間から樹脂溶
融/混練区間にかけて樹脂溶融・混練と低表面張力物質
分散が極めてスムーズに進行するため、成形体は均質で
樹脂中に気孔の混入が殆ど起こらない。
【0030】本発明の低表面張力物質は、従来の滑剤と
は異なって、滑剤、流動性改良剤、非付着剤、離型剤と
多様な機能を発揮する成形助剤の役割を果たす物質であ
る。なお、本発明の低表面張力物質は成形品を炭素材料
に焼成する際に、そのまま蒸散するかあるいは分解蒸散
して炭素材料にはその痕跡を殆ど残さない。
【0031】本発明のフェノール樹脂成形材料は従来の
フェノール樹脂成形の主流である圧縮成形でも成形でき
るが、従来成形の困難であったトランスファー成形、射
出成形あるいは押出成形等の高流動成形において好適に
成形できるので、一段と進歩した成形材料である。
【0032】これを成形製品面から観ると、圧縮成形体
の場合は原料の粒状フェノール樹脂を混練等の均質化処
理をせずに、焼結成形のように各粉粒体を溶融すると共
にそのまま融着して一体化した成形体であるのに対し
て、高流動成形体の場合は原料の粒状フェノール樹脂を
一旦完全に溶融し、高速流動(トランスファー成形)あ
るいは混練(射出成形又は押出成形)して流体を均質化
し成形した成形体であるので均質で、化学構造的にも一
様である。しかも、高流動成形体は高生産性の上に寸法
精度及び寸法再現性が優れている。
【0033】
【実施例】次に本発明を実施例によって具体的に説明す
る。 参考例1 ノボラック樹脂(三井東圧化学(株)製#600)150
重量部を160 ℃で溶融して、完全けん化ポリビニルアル
コール(重合度約2000)1重量部を溶解した90℃の熱水
(220 重量部)中へ攪拌しながら投入して分散し懸濁系
を形成し、続いてヘキサミン24重量部を40重量部の温水
に溶解して添加し、さらに同温度にて20分間攪拌を続け
て懸濁重合を行い、反応を終了、懸濁体を固液分離し、
自然乾燥して粒状フェノール樹脂を得た。このフェノー
ル樹脂の特性を表1に示す。ただし、表1に示すフェノ
ール樹脂の特性は以下の方法で測定した。熱流動性(以
後、HPFと略称する。)は、JIS−K−6911
19795.3.2[成形材料(円板式)]の方法に基づ
き、試料2gを160 ℃で1分間1145Kgの荷重下で熱プレ
スし、形成される円板の直径(最長径と最短径の平均
値)から求めた。平均粒径は、試料をガラスプレート上
に展開して顕微鏡写真を撮り、任意に選んだ100 個の粒
径を測定して、その平均値で示した。水分は、赤外線ヒ
ーターを用い、試料10g を80℃で30分間加熱しその重量
減少から求めた。
【0034】
【表1】
【0035】参考例2 参考例1と同様に、ただし、完全けん化ポリビニルアル
コールの量を1.5 重量部に増やして、HPF145mm 、平
均粒径138 μm 、水分2.3 重量%のフェノール樹脂を調
製し、目開き50μm 、100 μm 、150 μm のフルイを用
いて分級し、50μm アンダー(実験No. 9)、50〜100
μm (実験No. 10)、100 〜150 μm(実験No. 1
1)及び150 μm以上(実験No. 12)分画物を得た。
また、実験No. 9分画物の樹脂を造粒して、直径2mm、
長さ3mmの円筒状ペレット(実験No. 13)を調製し
た。これらの上記特性を表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】実施例及び比較例 実験No. 1〜13の各粒状フェノール樹脂について、加
熱ジャケット付ブレンダーを用いて、下記表3に示す条
件にて70℃にて加熱しつつ混合して、低表面張力物質を
被覆し、70℃で相対湿度2%以下の空気を用いて乾燥
し、フェノール樹脂成形材料を調製した。
【0038】
【表3】
【0039】ついで、松田製作所製EM35−25KS
−10型射出成形機を用いて、シリンダー温度120 ℃、
金型温度170 ℃、射出圧力70〜150Kg /cm2 の射出条件
で、直径100mm 、厚さ2mm、目付20g の円板を成形し、
この成形品について以下に示した評価基準及び測定法に
て、成形性、光透過率、気孔数、金属含有量を評価し
た。この結果を表3に示す。
【0040】成形性(評価基準) ○:連続して所定サイクル(90秒)で射出成形が可能で
ある。 △:射出成形は可能であるが、前述条件では連続して所
定サイクルで成形できない。 ×:フェノール樹脂成形材料の飲い込不良、シリンダー
での閉塞等により射出成形できない。
【0041】光透過率(測定法) 日立U−3400型自記分光光度計を用い25℃での円板
試料の光透過率(波長800nm の可視光線の試料厚さ1mm
当りの入射光と出射光の強度比を百分率で表した値)を
測定した。1 試料当り10点の測定値の平均値を求めた。 気孔数(測定法) 倍率300 倍のオリンパス社実体顕微鏡を用い、同上試料
の視野下における10cm2 当りの孔径100 μm 以上の気孔
の数を数え、体積換算して1cm3 当りの同左気孔数を求
めた。 繰返し点数 10点 金属含有量(測定法) 日本ジャーレルアッシュ社発光分光分析装置I.C.A.P −
575を用い、発光分光分析を測定した。なお、金属含
有量は凡ての試料とも100ppm以下であったので表3には
表記しなかった。
【0042】同表3において各低表面張力物質の略号
は、下記の化合物(融点)を表す。 SMG:ステアリン酸モノグリセライド(60℃) SE :ステアリン酸エチル(34℃) SAL:ステアリルアルコール(56℃) SMP:ソルビタンモノパルミテート(46℃) SAC:ステアリン酸(66℃) M :マンニトール(166 ℃) SAM:ステアリン酸アマイド(100 ℃)
【0043】表3において、No. 1、No. 8、No. 9、
No. 14、No. 18、No. 20及びNo. 25の各試料
は、比較例に相当するものであって、それぞれ下記の問
題点の存在が明らかとなった。試料No. 1は、フェノー
ル樹脂成形材料を構成するフェノール樹脂のHPFが45
mmと低いため、射出成形機のシリンダー内での流動性が
悪く閉塞して、射出成形できなかった。試料No. 8は、
同上HPFが160mmwを越えているので、射出成形はうま
くいったが、金型内で成形品の表層が硬化した後も内部
で縮合が進み、成形品内部に多数の気孔が形成された。
試料No. 9は、フェノール樹脂成形材料の粒径が50μm
未満の微粒体であり、食い込み不良により、連続して安
定な射出成形ができなかった。試料No. 14は、低表面
張力物質が0.2 重量%未満なのでシリンダー内閉塞によ
り、射出成形ができなかった。試料No. 18は、低表面
張力物質が5重量%を越えて多量に存在するので、成形
品の透明性が損なわれ、成形材料の気泡欠陥評価が困難
であった。試料No. 20は、フェノール樹脂成形材料の
水分が1重量%を越えて多量に存在するので、成形品内
部に無数の気孔が形成された。試料No. 25は、低表面
張力物質の融点が160 ℃以上なのでフェノール樹脂の乾
燥時、均一な被覆ができず、かつ射出成形の際溶融しに
くいため、充分な成形性が得られなかった。
【0044】本発明のフェノール樹脂成形材料は表3の
実施例(すなわち、上記各比較例試料以外の試料)から
明らかなように、繊維補強材及び金属含有有機滑剤を全
く含まないにもかかわらず、安定して射出成形が可能で
あり、成形品は透明でかつ孔径が100 μm 以上の気孔(
以後、大気孔と称する) 及び含有金属の殆どないもので
あった。また、本実施例の成形品は、いずれも不活性ガ
ス中で、1200℃で焼成して、高純度のアモルファスカー
ボン材料となることを確認することができた。
【0045】
【発明の効果】本発明のフェノール樹脂成形材料は、乾
燥品をそのまま高流動成形装置に供給して極めて容易に
高流動成形体を成形することができ、また、本発明のフ
ェノール樹脂成形材料より得られた高流動成形体は透明
で大気孔を殆ど含まないとともに金属含有量が極めて少
なく、真空または不活性雰囲気中で高温焼成することに
より、高純度の炭素材料として磁気ディスク基盤、坩堝
容器等の多様な用途に用いることができる。また、本高
流動成形体は、安価で耐熱性、剛性率、硬度、電気絶縁
性、耐薬品性等の諸特性が優れた光学部品、容器、ウイ
ンドー材等の製品として多様な用途に好適に使用するこ
とができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒径が50μm 以上、ディスクキュアー法
    で測定した熱流動性が60〜160mm である粒状フェノール
    樹脂の表層に、融点が30〜160 ℃の低表面張力物質が対
    フェノール樹脂組成比0.2 〜5 重量%量被覆されてなる
    フェノール樹脂成形材料。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5747631A (en) * 1993-08-11 1998-05-05 Unitika Ltd. Precursor of amorphous carbon molded article

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US5747631A (en) * 1993-08-11 1998-05-05 Unitika Ltd. Precursor of amorphous carbon molded article

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