JP3594950B2 - 粉末加工用フッ素樹脂粉末組成物 - Google Patents

粉末加工用フッ素樹脂粉末組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は粉体塗装や回転成形等の粉末加工用粉末として有用なフッ素樹脂粉末組成物に関する。更に詳しくは、ポリテトラフルオロエチレン粒子を含有して成るテトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルコキシトリフルオロエチレン)共重合体粉末組成物で、表面平滑性に優れた塗膜や成形物を得るに適したフッ素樹脂粉末組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルコキシトリフルオロエチレン)共重合体はPFAという略称で知られ、溶融成形が可能であることから、その粉末は鉄、アルミニウム等基材への塗装やライニングあるいは容器等の回転成形に利用されているが、得られる塗膜や成形物の表面が平滑でないため汚染物が表面に付着しやすく、洗浄によっても除去し難いという問題が指摘されている。表面平滑性に影響を及ぼす第1の因子は重合体粉末の膜形成性であり、重合体粉末の粒子径、粒子形状、溶融流動性、熱安定性などの物性が膜形成性に影響を及ぼすことが知られており、これに関しては既に多くの検討がなされている。第2の因子は重合体の結晶性に関するものであり、PFAの結晶化時に直径20〜150ミクロンに達する粗大な球晶が形成され塗膜や成形物表面で球晶境界領域が深い溝となるため平滑性に悪影響を与える。この第2の因子に関しては従来全く検討がなされていない。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は膜形成性に優れ、且つ結晶化時に形成される球晶が微細であるため粉体塗装や回転成形等の粉末加工により表面平滑性に優れた塗膜や成形物を与えるPFAの粉末組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の目的を達成するため研究した結果、少量の特定のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)をPFAに含有させることにより、球晶が微細化され、しかもPFAの他の特性を損なうことなく、PFA粉末から形成された塗膜や回転成形物の表面平滑性を著しく改善出来ることを見いだしたものである。
【0005】
即ち本発明は、示差走査熱量計を用い、200℃〜380℃まで10℃/分で昇温、380℃で1分間保持後、200℃まで10℃/分で降温の条件で得られる結晶化曲線において結晶化ピークで形成されるピーク面積から求めた結晶化熱が50J/g未満、平均粒径が0.05〜1ミクロンであるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子と、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルコキシトリフルオロエチレン)共重合体(PFA)との混合物を、該PFAの融点以上に加熱された雰囲気中に噴霧するか、または該PFAの融解開始温度以上、融点を越えない温度で熱融着して得られたPFA粉末組成物であって、該粉末組成物の平均粒径が1〜1000ミクロンで、且つ無荷重溶融流動度が下記の式
log10F≧3.12−0.70log10η………(1)
〔式中Fは共重合体粉末組成物の無荷重溶融流動度、ηは372℃における共重合体粉末組成物の比溶融粘度(ポイズ)を表す。〕
を満足することを特徴とする粉末加工用フッ素樹脂粉末組成物である。
【0006】
本発明においてテトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体(PFA)とは、テトラフルオロエチレンと下記式(1)又は式(2)で表されるフルオロアルコキシトリフルオロエチレンとの結晶性共重合体である。
【0007】
【化1】
Figure 0003594950
(XはH又はF、nは0〜4の整数、mは0〜7の整数)
【0008】
【化2】
Figure 0003594950
(qは0〜3の整数)
【0009】
本発明の粉末組成物に用いるPFA中のフルオロアルコキシトリフルオロエチレン含有量が1〜10重量%のものが好ましい。この共重合体はまた、372±1℃において0.5〜100×104ポイズの範囲の比溶融粘度を有することが好ましく、より好ましい範囲は0.5〜50×104 ポイズである。比溶融粘度が0.5×104 ポイズより低い場合は溶融時の「たれ」により均一な膜厚の成形物が得難く、又成形物の耐ストレスクラック性も悪化する。比溶融粘度が100×104 ポイズより高い場合は膜形成性が低下し均一な塗膜や成形物を得難い。本発明の組成物の原料となるPFAの粉末は縣濁重合、溶剤重合、乳化重合等のいずれの方法で得られるものであっても良いが、後記するPTFE粒子とできるだけ均一な混合状態を得るため、原料PFA粉末の平均粒径はPTFE粒子との混合前又は混合中に10ミクロン以下とすることが望ましい。
【0010】
上記PFAに添加混合するPTFEはテトラフルオロエチレンのホモポリマー又は1重量%未満の微量のヘキサフルオロプロピレン(HFP)、フルオロアルコキシトリフルオロエチレン、フルオロアルキルエチレン、クロロトリフルオロエチレン等の変性剤を含有する変性PTFEである。
【0011】
本発明においてし使用されるPTFEは、結晶化熱が50J/g未満のコロイド状PTFE粒子である。
PFA粉末に添加配合するPTFEを(1)結晶化熱が50J/g以上のものと(2)結晶化熱が50J/g未満のものとに分けた場合、PTFE(1)は例えば「モールディングパウダー」や「ファインパウダー」等の高分子量PTFEの放射線照射分解や熱分解、あるいは連鎖移動剤の存在下におけるTFEの重合等によって得ることができ、通常平均粒径20ミクロン以下の粉末として入手される。このようなPTFEは低分子量であるため、粒径の大きさには関係なく極めて解砕し易く、PFA粉末との混合過程で容易に微粉化してPFAとの均一な混合状態を得ることができる。これに対し、上記PTFE(2)はPTFE(1)に比べて高い分子量を有し、一般的にはPFAとの均一な混合状態を得ることが困難であると考えられていたが、本発明においては、結晶化熱が50J/g未満のポリテトラフルオロエチレン粒子であっても、それがコロイド状PTFE粒子であれば使用することができることを見出した。
【0012】
ここにコロイド状PTFE粒子とは0.05〜1ミクロンの平均粒径を有するPTFE粒子であり、乳化重合によって得ることができる。これに対し、例えば懸濁重合で得られる「モールディングパウダー」のように、結晶化熱が50J/g未満であって数十ミクロンから数百ミクロンの平均粒径を有するPTFEでは本発明の目的を達成することはできない。
【0013】
前記条件を満足するPTFEをPFAに含有させることにより平均球晶径は急激に減少する。PTFEの含有量としては組成物を溶融状態から10℃/分の冷却速度で結晶化させた時、15ミクロン以下、好ましくは10ミクロン以下の平均球晶径を与え得る有効量とすることが望ましい。
【0014】
成形品の表面平滑性を向上させるためには、平均球晶径をできるだけ小さくすることが望ましい。PTFE含有量の増加と共に平均球晶径は減少する傾向があるが、含有量が1重量%以上になると、平均球晶径はほぼ一定となる。
【0015】
本発明の粉末組成物では後記する方法により測定される無荷重溶融流動度Fが粉末組成物の372℃における比溶融粘度ηと関係付けられる下記の式を満足することが必要である。
log10F≧3.12−0.70log10η……(1)
【0016】
無荷重溶融流動度が上記の式を満足しない組成物では表面の平滑な塗膜や成形物を得難い。過大なPTFE含有量は組成物の無荷重溶融流動度を低下させ表面平滑性を損なう傾向があり、この傾向は特に高分子量のPTFEにおいて顕著である。従ってPTFE含有量は無荷重溶融流動度が上記の式を満足する範囲内で選択されねばならない。このようなPTFE含有量の上限はPTFEの分子量に大きく依存し、結晶化熱が50J/g以上であるPTFEではPTFE粒子を比較的多量に添加することが許容されるが、本発明の50J/g未満の結晶化熱を有する高分子量PTFEでは、上記式(1)を満足するためには、より厳密な添加量の調整が必要となる。式(1)を満足する限り、添加量には特に制限はないが、0.001重量%以上で1重量%以下、好ましくは0.2重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下の含有量が目安となる。
【0017】
上記PFAとPTFEとの混合方法に特に限定はなく、PFA粉末とPTFE粉末とのドライブレンド法、PFA分散液とPTFE粉末又はPTFE分散液との湿式ブレンド法等、均一な混合状態が得られるいかなる方法をも利用することができる。また予めPFAの重合槽内の重合媒体中にPTFEの粒子を分散してPFAの重合を開始させ、PTFEを含有するPFA組成物を得るなどの方法もとり得る。
【0018】
混合後の粉末は見かけ比重等の粉体特性を向上させるため公知の方法により各種の処理をすることができる。このような処理方法としては(1)混合粉末又は分散液をPFAの融点以上に加熱された雰囲気中に噴霧する方法(特公昭53ー11296、特公昭52ー44576)(2)ロールやプレスにより混合粉末を圧縮した後粉砕する方法(3)混合粉末を疎水性溶媒の存在下又は疎水性溶媒と水の共存下で造粒又は造粒後粉砕する方法。(4)PFAとPTFEとの混合水性分散液を凝集した後疎水性溶媒を添加して造粒又は造粒後粉砕する方法等を挙げることができる。
【0019】
本発明のPTFE/PFA共重合体粉末組成物は、PTFE粒子とPFAとの混合物を、該PFAの融点以上に加熱された雰囲気中に噴霧するか、またはPFAの融解開始温度以上、融点を越えない温度で熱融着して得られる。
特開昭62ー260849にはTFE系共重合体造粒粉末の粒子の耐崩壊性を向上させるため、繊維化傾向の高いPTFEの「モールディングパウダー」や「ファインパウダー」の高い繊維化傾向を利用し、これらのPTFEをバインダーとして添加することが提案されている。しかし、本発明で使用される結晶化熱50J/g未満のPTFEは、微量で用いられるためバインダーとして耐崩壊性を向上させる効果がない。従って上記(3)、(4)等の方法によって造粒された粉末は崩れて微粉化し粉体特性が悪化し易い。しかし造粒粉末をPFAの融解開始温度以上融点を越えない温度、例えば265〜310℃で熱融着することにより、微粉化を防止することができることを見出した。又(2)〜(4)で粉砕によって得られた粉末粒子は通常不定形で見かけ密度が低いため、これを改善する目的で粉砕後の粉末を同様の温度で熱融着することもできる。
【0020】
更に、混合粉末組成物の溶融時の熱安定性を向上させる目的で混合前の粉末あるいは混合後の粉末組成物を例えば特開昭62ー104822や特開平2ー163128の方法によりふっ素ガス処理することにより重合体末端基を安定化することもできる。
【0021】
本発明の粉末組成物は公知の各種熱安定剤を含有することができる。熱安定剤としては、アミン系酸化防止剤、有機硫黄系化合物(特開昭55ー9603)、錫又は亜鉛粉末(特公昭55ー50066)、フェノール系酸化防止剤(特開昭55ー38802)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)の粉末(特開平5ー112690)等を例示することができるが、耐薬品性に優れ、溶出物の問題がない点においてPPS粉末が熱安定剤として好ましい。。
【0022】
本発明の粉末組成物は用途によっては各種の充填材を含有することもできる。充填材としては、金属粉末、金属繊維、カーボンブラック、カーボン繊維、炭化珪素、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク、グラファイト、耐熱性樹脂例えばポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、芳香族ポリアミド等を例示することができる。本発明の目的を達成するためには、充填剤は表面平滑性に悪影響のない微粉末状であることが望ましい。
【0023】
以上により得られる本発明の粉末加工用の粉末組成物は1〜1000ミクロンの平均粒径を有するものであり、この内回転成形や回転ライニング等の粉末成形用に適した平均粒径は100〜1000ミクロン、好ましくは150〜500ミクロンであり、粉体塗装用に適した平均粒径は1〜150ミクロンである。
【0024】
【発明の効果】
本発明の粉末組成物は従来の粉末加工用PFA粉末と同様の加工条件により加工することがでる。回転成形によって得られる容器やパイプ、あるいは回転ライニング又は粉末塗装によってライニング又はコーティングされた容器、パイプ、継手等の加工物の表面は従来のPFA粉末から得られる加工物の表面に比べて平滑性に優れている。従って、加工物表面に付着したダスト粒子を短時間の洗浄で除去することができる。添加剤として使用されるPTFEはPFAと同等の耐熱性や耐薬品性を有するので加工物表面の物性も優れている。特に本発明の組成物の内、熱安定剤や充填材として金属等の薬液によって溶出する成分を含有しない組成物から得られる加工物は、例えば異物の混入を嫌う半導体製造工程で使用される高純度薬液を取り扱うための設備に適している。
【0025】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明する。なお実施例及び比較例で使用した原料PFA及びPTFEの種類、得られた組成物の物性の測定は下記のとおりである。
【0026】
(A)原料フッ素樹脂
(1) PFA
下記のテトラフルオロエチレン/パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)共重合体水性分散液aを使用した。
【0027】
【表1】
Figure 0003594950
【0028】
(2)PTFE
下記2種のPTFE水性分散液AおよびBを使用した。
【0029】
【表2】
PTFE水性分散液
Figure 0003594950
【0030】
(B)物性測定法
(1) PFA中のPPVE含有量測定法:
試料PFAを350℃で圧縮した後、水冷して得られた厚さ約50ミクロンのフィルムの赤外吸収スペクトル(窒素雰囲気)から下記の式により吸光度比を求め、予めPPVE含有量既知のスタンダードフィルムによって得られた検量線を使用して試料のPPVE含有量を求めた。、
吸光度比=吸光度(波長10.07ミクロン)/吸光度(波長4.25ミクロン)
【0031】
(2) PTFEの融解温度・結晶化温度・結晶化熱
パーキンエルマー社製DSC7型を使用した。試料5mgを秤量して専用のアルミパンに入れ、専用のクリンパーによってクリンプした後DSC本体に収納し昇温を開始する。200℃から380℃まで10℃/分で昇温し、この時得られる融解曲線から融解ピーク温度を融解温度(Tm1:℃)として求めた。試料を380℃で1分間保持した後、200℃まで10℃/分で降温し、この時得られる結晶化曲線から結晶化ピーク温度を結晶化温度(Tc:℃)として求めた。結晶化熱(Hc :J/g)は常法に従い、結晶化ピーク前後で曲線がベースラインから離れる点とベースラインに戻る点とを直線で結んで定められるピーク面積から求めた。試料を200℃で1分間保持した後、再度380℃まで10℃/分で昇温し、この時得られる融解曲線から融解ピーク温度を融解温度(Tm2、℃)として求めた。
【0032】
(3) 粉末の平均粒径
平均粒径100ミクロン以上の粉末についてはJIS標準ふるい及び電磁振とうふるい機(FRITSH ANALYSETTE)を使用し、試料量50gで乾式ふるい法によって粒度分布を測定し平均粒径を求めた。平均粒径100ミクロン以下の粉末については島津遠心沈降式粒度分布測定装置(SAーCP4L)を使用して粒度分布を測定し平均粒径を求めた。
【0033】
(4) 分散液コロイド状微粒子の平均粒径
米国特許3,391,099記載の方法に従い波長0.546ミクロンにおける希釈分散液の光透過度を測定し、予め定められた平均粒径と光透過度との相関に基づき平均粒径を求めた。
【0034】
(5) 平均球晶径
無荷重溶融流動度測定後の試験片を厚み方向にスライスして得られた厚さ約0.2mmの円板状切片を試料としてスライドグラスにのせ、メトラーFP82HT型ホットステージに取り付けた。360℃まで10℃/分で昇温して試料を融解させ、360℃で3分間保持した後200℃まで10℃/分で降温して再結晶化させた。試料部温度が200℃に達した後試料をのせたスライドグラスをホットステージより取り外し、偏光により球晶構造を確認しながら光学顕微鏡倍率100及び400倍で試料表面を観察した。試料表面に観察される連続した200個の球晶の直径を測定し、その平均値を平均球晶径とした。なお、球晶は隣接して成長した球晶との衝突により、いびつな多角形として観察されるので、その長軸径を直径とした。また平均球晶径が5ミクロン以下の試料については走査型電子顕微鏡(3000倍及び5000倍)を併用して球晶径を測定した。
【0035】
(6) 表面粗さ
#600サンドペーパーで研磨した厚さ1mmの軟鋼板上に直径40mm、高さ10mmのの円形アルミニウム枠を置きその中に粉末組成物を約5g充填した後熱風循環炉中で360℃で1時間焼成し、炉より取り出して室温まで放冷し厚さ約2mmの試験片を得た。この試験片の表面について走査型レーザー顕微鏡(レーザーテック(株)製1LM21型)を使用して平均粗さを測定した。尚、実施例22及び比較例11では静電塗装膜の表面について、実施例23及び比較例12では回転ライニング面について平均粗さを測定した。
【0036】
(7) 引張強度・伸び
試料をホットプレス上の350℃に加熱された金型中に充填し、20分間加熱した後、約5kgf/cm2 の圧力で約1分間加圧し、次いで金型を室温のプレス上に移して約30kgf/cm2 に加圧し、20分間放置して冷却する。
このようにして作成された厚さ約1.5mmのシートよりASTMD1457−83に従って5枚の試験片を切り出し、初期つかみ間隔22.2mm、引張り速度50mm/分で引張り試験を行い、破断時の強度及び伸び(試験片5枚の平均値)を求めた。
【0037】
(8) 比溶融粘度
東洋精機製メルトインデクサーを使用し、5gの粉末試料を372℃±1℃に保持された内径9.53mmのシリンダーに充填し、5分間保持した後、5kgの荷重(ピストン及び重り)下に内径2.1mm、長さ8mmのオリフィスを通して押し出し、この時の押し出し速度(g/分)を求めた。比溶融粘度は下記の計算式により算出した。
比溶融粘度 η(ポイズ )=53150/押し出し速度(g/分)
【0038】
(9) 無荷重溶融流動度(F)
粉末無組成物を370℃で溶融圧縮成形して得た厚さ2mmシートから打ち抜かれた直径25(D0 )mm,厚さ2(t)mmの円盤状試験片を#600のサンドペーパーで研磨した厚さ1mmの軟鋼板上に置き、熱風循環炉中で310℃で30分間加熱した後360℃で更に1時間加熱する。
次いで試験片を載せた軟鋼板を炉より取り出し室温まで放冷する。溶融して広がった試験片の直径(D1 )を測定し、次式により無荷重溶融流動度Fを算出する。
F=(D1−D0 )/2t
【0039】
(10)限界溶融流動度(f)
下記式(1)により粉末組成物の372℃における比溶融粘度ηより算出し、得られたf値と上記(9) で得られた実測のF値との大小を比較した。(本発明組成物ではF≧f)
log10f=3.12−0.70log10η……(1)
【0040】
[実施例1〜5、比較例1〜3]
市販「ファインパウダー」の原料である平均粒径0.2ミクロン、結晶化熱34J/gのPTFEの水性分散液Aを、平均粒径0.2ミクロンPPVE含有量3.4重量%、融解温度308℃、比溶融粘度4.0×10ポイズのPFAの水性分散液に、樹脂分中のPTFEの割合が0.001〜1重量%となるように添加し、更にPPS粉末を樹脂分に対して1重量%の割合で添加した後、撹はんしながら硝酸を加えてエマルジョンを破壊し、次いでトリクロロトリフルオロエタンを加えて撹はん造粒した。このようにして得られた造粒粉末を水洗し、300℃で10時間乾燥熱融着した後、目開き1000ミクロンのふるいで分級することにより粉末組成物を得た。粉末組成物及び試験片の特性を同様の操作をPTFE粉末を添加せず実施した比較例の結果と共に表3に示す。
【0041】
[実施例6]
平均粒径0.13ミクロン、結晶化熱47J/gのPTFEの水性分散液Bを実施例1で使用したPFAの水性分散液に、樹脂分中のPTFEの割合が1重量%となるように添加し、実施例16と同様にして粉末組成物を得た。粉末組成物及び試験片の特性を表4に示す。
【0042】
【表3】
Figure 0003594950
【0043】
【表4】
Figure 0003594950

Claims (3)

  1. 示差走査熱量計を用い、200℃〜380℃まで10℃/分で昇温、380℃で1分間保持後、200℃まで10℃/分で降温の条件で得られる結晶化曲線において結晶化ピークで形成されるピーク面積から求めた結晶化熱が50J/g未満、平均粒径が0.05〜1ミクロンであるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子と、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルコキシトリフルオロエチレン)共重合体(PFA)との混合物を、該PFAの融点以上に加熱された雰囲気中に噴霧するか、または該PFAの融解開始温度以上、融点を越えない温度で熱融着して得られたPFA粉末組成物であって、該粉末組成物の平均粒径が1〜1000ミクロンで、且つ無荷重溶融流動度が下記の式(1)
    log10F≧3.12−0.70log10η………(1)
    〔式中Fは共重合体粉末組成物の無荷重溶融流動度、ηは372℃における共重合体粉末組成物の比溶融粘度(ポイズ)を表す。〕
    を満足することを特徴とする粉末加工用フッ素樹脂粉末組成物。
  2. PTFE粒子の含有量が0.001重量%以上である請求項1に記載の粉末加工用フッ素樹脂粉末組成物。
  3. PTFE粒子の含有量が1重量%以下である請求項1または2に記載の粉末加工用フッ素樹脂粉末組成物。
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