JPH11342279A - 車両用シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 シートバック用のクッション体の背裏面の凹
みに袋状のシートカバーをぴったりと被覆した車両用シ
ートを提供すること。 【解決手段】 縁取用突部１ａで囲まれる凹み２を背裏
に形成したシートバック用のクッション体１に袋状のシ
ートカバー３を被覆してその背裏の凹み被覆部３ａを裏
側の両側辺と上辺に縫着された縦・横の吊り袋５ａ、５
ｂに挿通した引込用のワイヤ７ａ、７ｂにより凹み２内
に引き込んだ車両用シートであって、凹み被覆部３ａの
裏側のコーナー部に硬質プレート６を添わせてその角部
を挟む２辺を凹み被覆部３ａのコーナー部縁辺に縫着
し、また、吊り袋５ａ、５ｂは凹み被覆部３ａの両側辺
と上辺より短くしてワイヤ７ａ、７ｂの引き込みにより
硬質プレート６を介して凹み被覆部３ａのコーナー部を
緊張状態を保持する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、縁取用突部で囲ま
れる凹みが背裏面に形成されたシートバック用のクッシ
ョン体に袋状のシートカバーを被覆してある車両用シー
トに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の車両用シートはその背裏をフラッ
ト面としたものが主流であったが、最近では背裏面にポ
ケット等を取付けたり或いはレッグスペースをより広く
するために背裏面を縁取用突部で囲まれる凹みに形成し
たものが提案されている。

【０００３】ところが、このような背裏面に凹みが形成
されている車両用シートにおいては、これに被覆されて
いる袋状シートカバーが凹みに弛みなく添うようにすた
めに多数個の樹脂フックを用いてシートカバーを凹み内
に引き込み固定したり、凹みの大きさに対応した別物の
バックボードを用いてシートカバーを凹み内に引き込み
固定する手段が採られており、この結果、部品点数が多
くなって縫製作業性や装着作業性に劣るとともに、生産
コストも高くなるという問題点があった。また、図５に
示されるように、シートカバーの裏面に引き込み用の吊
り袋２０、２１を縫着してこの吊り袋２０、２１をワイ
ヤ２０ａ、２１ａで引き込むことによりシートカバーを
凹み内に引き込み固定する方法も知られているが、複数
のシートカバー材が集合するコーナー部に対応する箇所
では吊り袋同志が重なり合う等の縫製上の制約から、縦
・横の吊り袋はシートカバーの凹み被覆部の両側辺や上
辺より短くなり、このため、コーナー部には隙間Ｓ１、
Ｓ２を生じ、この結果、凹み被覆部のコーナー部は凹み
に沿った緊張状態を保持されず、張り感がなくなるとと
もにシワが発生して外観品質が低下するという問題点が
あった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は前記のような
従来の問題点を解決して、シートカバーを背裏面の凹み
に添って簡単かつ確実に被覆することができるととも
に、特にコーナーにおいても張り感をなくしたりシワを
発生させることがなく外観品質を向上させることがで
き、また、部品点数が少なくて優れた縫製作業性および
装着作業性も発揮することができ、しかも、生産コスト
の低廉化を図ることもできる車両用シートを提供するこ
とを目的として完成されたものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前記のような課題を解決
するためになされた本発明の車両用シートは、縁取用突
部で囲まれる凹みが背裏面に形成されたシートバック用
のクッション体に袋状のシートカバーを被覆して該シー
トカバーの背裏の凹み被覆部をその裏側の両側辺および
上辺に縫着された縦・横の吊り袋に挿通された引込用の
ワイヤにより凹みの内部に引き込んだ車両用シートであ
って、前記凹み被覆部の裏側のコーナー部に硬質プレー
トを添わせてその角部を挟む２辺を前記凹み被覆部のコ
ーナー部縁辺に縫着するとともに、前記縦・横の吊り袋
は凹み被覆部の両側辺および上辺より短くてその端部が
前記硬質プレートの縫着部中間に位置するものとして、
前記引込用のワイヤの引き込みにより吊り袋と共に凹み
に引き込まれる硬質プレートを介して凹み被覆部のコー
ナー部が緊張状態を保持するようにしたことを特徴とす
るものである。

【０００６】

【発明の実施の形態】次に、本発明の好ましい実施の形
態を図４に示すような自動車用前部座席のバックシート
に適用した場合について詳細に説明する。１はポリウレ
タンフォームよりなるバックシート用のクッション体で
あって、このクッション体１の背裏面は、その全周また
は上縁から両側縁にわたる部分が縁取用突部１ａとして
残されてこの縁取用突部１ａに囲まれる凹み２が形成さ
れている。３はクッション体１を覆うファブリック地よ
りなる袋状のシートカバーであって、このシートカバー
３は、表面被覆部３ｃと、サイド部を覆うカマチ被覆部
３ｂと、背裏面を枠状被覆部とともに覆う凹み被覆部３
ａとよりなり、前記シート表面被覆部３ｃとカマチ被覆
部３ｂとは縫着部４ｂにより縫着されるとともに、背裏
面を枠状被覆部とともに覆う凹み被覆部３ａとカマチ被
覆部３ｂとは枠状被覆部の端縁において縫着部４ａによ
り縫着されている。

【０００７】５ａ、５ｂはシートカバー３の背裏の凹み
被覆部３ａの裏側の両側辺および上辺に縫着された縦・
横の吊り袋であって、この吊り袋５ａ、５ｂはその端部
同志が重ならないように前記凹み被覆部３ａの両側辺お
よび上辺より短く、コーナー部の角端より約１０mmの縫
い足分だけ控えたものとしてあり、この縦・横方向の吊
り袋５ａ、５ｂが、凹み被覆部３ａの裏側のコーナー部
に添わせた硬質プレート６の角部を挟む２辺と共に凹み
被覆部３ａのコーナー部縁辺に縫着されている。そし
て、この吊り袋５ａ、５ｂ内に挿通した縦方向のワイヤ
７ａをＳバネ８ａに、また横方向のワイヤ７ｂをシート
フレーム８ｂにそれぞれＣリング９などで係止して引き
込むことにより、シートカバー３の凹み被覆部３ａを凹
み面に向けて引き込み、硬質プレート６を介して凹み被
覆部３ａのコーナー部が緊張状態を保持するようにして
ある。なお、前記ワイヤとはゴム等のストラップも含む
概念であり、図示のものでは、縦方向のワイヤ７ａとし
てストラップをした場合を示している。

【０００８】即ち、従来は複数のシートカバー材が集合
するコーナー部に対応する箇所では縫製上の制約から互
いの吊り袋を端末まで縫い込むことができずに図５に示
すような隙間Ｓ１、Ｓ２が生じ、この結果、吊り袋と未
縫製の部分を確実に引き込むことができずに張り感がな
くなるとともにシワが発生するという欠点があったのに
対し、本発明では図３に示されるように、硬質プレート
６を介在させて吊り袋５ａ、５ｂを引き込むことによ
り、一体的に縫着したシートカバー３を凹み２内に均一
な張り感で引き込むことができるのである。

【０００９】なお、前記硬質プレート６としては、例え
ば厚みが約０．８〜２mmで、ある程度の弾力性を有する
硬質塩化ビニル樹脂板等の硬質合成樹脂板が用いられ、
その形状は吊り袋の縫着されていない部分を補って凹み
２のコーナー部に対応する一角の形状が該凹み２のコー
ナー部に一致するものであればよく、図示のものでは略
長方形の硬質プレート６が使用されているが、上記要件
を満たすものであればいかなる形状のものも使用できる
ことは勿論である。

【００１０】このように構成されたものは、従来と同様
に袋状のシートカバー３を裏返しの状態としてクッショ
ン体１の頭部から引っ繰り返しながら装着されるもので
あり、更に本発明では凹み２のコーナー部を覆うシート
カバー３の内側に凹み被覆部３ａの両側辺および上辺よ
り短くて前記硬質プレート６の縫着部中間に位置する縦
・横方向の吊り袋５ａ、５ｂが設けられ、この吊り袋５
ａ、５ｂをコーナー部端縁まで延びた硬質プレート６と
ともにシートカバー３に一体的に縫着させてあるので、
前記吊り袋５ａ、５ｂ内に挿通した各々の縦・横方向の
ワイヤ７ａ、７ｂを引き込むめば、吊り袋が縫着されて
いない部分であっても硬質プレート６によって吊り袋が
縫着されている箇所と同様に均一に引き込まれることと
なり、均一な張り感でシワなくシートカバー３がコーナ
ー部を凹み２に緊張状態として被覆されることとなる。

【００１１】このように本発明ではシートカバー３の装
着作業を従来のように多数の樹脂ホックや特別なバック
ボードを用いることがなく極めて簡単に行うことができ
るから、製造効率を高めることができ、また、部品点数
も少なく安価であり、更には、硬質プレート６を代える
のみであらゆるコーナー部形状の凹み２にも対応するこ
とができるのでデザインの自由度も大きく、しかも、シ
ートカバー３をごく自然な状態で屈曲させることができ
るので優れた立体感を呈することとなり、風合いおよび
十分な柔らかさもあり高品質なものとなる。

【００１２】

【発明の効果】本発明は以上の説明より明らかなよう
に、シートカバーを背裏面の凹みに添って簡単かつ確実
に被覆することができ、特にコーナーにおいても張り感
をなくしたりシワを発生させることがなく外観品質を向
上させることができる。また、部品点数が少なくて優れ
た縫製作業性および装着作業性も発揮することができ、
しかも、生産コストの低廉化を図ることもできるなど種
々の利点をもつものとなる。よって本発明は従来の問題
点を一掃した車両用シートとして、産業の発展に寄与す
るところは極めて大である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態を示す要部の断面図であ
る。

【図２】本発明の実施の形態を示す要部の一部切欠斜視
図である。

【図３】樹脂プレートを示す裏面側からの斜視図であ
る。

【図４】本発明の実施の形態を示す全体斜視図である。

【図５】従来例のコーナー部を示す裏面側からの斜視図
である。

【符号の説明】

１ クッション体 1a 縁取用突部 ２ 凹み ３ 袋状のシートカバー 3a 凹み被覆部 5a 縦方向の吊り袋 5b 横方向の吊り袋 ６ 硬質プレート 7a 縦方向のワイヤ 7b 横方向のワイヤ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 縁取用突部(1a)で囲まれる凹み(2) が背
   裏面に形成されたシートバック用のクッション体(1) に
   袋状のシートカバー(3) を被覆して該シートカバー(3)
   の背裏の凹み被覆部(3a)をその裏側の両側辺および上辺
   に縫着された縦・横の吊り袋(5a)、(5a)、(5b)に挿通さ
   れた引込用のワイヤ(7a)、(7b)により凹み(2) の内部に
   引き込んだ車両用シートであって、前記凹み被覆部(3a)
   の裏側のコーナー部に硬質プレート(6) を添わせてその
   角部を挟む２辺を前記凹み被覆部(3a)のコーナー部縁辺
   に縫着するとともに、前記縦・横の吊り袋(5a)、(5b)は
   凹み被覆部(3a)の両側辺および上辺より短くてその端部
   が前記硬質プレート(6)の縫着部中間に位置するものと
   して、前記引込用のワイヤ(7a)、(7b)の引き込みにより
   吊り袋(5a)、(5b)と共に凹み(2) に引き込まれる硬質プ
   レート(6) を介して凹み被覆部(3a)のコーナー部が緊張
   状態を保持するようにしたことを特徴とする車両用シー
   ト。