JPH11336750A - 液体動圧スピンドル装置 - Google Patents

液体動圧スピンドル装置

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JPH11336750A
JPH11336750A JP14072598A JP14072598A JPH11336750A JP H11336750 A JPH11336750 A JP H11336750A JP 14072598 A JP14072598 A JP 14072598A JP 14072598 A JP14072598 A JP 14072598A JP H11336750 A JPH11336750 A JP H11336750A
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spindle
thrust
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正和 上杉
Masahiro Kadofuri
正浩 角振
Shotaro Mizobuchi
庄太郎 溝渕
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】スピンドル主軸とハウジングとの隙間から潤滑
流体が漏出することがなく、少量の潤滑流体を循環させ
ながらスピンドル主軸の運転を行うことが可能な液体動
圧スピンドル装置を提供する。 【解決手段】ハウジング2と、ジャーナル部10を有す
るスピンドル主軸1と、ハウジングに固定され、スピン
ドル主軸のジャーナル部と所定の軸受隙間を介して対向
しラジアル動圧軸受6を構成する軸受リングと、軸受リ
ングの軸方向の端面と所定の軸受隙間を介して対向し、
スラスト動圧軸受7を構成する一対のスラスト板と、上
記ラジアル動圧軸受6に対する潤滑液供給流路と、供給
された潤滑液をスラスト動圧軸受7の軸受隙間を介して
回収する流路と、各スラスト板と上記ハウジングが形成
する隙間に加圧された密封用気体を供給し、スラスト動
圧軸受7の軸受隙間から流出する潤滑液を上記回収流路
に導く密封手段とからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、砥石等の被回転体
を装着したスピンドル主軸の回転を動圧軸受によって支
承するスピンドル装置に係り、特に、かかる動圧軸受の
潤滑流体としてクーラント液等の液体を用いた液体動圧
スピンドル装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の動圧スピンドル装置とし
ては、特開平6−241222号公報、特開平6−24
9236号公報、特開平7−19236号公報等に開示
されたものが知られている。かかる動圧スピンドル装置
は、工作機械の主軸頭等に固定されるハウジングと、駆
動手段に連結されて回転するスピンドル主軸と、所定の
軸受隙間を介して対向する回転側部材及び固定側部材か
ら構成されると共に上記スピンドル主軸をハウジングに
対して回転自在に支承するラジアル動圧軸受及びスラス
ト動圧軸受とを備えており、各動圧軸受の回転側部材に
は深さ10〜15μm程度の動圧発生用溝が所定のパタ
ーンで形成されている。
【0003】このように構成された動圧軸受装置におい
ては、上記スピンドル主軸の回転に伴って動圧軸受の軸
受隙間に介在する潤滑流体が加圧され、スピンドル主軸
は高圧の流体潤滑膜によって浮揚状態となり、その状態
のままで回転を支承される。このため、スピンドル主軸
の回転に対しては極僅かな回転抵抗しか作用せず、しか
も回転時における振動も殆ど発生しないことから、該ス
ピンドル主軸に対して毎分1万回転以上の高速回転を与
えて使用することも可能といった優れた特質を有してい
る。
【0004】また、かかる動圧スピンドル装置ではスピ
ンドル主軸の回転に伴って潤滑流体を加圧していること
から、各動圧軸受の回転側部材と固定側部材との軸受隙
間が過大であると、該軸受隙間において潤滑流体の圧力
を十分に高めることができず、スピンドル主軸の外部荷
重に対する負荷能力及び剛性が低下してしまう。このた
め、前述した従来の動圧スピンドル装置では軸受隙間を
数μm程度に設定し、主軸の低速回転においても潤滑流
体を十分に加圧できるようにしている。
【0005】更に、各動圧軸受の軸受隙間で加圧される
潤滑流体としては、空気等の気体の他に水や工作機械用
のクーラント液等の液体を用いることが可能であるが、
気体の圧縮性に比較して液体のそれの方が小さいことか
ら、液体を潤滑流体として用いた場合の方がスピンドル
主軸の荷重に対する負荷能力及び剛性は向上することと
なる。従って、工作機械の主軸頭等、重荷重が作用する
用途にこの動圧スピンドル装置を使用する場合を想定す
ると、潤滑流体に液体を用いた場合の方がワークの加工
中におけるスピンドル主軸の変位を抑えることができ、
かかるワークの加工精度の向上を期待することができ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このように構
成された従来の動圧スピンドル装置では、上記スピンド
ル主軸をハウジングに対して非接触で支承している構造
上、各動圧軸受の軸受隙間がハウジング外の雰囲気と連
通されており、潤滑流体として液体を用いた場合には、
軸受隙間で加圧された潤滑流体がハウジング外へ漏れ出
してしまい、動圧スピンドル装置の周辺を汚してしまう
といった問題点があった。このため、従来の動圧スピン
ドル装置は、例えばクリーンルーム内における使用等、
潤滑流体の漏出による汚染を嫌う環境下では使用するこ
とができなかった。
【0007】また、潤滑流体が各動圧軸受の軸受隙間か
らハウジング外へ漏出してしまうので、このスピンドル
装置の運転には多量の潤滑流体が必要であり、潤滑流体
の供給等のメンテナンス上からも運転コストが嵩むとい
った欠点もあった。漏出した潤滑流体を回収して再度軸
受隙間へ供給することも不可能ではないが、一旦漏出し
てしまった潤滑流体には塵芥やワークの切削粉等が混じ
っている可能性が高く、回収した潤滑流体をそのまま軸
受隙間に供給したのでは、これら異物が幅数μmの軸受
隙間に引っ掛かってしまい、スピンドル主軸の円滑な回
転が阻害される懸念が高い。従って、漏出した潤滑流体
を再度軸受隙間へ供給するのであれば、目の細かいフィ
ルタを用いて潤滑流体中から異物を丁寧に濾しとる必要
があり、装置が複雑化する他、フィルタを定期的に洗浄
しなければならないといった問題点があった。
【0008】一方、このような潤滑流体の漏出を防止す
るためには、スピンドル主軸に摺接するシール部材をハ
ウジングに装着して、かかるスピンドル主軸とハウジン
グとの隙間を密封すればよいのだが、前述の如くこの動
圧スピンドル装置ではスピンドル主軸が極めて高い回転
数で回転することから、そのようなシール部材を設けた
場合には該スピンドル主軸が摩擦熱で膨張してしまい、
ワークの加工精度が悪化してしまうといった問題点があ
った。
【0009】本発明はこのような問題点に鑑みなされた
ものであり、その目的とするところは、潤滑流体として
液体を用いた場合であっても、スピンドル主軸とハウジ
ングとの隙間から潤滑流体が漏出することがなく、少量
の潤滑流体を循環させながらスピンドル主軸の運転を行
うことが可能な液体動圧スピンドル装置を提供すること
にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の液体動圧スピンドル装置は、ハウジング
と、このハウジングに支承されるジャーナル部を有する
と共に、一端には被回転体が装着されるクイル部を、他
端には駆動手段の連結部を備えたスピンドル主軸と、上
記ハウジングに固定されると共にスピンドル主軸のジャ
ーナル部と所定の軸受隙間を介して対向し、かかるジャ
ーナル部と相俟ってラジアル動圧軸受を構成する軸受リ
ングと、上記スピンドル主軸のジャーナル部をその軸方
向から挟むようにして設けられると共に、上記軸受リン
グの軸方向の端面と所定の軸受隙間を介して対向し、か
かる軸受リングと相俟ってスラスト動圧軸受を構成する
一対のスラスト板と、上記ラジアル動圧軸受の軸受隙間
に対して潤滑液を供給する供給流路と、上記ラジアル動
圧軸受の軸受隙間に供給された潤滑液をスラスト動圧軸
受の軸受隙間を介して回収する回収流路と、各スラスト
板と上記ハウジングが形成する隙間に対して加圧された
密封用気体を供給し、スラスト動圧軸受の軸受隙間から
流出する潤滑液を上記回収流路に導く潤滑液密封手段と
から構成されることを特徴とするものである。
【0011】このような技術的手段によれば、上記ラジ
アル動圧軸受の軸受隙間、すなわち上記軸受リングとス
ピンドル主軸のジャーナル部との間の隙間は、スラスト
動圧軸受の軸受隙間、すなわち上記軸受リングとスラス
ト板との間の隙間に連通しているので、スピンドル主軸
が回転を開始すると、上記供給流路からラジアル動圧軸
受の軸受隙間に供給された潤滑液は加圧されてスラスト
動圧軸受の軸受隙間へ流動し、かかる軸受隙間から排出
されて上記回収流路へと流れ込む。
【0012】このとき、スラスト動圧軸受の軸受隙間か
ら排出される潤滑液は回収流路ばかりでなく、スラスト
板とハウジングとの隙間にも流入しようとするが、本発
明の動圧スピンドル装置では上記潤滑液密封手段がこの
隙間に対して加圧された密封用気体を供給しているの
で、スラスト動圧軸受の軸受隙間から排出された潤滑液
がスラスト板とハウジングとの隙間に入り込むことはな
く、かかる軸受隙間から排出れさる全ての潤滑液を上記
回収流路に流入させることができる。
【0013】従って、このスピンドル装置では潤滑液が
ハウジングの外部に漏れ出すことがなく、外部に対して
密閉された流路内で潤滑液を循環させながらスピンドル
主軸の連続運転を行うことができるものである。また、
潤滑液がハウジングの外部に対して漏出せず、その結果
として塵芥等の異物が潤滑液中に混入することがないの
で、常に清浄な潤滑液をラジアル動圧軸受及びスラスト
動圧軸受の軸受隙間に供給することができ、軸受隙間に
異物が噛み込んでスピンドル主軸の回転が不良になると
いったトラブルを避けることができる他、潤滑液から異
物を濾しとるフィルターも不要となり、装置構成の簡略
化及びメインテナンスの手間の軽減化を図ることができ
るものである。
【0014】このような本発明において、上記スピンド
ル主軸の回転を支承しているラジアル動圧軸受及びスラ
スト動圧軸受では該スピンドル主軸の回転に伴って軸受
隙間に介在する潤滑液が加圧され、該軸受隙間に高圧の
流体潤滑膜が形成されるので、スピンドル主軸の回転起
動時には未だ十分に高圧の流体潤滑膜が形成されておら
ず、上記軸受リングとスピンドル主軸のジャーナル部、
軸受リングとスラスト板とが固体接触を生じ、軸受リン
グやスラスト板を破損してしまう懸念がある。特にスピ
トンドル主軸を鉛直方向に合致させて使用する場合に
は、スピンドル主軸の自重がスラスト板に集中するの
で、かかる固体接触が生じ易く、スピンドル主軸の起動
が困難になり易い。従って、かかる観点からすれば、ス
ピンドル主軸の起動時にも上記密封用気体をスラスト板
とハウジングとの隙間に供給し、かかる密封用気体の静
圧をスラスト板に対して作用させるのが好ましい。この
ように構成すれば、各動圧軸受の軸受隙間に未だ十分な
高圧流体潤滑膜が発生していない状態であっても、スラ
スト板とハウジング、スラスト板と軸受リングの固体接
触を効果的に防止することができ、しかも本来的に備え
ている潤滑液密封手段を活用して静圧を付与しているの
で、別途新たな加圧装置を追加する必要がない点で非常
に効率的である。
【0015】また、本発明のスピンドル主軸を回転させ
るための駆動手段としては電動モータ等を使用すること
ができるが、この種のスピンドル装置は発熱によってス
ピンドル主軸の軸長が変化するのを嫌うため、かかる駆
動手段の発熱がスピンドル主軸に伝達されるのを積極的
に防止する必要がある。従って、かかる観点からすれ
ば、上記潤滑液密封手段によって加圧された密封用気体
をモータハウジング等の内部に導入し、かかる密封用気
体によって駆動手段の冷却を行うのが好ましい。
【0016】更に、本発明の液体動圧スピンドル装置に
おいては、スラスト板とハウジングとの隙間に密封用気
体が供給されているので、スラスト動圧軸受の軸受隙間
から排出された潤滑液は密封用気体と共に回収流路に流
入することとなる。このため、回収した潤滑液を供給流
路から再度ラジアル動圧軸受の軸受隙間に供給するので
あれば、回収された密封用気体と潤滑液とを分離するリ
ザーバタンクを設けるのが好ましい。また、各動圧軸受
の軸受隙間では剪断摩擦熱によって潤滑液が加熱されて
しまうが、このようにリザーバタンクを設ければ、かか
るタンク内で潤滑液の冷却を行うことも可能となり、各
動圧軸受の昇温ひいてはスピンドル主軸の熱膨張を抑え
ることも可能となる。
【0017】一方、このような動圧軸受ではスピンドル
主軸が停止していると潤滑液が数μm幅の軸受隙間内に
滞留してしまうことから、長時間スピンドル主軸を停止
している場合にはスピンドル主軸と軸受リング、スラス
ト板とが固着してしまい、スピンドル主軸の起動が不能
となってしまう懸念がある。特に潤滑液としてクーラン
ト液等の揮発性の液体を用いる場合には、この懸念が大
きい。従って、かかる観点からすれば、上記供給流路に
供給される潤滑液を加圧しておき、スピンドル主軸の停
止時においても潤滑液が各動圧軸受の軸受隙間を停滞す
ることなく流動するように構成するのが好ましい。ただ
し、この場合、潤滑液の加圧力が上記潤滑液密封手段に
よる密封用気体の加圧力を上回ってしまうと、かかる潤
滑液がスラスト板とハウジングの隙間から漏出してしま
うことになるので、潤滑液の漏出を防止するという本発
明の目的からすれば、密封用気体の加圧力を潤滑液の加
圧力よりも高めに設定することが必要である。
【0018】また、スピンドル主軸の停止中におけるス
ピンドル主軸と軸受リングの固着を防止する他の手段と
しては、スラスト板とハウジングとの隙間に供給された
密封用気体を上記回収流路に向けて噴出させ、かかる回
収流路の入口近傍におけるスラスト動圧軸受の軸受隙間
を負圧に保つように構成してもよい。このように構成す
れば、密封用気体の噴出に伴って回収流路の入り口近傍
におけるスラスト動圧軸受の軸受隙間が負圧となるの
で、ラジアル動圧軸受及びスラスト動圧軸受の軸受隙間
に介在する潤滑液は回収流路の入り口に向けて吸引され
ることとなり、かかる軸受隙間内での潤滑液の滞留を防
止することができる。従って、スピンドル主軸の停止中
においても潤滑液密封手段によって密封用気体を加圧し
ておくことにより、各動圧軸受の軸受隙間では常に潤滑
液が流動することとなるので、スピンドル主軸の固着を
防止することができるものである。
【0019】更に、スピンドル主軸が常時回転していれ
ば、前述したスピンドル主軸の固着といった問題は生じ
ることがないので、駆動手段の停止中もスピンドル主軸
を低速で回転させるように構成すれば、前述したスピン
ドル主軸の固着といった問題点は回避することができ
る。本発明では潤滑液の漏出を完全に防止するため、ス
ピンドル主軸の停止中、すなわち駆動手段の休止中であ
っても加圧された密封用気体が供給されているので、こ
の密封用気体を利用することにより、スピンドル主軸を
常時回転させておくことが可能である。すなわち、スピ
ンドル主軸にタービンロータを装着すると共に、加圧さ
れた密封用気体をこのタービンロータに対して吹きつ
け、駆動手段の休止中もスピンドル主軸を低速で継続的
に回転させ、これによってスピンドル主軸の固着を防止
することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づいて本発明
の液体動圧スピンドル装置を詳細に説明する。図1は本
発明を適用した液体動圧スピンドル装置を示すものであ
る。同図において、符号1は軸端にクイル軸(図示せ
ず)を介して砥石が装着されるスピンドル主軸、符号2
は該スピンドル主軸1を支承するハウジング本体、符号
3は上記スピンドル主軸1を駆動するモータ、符号4は
上記モータ3をハウジング本体2に固定するためのモー
タハウジング、符号5はこのモータハウジング4とは反
対側の部位において上記ハウジング本体2に固定された
エンドハウジングであり、上記モータハウジング4に形
成されたフランジ部40を介してこのスピンドル装置全
体が工作機械の主軸頭等に固定されるようになってい
る。
【0021】上記スピンドル主軸1は、後述するラジア
ル動圧軸受6及びスラスト動圧軸受7によってその回転
を支承されており、かかるラジアル動圧軸受6の内輪と
してのジャーナル部10と、上記クイル軸の取付け孔1
1を有する先端部12と、上記モータ3を貫通すると共
に該モータのロータ31が固定される連結部13とから
構成されている。
【0022】スピンドル主軸1を駆動するモータ3は上
記モータハウジング4内に収容されており、スピンドル
主軸1の連結部に固定されたロータ31と、モータハウ
ジング4に固定されたステータ32とから構成されてお
り、モータハウジング4に取り付けられたコネクタ41
を介してモータ駆動信号が外部から上記ステータ32に
入力されるようになっている。また、このモータ3で発
生した熱がスピンドル主軸1に流入して該スピンドル主
軸1が膨張するのを極力防止するため、上記モータハウ
ジング4にはウォータジャケット42が設けられてい
る。
【0023】上記ハウジング本体2に対してスピンドル
主軸1の回転を支承しているラジアル動圧軸受6は、図
2に示すように、かかるスピンドル主軸1のジャーナル
部10に固定されたスリーブ61と、このスリーブ61
の外側に遊嵌すると共に上記ハウジング本体2に固定さ
れた軸受リング62とから構成されており、上記スリー
ブ61の外周面と軸受リング62の内周面との間には所
定の軸受隙間(例えば5〜15μm)が形成されてい
る。上記軸受リング62の内周面と対向するスリーブ6
1の外周面には、図3に示すように、ヘリングボーン状
の動圧発生用溝63が深さ約15μmで形成されてお
り、スピンドル主軸1が回転すると、かかる動圧発生用
溝63によって軸受リング62とスリーブ61の軸受隙
間、すなわちラジアル動圧軸受6の軸受隙間に介在する
潤滑流体が加圧され、かかる軸受隙間に高圧の流体潤滑
膜が形成されるようになっている。これにより、スピン
ドル主軸1は軸受リング62に対して非接触の状態でそ
の回転を支承されることとなる。尚、この実施例では動
圧発生用溝63が形成されたスリーブ61をスピンドル
主軸1のジャーナル部10に嵌合させたが、かかるジャ
ーナル部10の外周面に直接動圧発生用溝63を形成
し、上記スリーブ61を省略してもラジアル動圧軸受6
を構成することもできる。
【0024】一方、上記スラスト動圧軸受7はラジアル
動圧軸受6を挟むようにして一対設けられており、これ
らスラスト動圧軸受7,7によってスピンドル主軸1の
軸方向への移動が規制されている。このスラスト動圧軸
軸受7は、図2に示すように、スピンドル主軸1のジャ
ーナル部10及び上記スリーブ61を挟むようにして該
スピンドル主軸1に固定された一対のスラスト板71,
71と、前述の軸受リング62とから構成されており、
これらスラスト板71,71と軸受リング62の軸方向
の端面との間にはラジアル動圧軸受6の軸受隙間と連通
する所定の軸受隙間が形成されている。上記軸受リング
62の軸方向端面と対向するスラスト板71の一面に
は、図4に示すように、スパイラル状の動圧発生用溝7
2が深さ約15μmで形成されており、スピンドル主軸
1が回転すると、かかる動圧発生用溝72によって軸受
リング62とスラスト板71の軸受隙間、すなわちスラ
スト動圧軸受7の軸受隙間に介在する潤滑流体が加圧さ
れ、かかる軸受隙間に高圧の流体潤滑膜が形成されるよ
うになっている。その結果、スピンドル主軸1は上記軸
受リング62を挟んで設けられた一対のスラスト動圧軸
受7によってその軸方向の移動が規制されることとな
る。
【0025】このスピンドル装置ではラジアル動圧軸受
6及びスラスト動圧軸受7の各潤滑流体として、水や機
械加工用クーラント液等の液体を使用しており、かかる
潤滑液は軸受リング62を半径方向に貫通するようにし
て形成された供給流路64から上記ラジアル動圧軸受6
の軸受隙間に供給されるようになっている。かかる供給
流路64は軸受リング62の円周方向の数カ所に開設さ
れると共に、ハウジング本体2の内周面に形成された円
周溝65と連通しており、ハウジング本体2に形成され
た潤滑液供給ポート20に潤滑液を供給すると、かかる
潤滑液が上記円周溝65を介して各供給流路64に流れ
込み、ラジアル動圧軸受6の軸受隙間に入り込むように
なっている。また、上記供給流路64は軸受リング62
を軸方向について二等分する位置に開設されており、上
記スリーブ61に形成されたヘリングボーン状の動圧発
生用溝63の中央に対向して開設されている。
【0026】ここで、上記スリーブ61に形成されたヘ
リングボーン状の動圧発生用溝63は、図3中に矢線で
示す方向へスピンドル主軸1が回転すると、かかる回転
に伴って軸受隙間の潤滑液をスリーブ61の軸方向の両
端に向けて加圧する所謂ポンプアウト型に形成されてい
る。また、スラスト板71に形成されたスパイラル状の
動圧発生用溝72は、図4中に矢線で示す方向へスピン
ドル主軸1が回転すると、かかる回転に伴って軸受隙間
の潤滑液をスラスト板71の内径から外径へ向けて加圧
する所謂ポンプアウト型に形成されている。
【0027】従って、このスピンドル装置では上記スピ
ンドル主軸1が回転を開始すると、ラジアル動圧軸受6
の軸受隙間に存在する潤滑液が軸受リング62の両端に
配置されたスラスト板71に向けて自ずから流動するの
で、これに伴ってかかる軸受隙間には上記供給流路64
から潤滑液が自然に流入してくる。また、ラジアル動圧
軸受6の軸受隙間はスラスト動圧軸受7の軸受隙間と連
通していることから、ラジアル動圧軸受6の軸受隙間で
加圧された潤滑液はスラスト動圧軸受7の軸受隙間へと
流れ込み、スピンドル主軸1の回転に伴ってスラスト板
71の内径から外径へと流動する。つまり、このスピン
ドル装置においては、スピンドル主軸1が回転すると、
潤滑液が供給流路64からラジアル動圧軸受6の軸受隙
間に吸引されると共にスラスト動圧軸受7の外径側から
排出され、潤滑液を自己循環させることができるもので
ある。
【0028】一方、このようにしてスラスト動圧軸受7
の軸受隙間から排出された潤滑液を回収して再度供給流
路64から各動圧軸受6,7に供給するために、本実施
例のスピンドル装置では上記ハウジング本体2及びエン
ドハウジング5に各スラスト板71に対応した潤滑液の
回収流路21,50を形成しており、各スラスト動圧軸
受7の軸受隙間から排出された潤滑液はこの回収流路2
1,50に流れ込むようになっている。
【0029】もっとも、スラスト板71はスピンドル主
軸1と共に回転しており、各スラスト板71が収容され
たモータハウジング4及びエンドハウジング5と各スラ
スト板71の外周面との間には隙間が形成されているこ
とから、何ら対策を施さない場合にはスラスト板71と
軸受リング62との隙間(スラスト動圧軸受7の軸受隙
間)から排出された潤滑液がスラスト板71の外周に回
り込み、潤滑液の一部が上記回収流路21,50に流れ
込むことなくスピンドル装置外に漏れ出してしまう。
【0030】そこで、本実施例のスピンドル装置ではス
ラスト動圧軸受7を構成している各スラスト板71の背
面側に加圧された潤滑液密封用の気体(例えば、空気
等)を作用させ、潤滑液が回収流路21,50に流れ込
むことなくエンドハウジング5外あるいはモータハウジ
ング4内に漏れ出すのを防止している。すなわち、図1
に示すように、モータハウジング4には該モータハウジ
ング4内に加圧された密封用気体を導入するための吸気
流路43を形成し、モータハウジング4内の空間を加圧
することで密封用気体がスラスト板71とモータハウジ
ング4との隙間に流入するように構成している。一方、
エンドハウジング5にはスラスト板71の背面側に密封
用気体を導入するための吸気流路51を形成し、やはり
加圧された密封用気体がスラスト板71とエンドハウジ
ング5との隙間に流入するように構成している。また、
上記密封用気体は図示外のコンプレッサによって加圧さ
れて各吸気流路43,51に送り込まれるが、スピンド
ル主軸1の停止中における潤滑液の漏出を防止するた
め、かかる停止中も吸気流路43,51に対して送風さ
れている。
【0031】これにより、本実施例では各スラスト板7
1の背面側が密封用気体によって高圧となっているの
で、スラスト動圧軸受7の軸受隙間から排出された潤滑
液がスラスト板71の背面側に回り込むことがなく、該
軸受隙間から排出された全ての潤滑液が回収流路21,
50に流入することとなる。その結果、密封用気体を作
用させている間は供給流路64から各動圧軸受6,7に
供給した潤滑液の全量を回収流路21,50に回収する
ことができ、潤滑液がスピンドル装置の外部に漏れ出す
のを防止することができるものである。
【0032】また、このようにモータハウジング4内に
密封用気体を通風させることにより、かかるモータハウ
ジング4内の温度を低下させることができ、スピンドル
主軸1の熱膨張をさけることができる点でも有益であ
る。
【0033】更に、このスピンドル装置はスピンドル主
軸1の先端部12を鉛直下方に向けた使用を想定してい
るが、前述の如くエンドハウジング5の吸気流路51か
らスラスト板71の背面に対して加圧された密封用気体
を作用させると、該スラスト板71とエンドハウジング
5との間に密封用気体の静圧が作用するので、スピンド
ル主軸1が自重に抗して下方から上方へ僅かに持ち上げ
られた状態となり、各動圧軸受6,7の軸受隙間に高圧
の流体潤滑膜が形成されていない状態であっても、スム
ーズにスピンドル主軸1の回転起動を行うことができる
といった利点もある。
【0034】図5は上記回収流路21,50から回収さ
れた潤滑液を再度供給流路64に供給するための系統図
を示すものである。前述の如く各スラスト板71の背面
側には高圧の密封用気体が作用していることから、かか
る密封用気体もスラスト板71の周囲を流動して上記回
収流路21,50に流れ込むこととなり、スラスト動圧
軸受7の軸受隙間から排出された潤滑液は密封用気体と
共に回収流路21,50に流動する。従って、かかる潤
滑液を再度動圧軸受6,7の軸受隙間に供給するに当た
っては、潤滑液を密封用気体と分離することが必要とな
る。このため、本実施例では回収流路21,50を通し
てスピンドル装置Mから排出された潤滑液及び密封用気
体を一旦リザーバタンク8に導入し、かかるリザーバタ
ンク8内に潤滑液80を貯留することでで該潤滑液80
と密封用気体の分離を行っている。また、回収した潤滑
液は各動圧軸受6,7で発生した剪断摩擦熱で高温にな
っていることから、かかるリザーバタンク8内には潤滑
液80の冷却機81を取り付け、温度の低下した潤滑液
を再度スピンドル装置Mに供給することで各動圧軸受
6,7の昇温、ひいてはスピンドル主軸1の昇温を防止
している。尚、リザーバタンク80内の圧力が急に高く
なった場合に、回収した潤滑液等が回収流路内を逆流す
るのを防止すべく、かかる回収流路には一方向弁82を
設けた。
【0035】既に説明したように、本実施例のスピンド
ル装置ではスピンドル主軸1が回転を開始すると、潤滑
液が供給流路64からラジアル動圧軸受6の軸受隙間に
対して自然に吸引されると共にスラスト動圧軸受7の軸
受隙間から排出されるので、上記リザーバタンク8から
供給流路64に潤滑液を送り込むに当たって、かかる潤
滑液をポンプ等で加圧する必要は一切ない。しかし、ス
ピンドル主軸1の回転が停止すると潤滑液の自然循環も
停止してしまうので、停止時間が長い場合には潤滑液の
揮発あるいは蒸発等によりスピンドル主軸1側のスリー
ブ61またはスラスト板71とハウジング本体2側の軸
受リング62とが固着してしまい、スピンドル主軸1の
回転起動が不能になってしまう懸念もある。
【0036】そこで、この実施例のスピンドル装置では
リザーバタンク80を外気に対して密閉すると共に、図
示外のコンプレッサで加圧された空気等の気体(潤滑液
加圧用気体)をリザーバタンク80内に導入し、かかる
潤滑液加圧用気体で潤滑液を加圧してラジアル動圧軸受
6の軸受隙間に供給している。これにより、スピンドル
主軸1の回転が停止している状態であっても、潤滑液は
ラジアル動圧軸受6及びスラスト動圧軸受7の軸受隙間
を流動することとなり、前述したスラスト板71等の固
着の問題を回避することができる。また、加圧した潤滑
液を各動圧軸受6,7の軸受隙間に供給することによ
り、スピンドル主軸1の回転時には一層高圧の流体潤滑
膜が軸受隙間に形成されることとなり、スピンドル主軸
1の負荷能力の向上をも図ることができる。もっとも、
リザーバタンク80内での潤滑液の加圧力がコンプレッ
サによる密封用気体の加圧力を上回ってしまうと、潤滑
液がスラスト板71の背面側に回り込んでしまい、潤滑
液がスピンドル装置外に漏出してしまうことから、潤滑
液の加圧力はコンプレッサによる密封用気体の加圧力よ
り小さくなければならない。尚、リザーバタンク80内
の圧力を調整すべく、かかるリザーバタンク80には圧
力調整弁83が設けられている。
【0037】また、本実施例のスピンドル装置ではスピ
ンドル主軸1の停止中における潤滑液の流動を促進する
ため、上記密封用気体を回収流路21,50に噴出さ
せ、これによってスラスト板71の外周側におけるスラ
スト動圧軸受7の軸受隙間を減圧している。具体的に
は、図6に示すように、軸受リング62と対向するスラ
スト板71の外周側の端部に環状の切り欠き溝72を設
けて、スラスト動圧軸受7の軸受隙間から排出された潤
滑液が溜まる貯留室73を形成する一方、かかる貯留室
73と回収流路50の間にはスラスト板71と軸受リン
グ62とが極僅かな隙間で対向する絞り部74を形成し
た。これにより、スラスト板71の背面側に加圧された
密封用気体を作用させると、密封用気体が高速で回収流
路50に噴出することから、上記貯留室73内の潤滑液
が絞り部74を介して回収流路50に吸引され、かかる
貯留室73が減圧されることとなる。その結果、スピン
ドル主軸1が停止している状態であっても、コンプレッ
サで密封用気体をスラスト板71の背面側に作用させて
さえいれば、スラスト動圧軸受7の軸受隙間に介在する
潤滑液は減圧された貯留室73へと流動することとな
り、供給流路64からラジアル動圧軸受6の軸受隙間に
供給された潤滑液を回収流路50へと循環させることが
できるものである。
【0038】図7は密封用気体を利用して潤滑液を循環
させるための他の例を示すものである。この例では、上
記回収流路50の途中に減圧室75を設けると共に、ス
ラスト板71の背面側に導入される加圧された密封用気
体の一部を上記減圧室75に導くための分岐管路76を
形成し、密封用気体を上記減圧室75から回収流路50
に噴出させるように構成した。また、スラスト板71の
外周側には図6と同様に潤滑液の貯留室73を形成し
た。これにより、上記分岐管路76を介して密封用気体
を減圧室75に噴出すると、加圧された密封用気体が減
圧室75から高速で回収流路50に流れ込むのに伴って
該減圧室75内が減圧され、貯留室73内の潤滑液が減
圧室75へ吸引されることとなる。その結果、図6に示
した例と同様に、密封用気体をスラスト板71の背面側
に作用させてさえいれば、スピンドル主軸1が停止して
いる状態であっても、供給流路64からラジアル動圧軸
受6及びスラスト動圧軸受7の軸受隙間に供給された潤
滑液を回収流路50へと循環させることができるもので
ある。
【0039】尚、このように加圧された密封用気体を利
用して動圧軸受6,7内における潤滑液の循環を図る場
合、供給流路64に送り込む潤滑液は必ずしもポンプ等
によって加圧されている必要はない。
【0040】また、本実施例のスピンドル装置ではスピ
ンドル主軸1の停止中、すなわちモータ3の停止中にお
いてもコンプレッサが上記密封用気体を供給しているこ
とから、かかる密封用気体を利用してモータ3の停止中
にスピンドル主軸1を低速で回転させておくことも可能
である。すなわち、図1に示すように、スピンドル主軸
1の連結部13側の端部にはタービンロータ14を装着
しておき、モータハウジング4に取り付けられたノズル
44から密封用気体をタービンロータ14に吹き込むよ
うに構成しておく。このように構成すれば、モータ3が
スピンドル主軸1に対して何ら駆動力を与えていない状
態であっても、常時供給されている密封用気体によって
タービンロータ14がスピンドル主軸1を低速で回転さ
せるので、スリーブ61と軸受リング62、スラスト板
71と軸受リング62が固着するのを防止することがで
き、しかも潤滑液の漏出を防止するための密封用気体を
利用しているので、新たな駆動源を何ら必要としない点
において非常に省力的である。また、潤滑液としてクー
ラント液等の粘性の大きな液体を用いた場合には、ター
ビンロータ14によってスピンドル主軸1に15〜30
rpm程度の回転数を与えることにより、ラジアル動圧
軸受6及びスラスト動圧軸受7の軸受隙間に十分に高圧
の流体潤滑膜が得られ、スラスト板71と軸受リング6
2が固体接触を生じるといった不具合もない。
【0041】図8乃至図13はラジアル動圧軸受6及び
スラスト動圧軸受7の動圧発生用溝63,72のパター
ンの他の例を示すものである。図3に示したラジアル動
圧軸受6の動圧発生用溝63はその端部がスリーブ61
の軸方向の両端面に開放されていなかったが、図8に示
すラジアル動圧軸受6の動圧発生用溝63aではその端
部がスリーブ61の軸方向の両端面に開放して形成され
ている。また、図4に示したスラスト動圧軸受7の動圧
発生用溝72もその端部はスラスト板71の外周縁に開
放されていなかったが、図9に示すスラスト動圧軸受7
の動圧発生用溝72aはその端部がスラスト板71の外
周縁に開放されている。このため、これら図8及び図9
に示す動圧発生用溝63a,72aをスリーブ61及び
スラスト板71に形成した場合には、スピンドル主軸1
が回転した際の各動圧軸受6,7の軸受隙間における潤
滑液の流量が増大し、図3及び図4に示す動圧発生用溝
63,72と比較してスピンドル主軸1の冷却効果を高
めることが可能となる。但し、潤滑液の流量が増大する
分だけ軸受隙間における潤滑膜の圧力は低下し、スピン
ドル主軸1の負荷能力は若干低下することとなる。
【0042】一方、図10及び図11に示すラジアル動
圧軸受6及びスラスト動圧軸受7の動圧発生用溝63
b,72bでは、スリーブ61の軸方向の両端面あるい
はスラスト板の外周縁に開放されている溝と開放されて
いない溝とを一定の割合で形成した。これにより、スピ
ンドル主軸1の回転中における潤滑液の流量を増やしつ
つ、スピンドル主軸1の負荷能力が低下するのを抑える
ことが可能となる。
【0043】また、図12に示すラジアル動圧軸受6の
動圧発生用溝63cでは、スピンドル主軸1が矢線方向
へ回転した際に、潤滑液をスリーブ61の軸方向の両端
面に向けて加圧する所謂ポンプアウト型の溝63dと、
スリーブ61の軸方向の中央に向けて潤滑液を加圧する
所謂ポンプイン型の溝63eとを並べて形成した。ま
た、図13に示すスラスト動圧軸受7の動圧発生用溝7
2cでも、潤滑液をスラスト板71の外周縁に向けて加
圧する所謂ポンプアウト型の溝72dと、スラスト板7
1の内周縁に向けて潤滑液を加圧する所謂ポンプイン型
の溝72eとを並べて形成した。これにより、各動圧軸
受6,7の軸受隙間に介在する潤滑液はポンプアウト型
の溝63d,72dとポンプイン型の溝63e,72e
との境界部に向けて加圧されることとなるので、かかる
境界部では十分に高い圧力の流体潤滑膜が形成されるこ
ととなり、スピンドル主軸1の負荷能力の向上を図るこ
とができるものである。但し、供給流路64からラジア
ル動圧軸受6の軸受隙間に供給された潤滑液をスラスト
動圧軸受7の軸受隙間に向けて流動させるという本実施
例のスピンドル装置の構成からすれば、スリーブ61に
形成されたポンプアウト型の溝63dの軸方向長さL1
はポンプイン型の溝72dの軸方向長さL2よりも長く
なければならない。また、潤滑液をスラスト動圧軸受7
の軸受隙間から回収流路21,50に向けて排出すると
いう本実施例のスピンドル装置の構成からすれば、スラ
スト板71に形成されたポンプアウト型の溝72dの半
径方向長さR1はポンプイン型の溝72eの半径方向長
さR2よりも長くなければならない。
【0044】また、この実施例のスピンドル装置におい
ては動圧軸受によって支承されたスピンドル主軸1が著
しく高速(例えば、50,000rpm)で回転し、ス
ピンドル主軸1の重量の不釣り合いから極僅かな振動が
該スピンドル主軸1に対して作用しても、各動圧軸受
6,7においてスリーブ61と軸受リング62、あるい
はスラスト板71と軸受リング62が接触してしまい、
スピンドル主軸1の円滑な回転が損なわれてしまう。こ
のため、本実施例では図1に示すようにスピンドル主軸
1の両端部近傍に一対のバランスリング9を装着し、ス
ピンドル主軸1の重量バランスを厳密に調整することで
回転時の振動を防止している。このバランスリング9
は、図14に示すように、スピンドル主軸1に嵌合する
と共に円周方向に沿って所定の間隔で複数のねじ穴91
が加工されたリング本体92と、このリング本体92の
ねじ穴91に対して螺合する複数のバランスねじ93と
から構成されており、各ねじ穴91に螺合させるバラン
スねじ93の重さを調整することでスピンドル主軸1の
バランス調整を行うことができるようになっている。ま
た、バランスねじ93の重さの調整は該バランスねじ9
3の長さを削ること等により容易に行うことができる。
【0045】従って、本実施例では機械的に計測したス
ピンドル主軸1の重量バランスに基づき、バランスリン
グ9の円周上に複数螺合したバランスねじ93のうちか
ら、該当する箇所のねじ93を取り出して削る、あるい
は長いバランスねじ93に交換するといった作業を行え
ば、スピンドル主軸1の重量バランスの最適化を容易に
行うことができ、かかるスピンドル主軸1を振動なく高
速で回転させることができるものである。
【0046】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の液体
動圧スピンドル装置によれば、液体を潤滑流体とした動
圧軸受によってスピンドル主軸の回転を支承すると共
に、スラスト板とハウジングとの隙間に対して加圧され
た密封用気体を作用させることにより、かかる隙間から
潤滑液がハウジング外へ漏出すのを防止することができ
るので、外部に対して密閉された流路内で潤滑液を循環
させながらスピンドル主軸の連続運転を行うことが可能
となり、常に清浄な潤滑液をラジアル動圧軸受及びスラ
スト動圧軸受の軸受隙間に供給し得ると共に、軸受隙間
に異物が噛み込んでスピンドル主軸の回転が不良になる
といったトラブルを避けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の液体動圧スピンドル装置の実施例を
示す断面図である。
【図2】 実施例に係るスピンドル装置の軸受部の拡大
図である。
【図3】 実施例に係るラジアル動圧軸受の動圧発生用
溝を示す図である。
【図4】 実施例に係るスラスト動圧軸受の動圧発生用
溝を示す図である。
【図5】 潤滑液の循環路を示す系統図である。
【図6】 密封用気体を利用して潤滑液を循環させるた
めの実施例を示す図である。
【図7】 密封用気体を利用して潤滑液を循環させるた
めの他の例を示す図である。
【図8】 ラジアル動圧軸受の動圧発生用溝の第2実施
例を示す図である。
【図9】 スラスト動圧軸受の動圧発生用溝の第2実施
例を示す図である。
【図10】 ラジアル動圧軸受の動圧発生用溝の第3実
施例を示す図である。
【図11】 スラスト動圧軸受の動圧発生用溝の第3実
施例を示す図である。
【図12】 ラジアル動圧軸受の動圧発生用溝の第4実
施例を示す図である。
【図13】 スラスト動圧軸受の動圧発生用溝の第4実
施例を示す図である。
【図14】 スピンドル主軸に装着されたパランスリン
グを示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1…スピンドル主軸、2…ハウジング本体、3…モータ
(駆動手段)、8…リザーバタンク、9…バランスリン
グ、14…タービンロータ、62…軸受リング、64…
供給流路、21,50…回収流路、71…スラスト板

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハウジングと、このハウジングに支承さ
    れるジャーナル部を有すると共に、一端には被回転体が
    装着されるクイル部を、他端には駆動手段の連結部を備
    えたスピンドル主軸と、上記ハウジングに固定されると
    共にスピンドル主軸のジャーナル部と所定の軸受隙間を
    介して対向し、かかるジャーナル部と相俟ってラジアル
    動圧軸受を構成する軸受リングと、上記スピンドル主軸
    のジャーナル部をその軸方向から挟むようにして設けら
    れると共に、上記軸受リングの軸方向の端面と所定の軸
    受隙間を介して対向し、かかる軸受リングと相俟ってス
    ラスト動圧軸受を構成する一対のスラスト板と、上記ラ
    ジアル動圧軸受の軸受隙間に対して潤滑液を供給する供
    給流路と、上記ラジアル動圧軸受の軸受隙間に供給され
    た潤滑液をスラスト動圧軸受の軸受隙間を介して回収す
    る回収流路と、各スラスト板と上記ハウジングが形成す
    る隙間に対して加圧された密封用気体を供給し、スラス
    ト動圧軸受の軸受隙間から流出する潤滑液を上記回収流
    路に導く潤滑液密封手段とから構成されることを特徴と
    する液体動圧スピンドル装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の液体動圧スピンドル装置
    において、上記スピンドル主軸の起動時に、上記スラス
    ト板とハウジングとの間に供給された密封用気体が該ス
    ラスト板に対して静圧を作用させることを特徴とする液
    体動圧スピンドル装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の液体動圧スピンドル装置
    において、上記スラスト板とハウジングとの間に供給さ
    れた密封用気体が上記駆動手段の冷却を行うことを特徴
    とする液体動圧スピンドル装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の液体動圧スピンドル装置
    において、上記回収流路から上記密封用気体と共に排出
    された潤滑液を該密封用気体と分離し、再度上記供給流
    路へ送り込むリザーバタンクを設けたことを特徴とする
    液体動圧スピンドル装置。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の液体動圧スピンドル装置
    において、上記供給流路に供給される潤滑液が加圧され
    ていることを特徴とする液体動圧スピンドル装置。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の液体動圧スピンドル装置
    において、上記密封用気体を回収流路に噴出させ、かか
    る回収流路の入口近傍のスラスト動圧軸受の軸受隙間を
    負圧に保つことを特徴とする液体動圧スピンドル装置。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の液体動圧スピンドル装置
    において、上記スピンドル主軸にタービンロータを装着
    し、加圧された密封用気体を上記タービンロータに対し
    て吹き付けるように構成したことを特徴とする液体動圧
    スピンドル装置。
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