JP2000310222A - 液体動圧軸受ユニット - Google Patents

液体動圧軸受ユニット

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JP2000310222A
JP2000310222A JP11121917A JP12191799A JP2000310222A JP 2000310222 A JP2000310222 A JP 2000310222A JP 11121917 A JP11121917 A JP 11121917A JP 12191799 A JP12191799 A JP 12191799A JP 2000310222 A JP2000310222 A JP 2000310222A
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JP11121917A
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English (en)
Inventor
Masakazu Uesugi
正和 上杉
Masahiro Kadofuri
正浩 角振
Shotaro Mizobuchi
庄太郎 溝渕
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THK Co Ltd
Original Assignee
THK Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】潤滑流体として液体を用いた場合に、かかる潤
滑液を周囲に漏出させることなく、少量の潤滑液を自然
循環させながら回転軸の高速回転を支承することが可能
であると共に、簡易な構成で回転軸の起動及び停止時に
おける回転側部材と固定側部材の固体接触を防止するこ
とが可能な液体動圧軸受ユニットを提供する。 【解決手段】回転軸2とは別個に且つ逆方向へ回転可能
なフリー円板5を回転軸2に遊嵌させると共に、かかる
フリー円板5には潤滑液を吸収した吸蔵体16を搭載
し、回転軸2の起動又は停止に先立って上記フリー円板
5を回転させることにより、回転側部材である内輪3及
びスラスト板6a,6bと固定側部材である外輪4との
軸受隙間に対して上記吸蔵体16から潤滑液を強制的に
送り込み、これによって回転軸2の起動時又は停止時に
おける回転側部材と固定側部材との固体接触を防止する
ように構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転軸の回転に伴
って高圧の流体潤滑膜を発生させ、この流体潤滑膜によ
って上記回転軸の回転を支承する動圧軸受ユニットに係
り、特に、かかる動圧軸受の潤滑流体として水やクーラ
ント液等の液体を用いた液体動圧軸受ユニットに関す
る。
【0002】
【従来の技術】特開平6−241222号公報、特開平
6−249236号公報、特開平7−19236号公報
等には動圧軸受によって主軸の回転を支承したスピンド
ル装置が開示されている。かかるスピンドル装置は、工
作機械の主軸頭等に固定されるハウジングと、駆動手段
に連結されて回転する主軸と、所定の軸受隙間を介して
対向する回転側部材及び固定側部材から構成されると共
に上記主軸をハウジングに対して回転自在に支承するラ
ジアル動圧軸受及びスラスト動圧軸受とを備えており、
各動圧軸受の回転側部材には深さ10〜15μm程度の
動圧発生用溝が所定のパターンで形成されている。
【0003】このように構成されたスピンドル装置にお
いては、上記主軸の回転に伴って動圧軸受の軸受隙間に
介在する潤滑流体が加圧され、主軸は高圧の流体潤滑膜
によって浮揚状態となり、その状態のままで回転を支承
される。このため、主軸の回転に対しては極僅かな回転
抵抗しか作用せず、しかも回転時における振動も殆ど発
生しないことから、該主軸に対して毎分1万回転以上の
高速回転を与えて使用することも可能といった優れた特
質を有している。
【0004】また、かかるスピンドル装置では主軸の回
転に伴って潤滑流体を加圧していることから、各動圧軸
受の回転側部材と固定側部材との軸受隙間が過大である
と、該軸受隙間において潤滑流体の圧力を十分に高める
ことができず、主軸の外部荷重に対する負荷能力及び剛
性が低下してしまう。このため、前述した従来のスピン
ドル装置では軸受隙間を数μm程度に設定し、主軸の低
速回転においても潤滑流体を十分に加圧できるようにし
ている。
【0005】更に、各動圧軸受の軸受隙間で加圧される
潤滑流体としては、空気等の気体の他に水や工作機械用
のクーラント液等の液体を用いることが可能であるが、
気体の圧縮性に比較して液体のそれの方が小さいことか
ら、液体を潤滑流体として用いた場合の方が主軸の荷重
に対する負荷能力及び剛性は向上することとなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、動圧軸受では
主軸の回転に伴って軸受隙間の潤滑流体を加圧している
ので、かかる主軸の回転が停止していたのでは軸受隙間
に高圧の流体潤滑膜が形成されず、また、回転が極めて
遅い場合にも十分に高圧の流体潤滑膜が得られず、かか
る主軸の起動及び停止時に回転側部材と固定側部材の固
体接触が生じてしまい、軸受部品が破損してしまうとい
った問題点があった。
【0007】特に、潤滑流体として液体を用いる場合に
は、軸受隙間に介在する潤滑流体が主軸の停止に伴って
流出してしまうため、かかる主軸の再起動時には軸受隙
間に対して潤滑流体を強制的に供給する手段がなけれ
ば、回転側部材と固定側部材の固体接触を防止すること
はできなかった。
【0008】このため、従来の動圧軸受においては、主
軸の起動及び停止時に各動圧軸受の軸受隙間に対して潤
滑流体をポンプやコンプレッサ等で加圧して供給し、軸
受隙間に十分な動圧が発生するまでの間は静圧によって
主軸の回転を支承するように構成しているものが多々見
受けられた。しかし、軸受隙間の潤滑流体に静圧を付与
するにあたっては、かかる潤滑流体を加圧するための外
部機器や、これを軸受隙間に導くための配管が外部に必
要となり、取り扱いが不便となる他、コストも嵩むとい
った問題点があった。
【0009】また、従来の動圧軸受では、上記主軸をハ
ウジングに対して非接触で支承している構造上、各動圧
軸受の軸受隙間がハウジング外の雰囲気と連通されてお
り、潤滑流体として液体を用いた場合には、軸受隙間で
加圧された潤滑液がハウジング外へ漏れ出してしまい、
かかる動圧軸受が組み込まれた装置、例えば上記スピン
ドル装置の周辺を汚してしまうといった問題点があっ
た。このため、潤滑流体として液体を用いた動圧軸受
は、例えばクリーンルーム内における使用等、潤滑液の
漏出による汚染を嫌う環境下では使用することができな
かった。
【0010】本発明はこのような問題点に鑑みなされた
ものであり、その目的とするところは、潤滑流体として
液体を用いた場合に、かかる潤滑液を周囲に漏出させる
ことなく、少量の潤滑液を自然循環させながら回転軸の
高速回転を支承することが可能であると共に、簡易な構
成で回転軸の起動及び停止時における回転側部材と固定
側部材の固体接触を防止することが可能な液体動圧軸受
ユニットを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の液体動圧軸受ユニットは、支承すべき回転
軸に嵌合する内輪と、ハウジングに固定されると共に上
記内輪と相まってラジアル動圧軸受を構成する外輪と、
この外輪に隣接し、上記内輪と相まってラジアル動圧軸
受を構成すると共に上記外輪と相まってスラスト動圧軸
受を構成するフリー円板と、上記外輪及びフリー円板を
その軸方向から挟み込むようにして上記内輪に固定さ
れ、該外輪及びフリー円板と相俟ってスラスト動圧軸受
を構成する一対のスラスト板と、上記フリー円板に任意
の回転数を与える円板駆動手段と、各スラスト動圧軸受
の軸受隙間に面して配設され、これらスラスト動圧軸受
の軸受隙間から排出される潤滑液を吸収して貯蔵する吸
蔵体と、この吸蔵体と上記スラスト動圧軸受及びラジア
ル動圧軸受の軸受隙間を連結して、かかる軸受隙間に対
して潤滑液を供給する液供給経路とを備えたことを特徴
とするものである。
【0012】このような技術的手段によれば、ラジアル
及びスラストの各動圧軸受を構成する内輪及びスラスト
板が回転軸と共に回転すると、吸蔵体に貯蔵された潤滑
液が液供給経路を経て各動圧軸受の軸受隙間に供給され
ると共に、各軸受隙間においては回転軸の回転に伴って
潤滑液が加圧され、高圧の流体潤滑膜が形成される。こ
れによって回転軸に固定された内輪及びスラスト板は固
定側部材である外輪と非接触状態に保たれ、その回転が
支承される。もっとも、回転軸が停止している状態又は
回転していてもその回転数が極めて遅い状態では、各動
圧軸受の軸受隙間に十分に高圧の流体潤滑膜が形成され
ないことから、内輪又はスラスト板と外輪とが固体接触
を生じてしまう。特に回転軸に対して大きな荷重が作用
している状態で該回転軸を起動あるいは停止させた際に
は、このような固体接触を生じ易く、内外輪及びスラス
ト板等の軸受部材を破損してしまう懸念がある。
【0013】しかし、本発明では上記フリー円板に対し
て円板駆動手段で回転軸とは別個に任意の回転数を与え
ることが可能なので、回転軸が停止している状態又は極
めて低速で回転している状態で該回転軸の回転方向とは
逆方向に上記フリー円板を回転させると、フリー円板に
対する回転軸の相対的な回転数が上昇することになる。
このため、フリー円板を回転させると、回転軸が停止し
ている状態でも上記フリー円板とスラスト板又は内輪と
が形成する動圧軸受の軸受隙間に高圧の流体潤滑膜が形
成され、更に、この高圧の潤滑液を外輪と内輪又はスラ
スト板との軸受隙間に対して押し込むことができ、内輪
又はスラスト板と外輪とが固体接触を生じるのを可及的
に防止することができる。
【0014】また、フリー円板又は回転軸の回転中に各
動圧軸受で加圧された潤滑液は、外部に向けて開放され
ているスラスト動圧軸受の軸受隙間の外周縁から外部に
向けて排出されるが、上記吸蔵体はスラスト動圧軸受の
軸受隙間に面して配設されていることから、排出される
潤滑液は周囲に飛散することなく吸蔵体に吸収される。
従って、本発明の動圧軸受ユニットでは、潤滑液が吸蔵
体を介して各動圧軸受の軸受隙間を循環することにな
り、少量の潤滑液をも外部に漏出させることなく回転軸
の高速回転を支承することが可能となる。
【0015】ここで、上記フリー円板は外輪のいずれの
側に設けても差し支えないが、例えば立て軸ポンプの回
転軸等、軸方向が鉛直方向に合致した回転軸の支承を本
発明の動圧軸受ユニットによって行う場合、フリー円板
に対する荷重の負荷を極力小さく抑えるという観点から
すれば、かかるフリー円板は外輪の下側ではなく上側に
隣接するのが好ましい。
【0016】また、上記吸蔵体は外輪と一緒に固定的に
設けても差し支えないが、かかる吸蔵体に吸収された潤
滑液を効率良く抽出して各動圧軸受に供給するという観
点からすれば、上記フリー円板に搭載するが好ましい。
このように構成すれば、フリー円板の回転に伴い作用す
る遠心力によって、吸蔵体内に貯蔵された潤滑液を該フ
リー円板の回転数に応じて液供給経路へ抽出し、各動圧
軸受に供給することが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づいて本発明
の液体動圧軸受ユニットを詳細に説明する。図1は本発
明の液体動圧軸受ユニットの第1実施例を示す概略図で
ある。同図において、符号1はハウジング、符号2はカ
ップリング等によって図示外の駆動軸に連結されると共
に上記ハウジング1に対して回転自在に支承された回転
軸、符号3はこの回転軸2に嵌合した内輪、符号4はハ
ウジング1と一体に形成されると共に上記内輪3と所定
の軸受隙間を介して対向する外輪、符号5は所定の軸受
隙間を介して上記外輪4に隣接すると共に上記内輪3と
所定の軸受隙間を介して対向するフリー円板、符号6
a,6bは上記回転軸2に嵌合すると共に上記外輪4及
びフリー円板5の軸方向端面と所定の軸受隙間を介して
対向する一対の円板状スラスト板であり、上記内輪3と
外輪4、内輪3とフリー円板5とがラジアル動圧軸受を
構成する一方、スラスト板6aとフリー円板5、スラス
ト板6bと外輪4、外輪4とフリー円板5とがスラスト
動圧軸受を夫々構成している。
【0018】上記フリー円板5は内輪3、スラスト板6
a及び外輪4と所定の軸受隙間(例えば7.5μm)を
介して対向していることから、上記回転軸2に対して回
転自在に遊嵌しており、回転軸2とは逆方向に任意の回
転を与えられるようになっている。すなわち、かかるフ
リー円板5の外周縁にはモータロータ7aが固定される
一方、ハウジング1にはモータステータ7bが固定さ
れ、これらロータ7aとステータ7bによって構成され
る円板駆動モータ7によって、回転軸2とは別個に上記
フリー円板5を回転駆動し得るものである。また円板駆
動モータ7の保持力によって、回転軸2の回転中にフリ
ー円板5を回転させずに停止させておくこともできるよ
うになっている。
【0019】上記外輪4と対向する内輪3の外周面には
ヘリングボーン状の動圧発生用溝8が形成されており、
回転軸2が回転すると、かかる動圧発生用溝8によって
外輪4と内輪3の軸受隙間、すなわちラジアル動圧軸受
の軸受隙間に介在する潤滑流体がスラスト板6bに向け
て加圧され、かかる軸受隙間に高圧の流体潤滑膜が形成
されるようになっている。これにより、回転軸2は外輪
4に対して非接触の状態でその回転を支承されることと
なる。
【0020】また、上記フリー円板5と対向する内輪3
の外周面にもヘリングボーン状の動圧発生用溝9が形成
されており、フリー円板5が停止している状態で回転軸
2が回転すると、かかる動圧発生用溝9によってフリー
円板5と内輪3の軸受隙間、すなわちラジアル動圧軸受
の軸受隙間に介在する潤滑流体がスラスト板6aに向け
て加圧され、かかる軸受隙間に高圧の流体潤滑膜が形成
されるようになっている。また、フリー円板5が回転軸
2と逆方向に回転すると、かかる回転軸2との間の相対
的な回転差が増加することから、フリー円板5と内輪3
の軸受隙間には更に高圧の流体潤滑膜が形成される。
【0021】一方、上記外輪4の軸方向端面と対向する
スラスト板6bの一面にはスパイラル状の動圧発生用溝
10が形成されており、上記回転軸2が回転すると、か
かる動圧発生用溝10によって外輪4とスラスト板6b
の軸受隙間、すなわちスラスト動圧軸受の軸受隙間に介
在する潤滑流体がスラスト板6bの外径に向けて加圧さ
れ、かかる軸受隙間に高圧の流体潤滑膜が形成されるよ
うになっている。
【0022】また、上記フリー円板5の軸方向端面と対
向するスラスト板6aの一面にもスパイラル状の動圧発
生用溝11が形成されており、フリー円板5が停止した
状態で上記回転軸2が回転すると、かかる動圧発生用溝
11によってフリー円板5とスラスト板6aの軸受隙
間、すなわちスラスト動圧軸受の軸受隙間に介在する潤
滑流体がスラスト板6aの外径に向けて加圧され、かか
る軸受隙間に高圧の流体潤滑膜が形成されるようになっ
ている。その結果、回転軸2は上記外輪4及びフリー円
板5を挟んで設けられた一対のスラスト動圧軸受によっ
てその軸方向の移動が規制されることとなる。
【0023】更に、回転軸2を停止させた状態でフリー
円板5のみを円板駆動モータ7で回転駆動する場合を考
慮すると、上記フリー円板5は回転軸2と逆方向に回転
することから、この場合もフリー円板5とスラスト板6
aの軸受隙間には回転軸2を回転させた場合と同様にし
て高圧の流体潤滑膜が形成される。
【0024】また更に、上記外輪4と対向するフリー円
板5の一面にもスパイラル状の動圧発生用溝12が形成
されており、フリー円板5が回転すると、かかる動圧発
生用溝12によってフリー円板5と外輪4の軸受隙間に
介在する潤滑流体が該フリー円板5の内径に向けて加圧
され、かかる軸受隙間に高圧の流体潤滑膜が形成される
ようになっている。すなわち、フリー円板5を円板駆動
モータ7によって回転させると、フリー円板5の周囲の
各軸受隙間には高圧の流体潤滑膜が形成され、かかるフ
リー円板5と内輪3、スラスト板6a及び外輪4との固
体接触を防止しながら、該フリー円板5を高速で回転さ
せることが可能となる。
【0025】この液体動圧軸受ユニットではラジアル動
圧軸受及びスラスト動圧軸受の各潤滑流体として、水や
機械加工用クーラント液等の液体を使用しており、かか
る潤滑液は一対の吸蔵体15,16に吸収された状態で
上記ハウジング1内に貯蔵されている。これら吸蔵体1
5,16は高吸水繊維の交絡体であり、円環状に形成さ
れると共に各スラスト板6a,6bの外径側に配設され
ている。すなわち、一方の吸蔵体15はホルダー17に
保持された状態でスラスト板6bの外径側に配置され、
かかるスラスト板6bと外輪4とが形成するスラスト動
圧軸受の軸受隙間に面している。また、他方の吸蔵体1
6はフリー円板5に搭載された状態でスラスト板6aの
外径側に配置され、かかるスラスト板6aとフリー円板
5とが形成するスラスト動圧軸受の軸受隙間に面してい
る。
【0026】また、フリー円板5及び外輪4には各吸蔵
体15,16からフリー円板5と外輪4との軸受隙間に
向けて貫通する液供給路18,19が夫々形成されてお
り、各吸蔵体に貯蔵されていた潤滑液が上記液供給路1
8,19を経てフリー円板5と外輪4との軸受隙間に流
動し得るように構成されている。この液供給路18,1
9はフリー円板5及び外輪4の周方向に沿って等間隔で
複数本が形成されており、フリー円板5における動圧発
生用溝12の形成領域内に開口している。
【0027】以上のように構成された第1実施例の動圧
軸受ユニットを使用するに当たっては、回転軸2の起動
に先立って、先ずは円板駆動モータ7により回転軸2の
回転方向とは逆方向へフリー円板5を回転させる。フリ
ー円板5を回転させると、このフリー円板5の周囲の軸
受隙間には高圧の流体潤滑膜が形成され、かかる流体潤
滑膜でフリー円板5の回転を支承することができること
は前述の通りである。このとき、フリー円板5と外輪4
との軸受隙間では、動圧発生用溝12の働きによって潤
滑液がフリー円板5の内径へ向けて加圧されており、図
2に示すように、加圧された潤滑液は内輪3とフリー円
板5との軸受隙間、あるいは内輪3と外輪5との軸受隙
間に押し込まれる。また、潤滑液がフリー円板5の内径
へ向けて加圧されることから、フリー円板5の外径近傍
では軸受隙間の圧力が負圧となり、吸蔵体15,16に
貯蔵されていた潤滑液が液供給路18,19を経てフリ
ー円板5と外輪4の軸受隙間に吸引される。これによ
り、内輪3と外輪4の軸受隙間、内輪3とフリー円板5
の軸受隙間に対して潤滑液を連続的に供給することが可
能となる。
【0028】特に、吸蔵体16はフリー円板5に搭載さ
れていることから、フリー円板5が回転すると、遠心力
によって吸蔵体16内における空気と潤滑液との分離が
促進され、かかる吸蔵体16から潤滑液を取り出すこと
が一層容易となる。従って、フリー円板5の回転数が高
まり、これに伴ってフリー円板5と外輪4の軸受隙間に
おける潤滑液の流動量が増加しても、かかる流動量に見
合った量の潤滑液をフリー円板5に搭載された吸蔵体1
6から供給することができるものである。
【0029】また、フリー円板5が回転していることか
ら、かかるフリー円板5と内輪3の軸受隙間に流入した
潤滑液はスラスト板6aに向けて加圧され、フリー円板
5とスラスト板6aの軸受隙間に流入する一方、かかる
スラスト動圧軸受の軸受隙間に流入した潤滑液はスラス
ト板6aの外径に向けて加圧され、最終的に、潤滑液は
スラスト板6aの外径から噴出してフリー円板5に搭載
された吸蔵体16に吸収される。
【0030】更に、図2に示すように、フリー円板5の
回転によって外輪4と内輪3の軸受隙間に押し込まれた
潤滑液は、背後から加圧されることから、回転軸2が回
転せずとも内輪と外輪の軸受隙間を流動し、スラスト板
6bと外輪の軸受隙間に流れ込む。そして、かかる軸受
隙間を流動した後、スラスト板6bの外径から噴出して
固定的に設けられた吸蔵体15に吸収される。
【0031】このようにフリー円板5が回転すると、回
転軸2が回転せずとも、各ラジアル動圧軸受及びスラス
ト動圧軸受の軸受隙間に高圧の潤滑液が流れ込むことと
なり、この状態から回転軸2を起動させれば、かかる起
動時における回転側部材(図1中において斜線ハッチン
グで示されている部材)と固定側部材との固体接触を防
止することができるものである。特に、図1の紙面上側
を上方として回転軸2を鉛直に配置している場合には、
かかる回転軸2が停止していると、回転軸2に作用する
荷重の全てがスラスト板6aからフリー円板5に対して
作用してしまうので、フリー円板5とスラスト板6aと
の間に固体接触を生じ易い。しかし、フリー円板5は回
転軸2に比べて軽量であることから、回転軸2に比べで
容易に起動させることができ、しかも一旦起動すれば、
前述のようにして各動圧軸受の軸受隙間に高圧の潤滑液
が行き渡り、回転側部材と固定側部材との固体接触が防
止される。
【0032】一方、フリー円板5を回転させた状態で回
転軸2も起動すると、かかるフリー円板5は回転軸2と
逆方向に回転することから、フリー円板5に対する回転
軸2の相対的な回転速度が向上し、フリー円板5と内輪
3の軸受隙間、フリー円板5とスラスト板6aの軸受隙
間には更に高圧の流体潤滑膜が形成されることになる。
また、回転軸2の起動に伴って内輪3と外輪4の軸受隙
間に流入していた潤滑液も動圧発生用溝8によって加圧
され、吸蔵体15を介した潤滑液の循環量も多くなる。
【0033】そして、回転軸2の回転が十分に高速にな
れば、各ラジアル動圧軸受及びスラスト動圧軸受の軸受
隙間には十分に高圧の流体潤滑膜が形成され、回転側部
材と固定側部材とが固体接触を生じる危険がなくなるこ
とから、フリー円板5の回転を停止することができる。
フリー円板5の回転が停止しても、停止したフリー円板
5と内輪3の軸受隙間では潤滑液がスラスト板6aへ向
けて加圧され、外輪4と内輪3の軸受隙間では潤滑液が
スラスト板6bへ向けて加圧されていることから、フリ
ー円板5と外輪4の軸受隙間は負圧となり、吸蔵体1
5,16に貯蔵されている潤滑液は液供給路18,19
を介して引き続き該軸受隙間に吸引される。そのため、
フリー円板5が停止しても、回転軸2が起動している間
は、図2に示した潤滑液の循環が継続的に行われる。
【0034】このように吸蔵体15,16を介して潤滑
液を循環させながら回転軸2の回転を支承するように構
成すると、かかる潤滑液によって各動圧軸受で発生する
剪断摩擦熱の除去が促進され、内輪3の熱膨張による内
輪3及び外輪4の固体接触をも防止することが可能とな
る。例えば、スラスト板6a,6bの外径を48mm、
内輪3の外径を36mm、軸受隙間を7.5μmとし、
回転軸2を16000rpmで回転させると、各動圧軸
受の軸受隙間では15kgf/cm2 の高圧力と、65
cc/minの循環液量が得られ、動圧発生用溝を含め
た軸受隙間のトータル容積が0.12cm3 であること
を考慮すると、十分な量の潤滑液を循環させることがで
き、各動圧軸受で発生する剪断摩擦熱を効果的に除去し
得ることが理解される。
【0035】また、回転軸2を停止する際には、かかる
停止に先立ってフリー円板5を起動させることにより、
回転軸2の減速に伴う流体潤滑膜の圧力の減少を補うこ
とができるので、回転軸2の起動時と同様にして、回転
側部材と固定側部材との固体接触を防止しながら回転軸
2を停止させることができ、スラスト板6a,6bや内
輪3の破損を防止することが可能となる。
【0036】一方、本実施例の動圧軸受ユニットでは、
ハウジング1内に外部から異物が入り込むのを防止する
と共に、回転軸2の停止時に潤滑液が外部に漏出するの
を防止するため、リング状のシール部材20,20をハ
ウジング1に固定し、かかるシール部材20の内径側の
先端部を各スラスト板6a,6bの外側面に対して当接
させている。このシール部材20は弾性体から形成され
ており、その弾性力によってスラスト板6a,6bに軽
く当接している。一方、図3に示すように、シール部材
20が当接したスラスト板6a(6b)の外側面には、
スパイラル状の動圧発生用溝21が形成されており、上
記シール部材20の先端部はこの動圧発生用溝21の形
成領域を越えて、各スラスト板6a(6b)の陸に当接
している。この動圧発生用溝21は回転軸2の回転に伴
って、ハウジング1内の雰囲気をスラスト板6a(6
b)の外径側から内径側に向かって排出する向きに形成
されている。
【0037】従って、回転軸2が回転すると、動圧発生
用溝21によって各スラスト板6a,6bとシール部材
20との間に動圧が発生し、弾性体からなるシール部材
は僅かに変形してスラスト板6aから離間する。このと
き、動圧発生用溝21はハウジング1内の雰囲気をスラ
スト板6a,6bの外径側から内径側へ向けて加圧して
いることから、回転軸2の回転中はハウジング1内の雰
囲気がシール部材20とスラスト板6a,6bとの隙間
から外部に向けて噴出し、ハウジング1内に異物が侵入
するのを防止することができる。一方、回転軸2が停止
すると、スラスト板6a,6bとシール部材20との間
の動圧が消失することから、シール部材20の変形が解
消し、かかるシール部材20はスラスト板6a,6bに
当接する。これにより、回転軸2の停止中に、ハウジン
グ1内から外部へ潤滑液が漏出するのを効果的に防止す
ることができる。
【0038】図4は本発明をスピンドル装置に適用した
第2実施例を示す概略図である。同図において、符号3
1はハウジング、符号32はこのハウジング31に対し
て回転自在に支承されたスピンドル主軸、符号33はこ
のスピンドル主軸32に嵌合した内輪、符号34はハウ
ジング31と一体に形成されると共に上記内輪33と所
定の軸受隙間を介して対向する外輪、符号35は所定の
軸受隙間を介して上記外輪34に隣接すると共に上記内
輪33と所定の軸受隙間を介して対向するフリー円板、
符号36a,36bは上記スピンドル主軸2に嵌合する
と共に上記外輪34及びフリー円板35の軸方向端面と
所定の軸受隙間を介して対向する一対の円板状スラスト
板であり、上記内輪33と外輪34、内輪33とフリー
円板35とがラジアル動圧軸受を構成する一方、スラス
ト板36aとフリー円板35、スラスト板36bと外輪
34、外輪34とフリー円板35とがスラスト動圧軸受
を夫々構成している。
【0039】上記フリー円板35は、第1実施例と同様
に、内輪33、スラスト板36a及び外輪34と所定の
軸受隙間を介して対向しており、円板駆動モータ37に
よってスピンドル主軸32とは逆方向に任意の回転を与
えられるようになっている。また、円板駆動モータ37
の保持力によって、スピンドル主軸32の回転中にフリ
ー円板35を回転させずに停止させておくこともできる
ようになっている。
【0040】上記外輪34と対向する内輪33の外周面
にはヘリングボーン状の動圧発生用溝38,39が一対
形成されており、スピンドル主軸32が回転すると、一
方の動圧発生用溝38によって外輪34と内輪33の軸
受隙間に介在する潤滑流体がスラスト板6bに向けて加
圧され、他方の動圧発生用溝39によって外輪34と内
輪33の軸受隙間に介在する潤滑流体がスラスト板6a
に向けて加圧され、これらの軸受隙間に高圧の流体潤滑
膜が形成されるようになっている。これにより、スピン
ドル主軸32は外輪34に対して非接触の状態でその回
転を支承されることとなる。
【0041】また、第1実施例と同様、上記フリー円板
35と対向する内輪33の外周面にもヘリングボーン状
の動圧発生用溝40が形成されており、フリー円板35
が停止している状態でスピンドル主軸32が回転する
と、かかる動圧発生用溝40によってフリー円板35と
内輪33の軸受隙間、すなわちラジアル動圧軸受の軸受
隙間に介在する潤滑流体がスラスト板36aに向けて加
圧され、かかる軸受隙間に高圧の流体潤滑膜が形成され
るようになっている。また、フリー円板35がスピンド
ル主軸32と逆方向に回転すると、かかるスピンドル主
軸32との間の相対的な回転差が増加することから、フ
リー円板35と内輪33の軸受隙間には更に高圧の流体
潤滑膜が形成される。
【0042】一方、上記外輪34の軸方向端面と対向す
るスラスト板36bの一面にはスパイラル状の動圧発生
用溝41が形成されており、上記スピンドル主軸32が
回転すると、かかる動圧発生用溝41によって外輪34
とスラスト板36bの軸受隙間、すなわちスラスト動圧
軸受の軸受隙間に介在する潤滑流体がスラスト板36b
の外径に向けて加圧され、かかる軸受隙間に高圧の流体
潤滑膜が形成されるようになっている。
【0043】また、上記フリー円板35の軸方向端面と
対向するスラスト板36aの一面にもスパイラル状の動
圧発生用溝42が形成されており、フリー円板35が停
止した状態で上記スピンドル主軸32が回転すると、か
かる動圧発生用溝42によってフリー円板35とスラス
ト板36aの軸受隙間、すなわちスラスト動圧軸受の軸
受隙間に介在する潤滑流体がスラスト板36aの外径に
向けて加圧され、かかる軸受隙間に高圧の流体潤滑膜が
形成されるようになっている。その結果、スピンドル主
軸32は上記外輪34及びフリー円板35を挟んで設け
られた一対のスラスト動圧軸受によってその軸方向の移
動が規制されることとなる。
【0044】また更に、上記外輪34と対向するフリー
円板35の一面にもスパイラル状の動圧発生用溝43が
形成されており、フリー円板35が回転すると、かかる
動圧発生用溝43によってフリー円板35と外輪34の
軸受隙間に介在する潤滑流体が該フリー円板35の内径
に向けて加圧され、かかる軸受隙間に高圧の流体潤滑膜
が形成されるようになっている。すなわち、フリー円板
35を円板駆動モータ37によって回転させると、第1
実施例と同様、フリー円板35の周囲の各軸受隙間には
高圧の流体潤滑膜が形成され、かかるフリー円板35と
内輪33、スラスト板36a及び外輪34との固体接触
を防止しながら、該フリー円板35を高速で回転させる
ことが可能となる。
【0045】この実施例においても、各動圧軸受の軸受
隙間に供給される潤滑液は吸蔵体45,46に吸収され
た状態でハウジング内に貯蔵されている。各吸蔵体4
5,46はスピンドル主軸32を取り巻くようにして円
環状に形成されており、一方の吸蔵体45はハウジング
31に直接保持された状態でスラスト板36bの外径側
に配置され、かかるスラスト板36bと外輪34とが形
成するスラスト動圧軸受の軸受隙間に面している。ま
た、他方の吸蔵体46はフリー円板35に搭載され、か
かるスラスト板36aとフリー円板35とが形成するス
ラスト動圧軸受の軸受隙間に面している。
【0046】また、フリー円板35には吸蔵体45から
該フリー円板45と外輪34との軸受隙間に向けて貫通
する液供給路48が形成されており、吸蔵体45に貯蔵
されていた潤滑液が上記液供給路48を経てフリー円板
35と外輪34との軸受隙間に流動し得るように構成さ
れている。一方、上記ハウジング31及び外輪34には
吸蔵体46から内輪33及び外輪34の軸受隙間に向け
て貫通する略L字状の液供給路49が形成されており、
吸蔵体46に貯蔵されていた潤滑液が上記液供給路49
を経て内輪33と外輪34との軸受隙間に流動し得るよ
うに構成されている。これらの液供給路48,49はフ
リー円板35及び外輪34の周方向に沿って等間隔で複
数本が形成されている。
【0047】以上のように構成された第2実施例のスピ
ンドル装置を使用するに当たっては、やはり回転軸32
の起動に先立って、先ずは円板駆動モータ37により回
転軸32の回転方向とは逆方向へフリー円板35を回転
させる。フリー円板35を回転させると、このフリー円
板35の周囲の軸受隙間には高圧の流体潤滑膜が形成さ
れる。このとき、フリー円板35と外輪34との軸受隙
間では、動圧発生用溝43の働きによって潤滑液がフリ
ー円板35の内径へ向けて加圧されており、図5に示す
ように、加圧された潤滑液は内輪33とフリー円板35
との軸受隙間、あるいは内輪33と外輪34との軸受隙
間に押し込まれる。また、潤滑液がフリー円板35の内
径へ向けて加圧されることから、フリー円板35の外径
近傍では軸受隙間の圧力が負圧となり、吸蔵体45に貯
蔵されていた潤滑液が液供給路48を経てフリー円板3
5と外輪34の軸受隙間に吸引される。これにより、内
輪33と外輪34の軸受隙間、内輪33とフリー円板3
5の軸受隙間に対して潤滑液を連続的に供給することが
可能となる。
【0048】また、第1実施例と同じように吸蔵体45
はフリー円板35に搭載されていることから、遠心力に
よって吸蔵体45内における空気と潤滑液との分離を促
進することができ、フリー円板35の回転数が高まって
軸受隙間における潤滑液の流動量が増加しても、かかる
流動量に見合った量の潤滑液をフリー円板35に搭載さ
れた吸蔵体45から供給することが可能となる。
【0049】スピンドル主軸32が停止した状態でフリ
ー円板35が回転すると、フリー円板35の周囲では図
5に矢線で示すような潤滑液の流動が生じ、吸蔵体45
からフリー円板35と外輪34の軸受隙間に供給された
潤滑液は、フリー円板35と内輪33の軸受隙間、フリ
ー円板35とスラスト板36aの軸受隙間を流動した
後、再度吸蔵体45に吸収される。一方、外輪34の周
囲でも図5に矢線で示すような潤滑液の流動が生じ、フ
リー円板35と外輪34の軸受隙間から内輪33と外輪
34の軸受隙間に流動した潤滑液は、外輪34とスラス
ト板36bの軸受隙間を経て吸蔵体46に吸収される。
【0050】このようにフリー円板35が回転すると、
スピンドル主軸32が回転せずとも、各ラジアル動圧軸
受及びスラスト動圧軸受の軸受隙間に高圧の潤滑液が流
れ込むこととなり、この状態からスピンドル主軸32を
起動させれば、かかる起動時における回転側部材(図4
中において斜線ハッチングで示されている部材)と固定
側部材との固体接触を防止することができるものであ
る。
【0051】この状態からスピンドル主軸32が起動す
ると、内輪に形成された動圧発生用溝38,39の働き
により、かかる内輪33と外輪34の軸受隙間でも潤滑
液が加圧され、かかる軸受隙間にも高圧の流体潤滑膜が
形成される。このとき、内輪33に形成された動圧発生
用溝38は内輪33と外輪34の軸受隙間に存在する潤
滑液をスラスト板36bの方向へ加圧する一方、かかる
動圧発生用溝38に隣接する動圧発生用溝39は内輪3
3と外輪34の軸受隙間に存在する潤滑液をスラスト板
36aの方向へ加圧することから、内輪33と外輪34
の軸受隙間における潤滑液の流動は図6に矢線で示すも
のとなる。これにより、吸蔵体46内に貯蔵されていた
潤滑液は、液供給路49を経て内輪33と外輪34の軸
受隙間に吸引される。
【0052】そして、スピンドル主軸32の回転が十分
に高速になれば、各ラジアル動圧軸受及びスラスト動圧
軸受の軸受隙間には十分に高圧の流体潤滑膜が形成さ
れ、スピンドル主軸32に外力が作用しても、回転側部
材と固定側部材とが固体接触を生じる危険がなくなるこ
とから、フリー円板35の回転を停止することができ
る。フリー円板35の回転が停止しても、停止したフリ
ー円板35と内輪33の軸受隙間では潤滑液がスラスト
板6aへ向けて加圧されていることから、フリー円板3
5と外輪34の軸受隙間は負圧となり、吸蔵体45に貯
蔵されている潤滑液は液供給路48を介して引き続き該
軸受隙間に吸引される。そのため、フリー円板35が停
止しても、スピンドル主軸32が起動している間は、図
6に示した潤滑液の循環が継続的に行われる。
【0053】第1実施例において説明したように、各動
圧軸受で発生した剪断摩擦熱は潤滑液によって運び去ら
れることから、何ら潤滑液の冷却手段を具備しない場合
には、吸蔵体46に貯蔵される潤滑液が徐々に高温とな
り、潤滑液の循環によって各動圧軸受を冷却することが
困難になってくる。そのため、この第2実施例では、吸
蔵体46から潤滑液を軸受隙間に供給する液供給路49
の途中にペルチェ素子50を設け、このペルチェ素子5
0に通電した際の吸熱効果を利用して液供給路49を流
動する潤滑液の冷却を行っている。これにより、吸蔵体
46から軸受隙間に供給される潤滑液は低温となり、各
動圧軸受で発生する剪断摩擦熱を効果的に除去すること
が可能となる。
【0054】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の液体
動圧軸受ユニットによれば、回転軸の回転方向とは逆方
向に上記フリー円板を回転させることにより、回転軸が
停止している状態でも上記フリー円板とスラスト板又は
内輪とが形成する動圧軸受の軸受隙間に高圧の流体潤滑
膜が形成され、更に、この高圧の潤滑液を外輪と内輪又
はスラスト板との軸受隙間に対して押し込むことができ
るので、内輪又はスラスト板と外輪とが固体接触を生じ
るのを可及的に防止することができ、回転軸の起動時又
は停止時における回転側部材と固定側部材の固体接触を
可及的に防止することが可能となる。
【0055】また、本発明の動圧軸受ユニットでは潤滑
液が吸蔵体を介して各動圧軸受の軸受隙間を循環するこ
とになるので、潤滑液を周囲に漏出させることなく、少
量の潤滑液を自然循環させながら回転軸の高速回転を支
承することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の液体動圧軸受ユニットの第1実施例
を示す概略図である。
【図2】 第1実施例の液体動圧軸受ユニット内におけ
る潤滑液の循環経路を示す概略図である。
【図3】 第1実施例の液体動圧軸受ユニットにおける
シール部材を示す拡大図である。
【図4】 本発明の液体動圧軸受ユニットの第2実施例
を示す概略図である。
【図5】 第2実施例の液体動圧軸受ユニットにおい
て、フリー円板を起動させた際の潤滑液の循環経路を示
す概略図である。
【図6】 第2実施例の液体動圧軸受ユニットにおい
て、スピンドル主軸を起動させた際の潤滑液の循環経路
を示す概略図である。
【符号の説明】
1…ハウジング、2…回転軸、3…内輪、4…外輪、5
…フリー円板、6a,6b…スラスト板、15,16…
吸蔵体、18,19…液供給路(液供給経路)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 溝渕 庄太郎 山梨県中巨摩郡玉穂町中楯754、テイエチ ケー株式会社甲府工場内 Fターム(参考) 3J011 AA07 AA09 BA02 BA09 CA01 CA02 JA02 KA04 MA03 MA04 MA23

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支承すべき回転軸に嵌合する内輪と、ハ
    ウジングに固定されると共に上記内輪と相まってラジア
    ル動圧軸受を構成する外輪と、この外輪に隣接し、上記
    内輪と相まってラジアル動圧軸受を構成すると共に上記
    外輪と相まってスラスト動圧軸受を構成するフリー円板
    と、上記外輪及びフリー円板をその軸方向から挟み込む
    ようにして上記内輪に固定され、該外輪及びフリー円板
    と相俟ってスラスト動圧軸受を構成する一対のスラスト
    板と、上記フリー円板に任意の回転数を与える円板駆動
    手段と、各スラスト動圧軸受の軸受隙間に面して配設さ
    れ、これらスラスト動圧軸受の軸受隙間から排出される
    潤滑液を吸収して貯蔵する吸蔵体と、この吸蔵体と上記
    スラスト動圧軸受及びラジアル動圧軸受の軸受隙間を連
    結して、かかる軸受隙間に対して潤滑液を供給する液供
    給経路とを備えたことを特徴とする液体動圧軸受ユニッ
    ト。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の液体動圧軸受ユニットに
    おいて、上記吸蔵体はフリー円板に搭載されていること
    を特徴とする液体動圧軸受ユニット。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の液体動圧軸受ユニ
    ットにおいて、上記フリー円板の回転に伴い、かかるフ
    リー円板の表裏両面側に設けられた一対のスラスト動圧
    軸受の軸受隙間では潤滑液が互いに逆方向に流動し、上
    記吸蔵体を介して潤滑液が循環することを特徴とする液
    体動圧軸受ユニット。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載の液体
    動圧軸受ユニットにおいて、上記液供給経路には通電に
    よって潤滑液の冷却を行うペルチェ素子が設けられてい
    ることを特徴とする液体動圧軸受ユニット。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至3のいずれかに記載の液体
    動圧軸受ユニットにおいて、弾性体により形成されたリ
    ング状のシール部材を上記ハウジングに固定すると共
    に、かかるシール部材の内径側の先端部を上記スラスト
    板の外側面に対して当接させ、更に、 上記ハウジング内の雰囲気をハウジング外へ向かって排
    出するよう、上記シール部材とスラスト板の対向部位に
    動圧発生用溝を形成したことを特徴とする液体動圧軸受
    ユニット。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003042159A (ja) * 2001-07-27 2003-02-13 Thk Co Ltd 潤滑液の浄化機能を備えた動圧軸受装置
JP2017089721A (ja) * 2015-11-06 2017-05-25 トヨタ自動車株式会社 回転軸の支持構造
CN117439325A (zh) * 2023-10-30 2024-01-23 东莞市锦宏电机有限公司 一种自润滑低磨损降噪式无刷电机

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