JP2000249136A - 液体動圧軸受ユニット - Google Patents

液体動圧軸受ユニット

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JP2000249136A
JP2000249136A JP11050793A JP5079399A JP2000249136A JP 2000249136 A JP2000249136 A JP 2000249136A JP 11050793 A JP11050793 A JP 11050793A JP 5079399 A JP5079399 A JP 5079399A JP 2000249136 A JP2000249136 A JP 2000249136A
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bearing
dynamic pressure
liquid
pressure bearing
bearing gap
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JP11050793A
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English (en)
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Masakazu Uesugi
正和 上杉
Masahiro Kadofuri
正浩 角振
Shotaro Mizobuchi
庄太郎 溝渕
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THK Co Ltd
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THK Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】潤滑流体として液体を用いた場合であっても、
かかる潤滑液を周囲に漏出させることなく、少量の潤滑
液を自然循環させながら回転軸の高速回転を支承するこ
とが可能な液体動圧軸受ユニットを提供する。 【解決手段】回転側部材2,4と固定側部材3とから構
成され、これら両部材の間に形成された軸受隙間に高圧
の流体潤滑膜を形成し、それによって回転軸1の回転を
支承する液体動圧軸受ユニットにおいて、上記回転側部
材2,4と固定側部材3に隣接すると共に上記軸受隙間
に面して吸蔵体10を配設し、上記軸受隙間から排出さ
れる潤滑液をこの吸蔵体10に吸収させて貯蔵する一
方、かかる吸蔵体10には輸液管11を挿入し、この輸
液管11を介して吸蔵体10内の潤滑液が軸受隙間に自
然吸引されるように構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転軸の回転に伴
って高圧の流体潤滑膜を発生させ、この流体潤滑膜によ
って上記回転軸の回転を支承する動圧軸受ユニットに係
り、特に、かかる動圧軸受の潤滑流体として水やクーラ
ント液等の液体を用いた液体動圧軸受ユニットに関す
る。
【0002】
【従来の技術】特開平6−241222号公報、特開平
6−249236号公報、特開平7−19236号公報
等には動圧軸受によって主軸の回転を支承したスピンド
ル装置が開示されている。かかるスピンドル装置は、工
作機械の主軸頭等に固定されるハウジングと、駆動手段
に連結されて回転する主軸と、所定の軸受隙間を介して
対向する回転側部材及び固定側部材から構成されると共
に上記主軸をハウジングに対して回転自在に支承するラ
ジアル動圧軸受及びスラスト動圧軸受とを備えており、
各動圧軸受の回転側部材には深さ10〜15μm程度の
動圧発生用溝が所定のパターンで形成されている。
【0003】このように構成されたスピンドル装置にお
いては、上記主軸の回転に伴って動圧軸受の軸受隙間に
介在する潤滑流体が加圧され、主軸は高圧の流体潤滑膜
によって浮揚状態となり、その状態のままで回転を支承
される。このため、主軸の回転に対しては極僅かな回転
抵抗しか作用せず、しかも回転時における振動も殆ど発
生しないことから、該主軸に対して毎分1万回転以上の
高速回転を与えて使用することも可能といった優れた特
質を有している。
【0004】また、かかるスピンドル装置では主軸の回
転に伴って潤滑流体を加圧していることから、各動圧軸
受の回転側部材と固定側部材との軸受隙間が過大である
と、該軸受隙間において潤滑流体の圧力を十分に高める
ことができず、主軸の外部荷重に対する負荷能力及び剛
性が低下してしまう。このため、前述した従来のスピン
ドル装置では軸受隙間を数μm程度に設定し、主軸の低
速回転においても潤滑流体を十分に加圧できるようにし
ている。
【0005】更に、各動圧軸受の軸受隙間で加圧される
潤滑流体としては、空気等の気体の他に水や工作機械用
のクーラント液等の液体を用いることが可能であるが、
気体の圧縮性に比較して液体のそれの方が小さいことか
ら、液体を潤滑流体として用いた場合の方が主軸の荷重
に対する負荷能力及び剛性は向上することとなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の動圧軸
受では、上記主軸をハウジングに対して非接触で支承し
ている構造上、各動圧軸受の軸受隙間がハウジング外の
雰囲気と連通されており、潤滑流体として液体を用いた
場合には、軸受隙間で加圧された潤滑液がハウジング外
へ漏れ出してしまい、かかる動圧軸受が組み込まれた装
置、例えば上記スピンドル装置の周辺を汚してしまうと
いった問題点があった。このため、潤滑流体として液体
を用いた動圧軸受は、例えばクリーンルーム内における
使用等、潤滑液の漏出による汚染を嫌う環境下では使用
することができなかった。
【0007】また、潤滑液が各動圧軸受の軸受隙間から
ハウジング外へ漏出してしまうので、この動圧軸受の運
転には多量の潤滑液が必要であり、潤滑液の供給等のメ
ンテナンス上からも運転コストが嵩むといった欠点もあ
った。漏出した潤滑液を回収して再度軸受隙間へ供給す
ることも不可能ではないが、工作機械等に使用される場
合には、一旦漏出してしまった潤滑液に塵芥やワークの
切削粉等が混じっている可能性が高く、回収した潤滑液
をそのまま軸受隙間に供給したのでは、これら異物が幅
数μmの軸受隙間に引っ掛かってしまい、主軸の円滑な
回転が阻害される懸念が高い。従って、漏出した潤滑液
を再度軸受隙間へ供給するのであれば、目の細かいフィ
ルタを用いて潤滑液中から異物を丁寧に濾しとる必要が
あり、装置が複雑化する他、フィルタを定期的に洗浄し
なければならないといった問題点があった。
【0008】本発明はこのような問題点に鑑みなされた
ものであり、その目的とするところは、潤滑流体として
液体を用いた場合であっても、かかる潤滑液を周囲に漏
出させることなく、少量の潤滑液を自然循環させながら
回転軸の高速回転を支承することが可能な液体動圧軸受
ユニットを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の液体動圧軸受ユニットは、回転軸に固定さ
れる回転側部材と、この回転側部材と所定の軸受隙間を
介して対向する固定側部材と、上記軸受隙間に潤滑液を
供給する液供給手段とを備え、かかる回転側部材の回転
に応じて上記軸受隙間に高圧の流体潤滑膜を形成し、そ
れによって上記回転軸の回転を支承するように構成した
液体動圧軸受ユニットを前提とし、上記液供給手段は、
上記回転側部材と固定側部材に隣接すると共に上記軸受
隙間に面して配設され、かかる軸受隙間から排出される
潤滑液を吸収して貯蔵する吸蔵体と、一端がこの吸蔵体
に接続されると共に他端が上記軸受隙間に開口した輸液
管とからなることを特徴とするものである。
【0010】このような技術的手段によれば、上記液供
給手段によって回転側部材と固定側部材の軸受隙間に供
給された潤滑液は、かかる回転側部材の回転に伴って加
圧され、軸受隙間に高圧の流体潤滑膜が形成される。こ
れによって回転軸はその回転を支承される。加圧された
潤滑液は軸受隙間内を流動した後に該軸受隙間から外部
へ排出されるが、かかる軸受隙間に面した位置には吸蔵
体が配設されており、排出された潤滑液は周囲に飛散す
ることなく上記吸蔵体に吸収される。一方、かかる吸蔵
体と上記軸受隙間は輸液管によって連絡されているが、
回転側部材の回転に伴って潤滑液が軸受隙間から吸蔵体
へ向けて排出されると、排出された分の潤滑液を補うた
め、吸蔵体に貯蔵されている潤滑液が輸液管を通して軸
受隙間に自然吸引される。
【0011】すなわち、本発明の動圧軸受ユニットで
は、回転側部材が回転軸と共に回転すると、軸受隙間か
ら排出された潤滑液が吸蔵体に吸収される一方、かかる
吸蔵体に貯蔵されていた潤滑液が輸液管を介して軸受隙
間に自ずと供給され、潤滑液を外部に漏出させることな
く循環させることができるのである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づいて本発明
の液体動圧軸受ユニットを詳細に説明する。図1は本発
明の液体動圧軸受ユニットの実施形態を示す概略図であ
る。同図において、符号1は回転軸、符号2はこの回転
軸1に嵌合した回転側部材としての内輪、符号3はこの
内輪2と所定の軸受隙間を介して対向する固定側部材と
しての外輪、符号4,4は上記回転軸1に嵌合すると共
に上記外輪3の軸方向端面と所定の軸受隙間を介して対
向する一対の円板状スラスト板であり、上記内輪2と外
輪3とがラジアル動圧軸受5を構成する一方、各スラス
ト板4と外輪3とがスラスト動圧軸受6を構成してい
る。
【0013】上記外輪3の内周面と対向する内輪2の外
周面には、図2に示すように、ヘリングボーン状の動圧
発生用溝7が形成されており、回転軸1が回転すると、
かかる動圧発生用溝7によって外輪3と内輪2の軸受隙
間、すなわちラジアル動圧軸受5の軸受隙間に介在する
潤滑流体が加圧され、かかる軸受隙間に高圧の流体潤滑
膜が形成されるようになっている。これにより、回転軸
1は外輪3に対して非接触の状態でその回転を支承され
ることとなる。
【0014】一方、上記外輪3の軸方向端面と対向する
スラスト板4の一面には、図3に示すように、スパイラ
ル状の動圧発生用溝8が形成されており、上記回転軸1
が回転すると、かかる動圧発生用溝8によって外輪3と
スラスト板4の軸受隙間、すなわちスラスト動圧軸受6
の軸受隙間に介在する潤滑流体が加圧され、かかる軸受
隙間に高圧の流体潤滑膜が形成されるようになってい
る。その結果、回転軸1は上記外輪3を挟んで設けられ
た一対のスラスト動圧軸受6によってその軸方向の移動
が規制されることとなる。
【0015】この液体動圧軸受ユニットではラジアル動
圧軸受5及びスラスト動圧軸受6の各潤滑流体として、
水や機械加工用クーラント液等の液体を使用しており、
かかる潤滑液は外輪3を半径方向に貫通するようにして
形成された供給流路9から上記ラジアル動圧軸受5の軸
受隙間に供給されるようになっている。
【0016】ここで、上記内輪2に形成されたヘリング
ボーン状の動圧発生用溝7は、図2中に矢線で示す方向
へ回転軸1が回転すると、かかる回転に伴って軸受隙間
の潤滑液を内輪2の軸方向の両端に向けて加圧する所謂
ポンプアウト型に形成されている。また、スラスト板4
に形成されたスパイラル状の動圧発生用溝8は、図3中
に矢線で示す方向へ回転軸1が回転すると、かかる回転
に伴って軸受隙間の潤滑液をスラスト板4の内径から外
径へ向けて加圧する所謂ポンプアウト型に形成されてい
る。
【0017】従って、この動圧軸受ユニットでは上記回
転軸1が回転を開始すると、ラジアル動圧軸受5の軸受
隙間に存在する潤滑液が外輪3の両端に配置されたスラ
スト板4に向けて自ずから流動するので、これに伴って
かかる軸受隙間には上記供給流路69から潤滑液が自然
に流入してくる。また、ラジアル動圧軸受5の軸受隙間
はスラスト動圧軸受6の軸受隙間と連通していることか
ら、ラジアル動圧軸受5の軸受隙間で加圧された潤滑液
はスラスト動圧軸受6の軸受隙間へと流れ込み、回転軸
1の回転に伴ってスラスト板4の内径から外径へと流動
する。つまり、この動圧軸受ユニットにおいては、回転
軸1が回転すると、潤滑液が供給流路9からラジアル動
圧軸受5の軸受隙間に吸引されると共にスラスト動圧軸
受6の外径側から排出され、潤滑液を自己循環させるこ
とができるように構成されている。
【0018】一方、スラスト動圧軸受6の軸受隙間から
外部へ排出された潤滑液を回収して再度ラジアル動圧軸
受5の軸受隙間へ供給するため、上記スラスト板4の外
周側には吸蔵体10が配設されている。この吸蔵体10
は高吸水繊維から形成されており、潤滑液がスラスト動
圧軸受6の軸受隙間から高圧となって噴出した際にこれ
を受け止めて吸収し、内部に貯蔵するように構成されて
いる。尚、図1ではスラスト板4と吸蔵体10との間隔
を広めに描いてあるが、軸受隙間から噴出する潤滑液を
吸蔵体10で残らず受け止めるという観点からすれば、
かかる吸蔵体10は高速回転するスラスト板4と接触し
ない程度の位置に設けられるのが好ましい。
【0019】また、この吸蔵体10は輸液管11によっ
て上記外輪3に開設された供給流路9と連結されてい
る。すなわち、かかる輸液管11の一端は吸蔵体10に
挿入される一方、他端は供給流路9を介してラジアル動
圧軸受5の軸受隙間に向け開口しており、上記吸蔵体1
0に貯蔵された潤滑液がこの輸液管11を介してラジア
ル動圧軸受5の軸受隙間に供給されるよう構成されてい
る。吸蔵体10に吸収された潤滑液は重力によって該吸
蔵体10に下方により多く貯蔵されることになるので、
上記輸液管11はその先端が吸蔵体の下部に達するよう
に挿入されている。
【0020】前述の如く、この動圧軸受ユニットでは回
転軸1の回転に伴って潤滑液が供給流路9からラジアル
動圧軸受5の軸受隙間に吸引され、しかも供給流路9と
連結された輸液管11の先端は吸蔵体10に貯蔵された
潤滑液中に挿入されていることから、回転軸1の始動に
伴い、潤滑液は輸液管11を介して吸蔵体10からラジ
アル動圧軸受5の軸受隙間に自動的に供給されることに
なる。また、供給された潤滑液はラジアル動圧軸受5の
軸受隙間で加圧された後にスラスト動圧軸受6の軸受隙
間へと流動し、スラスト動圧軸受6の外周側から軸受外
へ排出されるが、排出された潤滑液はスラスト板4の外
側に配置された吸蔵体10に吸収され、再度吸蔵体10
に貯蔵される。
【0021】従って、潤滑液は回転軸1の回転に伴って
吸蔵体10→各軸受5,6の軸受隙間→吸蔵体10とい
う経路を自然循環することとなり、かかる潤滑液が外部
に漏れ出すことは殆どない。また、回転軸1が停止した
場合であっても、吸蔵体10が潤滑液を貯蔵すると共に
スラスト動圧軸受6の軸受隙間から流出した潤滑液を吸
い取るので、停止中であっても潤滑液の漏出を防止する
ことができる。
【0022】次に、本発明の液体動圧軸受ユニットのよ
り具体的な実施例を示す。図4は工作機械の主軸頭等に
装着されるスピンドル装置を示すものであり、かる装置
のスピンドル主軸の回転を支承する軸受として本発明の
液体動圧軸受ユニットが適用されている。同図におい
て、符号21は軸端にクイル軸(図示せず)を介して砥
石が装着されるスピンドル主軸、符号22は上記スピン
ドル主軸21を駆動するモータ、符号23は上記スピン
ドル主軸の回転を支承するラジアル動圧軸受、符号24
はスピンドル主軸21の軸方向への移動を規制するスラ
スト動圧軸受、符号25はこれらラジアル動圧軸受23
及びスラスト動圧軸受24に潤滑液を供給する吸蔵体、
符号26は上記スピンドル主軸21、モータ22、ラジ
アル動圧軸受23、スラスト動圧軸受24及び吸蔵体2
5を収容したハウジングであり、このハウジング26に
形成されたフランジ部27を介してスピンドル装置全体
が工作機械の主軸頭等に固定されるようになっている。
【0023】上記スピンドル主軸21は、ラジアル動圧
軸受23及びスラスト動圧軸受24によってその回転を
支承されており、かかるラジアル動圧軸受23の内輪と
してのジャーナル部28と、上記クイル軸の取付け孔
(図示せず)を有する先端部29と、上記モータ22を
貫通すると共に該モータ22のロータ31が固定される
連結部30とから構成されている。
【0024】スピンドル主軸21を駆動するモータ22
は、スピンドル主軸21の連結部30に固定されたロー
タ31と、ハウジング26に固定されたステータ32と
から構成されており、ハウジング26に取り付けられた
コネクタ33を介してモータ22駆動信号が外部から上
記ステータ32に入力されるようになっている。また、
このモータ22で発生した熱がスピンドル主軸21に流
入して該スピンドル主軸21が膨張するのを極力防止す
るため、上記ハウジング26にはウォータジャケット3
4が設けられている。
【0025】上記ハウジング26に対してスピンドル主
軸21の回転を支承しているラジアル動圧軸受23は、
かかるスピンドル主軸21のジャーナル部28に固定さ
れたスリーブ(内輪)35と、このスリーブ35の外側
に遊嵌すると共に上記ハウジング26に固定された軸受
リング(外輪)36とから構成されており、上記スリー
ブ35の外周面と軸受リング36の内周面との間には所
定の軸受隙間(例えば5〜15μm)が形成されてい
る。尚、ラジアル動圧軸受23の内輪としてのスリーブ
35をスピンドル主軸21のジャーナル部28に嵌合さ
せたが、かかるジャーナル部28をそのまま内輪として
機能させ、上記スリーブ35を省略してラジアル動圧軸
受23を構成することもできる。
【0026】一方、上記スラスト動圧軸受24はラジア
ル動圧軸受23を挟むようにして一対設けられており、
これらスラスト動圧軸受24,24によってスピンドル
主軸21の軸方向への移動が規制されている。このスラ
スト動圧軸軸受24は、スピンドル主軸21のジャーナ
ル部28及び上記スリーブ35を挟むようにして該スピ
ンドル主軸21に固定された一対のスラスト板37,3
7と、前述の軸受リング36とから構成されており、こ
れらスラスト板37,37と軸受リング38の軸方向の
端面との間にはラジアル動圧軸受23の軸受隙間と連通
する所定の軸受隙間が形成されている。
【0027】これらラジアル動圧軸受23及びスラスト
動圧軸受24の詳細な構成は図1に示した動圧軸受ユニ
ットの実施形態と略同じである。すなわち、ラジアル動
圧軸受23の内輪としてのスリーブ35、スラスト動圧
軸受24を構成するスラスト板37には、図2あるいは
図3に示したような動圧発生用溝が形成される一方、ラ
ジアル動圧軸受23の外輪としての軸受リング36には
潤滑液の供給流路38が形成されている。この供給流路
38と上記吸蔵体25とは輸液管39によって連結され
ており、吸蔵体25に貯蔵された潤滑液がスピンドル主
軸21の回転に伴ってラジアル動圧軸受23の軸受隙間
に吸引されるようになっている。
【0028】一方、ラジアル動圧軸受23の軸受隙間に
供給された潤滑液はスラスト動圧軸受24の軸受隙間へ
と流動し、かかるスラスト動圧軸受24の軸受隙間から
排出される。上記吸蔵体25は排出された潤滑液を吸収
して回収すべく、一対のスラスト板37の外周側に対応
してハウジング26内に収容されており、図5及び図6
に示すように、スラスト板37が配設された空間と回収
流路40によって連結されている。従って、スラスト動
圧軸受24から排出された潤滑液は上記回収流路40を
介して吸蔵体25に吸収されることとなる。
【0029】その結果、この実施例のスピンドル装置で
は、スピンドル主軸21がモータ22の動力によって回
転を開始すると、吸蔵体25に貯蔵されている潤滑液が
ラジアル動圧軸受23の軸受隙間に供給される一方、ス
ラスト動圧軸受24から排出された潤滑液が吸蔵体25
に吸収され、かかる潤滑液をハウジング26外へ殆ど漏
出させることなく、スピンドル主軸21の高速回転を支
承することができるものである。
【0030】もっとも、スラスト板37はスピンドル主
軸21と共に回転しており、各スラスト板37が収容さ
れたハウジング26と各スラスト板37の外周面との間
には若干の隙間が形成されていることから、何ら対策を
施さない場合にはスラスト板37と軸受リング36との
隙間(スラスト動圧軸受24の軸受隙間)から排出され
た潤滑液がスラスト板37の外周に回り込み、潤滑液の
一部が吸蔵体25に吸収されることなくスピンドル装置
外に漏れ出してしまう懸念がある。
【0031】そこで、潤滑液の回収の完全を期すため、
本実施例のスピンドル装置ではスラスト動圧軸受24を
構成している各スラスト板37の背面側に加圧空気を作
用させ、潤滑液がスラスト板37の背面側に回り込んで
ハウジング26外へ漏出するのを防止している。具体的
には、図5に示すように、モータ22が収容されたハウ
ジング26内の空間41を加圧することで、かかる加圧
空気をモータ22側のスラスト板37とハウジング26
との隙間に流入させている。また、図6に示すように、
ハウジング26のクイル軸側にはスラスト板37の背面
側に加圧空気を導入するための吸気流路41を形成し、
やはり加圧空気をクイル軸側のスラスト板37とハウジ
ング26との隙間に流入させている。これにより、スラ
スト動圧軸受24の軸受隙間から排出された潤滑液はス
ラスト板37の背面側に回り込むことができないので、
加圧空気と共に回収流路40に流入するしかなく、かか
る加圧空気の支援の下、潤滑液を完全に吸蔵体25に吸
収させることができるものである。尚、加圧気体を吸蔵
体25へと導くため、図1に示すように、ハウジング2
6には吸蔵体25とハウジング26外を連結する脱気孔
43が形成されている。
【0032】一方、ラジアル動圧軸受23及びスラスト
動圧軸受24の軸受隙間は十数μmと極めて小さく、ス
ピンドル主軸21が高速回転すると、各動圧軸受23,
24の軸受隙間を流動する潤滑液は剪断摩擦熱によって
高温となってしまう。このため、高温となった潤滑液を
冷却することなくそのまま循環させて使用していると、
ラジアル動圧軸受23を構成するスリーブ35が熱膨張
を生じ、軸受隙間が消失して軸受リング36と固体接触
を生じてしまったり、スピンドル主軸21の熱膨張によ
ってワークの加工精度が悪化する等といったトラブルが
発生する。
【0033】従って、このスピンドル装置ではスラスト
板37の外周縁の外側に潤滑液の排出空間44を設け、
スラスト動圧軸受24で加圧された高圧の潤滑液をこの
排出空間44に噴出させることで、高温となった潤滑液
の冷却を行っている。この排出空間44はスラスト板3
7の外側に環状に形成されており、スラスト動圧軸受2
4の軸受隙間よりも大きな空間となっている。各動圧軸
受23,24の軸受隙間が十数μmであることからすれ
ば、高さ3mm程度の排出空間44でもスラスト動圧軸
受24の軸受隙間の200倍の広さを有していることに
なる。スラスト動圧軸受24において発生している潤滑
液の圧力は数十気圧にも達していることから、軸受隙間
よりも十分に広く且つ大気圧から僅かに加圧された程度
の排出空間44に潤滑液を噴出させると、潤滑液は加圧
気体中に噴霧されたのと同じ状態になる。
【0034】その結果、潤滑液はスラスト動圧軸受24
から上記排出空間44へ噴出する際に気化熱を奪われる
こととなり、動圧軸受23,24内で高温となった潤滑
液の温度を低下させることができるものである。また、
このように潤滑液が加圧気体中に噴霧されても、霧状の
潤滑液は加圧気体に乗って吸蔵体25へと搬送され、吸
蔵体25に吸収されることで加圧気体と分離されるの
で、かかる潤滑液を確実に回収して再度ラジアル動圧軸
受23に供給することができるものである。
【0035】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の液体
動圧軸受ユニットによれば、回転側部材が回転軸と共に
回転すると、軸受隙間から排出された潤滑液が吸蔵体に
吸収される一方、かかる吸蔵体に貯蔵された潤滑液が輸
液管を介して軸受隙間に自動的に供給されるので、軸受
隙間から排出された潤滑液を外部に漏出させることなく
回収して吸蔵体内に貯蔵した後にこれを再利用すること
ができ、外部から潤滑液を補給することなく少量の潤滑
液を自然循環させながら回転軸の高速回転を支承するこ
とが可能となる他、潤滑液に異物が混入するのも防止す
ることができ、軸受隙間に異物が噛み込んで運転不能と
なるような自己を未然に防止することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の液体動圧軸受ユニットの実施形態を
示す概略図である。
【図2】 図1の実施形態中におけるラジアル動圧軸受
の動圧発生用溝を示す図である。
【図3】 図1の実施形態中におけるスラスト動圧軸受
の動圧発生用溝を示す図である。
【図4】 本発明の液体動圧軸受をスピンドル主軸の支
承に適用したスピンドル装置の実施例を示す概略図であ
る。
【図5】 図4の実施例中におけるモータ側のスラスト
板の周辺を示す要部拡大図である。
【図6】 図4の実施例中におけるクイル軸側のスラス
ト板の周辺を示す要部拡大図である。
【符号の説明】
1…回転軸、2…内輪(回転側部材)、3…外輪(固定
側部材)、4…スラスト板(回転側部材)、10…吸蔵
体、11…輸液管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 溝渕 庄太郎 山梨県中巨摩郡玉穂町中楯754、テイエチ ケー株式会社甲府工場内 Fターム(参考) 3J011 AA07 BA02 BA08 CA02 JA02 KA02 KA03 MA03 MA23 MA26 MA27

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転軸に固定される回転側部材と、この
    回転側部材と所定の軸受隙間を介して対向する固定側部
    材と、上記軸受隙間に潤滑液を供給する液供給手段とを
    備え、かかる回転側部材の回転に応じて上記軸受隙間に
    高圧の流体潤滑膜を形成し、それによって上記回転軸の
    回転を支承するように構成した液体動圧軸受ユニットに
    おいて、 上記液供給手段は、上記回転側部材と固定側部材に隣接
    すると共に上記軸受隙間に面して配設され、かかる軸受
    隙間から排出される潤滑液を吸収して貯蔵する吸蔵体
    と、一端がこの吸蔵体に接続されると共に他端が上記軸
    受隙間に開口した輸液管とからなることを特徴とする液
    体動圧軸受ユニット。
  2. 【請求項2】 支承すべき回転軸に嵌合する内輪と、こ
    の内輪と相まってラジアル動圧軸受を構成する外輪と、
    この外輪をその軸方向から挟み込むようにして上記回転
    軸に嵌合し、かかる外輪と相俟ってスラスト動圧軸受を
    構成する一対のスラスト板と、上記ラジアル動圧軸受の
    軸受隙間に対して潤滑液を供給する液供給手段とを備
    え、上記回転軸の回転に応じて上記ラジアル動圧軸受の
    軸受隙間で加圧した高圧の潤滑液を各スラスト動圧軸受
    の軸受隙間に循環させるように構成した液体動圧軸受ユ
    ニットにおいて、 上記液供給手段は、各スラスト板の外周側に隣接すると
    共に各スラスト動圧軸受の軸受隙間に面して配設され、
    各スラスト動圧軸受の軸受隙間から排出される潤滑液を
    吸収して貯蔵する吸蔵体と、一端がこの吸蔵体に接続さ
    れると共に他端が上記ラジアル動圧軸受の軸受隙間に開
    口した輸液管とからなることを特徴とする液体動圧軸受
    ユニット。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の液体動圧軸受ユニットに
    おいて、上記スラスト動圧軸受を構成するスラスト板の
    背面側に対して加圧気体を作用させ、スラスト動圧軸受
    の軸受隙間から排出された潤滑液を上記加圧気体の支援
    の下に上記吸蔵体に吸収させるように構成したことを特
    徴とする液体動圧軸受ユニット。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の液体動圧軸受ユニットに
    おいて、上記スラスト板の外周縁の外側には、スラスト
    動圧軸受から排出された潤滑液を上記加圧気体中に噴出
    するための排出空間を設けたことを特徴とする液体動圧
    軸受ユニット。
JP11050793A 1999-02-26 1999-02-26 液体動圧軸受ユニット Withdrawn JP2000249136A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003056719A (ja) * 2001-08-08 2003-02-26 Thk Co Ltd 動圧シール装置及びこれを用いたロータリジョイント装置
JP2017089721A (ja) * 2015-11-06 2017-05-25 トヨタ自動車株式会社 回転軸の支持構造

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