JPH11326270A - 固体電解質型炭酸ガスセンサ素子 - Google Patents

固体電解質型炭酸ガスセンサ素子

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JPH11326270A
JPH11326270A JP10135265A JP13526598A JPH11326270A JP H11326270 A JPH11326270 A JP H11326270A JP 10135265 A JP10135265 A JP 10135265A JP 13526598 A JP13526598 A JP 13526598A JP H11326270 A JPH11326270 A JP H11326270A
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JP
Japan
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electrode layer
solid electrolyte
reference electrode
carbon dioxide
electromotive force
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JP10135265A
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Mitsuhiko Matsui
光彦 松井
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Tokuyama Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高湿度や結露などのように、水分濃度の高い雰
囲気中に非加熱の状態で長時間放置されても起電力の変
化を生じることがなく、また、作動開始から起電力が安
定化するまでの時間が短縮された固体電解質型炭酸ガス
センサ素子を提供する。 【解決手段】固体電解質層表面に電子伝導物質と補助電
極物質とを含む作用電極層及び電子伝導物質を含む参照
電極層が形成されてなる固体電解質型炭酸ガスセンサ素
子において、該作用電極層が希土類金属酸化物、例え
ば、La23、Nd23、CeO2を含み、かつ該参照
電極層がリチウムを酸化物として含む複合酸化物、例え
ば、LiCoO2、Li2MnO3を含むことを特徴とす
る固体電解質型炭酸ガスセンサ素子である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空気清浄設備や環
境計測設備などに組み込まれて、雰囲気中の炭酸ガス濃
度を測定するための固体電解質を用いたガスセンサ素子
に関し、特に高湿度環境下での安定性の向上、並びに起
電力の安定化時間の短縮が達成された固体電解質型炭酸
ガスセンサ素子に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、環境問題に対する関心が高まって
おり、大気中に放出される炭酸ガス濃度を計測制御する
ためのセンサが注目されている。このようなセンサのな
かで、固体電解質の起電力変化を利用した固体電解質型
炭酸ガスセンサ素子が、小型・簡便・安価であることか
ら、その実用化が熱望されている。
【0003】現在、実用化が検討されている固体電解質
型炭酸ガスセンサ素子は、イオン伝導体である固体電解
質層、電子伝導物質および補助電極物質を含む作用電極
層、電子伝導物質を含む参照電極層、ならびにこれらを
加熱するためのヒータより構成されているのが一般的で
ある。
【0004】このセンサ素子は、通常100℃〜600
℃の一定温度に加熱されて作動し、炭酸ガスを含む雰囲
気中に放置すると、固体電解質層を介して作用電極層と
参照電極層との間に炭酸ガス濃度に応じたある一定の起
電力が発生する。放置した雰囲気中の炭酸ガス濃度が変
化すると、作用電極層に含まれる補助電極物質と炭酸ガ
スとの間で解離平衡反応が平衡に達するまで進行し、作
用電極層付近で固体電解質層の可動イオン濃度に変化が
生じる。
【0005】この濃度変化は起電力の変化として現れる
ため、その時の起電力を電圧計で測定し、予め作成して
おいた起電力と炭酸ガス濃度との相関を示す検量線を用
いることで炭酸ガス濃度を知ることができる。
【0006】このような炭酸ガスセンサの固体電解質層
には、一般にNASICON(Na1+AZr2SiA3-A
12、但し0≦A≦3)、β−Al23などの陽イオン
伝導体が用いられている。
【0007】作用電極層に含まれる電子伝導物質は、起
電力を検出するために必要な物質であり、金や白金など
耐熱、耐酸化性に優れた貴金属材料が用いられる。
【0008】作用電極層に含まれる補助電極物質は、炭
酸ガスが含まれる雰囲気中で、炭酸ガスとの平衡反応を
引き起こすことができる物質であり、炭酸ガスとの間で
解離平衡を有するアルカリ金属炭酸塩やアルカリ土類金
属炭酸塩が用いられている。
【0009】さらに、参照電極層に含まれる電子伝導物
質には、作用電極層に含まれる電子伝導物質と同様のも
のが用いられている。
【0010】上記の構成で作動する固体電解質型炭酸ガ
スセンサは、雰囲気中に含まれる炭酸ガス濃度を正確に
測定し、さらに、小型で安価に作製できる利点を有して
いるため、汎用性の高いセンサ素子として受け入れられ
ている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
補助電極物質としてアルカリ金属炭酸塩やアルカリ土類
金属炭酸塩を用いた固体電解質型炭酸ガスセンサは、加
熱を中断して作動を止めた状態で、高湿度雰囲気や結露
雰囲気などのように水分濃度の高い雰囲気中に放置され
ると、その後、再び作動を開始した時に、起電力が放置
前の値に比べて著しく低下しているという問題点を有し
ていた。
【0012】さらに、作動開始から起電力が安定するま
での時間が、通常時で6〜8時間であるのに対して、上
記の雰囲気中に非加熱の状態で放置されたものは20〜
40時間かかるという問題点も有していた。
【0013】これらの問題点は、固体電解質型炭酸ガス
センサの実用化を妨げる要因ともなっている。従って、
高湿度や結露などのように水分濃度の高い雰囲気中に非
加熱の状態で長時間放置されても起電力の変化を生じる
ことがなく、また、作動開始から起電力が安定化するま
での時間が短縮された固体電解質型炭酸ガスセンサの開
発が望まれていた。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者は、かかる特性
を有する固体電解質型炭酸ガスセンサを開発すべく研究
を重ねた結果、固体電解質層表面に形成される作用電極
層が希土類元素の金属酸化物を含み、かつ参照電極層が
リチウムを酸化物として含む複合酸化物を含むことによ
り、高湿度や結露などのように水分濃度の高い雰囲気中
に非加熱で放置されても起電力の値が放置前と変わら
ず、しかも、作動開始から起電力が安定化するまでの時
間が10分以内である固体電解質型炭酸ガスセンサが得
られることを見い出し、本発明を提案するに至った。
【0015】即ち、本発明は、固体電解質層表面に電子
伝導物質と補助電極物質とを含む作用電極層及び電子伝
導物質を含む参照電極層が形成されてなる固体電解質型
炭酸ガスセンサ素子において、該作用電極層が希土類金
属酸化物を含み、かつ該参照電極層がリチウムを酸化物
として含む複合酸化物を含むことを特徴とする固体電解
質型炭酸ガスセンサ素子である。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の固体電解質型炭
酸ガスセンサ素子の構成について詳細に説明する。
【0017】本発明においては、作用電極層が希土類金
属酸化物を含み、かつ参照電極層がリチウムを酸化物と
して含む複合酸化物を含むことが重要である。
【0018】作用電極層が希土類金属酸化物を含まない
場合、高湿度環境下で放置されると起電力の値が放置前
と比較して著しく低下し、かつ作動開始から起電力が安
定化するまでの時間が長くなる。
【0019】希土類元素の金属酸化物として、RO、R
2、R23等の一般式で表される希土類金属酸化物を
挙げることができる。ここでRは希土類金属元素であ
り、Sc;Y;及びLa、Ce、Pr、Nd、Pm等原
子番号57〜71のランタノイドを挙げることができ
る。また、希土類元素の金属酸化物は複合酸化物でも良
く、RMO2、RMO3等の一般式で表される酸化物も挙
げることができる。ここで、Mは希土類金属元素を含む
一般の金属元素であり、Al、Sb、Co、Cr、C
u、Dy、Fe、Ho、Li、Mn、Ni、Inなどを
挙げることができる。
【0020】上記一般式で表わされる希土類金属酸化物
のうち、希土類元素がLa、Ce、Pr、Nd、Pm等
原子番号57〜71のランタノイドである希土類金属酸
化物が固体電解質型炭酸ガスセンサ素子の作動開始から
起電力が安定化するまでの時間短縮の点で好ましく、特
に希土類元素がLa、Ce、Ndである希土類金属酸化
物が好ましい。
【0021】また、希土類金属酸化物の中でも、R
2、R23で表される希土類金属酸化物が、高湿度環
境下での作動開始から起電力が安定化するまでの時間短
縮の点で好ましい。
【0022】作用電極層中の希土類金属酸化物の含有量
は特に制限されないが、作用電極の全重量100重量%
中に占める割合で0.5〜60重量%であることが好ま
しく、特に1〜50重量%であることが好ましい。
【0023】本発明において、参照電極層がリチウムを
酸化物として含む複合酸化物を含まない場合、作動開始
から起電力が安定化するまでの時間を10分以内にする
ことができなくなる。
【0024】本発明において使用されるリチウムを酸化
物として含む複合酸化物は、LiXYZ(M:Liを
除く金属元素、X、Y及びZ:それぞれ、0<X<1
0,0<Y<10、0<Z<20)で表すことができ
る。ここで金属元素Mは一般の金属元素であり、遷移元
素(原子番号21番のScから原子番号30番のZnま
で、原子番号39番のYから原子番号48番のCdま
で、原子番号57番のLaから原子番号80番のHgま
で、および原子番号89番のAc)と、遷移元素以外の
金属元素である典型金属元素を挙げることができる。
【0025】上記一般式で表されるリチウムを酸化物と
して含む複合酸化物のうち、金属元素Mが遷移元素であ
るものが起電力安定化までの時間短縮の点で好ましく、
遷移元素の中でも原子番号24番のCrから28番のN
iまでの遷移元素であるものが好ましい。
【0026】また、上記一般式で表されるリチウムを酸
化物として含む複合酸化物の中でも、LiMO2、Li2
MO3で表されるものが、経時安定性に優れている点で
好ましい。
【0027】参照電極層中のリチウムを酸化物として含
む複合酸化物の含有量は特に制限されないが、参照電極
の全重量100重量%中に占める割合で0.1〜10重
量%であることが好ましく、特に0.5〜8重量%であ
ることが好ましい。
【0028】本発明において、作用電極層に含まれる補
助電極物質は、炭酸ガスが含まれる雰囲気中で、炭酸ガ
スとの平衡反応を引き起こすことができる物質であり、
公知の材料が制限なく使用される。例えば、炭酸ナトリ
ウム、炭酸リチウムなどのアルカリ金属炭酸塩およびこ
れらの混合物、もしくは炭酸カルシウム、炭酸マグネシ
ウムなどのアルカリ土類金属炭酸塩およびこれらの混合
物などが採用されるが、炭酸ガスとの平衡反応を起こし
やすいことからアルカリ金属炭酸塩、特に、炭酸ナトリ
ウムや炭酸リチウムを用いることが好ましい。
【0029】作用電極層中の補助電極物質の含有量は特
に制限されないが、作用電極の全重量100重量%中に
占める割合で1〜70重量%であることが好ましく、特
に3〜50重量%であることが連続使用時におけるセン
サ素子の起電力のふらつきを少なくすることから好まし
い。
【0030】本発明において、作用電極層に含まれる電
子伝導物質は、後述する参照電極層に含まれる電子伝導
物質と同様に、センサ素子の起電力を出力するために必
要な物質であり、公知の材料が制限なく使用される。例
えば、白金、金、パラジウム、銀などの貴金属元素およ
びこれらの合金、もしくは上記の貴金属元素の2種類以
上を混合したものが採用されるが、特に、白金、金およ
びこれらの混合物や合金が耐腐食性に優れていることか
ら好適である。
【0031】作用電極層中の電子伝導物質の含有量は特
に制限されないが、作用電極の全重量100重量%中に
占める割合で10〜95重量%であることが好ましく、
特に25〜90重量%であることが好ましい。
【0032】本発明において、電子伝導物質、補助電極
物質および希土類金属酸化物を含む作用電極層の構造
は、特に制限されるものではない。代表的な構造を例示
すると、電子伝導物質、補助電極物質および希土類金属
酸化物が固体電解質層表面に層状に積み重なる構造、作
用電極層の電子伝導物質中に補助電極物質および希土類
金属酸化物が分散して存在する構造、固体電解質層表面
に形成された補助電極物質および希土類金属酸化物の混
合物層の一部又は全部を電子伝導物質が被覆する構造な
どが挙げられるが、特に、電子伝導物質中に補助電極物
質および希土類金属酸化物が分散して存在する構造が作
用電極層を簡便に形成できることから好ましい。
【0033】上記の作用電極層の形成方法としては、公
知の方法が特に制限なく使用される。例えば、上記の電
子伝導物質、補助電極物質および希土類金属酸化物を単
独で、もしくは混合した後に溶媒およびバインダーと混
練してペースト化し、該ペーストをスクリーン印刷法な
どによって固体電解質表面に焼き付ける方法、電子伝導
物質、補助電極物質および希土類金属酸化物をスパッタ
リングや蒸着などの薄膜形成技術によって形成する方法
が好適に採用される。
【0034】作用電極層の厚みは特に制限されないが、
一般には0.001〜0.03mmの範囲から採用され
る。
【0035】本発明において、参照電極層に含まれる電
子伝導物質は、前述の作用電極層に含まれる電子伝導物
質と同様に、センサ素子の起電力を出力するために必要
な物質であり、公知の材料が制限なく使用される。例え
ば、白金、金、パラジウム、銀などの貴金属元素および
これらの合金、もしくは上記の貴金属元素の2種類以上
を混合したものが採用されるが、特に、白金、金および
これらの混合物や合金が耐腐食性に優れていることから
好適である。
【0036】本発明において、電子伝導物質およびリチ
ウムを酸化物として含む複合酸化物を含む参照電極層の
構造は、特に制限されるものではない。代表的な構造を
例示すると、電子伝導物質およびリチウムを酸化物とし
て含む複合酸化物が固体電解質層表面に層状に積み重な
る構造、参照電極層の電子伝導物質中にリチウムを酸化
物として含む複合酸化物が分散して存在する構造、固体
電解質層表面に形成されたリチウムを酸化物として含む
複合酸化物層の一部又は全部を電子伝導物質が被覆する
構造などが挙げられるが、特に、電子伝導物質中にリチ
ウムを酸化物として含む複合酸化物が分散して存在する
構造が参照電極層を簡便に形成できることから好まし
い。
【0037】上記の参照電極層の形成方法としては、公
知の方法が特に制限なく使用される。例えば、既述の作
用電極層の製造方法で示したような方法を用いることが
できる。
【0038】参照電極層の厚みは特に制限されないが、
一般には0.001〜0.03mmの範囲から採用され
る。
【0039】本発明において、上記作用電極層および参
照電極層の配置は、作用電極層および参照電極層が固体
電解質層に接触していれば、特に制限されない。例え
ば、固体電解質層の片方の表面に作用電極層、他方の面
に参照電極層が形成されている構造を有するもの、固体
電解質の片方の表面に作用電極層と参照電極層の両層が
一定の距離をおいて形成されている構造を有するもので
も良い。
【0040】本発明において、固体電解質層には、公知
の固体電解質が制限なく使用される。例えば、前述のN
ASICON、β―Al23などが挙げられる。
【0041】固体電解質層の形成方法は、公知の方法が
特に制限なく採用される。代表的な形成方法としては、
固体電解質の合成原料を焼成し、成形した後加熱する方
法、固体電解質の合成原料を成型した後、焼結する方
法、及び、固体電解質の合成原料を溶媒およびバインダ
ーと混練してペースト化し、該ペーストをスクリーン印
刷法などによってセラミックスやガラスの基板上に印刷
して焼き付ける方法などが挙げられる。
【0042】固体電解質層の厚みは特に制限されない
が、一般には0.02mm〜2.0mmの範囲から採用
される。
【0043】固体電解質型炭酸ガスセンサ素子は、補助
電極物質と炭酸ガスとの間で解離平衡反応を起こさせる
ため、通常100℃〜600℃の一定温度に加熱して使
用される。上記センサ素子を加熱する方法としては、セ
ンサ素子の外部の熱源からの加熱によっても良いし、ヒ
ータが形成されたセラミックスやガラス基板をセンサ素
子に接合し、該ヒータに直流または交流電圧を印加して
加熱してもよい。センサ素子に接合するヒータの装着位
置は、参照電極層の上のように、センサ素子の作動を阻
害しない位置であれば特に制限されない。
【0044】
【発明の効果】本発明の固体電解質型炭酸ガスセンサ素
子は、作用電極層が希土類金属酸化物を含み、かつ参照
電極層がリチウムを酸化物として含む複合酸化物を含む
ことにより、非加熱の状態で結露や高湿度の雰囲気中に
長時間放置されても起電力の値が放置前と変わらず、し
かも、作動開始から起電力が安定化するまでの時間を、
10分以内とすることが可能になった。このような安定
化時間は、通常時の安定化時間である6〜8時間よりも
著しく短いものとなっている。
【0045】従って、本発明は、どのような環境下にお
いても、炭酸ガスを長期間にわたって信頼性良く、しか
も素早く測定することが可能になった点において技術的
な意義は大きい。
【0046】
【実施例】本発明を具体的に説明するために以下の実施
例を挙げて説明するが、本発明は、これら実施例に制限
されるものではない。
【0047】(1)耐水性試験 実施例および比較例の固体電解質型炭酸ガスセンサ素子
を作製直後、炭酸ガス濃度を自由に制御できるチャンバ
ー内に入れ、電源よりヒータに直流電圧を印加して、セ
ンサ素子を450℃に加熱した。
【0048】加熱後24時間後にセンサ素子の温度を4
50℃に保持したまま、チャンバー内の炭酸ガス濃度を
350ppmおよび1000ppmとし、それぞれの濃
度での起電力を測定して、これを初期の起電力とした。
また、350ppmの時の起電力値と1000ppmの
時の起電力値との差を求め、これを初期の感度とした。
【0049】初期の起電力および感度を測定後、センサ
素子をチャンバーから取り出し、これを温度60℃、湿
度90%に保持された恒温槽内に入れて、非加熱の状態
で7日間連続で放置した。
【0050】放置後、恒温槽から取り出し、初期の起電
力および感度を測定した方法と同様の方法で起電力およ
び感度を測定し、これを耐水試験後の起電力および感度
とした。
【0051】耐水試験後と初期の起電力の差、および感
度の差を求め、非加熱の状態で結露や高湿度の雰囲気中
に長時間放置された後の起電力および感度の変化を見
た。
【0052】(2)起電力安定化時間の測定 センサ素子を温度60℃、湿度90%に保持された恒温
槽内に入れて、非加熱のまま7日間連続で放置した。
【0053】センサ素子を恒温槽から取り出した後、直
ちに炭酸ガス濃度が350ppmに保たれたチャンバー
内に入れ、電源よりヒータに直流電圧を印加して、セン
サ素子を450℃に加熱した。加熱開始から、センサ素
子の起電力の値が±4mVの範囲で安定になるまでの時
間を測定し、これをセンサ素子の安定化時間とした。
【0054】実施例1〜12 固体電解質型炭酸ガスセンサとして、図1に示されるよ
うな断面構造を有する素子を作製した。この固体電解質
型ガスセンサ素子は、固体電解質層2の片面に作用電極
層1が、反対面に参照電極層3が形成され、参照電極層
3の上にはセラミックス板4が接着剤5によって接合さ
れている。さらに、参照電極層3が接合している面とは
反対側のセラミックス板4の表面にはヒータ6が形成さ
れおり、電源7から電気の供給を受けている。また、作
用電極層1および参照電極層3からはリード線が引き出
されており、電圧計8に接続して起電力が測定されてい
る。
【0055】固体電解質層を形成するための固体電解質
粉末は、ケイ酸ジルコニウムとリン酸ナトリウムをNa
3Zr2SiPO12の組成になるように混合し、1100
℃の大気雰囲気で6時間、焼成することによって得た。
【0056】固体電解質層2は、上記固体電解質粉末を
一軸成形後、1200℃の大気雰囲気で10時間焼結し
て円盤状のペレットとした。
【0057】作用電極層は、5重量%エチルセルロース
を溶解したテルピネオールに、電子伝導物質としての金
粉末、補助電極物質および希土類金属酸化物を表1に示
す割合で混練してペーストとし、これを上記固体電解質
層の片面にスクリーン印刷、乾燥、650℃の大気中で
30分焼成して形成した。このようにして、膜厚が0.
015mmの作用電極層を得た。
【0058】参照電極層は、5重量%エチルセルロース
を溶解したテルピネオールに、電子伝導物質としての金
粉末とリチウムを酸化物として含む複合酸化物とを表1
に示す割合で混練してペーストとし、これを上記固体電
解質層の作用電極層を形成した面とは反対の表面にスク
リーン印刷、乾燥、650℃の大気中で30分焼成して
形成した。このようにして、膜厚が0.015mmの参
照電極層を得た。
【0059】上記の参照電極層の上には、市販の白金ペ
ーストでスクリーン印刷法によって形成した白金ヒータ
を搭載するアルミナ基板を、ヒータが形成されていない
面が接合面になるようにガラスよりなる接着剤で接合し
た。
【0060】以上の方法によって作製した固体電解質型
炭酸ガスセンサ素子に対し、耐水性試験および起電力安
定化時間の測定を行った。
【0061】その結果を表2に示した。
【0062】比較例1〜5 比較例1〜5の固体電解質型炭酸ガスセンサ素子は、作
用電極層および参照電極層を除いたすべての部分を、実
施例1〜21と同様の方法で作製した。
【0063】比較例1〜5の作用電極層は、希土類金属
酸化物を含まない。即ち、5重量%エチルセルロースを
溶解したテルピネオールに、電子伝導物質としての金粉
末および表1に示した補助電極物質を混練してペースト
とし、これを固体電解質層の片面にスクリーン印刷、乾
燥、650℃の大気中で30分焼成して形成した。
【0064】さらに、比較例1〜5の参照電極層は、リ
チウムを酸化物として含む複合酸化物を含まない。即
ち、5重量%エチルセルロースを溶解したテルピネオー
ルに、電子伝導物質としての金粉末を混練してペースト
とし、これを固体電解質層の片面にスクリーン印刷、乾
燥、650℃の大気中で30分焼成して形成した。
【0065】作製したセンサ素子に対し、耐水性試験お
よび起電力安定化時間の測定を行い、その結果を表2に
示した。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、固体電解質型炭酸ガスセンサ素子の
代表的な態様を示す断面図である。
【符号の説明】
1.作用電極層 2.固体電解質層 3.参照電極層 4.セラミックス板 5.接着剤 6.ヒータ 7.電源 8.電圧計

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固体電解質層表面に電子伝導物質と補助
    電極物質とを含む作用電極層及び電子伝導物質を含む参
    照電極層が形成されてなる固体電解質型炭酸ガスセンサ
    素子において、該作用電極層が希土類金属酸化物を含
    み、かつ該参照電極層がリチウムを酸化物として含む複
    合酸化物を含むことを特徴とする固体電解質型炭酸ガス
    センサ素子。
JP10135265A 1998-05-18 1998-05-18 固体電解質型炭酸ガスセンサ素子 Pending JPH11326270A (ja)

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