JP2000193638A - 固体電解質型炭酸ガスセンサ素子 - Google Patents

固体電解質型炭酸ガスセンサ素子

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JP2000193638A
JP2000193638A JP10369576A JP36957698A JP2000193638A JP 2000193638 A JP2000193638 A JP 2000193638A JP 10369576 A JP10369576 A JP 10369576A JP 36957698 A JP36957698 A JP 36957698A JP 2000193638 A JP2000193638 A JP 2000193638A
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Japan
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solid electrolyte
carbon dioxide
electrode layer
sensor element
powder
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JP10369576A
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Mitsuhiko Matsui
光彦 松井
Kyoko Kishida
恭子 岸田
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Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高湿度や結露などのように、水分濃度の高い雰
囲気中に非加熱の状態で長時間放置されても起電力の変
化を生じることがなく、また、作動開始から起電力が安
定化するまでの時間が短縮された炭酸ガスセンサ素子を
提供する。 【解決手段】Li2Si25、特に(a)Li2Si25
と(b)ジルコニア及び/または珪酸ジルコニウムとを
含む固体電解質層の表面に作用電極層と参照電極層とが
形成されてなることを特徴とする炭酸ガスセンサ素子で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空気清浄設備や環
境計測設備などに組み込まれて、雰囲気中の炭酸ガス濃
度を測定するためのガスセンサ素子に関し、特に高湿度
環境下での安定性の向上、並びに起電力の安定化時間の
短縮が達成された固体電解質型炭酸ガスセンサ素子に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、環境問題に対する関心が高まって
おり、大気中に放出される炭酸ガス濃度を計測制御する
ためのセンサが注目されている。このようなセンサのな
かで、固体電解質の起電力変化を利用した固体電解質型
炭酸ガスセンサ素子が、小型・簡便・安価であることか
ら、その実用化が熱望されている。
【0003】現在、実用化が検討されている固体電解質
型炭酸ガスセンサ素子は、イオン伝導体である固体電解
質層、電子伝導物質および補助電極物質を含む作用電極
層、電子伝導物質を含む参照電極層、ならびにこれらを
加熱するためのヒータより構成されているのが一般的で
ある。
【0004】このセンサ素子は、通常100℃〜600
℃の一定温度に加熱されて作動し、炭酸ガスを含む雰囲
気中に放置すると、固体電解質層を介して作用電極層と
参照電極層との間に炭酸ガス濃度に応じたある一定の起
電力が発生する。放置した雰囲気中の炭酸ガス濃度が変
化すると、作用電極層に含まれる補助電極物質と炭酸ガ
スとの間で解離平衡反応が平衡に達するまで進行し、作
用電極層付近で固体電解質層の可動イオン濃度に変化が
生じる。
【0005】この濃度変化は起電力の変化として現れる
ため、その時の起電力を電圧計で測定し、予め作成して
おいた起電力と炭酸ガス濃度との相関を示す検量線を用
いることで炭酸ガス濃度を知ることができる。
【0006】このような炭酸ガスセンサの固体電解質層
には、一般にNASICON(Na1+AZr2SiA3-A
12、但し0≦A≦3)、β−Al23などの陽イオン
伝導体が用いられている。
【0007】作用電極層に含まれる電子伝導物質は、起
電力を検出するために必要な物質であり、金や白金など
耐熱、耐酸化性に優れた貴金属材料が用いられる。
【0008】作用電極層に含まれる補助電極物質は、炭
酸ガスが含まれる雰囲気中で、炭酸ガスとの平衡反応を
引き起こすことができる物質であり、炭酸ガスとの間で
解離平衡を有するアルカリ金属炭酸塩やアルカリ土類金
属炭酸塩が用いられている。
【0009】さらに、参照電極層に含まれる電子伝導物
質には、作用電極層に含まれる電子伝導物質と同様のも
のが用いられている。
【0010】上記の構成で作動する固体電解質型炭酸ガ
スセンサは、雰囲気中に含まれる炭酸ガス濃度を正確に
測定し、さらに、小型で安価に作製できる利点を有して
いるため、汎用性の高いセンサ素子として受け入れられ
ている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これま
でに開発された固体電解質を利用した炭酸ガスセンサ
は、加熱を中断して作動を止めた状態で、高湿度雰囲気
や結露雰囲気などのように水分濃度の高い雰囲気中に放
置されると、その後、再び作動を開始した時に、起電力
が放置前の値に比べて著しく低下しているという問題点
を有していた。
【0012】さらに、作動開始から起電力が安定するま
での時間が、通常時で6〜8時間であるのに対して、上
記の雰囲気中に非加熱の状態で放置されたものは20〜
40時間かかるという問題点も有していた。
【0013】これらの問題点は、固体電解質型炭酸ガス
センサの実用化を妨げる要因ともなっている。従って、
高湿度や結露などのように水分濃度の高い雰囲気中に非
加熱の状態で長時間放置されても起電力の変化を生じる
ことがなく、また、作動開始から起電力が安定化するま
での時間が短縮された固体電解質型炭酸ガスセンサの開
発が望まれていた。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる特
性を有する固体電解質型炭酸ガスセンサを開発すべく研
究を重ねた結果、Li2Si25、特に(a)Li2Si
25と(b)ジルコニア及び/または珪酸ジルコニウム
とを含む固体電解質を用いることにより、高湿度や結露
などのように水分濃度の高い雰囲気中に非加熱で放置さ
れても起電力の値が放置前とほとんど変わらず、しか
も、作動開始から起電力が安定化するまでの時間が20
分以内である固体電解質型炭酸ガスセンサが得られるこ
とを見い出し、本発明を提案するに至った。
【0015】即ち、本発明は、Li2Si25を含む固
体電解質層の表面に作用電極層と参照電極層とが形成さ
れてなる固体電解質型炭酸ガスセンサ素子であり、他の
発明は(a)Li2Si25と(b)ジルコニア及び/
または珪酸ジルコニウムとを含む固体電解質層の表面に
作用電極層と参照電極層とが形成されてなる固体電解質
型炭酸ガスセンサ素子である。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の炭酸ガスセンサ
素子の構成について詳細に説明する。
【0017】本発明においては、固体電解質層がLi2
Si25を含むことが重要である。Li2Si25は炭
酸ガス濃度に応じたある一定の起電力を発生し、炭酸ガ
スセンサとしての利用が可能であるのみならず、高湿度
環境下に非加熱で放置された際の起電力の値が放置前と
比較してほとんど変化せず、しかも作動開始から20分
以内で起電力が安定化する。
【0018】本発明においては、高湿度環境下への非加
熱放置後の起電力値変化を防止する効果をより一層発揮
させ、また作動開始から起電力が安定化するまでの時間
を更に短縮し10分以内にできることから、固体電解質
層にさらにジルコニア及び/または珪酸ジルコニウムが
含まれていることが好ましい。
【0019】固体電解質層中のジルコニア及び/または
珪酸ジルコニウムの含有量は特に制限されないが、固体
電解質層が簡便に形成でき、また作動開始から起電力が
安定するまでの時間をより短くすることができることか
ら、Li2Si25に対してモル比で0.07〜0.4
5倍もしくは4〜10倍であることが好ましく、特にモ
ル比で0.1〜0.35倍もしくは5.5〜8倍である
ことが好ましい。
【0020】本発明において、Li2Si25を含む固
体電解質層の製造方法は、公知の方法が特に制限なく採
用される。代表的な製造方法としては、固体電解質の
合成原料粉末を混合し焼成後、これを成形・焼結する方
法、固体電解質の合成原料を混合した後焼成すること
なく成形・加熱する方法等を挙げることができる。
【0021】上記の製造方法の一般的な例を以下に述
べる。固体電解質の合成原料粉末の調製はLi2CO3
SiO2などの粉末をボールミル等の方法で混合する、
又はLiOCH3、Si(OC254などの金属アルコ
キシドを混合し、これを加水分解および乾燥させる等の
方法が一般に採用される。該合成原料粉末を400℃〜
1300℃の温度範囲で焼成することによりLi2Si2
5を合成することができる。
【0022】次に合成した固体電解質粉末を固体電解質
層に成形するのであるが、成形方法としては、一軸プレ
ス、等方静水圧プレス等のプレスによって成型した後、
焼結する方法、粉末をバインダー及び溶媒と混練してペ
ースト化した後にドクターブレード法などによりグリー
ンシート化して焼結する方法、該ペーストをスクリーン
印刷法などによって基板上に厚膜として形成した後、焼
成して基板上に焼き付ける方法などが一般に採用され
る。成形後、500℃〜1500℃の温度範囲で加熱し
て焼結させることにより、Li2Si25を含む固体電
解質層を得ることができる。
【0023】次に、上記の製造方法の一般的な例を以
下に述べる。合成原料の調製はの製造方法と同様に行
うことができる。の製造方法では、合成原料を焼成す
ることなく成形した後加熱する。成形方法としてはの
製造方法と同様に一軸プレス、等方静水圧プレス等のプ
レスによって成型する方法、粉末をバインダー及び溶媒
と混練してペースト化した後にドクターブレード法など
によりグリーンシートとする方法、さらには該ペースト
をスクリーン印刷法などによって基板上に厚膜として形
成する方法等を挙げることができる。更に、アルコキシ
ドを出発原料とした場合は加水分解して乾燥する際にシ
ート状に成形する方法を採ることもできる。成形後、合
成原料粉末の焼成によるLi2Si25の合成およびそ
の焼結を兼ね、500℃〜1500℃の温度範囲で加熱
してLi2Si25を含む固体電解質層を得ることがで
きる。
【0024】これらの製造方法以外に、Li2O、Si
2などの合成原料粉体の混合物をターゲットとして、
スパッタリングや蒸着などの薄膜形成技術を用いて固体
電解質層を得ることもできる。
【0025】本発明において、固体電解質層に、Li2
Si25に加えてジルコニア及び/または珪酸ジルコニ
ウムを含む固体電解質層の製造方法は、公知の方法が特
に制限なく採用される。代表的な製造方法としては、
固体電解質層を構成するLi2Si25とジルコニア及
び/または珪酸ジルコニウムの出発原料を混合し、これ
を焼成・成形等する方法、Li2Si25粉末とジル
コニア粉末及び/または珪酸ジルコニウム粉末のそれぞ
れを混合し、これを成形する方法を挙げることができ
る。
【0026】上記の製造方法としては、市販のLi2
CO3、ZrO2、SiO2、ZrSiO4等の粉末または
LiOCH3、Si(OC254、Zr(OC494
等の金属アルコキシドを用いて、前記Li2Si25
含む固体電解質層の製造方法及びと同様な方法で行
うことができる。
【0027】金属アルコキシドのみを出発原料に用いた
場合は、該金属アルコキシドの加水分解および乾燥のみ
でも固体電解質層を得ることができる。
【0028】この際、焼成・焼結温度や焼成・焼結時間
によっては、Li2Si25や珪酸ジルコニウムの一部
が分解もしくは化合して、Li2SiO3、Li2ZrS
615などの化合物が形成されることがある。これら
の化合物は、本発明の固体電解質型炭酸ガスセンサ素子
の耐水性をより安定に保つためには形成されないように
することが好ましい。
【0029】次に、上記の製造方法の一般的な例とし
ては以下に述べるような方法を挙げることができる。
の方法では、まずLi2Si25粉末とジルコニア粉末
及び/または珪酸ジルコニウム粉末とを混合する。Li
2Si25粉末は、前記Li2Si25を含む固体電解質
層の製造方法における固体電解質粉末の合成方法と同
様の方法で得ることができる。ジルコニア粉末、珪酸ジ
ルコニウム粉末としては市販の粉末が使用できる。
【0030】Li2Si25とジルコニア及び/または
珪酸ジルコニウムとの混合粉末の成形には、前記Li2
Si25を含む固体電解質層の製造方法の場合と同様
に一軸プレス、等方静水圧プレス等のプレスによる方
法、合成粉末をバインダー及び溶媒と混練してペースト
化した後にドクターブレード法などによりグリーンシー
ト化する方法、該ペーストをスクリーン印刷法などによ
って基板上に厚膜として形成する方法などが一般に採用
される。
【0031】成形後、400℃〜1500℃の温度範囲
で焼結することにより、Li2Si25とジルコニア及
び/または珪酸ジルコニウムとを含む固体電解質層を得
ることができる。
【0032】の方法においても、と同様に焼結温度
や焼結時間によっては、Li2Si25や珪酸ジルコニ
ウムの一部が分解もしくは化合して、Li2SiO3、L
2ZrSi615などの化合物が形成されることがあ
る。これらの化合物は、本発明の炭酸ガスセンサ素子の
耐水性をより安定に保つためには形成されないようにす
ることが好ましい。
【0033】固体電解質層の厚みは特に制限されるもの
ではないが、一般には0.02mm〜2.0mmの範囲
から採用される。
【0034】本発明において、作用電極層に含まれる補
助電極物質は、炭酸ガスが含まれる雰囲気中で、炭酸ガ
スとの平衡反応を引き起こすことができる物質であれ
ば、公知の材料が制限なく使用される。例えば、炭酸ナ
トリウム、炭酸リチウムなどのアルカリ金属炭酸塩およ
びこれらの混合物、もしくは炭酸カルシウム、炭酸マグ
ネシウムなどのアルカリ土類金属炭酸塩およびこれらの
混合物などが採用されるが、炭酸ガスとの平衡反応を起
こしやすいことからアルカリ金属炭酸塩、特に、炭酸ナ
トリウムや炭酸リチウムを用いることが好ましい。
【0035】作用電極層中の補助電極物質の含有量は特
に制限されないが、作用電極の全重量100重量%中に
占める割合で1〜70重量%であることが好ましく、特
に3〜50重量%であることが連続使用時におけるセン
サ素子の起電力のふらつきを少なくすることから好まし
い。
【0036】本発明において、作用電極層に含まれる電
子伝導物質は、後述する参照電極層に含まれる電子伝導
物質と同様に、センサ素子の起電力を出力するために必
要な物質であり、公知の材料が制限なく使用される。例
えば、白金、金、パラジウム、銀などの貴金属元素およ
びこれらの合金、もしくは上記の貴金属元素の2種類以
上を混合したものが採用されるが、特に、白金、金およ
びこれらの混合物や合金が耐腐食性に優れていることか
ら好適である。
【0037】作用電極層中の電子伝導物質の含有量は特
に制限されないが、作用電極の全重量100重量%中に
占める割合で10〜95重量%であることが好ましく、
特に25〜90重量%であることが好ましい。
【0038】本発明において、電子伝導物質、および補
助電極物質を含む作用電極層の構造は、特に制限される
ものではない。代表的な構造を例示すると、電子伝導物
質、および補助電極物質が固体電解質層表面に層状に積
み重なる構造、作用電極層の電子伝導物質中に補助電極
物質が分散して存在する構造、固体電解質層表面に形成
された補助電極物質の一部又は全部を電子伝導物質が被
覆する構造などが挙げられるが、特に、電子伝導物質中
に補助電極物質が分散して存在する構造が作用電極層を
簡便に形成できることから好ましい。
【0039】上記の作用電極層の形成方法としては、公
知の方法が特に制限なく使用される。例えば、上記の電
子伝導物質、および補助電極物質を単独で、もしくは混
合した後に溶媒およびバインダーと混練してペースト化
し、該ペーストをスクリーン印刷法などによって固体電
解質層表面に焼き付ける方法、電子伝導物質、および補
助電極物質をスパッタリングや蒸着などの薄膜形成技術
によって形成する方法が好適に採用される。
【0040】作用電極層の厚みは特に制限されないが、
一般には0.001〜0.03mmの範囲から採用され
る。
【0041】本発明において、参照電極層に含まれる電
子伝導物質は、前述の作用電極層に含まれる電子伝導物
質と同様に、センサ素子の起電力を出力するために必要
な物質であり、公知の材料が制限なく使用される。例え
ば、白金、金、パラジウム、銀などの貴金属元素および
これらの合金、もしくは上記の貴金属元素の2種類以上
を混合したものが採用されるが、特に、白金、金および
これらの混合物や合金が耐腐食性に優れていることから
好適である。
【0042】上記の参照電極層の形成方法としては、公
知の方法が特に制限なく使用される。例えば、既述の作
用電極層の製造方法で示したような方法を用いることが
できる。
【0043】参照電極層の厚みは特に制限されないが、
一般には0.001〜0.03mmの範囲から採用され
る。
【0044】本発明において、上記作用電極層および参
照電極層の配置は、作用電極層および参照電極層が固体
電解質層に接触していれば、特に制限されない。例え
ば、固体電解質層の片方の表面に作用電極層、他方の面
に参照電極層が形成されている構造を有するもの、固体
電解質層の片方の表面に作用電極層と参照電極層の両層
が一定の距離をおいて形成されている構造を有するもの
でも良い。
【0045】本発明の固体電解質型炭酸ガスセンサ素子
は公知の固体電解質型炭酸ガスセンサ素子と同様に、補
助電極物質と炭酸ガスとの間で解離平衡反応を起こさせ
るため、通常100℃〜600℃の一定温度に加熱して
使用される。上記センサ素子を加熱する方法としては、
センサ素子の外部の熱源からの加熱によっても良いし、
ヒータが形成された固体電解質やガラス基板をセンサ素
子に接合し、該ヒータに直流または交流電圧を印加して
加熱してもよい。センサ素子に接合するヒータの装着位
置は、参照電極層の上のように、センサ素子の作動を阻
害しない位置であれば特に制限されない。
【0046】
【発明の効果】本発明の固体電解質型炭酸ガスセンサ素
子は、固体電解質層がLi2Si25を含むことによ
り、非加熱の状態で結露や高湿度の雰囲気中に長時間放
置されても起電力の値が放置前と変わらず、しかも、作
動開始から起電力が安定化するまでの時間を、20分以
内とすることが可能になった。特に固体電解質が(a)
Li2Si25と(b)ジルコニア及び/または珪酸ジ
ルコニウムとを含む場合には、非加熱の状態で結露や高
湿度の雰囲気中に長時間放置された後の作動開始から起
電力が安定化するまでの時間を更に短縮することができ
る。このような安定化時間は、通常時の安定化時間であ
る6〜8時間よりも短いものとなっている。
【0047】従って、本発明は、どのような環境下にお
いても、炭酸ガスを長期間にわたって信頼性良く、しか
も素早く測定することが可能になった点において技術的
な意義は大きい。
【0048】
【実施例】本発明を具体的に説明するために以下の実施
例を挙げて説明するが、本発明は、これら実施例に制限
されるものではない。
【0049】(1)耐水性試験 実施例および比較例の炭酸ガスセンサ素子を作製直後、
炭酸ガス濃度を自由に制御できるチャンバー内に入れ、
電源よりヒータに直流電圧を印加して、センサ素子を4
50℃に加熱した。
【0050】加熱24時間後にセンサ素子の温度を45
0℃に保持したまま、チャンバー内の炭酸ガス濃度を3
50ppmおよび2000ppmとし、それぞれの濃度
での起電力を測定して、これを初期の起電力とした。ま
た、350ppmの時の起電力値と2000ppmの時
の起電力値との差を求め、これを初期の感度とした。
【0051】初期の起電力および感度を測定後、センサ
素子をチャンバーから取り出し、これを温度60℃、湿
度90%に保持された恒温槽内に入れて、非加熱の状態
で7日間連続で放置した。
【0052】放置後、恒温槽から取り出し、初期の起電
力および感度を測定した方法と同様の方法で起電力およ
び感度を測定し、これを耐水試験後の起電力および感度
とした。
【0053】耐水試験後と初期の起電力の差、および感
度の差を求め、非加熱の状態で結露や高湿度の雰囲気中
に長時間放置された後の起電力および感度の変化を見
た。
【0054】(2)起電力安定化時間の測定 センサ素子を温度60℃、湿度90%に保持された恒温
槽内に入れて、非加熱のまま7日間連続で放置した。
【0055】センサ素子を恒温槽から取り出した後、直
ちに炭酸ガス濃度が350ppmに保たれたチャンバー
内に入れ、電源よりヒータに直流電圧を印加して、セン
サ素子を450℃に加熱した。加熱開始から、センサ素
子の起電力の値が±4mVの範囲で安定になるまでの時
間を測定し、これをセンサ素子の安定化時間とした。
【0056】実施例1 固体電解質型炭酸ガスセンサ素子として、図1に示され
るような断面構造を有する素子を作製した。この炭酸ガ
スセンサ素子は、固体電解質層2の片面に作用電極層1
が、反対面に参照電極層3が形成され、参照電極層3の
上にはセラミックス板4が接着剤5によって接合されて
いる。さらに、参照電極層3が接合している面とは反対
側のセラミックス板4の表面にはヒータ6が形成されお
り、電源7から電気の供給を受けている。また、作用電
極層1および参照電極層3からはリード線が引き出され
ており、電圧計8に接続して起電力が測定されている。
【0057】固体電解質層を形成するための固体電解質
粉末として、LiOCH3およびSi(OC254を溶
媒中で混合し、加水分解した後に100℃で乾燥し、さ
らに900℃で3時間焼成することによってLi2Si2
5を得た。Li2Si25が合成されたことはX線回折
によって確認した。
【0058】固体電解質層2は、上記のLi2Si25
粉末を一軸成形後、1030℃の大気雰囲気で6〜20
時間焼結して円盤状のペレットとした。
【0059】焼結後、上記のようにして金属アルコキシ
ドから得られたLi2Si25を標準試料として、リー
トベルト法によりペレットを同定した。リートベルト法
による固体電解質層の組成比を表1に示す。
【0060】作用電極層は、5重量%エチルセルロース
を溶解したテルピネオールに、電子伝導物質としての金
粉末、および作用電極の全重量100重量%に占める割
合で25重量%の炭酸リチウムを混練してペーストと
し、これを上記固体電解質層の片面にスクリーン印刷、
乾燥、650℃の大気中で30分焼成して形成した。こ
のようにして、膜厚が0.015mmの作用電極層を得
た。
【0061】参照電極層は、5重量%エチルセルロース
を溶解したテルピネオールに、電子伝導物質としての金
粉末を混練してペーストとし、これを上記固体電解質層
の作用電極層を形成した面とは反対の表面にスクリーン
印刷、乾燥、650℃の大気中で30分焼成して形成し
た。このようにして、膜厚が0.015mmの参照電極
層を得た。
【0062】上記の参照電極層の上には、市販の白金ペ
ーストでスクリーン印刷法によって形成した白金ヒータ
を搭載するアルミナ基板を、ヒータが形成されていない
面が接合面になるようにガラスよりなる接着剤で接合し
た。
【0063】以上の方法によって作製した固体電解質型
炭酸ガスセンサ素子に対し、耐水性試験および起電力安
定化時間の測定を行った。その結果を表2に示した。起
電力はほとんど低下せず、安定化時間も20分以内であ
った。
【0064】実施例2〜11 Li2Si25粉末とジルコニア粉末及び/または珪酸
ジルコニウム粉末とを固体電解質層の原料粉末とした他
は、実施例1と同様の方法で固体電解質型炭酸ガスセン
サ素子を作製した。
【0065】Li2Si25粉末は実施例1と同様の方
法で得た。次に、市販の高純度ジルコニア粉末及び/ま
たは珪酸ジルコニウム粉末とLi2Si25粉末とを自
動乳鉢で混合して固体電解質層の原料粉末とした。
【0066】固体電解質層2は、上記固体電解質層の原
料粉末を一軸成形後、1030℃の大気雰囲気で6時間
焼結して円盤状のペレットとした。
【0067】焼結後、実施例1と同様の方法で得られた
Li2Si25と、市販の高純度ジルコニア及び珪酸ジ
ルコニウムとを標準試料として、リートベルト法により
ペレットを同定した。得られた固体電解質層のリートベ
ルト法による組成比を表1に示す。
【0068】以上の方法によって作成した固体電解質型
炭酸ガスセンサ素子に対し、耐水性試験および起電力安
定化時間の測定を行った。その結果を表2に示した。起
電力はほとんど低下せず、安定化時間も10分以内であ
った。
【0069】実施例12 固体電解質層の原料粉末を一軸成形後、1100℃の大
気雰囲気で6時間焼結して固体電解質層2を円盤状のペ
レットとした他は、実施例2〜11と同様の方法で固体
電解質型炭酸ガスセンサ素子を作製した。
【0070】固体電解質層の同定は実施例2〜11と同
様の方法で行い、結果を表1に示した。Li2SiO3
生成していた。
【0071】以上のように作製したセンサ素子に対し、
耐水性試験および起電力安定化時間の測定を行い、その
結果を表2に示した。起電力が若干低下したが、安定化
時間は10分以内であった。
【0072】実施例13 固体電解質層の原料粉末を一軸成形後、1030℃の大
気雰囲気で24時間焼結して固体電解質層2を円盤状の
ペレットとした他は、実施例2〜11と同様の方法で固
体電解質型炭酸ガスセンサ素子を作製した。
【0073】固体電解質層の同定は実施例2〜11と同
様の方法で行い、結果を表1に示した。Li2ZrSi6
15が少量生成していた。
【0074】以上のように作製したセンサ素子に対し、
耐水性試験および起電力安定化時間の測定を行い、その
結果を表2に示した。起電力が若干低下したが、安定化
時間は10分以内であった。
【0075】比較例1 固体電解質層2として、市販の高純度ジルコニア粉末の
みを一軸成形後、1250℃の大気雰囲気で6時間焼結
して円盤状のペレットとした他は、実施例1と同様の方
法で固体電解質型炭酸ガスセンサ素子を作製した。
【0076】固体電解質層の同定は実施例2〜12と同
様の方法で行い、結果を表1に示した。
【0077】以上のように作製したセンサ素子に対し、
耐水性試験を行ったが、炭酸ガス濃度に応じた起電力を
発生せず、炭酸ガスに対して感度を示さなかった。結果
を表2に示した。
【0078】比較例2 固体電解質層2として、市販の珪酸ジルコニア粉末のみ
を一軸成形後、1250℃の大気雰囲気で6時間焼結し
て円盤状のペレットとした他は、実施例1と同様の方法
で固体電解質型炭酸ガスセンサ素子を作製した。
【0079】固体電解質層の同定は実施例2〜13と同
様の方法で行い、結果を表1に示した。
【0080】以上のように作製したセンサ素子に対し、
耐水性試験を行ったが、炭酸ガス濃度に応じた起電力を
発生せず、炭酸ガスにに対して感度を示さなかった。結
果を表2に示した。
【0081】比較例3 固体電解質層にナシコンよりなる固体電解質層を用いた
他は、実施例1と同様の方法で固体電解質型炭酸ガスセ
ンサ素子を作製した。
【0082】固体電解質層を形成するための固体電解質
粉末は、珪酸ジルコニウムとリン酸ナトリウムをNa3
Zr2Si2PO12の組成になるように混合し、1100
℃の大気雰囲気で6時間、焼成することによって得た。
固体電解質層は、上記固体電解質粉末を一軸成形後、1
200℃の大気雰囲気で10時間焼結して円盤状のペレ
ットとした。
【0083】以上のように作製したセンサ素子に対し、
耐水性試験および起電力安定化時間の測定を行い、その
結果を表2に示した。耐水性試験により起電力が200
mV以上低下した。また、安定化時間も20時間以上で
あった。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、炭酸ガスセンサ素子の代表的な態様
を示す断面図である。
【符号の説明】
1.作用電極層 2.固体電解質層 3.参照電極層 4.セラミックス板 5.接着剤 6.ヒータ 7.電源 8.電圧計

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Li2Si25を含む固体電解質層の表面
    に作用電極層と参照電極層とが形成されてなる固体電解
    質型炭酸ガスセンサ素子。
  2. 【請求項2】(a)Li2Si25と、(b)ジルコニ
    ア及び/または珪酸ジルコニウムとを含む固体電解質層
    の表面に作用電極層と参照電極層とが形成されてなる固
    体電解質型炭酸ガスセンサ素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113429196A (zh) * 2021-04-15 2021-09-24 西安交通大学 一种反应烧结法制备多孔Li2Si2O5陶瓷的方法
WO2023098161A1 (zh) * 2021-11-30 2023-06-08 广东邦普循环科技有限公司 一种锂离子电池正极材料生产线及生产方法

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