JP2002357586A - 固体電解質成形体 - Google Patents

固体電解質成形体

Info

Publication number
JP2002357586A
JP2002357586A JP2001167637A JP2001167637A JP2002357586A JP 2002357586 A JP2002357586 A JP 2002357586A JP 2001167637 A JP2001167637 A JP 2001167637A JP 2001167637 A JP2001167637 A JP 2001167637A JP 2002357586 A JP2002357586 A JP 2002357586A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
solid electrolyte
lithium
sensor element
electromotive force
carbon dioxide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001167637A
Other languages
English (en)
Inventor
Takahaya Iketani
拓速 池谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokuyama Corp filed Critical Tokuyama Corp
Priority to JP2001167637A priority Critical patent/JP2002357586A/ja
Publication of JP2002357586A publication Critical patent/JP2002357586A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Conductive Materials (AREA)
  • Measuring Oxygen Concentration In Cells (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高湿度雰囲気や結露雰囲気などに非加熱の状
態で長時間放置されても起電力及び感度変化がほとんど
生じることなく、また、加熱状態を長時間継続した場合
も、種々の炭酸ガス濃度における起電力値が初期値に比
べ変化しない固体電解質型炭酸ガスセンサを提供する。 【解決手段】 固体電解質層の表面に作用極及び参照極
が接合されてなる固体電解質型ガスセンサ素子におい
て、該固体電解質層としてリチウム・チタン複酸化物及
びリチウム・チタン・珪酸塩を含有してなる固体電解質
成形体を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、雰囲気中に含まれ
る特定のガスの濃度を測定するための固体電解質型ガス
センサ素子の固体電解質層として有用な固体電解質成形
体、該固体電解質成形体を用いた固体電解質型ガスセン
サ素子、及び該固体電解質型ガスセンサ素子を具備した
各種装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、住環境、特に室内環境に対する関
心が高まっており、例えば室内の炭酸ガス濃度をモニタ
リングし、炭酸ガス濃度が高くなった場合に自動的に換
気を行なうような炭酸ガスセンサ素子を搭載した空気清
浄装置が開発されている。このような空気清浄装置等の
制御装置、或いは環境計測装置や警報装置などに組み込
まれる炭酸ガスセンサ素子としては、ガス選択性が高く
小型化が容易で作動条件が広く、更に保守性に優れると
いう特長を有する固体電解質型ガスセンサ素子が適して
いる。
【0003】固体電解質型ガスセンサ素子は、一般に、
(a)イオン伝導体である“固体電解質層”に、(b)電子伝
導物質、及び被測定ガスとの平衡反応を引き起こすこと
ができる補助電極物質を含む“作用電極”、並びに(c)
電子伝導物質を含む“参照電極”が接合された基本構造
を有している。このようなセンサ素子においては、付属
するヒーターによって100℃〜600℃の一定温度に
加熱された状態で被測定ガスを含む雰囲気中に放置され
ると、作用電極層に含まれる補助電極物質と被測定ガス
との間で解離平衡反応が平衡に達するまで進行して作用
電極層付近で固体電解質層の可動イオン濃度に変化が生
じ、結果として固体電解質層を介して作用電極層と参照
電極層との間に被測定ガス濃度に応じたある一定の起電
力が発生するので、該起電力を測定することによって被
測定ガス濃度を知ることができる。
【0004】従来一般的に知られている固体電解質型炭
酸ガスセンサ素子においては、固体電解質層を形成する
固体電解質としてNASICON(Na1+AZr
3−A12、但し0≦A≦3)、Li−β−A
等のナトリウムイオン伝導性物質やリチウムイ
オン伝導性物質などが用いられている。しかしながら、
このような固体電解質を用いた炭酸ガスセンサは、高湿
度雰囲気や結露雰囲気などにセンサ自体が非加熱状態で
放置されると、所定の炭酸ガス濃度における起電力が放
置前に比べて著しく低下するという問題がある。そし
て、このような問題を解決した固体電解質型炭酸ガスセ
ンサ素子として、リチウム・チタン珪酸塩(LiTi
SiO)を含む固体電解質層を用いたものが提案され
ている(特開2001−33426号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記特開2001−3
3426号公報に開示されたLiTiSiOを含む
固体電解質層を用いた固体電解質型炭酸ガスセンサ素子
は、非加熱の状態で高湿度の雰囲気中に長時間放置され
ても起電力の値が変化せず、しかも作動を開始してから
起電力が安定するまでの時間が短い優れたものである
が、加熱を続けた状態を長期間継続すると所定の炭酸ガ
ス濃度における起電力値が初期値に比べ変化する(所謂
ドリフトが発生する)という問題があった。このような
ドリフトの問題はフィードバック制御系を組むこと等に
より解決可能であるが、回路が複雑になってしまうた
め、センサ素子の小型化や消費電力低減の観点からすれ
ばこのような制御系の付加は望ましくない。
【0006】そこで、本発明は、非加熱の状態で高湿度
の雰囲気中に長時間放置されても起電力の値が変化せ
ず、しかも作動を開始してから起電力が安定するまでの
時間が短く、更に長時間連続使用してもドリフトが起こ
り難い固体電解質型炭酸ガスセンサ素子を提供すること
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、課題を解決
すべく、鋭意研究を行ってきた。その結果、リチウム・
チタン複酸化物及びリチウム・チタン・珪酸塩を含む新
規な固体電解質成形体を固体電解質層として用いること
により、前記特開2001−33426号公報に開示さ
れた固体電解質型炭酸ガスセンサ素子の特徴を維持しつ
つ、さらにドリフトが低減されることを見出し、本発明
を提案するに至った。
【0008】即ち、第一の本発明は、リチウム・チタン
複酸化物及びリチウム・チタン・珪酸塩を含有してなる
ことを特徴とする固体電解質成形体である。リチウム・
チタン複酸化物及びリチウム・チタン・珪酸塩はともに
公知化合物であるが、両者を複合化した固体電解質から
なる成形体はこれまで知られていない。該固体電解質成
形体は、更に酸化チタン、シリカ、ジルコニア、珪酸リ
チウム及び珪酸ジルコニウムからなる群より選ばれる少
なくとも1種類の化合物を含んでいてもよいのである
が、固体電解質型ガスセンサ素子、特に固体電解質型炭
酸ガスセンサ素子の固体電解質層として有用である。
【0009】また、第二の本発明は、固体電解質層の表
面に作用極及び参照極が接合されてなる固体電解質型ガ
スセンサ素子において、該固体電解質層が前記第一の本
発明である固体電解質成形体からなることを特徴とする
固体電解質型ガスセンサ素子である。該本発明の固体電
解質型ガスセンサ、特に固体電解質型炭酸ガスセンサ
は、非加熱の状態で高湿度の雰囲気中に長時間放置され
ても起電力の値が変化せず、しかも作動を開始してから
起電力が安定するまでの時間が短く、更に長時間連続使
用してもドリフトが起こり難いという特長を有する。
【0010】また、第三の本発明は、上記第二の本発明
の固体電解質型ガスセンサ素子を具備することを特徴と
する装置である。該本発明の装置、具体的には測定装
置、警報装置、制御装置は、用いるガスセンサにおいて
フィードバック制御系が不要であることから小型化が可
能で、信頼性が高いという特徴を有する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の固体電解質成形体は、リ
チウム・チタン複酸化物及びリチウム・チタン・珪酸塩
を含んでなる。ここで、固体電解質とは、イオンが導電
担体である導電性固体を意味し、固体電解質成形体とは
所定の形に成形された成形体自体がこのようなイオン伝
導体として作用するものを意味する。
【0012】本発明で使用するリチウム・チタン複酸化
物としては、リチウムとチタンの複酸化物であれば特に
限定されず、チタン酸リチウムを含めて公知の化合物が
使用できる。本発明で好適に使用されるリチウム・チタ
ン複酸化物を例示すれば、LiTi{JCPDS
カード番号(ファイル番号)26−1199。以下、組
成式の後ろにある括弧内の番号はJCPDFカード番号
(ファイル番号)を示す。}、Li1.33Ti
1.66(26−1198)、LiTiO(2
6−1197)、Li12Ti1740(33−08
30)、LiTiO (33−0831)、Li
(33−0832)、LiTi (34
−0393)、Li0.8Ti2.2(26−08
63)、LiTi(35−0052)、Li
Ti13(37−0952)、Li 0.5TiO
(38−0269)、LiTi(38−027
0)、LiTi(39−0059)、Li
(40−0303)、LiTi(40−
0407)、LiTiO(40−1053、または1
6−0223)、LiTi(49−1583)、
LiTi12(49−0207)、及びこれらの
任意の組み合わせからなる混合物が挙げられる。これら
の中でも固体電解質型炭酸ガスセンサ素子の固体電解質
層として使用した時に素子の安定性が高くなるという観
点から、LiTiO、LiTiO及びこれらの任
意の組合わせからなる混合物、更にLiTiOを必須
成分として含み且つ全リチウム・チタン複酸化物中に占
めるLiTiOの割合が50モル%以上であるものを
使用するのが特に好適である。なお、本発明の固体電解
質成形体中に上記のようなリチウム・チタン複酸化物が
含まれることは、本発明の成形体についてX線回折測定
を行なった時に各化合物に特有の回折ピーク(JCPD
Sカードに示されている。)が現れることで確認するこ
とができる。
【0013】また、本発明で使用するリチウム・チタン
・珪酸塩としては、二酸化珪素とリチウム・チタン複酸
化物とが結合したような組成を有する化合物であれば特
に限定されないが、一般的に知られているリチウム・チ
タン・珪酸塩はLiTiSiO(JCPDSカード
番号:13−0268)で示される組成を有する化合物
であり、本発明においても該化合物が最も好適に使用さ
れる。本発明の固体電解質成形体中にリチウム・チタン
・珪酸塩が含まれることは、本発明の成形体についてX
線回折測定を行なった時に上記化合物に特有の回折ピー
ク(JCPDSカードに示されている。)が現れること
で確認することができる。本発明の固体電解質成形体中
に含まれるリチウム・チタン複酸化物及びリチウム・チ
タン・珪酸塩の含有割合は特に限定されないが、両者の
合計モル数を基準として、チタン酸リチウムが20〜5
0モル%、チタン酸珪酸リチウムが50〜80モル%で
あるのが好適である。
【0014】本発明の固体電解質成形体には、リチウム
・チタン複酸化物及びリチウム・チタン・珪酸塩の他に
酸化チタン、シリカ、ジルコニア、珪酸リチウム、及び
珪酸ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1
種類の化合物が含まれていてもよい。これら化合物の含
有量は特に限定されないが、全固体電解質に含まれる化
合物の全モル数を基準として0〜50モル%であるのが
好適である。
【0015】本発明の固体電解質成形体は、上記のよう
な各成分を含み、且つ全体としてイオン導電性を有する
様にして特定の形状となるように成形されたものである
が、その形状や大きさは特に限定されず、用途に応じて
適宜決定される。例えば、固体電解質型ガスセンサ素子
の固体電解質層として用いる場合には、厚さ0.02m
m〜2.0mmの板状、円筒状、有底円筒状等の形状に
成形されるのが一般的である。
【0016】このような形状に成形する成形方法は特に
限定されないが、予め、リチウム・チタン複酸化物粉
末、及びリチウム・チタン・珪酸塩粉末を調製し、所定
量のこれら粉末に必要に応じて酸化チタン、シリカ、ジ
ルコニア、珪酸リチウム、及び珪酸ジルコニウムからな
る群より選ばれる少なくとも1種類の化合物の粉末(以
下、任意成分粉末ともいう。)を所定量添加して混合し
た後に成形し、次いで焼結する方法、又は加水分解・
重縮合して−M−O−M−O−結合(但しMはLi、S
i、またはTiである)を形成し得るような化合物、例
えばLiOCH 、Si(OC、Ti(O−
n−Cなどの金属アルコキシドをそれぞれ化
学量論的に反応が進行した時に所望のリチウム・チタン
複酸化物又はリチウム・チタン・珪酸塩となるような量
比で混合し、これを加水分解・重縮合させて得たゾルま
たはゲルを乾燥、粉砕して得た粉末に必要に応じて所定
量の任意成分粉末を添加、混合した後に成形して焼結す
る方法等により好適に行なうことができる。なお、上記
の方法においては、ゾル又はゲルに状態でゾル又はゲ
ル同士を混合したり、任意成分粉末を混合し、乾燥後に
粉末化してもよいし、任意成分についても同様にしてゾ
ル又はゲルの状態で混合してもよい。このようにして調
製された混合粉末を400℃〜1300℃の温度範囲で
焼成すると、ほぼ化学量論的に反応が進行し、目的とす
るリチウム・チタン複酸化物、リチウム・チタン・珪酸
塩、及び所定の任意成分が得られる。また、の方法で
使用するリチウム・チタン複酸化物粉末及びリチウム・
チタン・珪酸塩粉末は、上記の様な所謂ゾルゲル法で得
たゾル又はゲルを400℃〜1300℃で焼成して得て
もよいし、Li、Si、またはTiを含み、焼成するこ
とによりこれら金属又は半金属の酸化物を与える炭酸塩
等の化合物、又はシリカ、チタニア等のこれら金属又は
半金属の酸化物をそれぞれ化学量論的に反応が進行した
時に所望のリチウム・チタン複酸化物及びリチウム・チ
タン・珪酸塩となるような量比で混合し、400℃〜1
300℃で焼成することによって得ることもできる。
【0017】上記及びの方法で、混合粉末を成形、
焼結する方法は特に限定されず、一軸プレス、等方静水
圧プレス等のプレスによって成型した後、焼結する方
法;粉末をバインダー及び溶媒と混練してペースト化し
た後にドクターブレード法などによりグリーンシート化
して焼結する方法;上記ペーストをスクリーン印刷法な
どによって基板上に厚膜として形成した後、焼成して基
板上に焼き付ける方法などが一般に採用される。このと
き、焼結は500℃〜1500℃、好適には1000〜
1300℃の温度範囲で加熱することにより行なうこと
ができる。前記の方法においてはこの時に、リチウム
・チタン複酸化物及びリチウム・チタン・珪酸塩が形成
される。
【0018】また、これらの製造方法以外に、Li
O、シリカ、酸化チタンなどの合成原料粉体の混合物
をターゲットとして、スパッタリングや蒸着などの薄膜
形成技術を用いて本発明の固体電解質成形体を得ること
もできる。
【0019】このような方法により得られた本発明の固
体電解質成形体は、イオン導電性を示し、CO(炭酸
ガス)、O、Cl、F、Br、H、SO
NO 等の各種ガスを検知するための固体電解質型ガス
センサ素子の固体電解質層として好適に使用することが
できる。本発明の固体電解質成形体を固体電解質層とし
て用いた固体電解質型ガスセンサ素子(以下、本発明の
ガスセンサ素子ともいう。)の中でも特に、炭酸ガス検
出用のもの(以下、本発明の炭酸ガスセンサ素子ともい
う。)は、非加熱の状態で高湿度の雰囲気中に長時間放
置されても起電力の値が変化せず、しかも作動を開始し
てから起電力が安定するまでの時間が短く、更に長時間
連続使用してもドリフトが起こり難いう特長を有する。
【0020】本発明のガスセンサ素子は、固体電解質層
として本発明の固体電解質成形体を用いる他は従来の固
体電解質型ガスセンサ素子と特に変わる点はない。即
ち、本発明の炭酸ガスセンサ素子は、図1に示されるよ
うな従来の固体電解質型炭酸ガスセンサ素子と同様に、
固体電解質層の表面に作用極及び参照極が接合された基
本構造を有する。なお、図1に示す固体電解質型ガスセ
ンサ素子では、加熱用電源7に接続したヒーター6がそ
の裏面に接合されたアルミナ窒化アルミニウム、ジルコ
ニア等からなるセラミック基板4上に、層状の参照電極
3、固体電解質層2、及び層状の作用電極1がこの順で
積層された積層体が、該積層体の参照電極3がセラミッ
ク基板と接触するようにして接着剤5を用いて接合さ
れ、更に参照電極3及び作用電極1間の電位差を測定す
るための電圧計8が両電極に電気的に接合された構造を
有している。なお、図1に示す構造は一例に過ぎず、ヒ
ーター及びその電源、電圧計等の付属部品との結合様式
を含めて各種部材の接続様式は図1に示すものに限定さ
れない。例えば作用電極及び参照電極の配置は、作用電
極層及び参照電極層に接触していれば特に制限されな
し、またヒーターの接続態様についてもセンサの作動を
阻害しなければ特に制限されない。さらに、何らかの方
法で素子外部からの加熱によって素子の温度を100℃
〜600℃の一定温度に保つことが可能であればヒータ
ーを用いなくてもよい。
【0021】また、作用極、参照極、及びこれら電極を
構成する部材の構造、材質、形状、及び大きさ等も従来
の固体電解質型ガスセンサ素子において採用されている
ものが何ら制限されず適用できる。前記図1に示される
ような構造の本発明の炭酸ガスセンサ素子を例に、以下
これら部材について説明する。
【0022】まず、作用電極としては、電子伝導物質及
び被測定ガスとの平衡反応を引き起こすことができる補
助電極物質を含む全層厚が0.001〜0.03mmの
層状体からなるものが使用できる。ここで、電子伝導物
質は、後述する参照電極層に含まれる電子伝導物質と同
様に、センサ素子の起電力を出力するための物質であ
り、白金、金、パラジウム、銀などの貴金属元素及びこ
れらの合金、もしくはこれら貴金属元素の2種類以上を
混合したものが一般的に採用されるが、耐腐食性に優れ
ていることから白金、金、これらの混合物、又はこれら
の合金が特に好適に採用される。また、上記補助電極物
質としては、炭酸ガスが含まれる雰囲気中で炭酸ガスと
の平衡反応を引き起こすことができる物質であれば特制
限されず、炭酸ナトリウムや炭酸リチウムなどのアルカ
リ金属炭酸塩或いはこれらの混合物、又は炭酸カルシウ
ムや炭酸マグネシウムなどのアルカリ土類金属炭酸塩或
いはこれらの混合物が採用されるが、炭酸ガスとの平衡
反応を起こしやすいことから、炭酸ナトリウム及び/又
は炭酸リチウムが好適に採用される。作用電極中に含ま
れる両物質の含有割合は特に制限されないが、連続使用
時におけるセンサ素子の起電力のふらつきが少ないこと
から、作用電極の全重量(両物質の合計重量)を基準と
する電子伝導物質の重量%で表して、20〜95重量
%、特に40〜90%であることが好ましい。なお、作
用電極の構造も特に限定されず、(i)電子伝導物質、及
び補助電極物質が固体電解質層表面に層状に積み重ねら
れた構造、(ii)固体電解質層表面に形成された補助電極
物質層の一部または全部を電子伝導物質が被覆する構
造、(iii)電子伝導物質中に補助電極物質が分散して存
在する構造等の公知の構造を取り得るが、製造の容易さ
からは上記(iii)の構造が好ましい。また、これら構造
の作用電極は、電子伝導物質および補助電極物質をそれ
ぞれ単独でもしくは混合した後に溶媒及びバインダーと
混練してペースト化し、該ペーストをスクリーン印刷法
などによって固体電解質層表面に焼き付ける方法;電子
伝導物質および補助電極物質をスパッタリングや蒸着な
どの薄膜形成技術によって形成する方法などの方法によ
り形成できる。
【0023】参照電極としては、上記したような電子伝
導物質、好適には白金、金、これらの混合物、又はこれ
らの合金からなる厚さ0.001〜0.03mmの層状
体のものが好適に採用される。該参照電極も上記作用極
と同様の方法により形成できる。
【0024】本発明の炭酸ガスセンサ素子は、従来の固
体電解質型炭酸ガスセンサ素子と同様に、100〜60
0℃の一定の温度に保たれた条件下で被検出ガスである
炭酸ガスを含み得る雰囲気かに放置することによって使
用され、前記電圧計で測定される起電力に基づいて雰囲
気中の炭酸ガス濃度を測定することができるものである
が、前記したように長時間連続して使用してもドリフト
が起こり難いため、フィードバック制御系が不要である
ことから小型化が可能である。固体電解質型ガスセンサ
素子は、通常環境測定装置、警報装置、制御装置等の各
種装置に搭載して使用されることが多いが、このような
場合において、本発明の炭酸ガスセンサ素子を用いた場
合には、場所を取らず装置自体をコンパクトにしたり、
設計の自由度を大きくしたりすることも可能となる。
【0025】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさ
らに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定さ
れるものではない。
【0026】実施例1 LiOCH、Si(OC、及びTi(O−
n−Cを、LiOCH:50mol%、S
i(OC:33.3mol%、及びTi(O
−n−C:16.7mol%となる量比で、
これら化合物の全モル数の1.5倍モルのイソブチルア
ルコールに溶解した後、得られた溶液に室温で触媒量の
硫酸を含む水を徐々に添加して攪拌して、加水分解及び
重縮合させてゲルを生成させた。その後、得られたゲル
を120℃で2時間乾燥した後750℃で4時間焼成す
ることにより、LiTiO及びLiTiSiO
含む粉末を得た。次いで、得られた粉末を一軸成形し、
大気中で1150℃、6時間加熱して焼結させ、直径が
3.5mm、厚みが0.5mmである円盤状のペレット
とした。焼結後、標準試料としてLiTiO及びLi
TiSiOを用いリートベルト法によりペレットの
組成を決定したところ、該成形体の組成はLiTi
:50mol%、及びLiTiSiO:50m
ol%であった。
【0027】次に、上記の様にして得た成形体を固体電
解質層として図1に示すような構造の固体電解質型炭酸
ガスセンサ素子を作製した。なお、作用電極層は、5重
量%エチルセルロースを溶解したテレピネオール100
重量部に、電子伝導物質として金粉末75重量部、及び
補助電極物質として炭酸リチウム25重量部を添加・混
練して得たペーストを上記成形体の片面にスクリーン印
刷し、乾燥を行った後、大気中610℃で15分焼成す
ることにより膜厚0.015mmの作用電極を形成し
た。また、参照電極は、5重量%エチルセルロースを溶
解したテレピネオール100重量部に、電子伝導物質と
して金粉末90重量部を添加・混練して得たペーストを
上記成形体の作用電極を形成した面とは反対の面にスク
リーン印刷し、乾燥を行った後、大気中610℃で15
分焼成して、膜厚0.015mmの作用電極を形成し
た。さらに、上記の参照電極層の上には、市販の白金ペ
ーストでスクリーン印刷法によって形成した白金ヒータ
ーを搭載するアルミナ基盤を、ヒーターが形成されてい
ない面が固体電解質との接合面になるようにガラスより
なる接着剤で接合した。
【0028】上記の様にして作製した固体電解質型炭酸
ガスセンサ素子について下記(1)及び(2)に示す様
にして耐湿性試験および長期安定性試験を行った。
【0029】(1)耐湿性試験 固体電解質型炭酸ガスセンサ素子を作製直後、炭酸ガス
濃度を自由に制御できるチャンバー内に入れ、電源より
ヒーターに直流電圧を印加して、センサ素子を450℃
に加熱した。その後、24時間後にチャンバー内の炭酸
ガス濃度を350ppm及び2000ppmとし、それ
ぞれの濃度における起電力を測定して、これを初期の起
電力とした。また、350ppmの時の起電力値と20
00ppmの時の起電力値との差を求め、これを初期の
感度とした。このようにして初期の起電力を測定した
後、センサ素子をチャンバー内から取り出し、これを温
度60℃、相対湿度90%に保持された恒温恒湿槽内に
入れて、センサ素子のヒーターが非加熱の状態で7日間
放置した後、恒温恒湿槽内から取り出し、初期の起電力
及び感度を測定した場合と同様な方法で、それぞれの濃
度における起電力を測定した。初期の起電力及び感度と
恒温恒湿槽内で放置した後の起電力及び感度の差をそれ
ぞれ求め、センサ素子のヒーター非加熱状態における高
温かつ高湿雰囲気下における耐性を調べた。
【0030】(2)長期安定性試験 センサ素子を作製直後、電源よりヒーターに直流電圧を
印加して、チャンバー内でセンサ素子を450℃で24
時間加熱した。24時間後にチャンバー内の炭酸ガス濃
度を350ppm及び2000ppmとし、それぞれの
濃度における起電力を測定して、これを初期の起電力と
した。また、350ppmの時の起電力値と2000p
pmの時の起電力値との差を求め、これを初期の感度と
した。その後、チャンバー内からセンサ素子を取り出
し、大気中にて450℃での加熱状態を維持した。60
日後、再びセンサ素子をチャンバー内に入れ、炭酸ガス
濃度を350ppm及び2000ppmとし、それぞれ
の濃度における起電力を測定して、60日目の起電力と
した。また、350ppmの時の起電力値と2000p
pmの時の起電力値との差を求め、これを60日目の感
度とした。初期の起電力及び感度と60日間450℃で
の加熱を継続させた後の起電力及び感度の差をそれぞれ
求め、加熱を継続させた時のセンサ素子の長期安定性を
評価した。
【0031】以上の方法によって耐湿性試験を行なった
ところ、350ppm及び2000ppmにおける初期
の起電力はそれぞれ371mV及び318mVであり、
感度は53mVであった。また、350ppm及び20
00ppmにおける高湿度暴露処理後の起電力はそれぞ
れ372mV及び319mVであり、感度は53mVで
あった。このように高湿度曝露処理を行っても起電力の
低下はほとんどないことが確認された。また、長期安定
性試験結果は、初期起電力及び感度は350ppm:3
65mV、2000ppm:312mV、及び感度53
mVであり、60日後の起電力及び感度は350pp
m:366mV、2000ppm:312mV、及び感
度54mVであり、長期使用後も性能はほとんど変化し
なかった。
【0032】実施例2〜14及び比較例1〜14 用いる原料化合物及びその量比を表1に示すように変え
る他は実施例1と同様にして固体電解質成形体を得、そ
の組成を測定した。その結果を表2に示す。なお、リー
トベルト法による組成を決定の際には、標準試料として
LiTiO及びLiTiSiOの他にTiO
SiO、ZrO、ZrSiO、LiSiO
LiSi、及びZrSiOを用いた。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】次いで、得られた各成形体を用いて、実施
例1と同様にして固体電解質型炭酸ガスセンサ素子を作
成し、実施例1と同様にして耐湿性試験及び長期安定性
試験の測定を行った。その結果を表3及び表4に示す。
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】表3及び4に示されるように、本発明の固
定電解質成形体を用いた本発明の炭酸ガスセンサ素子は
全て、高湿度暴露処理後、60日間連続使用後において
も起電力及び感度が殆ど変化していないことが分かる。
これに対しLiTiSiO を含まない成形体を用い
た比較例1〜6では、高湿度暴露処理後、60日間連続
使用後の両方において起電力が大きく変化している。ま
た、同じくLiTiSiOを含まない系であっても
LiSiを含む比較例7及び、LiTiSi
を含むがLiTiOを含まない系である比較例8
〜14においては、高湿度暴露処理後における起電力変
化小さいものの60日間連続使用後におけるに起電力変
化は大きいままである。
【0039】
【発明の効果】本発明の固体電解質成形体は、新規なも
のであり、固体電解質型ガスセンサ素子の固体電解質層
として用いることができる。そして、本発明の固体電解
質成形体を用いた本発明の固体電解質型炭酸ガスセンサ
素子は、非加熱の状態で高湿度の雰囲気中に長時間放置
されても起電力の値が変化せず、しかも作動を開始して
から起電力が安定するまでの時間が短く、更に長時間連
続使用してもドリフトが起り難いという特徴を有する優
れたものである。上記のドリフトが起こりに難いという
特徴は、ドリフトを補正するための装置や回路を必要と
しないことを意味し、単に装置の信頼性を高めるばかり
でなく、素子自体或いは該素子を搭載する装置の小型化
や装置設計の自由度の増大という副次的な効果ももたら
す。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一般的な固体電解質型炭酸ガスセンサ素子の
断面図である。
【符号の説明】
1.作用電極層 2.固体電解質層 3.参照電極層 4.セラミックス基板 5.接着剤 6.ヒーター 7.電源 8.電圧計

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リチウム・チタン複酸化物及びリチウム
    ・チタン・珪酸塩を含有してなることを特徴とする固体
    電解質成形体。
  2. 【請求項2】 更に酸化チタン、シリカ、ジルコニア、
    珪酸リチウム、及び珪酸ジルコニウムからなる群より選
    ばれる少なくとも1種類の化合物を含むことを特徴とす
    る請求項1に記載の固体電解質成形体。
  3. 【請求項3】 固体電解質層の表面に作用極及び参照極
    が接合されてなる固体電解質型ガスセンサ素子におい
    て、該固体電解質層が請求項1又は2に記載の固体電解
    質成形体からなることを特徴とする固体電解質型ガスセ
    ンサ素子。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の固体電解質型ガスセン
    サ素子を具備することを特徴とする装置。
JP2001167637A 2001-06-04 2001-06-04 固体電解質成形体 Pending JP2002357586A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001167637A JP2002357586A (ja) 2001-06-04 2001-06-04 固体電解質成形体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001167637A JP2002357586A (ja) 2001-06-04 2001-06-04 固体電解質成形体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002357586A true JP2002357586A (ja) 2002-12-13

Family

ID=19009996

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001167637A Pending JP2002357586A (ja) 2001-06-04 2001-06-04 固体電解質成形体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002357586A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007032494A1 (ja) * 2005-09-16 2007-03-22 Chuo University 炭酸ガス吸収材、炭酸ガス吸収材の製造方法、炭酸ガス吸収方法、および炭酸ガス吸収装置
JP2016152220A (ja) * 2015-02-19 2016-08-22 アルプス電気株式会社 電解質、二次電池および電解質の製造方法
WO2018139657A1 (ja) * 2017-01-30 2018-08-02 セントラル硝子株式会社 電極積層体及び全固体リチウム電池

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007032494A1 (ja) * 2005-09-16 2007-03-22 Chuo University 炭酸ガス吸収材、炭酸ガス吸収材の製造方法、炭酸ガス吸収方法、および炭酸ガス吸収装置
US7828879B2 (en) 2005-09-16 2010-11-09 Chuo University Carbon dioxide absorbing material, method for producing carbon dioxide absorbing material, method for absorbing carbon dioxide, and apparatus for absorbing carbon dioxide
JP5231016B2 (ja) * 2005-09-16 2013-07-10 学校法人 中央大学 炭酸ガス吸収材、炭酸ガス吸収材の製造方法、炭酸ガス吸収方法、および炭酸ガス吸収装置
JP2016152220A (ja) * 2015-02-19 2016-08-22 アルプス電気株式会社 電解質、二次電池および電解質の製造方法
WO2018139657A1 (ja) * 2017-01-30 2018-08-02 セントラル硝子株式会社 電極積層体及び全固体リチウム電池

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100186895B1 (ko) 유리박막으로된 탄산가스센서
US5993624A (en) Carbon dioxide gas sensor
JP2002357586A (ja) 固体電解質成形体
JP4063658B2 (ja) 固体電解質型炭酸ガスセンサ素子
JP3268252B2 (ja) 固体電解質型炭酸ガスセンサ素子
TW483876B (en) Ceramic material for use in the separation of oxygen from gas mixture
US5759366A (en) CO2 sensor and measurement circuit using the sensor
JP4179573B2 (ja) 固体電解質型炭酸ガスセンサ素子
JP2001141693A (ja) 固体電解質型窒素酸化物ガスセンサ素子
JP3236254B2 (ja) 固体電解質型炭酸ガスセンサ素子
JP2001033426A (ja) 固体電解質型炭酸ガスセンサ素子
JP2002350388A (ja) 固体電解質型炭酸ガスセンサ素子
JP2002365260A (ja) 固体電解質型炭酸ガスセンサ素子
JP2000193638A (ja) 固体電解質型炭酸ガスセンサ素子
JP2003254924A (ja) 窒素酸化物センサ
JP2001133435A (ja) 固体電解質型窒素酸化物ガスセンサ素子
JP2003121411A (ja) 固体電解質型炭酸ガスセンサ素子
JP3268039B2 (ja) 固体電解質型二酸化炭素センサ素子
JP2004170230A (ja) Co2センサとその製造方法
JP2003254937A (ja) 固体電解質型炭酸ガスセンサ素子
JP2000235017A (ja) 固体電解質型炭酸ガスセンサ素子
JP2009128184A (ja) Co2センサ
JP2000065787A (ja) 固体電解質型炭酸ガスセンサ素子
JPH10282044A (ja) 固体電解質型ガスセンサ素子
JP2001221771A (ja) 固体電解質型ガスセンサ素子

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20050818

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20050818