JP2001221771A - 固体電解質型ガスセンサ素子 - Google Patents

固体電解質型ガスセンサ素子

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JP2001221771A
JP2001221771A JP2000032834A JP2000032834A JP2001221771A JP 2001221771 A JP2001221771 A JP 2001221771A JP 2000032834 A JP2000032834 A JP 2000032834A JP 2000032834 A JP2000032834 A JP 2000032834A JP 2001221771 A JP2001221771 A JP 2001221771A
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solid electrolyte
electrode layer
sensor element
electromotive force
lithium
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JP2000032834A
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Mitsuhiko Matsui
光彦 松井
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Tokuyama Corp
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Tokuyama Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】炭酸ガス等の被測定ガスを測定するに際して、
長い期間連続で作動しても起電力が初期に比べてほとん
ど低下せず経時安定性に優れており、しかも、作動開始
から起電力が安定化するまでの時間が短い固体電解質型
ガスセンサ素子を提供する。 【解決手段】Li2ZrSi615等のリチウムイオン導
電性固体電解質を含む固体電解質層表面に電子伝導物質
と補助電極物質とを含む作用電極層、及び電子伝導物質
を含む参照電極層が形成されてなる固体電解質型ガスセ
ンサ素子において、参照電極層がメタ珪酸リチウム及び
/又はオルト珪酸リチウムを含むことを特徴とする固体
電解質型ガスセンサ素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体電解質を用い
たガスセンサ素子、例えば空気清浄設備や環境計測設備
などに組み込まれて、雰囲気中の炭酸ガス濃度を測定す
るための固体電解質型ガスセンサ素子等に関し、特に長
期の経時安定性の向上、並びに起電力の安定化時間の短
縮が達成された固体電解質型炭酸ガスセンサ素子に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、環境問題に対する関心が高まって
おり、大気中に放出される炭酸ガス濃度や窒素酸化物ガ
ス濃度を計測制御するためのセンサが注目されている。
このようなセンサのなかで、固体電解質の起電力変化を
利用した固体電解質型ガスセンサ素子が、小型・簡便・
安価であることから、その実用化が熱望されている。
【0003】現在、実用化が検討されている固体電解質
型ガスセンサ素子は、イオン伝導体である固体電解質
層、電子伝導物質および被測定ガスとの平衡反応を引き
起こすことができる物質である補助電極物質を含む作用
電極層、電子伝導物質を含む参照電極層、ならびにこれ
らを加熱するためのヒータより構成されているのが一般
的である。
【0004】このセンサ素子は、通常100℃〜600
℃の一定温度に加熱されて作動し、被測定ガスを含む雰
囲気中に放置すると、固体電解質層を介して作用電極層
と参照電極層との間に被測定ガス濃度に応じたある一定
の起電力が発生する。放置した雰囲気中の被測定ガス濃
度が変化すると、作用電極層に含まれる補助電極物質と
被測定ガスとの間で解離平衡反応が平衡に達するまで進
行し、作用電極層付近で固体電解質層の可動イオン濃度
に変化が生じる。
【0005】この濃度変化は起電力の変化として現れる
ため、その時の起電力を電圧計で測定し、予め作成して
おいた起電力と被測定ガス濃度との相関を示す検量線を
用いることで被測定ガス濃度を知ることができる。
【0006】このようなガスセンサの固体電解質層を形
成する固体電解質としては、一般にNASICON(N
1+AZr2SiA3-A12、但し0≦A≦3)、β−A
23等のナトリウムイオンがイオン伝導体であるナト
リウムイオン導電性固体電解質、LiAlSiO4、L
iTi2(PO43、Li2ZrSi615などのリチウ
ムイオンがイオン伝導体であるリチウムイオン導電性固
体電解質などが用いられている。
【0007】作用電極層に含まれる電子伝導物質は、起
電力を検出するために必要な物質であり、金や白金など
耐熱、耐酸化性に優れた貴金属材料が用いられる。
【0008】作用電極層に含まれる補助電極物質は、被
測定ガスが含まれる雰囲気中で被測定ガスとの平衡反応
を引き起こすことができる物質である。例えば、被測定
ガスが炭酸ガスであれば、上記補助電極物質としては、
炭酸ガスとの間で解離平衡を有するアルカリ金属炭酸塩
やアルカリ土類金属炭酸塩が用いられている。
【0009】さらに、参照電極層に含まれる電子伝導物
質には、作用電極層に含まれる電子伝導物質と同様のも
のが用いられている。
【0010】上記の構成で作動する固体電解質型ガスセ
ンサは、雰囲気中に含まれる被測定ガス濃度を正確に測
定し、さらに、小型で安価に作製できる利点を有してい
るため、汎用性の高いセンサ素子として受け入れられて
いる。特に、固体電解質層がリチウムイオン導電性固体
電解質からなるものは、センサを高湿度雰囲気や結露雰
囲気などのように水分濃度の高い雰囲気中に放置した場
合においても起電力の変化が少ないため注目されてい
る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の固体電解質型ガスセンサは、長い期間連続で作動させ
ると、任意の被測定ガス濃度における起電力が初期に比
べて大きく低下し、経時安定性に乏しいという問題点を
有していた。
【0012】さらに、作動開始から起電力が安定するま
での時間が、6時間以上もかかるという問題点も有して
いた。
【0013】こうした問題点は、固体電解質型ガスセン
サの実用化を妨げる要因ともなっている。従って、長い
期間連続で作動しても任意の被測定ガス濃度に対する起
電力が初期に比べてほとんど下がることがなく、また、
作動開始から起電力が安定するまでの時間が短縮された
固体電解質型ガスセンサの開発が望まれていた。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者は、かかる特性
を有する固体電解質型ガスセンサ素子を開発すべく研究
を重ねた結果、固体電解質層がリチウムイオン導電性固
体電解質により形成されるガスセンサ素子において、参
照電極層に特定の珪酸リチウムを含有させることによ
り、上記の課題が解決できることを見い出し、本発明を
提案するに至った。即ち、本発明は、リチウムイオン導
電性固体電解質を含む固体電解質層表面に電子伝導物質
と補助電極物質とを含む作用電極層、及び電子伝導物質
を含む参照電極層が形成されてなる固体電解質型ガスセ
ンサ素子において、参照電極層がメタ珪酸リチウム及び
/又はオルト珪酸リチウムを含むことを特徴とする固体
電解質型ガスセンサ素子である。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の固体電解質型ガスセンサ
素子において被測定ガスは、作用電極層に含ませる補助
電極物質と平衡反応を生じるものであれば、何ら制限な
く対象になる。好適には、炭酸ガスや、一酸化窒素ガ
ス、二酸化窒素ガス等の窒素酸化物ガスが挙げられ、特
に炭酸ガスが好ましい。
【0016】固体電解質型ガスセンサ素子を構成する固
体電解質層は、リチウムイオン導電性固体電解質を含ん
でいる。ここで、固体電解質層がリチウムイオン導電性
固体電解質を含んでいない場合、参照電極層に珪酸リチ
ウムを含有させても、起電力の低下を防止し、起電力の
安定化時間を短縮する本発明の効果は発揮されない。
【0017】本発明において、リチウムイオン導電性固
体電解質とは、イオン伝導に寄与するイオンがリチウム
イオンである固体電解質である。本発明では、このよう
なリチウムイオン導電性固体電解質が、制限なく使用で
きる。具体的には、Li2Si25、Li4SiO4、L
iAlSiO4、Li2ZrO3、Li2Ti37、Li 2
TiSiO5、LiLaSiO4、LiLa9(SiO4
62、Li2ZrSi615等のリチウム酸化物を含む複
合酸化物:LiTi2(PO43、Li14Zn(Ge
44等のリチウムを含む塩類:Li3N等の窒化リチ
ウムなど、もしくはこれらの2種類以上を混合したもの
が採用される。耐湿性の観点からリチウム酸化物を含む
複合酸化物が好ましく、特に、Li2Ti37やLi2
rSi61 5が好ましい。
【0018】固体電解質層には上記リチウムイオン導電
性固体電解質の他に、ナトリウムイオン導電性固体電解
質等の他の陽イオン型固体電解質を含有させても良い。
さらに、耐湿性の向上や成形性の改善を目的として、シ
リカ、ジルコニア、チタニア、アルミナなどのセラミッ
クスが含有されることがある。これらのセラミックスは
公知の材料が制限なく使用されるが、耐湿性に優れてい
ることから酸化物が好ましく、特にジルコニアやチタニ
アが好適である。
【0019】固体電解質中のリチウムイオン導電性固体
電解質の含有量は特に制限されないが、固体電解質層の
全質量100質量%中に占める割合で40〜100質量
%であることが好ましく、特に60〜100質量%であ
ることが好ましい。
【0020】固体電解質層の形成方法は、公知の方法が
特に制限なく採用される。代表的な形成方法としては、
固体電解質の合成原料を焼成し、成形した後加熱する方
法、固体電解質の合成原料を成型した後、焼結する方
法、及び、固体電解質の合成原料を溶媒およびバインダ
ーと混練してペースト化し、該ペーストをスクリーン印
刷法などによってセラミックスやガラスの基板上に印刷
して焼き付ける方法などが挙げられる。
【0021】固体電解質層の厚みは特に制限されない
が、一般には0.02mm〜2.0mmの範囲から採用
される。
【0022】本発明の最大の特徴は、上記固体電解質層
がリチウムイオン導電性固体電解質を含んでなるガスセ
ンサ素子において、参照電極層にメタ珪酸リチウム(L
2SiO3)及び/又はオルト珪酸リチウム(Li4
iO4)を含有させた点にある。それにより、本発明の
固体電解質型ガスセンサ素子は、長い期間連続して作動
させた際における、任意の被測定ガス濃度に対する起電
力の低下が良好に抑制される。また、作動開始から起電
力が安定するまでの時間も大幅に短縮される。
【0023】本発明において、このような効果が発揮さ
れる原因は、以下のように推定される。
【0024】補助電極物質として炭酸リチウムを用い
た、被測定ガスが炭酸ガスである固体電解質型ガスセン
サ素子を例にして説明すると、まず、こうした炭酸ガス
センサ素子において、参照電極層に珪酸リチウムを含ま
ない従来のセンサ素子の場合、作動時の各電極反応は、
次のようになる。即ち、作用電極層では、炭酸リチウム
が空気中の炭酸ガスおよび酸素と解離平衡して、 Li2CO3=2Li++CO2+(1/2)O2+2e と示される平衡反応を生じる。
【0025】他方、参照電極層では、リチウムイオン導
電性固体電解質を含む固体電解質層から移行するリチウ
ムイオンが酸素と解離平行して、 2Li++(1/2)O2+2e=Li2O と示される平衡反応を生じる。
【0026】したがって、このセンサ素子における全反
応は、 Li2CO3=CO2+Li2O と表され、Li2CO3の活量は1であるから、両電極層
の間に E=C−(RT/2F)ln(a(Li2O)・P(C
2)) なる起電力(E)が生じる。なお、上記の式で、Cは定
数、Rは気体定数、Tは絶対温度、Fはファラデー定
数、aは活量、P(CO2)はCO2の分圧を示す。
【0027】こうした固体電解質型炭酸ガスセンサ素子
においては、Li2Oの活量が常に一定値を示すと仮定
されれば、炭酸ガス濃度が一定の時は起電力(E)も常
に同一の値を示すことになる。しかしながら実際には、
Li2Oの活量は安定性に乏しく、センサを長時間連続
で作動させると活量が徐々に変化すると考えられ、その
ため任意の炭酸ガス濃度に対して測定される起電力は経
時的に低下し、60日経過後では作動開始時の50〜8
0%の値しか得られなくなる。しかも、参照電極層にお
いて、前記反応は平衡に達するまでに長時間を要し、作
動開始から起電力が安定するまでの時間が、前記の如く
極めて長いものになる。
【0028】これに対し、上記固体電解質型ガスセンサ
素子において、参照電極層にメタ珪酸リチウム及び/又
はオルト珪酸リチウムを含有させた場合、参照電極層で
は該珪酸リチウムと固体電解質層から移行するリチウム
イオンおよび酸素とが解離平行して、下記の平衡反応が
生じる。
【0029】Li2SiO3+2Li++(1/2)O2
2e=Li4SiO4 この場合、ガスセンサ素子における全反応は、 Li2CO3+Li2SiO3=CO2+Li4SiO4 と表され、Li2CO3の活量は1であるから、両電極層
の間に E=C−(RT/2F)ln(a(Li4SiO4)・P
(CO2)/a(Li2SiO3)) なる起電力(E)が生じる。
【0030】ここで、メタ珪酸リチウム及びオルト珪酸
リチウムの活量は安定性が高く、センサの作動時間が長
期に及んでもほぼ一定値を示す。従って、上記構成の固
体電解質型炭酸ガスセンサ素子では、前記したような長
期の作動に伴う起電力の低下の問題が大幅に改善される
と推定される。さらに、かかるメタ珪酸リチウム及びオ
ルト珪酸リチウムが関与する参照電極層での反応は、反
応速度が速いため短時間で平衡に達する。その結果、本
発明では、前記の如く作動開始から起電力が安定するま
での時間も大幅に短縮されると推定される。
【0031】本発明において、参照電極層に含有させる
メタ珪酸リチウム及び/又はオルト珪酸リチウムの量は
特に制限されないが、参照電極の全質量100%中に占
める割合で1〜30質量%であることが好ましく、特に
2〜20質量%であることが好ましい。
【0032】また、メタ珪酸リチウム及びオルト珪酸リ
チウムは、いずれか一方を単独で使用しても良いが、セ
ンサの作動開始から起電力が安定するまでの時間をより
短縮させるという観点からは、両者を併用して参照電極
層に配合させるのが好ましい。その場合、両者の混合比
は、メタ珪酸リチウム:オルト珪酸リチウムのモル比
が、3:7〜7:3、より好ましくは4:6〜6:4で
あるのが好適である。
【0033】次に、本発明において、参照電極層に含ま
れる電子伝導物質は、後述する作用電極層に含まれる電
子伝導物質と同様に、センサ素子の起電力を出力するた
めに必要な物質であり、公知の材料が制限なく使用され
る。例えば、白金、金、パラジウム、銀などの貴金属元
素およびこれらの合金、もしくは上記の貴金属元素の2
種類以上を混合したものが採用されるが、特に、白金、
金およびこれらの混合物や合金が耐腐食性に優れている
ことから好適である。
【0034】参照電極層中の電子伝導物質の含有量は特
に制限されないが、参照電極層の全質量100質量%中
に占める割合で70〜99質量%であることが好まし
く、特に80〜98質量%であることが好ましい。
【0035】本発明において、前記珪酸リチウム、およ
び電子伝導物質を含む参照電極層の構造は、特に制限さ
れるものではない。代表的な構造を例示すると、珪酸リ
チウム、および電子伝導物質が固体電解質層表面に層状
に積み重なる構造、参照電極層の電子伝導物質中に珪酸
リチウムが分散して存在する構造、固体電解質層表面に
形成された珪酸リチウムの一部又は全部を電子伝導物質
が被覆する構造などが挙げられるが、特に、電子伝導物
質中に珪酸リチウムが分散して存在する構造が作用電極
層を簡便に形成できることから好ましい。
【0036】上記の参照電極層の形成方法としては、公
知の方法が特に制限なく使用される。例えば、上記の珪
酸リチウム、および電子伝導物質を単独で、もしくは混
合した後に溶媒およびバインダーと混練してペースト化
し、該ペーストをスクリーン印刷法などによって固体電
解質層表面に焼き付ける方法、珪酸リチウム、および電
子伝導物質をスパッタリングや蒸着などの薄膜形成技術
によって形成する方法が好適に採用される。
【0037】参照電極層の厚みは特に制限されないが、
一般には0.001〜0.03mmの範囲から採用され
る。
【0038】本発明において、作用電極層に含まれる補
助電極物質は、被測定ガスが含まれる雰囲気中で、被測
定ガスとの平衡反応を引き起こすことができる物質であ
れば、公知の材料が制限なく使用される。例えば、被測
定ガスが炭酸ガスであれば、上記補助電極物質として
は、炭酸ナトリウム、炭酸リチウムなどのアルカリ金属
炭酸塩およびこれらの混合物、もしくは炭酸カルシウ
ム、炭酸マグネシウムなどのアルカリ土類金属炭酸塩お
よびこれらの混合物などが採用される。このうち、炭酸
ガスとの平衡反応を起こしやすいことからアルカリ金属
炭酸塩、特に、炭酸ナトリウムや炭酸リチウムを用いる
ことが好ましい。また、被測定ガスが窒素酸化物ガスで
あれば、硝酸ナトリウム、硝酸リチウムなどのアルカリ
金属硝酸塩、硝酸バリウム、硝酸マグネシウム、硝酸ス
トロンチウムなどのアルカリ土類金属硝酸塩およびこれ
らの混合物が採用され、このうちアルカリ土類金属硝酸
塩、特に、硝酸バリウム、硝酸ストロンチウムを用いる
ことが好ましい。
【0039】作用電極層中の補助電極物質の含有量は特
に制限されないが、作用電極の全質量100質量%中に
占める割合で5〜80質量%であることが好ましく、特
に10〜60質量%であることが連続使用時におけるセ
ンサ素子の起電力のふらつきを少なくすることから好ま
しい。
【0040】本発明において、作用電極層に含まれる電
子伝導物質は、前述の参照電極層に含まれる電子伝導物
質と同様に、センサ素子の起電力を出力するために必要
な物質であり、公知の材料が制限なく使用される。例え
ば、白金、金、パラジウム、銀などの貴金属元素および
これらの合金、もしくは上記の貴金属元素の2種類以上
を混合したものが採用されるが、特に、白金、金および
これらの混合物や合金が耐腐食性に優れていることから
好適である。
【0041】作用電極層中の電子伝導物質の含有量は特
に制限されないが、作用電極の全質量100質量%中に
占める割合で20〜95質量%であることが好ましく、
特に40〜90質量%であることが好ましい。
【0042】本発明において、電子伝導物質、および補
助電極物質を含む作用電極層の構造は、特に制限される
ものではない。代表的な構造を例示すると、電子伝導物
質、および補助電極物質が固体電解質層表面に層状に積
み重なる構造、作用電極層の電子伝導物質中に補助電極
物質が分散して存在する構造、固体電解質層表面に形成
された補助電極物質の一部又は全部を電子伝導物質が被
覆する構造などが挙げられるが、特に、電子伝導物質中
に補助電極物質が分散して存在する構造が作用電極層を
簡便に形成できることから好ましい。
【0043】上記の作用電極層の形成方法としては、公
知の方法が特に制限なく使用される。例えば、上記の電
子伝導物質、および補助電極物質を単独で、もしくは混
合した後に溶媒およびバインダーと混練してペースト化
し、該ペーストをスクリーン印刷法などによって固体電
解質層表面に焼き付ける方法、電子伝導物質、および補
助電極物質をスパッタリングや蒸着などの薄膜形成技術
によって形成する方法が好適に採用される。
【0044】作用電極層の厚みは特に制限されないが、
一般には0.001〜0.03mmの範囲から採用され
る。
【0045】本発明において、上記作用電極層および参
照電極層の配置は、作用電極層および参照電極層が固体
電解質層に接触していれば、特に制限されない。例え
ば、固体電解質層の片方の表面に作用電極層、他方の面
に参照電極層が形成されている構造を有するもの、固体
電解質層の片方の表面に作用電極層と参照電極層の両層
が一定の距離をおいて形成されている構造を有するもの
でも良い。
【0046】本発明の固体電解質型ガスセンサ素子は公
知の固体電解質型ガスセンサ素子と同様に、補助電極物
質と被測定ガスとの間で解離平衡反応を起こさせるた
め、通常100℃〜600℃の一定温度に加熱して使用
される。上記センサ素子を加熱する方法としては、セン
サ素子の外部の熱源からの加熱によっても良いし、ヒー
タが形成された固体電解質やガラス基板をセンサ素子に
接合し、該ヒータに直流または交流電圧を印加して加熱
してもよい。センサ素子に接合するヒータの装着位置
は、参照電極層の上のように、センサ素子の作動を阻害
しない位置であれば特に制限されない。
【0047】
【発明の効果】本発明の固体電解質型ガスセンサ素子
は、長い期間連続で作動しても任意の被測定ガス濃度に
対する起電力が初期に比べてほとんど低下することがな
く、経時安定性に優れている。しかも、作動開始から起
電力が安定化するまでの時間も短く、該安定化時間を2
0分以内とすることも可能である。
【0048】従って、本発明は、炭酸ガス等の被測定ガ
スを長期間にわたって信頼性良く、しかも素早く測定す
ることが可能になった点において技術的な意義は大き
い。
【0049】
【実施例】本発明を具体的に説明するために以下の実施
例を挙げて説明するが、本発明は、これら実施例に制限
されるものではない。 (1)経時安定性試験 実施例および比較例の固体電解質型炭酸ガスセンサ素子
を作製直後、炭酸ガス濃度を自由に制御できるチャンバ
ー内に入れ、電源よりヒータに直流電圧を印加して、セ
ンサ素子を450℃に加熱した。
【0050】加熱後24時間後にセンサ素子の温度を4
50℃に保持したまま、チャンバー内の炭酸ガス濃度を
350ppmおよび1000ppmとし、それぞれの濃
度での起電力を測定して、これを初期の起電力とした。
また、350ppmの時の起電力値と1000ppmの
時の起電力値との差を求め、これを初期の感度とした。
【0051】初期の起電力および感度を測定後、センサ
素子の温度を450℃に保持したままチャンバー内の雰
囲気を大気の状態に戻し、この状態で60日間放置し
た。60日経過後、再びチャンバー内の炭酸ガス濃度を
350ppmおよび1000ppmとし、初期の起電力
および感度を測定した方法と同様の方法でそれぞれの濃
度での起電力を測定して、これを60日間放置後の起電
力とした。また、350ppmの時の起電力値と100
0ppmの時の起電力値との差を求め、これを60日間
放置後の感度とした。
【0052】60日間放置後と初期との起電力の差、お
よび感度の差を求め、長期間連続で作動した後の起電力
および感度の変化を見た。 (2)起電力安定化時間の測定 実施例および比較例の固体電解質型炭酸ガスセンサ素子
を作製直後、炭酸ガス濃度を自由に制御できるチャンバ
ー内に入れ、チャンバー内の炭酸ガス濃度を350pp
mにした。
【0053】次に、電源よりヒータに直流電圧を印加し
てセンサ素子を450℃に加熱保持したまま、加熱開始
から、センサ素子の起電力の値が±4mVの範囲で安定
になるまでの時間を測定し、これをセンサ素子の安定化
時間とした。 実施例1〜4 固体電解質型ガスセンサとして、図1に示されるような
断面構造を有する炭酸ガスセンサ素子を作製した。この
固体電解質型炭酸ガスセンサ素子は、固体電解質層2の
片面に作用電極層1が、反対面に参照電極層3が形成さ
れ、参照電極層3の上にはセラミックス板4が接着剤5
によって接合されている。さらに、参照電極層3が接合
している面とは反対側のセラミックス板4の表面にはヒ
ータ6が形成されおり、電源7から電気の供給を受けて
いる。また、作用電極層1および参照電極層3からはリ
ード線が引き出されており、電圧計8に接続して起電力
が測定されている。
【0054】固体電解質層を形成するための固体電解質
粉末は、ジルコニア、シリカおよび炭酸リチウムをLi
2ZrSi615の組成になるように混合し、1150℃
の大気雰囲気で6時間、焼成することによって得た。
【0055】固体電解質層2は、上記固体電解質粉末を
一軸成形後、1200℃の大気雰囲気で10時間焼結し
て、直径が4.0mmであり、厚みが0.5mmである
円盤状のペレットとした。
【0056】作用電極層は、5質量%エチルセルロース
を溶解したテルピネオールに、電子伝導物質としての金
粉末、および補助電極物質としての炭酸リチウムを作用
電極の全質量100%中に占める割合で30wt%混練
してペーストとし、これを上記固体電解質層の片面にス
クリーン印刷、乾燥、650℃の大気中で30分焼成し
て形成した。このようにして、膜厚が0.015mmの
作用電極層を得た。
【0057】参照電極層は、5質量%エチルセルロース
を溶解したテルピネオールに、電子伝導物質としての金
粉末と珪酸リチウムとを表1に示す割合で混練してペー
ストとし、これを上記固体電解質層の作用電極層を形成
した面とは反対の表面にスクリーン印刷、乾燥、650
℃の大気中で30分焼成して形成した。このようにし
て、膜厚が0.015mmの参照電極層を得た。
【0058】上記の参照電極層の上には、市販の白金ペ
ーストでスクリーン印刷法によって形成した白金ヒータ
を搭載するアルミナ基板を、ヒータが形成されていない
面が接合面になるようにガラスよりなる接着剤で接合し
た。
【0059】以上の方法によって作製した固体電解質型
炭酸ガスセンサ素子に対し、経時安定性試験および起電
力安定化時間の測定を行った。
【0060】その結果を表2に示した。 実施例5〜8 実施例5〜8の固体電解質型炭酸ガスセンサ素子は、固
体電解質層をLi14Zn(GeO44とした他は、すべ
ての部分を実施例1〜4と同様の方法で作製した。固体
電解質層を形成するための固体電解質粉末は、酸化亜
鉛、酸化ゲルマニウム炭酸リチウムをLi14Zn(Ge
44の組成になるように混合し、1100℃の大気雰
囲気で6時間、焼成することによって得た。
【0061】作製したセンサ素子に対し、経時安定性試
験および起電力安定化時間の測定を行い、その結果を表
2に示した。 実施例9〜12 実施例9〜12の固体電解質型炭酸ガスセンサ素子は、
固体電解質層を90質量%のLi2ZrSi615と10
質量%のZrO2との混合物とした他は、すべての部分
を実施例1〜9と同様の方法で作製した。
【0062】固体電解質層を形成するための固体電解質
粉末は、ジルコニア、シリカおよび炭酸リチウムを上記
の組成になるように混合し、1150℃の大気雰囲気で
6時間、焼成することによって得た。
【0063】作製したセンサ素子に対し、経時安定性試
験および起電力安定化時間の測定を行い、その結果を表
2に示した。 比較例1〜3 比較例1〜3の固体電解質型炭酸ガスセンサ素子は、参
照電極層を除いたすべての部分を実施例1〜12と同様
の方法で作製した。
【0064】比較例1〜3の参照電極層は、表1に示し
たように珪酸リチウムを含まない。即ち、5質量%エチ
ルセルロースを溶解したテルピネオールに、電子伝導物
質としての金粉末を混練してペーストとし、これを固体
電解質層の片面にスクリーン印刷、乾燥、650℃の大
気中で30分焼成して形成した。
【0065】作製したセンサ素子に対し、経時安定性試
験および起電力安定化時間の測定を行い、その結果を表
2に示した。 比較例4 比較例4の固体電解質型炭酸ガスセンサ素子は、固体電
解質層を表1に示したようにナシコンとした他は比較例
1〜3と同様の方法で作製した。
【0066】固体電解質層を形成するための固体電解質
粉末は、珪酸ジルコニウムとリン酸ナトリウムをNa3
Zr2Si2PO12の組成になるように混合し、1100
℃の大気雰囲気で6時間、焼成することによって得た。
固体電解質層は、上記固体電解質粉末を一軸成形後、1
200℃の大気雰囲気で10時間焼結して円盤状のペレ
ットとした。
【0067】作製したセンサ素子に対し、経時安定性試
験および起電力安定化時間の測定を行い、その結果を表
2に示した。 比較例5〜8 比較例5〜8の固体電解質型炭酸ガスセンサ素子は、固
体電解質層を表1に示したようにナシコンとした他は実
施例1〜12と同様の方法で作製した。また、ナシコン
よりなる固体電解質粉末は、比較例4と同様の方法で作
製した。
【0068】作製したセンサ素子に対し、経時安定性試
験および起電力安定化時間の測定を行い、その結果を表
2に示した。
【0069】
【表1】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、固体電解質型ガスセンサ素子の代表
的な態様を示す断面図である。
【符号の説明】
1.作用電極層 2.固体電解質層 3.参照電極層 4.セラミックス板 5.接着剤 6.ヒータ 7.電源 8.電圧計

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リチウムイオン導電性固体電解質を含む固
    体電解質層表面に電子伝導物質と補助電極物質とを含む
    作用電極層、及び電子伝導物質を含む参照電極層が形成
    されてなる固体電解質型ガスセンサ素子において、参照
    電極層がメタ珪酸リチウム及び/又はオルト珪酸リチウ
    ムを含むことを特徴とする固体電解質型ガスセンサ素
    子。
  2. 【請求項2】被測定ガスが炭酸ガスである請求項1記載
    の固体電解質型ガスセンサ素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10938063B2 (en) 2019-01-31 2021-03-02 University Of Maryland, College Park Lithium silicate compounds as Li super-ionic conductor, solid electrolyte and coating layer for lithium metal battery and lithium-ion battery

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