JP2834679B2 - 固体電解質型ガスセンサ素子 - Google Patents

固体電解質型ガスセンサ素子

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、固体電解質として一般
式 Na1+XZr23-XSiX12(但し、0≦x≦3)
で表される陽イオン伝導物質(以下、ナシコン(NAS
ICON)ともいう)を使用した新規な固体電解質型ガ
スセンサ素子に関する。詳しくは、雰囲気ガス中の水蒸
気やその結露により発生する水に対する耐久性が高く、
長期間にわたって安定した感度を示し、信頼性が著しく
改善された固体電解質型ガスセンサ素子である。
【0002】
【従来の技術】従来より、様々な分野で雰囲気中の二酸
化炭素、窒素酸化物、硫黄酸化物などの無機ガス濃度の
測定は、燃焼制御や環境計測などのデータに利用されて
きた。かかる無機ガスの測定には、赤外線吸収式、紫外
線吸収式あるいは化学発光式など種々の分析手法が主に
採用されてきたが、装置が大型、高価でメンテナンスが
必要であるといった問題点が指摘されていた。
【0003】これらの装置に対して、小型、簡便で安価
なガスセンサ素子として、固体電解質の起電力変化を利
用した固体電解質型ガスセンサ素子が開発されている。
【0004】従来、上記の固体電解質型ガスセンサとし
て、イオン導伝性が比較的低温度で得られる(作動温度
が低い)ナシコンを材質とした固体電解質層に作用電極
と参照電極とを形成したガスセンサ素子が知られてい
る。
【0005】上記固体電解質型ガスセンサ素子を使用し
て、被測定ガス中の二酸化炭素、窒素酸化物、硫黄酸化
物などの無機ガスを検出する場合において、固体電解質
層の可動イオン種と被測定ガスから生じるイオン種が異
なる場合があるため、作用電極側に、該被測定ガスとの
間で解離平衡を有する金属塩を補助電極として設けるの
が一般的である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記ガスセ
ンサ素子は、使用していない状態で、固体電解質層とし
て使用されるナシコンが雰囲気ガス中の水蒸気や結露に
より発生する水の影響を受けその組成が変化するため、
作動温度にまで昇温して使用する際に、その感度が低下
して長期の信頼性に欠けるという問題を有していた。
【0007】一方、固体電解質層の全体を酸素センサで
実績のあるジルコニアによって構成するという報告がな
されているが(CHEMISTRY LETTERS、
393〜396頁、1994)、上記のようにジルコニ
アを固体電解質層として使用してセンサ素子を構成した
場合、作動温度が高くなり、該作動温度をナシコンを使
用した場合のレベルまで低下させると、そのイオン伝導
度が著しく低下する。そのため、従来よりナシコンを固
体電解質として使用していた低温度の作動温度を維持す
ることが困難となる。
【0008】従って、雰囲気ガス中の水蒸気や結露によ
り発生する水の影響を受けることなく、長期間の使用に
おいても感度が安定し、且つ従来のナシコンを固体電解
質物質として使用した固体電解質型ガスセンサ素子と同
程度の低温度で作動する固体電解質型ガスセンサの開発
が望まれていた。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる特性を
有する固体電解質型ガスセンサ素子を開発すべく研究重
ねた。その結果、ナシコンの作用電極層側の表層部にジ
ルコニア又はジルコニアを特定の割合で含む層を存在さ
せた構造とすることにより、作動温度が従来のナシコン
を使用した固体電解質型ガスセンサ素子と変わらず、し
かも、水蒸気や水に対する耐性(以下、耐水性ともい
う)が向上して経時的な感度の安定性が向上し、上記課
題を解決し得ることを見い出し、本発明を提案するに至
った。
【0010】以下、本発明を添付図面に従って詳細に説
明するが、本発明はこれらの添付図面に特に限定される
ものではない。
【0011】本発明の固体電解質型ガスセンサ素子(以
下、単に「ガスセンサ素子」ともいう)の代表的な態様
を図1に示す。
【0012】本発明の固体電解質型ガスセンサ素子は、
被測定ガスとの間に解離平衡を形成することができる金
属塩の層と電極とよりなる作用電極層9と、参照電極層
6との間に固体電解質8として、一般式 Na 1+X Zr 2
3-X Si X 12 (但し、0≦x≦3)で表される陽イオ
ン伝導物質を介在させる固体電解質型ガスセンサ素子に
おいて、前記固体電解質の作用電極層と接する面に、ジ
ルコニア単独又はジルコニアを90モル%以上含む上記
陽イオン伝導物質からなる層を存在させたことを特徴と
する。以下、ジルコニア単独又はジルコニアを90モル
%以上含む上記陽イオン伝導物質からなる層をジルコニ
アリッチ層ともいう。
【0013】本発明において、固体電解質層8は前記一
般式で示されるナシコンが特に制限なく使用される。
【0014】上記の固体電解質層8を構成するナシコン
は公知の方法によって得られたものを特に制限なく使用
することができる。代表的な製造方法を例示すれば、ナ
シコンの組成となる原料粉末を成型後焼結させる方法、
ナシコン粉末をバインダー及び溶媒と混練しペースト化
した後に、ドクターブレード法などによりグリーンシー
トを作製し焼結する方法、ナシコンをスパッタリング法
などの薄膜形成手法を用いて基材上に積層する方法など
が好適に用いられる。
【0015】また、固体電解質層8の大きさも、公知の
固体電解質型センサ素子において採用される程度の大き
さが特に制限なく採用される。特に、後記するジルコニ
アリッチ層を形成するため、厚み300〜700μmが
好適であり、また、一辺1〜5mm程度の大きさのチッ
プ状が好ましい。
【0016】本発明における作用電極層9及び参照電極
層6の材質は、公知の材質が特に制限なく使用される。
例えば、電極を構成する材質としては、白金、金、銀、
パラジウム、ロジウム等の貴金属類及びそれらの酸化
物、一般式La1ーySryBO3(但し、BはCo、C
u、Fe、Ni等の元素を示し、yは0.01〜0.5
の数を示す。)で表されるペロブスカイト型酸化物、上
記貴金属または貴金属酸化物とペロブスカイト型酸化物
を混合した複合組成物が挙げられる。そのうち、好まし
くは、白金、金、銀、パラジウム、ロジウムなどの貴金
属が、更に好ましくは白金及び金が好適に用いられる。
【0017】尚、作用電極層9は、前記したように、被
測定ガスとの間で解離平衡を有する金属塩の層と上記し
た電極により構成される。この場合、補助電極として作
用する上記金属塩の層は、図1に示すように補助電極層
10として作用電極層9の電極と独立して設けても良い
、作用電極層9中に補助電極物質を分散して存在させ
ることにより設けても良い。
【0018】上記参照電極層及び作用電極層の厚みは特
に制限されないが、一般には、5〜20μm程度が一般
的である。また、図1に示すように補助電極層10を独
立して設ける場合、その厚みは1〜3μm程度が一般的
である。
【0019】本発明において、該補助電極層10を構成
する金属塩は、被測定ガスと解離平衡を有するものであ
れば何等制限なく使用できるが、特にNa、Li、K等
のアルカリ金属やCa、Mg、Ba等のアルカリ土類金
属の炭酸塩、Bi、Ag、La、Cuの炭酸塩あるいは
Na、Li、K等のアルカリ金属やCa、Mg、Ba等
のアルカリ土類金属の硫酸塩、硝酸塩などの中より、二
酸化炭素、窒素酸化物、硫黄酸化物などの被測定ガスに
合わせて適宜選択される。
【0020】上記した作用電極層及び参照電極層を形成
する方法は特に制限されるものではない。例えば、参照
電極層は、上記電極材料テレピネオール等でペースト化
し、固体電解質層8の一面に塗布して乾燥後、焼成する
ことによって形成することができる。
【0021】また、作用電極層は、前記参照電極層と同
様にして電極層を形成後、該電極層に補助電極物質の水
溶液を含浸させる方法、該電極層に補助電極物質をテレ
ピネオール等でペースト化して印刷した後、焼成する方
法等が一般的である。
【0022】更に、図には示されていないが、固体電解
質層8の表面に先ず補助電極物質をテレピネオール等で
ペースト化して印刷した後、焼成する方法等により補助
電極物質の層を形成後、電極層を形成しても良い。
【0023】更にまた、補助電極物質を電極層に分散し
た態様の作用電極層を形成する場合は、あらかじめ電極
材料と補助電極材料を混合したペーストを塗布して乾燥
後、焼成する方法等が挙げられる。
【0024】本発明において、重要な構成は、上記固体
電解質層8の作用電極層9側の表層部をジルコニアリッ
チ層7によって構成したことにある。
【0025】即ち、該固体電解質層8の表層部のみをジ
ルコニアリッチ層によって構成することにより、驚くべ
きことに、ナシコンよりなる固体電解質層8の耐水性が
著しく向上すると共に、得られるガスセンサの作動温度
も実質的に変化せず、ナシコンを使用した固体電解質型
ガスセンサの特徴である低温作動が可能な特性を維持す
ることができる。
【0026】上記のジルコニアリッチ層は、ジルコニア
単独で構成するか又はジルコニアを90モル%以上、好
ましくは95モル%以上含むナシコンで構成されるもの
であれば、何等制限を受けるものではない。
【0027】また、固体電解質層の表層部7に形成され
るジルコニアリッチ層の厚さは、ガスセンサの作動温度
に著しい影響を与えない程度に制限された範囲の中で、
耐水性の向上効果を発揮する厚みを選択することが本発
明の目的を達成する上で好ましい。一般には、1〜30
μm、好ましくは2〜10μmの範囲で、且つ固体電解
質層の全厚みの5%以下となるように厚みを決定するこ
とが好ましい。
【0028】尚、本発明において、ジルコニアが90モ
ル%未満のナシコン部分は、ナシコンに近い挙動を示す
ため、ナシコンの占める厚みとして扱うが、かかるジル
コニアを含有する層の厚みは、固体電解質層全厚みの1
0%以下とすることが特に好ましい。
【0029】また、ジルコニアリッチ層をジルコニア単
独で形成する場合、従来ジルコニアには安定化のために
イットリア、マグネシア、カルシアなどが微量添加され
ているが、これらを添加して安定化あるいは部分安定化
されたジルコニアも問題なく使用できる。
【0030】上記ジルコニアリッチ層の形成方法は従来
の方法が何等制限なく使用できる。一般には、ナシコン
は高温で焼成を行う際に表面のみでナトリウムやリンの
蒸発が起こるため、かかる現象を利用して、表面にジル
コニアが90%以上になるような条件でナシコンの焼成
を行い、得られた焼結体の参照電極層が形成される側の
片面のみ表面を研摩してジルコニアリッチ層を取り去る
方法、あるいはジルコニアをスパッタリング法などの薄
膜形成手法を用いてナシコン上に形成する方法などが好
適に使用される。
【0031】本発明の固体電解質型ガスセンサの他の構
成は何等制限されず、公知の構造が特に制限なく採用さ
れる。例えば、一般に固体電解質型ガスセンサは、10
0〜800℃に加熱して使用されるが、かかる加熱は該
ガスセンサの外部の熱源からの放射によっても良いし、
図1に示した例のようにアルミナ基板3の上に白金ペー
ストを波型にスクリーン印刷して焼成したヒーター2を
設け、該ヒーターに電源1より直流あるいは交流電圧を
印可するように構成しても良い。上記ヒーターの装着位
置は、参照電極を構成する電極層6上のように、ガスセ
ンサの作動を阻害しない位置であれば特に制限されな
い。
【0032】また、測定しようとする雰囲気中にトルエ
ンや酢酸エチルあるいはエタノールなどの有機ガスが共
存する場合には、有機ガスを除去するためのフィルター
を用いても良い。該フィルターとしては公知のものが何
等制限なく使用できる。
【0033】
【発明の効果】本発明の固体電解質型ガスセンサは、ナ
シコンよりなる固体電解質層の作用電極層側の表層部に
ジルコニアリッチ層を形成させることにより、多量の水
蒸気が共存したり結露が発生するような環境下において
も、長期間にわたり安定した感度を示すと共に、作動温
度はナシコンを固体電解質層として使用した従来の固体
電解質型ガスセンサと実質的に同じくらい低い温度に設
定して使用することが可能である。
【0034】従って、被測定ガスを長期間にわたって信
頼性良く、しかも経済的に測定することが可能であり、
工業的な意義は大きい。
【0035】
【発明の作用】本発明の固体電解質型ガスセンサが上記
効果を発揮する機構は明らかではないが、ナシコンを固
体電解質層として使用した場合、水との接触において該
ナシコンと作用電極との界面での劣化が、該作用電極と
の密着性等に影響を与え、固体電解質型ガスセンサ素子
の感度の低下に大きく影響し、該部分の耐水性をジルコ
ニアリッチ層で高めることにより、上記の効果を発揮す
るものと推定している。
【0036】
【実施例】本発明を具体的に説明するために以下の実施
例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定
されるものではない。
【0037】尚、以下の実施例及び比較例において、固
体電解質層の表層部に形成されたジルコニアリッチ層の
厚み、及びジルコニア含有量は下記の方法によって測定
した値である。
【0038】(1)ジルコニアリッチ層の厚み及びジル
コニア含有量 固体電解質層とジルコニアリッチ層断面の元素分析をX
MA(X線マイクロアナライザー)により行い、表面か
らのジルコニアリッチ層の厚さとジルコニア濃度とを求
めた。
【0039】実施例1、2、比較例1、図1に示すよう
な構造の二酸化炭素センサを下記の方法により作製し
た。
【0040】即ち、ナシコン粉末を成形後、焼成して直
径5mm、厚さ0.5mmの円盤状のチップを作成し
た。その際、焼成温度と焼成時間を変化させることによ
り、ナシコンよりなる焼結体の表層部7のジルコニア濃
度がそれぞれ90モル%(実施例1)、95モル%(実
施例2)、40モル%(比較例1)で、その厚さが5μ
mとなるように調整して焼成を行い、参照電極層6を形
成する側の面を研摩してジルコニアリッチ層を除去し、
その反対面の表層部7にのみジルコニアリッチ層を残し
て固体電解層8を形成した。
【0041】また、作用電極層9、参照電極層6は、市
販の金ペーストを得られたナシコンの焼結体にスクリー
ン印刷、乾燥後、650℃で焼き付けることによって形
成した。尚、補助電極層10は炭酸リチウム粉末を、テ
レピネオールに5重量%エチルセルロースを溶解させた
ビヒクルを用いてペースト化したものをスクリーン印
刷、乾燥後、650℃で焼成することにより形成した。
また、参照電極層6側にはアルミナ基板3の上に白金ペ
ーストでヒーター2をスクリーン印刷により形成したも
のをガラス4により接合した。センサはヒーター2に電
源1より直流電圧を印可し450℃に加熱して使用し
た。
【0042】上記のように構成された固体電解質型ガス
センサの二酸化炭素ガスに対する感度は、センサを大気
中の二酸化炭素濃度にほぼ等しい350ppm雰囲気に
放置し、その後雰囲気の二酸化炭素濃度を1000pp
mに変化させた場合のセンサの起電力変化を電圧計6に
よって測定することで評価した。
【0043】なお、感度は二酸化炭素濃度350ppm
中でのセンサの起電力から1000ppm中でのセンサ
の起電力を引いた値で示した。
【0044】また、センサの経時安定性は、センサをヒ
ーターによって加熱しない状態で、40℃、30%R.
H.と40℃、100%R.H.を4時間毎に繰り返す
恒温恒湿槽中に放置し、それぞれの雰囲気を1回ずつ経
験した場合を1サイクルとして、一定サイクル経過後に
取り出し、再び前記方法により二酸化炭素に対する感度
を測定することで評価した。
【0045】結果を表1に示す。経過サイクルとセンサ
の二酸化炭素感度の関係を示した表1より明らかなよう
に、比較例1の素子では初期から感度が急激に低下し、
100サイクルで完全に感度がなくなるほどに劣化し
た。これに対して、実施例1、2の素子は若干の感度の
低下はあるものの、150サイクル経過後も良好な感度
を示した。
【0046】実施例3、比較例2 実施例1と同様な方法により、ナシコンを成形、焼成し
た後、得られた焼結体の全面のジルコニアリッチ層を除
去し、次いで、イットリアを8モル%添加したジルコニ
アをスパッタリング法によりスパッタし、厚さ3μmの
ジルコニアよりなる層を有する固体電解質層8を構成し
た。
【0047】一方、比較例2として、焼成後両面のジル
コニアリッチ層7を完全に取り除いて固体電解質層を構
成した。
【0048】また、作用電極層9、参照電極層6は、市
販の金ペーストを上記固体電解質層8を構成する焼結体
の表面にそれぞれスクリーン印刷、乾燥後、650℃で
焼き付けることにより形成した。尚、補助電極層10は
炭酸リチウム粉末を、テレピネオールに5重量%エチル
セルロースを溶解させたビヒクルを用いてペースト化し
たものを作用電極層を構成する電極層にスクリーン印
刷、乾燥後、650℃で焼成することにより形成した。
【0049】また、実施例1と同様にしてヒーターを形
成して固体電解質型ガスセンサー素子を得た。
【0050】得られた固体電解質型ガスセンサ素子につ
いて、実施例1と同様にしてセンサの経時安定性を測定
した。
【0051】結果を表1に併せて示す。これより、経過
サイクルとセンサの二酸化炭素感度の関係を示した表1
より明らかなように、比較例2の素子では初期から感度
が急激に低下し、100サイクルで完全に感度がなくな
るほどに劣化した。これに対して、実施例3の素子は若
干の感度の低下はあるものの、150サイクル経過後も
良好な感度を示した。
【0052】
【表1】
【0053】実施例4、比較例3 図1に示すような構造の二酸化窒素センサを下記の方法
により作製した。
【0054】先ず、固体電解質層8とその表層部7に形
成されるジルコニアリッチ層の組み合わせは、実施例4
では実施例3と同様のものを、比較例3では比較例2と
同様のものを使用した。作用電極層9、参照電極層6は
実施例1と同様の方法で形成した。また、補助電極層1
0は硝酸バリウム粉末を、テレピネオールに5重量%エ
チルセルロースを溶解させたビヒクルを用いてペースト
化したものをスクリーン印刷、乾燥後、600℃で焼成
することにより形成した。ヒーターも実施例1と同様に
形成し、センサは450℃に加熱して使用した。
【0055】上記のように構成された固体電解質型ガス
センサの二酸化窒素ガスに対する感度は、センサを大気
中に放置し、その後雰囲気の二酸化窒素濃度を50pp
mに変化させた場合のセンサの起電力変化を電圧計6に
よって測定することで評価した。
【0056】尚、上記感度は大気中のセンサの起電力か
ら二酸化窒素50ppm中でのセンサの起電力を引いた
値で示した。
【0057】また、センサの経時安定性は、センサをヒ
ーターによって加熱しない状態で、40℃、30%R.
H.と40℃、100%R.H.を4時間毎に繰り返す
恒温恒湿槽中に放置し、それぞれの雰囲気を1回ずつ経
験した場合を1サイクルとして、一定サイクル経過後に
取り出して再び二酸化炭素に対する感度を測定すること
で評価した。
【0058】表2には経過サイクルとセンサの二酸化窒
素感度の関係を示した。比較例3の素子では初期から感
度が急激に低下し、100サイクルで完全に感度がなく
なるほどに劣化した。これに対して実施例4の素子は若
干の感度の低下はあるものの、150サイクル経過後も
良好な感度を示した。
【0059】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】代表的な固体電解質型ガスセンサの断面構造
【符号の説明】
1 電源 2 ヒーター 3 アルミナ基板 4 ガラス 5 電圧計 6 参照電極層 7 作用電極の表層部 8 固体電解質層 9 作用電極層 10 補助電極層

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被測定ガスとの間に解離平衡を形成するこ
    とができる金属塩の層と電極とよりなる作用電極層と、
    参照電極層との間に固体電解質として、一般式 Na
    1+X Zr 2 3-X Si X 12 (但し、0≦x≦3)で表され
    る陽イオン伝導物質を介在させる固体電解質型ガスセン
    サ素子において、前記固体電解質の作用電極層と接する
    面に、ジルコニア単独又はジルコニアを90モル%以上
    含む上記陽イオン伝導物質からなる層を存在させたこと
    を特徴とする固体電解質型ガスセンサ素子。
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