JP3256618B2 - 固体電解質型ガスセンサ素子 - Google Patents

固体電解質型ガスセンサ素子

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JP3256618B2
JP3256618B2 JP32670293A JP32670293A JP3256618B2 JP 3256618 B2 JP3256618 B2 JP 3256618B2 JP 32670293 A JP32670293 A JP 32670293A JP 32670293 A JP32670293 A JP 32670293A JP 3256618 B2 JP3256618 B2 JP 3256618B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な固体電解質型ガ
スセンサ素子に関する。詳しくは、雰囲気中の二酸化炭
素、窒素酸化物、硫黄酸化物などの無機ガスの検出にお
いて、検出ガスに対する感度が高く、且つ個々のセンサ
素子間における初期感度及び経時的な感度のばらつきが
少なく、信頼性が著しく改善された固体電解質型ガスセ
ンサ素子である。
【0002】
【従来の技術】従来より、様々な分野で雰囲気中の二酸
化炭素、窒素酸化物、硫黄酸化物などの無機ガスの測定
が行われ、燃焼制御や環境計測などに利用されてきた。
かかる無機ガスの測定には、赤外線吸収式、紫外線吸収
式あるいは化学発光式など種々の分析手法が主に採用さ
れてきたが、装置が大型、高価でメンテナンスが必要で
あるといった問題点が指摘されていた。これらの装置に
対して、小型、簡便で安価なガスセンサ素子として、固
体電解質層の起電力変化を利用した固体電解質型ガスセ
ンサ素子が開発されている。
【0003】上記固体電解質型ガスセンサ素子を使用し
て、二酸化炭素、窒素酸化物、硫黄酸化物などの無機ガ
スを検出する場合において、固体電解質層の可動イオン
種と被測定ガスから生じるイオン種が異なる場合がある
ため、作用電極側に、被測定ガスとの間で解離平衡を有
する金属塩を補助電極として設ける構成が提案されてい
る。例えば、固体電解質層にはナトリウムイオン導伝体
であるβ―Al23またはNa1+xZrSix3ーx12
(但しxは0〜3で、一般にNASICONと呼ばれ
る)、補助電極としては固体電解質層の可動イオンと同
一の元素の金属塩が用いた固体電解質型ガスセンサ素子
が公知である。
【0004】上記の構成よりなるガスセンサ素子を被測
定ガスを含む雰囲気中におくと、下記(1)で示される
ネルンストの式に従う起電力が二つの電極間に発生し、
この起電力から被測定ガスの濃度が測定できる。
【0005】 EMF=C−RT/nF・ln[G] (1) ここで、EMFは固体電解質型センサ素子の起電力、C
は定数、Rは気体定数、Tはガスセンサ素子の温度、n
は反応次数、Fはファラディー定数及び[G]は雰囲気
中の被測定ガスの濃度である。
【0006】上記の固体電解質型センサ素子の構造を図
5に示した。図5に示す構造は、固体電解質層9の一方
に参照電極層7が、他方には電極層14と補助電極13
として金属塩が積層形成された作用電極層が形成されて
いる。被測定ガスがセンサ素子に到達すると、金属塩1
3と電極14層からなる作用電極層のみで解離平衡反応
が起こり金属イオンの量に変化が生じる。センサ素子は
この金属イオン量の変化を、固体電解質層9を介した電
池の前記(1)式に従う起電力変化として電圧計6で検
出することにより、被測定ガスの濃度を測定するもので
ある。
【0007】また、図6に示すように、固体電解質層9
上に被測定ガスと解離平衡を有する金属塩からなる補助
電極15を設け、さらに電極層16を積層した構造の二
酸化炭素センサ素子も公知である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ように補助電極を設けた構造の固体電解質型センサ素子
は、複数のセンサ素子を製造した場合、個々のセンサ素
子間における初期感度及び経時的な感度のばらつきが大
きく、工業的な生産においてその品質の管理が困難であ
るという問題を有していた。かかる問題は、固体電解質
層の可動イオンと補助電極に用いる金属塩の金属イオン
が異なる場合、特に顕著であった。
【0009】また、上記構造の固体電解質型ガスセンサ
素子は、センサ素子の感度においても更に改良の余地が
あった。
【0010】従って、被検知ガスを感度良く検出でき、
しかも、初期及び経時的な感度のばらつきの少ない固体
電解質型ガスセンサ素子の開発が望まれていた。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる特性を
有する固体電解質型ガスセンサ素子を開発すべく研究を
重ねた結果、固体電解質層との界面において、補助電極
としての金属塩と電子電導物質とを特定の割合で共存さ
せた作用電極を設けることにより、上記した初期及び経
時的なセンサ素子の感度のばらつきが極めて効果的に改
善でき、しかも、感度も向上し、上記課題を解決し得る
ことを見い出し、本発明を提案するに至った。
【0012】以下、本発明を添付図面に従って詳細に説
明するが、本発明はこれらの添付図面に特に限定される
ものではない。
【0013】本発明の固体電解質型ガスセンサ素子(以
下、単に「ガスセンサ素子」ともいう)の代表的な態様
を図1示す。
【0014】本発明の固体電解質型ガスセンサ素子は、
固体電解質層9を介して一対の参照電極層7及び作用電
極層8が設けられてなり、該作用電極層8は、少なくと
も上記固体電解質層との界面に、被測定ガスと解離平衡
を有する金属塩と電子電導物質とよりなり、該電子電導
物質が0.5〜14容量%の割合で存在する混在層8a
を有してなる。
【0015】本発明において、固体電解質層9はイオン
導伝性の固体電解質よりなるものであれば何等制限なく
使用できる。一般にはナトリウムイオン導伝体であるN
1+ XZr2SiX3ーX12(但し、xは0〜3で、一般
にNASICONと呼ばれる)、β‐Al23、β‐G
23、リチウムイオン導伝体であるLi16ー2XZn
X(GeO44(但しxは0≦x<8で、一般にLIS
ICONと呼ばれる)、Li4GeO4‐Li3VO4、酸
素イオン導伝体であるZrO2、CeO2にY23、Ca
Oを添加したものなどが好適に使用される。
【0016】上記固体電解質層は、公知の製造方法によ
って得ることができる。代表的な製造方法を例示すれ
ば、上記化合物よりなる原料粉末を成形後焼結させる方
法、該原料粉末をバインダー及び溶媒と混練しペースト
化した後に、ドクターブレード法などによりグリーンシ
ートを作製し、焼結する方法或いは、上記化合物をスパ
ッタリング法などの薄膜形成手法を用いて基板上に積層
する方法などが好適に用いられる。
【0017】また、本発明において、作用電極層8は、
固体電解質層9との界面において被測定ガスと解離平衡
を有する金属塩と電子電導物質との混在層8aを有し、
且つ該混在層中の電子電導物質が0.5〜14容量%の
割合で存在するように構成することが、本発明の目的を
達成するために必要である。
【0018】本発明の固体電解質型ガスセンサ素子にお
いて、上記した炭酸塩としてNa2CO3、電子電導物質
としてAuを及び固体電解質層としてNASICONを
それぞれ使用した場合の、作用電極を構成する電子電導
物質及び金属塩と固体電解質層との間の電池式を下記
(2)式に示した。
【0019】 Na2CO3/Au/NASICON/Au (2) 上記のセンサ素子において、Na2CO3と雰囲気中の二
酸化炭素との間で下記(3)式に示した解離平衡反応が
生じる。
【0020】 Na2CO3 =2Na++2e-+CO2+1/2O2 (3) この解離平衡反応においてNa2CO3は雰囲気中の二酸
化炭素以外に、固体電解質層のNASICONとの間で
Naイオンのやりとりを、電極の金との間で電子の授受
を行っている。また、前記構成の二酸化炭素センサ素子
から安定な起電力を取り出すためにはNASICONと
金が接触していることが好ましい。
【0021】即ち、固体電解質型のガスセンサ素子が充
分な性能を発現するためには固体電解質層、電極、金属
塩、被測定ガスがお互いに共通な界面を有し、かかる界
面が一定面積以上存在する必要があるものと推定され
る。
【0022】かかる作用電極層の金属塩に対して、電子
電導物質の混在層における電子電導物質の割合が0.5
容量%以下になると、初期及び経時的な感度のばらつき
が著しく、工業的な生産において歩留まりが大幅に低下
するばかりでなく、得られるガスセンサ素子の被測定ガ
スに対する感度が低下する。一方、電子電導物質の割合
が14容量%を超えた場合、経時的な感度のばらつきが
著しく、工業的な生産において歩留まりが大幅に低下す
る。また、ガスセンサ素子の被測定ガスに対する感度が
低下し、20容量%以上ではほとんど感度を示さなくな
る。
【0023】本発明において、作用電極層8は、上記混
在層を固体電解質層との界面に有するものであれば特に
制限されない。例えば、全体がかかる組成で構成されて
いても良いが、混在層8aと他層8bとよりなり、該混
在層8aは固体電解質層との界面から20μm以下の厚
みで存在し、他層8bは、電子電導物質が14容量%を
超える割合、好ましくは20容量%以上の割合で存在す
るように構成することが、センサ素子内の電気的な接続
を高めるために好ましい。また、上記混在層と他層との
界面は、連続的に電子電導物質の濃度が変わっても良い
し、断続的に変わってもよい。
【0024】上記混在層8aを有する作用電極層8の形
成方法は、固体電解質層9との界面において0.5〜1
4容量%、好ましくは2.5〜9.5容量%の割合で電
子電導性物質が存在する混在層8aを有するものであれ
ば特に制限されるものではない。
【0025】例えば、電子電導性物質と金属塩の粉末と
を任意の割合で混合し、テレピネオール等の結合剤を用
いてペースト化したものをスクリーン印刷法等により所
望の形状に成形する方法、金属塩の分解温度以下で焼成
する方法や、電子電導性物質と金属塩の粉末を任意の割
合で成型したものをスパッタリング法、イオンプレーテ
ィング法、蒸着法等の薄膜技術により所望の形状に成形
する方法等が好適に採用される。また、固体電解質層9
上に、予め電子電導性物質を均一に且つ分散して存在さ
せた後に、電子電導性物質と金属塩からなるペーストを
形成し金属塩の分解温度以下で焼成する方法、逆に金属
塩を上記のように分散形成した後に電子電導性物質を孔
の中に充填形成する方法なども採用できる。
【0026】尚、従来は、固体電解質層上に作用電極層
を形成するため、電極層を形成し、その上に金属塩を積
層した構造のガスセンサ素子を製造するにあたり、該金
属塩は、溶媒に溶解し、これを電極層に含浸させた後、
溶媒を乾燥除去する方法、または電極層14上に溶融す
るといった方法が採用されていた。かかる方法によれば
金属塩が電極層の空隙を浸透し、前記界面が一部形成さ
れる。しかしながら、このようにして形成される作用電
極層においては、前記界面を個々のセンサ素子の作成に
おいて均一に再現性良く形成することが困難であるばか
りでなく、固体電解質層との界面に前記特定の割合で電
子電導物質が存在する混在層を形成することが困難であ
る。従って、得られるセンサ素子の初期、或いは経時的
な感度のばらつきを解決することが困難である。
【0027】本発明において、作用電極層8に使用され
る電子電導物質としては、白金、金、銀、パラジウム、
ロジウム等の貴金属類及びそれらの酸化物、一般式La
1ーXSrXBO3(但しBはCo、Cu、Fe、Ni等の
元素を表し、Xは0.01〜0.5の数)で表されるペ
ロブスカイト型酸化物、上記貴金属または金属酸化物と
ペロブスカイト酸化物を混合した複合組成物が挙げられ
るが、好ましくは、白金、金、銀、パラジウム、ロジウ
ムなどの貴金属が、さらに好ましくは白金及び金が好適
に用いられる。また、作用電極層8を構成する金属塩
は、被測定ガスと解離平衡を有するものであれば制限な
く使用できるが、特に、Na、Li、K等のアルカリ金
属や、Ca、Mg、Ba等のアルカリ土類金属の炭酸
塩、Bi、Ag、La、Cuの炭酸塩あるいはNa、L
i、K等のアルカリ金属やCa、Mg、Ba等のアルカ
リ土類金属の硫酸塩、硝酸塩などの中より、二酸化炭
素、窒素酸化物、硫黄酸化物などの被測定ガスに合わせ
て適宜選択される。また、かかる金属塩と固体電解質層
に用いる材料の組み合わせは特に限定されないが、一般
に固体電解質層の可動イオンと金属塩の金属イオンが異
なる場合に本発明の効果が顕著である。
【0028】本発明において、参照電極層7は、固体電
解質層上に電子電導性を有する物質で構成され、被検ガ
スに対して安定な材質或いは構造を有するものであれば
特に制限されない。例えば、前記電子電導物質のみによ
り構成する態様、被測定ガスと解離平衡を有する金属塩
と電子電導物質とを共在させて形成し、該参照電極を参
照ガスと接触させるようにした態様などが挙げられる。
【0029】前記の第1図に示す構造を有するガスセン
サ素子は、前者の態様であり、参照電極層を電子電導物
質のみにより構成しているため、特に、参照ガスを必要
とせず、このようなガスセンサ素子は、小型で単純な構
造を有するという特徴を有する。上記電子電導物質とし
ては、特に制限されない。
【0030】具体的には、白金、金、銀、パラジウム、
ロジウム等の貴金属類及びそれらの酸化物、一般式La
1ーXSrXBO3(但しBはCo、Cu、Fe、Ni等の
元素を表し、Xは0.01〜0.5の数)で表されるペ
ロブスカイト型酸化物、上記貴金属または金属酸化物と
ペロブスカイト酸化物を混合した複合組成物が挙げられ
るが、好ましくは白金、金、銀、パラジウム、ロジウム
などの貴金属が、さらに好ましくは白金及び金が好適に
用いられる。かかる参照電極層の製造方法は特に制限さ
れず、一般にはスクリーン印刷法、スパッタリング法、
イオンプレーティング法、蒸着法等による方法が好適に
採用される。
【0031】本発明の固体電解質型ガスセンサ素子は、
以上の構成を満足するものであれば他の構成は特に制限
されない。例えば、公知のガスセンサと同様な構成によ
り、ガスセンサを構成することができる。
【0032】本発明のガスセンサ素子は一般に加熱して
使用されるが、加熱方法はガスセンサ素子外部の熱源か
らの放熱によっても良いし、図1に示したように、ガラ
ス等の接着剤4で取り付けたアルミナ基板3のような絶
縁基板上に、白金ペースト等を波型にスクリーン印刷し
て、1000℃程度で焼成したヒーター2に電源1より
直流あるいは交流電圧を印加するような方法でもよい。
また、センサ素子へのヒーターの装着位置は、ガスセン
サ素子の作動を阻害しない位置であれば特に制限されな
い。
【0033】本発明の素子を使用したガスの測定におい
て、被測定雰囲気中にトルエンや酢酸エチルあるいはエ
タノールなどの有機ガスが共存する場合には、有機ガス
を除去するためのフィルターを用いても良い。該フィル
ターとしては公知のものが何等制限なく使用できる。
【0034】また、本発明のガスセンサ素子は、各電極
層を導線5により電圧計6と電気的に接続し、被検ガス
との接触による起電力を測定することによりガス濃度を
検知することができる。
【0035】
【発明の作用】本発明の固体電解質型ガスセンサ素子
は、固体電解質層と作用電極層との界面に、金属塩と電
子電導物質とが特定の割合で存在する混在層を存在させ
ることにより、固体電解質層、電子電導性物質、金属塩
及び被測定ガスの4層界面を均一にかつ充分に存在させ
ることができるため、被測定ガスと金属塩の平衡反応が
速やかにしかも均一に起こるものと推定される。また、
上記の4層界面を形成する物質のうち被測定ガスとの解
離平衡反応の中心となる金属塩の寄与がもっとも大きい
ために電子電導性物質に対して過剰の金属塩の存在が必
要であるものと考えている。
【0036】
【発明の効果】本発明の固体電解質型ガスセンサ素子
は、被検ガス対する感度が大きく、しかも、測定の初期
及び経時的なセンサ素子間のばらつきも小さいという特
徴を有する。
【0037】従って、製造においての歩留りが大きく、
その工業的な価値は極めて大きい。
【0038】また、かかる効果は、固体電解質型ガスセ
ンサにおいて、固体電解質層の可動イオンと金属塩の金
属イオンが異なる場合に特に顕著である。
【0039】
【実施例】本発明を具体的に説明するために以下の実施
例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定
されるものではない。
【0040】実施例1〜5、比較例1〜3 図1に示す構造の二酸化炭素測定用固体電解質型ガスセ
ンサ素子(以下、単にガスセンサ素子という)を、以下
の方法により作製した。
【0041】先ず、固体電解質層9としては、NASI
CONの粉末を成型、焼結して得られた直径約5mm、
厚さ約0.7mmの円盤状の焼結体を用いた。
【0042】該固体電解質層9の片面には、金ペースト
をスクリーン印刷し、乾燥した後、700℃で焼き付け
を行うことにより、参照電極層7を形成した。
【0043】上記固体電解質層9の一方の表面に参照電
極7が形成されたものを複数個準備した。
【0044】また、上記各固体電解質層9のもう一方の
面には、次のようにして作用電極層8をそれぞれ形成し
た。即ち、炭酸リチウム粉と金粉とを容量で表1に示す
組成となるよう均一に混合したものをテレピネオールに
5重量%の割合でエチルセルロースを溶解させたビヒク
ルを用いてペースト化し、上記固体電解質層9の表面に
スクリーン印刷、乾燥後、650℃で焼成することによ
り、作用電極8を構成する混在層8aを約8μmの厚み
で形成した。
【0045】また、上記混在層8a上には、金ペースト
(市販品、ESL社製、商品名:8835)をスクリー
ン印刷し、乾燥後、650℃で焼き付けることにより実
質的に金よりなる層8bを積層して形成し、作用電極層
8を構成した。
【0046】なお、上記の参照電極層7の側には、アル
ミナ基板3の上に白金ペーストでヒーター2をスクリー
ン印刷、焼き付けを行って波型に形成したものを、ガラ
スよりなる接着剤4により接合した。
【0047】以上のようにして、混在層の8aにおける
金の割合を変えた8個のガスセンサ素子を作成し、それ
ぞれのヒーター2に電源1より直流電圧を印加し、該ガ
スセンサ素子を450℃に加熱して使用した。
【0048】上記の各ガスセンサ素子の二酸化炭素に対
するガス感度は、センサ素子を大気中の二酸化炭素にほ
ぼ等しい二酸化炭素濃度350ppmの雰囲気に放置
し、その後該雰囲気の二酸化炭素濃度を30350pp
mまで変化させた場合のセンサ素子の起電力変化を電圧
計6によって測定することで評価した。
【0049】なお、感度は二酸化炭素濃度350ppm
中でのセンサ素子の起電力から測定ガス雰囲気でのセン
サ素子の起電力を引いた値で表1に示した。
【0050】本発明の上記実施例において、感度は二酸
化炭素濃度の対数に比例することがわかった。例えば、
図2は実施例2において、二酸化炭素濃度と感度との関
係を示したものである。このように、かかる関係を検量
線に示し、測定されたセンサ素子の起電力に対応させる
ことにより測定雰囲気の二酸化炭素濃度を検出すること
が可能となる。
【0051】
【表1】
【0052】また、上記各ガスセンサ素子の初期及び経
時的な感度のばらつき及び経時的な感度の低下を評価す
るために、それぞれ複数個作成したガスセンサ素子より
5個を任意に取り出し、各ガスセンサ素子について、雰
囲気二酸化炭素濃度3000ppmにおける平均感度及
び標準偏差を経時的に測定した。上記測定結果を表2に
示す。
【0053】
【表2】
【0054】比較例1、2として、金の容量比が本発明
の範囲より大きい場合を示したが、この場合には、金の
容量比が増加するに従って感度が大幅に小さくなるこ
と、また、初期及び経時的な感度のばらつきが大きく、
経時的な感度の低下も大きいことが明らかである。
【0055】一方、比較例3には、金の容量比が本発明
の範囲より小さい場合を示したが、この場合には、感度
が低下すると共に、出力起電力も不安定になることもわ
かった。また、この場合、初期及び経時的な感度のばら
つきが大きく、経時的な感度の低下も大きいことが判
る。
【0056】実施例6及び7、比較例4及び5 実施例1において、参照電極を形成した固体電解質層に
ついて、次のようにして作用電極層8を構成する混在層
8aをそれぞれ形成した以外は同様にして固体電解質ガ
スセンサを作成した。
【0057】即ち、硝酸バリウム粉と金粉とを容量で表
3に示す組成となるよう均一に混合したものを、テレピ
ネオールに5重量%の割合でエチルセルロースを溶解さ
せたビヒクルを用いてペースト化し、上記固体電解質層
9の表面にスクリーン印刷、乾燥後、600℃で焼成す
ることにより、作用電極8を構成する混在層8aを約1
2μmの厚みで形成した。
【0058】以上のようにして、混在層の8aにおける
金の割合を変えた8個のガスセンサ素子を作成し、それ
ぞれのヒーター2に電源1より直流電圧を印加し、該ガ
スセンサ素子を450℃に加熱して使用した。
【0059】上記の各ガスセンサ素子の二酸化窒素に対
するガス感度は、センサ素子を大気中に放置し、その後
雰囲気の二酸化窒素濃度を200ppmまで変化させた
場合のセンサ素子の起電力変化を電圧計6によって測定
することで評価した。
【0060】なお、感度は大気中でのセンサ素子の起電
力から測定ガス雰囲気でのセンサ素子の起電力を引いた
値で示した。
【0061】本発明の上記実施例において、感度は二酸
化炭素濃度の対数に比例することがわかった。例えば、
図3は実施例6において、NO2濃度と感度との関係を
示したものである。このように、かかる関係を検量線に
示し、測定されたセンサ素子の起電力に対応させること
により測定雰囲気の二酸化炭素濃度を検出することが可
能となる。
【0062】
【表3】
【0063】また、上記各ガスセンサ素子の初期及び経
時的な感度のばらつき及び経時的な感度の低下を評価す
るために、それぞれ複数個作成したガスセンサ素子より
5個を任意に取り出し、各ガスセンサ素子について、雰
囲気二酸化窒素濃度100ppmにおける平均感度及び
標準偏差を経時的に測定した。上記測定結果を表4に示
す。
【0064】
【表4】
【0065】比較例4として、金の容量比が本発明の範
囲より大きい場合を示したが、この場合には、金の容量
比が増加するに従って感度が大幅に小さくなること、ま
た、初期及び経時的な感度のばらつきが大きく、経時的
な感度の低下も大きいことが明らかである。
【0066】一方、比較例5には、金の容量比が本発明
の範囲より小さい場合を示したが、この場合には、感度
が低下すると共に、出力起電力も不安定になることもわ
かった。また、この場合、初期及び経時的な感度のばら
つきが大きく、経時的な感度の低下も大きいことが判
る。
【0067】実施例8、9 実施例1において、(1)固体電解質層9として、β−
Al2O3の粉末を成型、焼結して得られた材質のもの
を用い、(2)混在層8aとして、表5に示す種類の炭
酸塩を使用し、金の容量比が9容量%となるよう均一に
混合したものを、テレピネオールに5重量%エチルセル
ロースを溶解させたビヒクルでペースト化し、スクリー
ン印刷、乾燥後、800℃で焼成することにより形成し
た以外は同様にして、固体電解質型ガスセンサ素子を得
た。
【0068】上記の各ガスセンサ素子の二酸化炭素に対
するガス感度は、センサ素子を大気中の二酸化炭素にほ
ぼ等しい二酸化炭素濃度350ppmの雰囲気に放置
し、その後該雰囲気の二酸化炭素濃度を30350pp
mまで変化させた場合のセンサ素子の起電力変化を電圧
計6によって測定することで評価した。
【0069】なお、感度は二酸化炭素濃度350ppm
中でのセンサ素子の起電力から測定ガス雰囲気でのセン
サ素子の起電力を引いた値で表5に示した。
【0070】本発明の上記実施例において、感度は二酸
化炭素濃度の対数に比例することがわかった。従って、
かかる関係を検量線に示し、測定されたセンサ素子の起
電力に対応させることにより測定雰囲気の二酸化炭素濃
度を検出することが可能となる。
【0071】
【表5】
【0072】また、上記各ガスセンサ素子の初期及び経
時的な感度のばらつき及び経時的な感度の低下を評価す
るために、それぞれ複数個作成したガスセンサ素子より
5個を任意に取り出し、各ガスセンサ素子について、雰
囲気二酸化炭素濃度3000ppmにおける平均感度及
び標準偏差を経時的に測定した。上記測定結果を表6に
示す。
【0073】
【表6】
【0074】実施例10 以下に示す方法により、図4に示すような構造の二酸化
炭素測定用固体電解質型ガスセンサ素子を作製した。
【0075】固体電解質層9として実施例1と同様のも
のを用い、その片面には参照電極層7として金ペースト
をスクリーン印刷、乾燥後、700℃で焼き付けするこ
とにより形成した。もう一方の面には金の微粉末をテレ
ピネオールに分散させ、これを固体電解質層上に塗布し
た後、乾燥した。この上に金属塩9として炭酸リチウム
をテレピネオールに5重量%エチルセルロースを溶解さ
せたビヒクルでペースト化し、スクリーン印刷、乾燥
後、650℃で焼成して形成した。なお、上記操作によ
り、固体電解質層との界面での金の占める面積が8.5
容量%となるように混在層を調整した。さらにこの混在
層上には、電気的接続を高めるために、焼成温度を65
0℃とした以外は、上記参照電極層7の形成と同様の方
法で電極12を形成し、作用電極層とした。参照電極層
7の側には、実施例1と同様にしてヒーターを接合し、
センサ素子はヒーター2に電源1より直流電圧を印加し
450℃に加熱して使用した。
【0076】また、センサ素子の二酸化炭素に対するガ
ス感度は、実施例1の場合と同様の方法で評価した。
【0077】表7に炭酸ガス感度を示したが、センサ素
子の感度は二酸化炭素濃度の増大とともに増大し、その
値も非常に大きかった。二酸化炭素濃度と感度の関係は
実施例1の場合と同様であり、感度は二酸化炭素濃度の
対数に比例することがわかった。この結果より、センサ
素子の起電力を測定することで雰囲気の二酸化炭素濃度
を検出することが可能となる。
【0078】
【表7】
【0079】また、上記各ガスセンサ素子の初期及び経
時的な感度のばらつき及び経時的な感度の低下を評価す
るために、それぞれ複数個作成したガスセンサ素子より
5個を任意に取り出し、各ガスセンサ素子について、雰
囲気二酸化炭素濃度3000ppmにおける平均感度及
び標準偏差を経時的に測定した。上記測定結果を表8に
示す。
【0080】
【表8】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の代表的な態様の固体電解質型二酸化炭
素センサ素子の断面構造
【図2】実施例2で得られた固体電解質型ガスセンサ素
子の二酸化炭素濃度と感度の関係
【図3】実施例6で得られた固体電解質型ガスセンサ素
子の二酸化窒素濃度と感度の関係
【図4】本発明の代表的な他の態様の固体電解質型二酸
化炭素センサ素子の断面構造
【図5】従来の固体電解質型二酸化炭素センサ素子の断
面構造
【図6】従来の固体電解質型二酸化炭素センサ素子の断
面構造
【符号の説明】
1 電源 2 ヒーター 3 アルミナ基板 4 接着剤 5 導線 6 電圧計 7 参照電極層 8 作用電極層 8a 混在層 9 固体電解質層 10、13、15 補助電極 11 金粉末 12、14、16 電極層

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】固体電解質層を介して一対の参照電極層及
    び作用電極層が設けられてなり、該作用電極層は、少な
    くとも上記固体電解質層との界面に、被測定ガスと解離
    平衡を有する金属塩と電子電導物質とよりなり、該電子
    電導物質が0.5〜14容量%の割合で存在する混在層
    を有することを特徴とする固体電解質型ガスセンサ素
    子。
  2. 【請求項2】作用電極層が、混在層と他層とよりなり、
    混在層は固体電解質層との界面から20μm以下の厚み
    で存在し、他層は電子電導物質が14容量%を越える割
    合で存在することを特徴とする請求項1記載の固体電解
    質型ガスセンサ素子。
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