JPH11323012A - 粘土複合ゴム材料及びその製造方法 - Google Patents
粘土複合ゴム材料及びその製造方法Info
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- JPH11323012A JPH11323012A JP11658899A JP11658899A JPH11323012A JP H11323012 A JPH11323012 A JP H11323012A JP 11658899 A JP11658899 A JP 11658899A JP 11658899 A JP11658899 A JP 11658899A JP H11323012 A JPH11323012 A JP H11323012A
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Abstract
の分散性が高い,粘土複合ゴム材料及びその製造方法を
提供する。 【解決手段】 第1粘土複合材料100は,有機化され
た粘土鉱物7と,分子内の極性基10が粘土鉱物7と水
素結合している第1ゲスト分子1と,極性基を有しない
第2ゲスト分子2とよりなる。第2粘土複合材料は,有
機化された粘土鉱物と,分子内の極性基10が粘土鉱物
7と水素結合している第3ゲスト分子とからなる。第
1,第2,第3ゲスト分子は粘土鉱物の層間に入り込ん
でおり,これらのゲスト分子の少なくとも一はゴム材料
の分子と架橋結合をしている。有機オニウムイオンは,
第2,第3ゲスト分子と,ゴム材料分子との間に架橋結
合を形成している。
Description
土鉱物を分子レベルで分散させた,粘土複合ゴム材料及
びその製造方法に関する。
るために,粘土鉱物の添加,混合が検討されている。例
えば,特開平1−198645号公報において,末端又
は側鎖にオニウムイオンを導入したオリゴマーを使用し
て粘土鉱物の有機化を行い,これをゴム材料の中に混合
するという方法が開示されている。
土複合ゴム材料においては,オニウムイオンを導入した
オリゴマーの調製は,必ずしも容易ではなかった。ま
た,粘土層間へオリゴマーを直ちに導入させようとする
ため,粘土層間の膨潤が不十分な場合があった。また,
Giannelisらによれば,極性基のないポリスチ
レンを用いた場合には,層間にはポリスチレン分子が1
層しか入ることができず,層間膨潤にも限界がある
(E.P.Giannelisら,Chem.Mate
r.5,1694−1696(1993))。
有するオリゴマー又はポリマーを,オニウムイオンによ
り有機化された粘土鉱物の層間に十分に入り込ませる技
術,及び有機化された粘土粘土の層間に極性基を有する
低分子物質を導入した後に極性基を有しないオリゴマー
又はポリマーを粘土層間に導入する技術について,先に
出願している(「粘土複合材料及びその製造方法」平成
7年6月5日出願,「粘土複合材料及びその製造方法,
並びにブレンド材料」平成7年6月30日出願)。しか
し,かかる技術は,プラスチックを主対象としたもので
あり,ゴム材料を対象としたものではない。
の低いゴムポリマー中における粘土鉱物の分散性が高
い,粘土複合ゴム材料及びその製造方法を提供しようと
するものである。
有機オニウムイオンがイオン結合することにより有機化
された粘土鉱物と,分子長が上記有機オニウムイオンと
同じかそれよりも小さく,且つその分子内の極性基が上
記粘土鉱物と水素結合している第1ゲスト分子と,分子
長が上記有機オニウムイオンよりも大きく,且つその分
子内に極性基を有しない第2ゲスト分子とよりなり,上
記第1ゲスト分子及び第2ゲスト分子は,少なくともそ
の一部が上記粘土鉱物の層間に入り込んでいる第1粘土
複合材料及び/又は,炭素数6以上の有機オニウムイオ
ンがイオン結合することにより有機化された粘土鉱物
と,分子内に極性基を有し,且つ分子長が上記有機オニ
ウムイオンと同じかそれよりも大きい第3ゲスト分子と
からなり,上記第3ゲスト分子は少なくともその一部が
粘土鉱物の層間に入り込んでおり,上記第3ゲスト分子
の極性基は粘土鉱物と水素結合を形成している第2粘土
複合材料と,ゴム材料とが混練され,且つ上記第2ゲス
ト分子又は第3ゲスト分子の少なくとも一方が,上記ゴ
ム材料の分子と架橋結合しており,上記第1粘土複合材
料又は第2粘土複合材料の少なくとも一方の中の有機オ
ニウムイオンは,上記第2ゲスト分子又は上記第3ゲス
ト分子の少なくとも一方と,上記ゴム材料の分子との間
に架橋結合を形成していることを特徴とする粘土複合ゴ
ム材料である。
ム材料が,粘土鉱物の層間にゲスト分子を導入させた粘
土複合材料と混練されていること,該粘土複合材料の中
のゲスト分子とゴム材料の分子とが架橋結合しているこ
と,及び有機オニウムイオンと,第2ゲスト分子又は/
及び第3ゲスト分子と,ゴム材料分子との間に架橋結合
が形成されていることである。
ついて説明する。粘土複合ゴム材料は,上記のごとく有
機化された粘土鉱物の層間にゲスト分子を入り込ませた
各種粘土複合材料のいずれかを,ゴム材料に混練してゲ
スト分子とゴム材料の分子との間に架橋結合を形成した
ものである。そのため,従来粘土鉱物の分散が困難であ
ったゴム分子に対しても粘土鉱物を均一に大きな層間距
離をもって分散させることができる。その理由は以下の
ように考えられる。
料100においては,有機オニウムイオン6により有機
化された粘土鉱物7が,空間的に多くのスペースを有す
るため,その層間に一旦は極性の弱いオリゴマー又はポ
リマーを取り込むことができるが,粘土鉱物のシリケー
ト層の極性により直ちに排除される傾向が強かった。し
かし,上記のごとく,第1ゲスト分子1に極性基10を
結合させることにより,極性基10が粘土鉱物7のシリ
ケート層と水素結合を形成して,層間に留まる。このた
め,粘土鉱物7の層間は,疎水化され,極性基を有しな
い第2ゲスト分子2が安定して留まることができる。第
2ゲスト分子2は,有機オニウムイオンよりも分子長が
長いため,層間を著しく膨潤させる。
料200においては,有機オニウムイオン6により有機
化された粘土鉱物7の層間に,極性基30を有する第3
ゲスト分子3を導入して,粘土鉱物7のシリケート層と
水素結合を形成している。そのため,第3ゲスト分子3
は,粘土鉱物7の層間に留まることができる。第3ゲス
ト分子3は,有機オニウムイオン6よりも分子長が長い
ため,層間を著しく膨潤させる。
潤した第1,第2粘土複合材料の少なくとも一方を,ゴ
ム材料と混練する。すると,ゴム材料中において粘土鉱
物は凝集することなく,分子レベルで均一に分散する。
また,粘土鉱物が均一に分散することにより,ガス等に
対する遮断性が向上する。また,シリケート層近傍のゴ
ム分子の運動が拘束される。そのため,粘土複合ゴム材
料の力学的性質に良好な影響を与える。
合材料又は第2粘土複合材料の少なくとも一方の中の有
機オニウムイオンは,上記第2ゲスト分子又は上記第3
ゲスト分子の少なくとも一方と,上記ゴム材料の分子と
の間に架橋結合を形成している。そのため,粘土鉱物の
シリケート層とゴムとの界面が非常に強固に結合する。
従って,さらにシリケート層近傍のゴム分子の運動が拘
束され,力学的性質特に硬さや弾性率が向上する。
発明の粘土複合ゴム材料においては,第1,第2粘土複
合材料の少なくとも一方又は双方が,ゴム材料と混練さ
れている。
る。上記第1粘土複合材料は,有機オニウムイオンによ
り有機化された粘土鉱物と,第1ゲスト分子と,第2ゲ
スト分子とよりなる。
鉱物は,炭素数6以上の有機オニウムイオンとイオン結
合して有機化されている。炭素数が6未満の場合には,
有機オニウムイオンの親水性が高まり,第1,第2ゲス
ト分子との相溶性が低下する。上記有機オニウムイオン
としては,例えば,ヘキシルアンモニウムイオン,オク
チルアンモニウムイオン,2−エチルヘキシルアンモニ
ウムイオン,ドデシルアンモニウムイオン,オクタデシ
ルアンモニウムイオン,ジオクチルジメチルアンモニウ
ムイオン,トリオクチルアンモニウムイオン,又はジス
テアリルジメチルアンモニウムイオンを用いることがで
きる。
−ヘキセニルアンモニウムイオン,1−ドデセニルアン
モニウムイオン,9−オクタデセニルアンモニウムイオ
ン(オレイルアンモニウムイオン),9,12−オクタ
デカジエニルアンモニウムイオン(リノールアンモニウ
ムイオン),9,12,15−オクタデカトリエニルア
ンモニウムイオン(リノレイルアンモニウムイオン)を
用いることができる。
項12に係る溶媒溶解法で粘土複合ゴム材料を製造する
場合には,溶媒に対する膨潤性の点で,2級オニウムイ
オンが特に好ましい。なお,図示する有機オニウムイオ
ンは,いずれも二股状に表記して2級オニウムイオンで
あることを示しているが,2級オニウムイオンに限定す
る趣旨ではない。
との接触面積が大きいものを用いることが好ましい。こ
れにより,粘土鉱物の層間を大きく膨潤させることがで
きる。具体的には,粘土鉱物の陽イオンの交換容量は,
50〜200ミリ等量/100gであることが好まし
い。50ミリ等量/100g未満の場合には,オニウム
イオンの交換が十分に行われず,粘土鉱物の層間を膨潤
させることが困難な場合がある。一方,200ミリ等量
/100gを越える場合には,粘土鉱物の層間の結合力
が強固となり,粘土鉱物の層間を膨潤させることが困難
な場合がある。
ロナイト,サポナイト,ヘクトライト,バイデライト,
スティブンサイト,ノントロナイトなどのスメクタイト
系粘土鉱物,バーミキュライト,ハロイサイト,又は膨
潤性マイカがある。天然のものでも,合成されたもので
もよい。
以上の極性基を有している。極性基は,第1ゲスト分子
の主鎖,側鎖又は末端の少なくともいずれかに結合して
いる。この中,極性基は第1ゲスト分子の末端に結合し
ていることが好ましい。これにより,粘土鉱物の層間を
より大きく膨潤させることができる。
子が局在しており,電荷の偏りが生じたものをいい,完
全に分極したイオンは含まない。よって,オニウムイオ
ンは,上記極性基には含まれない。請求項2の発明のよ
うに,上記第1ゲスト分子及び/又は第3ゲスト分子の
上記極性基は,例えば,水酸基(OH),ハロゲン基
(F,Cl,Br,I),カルボキシル基(COO
H),無水カルボン酸基,チオール基(SH),エポキ
シ基,及びアミノ基のグループから選ばれる1種又は2
種以上である。上記アミノ基は,一級,二級,または三
級のアミン(NH2 ,NH,N)である。
ォニル基等の分極の程度が相対的に強い基は,上記「極
性基」の定義には一応該当するが,これらの基は本発明
においては余り好ましくない。なぜなら,これらの基を
含む第1ゲスト分子は溶媒への溶解性が小さく,また溶
融するための高温安定性に欠けるからである。
ウムイオンと同じかそれよりも小さい。有機オニウムイ
オンの分子長よりも大きい場合には,第1ゲスト分子の
入手が困難となる場合があり,また,極性の低いポリマ
ーの中に相溶化する第1ゲスト分子の種類が限られると
いう問題がある。
子は,例えば,直鎖状若しくは分岐状の構造のオレフィ
ン又はパラフィン,あるいは,直鎖状若しくは分岐状の
構造で且つ主鎖及び/若しくは側鎖の中に芳香環を有す
るオレフィン又はパラフィンを用いることができる。即
ち,第1ゲスト分子は,例えば,1以上の極性基を有
し,かつ,飽和若しくは不飽和の直鎖状又は分岐状の構
造を有するものである。また,その主鎖及び/又は側鎖
に,芳香環を含むこともある。
ては,例えば,ラウリルアルコール(炭素数12),ス
テアリルアルコール(炭素数18),ステアリン酸(炭
素数18),又はステアリルクロライド(炭素数18)
を用いることができる。また,両末端にOH,COO
H,Cl,エポキシ基等の極性基を有するポリエチレ
ン,ポリプロピレン,ポリイソプレン,ポリブタジエ
ン,又はこれらの水添物若しくは共重合体でもよい。こ
れらの第1ゲスト分子は,有機オニウムイオンの分子長
と同程度以下となるように選択して用いる。第1ゲスト
分子は,炭素数6以上のものがより好ましい。
きくなるに連れて,粘土鉱物の層間を広く拡張する傾向
にある。第1ゲスト分子の混合割合は,有機化された粘
土鉱物1重量部に対して,0.1重量部以上であること
が好ましい。0.1重量部未満の場合には,層間の膨潤
が不十分となるおそれがある。
り,粘土鉱物と水素結合を形成している。そして,第1
ゲスト分子は,少なくともその一部が粘土鉱物の層間に
入り込んでいる。第1ゲスト分子の全てが層間に入り込
んでいる必要はない。例えば,請求項5の発明のよう
に,第1粘土複合材料における粘土鉱物の層間には,第
1ゲスト分子全量の中の10重量%以上が入り込んでい
れば,層間は十分に膨潤する。一方,10重量%未満の
場合には,層間の膨潤が不十分となるおそれがある。
していない,非極性又は極性の低いオリゴマー又はポリ
マーである。この第2ゲスト分子は,直鎖状又は分岐状
の構造を有しており,飽和又は不飽和であって,また,
芳香環を含む場合もあり,含まない場合もある。そし
て,第2ゲスト分子の分子長は,有機オニウムイオンよ
りも大きい。有機オニウムイオンの分子長と同じか又は
それよりも小さい分子長の場合には,粘土鉱物の層間の
膨潤が不充分となるという問題がある。
分子は,分子量が1000〜500000の,非極性若
しくは極性の低いオリゴマー又はポリマーであることが
好ましい。1000未満の場合には,粘土鉱物の層間の
膨潤が不十分となるおそれがある。一方,500000
を越える場合には,溶媒に難溶となったり,軟化点又は
融点が粘土鉱物の分解点以上となってしまうおそれがあ
る。第2ゲスト分子は,有機オニウムイオンの3〜4倍
程度以上の分子長を有することが,より好ましい。上記
第2ゲスト分子としては,例えば,液状ポリブタジエ
ン,液状ポリイソプレン,液状ブチルゴムを用いること
ができる。
きくなるに連れて,上記粘土鉱物の層間が膨潤する傾向
にある。第2ゲスト分子の混合割合は,有機化された粘
土鉱物1重量部に対して,0.1重量部以上であること
が好ましい。0.1重量部未満の場合には,粘土鉱物の
層間の膨潤が不十分となるおそれがある。上記第2ゲス
ト分子は,粘土鉱物の層間に,少なくともその一部が入
り込んでいる。第2ゲスト分子のすべてが入り込んでい
る必要はない。
る。上記第2粘土複合材料は,有機オニウムイオンによ
り有機化された粘土鉱物と,第3ゲスト分子とよりな
る。
物,有機オニウムイオンは,上記粘土鉱物,有機オニウ
ムイオンとして列挙したもののいずれかを用いることが
好ましい。また,第3ゲスト分子は,主鎖及び/若しく
は側鎖に1つ又は2つ以上の極性基を有している。該極
性基としては,上記第1ゲスト分子の極性基として列挙
した基のいずれかを用いることが好ましい。第2粘土複
合材料における粘土鉱物,有機オニウムイオン,第3ゲ
スト分子の極性基は,第1粘土複合材料における粘土鉱
物,有機オニウムイオン,第1ゲスト分子の極性基と,
同種又は異種のいずれでもよい。
ウムイオンと同じかそれよりも大きい。有機オニウムイ
オンの分子長よりも小さい場合には,第3ゲスト分子
が,有機オニウムイオンが粘土界面に存在する領域より
も外側へ突出しないため,粘土鉱物が,ゴム材料中に分
散しにくくなる。
子は,例えば,直鎖状若しくは分岐状の構造のオレフィ
ン又はパラフィン,あるいは,直鎖状若しくは分岐状の
構造で且つ主鎖及び/若しくは側鎖の中に芳香環を有す
るオレフィン又はパラフィンを用いることができる。即
ち,第3ゲスト分子は,例えば,1以上の極性基を有
し,かつ,飽和若しくは不飽和の直鎖状又は分岐状の構
造を有するものである。その主鎖及び/又は側鎖に芳香
環を含むこともある。
ウリルアルコール(炭素数12),ステアリルアルコー
ル(炭素数18),ステアリン酸(炭素数18),ステ
アリルクロライド(炭素数18)等が特に好適である。
また,両末端にOH,COOH,Cl,エポキシ基等の
極性基を有するポリエチレン,ポリプロピレン,ポリイ
ソプレン,ポリブタジエン,又はこれらの水添物若しく
は共重合体でもよい。これらの第3ゲスト分子は,有機
オニウムイオンの分子長と同じかそれよりも大きくなる
ように選択して用いる。
きくなるに連れて,粘土鉱物の層間が広く拡張される傾
向にある。第3ゲスト分子の混合割合は,有機化された
粘土鉱物1重量部に対して,0.5重量部以上であるこ
とが好ましい。0.5重量部未満の場合には,粘土鉱物
の層間の膨潤が不充分となるおそれがある。
ゲスト分子は,分子量が500〜100000の非極性
のオリゴマー又はポリマーであることが好ましい。50
0未満の場合には,粘土鉱物の層間の膨潤が不十分とな
るおそれがある。一方,100000を越える場合に
は,溶媒に不溶となったり,軟化点又は融点が粘土鉱物
の分解点以上となってしまうおそれがある。第3ゲスト
分子は,有機オニウムイオンの3〜4倍程度以上の分子
長を有することが,より好ましい。
部が粘土鉱物の層間に入り込んでいる。粘土鉱物の層間
には,第3ゲスト分子のすべてが入り込む必要はない。
例えば,請求項6の発明のように,上記第2粘土複合材
料における粘土鉱物の層間には,第3ゲスト分子全量の
中の10重量%以上が入り込めば,層間は十分に膨張す
る。10重量%未満の場合には,粘土鉱物の層間に膨潤
が不十分となるおそれがある。特に,第3ゲスト分子が
分子量1000〜10000程度のポリマーの場合に
は,第3ゲスト分子全量の10重量%入り込めば,層間
の膨張は十分である。
材料は,天然ゴム,イソプレンゴム,クロロプレンゴ
ム,スチレンゴム,ニトリルゴム,エチレン−プロピレ
ンゴム,ブタジエンゴム,スチレン−ブタジエンゴム,
ブチルゴム,エピクロルヒドリンゴム,アクリルゴム,
ウレタンゴム,フッ素ゴム,及びシリコーンゴムのグル
ープから選ばれる1種又は2種以上を用いることができ
る。
る,第2ゲスト分子又は第3ゲスト分子は,ゴム材料の
分子との間に,例えば,「加硫」と呼ばれる硫黄架橋結
合,又はこれに準ずる架橋結合等を形成している。これ
に準ずる架橋結合としては,例えば,過酸化物架橋結合
を挙げることができる。
レス成形法又は押出成形法により成形される。本発明の
粘土複合ゴム材料は,通常のゴムの各種用途に利用する
ことができる。特に,ガス等に対するバリヤ性や,ゴム
材料の力学的性質の改良が要求されている場合に利用す
ると,本発明の効果を最も有効に発揮させることができ
る。
1の方法としては,例えば,請求項10の発明のよう
に,粘土鉱物を,炭素数6以上の有機オニウムイオンに
接触させることにより,上記粘土鉱物と上記有機オニウ
ムイオンとの間にイオン結合を形成して上記粘土鉱物を
有機化し,次に,分子長が上記有機オニウムイオンと同
じかそれよりも小さく,且つその分子内に極性基を有す
る第1ゲスト分子と,分子長が上記有機オニウムイオン
よりも大きく,且つその分子内に不飽和基を有してお
り,極性基を有しない第2ゲスト分子とを,上記粘土鉱
物に接触させることにより,上記第1ゲスト分子の極性
基を上記粘土鉱物に水素結合を形成させて上記粘土鉱物
の表面を疎水化すると共に,上記粘土鉱物の層間に第2
ゲスト分子の少なくとも一部を入り込ませることにより
第1粘土複合材料を得た後,該第1粘土複合材料をゴム
材料と混練すると共に,上記第2ゲスト分子の不飽和基
とゴム材料の分子との間に架橋結合を形成させる粘土複
合ゴム材料の製造方法であって,上記有機オニウムイオ
ンは不飽和基を有し,上記第1粘土複合材料をゴム材料
と混練するステップにおいて,上記有機オニウムイオン
の不飽和基と,上記第2ゲスト分子の不飽和基と,上記
ゴム材料の中の不飽和基との間に架橋結合を形成させる
ことを特徴とする粘土複合ゴム材料の製造方法がある。
とは,有機化された粘土鉱物の表面を極性基を有する第
1ゲスト分子により疎水化すること,不飽和基を有する
第2ゲスト分子を粘土鉱物の層間に入り込ませること,
及び該不飽和基とゴム材料の分子との間に架橋結合を形
成させることである。
する。上記の製造方法においては,先ず,図1に示すご
とく,粘土鉱物7に有機オニウムイオン6を結合させる
ことによって,粘土鉱物を有機化している。これによ
り,粘土鉱物7の層間に,ある程度のスペースが発生す
る。
2ゲスト分子を接触させると,上記の層間のスペース
に,第1,第2ゲスト分子1,2が入り込む。第1ゲス
ト分子1は極性基10を有する。そのため,粘土鉱物7
と水素結合して,粘土鉱物7の層間に留まり,粘土鉱物
7の層間を疎水化する。そのため,粘土鉱物7の層間に
入り込んだ,極性の低い第2ゲスト分子2は,粘土鉱物
の極性により排除されることはなく,層間に安定して留
まることができる。
有機オニウムイオン6よりも大きく,嵩高である。それ
故,第2ゲスト分子2が粘土鉱物7の層間に留まること
により,層間が無制限に膨潤した無限膨潤状態となる。
従って,上記無限膨潤状態にある第1粘土複合材料10
0をゴム材料中に混練することにより,元来極性物質で
ある粘土鉱物を,極性の低いゴム材料中に分子レベルで
均一に分散させた,粘土複合ゴム材料を得ることができ
る。
ている。不飽和基は,ゴム材料との混練の際に,ゴム材
料の分子と架橋結合する。そのため,シリケート層近傍
のゴム分子の運動が拘束され,粘土複合ゴム材料の力学
的性質に良好な影響を与える。
を有し,上記第1粘土複合材料をゴム材料と混練するス
テップにおいて,上記有機オニウムイオンの不飽和基
と,上記第2ゲスト分子の不飽和基と,上記ゴム材料の
中の不飽和基との間に架橋結合を形成させている。上記
有機オニウムイオンを使用すると,第2ゲスト分子とゴ
ム材料とを混練,架硫するときに,有機オニウムイオン
の不飽和基と第2ゲスト分子の不飽和基とゴム材料の分
子との間に架橋結合が形成される。そのため,粘土鉱物
のシリケート層とゴムの界面とが非常に強固に結合され
る。それ故,シリケート層近傍のゴム分子がさらに運動
が拘束され,力学的性質時に硬さ弾性率が向上する。
させる方法としては,例えば,イオン交換法がある。こ
のイオン交換法は,例えば,有機オニウムイオンを含む
水溶液中に粘土鉱物を浸漬した後,該粘土鉱物を水洗し
て過剰な有機オニウムイオンを除去する方法である。
のを用いることができる。上記第2ゲスト分子として
は,不飽和基を有する,液状ポリブタジエン,液状ポリ
イソプレン,液状ブチルゴム等を用いることができる。
第1,第2ゲスト分子を,有機化された粘土鉱物に接触
させるに当たっては,両者を接触させる順序は問わな
い。即ち,両者を同時に投与して接触させても良く,い
ずれか一者を接触させた後に他者を接触させても良い。
いずれの場合においても,結果的に同じ作用・効果が得
られる。
しては,例えば,請求項12の発明のように,第1,第
2ゲスト分子を溶媒に溶解した状態で,上記有機化され
た粘土鉱物に接触させる方法がある。また,請求項13
の発明のように,第1,第2ゲスト分子を熱により軟化
又は溶融した状態で,上記有機化された粘土鉱物に接触
させる方法がある。
第1,第2ゲスト分子を粘土鉱物の層間に入り込ませる
ことができる。この方法において使用し得る溶媒として
は,例えば,トルエン,ベンゼン,キシレン,ヘキサ
ン,オクタン等の極性の低い溶媒がある。一方,後者の
請求項13の方法において,第1,第2ゲスト分子を軟
化又は溶融させるためには,第1,第2ゲスト分子を軟
化温度又は溶融温度と同じか又はそれよりも高い温度に
加熱する。この加熱は,第1,第2ゲスト分子及び粘土
鉱物が分解せず,安定に存在する程度の温度において行
う。例えば,加熱温度は,250℃以下であることが好
ましい。250℃を越える場合には,有機化された粘土
鉱物が分解するおそれがある。
方法は,ゴムを混練する一般的な方法を用いることがで
きる。特に,100℃以下にしてゴムロールで混練する
方法が好ましい。100℃を越える場合には,混練中に
架橋反応が進行してしまうおそれがあるからである。
際には,両者間に「加硫」と呼ばれる硫黄架橋結合,又
はこれに準ずる架橋結合を形成させる必要がある。その
ためには,第1粘土複合材料である場合にはその第2ゲ
スト分子が,不飽和基を含んだものである必要がある。
不飽和基とは,炭素間に二重結合又は三重結合を形成し
た基をいう。上記不飽和基を有する第2ゲスト分子とし
ては,例えば,液状ポリブタジエン,液状ポリイソプレ
ン,液状ブチルゴムがある。混練の際には,例えば,硫
黄等の加硫剤,加硫促進剤,過酸化物等の架橋剤,カー
ボン等の充填剤を添加することが好ましい。
2の方法としては,例えば,請求項11の発明のよう
に,粘土鉱物を,炭素数6以上の有機オニウムイオンに
接触させることにより,上記粘土鉱物と上記有機オニウ
ムイオンとの間にイオン結合を形成して上記粘土鉱物を
有機化し,次に,上記粘土鉱物を,分子内に極性基と不
飽和基とを有し,且つ分子長が上記有機オニウムイオン
と同じかそれよりも大きい第3ゲスト分子に接触させる
ことにより,上記粘土鉱物の層間に,上記第3ゲスト分
子の少なくとも一部を入り込ませて,粘土鉱物との間に
水素結合を形成して第2粘土複合材料を得た後,該第2
粘土複合材料をゴム材料と混練すると共に,上記第3ゲ
スト分子の不飽和基とゴム材料の分子との間に架橋結合
を形成させる粘土複合ゴム材料の製造方法であって,上
記有機オニウムイオンは不飽和基を有し,上記第2粘土
複合材料をゴム材料と混練するステップにおいて,上記
有機オニウムイオンの不飽和基と,上記第3ゲスト分子
の不飽和基と,上記ゴム材料の中の不飽和基との間に架
橋結合を形成させることを特徴とする粘土複合ゴム材料
の製造方法がある。
とは,有機化された粘土鉱物の層間に,極性基と不飽和
基とを有する第3ゲスト分子を入り込ませること,該不
飽和基とゴム材料の分子との間に架橋結合を形成させる
ことである。
る点が,第1,第2ゲスト分子を用いている上述の第1
の方法と異なる。第3ゲスト分子は,極性基と不飽和基
とを有しており,その分子長は有機オニウムイオンと同
じか又はそれよりも長い。かかる第3ゲスト分子として
は,例えば,両末端に−OH基を有するポリブタジエ
ン,両末端に−OH基を有するポリイソプレン等を用い
ることができる。その他は,上記第1の方法と同様であ
る。
する。上記の方法においては,まず,図2に示すごと
く,粘土鉱物7に有機オニウムイオン6を結合させるこ
とにより,粘土鉱物7の層間にある程度のスペースが発
生する。次に,有機化された上記粘土鉱物7に,極性基
30を有する第3ゲスト分子3を接触させる。すると,
第3ゲスト分子3は,粘土鉱物7の層間のスペースに入
り込み,その極性基30によって粘土鉱物7のシリケー
ト層と水素結合する。これにより,第3ゲスト分子3
は,粘土鉱物7の表面の極性によって排除されることな
く,層間に留まる。このため,上記の第1の方法と同様
に,粘土鉱物7の層間は,更に膨潤して,無限膨潤状態
となる。従って,この無限膨潤状態にある第2粘土複合
材料200をゴム材料中に混練することにより,元来極
性物質である粘土鉱物を,ゴム材料中で分子レベルで均
一に分散させることができる。
ている。そのため,この不飽和基がゴム材料の分子と架
橋結合することによって,上記と同様に,粘土複合ゴム
材料の力学的性質に良好な影響を与える。
を有し,上記第2粘土複合材料をゴム材料と混練するス
テップにおいて,上記有機オニウムイオンの不飽和基
と,上記第3ゲスト分子の不飽和基と,上記ゴム材料の
不飽和基との間に架橋結合を形成させている。有機オニ
ウムイオンを使用すると,有機オニウムイオンの不飽和
基と第3ゲスト分子とゴム材料の分子との間に架橋結合
を形成し,上記と同様に,粘土複合ゴム材料の力学的性
質に良好な影響を与える。
複合材料の両方を,ゴム材料に混練して第2,第3ゲス
ト分子とゴム材料の分子との間に架橋結合を形成させる
こともできる。この場合にも,上記と同様の効果を得る
ことができる。
子を有機化された粘土鉱物に接触させる方法としては,
請求項12の発明のように,上記第3ゲスト分子を溶媒
に溶解した状態で有機化された粘土鉱物に接触させる方
法がある。また,請求項13の発明のように,第3ゲス
ト分子を熱により軟化又は溶融した状態で,上記有機化
された粘土鉱物に接触させる方法がある。
せて,シートを成形し,その力学的性質を評価した。ま
ず,各種粘土複合ゴム材料の調製方法について説明す
る。
ナトリウム型モンモリロナイト(山形県産,イオン交換
容量120meq/100g)を用いた。有機オニウム
イオンとしては,不飽和基を分子内に持つオレイルアン
モニウムイオンを用いた。第3ゲスト分子としては水酸
基を持つポリイソプレン(クラレ製:LIR506)を
用いた。ゴム材料は,ブチルゴム(日本合成ゴムBut
yl268)を用いた。
て説明する。まず,モンモリロナイト20.0gを80
℃の水2000mlに分散させた。次に,オレイルアミ
ンの塩酸塩8.8gを80℃の水1500mlに溶解し
た。この両方の水溶液を一気に混合した。その沈澱物を
80℃の水で2回洗浄し,オレイルアンモニウムイオン
で有機化したモンモリロナイトを得た。これを,OL−
モンモリロナイトという。灼残法により求めたOL−モ
ンモリロナイト中の無機含量は,69.4重量%であっ
た。X線回折法により,モンモリロナイトの層間距離を
測定したところ,OL−モンモリロナイトの層間距離
は,22.5Åであった。
−モンモリロナイトをそれぞれ70,140,210g
混合し,80℃で4時間混合し,3種の第2粘土複合材
料を得た。X線回折法により粘土複合材料におけるモン
モリロナイトの層間距離を測定したところ,70.0Å
であった。ここへ,硫黄3.0g,亜鉛華5.0g,ス
テアリン酸3.0g,加硫促進剤(大内新興化学工業
(株)製ノクセラーMSA−G)1.5gを添加して混
練した。
ゴム及びカーボンを混練して,粘土複合ゴム材料を調製
した(試料4〜6)。
2粘土複合材料を添加しないで,ゴム材料とカーボンと
からなる材料を調製し,これらを試料1〜3とした。
26,参考用の試料15〜17,19,20)比較,参
考のために,分子内に不飽和基を持たない有機オニウム
イオンを用いて粘土複合ゴム材料を調製した。本例で
は,表2に示すごとく,第2粘土複合材料を用いた。第
2粘土複合材料は,分子内に不飽和基を持たない有機オ
ニウムイオンを用いて有機化された粘土鉱物と第3ゲス
ト分子とよりなる。上記有機オニウムイオンとしては,
炭素数38のジステアリルジメチルアンモニウムイオン
(以下,DSDMという。)を用いた。粘土鉱物として
はモンモリロナイトを用いた。これにより有機化された
粘土鉱物としては,DSDM−モンモリロナイト(DS
DM−Mtと表示する。)を用いた。DSDM−モンモ
リロナイトにおいて,DSDMとモンモリロナイトとの
重量比は,常に同じとした。第3ゲスト分子としては,
両末端に−OH基を有する液状ポリブタジエン(日本曹
達(株) 商品名G2000)(液状ゴムと表示す
る。)を用いた。ゴム材料としては,ブチルゴム(日本
合成ゴムButyl 268)を用いた。これらを表2
に示す種々の配合比で用いて上記試料4〜6と同様に粘
土複合ゴム材料を調製した。これらを比較用の試料11
〜14,18,21〜26,参考用の試料15〜17,
19,20とした。
されていない粘土鉱物として,未処理モンモリロナイト
(Na−Mtと表示する。)を用いた例である。また,
試料11〜14,18,21〜26は,DSDM−Mt
未添加でシートを成形した例である。試料15〜17,
19,20は,不飽和基を有しないDSDMで有機化さ
れたモンモリロナイト及び液状ゴムをゴム材料に添加し
た例であり,この内,試料15〜17は更にカーボンを
添加した場合,試料19,20はカーボンを添加しなか
った場合である。
1〜26の粘土複合ゴム材料の貯蔵弾性率,引張り強
さ,伸び,引張り応力及びガス遮断性能を測定した。以
下,測定方法を説明する。 貯蔵弾性率;粘弾性スペクトロメータにより測定した。 引張り強さ;粘土複合ゴム材料を均一に混練し,150
℃,40分間加硫し厚み2mmのシートを成形し,ダン
ベル3号の試験片を切出し,これを引張り試験で引張り
強さを測定した。 引張り応力;引張り強さと同様に引張り試験により測定
した。 ガス遮断性能;粘土複合ゴム材料を均一に混練し,15
0℃,40分間加硫し厚み0.5mmのシートを成形
し,窒素でのガス透過性を測定した。
中,OL−モンモリロナイトの組成比の数値欄中,
( )内の数値はモンモリロナイトの重量比を,( )
左隣の数値はOL−モンモリロナイトの重量比を,それ
ぞれ重量部にて示すものである。表1,表2の数値欄
中,「−」,「×」は,測定不能であることを示す。
た試料4〜6と,OL−モンモリロナイトを用いていな
い試料2とを比較すると,試料4〜6の方が,優れた力
学的特性が得られることがわかる。また,本例の試料4
〜6は,試料15〜17と比較して,貯蔵弾性率,引張
り強さ,伸び及び引張り応力が高かった。また,ガス遮
断性能も高かった。
ち,第3ゲスト分子であるポリイソプレン,及び有機オ
ニウムイオンであるオレイルアンモニウムイオンは,い
ずれも分子内に不飽和基を持つ。そのため,両者を混
練,加硫するときに,同時に有機オニウムイオンにも架
橋結合が形成される。それ故,モンモリロナイトのシリ
ケート層とブチルゴムとの界面が非常に強固に結合され
る。故に,シリケート層近傍のゴム分子の運動が拘束さ
れ,力学的性質,特に硬さや弾性率が向上すると考えら
れる。
ナイトの有機化の有無について考察する。有機化された
モンモリロナイト(DSDM−Mt)を用いた試料19
と,有機化されていないモンモリロナイト(Na−M
t)を用いた試料22とを比較すると,試料19の方
が,貯蔵弾性率及びガス遮断性に優れていた。このこと
から,モンモリロナイトを有機化した方が優れた力学的
特性が得られることがわかる。
ると,モンモリロナイトの層間に液状ブチルゴムが入り
込み,層間が膨潤して,モンモリロナイトがゴム材料中
において分子レベルで均一に分散する。これにより,モ
ンモリロナイトがゴム材料の分子運動を拘束して,粘土
複合ゴム材料の貯蔵弾性率及びガス遮断性等の力学的特
性に良影響を与えることとなったものと考えられる。
合には,その層間に液状ブチルゴムが入り込むことがで
きず,層間は膨潤しない。そのため,モンモリロナイト
がゴム材料中に均一に分散しない。そのため,ゴム材料
の分子運動は拘束を受けにくい状態となる。このため,
粘土複合ゴム材料の力学的特性は改良されなかったもの
と考えられる。
いて考察する。試料15,16,17より,モンモリロ
ナイト含量を5,10,15重量部と増加させると,貯
蔵弾性率が著しく向上することがわかる。その理由は,
有機化されたモンモリロナイトの層間に液状ブチルゴム
が多く入り込むほど,層間が大きく膨潤して,モンモリ
ロナイトがゴム材料の中に均一に分散しやすい状態とな
る。そして,モンモリロナイトが均一に分散することに
よって,貯蔵弾性率が高くなったものと考えられる。ま
た,試料19,20はいずれもカーボンが0であるが,
この場合にも,モンモリロナイトの含量が高い試料20
の方が貯蔵弾性率が向上した。
察する。試料11は,カーボン量が多くモンモリロナイ
トが0である。一方,試料19,20は,カーボン量が
少なくモンモリロナイト量が多い。これらを比較する
と,モンモリロナイトの多い試料19,20のガス透過
性が60〜70%低減した。このことから,モンモリロ
ナイトの含量が多いほど,ガス遮断性が高くなることが
わかる。
て調製した粘土複合ゴム材料である。本例の粘土複合ゴ
ム材料は,第1粘土複合材料とゴム材料とが混練され,
かつ,上記第1粘土複合材料中の第2ゲスト分子が,ゴ
ム材料の分子と架橋結合をしている。
炭素数6以上の有機オニウムイオン6で有機化された粘
土鉱物7と,分子長が上記有機オニウムイオンと同じか
それよりも小さく,且つその分子内の極性基10が粘土
鉱物7と水素結合している第1ゲスト分子1と,分子長
が上記有機オニウムイオンよりも大きく,且つその分子
内に極性基を有しない第2ゲスト分子2とよりなる。第
1ゲスト分子1及び第2ゲスト分子2は,少なくともそ
の一部が粘土鉱物7の層間に入り込んでいる。
ト(山形県産,イオン交換容量120meq/100
g)である。有機オニウムイオンは,ジステアリルジメ
チルアンモニウムイオン(DSDM)であり,その炭素
数は38である。第1ゲスト分子はステアリン酸であ
り,その炭素数は18である。第2ゲスト分子は,液状
ブチルゴム(ハードマン社製,商品名カレン800)で
あり,その分子量は約5000である。
ついて説明する。まず,モンモリロナイト20.0gを
80℃の水2000mlに分散させた。次に,ジステア
リルジメチルアンモニウムクロライド21.0gを80
℃の水1500mlに溶解した。上記の分散液と溶解液
とを一気に混合した。その沈澱物を80℃の水で2回洗
浄して,DSDMで有機化されたモンモリロナイトを得
た。これを,以下,DSDM−モンモリロナイトとい
う。
ナイト中の無機含量は,54.2重量%であった。X線
回折法により,DSDM−モンモリロナイトの層間距離
を測定して,膨潤挙動を観察した。DSDM−モンモリ
ロナイトの層間距離は,32.8Åであった。
に,上記DSDM−モンモリロナイト1.0g,ステア
リン酸0.5g,及び液状ブチルゴム(ハードマン社
製,商品名カレン800)1.0gを添加し,6時間混
合した。次に,減圧下においてトルエンを蒸発させた。
これにより,第1粘土複合材料を得た。
ンモリロナイトの層間距離を測定したところ,54.8
Åであった。このことから,ステアリン酸と液状ブチル
ゴムとを添加することにより,無添加の場合に比べて,
モンモリロナイトの層間距離が拡大し,膨潤することが
わかる。
を,ASTM D 3182に準拠し,ロールで混練し
た。上記ゴム材料は,ブチルゴム(日本合成ゴムBut
yl268)を用いた。粘土複合ゴム材料の配合割合
は,ゴム材料100重量部に対し,第1粘土複合材料2
0重量部(内,粘土鉱物5重量部),カーボン(旭カー
ボン#70)20重量部,亜鉛華1重量部,イオウ1.
75重量部,加硫促進剤1重量部である。
分間加硫で厚み2mmのシートを成形した。シートから
ダンベル3号の試験片を切りだし,引っ張り試験を行っ
た。その結果,18.0MPaの引っ張り強さであっ
た。また,厚み0.5mmのシートも同様に成形し,窒
素でのガス透過性を評価した。その結果,ガス透過率係
数は1.9×10-11 cm3 ・cm・cm-2・sec-1
・cmHg-1であった。
低いゴムポリマー中における粘土鉱物の分散性が高く,
且つ力学的特性に優れた,粘土複合ゴム材料及びその製
造方法を提供することができる。
Claims (13)
- 【請求項1】 炭素数6以上の有機オニウムイオンがイ
オン結合することにより有機化された粘土鉱物と,分子
長が上記有機オニウムイオンと同じかそれよりも小さ
く,且つその分子内の極性基が上記粘土鉱物と水素結合
している第1ゲスト分子と,分子長が上記有機オニウム
イオンよりも大きく,且つその分子内に極性基を有しな
い第2ゲスト分子とよりなり,上記第1ゲスト分子及び
第2ゲスト分子は,少なくともその一部が上記粘土鉱物
の層間に入り込んでいる第1粘土複合材料及び/又は,
炭素数6以上の有機オニウムイオンがイオン結合するこ
とにより有機化された粘土鉱物と,分子内に極性基を有
し,且つ分子長が上記有機オニウムイオンと同じかそれ
よりも大きい第3ゲスト分子とからなり,上記第3ゲス
ト分子は少なくともその一部が粘土鉱物の層間に入り込
んでおり,上記第3ゲスト分子の極性基は粘土鉱物と水
素結合を形成している第2粘土複合材料と,ゴム材料と
が混練され,且つ上記第2ゲスト分子又は第3ゲスト分
子の少なくとも一方が,上記ゴム材料の分子と架橋結合
しており,上記第1粘土複合材料又は第2粘土複合材料
の少なくとも一方の中の有機オニウムイオンは,上記第
2ゲスト分子又は上記第3ゲスト分子の少なくとも一方
と,上記ゴム材料の分子との間に架橋結合を形成してい
ることを特徴とする粘土複合ゴム材料。 - 【請求項2】 請求項1において,上記第1ゲスト分子
及び/又は第3ゲスト分子の極性基は,水酸基,ハロゲ
ン基,カルボキシル基,無水カルボン酸基,チオール
基,エポキシ基,及びアミノ基のグループから選ばれる
1種又は2種以上であることを特徴とする粘土複合ゴム
材料。 - 【請求項3】 請求項1又は2において,上記第2ゲス
ト分子は,分子量が1000〜500000の非極性の
オリゴマー又はポリマーであることを特徴とする粘土複
合ゴム材料。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一項において,
上記第3ゲスト分子は,分子量が500〜100000
の非極性のオリゴマー又はポリマーであることを特徴と
する粘土複合ゴム材料。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか一項において,
上記第1粘土複合材料における粘土鉱物の層間には,上
記第1ゲスト分子全量の中の10重量%以上が入り込ん
でいることを特徴とする粘土複合ゴム材料。 - 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか一項において,
上記第2粘土複合材料における粘土鉱物の層間には,上
記第3ゲスト分子全量の中の10重量%以上が入り込ん
でいることを特徴とする粘土複合ゴム材料。 - 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか一項において,
上記ゴム材料は,天然ゴム,イソプレンゴム,クロロプ
レンゴム,スチレンゴム,ニトリルゴム,エチレン−プ
ロピレンゴム,ブタジエンゴム,スチレン−ブタジエン
ゴム,ブチルゴム,エピクロルヒドリンゴム,アクリル
ゴム,ウレタンゴム,フッ素ゴム,及びシリコーンゴム
のグループから選ばれる1種又は2種以上であることを
特徴とする粘土複合ゴム材料。 - 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項において,
上記第1ゲスト分子は,直鎖状若しくは分岐状の構造の
オレフィン又はパラフィン,または,直鎖状若しくは分
岐状の構造で且つ主鎖及び/若しくは側鎖の中に芳香環
を有するオレフィン又はパラフィンであることを特徴と
する粘土複合ゴム材料。 - 【請求項9】 請求項1〜8のいずれか1項において,
上記第3ゲスト分子は,直鎖状若しくは分岐状の構造の
オレフィン又はパラフィン,または,直鎖状若しくは分
岐状の構造で且つ主鎖及び/若しくは側鎖の中に芳香環
を有するオレフィン又はパラフィンであることを特徴と
する粘土複合ゴム材料。 - 【請求項10】 粘土鉱物を,炭素数6以上の有機オニ
ウムイオンに接触させることにより,上記粘土鉱物と上
記有機オニウムイオンとの間にイオン結合を形成して上
記粘土鉱物を有機化し,次に,分子長が上記有機オニウ
ムイオンと同じかそれよりも小さく,且つその分子内に
極性基を有する第1ゲスト分子と,分子長が上記有機オ
ニウムイオンよりも大きく,且つその分子内に不飽和基
を有しており,極性基を有しない第2ゲスト分子とを,
上記粘土鉱物に接触させることにより,上記第1ゲスト
分子の極性基を上記粘土鉱物に水素結合を形成させて上
記粘土鉱物の表面を疎水化すると共に,上記粘土鉱物の
層間に第2ゲスト分子の少なくとも一部を入り込ませる
ことにより第1粘土複合材料を得た後,該第1粘土複合
材料をゴム材料と混練すると共に,上記第2ゲスト分子
の不飽和基とゴム材料の分子との間に架橋結合を形成さ
せる粘土複合ゴム材料の製造方法であって,上記有機オ
ニウムイオンは不飽和基を有し,上記第1粘土複合材料
をゴム材料と混練するステップにおいて,上記有機オニ
ウムイオンの不飽和基と,上記第2ゲスト分子の不飽和
基と,上記ゴム材料の中の不飽和基との間に架橋結合を
形成させることを特徴とする粘土複合ゴム材料の製造方
法。 - 【請求項11】 粘土鉱物を,炭素数6以上の有機オニ
ウムイオンに接触させることにより,上記粘土鉱物と上
記有機オニウムイオンとの間にイオン結合を形成して上
記粘土鉱物を有機化し,次に,上記粘土鉱物を,分子内
に極性基と不飽和基とを有し,且つ分子長が上記有機オ
ニウムイオンと同じかそれよりも大きい第3ゲスト分子
に接触させることにより,上記粘土鉱物の層間に,上記
第3ゲスト分子の少なくとも一部を入り込ませて,粘土
鉱物との間に水素結合を形成して第2粘土複合材料を得
た後,該第2粘土複合材料をゴム材料と混練すると共
に,上記第3ゲスト分子の不飽和基とゴム材料の分子と
の間に架橋結合を形成させる粘土複合ゴム材料の製造方
法であって,上記有機オニウムイオンは不飽和基を有
し,上記第2粘土複合材料をゴム材料と混練するステッ
プにおいて,上記有機オニウムイオンの不飽和基と,上
記第3ゲスト分子の不飽和基と,上記ゴム材料の中の不
飽和基との間に架橋結合を形成させることを特徴とする
粘土複合ゴム材料の製造方法。 - 【請求項12】 請求項10又は11において,上記第
1ゲスト分子及び/若しくは第2ゲスト分子,又は第3
ゲスト分子は,溶媒に溶解した状態で,上記有機化され
た粘土鉱物に接触させることを特徴とする粘土複合ゴム
材料の製造方法。 - 【請求項13】 請求項10〜12のいずれか一項にお
いて,上記第1ゲスト分子及び/若しくは第2ゲスト分
子,又は第3ゲスト分子は,熱により軟化又は溶融した
状態で,上記有機化された粘土鉱物に接触させることを
特徴とする粘土複合ゴム材料の製造方法。
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Cited By (2)
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JP2005075975A (ja) * | 2003-09-02 | 2005-03-24 | Yokohama Rubber Co Ltd:The | 有機化層状粘土鉱物及びそれを含むゴム組成物 |
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-
1999
- 1999-04-23 JP JP11658899A patent/JP3847484B2/ja not_active Expired - Fee Related
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