JPH11317327A - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents
固体電解コンデンサの製造方法Info
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- JPH11317327A JPH11317327A JP10124363A JP12436398A JPH11317327A JP H11317327 A JPH11317327 A JP H11317327A JP 10124363 A JP10124363 A JP 10124363A JP 12436398 A JP12436398 A JP 12436398A JP H11317327 A JPH11317327 A JP H11317327A
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Abstract
な静電容量を保持すると共に等価直列抵抗(ESR)を
低く維持可能な、バラツキの小さい固体電解コンデンサ
を製造する。 【解決手段】 化成、コンデンサ素子形成に続いて、コ
ンデンサ素子に対して含浸し得る液体の最大容量の75
〜85%の範囲内の含浸量で、EDTと酸化剤をコンデ
ンサ素子に含浸する。この含浸は、EDTと酸化剤の混
合溶液(重合液)を注入することによって行う。あるい
はまた、コンデンサ素子に対してEDTと酸化剤溶液を
交互に注入するか、酸化剤溶液とEDTを交互に注入す
ることによって行う。注入は、コンデンサ素子に対して
シリンジから液体を吐出する方法で行う。含浸後、重合
反応させ、PEDTからなる固体電解質層を生成する。
続いて、コンデンサ素子を外装ケースへ挿入し、樹脂封
止した後、エージングを行う。
Description
サの製造方法に係り、特に、導電性高分子からなる固体
電解質層の形成を改善した方法に関する。
ウム等の弁作用金属からなるとともに微細孔やエッチン
グピットを備えた陽極電極の表面に、誘電体となる酸化
皮膜層を形成し、この酸化皮膜層から電極を引き出して
構成されている。
は、導電性を有する電解質層により行っている。したが
って、電解コンデンサにおいては電解質層が真の陰極を
担うことになる。例えば、アルミニウム電解コンデンサ
では、液状の電解質を真の電極として用い、陰極電極は
この液状電解質と外部端子との電気的な接続を担ってい
るにすぎない。
層には、酸化皮膜層との密着性、緻密性、均一性などが
求められる。特に、陽極電極の微細孔やエッチングピッ
トの内部における密着性が電気的な特性に大きな影響を
及ぼしており、従来数々の電解質層が提案されている。
ために高周波領域でのインピーダンス特性に欠ける液状
の電解質の代わりに導電性を有する固体の電解質を用い
るもので、なかでも二酸化マンガンや7,7,8,8−
テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体が知られて
いる。その一方で、各種の導電性高分子についての検討
が重ねられており、反応速度が緩やかで、かつ陽極電極
の酸化皮膜層との密着性に優れたポリエチレンジオキシ
チオフェン(PEDT)に着目した技術(特開平2−1
5611号公報)が存在している。
Tからなる固体電解質層を形成するタイプの固体電解コ
ンデンサは、図6に示すように、化成→コンデンサ素子
形成→浸漬法によるEDTと酸化剤の含浸→重合→外装
ケースへの挿入→樹脂封止→エージングという製造工程
によって作製される。以下には、この製造工程につい
て、図7および図8を参照して簡単に説明する。
の弁作用金属からなる陽極箔1の表面を塩化物水溶液中
での電気化学的なエッチング処理により粗面化して、多
数のエッチングピット8を形成した後、ホウ酸アンモニ
ウム等の水溶液中で電圧を印加して誘電体となる酸化皮
膜層4を形成する(化成)。陽極箔1と同様に、図7に
示すような陰極箔2も、アルミニウム等の弁作用金属か
らなるが、その表面にはエッチング処理を施すのみであ
る。また、図7に示すように、陽極箔1および陰極箔2
には、それぞれの電極を外部に接続するためのリード線
6、7を、ステッチ、超音波溶接等の公知の手段により
接続する。なお、6a,7aは、リード線6,7の丸棒
部である。
4が形成された陽極箔1とエッチングピット8のみが形
成された陰極箔2とを、図7に示すようにセパレータ3
を介して巻回して、コンデンサ素子10を形成する。そ
して、このコンデンサ素子10を3,4−エチレンジオ
キシチオフェン(EDT)と酸化剤の混合溶液(重合
液)に浸漬することにより、この重合液をコンデンサ素
子10に含浸する。あるいはまた、コンデンサ素子10
をEDTと酸化剤溶液に交互に浸漬して含浸する。いず
れの場合でも、コンデンサ素子10にEDTと酸化剤を
含浸した後、重合反応させ、図8に示すようなポリエチ
レンジオキシチオフェン(PEDT)からなる固体電解
質層5を生成する。
い外装ケースに挿入する。続いて、外装ケース内にエポ
キシ樹脂等の熱硬化性樹脂を付着して熱硬化させること
によって、コンデンサ素子10の外周に外装樹脂を被覆
し(樹脂封止)、固体電解コンデンサを完成する。な
お、このように樹脂封止を行うと、酸化皮膜層4が損傷
して漏れ電流特性が低下するため、樹脂封止後に、コン
デンサ定格電圧に応じた電圧を印加して高温のエージン
グを行うことにより酸化皮膜層4を修復し、特性の向上
を計っている。
ような従来の方法によって作製された固体電解コンデン
サにおいては、次のような問題点がある。 ショートが発生する。 静電容量が小さく、等価直列抵抗(ESR)が高く、
バラツキも大きい。
を解決するために提案されたものであり、その目的は、
ショートの発生を防止可能で、しかも、十分な静電容量
を保持すると共に等価直列抵抗(ESR)を低く維持可
能な、バラツキの小さい固体電解コンデンサを製造可能
な優れた方法を提供することである。
めに、本発明は、コンデンサ素子に対する3,4−エチ
レンジオキシチオフェン(EDT)と酸化剤の含浸量
を、コンデンサ素子に含浸し得る液体の最大容量の75
〜85%の範囲内に限定することを特徴としている。こ
の構成により、コンデンサ素子内部にポリエチレンジオ
キシチオフェン(PEDT)が良好に形成されるため、
十分な静電容量を保持できると共に、等価直列抵抗(E
SR)を低く維持できる。
定は、本発明者が、前述した従来方法によるコンデンサ
の製造段階においてコンデンサ素子の状態の詳細な観察
と電気特性の測定とを重ねることにより、ショートの発
生や電気特性の低下の原因がPEDTの形成不良にある
ものと推測し、この不良の分析と状態改善のために検討
した結果、導き出されたものである。この一連の研究内
容については、後で説明する。
EDTと酸化剤を含浸する際には、EDTと酸化剤の混
合溶液を含浸することができる。また、EDTを含浸し
た後に酸化剤溶液を含浸することもできるし、酸化剤溶
液を含浸した後にEDTを含浸することもできる。ここ
で、コンデンサ素子に含浸し得る液体の最大容量をA、
前者の含浸法の混合溶液中におけるEDTの含有率をB
とした場合に、後者の含浸法におけるEDTの含浸量
は、A×Bの75〜85%の範囲内であり、酸化剤溶液
の含浸量は、A×(1−B)の75〜85%の範囲内で
ある。
剤の含浸に際して、含浸液中にコンデンサ素子を浸漬す
る浸漬法を採用することも可能であるが、コンデンサ素
子に対して含浸液を注入する注入法を採用することがよ
り望ましい。すなわち、注入法を採用した場合の方が、
第1に、含浸する液量の管理が容易であり、第2に、原
料効率が低下することがない。第3に、酸化剤溶液の特
性の変化がないので、安定した特性を得ることができ
る。また、ショートの発生もない。
コンデンサの製造方法の実施の形態について、図面を参
照して具体的に説明する。本実施の形態において、固体
電解コンデンサは、図1に示すように、化成→コンデン
サ素子形成→注入法によるEDTと酸化剤の含浸→重合
→外装ケースへの挿入→樹脂封止→エージングという製
造工程によって作製される。以下には、この製造工程に
ついて、図7および図8を参照して簡単に説明する。
施の形態において、化成からコンデンサ素子形成に至る
までの手順は、前述した従来技術の手順と同様である。
すなわち、図8に示すように、陽極箔1を粗面化してそ
の表面に酸化皮膜層4を形成する(化成)と共に、陰極
箔2を粗面化し、これらの陽極箔1と陰極箔2をセパレ
ータ3を介して巻回して、コンデンサ素子10を形成す
る。
浸し得る液体の最大容量の75〜85%の範囲内の含浸
量で、3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDT)
と酸化剤をコンデンサ素子10に含浸する。この含浸
は、コンデンサ素子10に対してEDTと酸化剤の混合
溶液(重合液)を注入することによって行う。あるいは
また、コンデンサ素子10に対してEDTと酸化剤溶液
を交互に注入するか、酸化剤溶液とEDTを交互に注入
することによって行う。いずれの場合でも、注入は、コ
ンデンサ素子10に対してシリンジから液体を吐出する
方法で行う。
DTと酸化剤を含浸した後、重合反応させ、図8に示す
ようなポリエチレンジオキシチオフェン(PEDT)か
らなる固体電解質層5を生成する。
解質層5を形成した後の手順は、前述した従来技術の手
順と同様である。すなわち、固体電解質層5を形成した
コンデンサ素子1を、図示していない外装ケースに挿入
し、この外装ケース内にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂
を付着して熱硬化させることによって、コンデンサ素子
10の外周に外装樹脂を被覆し(樹脂封止)、固体電解
コンデンサを完成する。そして、この後に、コンデンサ
定格電圧に応じた電圧を印加して高温のエージングを行
うことにより、樹脂封止に起因して損傷した酸化皮膜層
4を修復する。
ンデンサ素子内部に十分な量のPEDTが良好に形成さ
れるため、十分な静電容量を保持できると共に、等価直
列抵抗(ESR)を低く維持できる。すなわち、前述し
たように、本発明は、前述した従来方法によるコンデン
サの製造段階においてコンデンサ素子の状態の詳細な観
察と電気特性の測定とを重ねることにより、ショートの
発生や電気特性の低下の原因がPEDTの形成不良にあ
るものと推測し、この不良の分析と状態改善のために検
討した結果、導き出されたものである。以下には、この
一連の研究内容について説明する。
間の接合にあることの判明 まず、前述した従来方法でコンデンサを作製する場合に
おいて、ショートの原因を検討したところ、次のことが
判明した。すなわち、コンデンサ素子をEDTもしくは
酸化剤溶液に浸漬した際には、リード線6,7の丸棒部
6a,7aの表面にEDTおよび酸化剤溶液が表面張力
によって這い上がって付着し、重合後に、両側の丸棒部
6a,7aの表面に生成されたPEDTが接合している
ことが判明した。このことから、PEDTによる両側の
丸棒部6a,7a間の接合がショートの原因であるもの
との推測を導き出した。
以外にあることの判明 さらに、以上のように丸棒部6a,7aの表面に形成さ
れたPEDTを除去し、この状態でコンデンサ素子の電
気特性を測定したところ、静電容量が小さく、等価直列
抵抗(ESR)が高く、かつ、バラツキが大きいという
結果を得た。
場合に特性が低いことの判明 そのため、コンデンサ素子をより詳細に観察したとこ
ろ、重合後のPEDTがコンデンサ素子の両端面にはみ
出すように形成されているものが多く、このようにPE
DTがはみ出した状態で形成されたコンデンサ素子は、
静電容量が小さく、等価直列抵抗(ESR)が高いもの
が多いことが判明した。
形成不良であるとの推測 そこで、このような観察結果について、次のような推測
を導き出した。すなわち、重合反応後に形成されるPE
DTが、何らかの理由によってコンデンサ素子外部に押
し出され、内部に形成されたPEDTの量が減少し、そ
の結果、静電容量は低下し、等価直列抵抗(ESR)が
上昇するものとの推測である。
を考察した。すなわち、含浸後に溶媒を揮発させる際
に、コンデンサ素子内部から表面に移動する溶媒がコン
デンサ素子内部のEDTもしくは酸化剤をコンデンサ素
子外表面まで押し出す結果、コンデンサ素子内部のED
Tもしくは酸化剤が減少するというものである。そのた
め、重合後にコンデンサ素子の外表面にPEDTが形成
され、コンデンサ素子内部のPEDTの量は少なくな
る。
PEDTの形成不良を防止できることの判明 そこで、以上のようなPEDTの形成不良の発生を防止
して、ショートの発生や特性低下を解消するために検討
を重ねたところ、含浸するEDTと酸化剤溶液の量を低
減することによって、PEDTの形成不良を防止できる
ことが判明した。
良を防止できる理由の考察 以上のように、EDTと酸化剤の含浸量の低減によって
PEDTの形成不良を防止できる理由について、次のよ
うに考察した。
ると、PEDTが丸棒部に這い上がることがないため、
ショートの発生を防止できる。
の量も少なくなり、乾燥、揮発する溶媒の量も減少する
ので、溶媒が揮発する際にコンデンサ素子の外表面に押
し出されるEDTもしくは酸化剤の量も少なくなる。し
たがって、コンデンサ素子内部で形成されるPEDTの
量が減少することはないため、静電容量が低下すること
もなく、等価直列抵抗(ESR)が上昇することもな
い。
が、この際にも本発明の構成によって、コンデンサの特
性が向上する。すなわち、加熱した時、熱はコンデンサ
素子の外部から与えられることになり、コンデンサ素子
の表面近傍から重合が進行してPEDTが形成する。こ
の際に形成した多孔質固体状のPEDTへ、内部のED
Tもしくは酸化剤溶液が移動して、コンデンサ素子内部
のEDTもしくは酸化剤溶液が減少し、結果として、内
部に生成するPEDTが減少して、コンデンサの特性が
劣化する。ところが、EDTと酸化剤の含浸量が少ない
と、外部からの熱がコンデンサ素子内部にまで速やかに
伝導して、内部に十分な量のPEDTが生成し、特性が
劣化することがない。
浸量の場合に優れた特性が得られることの判明 さらに、EDTと酸化剤の含浸量を詳細に検討した結
果、コンデンサ素子に対するEDTと酸化剤の含浸量を
コンデンサ素子に含浸し得る液体の最大容量の75〜8
5%の範囲内とした場合には、コンデンサ素子内部に十
分な量のPEDTを良好に形成して、十分な静電容量を
安定的に保持できると共に、等価直列抵抗(ESR)を
低く維持できることが判明した。
%以下の場合には、で述べたように、溶媒の量が少な
いため、溶媒の揮発によってコンデンサ素子の表面近傍
部分に押し出される量も少なくなる。したがって、コン
デンサ素子内部に十分な量のPEDTが良好に形成され
るため、十分な静電容量を保持できると共に、等価直列
抵抗(ESR)を低く維持できる。また、重合反応中に
加熱する場合も、外部からの熱がコンデンサ素子内部に
まで速やかに伝導して、同様に内部に十分な量のPED
Tが形成されて、良好なコンデンサ特性を得ることがで
きる。
75%に満たない場合には、含浸量が少なすぎて十分な
PEDTを形成することができなくなるため、静電容量
は低下し、等価直列抵抗(ESR)が高くなってしま
う。
剤を含浸する際の含浸法を検討したところ、EDTと酸
化剤の混合溶液を含浸することもできるし、EDTと酸
化剤を個別に順次含浸する(EDTを含浸した後に酸化
剤溶液を含浸するか、あるいは、酸化剤溶液を含浸した
後にEDTを含浸する)こともできることが判明した。
の最大容量をA、前者の含浸法の混合溶液中におけるE
DTの含有率をBとした場合に、後者の含浸法における
EDTの含浸量は、A×Bの75〜85%の範囲内であ
り、酸化剤溶液の含浸量は、A×(1−B)の75〜8
5%の範囲内である。ここで、EDTの含有率Bの許容
可能な範囲は、5〜35wt%であり、酸化剤溶液の含
有率(1−B)の許容可能な範囲は、65〜95wt%
である。
る浸漬法を採用することも可能であるが、コンデンサ素
子に対して液体を注入する注入法を採用することがより
望ましいことも判明した。すなわち、注入法を採用した
場合、以下のような利点がある。
の液をコンデンサ素子に含浸させるので、浸漬法によっ
てコンデンサ素子に表面張力によって含浸させるのに比
べて、含浸する液量の管理が容易である。また、浸漬法
によると、場合によっては、リード線の丸棒部の表面
に、EDTならびに酸化剤溶液が表面張力によって這い
上がって付着し、重合後に生成したPEDTが両側の丸
棒部を接合し、ショートの原因となる。
する。すなわち、EDTと酸化剤溶液の混合溶液に浸漬
する場合、この溶液中のEDTの酸化剤による重合が進
んでPEDTが生成し、このPEDTは最終的に廃棄す
ることになる。また、EDTに浸漬し、次いで酸化剤溶
液に浸漬する場合、EDTを含浸した際にコンデンサ素
子に付着するEDTの幾分かが、酸化剤溶液に含浸した
時に、酸化剤溶液に溶解する。そして、この溶解したE
DTは酸化剤溶液と反応してPEDTとなり、このPE
DTも廃棄することになる。酸化剤溶液に浸漬した後
に、EDTに浸漬する場合も、同様に、廃棄しなければ
ならないPEDTが生成する。このように、浸漬法によ
ると、廃棄しなければならないPEDTが生成するの
で、原料効率が低下する。さらに、浸漬法によると、コ
ンデンサ素子の側面にも、EDT、酸化剤溶液、または
これらの混合溶液が付着し、PEDTが生成することに
なるが、このPEDTは不必要なので、その分原料効率
が低下し、場合によっては、PEDTがケースと接触し
て、ショートの原因ともなる。
溶液の混合溶液においても、EDTと酸化剤を別々に含
浸する場合の後に浸漬する液においても、EDTが酸化
剤と反応するので、液の状態が変化し、このことによっ
て、EDTとの重合状態も変化して、コンデンサの特性
のバラツキの原因となる。これに対して、注入法では、
このようなことはなく、安定した特性を得ることができ
る。
前述したような実施の形態に限定されるものではなく、
他にも本発明の範囲内で多種多様な形態を実施可能であ
る。
を含浸する場合に、EDTのみを含浸することも可能で
あるが、EDTと揮発性溶媒とを混合したモノマー溶液
を含浸することも可能である。このようにEDTを揮発
性溶媒で希釈することにより以下のような利点がある。
すなわち、コンデンサ素子の容量に対して、含浸するE
DTの量が少ないと、EDTを注入しても素子全体に含
浸されないことがある。しかしながら、このような場
合、揮発性溶媒で希釈すれば、注入する容量を増加させ
ることができ、このことによって、コンデンサ素子全体
に含浸させることができ、コンデンサ素子の内部により
緻密で均一なPEDTを形成することができる。
と酸化剤の含浸に際して、シリンジから含浸液を吐出し
てコンデンサ素子に注入しているが、含浸液の具体的な
注入法は適宜選択可能である。また、EDTと酸化剤の
含浸は、このような注入法に限定されるものではなく、
浸漬法を採用することも可能であるが、前述した通り、
一般的には注入法を採用することが望ましい。すなわ
ち、注入法を採用した場合の方が、第1に、含浸する液
量の管理が容易であり、第2に、原料効率が低下するこ
とがない。第3に、酸化剤の特性の変化がないので、安
定した特性を得ることができる。また、ショートの発生
もない。
得る液体の最大容量に対してEDTと酸化剤の含浸量の
範囲を限定するものであるため、具体的な酸化剤や溶媒
の種類は適宜選択可能である。これに関連して、コンデ
ンサ素子に含浸する重合液中におけるEDTと酸化剤の
含有率は、前述した許容範囲内で自由に選択可能であ
る。すなわち、EDTの含有率の許容可能な範囲は5〜
35wt%であり、酸化剤溶液の含有率の許容可能な範
囲は65〜95wt%である。
ンデンサとして、次の表1に示す製造仕様により、ED
Tと酸化剤の含浸量の異なる複数種類の固体電解コンデ
ンサを作製した。
ち、重合液の注入量の異なる複数種類の固体電解コンデ
ンサとしては、コンデンサ素子に含浸し得る液体の最大
容量に対して、重合液の注入量をそれぞれ、100%
(比較例1)、90%(比較例2)、85%(実施例
1)、80%(実施例2)、75%(実施例3)、70
%(比較例3)、60%(比較例4)としてPEDTを
形成してなる7種類の固体電解コンデンサを作製した。
いて、静電容量(Cap)、tanδ、漏れ電流(L
C)、等価直列抵抗(ESR)の初期特性をそれぞれ測
定したところ、図2〜図5に示す結果が得られた。ここ
で、測定条件は、Cap:120Hz、tanδ:12
0Hz、LC:定格電圧2分、ESR:100kHz、
である。また、次の表2は、図2〜図5の結果を集計し
た表である。
静電容量(Cap)については、比較例1〜4が28.
6〜32.6(μF)であるのに対し、本発明に係る実
施例1〜3は、32.5〜33.6(μF)と高い値を
示している。また、表2および図5から明らかなよう
に、等価直列抵抗(ESR)については、比較例1〜4
が0.062〜0.080とかなり高いのに対し、実施
例1〜3は、0.045〜0.049Ωと格段に低くな
っている。さらに、表2および図3から明らかなよう
に、tanδについても、比較例1〜4が0.048〜
0.054であるのに対し、実施例1〜3は、0.04
3〜0.045と低くなっている。
明に係る実施例1〜3は、十分に高い静電容量を保持す
ると共に、tanδと等価直列抵抗(ESR)を低く維
持することができる。
て、150℃、6.3Vの条件で高温負荷試験を行い、
10時間経過後、20時間経過後の静電容量変化率(Δ
Cap)特性、tanδ、漏れ電流(LC)、等価直列
抵抗(ESR)をそれぞれ測定したところ、次の表3に
示す結果が得られた。
抗(ESR)については、20時間経過後に比較例2が
0.077Ωまで上昇しているのに対し、実施例2は
0.060Ωであり、実施例1は0.049Ωという低
い値を維持している。また、tanδについても、20
時間経過後に比較例2が0.037であるのに対し、実
施例2は0.031まで、実施例1は0.026までそ
れぞれ低下している。
後に比較例2と実施例1が共に10%近く低下している
が、表2に示すように、実施例1の初期の静電容量は比
較例2より高いため、20時間経過後でも実施例1の静
電容量は比較例2の静電容量より高い。さらに、実施例
2の静電容量変化率は、20時間経過後でも−4.4%
にすぎない。
定結果は、本発明に係るEDTと酸化剤の含浸量の限定
による効果を実証するものである。
れば、コンデンサ素子に対するEDTと酸化剤の含浸量
を、コンデンサ素子に含浸し得る液体の最大容量の75
〜85%の範囲内に限定することにより、ショートの発
生を防止可能で、しかも、十分な静電容量を保持すると
共に等価直列抵抗(ESR)を低く維持可能な、バラツ
キの小さい固体電解コンデンサを製造することができ
る。
一例を示すフローチャートである。
ンデンサについて、静電容量の初期特性を測定した結果
を示すヒストグラムである。
ンデンサについて、tanδの初期特性を測定した結果
を示すヒストグラムである。
ンデンサについて、漏れ電流(LC)の初期特性を測定
した結果を示すヒストグラムである。
ンデンサについて、等価直列抵抗(ESR)の初期特性
を測定した結果を示すヒストグラムである。
の一例を示すフローチャートである。
す分解斜視図である。
図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータ
を介して巻回したコンデンサ素子に、3,4−エチレン
ジオキシチオフェン(EDT)と酸化剤とを含浸して化
学重合によるポリエチレンジオキシチオフェン(PED
T)を生成する固体電解コンデンサの製造方法におい
て、 コンデンサ素子に対する3,4−エチレンジオキシチオ
フェン(EDT)と酸化剤の含浸量は、コンデンサ素子
に含浸し得る液体の最大容量の75〜85%の範囲内で
あることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。 - 【請求項2】 コンデンサ素子に、3,4−エチレンジ
オキシチオフェン(EDT)と酸化剤の混合溶液を含浸
することを特徴とする請求項1記載の固体電解コンデン
サの製造方法。 - 【請求項3】 コンデンサ素子に、3,4−エチレンジ
オキシチオフェン(EDT)を含浸した後に、酸化剤溶
液を含浸することを特徴とする請求項1記載の固体電解
コンデンサの製造方法。 - 【請求項4】 コンデンサ素子に、酸化剤溶液を含浸し
た後に、3,4−エチレンジオキシチオフェン(ED
T)を含浸することを特徴とする請求項1記載の固体電
解コンデンサの製造方法。 - 【請求項5】 コンデンサ素子に含浸し得る液体の最大
容量をA、コンデンサ素子に3,4−エチレンジオキシ
チオフェン(EDT)と酸化剤の混合溶液を含浸する際
の混合溶液中における3,4−エチレンジオキシチオフ
ェン(EDT)の含有率をBとした場合に、 コンデンサ素子に対する3,4−エチレンジオキシチオ
フェン(EDT)の含浸量は、A×Bの75〜85%の
範囲内であり、 コンデンサ素子に対する酸化剤溶液の含浸量は、A×
(1−B)の75〜855の範囲内であることを特徴と
する請求項3または4記載の固体電解コンデンサの製造
方法。 - 【請求項6】 コンデンサ素子への液体の含浸を、コン
デンサ素子に対して液体を注入する注入法によって行う
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の
固体電解コンデンサの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12436398A JP4269351B2 (ja) | 1998-05-07 | 1998-05-07 | 固体電解コンデンサの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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