JPH11315472A - 不織布およびその製造方法、並びにそれを用いたアルカリ2次電池 - Google Patents

不織布およびその製造方法、並びにそれを用いたアルカリ2次電池

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JPH11315472A
JPH11315472A JP10321107A JP32110798A JPH11315472A JP H11315472 A JPH11315472 A JP H11315472A JP 10321107 A JP10321107 A JP 10321107A JP 32110798 A JP32110798 A JP 32110798A JP H11315472 A JPH11315472 A JP H11315472A
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Japan
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nonwoven fabric
fiber
porous layer
fine particles
battery separator
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JP10321107A
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English (en)
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Yoshiyuki Okui
良幸 奥井
Hiroyuki Futaki
弘之 二木
Juichi Ino
寿一 猪野
Takashi Yamagishi
隆司 山岸
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Nippon Sheet Glass Co Ltd
Original Assignee
Nippon Sheet Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 繊維表面に無機酸化物等の微粒子からなる多
孔質層を形成させることにより、微粒子が本来持つ機能
を十分に発現させることのできる不織布およびその製造
方法を提供する。この不織布は、フィルタや電池セパレ
ータとして利用でき、各種利用用途において高い性能を
発揮できる。 【解決手段】 不織布を構成する繊維の表面に、無機酸
化物などの微粒子からなる多孔質層を形成させる。例え
ば、1〜100nm径の酸化チタンもしくは酸化ジルコニ
ウムの微粒子と、その70%以上が10〜800nm径で
ある前記微粒子の2次凝集粒子とを溶質とし、水、有機
溶剤もしくは水と有機溶剤との相溶液を溶媒とする分散
液を製造し、不織布をこの分散液に浸漬し、乾燥させ、
繊維表面に多孔質層を形成させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維表面に微粒子
を用いて多孔質層を形成させることにより、その微粒子
が本来持つ機能を効果的に発現させることのできる不織
布とその不織布の製造方法に関するものであり、またそ
の不織布を電池セパレータとして用いるアルカリ2次電
池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、無機酸化物などの微粒子を特
定構成物の表面に付着させ、その無機酸化物が本来持つ
機能を発現させる方法が提案されている。例えば、無機
材料で製造された板状体に無機酸化物のゾルをコーティ
ングし、それをゲル化させ、焼結させることにより無機
酸化物皮膜を形成させたり、また有機材料シートに結着
剤を使用して、無機酸化物微粒子をシート上に接着させ
る方法である。これらの構成物は、無機酸化物の機能で
ある殺菌、抗菌、消臭、有機物の分解および改質などの
効果を発揮し得るものである。
【0003】この内、有機材料シートに無機酸化物を接
着させる場合は、有機材料の性質上高温で無機酸化物を
焼結することが難しいため、結着剤を使用することが多
い。また、結着剤を使用せず無機酸化物ゾルをコーティ
ングし、ゲル化させた後、圧力を加え、有機材料の融点
近くまで加熱することによりそれを接着する方法も提唱
されている。
【0004】これら構成物において、無機酸化物による
効果をより高めるためには、無機酸化物の表面積を増や
す必要がある。これは、無機酸化物の表面積が増えるこ
とにより、雰囲気との接触面積が必然的に増加し、その
効果が発揮され易くなるからである。無機酸化物の表面
積を増やす方法として、その接着させる絶対量を増やす
ことが考えられる。しかし、この場合無機酸化物の接着
量の増加に伴い、構成物の表面に固定される力が弱まる
ことから、接着強度が低下するという問題が新たに発生
する。一方、無機酸化物の粒子径を小さくすることによ
り、構成物への接着量を増やすことなくその表面積を増
やすことができる。しかし、この場合は無機酸化物の微
粒子が構成物の表面で薄い膜を形成してしまうため、無
機酸化物の接着量を増やすことが難しく、結果としてそ
の表面積を増やすことができない。
【0005】これら無機酸化物を接着させた構成物は、
無機酸化物による殺菌効果や有機物の分解効果を発現さ
せてフィルタなどの環境浄化材料に応用されたり、また
有機物の改質効果を発現させて親水性を高めた電池のセ
パレータなどに応用されている。
【0006】これらの構成物を電池セパレータとして使
用する場合は、以下のような技術が用いられている。
【0007】電池セパレータには、以前からポリアミド
繊維の不織布が主に使用されていたが、安価である反
面、電池の自己放電特性を悪化させるなどの問題があ
り、近年では、ポリオレフィン系繊維の不織布が、主に
用いられるようになってきた。
【0008】このポリオレフィン系繊維の不織布(以
下、ポリオレフィン不織布と称する)は、耐電解液性に
優れており電池の長寿命化には最適であるが、表面が疎
水性であるため電解液との親和性が小さい。電解液との
親和性すなわち電解液保持性は、電池セパレータの性能
を左右する重要な性質である。そこで、ポリオレフィン
不織布は、その表面に親水化処理、例えば界面活性剤の
付与、コロナ放電もしくはプラズマ放電、親水基のグラ
フト重合化、化学処理(スルホン化など)などを施され
る。
【0009】しかし、ポリオレフィン不織布の表面に界
面活性剤を付着させた場合、界面活性剤が電解液中に溶
出し、電池性能が低下したり、疎水性に戻ってしまい、
電解液保持性が極端に低下するなどの問題点があった。
また、コロナ放電、プラズマ放電あるいはグラフト重合
化を施した場合は、高温下に放置されると親水性が著し
く低下する点、耐久性がない点などが問題であった。濃
硫酸を用いたスルホン化などの化学処理を施した場合
は、その電解液保持性はかなり改善されるが、極端な繊
維の強度劣化が起こる点、処理が煩雑なため電池セパレ
ータが高価になる点などの問題点があった。
【0010】これらの問題を解決するため、無機酸化物
ゾルや粒子を構成繊維上に付着させて親水性を得るとい
う以下の技術が開発されている。
【0011】特開平2−213047号公報には、粒子
径が500μm以下の非晶質である酸化チタンもしくは
水和酸化チタンを、有機結着剤などを用いて、0.1〜
10重量%付着させた電池セパレータが記載されてい
る。
【0012】しかし、特開平2−213047号の電池
セパレータは、ポリビニルアルコールなどの有機結着剤
を使用するため、有機結着剤が電解液中に溶出し充放電
を起こり難くさせ、さらに酸化チタン表面に有機結着剤
が付着し電池セパレータの親水性を低下させるなどの問
題があった。
【0013】また、特開平8−64193号公報には、
ポリオレフィン不織布に自己結合性を有するコロイド状
無機酸化物粒子を含む無機酸化物ゾルを付着させた電池
セパレータが記載されている。これは、ゴムロールや減
圧処理で強制的に不織布の空隙部にゾルを浸透させた
り、あるいは界面活性剤をゾルに添加することにより不
織布との親和性を持たせ、それを熱風乾燥させゲル化さ
せるものである。この電池セパレータの表面にはコロイ
ド粒子による緻密な膜が形成されるだけであり、電池セ
パレータの電解液保持性が十分ではなかった。また、電
池セパレータの表面にコロイド粒子を定着させる手段と
して界面活性剤の使用が提案されているが、前述のよう
に電池性能への悪影響が問題となるので、この使用は好
ましくない。
【0014】さらに、特開平9−59403号公報に
は、光触媒である酸化チタンをポリオレフィン系繊維の
表面に付着させ紫外線を照射して、その表面を親水化さ
せる方法が記載されている。しかし、電解液保持性とし
ては前述の化学処理によるスルホン化と同程度であり、
必ずしも十分とはいえなかった。
【0015】一方、電池の充放電の際には、電極板が膨
張収縮することが知られている。電池セパレータは、電
極板の間に存在するため、電極板が膨張すると圧縮さ
れ、反対に収縮すると引き離される。すなわち、電池の
充放電により電池セパレータは外力を受け、その度に保
持する電解液を正極板に徐々に吸い取られる。充放電が
繰返され、電池セパレータが十分な電解液を保持できな
くなった場合、電池は充放電ができなくなり寿命とな
る。電解液保持性が低い電池セパレータは、この電解液
の枯渇が容易に発生するので、これを使用した電池の寿
命は短い。
【0016】近年、電池の長寿命化および大容量化の要
求はますます高くなっており、電解液保持性が高くかつ
より薄い電池セパレータが切望されている。しかし、従
来技術の繊維表面の改質技術や無機酸化物の付着技術で
は、これらの要求に十分応えられなかった。
【0017】以上、電池セパレータを例に説明したが、
フィルタやその他の用途においても、無機酸化物微粒子
の焼成が要求され、また結着剤による機能低下が発生す
るなど電池セパレータと同様の問題があった。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来技術に存在する問題に着目してなされたものであ
る。その目的とするところは、繊維表面に微粒子からな
る多孔質層を形成させることにより、比表面積および空
隙率が大きく、さらに微粒子が本来持つ機能を十分に発
現し得る不織布とその製造方法を提供することにある。
さらには、電解液保持性が極めて高く、過充電時に電極
で発生するガスの透過性が高い電池セパレータ、並びに
高率充放電特性(大電流で充放電した場合の電池容量特
性)や高温充放電特性が向上した長寿命のアルカリ2次
電池を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1に記載の発明の不織布は、微粒子の集合
により形成された多孔質層を具えるものである。
【0020】請求項2に記載の発明の不織布は、請求項
1に記載の発明において、その比表面積が0.5〜50
m2/gであるものである。
【0021】請求項3に記載の発明の不織布は、請求項
1または請求項2に記載の発明において、多孔質層が無
機酸化物の微粒子からなるものである。
【0022】請求項4に記載の発明の不織布は、請求項
3に記載の発明において、無機酸化物の微粒子が酸化チ
タン、酸化ジルコニウムもしくはこれらの混合の微粒子
であるものである。
【0023】請求項5に記載の発明の不織布は、請求項
1〜4のいずれか1項に記載の発明において、微粒子の
径が1〜100nmであり、また多孔質層の厚みが10nm
以上かつ繊維径の1/4以下であるものである。
【0024】請求項6に記載の発明の不織布は、請求項
1〜5のいずれか1項に記載の発明において、多孔質層
の重量率が1〜50重量%であるものである。
【0025】請求項7に記載の発明の不織布は、請求項
1〜6のいずれか1項に記載の発明において、繊維の平
均径が1〜30μmであるものである。
【0026】請求項8に記載の発明の不織布は、請求項
1〜7のいずれか1項に記載の発明において、繊維がポ
リアミド繊維またはポリオレフィン系繊維であるもので
ある。
【0027】請求項9に記載の発明の不織布は、請求項
1〜8のいずれか1項に記載の発明において、その繊維
の表面が親水基を有するものである。
【0028】請求項10に記載の発明のアルカリ2次電
池は、請求項1〜9のいずれか1項に記載の不織布を、
電池セパレータとして用いるものである。
【0029】請求項11に記載の発明の不織布の製造方
法は、1〜100nm径の無機酸化物の微粒子と、その7
0%以上が10〜800nm径である前記微粒子の2次凝
集粒子とを溶質とし、水、有機溶剤もしくは水と有機溶
剤との相溶液を溶媒とする分散液を製造し、この分散液
を付着させ乾燥させることにより、繊維表面に多孔質層
を形成させるものである。
【0030】請求項12に記載の発明の不織布の製造方
法は、請求項11に記載の発明において、溶質が溶媒中
で機械的衝撃により微粉砕され、その溶質の70%以上
が10〜500nm径、さらに60%以上が10〜200
nm径であるものである。
【0031】請求項13に記載の発明の不織布の製造方
法は、請求項11または請求項12に記載の発明におい
て、溶媒がアルコール系有機溶剤またはアルコール系有
機溶剤と水の相溶液であるものである。
【0032】請求項14に記載の発明の繊維製品の製造
方法は、請求項11〜13のいずれか1項に記載の発明
において、溶質にアナターゼ型酸化チタン微粒子を含有
させ、波長が400nm以下である紫外線を照射するもの
である。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態につい
て説明する。なお、本発明において「不織布」という場
合は、繊維のみの不織布ばかりでなく、その表面に微粒
子の多孔質層が形成されたものも含む。
【0034】本発明は、不織布を構成する繊維の表面に
微粒子からなる多孔質層を具えることを特徴とする。す
なわち、無機酸化物などの微粒子が繊維表面で重畳的に
存在することにより、多孔質層はその内部に多くの空隙
を具えることになり、その比表面積が高くなる。また、
微粒子同士は結合しており、多孔質層の耐衝撃度および
耐久性は高い。したがって、本発明では、微粒子を不織
布に固定するための結着剤は必須ではなく、微粒子が本
来発揮し得る機能を損なうことがない。
【0035】多孔質層を具えることにより本発明の不織
布は、例えば殺菌効果を発揮するフィルタとして、また
電解液保持性能に優れた電池セパレータとして、従来の
製品より高い効果を発揮し得るものである。
【0036】以下、本発明の不織布を電池セパレータと
して用いた場合を主題として説明する。本発明の不織布
は、特開平8−64193号の発明と、繊維の表面に電
解液と親和性の高い物質(以下、親水性物質と称する)
を付着させる点において共通するが、多孔質層を形成さ
せる点で異なる。
【0037】また、特開平2−213047号とは考え
方において基本的に異なる。特開平2−213047号
の発明は、特定の粒子径、比表面積、結晶形態を持つ酸
化チタンを有機結着剤などを用いて電池セパレータに保
持させ、その電解液保持性および電池性能を向上させよ
うというものである。すなわち、繊維の表面もしくは繊
維同士の間の空孔に、有機結着剤を用いて酸化チタン粒
子を化学的に結合させるものである。
【0038】これに対し本発明の不織布は、親水性物質
である酸化チタンもしくは酸化ジルコニウムの微粒子を
用いて、繊維の表面に多孔質層を形成させる点で異な
る。この多孔質層は、繊維の表面の大部分を覆う様に存
在するので、その凝集力(微粒子間に働く力)により繊
維の表面に定着していると考えられる。すなわち、本発
明の不織布は、有機結着剤もしくは界面活性剤を本質的
に必要としないので、電池の充放電を阻害せず、電池性
能を低下させない。また、多孔質層は、その内部に空隙
を有しそこに電解液を取り込めるので、電池セパレータ
の電解液保持性およびガス透過性を高めることができ
る。
【0039】特開平8−64193号の発明は、自己結
合性を有するコロイド状無機酸化物粒子を含む無機酸化
物ゾルを繊維の表面に付着させ、熱風乾燥することによ
り無機酸化物粒子もしくは水和物粒子を繊維上に析出定
着させるものである。この発明は、繊維表面に微粒子を
極めて緻密に定着させ、メッキのような被膜を形成さ
せ、電池セパレータに親水性を付与するものである。
【0040】これに対し、本発明の不織布は、上述のよ
うに繊維の表面に多孔質層を形成させる点で特開平8−
64193号の発明と異なる。繊維の表面全体に親水性
物質を付着させても、その親水性物質が多孔質層を形成
しなければ、電池セパレータの電解液保持性は十分では
ない。すなわち、特開平8−64193号の発明は、電
解液保持性が不十分であった。
【0041】本発明の不織布は、その比表面積が0.5
〜50m2/gであることが好ましく、0.5〜20m2/gで
あることがさらに好適である。この比表面積が0.5m2
/gより小さい場合は、多孔質層の形成が難しくなり、ま
た微粒子の機能が十分に発現されなくなる。反対に、こ
の比表面積が50m2/gより大きい場合、多孔質層の厚み
が厚く成り過ぎるため、繊維間の隙間が小さくなり、こ
の隙間に定着力の低い微粒子凝集物が存在しやすくな
る。本発明の不織布を電池セパレータに使用する場合に
は、0.5m2/gより小さいと、電解液の接触面積が小さ
過ぎ、電池セパレータの電解液保持性が低くなる。さら
に、この場合は、電解液が電極板に吸収され易くなり、
電池の寿命が短くなる点も問題である。50m2/gより大
きいと、電池の過充電時に正極で発生する酸素ガスのガ
ス透過性が悪くなるため、負極での還元反応が起こり難
くなり、電池の充放電性能が低くなる。なお、一層好ま
しい範囲は1〜10m2/gである。
【0042】本発明の多孔質層を形成する微粒子は、目
的とする機能や使用条件により決定され、その種類や形
状を特に限定されるものではない。しかし、入手容易性
や多孔質層を形成する容易性などから無機酸化物が好ま
しい。また、本発明の不織布を電池セパレータに使用す
る場合には、親水性および耐アルカリ性が要求されるの
で、無機酸化物、親水性ポリマーまたはイオン交換樹脂
の微粒子が好適である。これらの内特に酸化チタンおよ
び酸化ジルコニウムの微粒子は、親水性、耐アルカリ性
に優れ、入手し易いので好ましい。さらに、酸化チタン
や酸化ジルコニウムは苛性カリ水溶液などのアルカリ電
解液とのなじみが極めてよく、好適である。これらの微
粒子は、それぞれ単独あるいは混合で使用されてもよ
い。
【0043】本発明の不織布に使用する微粒子の径は特
に限定されるものではないが、好ましくは1〜100nm
であり、5〜50nmがより好ましい。また、多孔質層を
形成する繊維の径が極めて小さい場合には、使用する粒
子径も小さいものを選択することが好ましい。この微粒
子の径が1nmより小さい場合は、粒子製造においてコス
トが高くなり、実用的でない。また、多孔質層が緻密に
なり過ぎるため、かえって微粒子の機能が充分に発現で
きなくなる。さらに分散液中において凝集力が強すぎ、
分散液の安定性が低下するため、均質な多孔質層が得ら
れ難い。反対に、微粒子の径が100nmより大きい場合
は、微粒子が繊維の表面から剥離し易くなったり、多孔
質層の均質性が低下したりして、好ましくない。本発明
の不織布を電池セパレータに使用する場合には、粒子径
が上述の範囲より外れると多孔質層の電解液保持性が低
くなるので好ましくない。
【0044】多孔質層の厚みの好ましい範囲は、10nm
以上、より好ましくは20nm以上で、かつ繊維の径に比
して1/4以下、より好ましくは1/6以下である。多
孔質層の厚みは、以下の方法で測定できる。不織布を圧
縮することにより、多孔質層を強制的に一部剥離させ、
その剥離部分を走査型電子顕微鏡で観察する方法であ
る。多孔質層が繊維から剥離した状態を、図3に示す。
多孔質層の厚みが10nmより小さい場合、多孔質層内部
の空隙量が少なくなり、多孔質層としての効果が発揮で
きなくなる。また、この厚みが繊維径の1/4より厚い
場合、繊維に屈曲などの外力が加わった際に、微粒子の
脱落もしくは多孔質層の剥離が起こり易くなる。本発明
の不織布を電池セパレータに使用する場合には、多孔質
層の厚みが10nm以下であると、その内部に取り込める
電解液の量が少なくなり、電解液保持性が不十分となり
好ましくない。
【0045】多孔質層を形成する微粒子は、粒度分布の
幅が小さいこと、すなわち粒子径が均一であることが好
ましい。粒子径が不均一の場合は、繊維の表面に微粒子
が均一に付着せず、多孔質層が形成され難く、微粒子の
脱落が多くなる。さらに、微粒子は繊維表面に均一に付
着することが好ましい。その凝集力が強くなり、繊維表
面からより剥離し難くなるからである。
【0046】また、本発明の不織布を電池セパレータと
する場合に、多孔質層の空隙の大きさは、重要な意味を
持つことが確認された。ここで、多孔質層の空隙とは微
粒子同士の隙間をいう。すなわち、多孔質層の空隙の大
きさが、電極を構成する活物質の間の空隙に比べて同等
もしくは小さいと、電解液が電極に吸収され難くなる。
【0047】本発明の不織布の繊維表面に形成される多
孔質層の重量率は、特に限定されるものではないが、本
発明の不織布の全重量に対して1〜50重量%であるこ
とが好ましい。この重量率が1重量%より小さい場合
は、多孔質層の閉める割合が小さくなり、反対に、50
重量%より大きい場合は、繊維間の隙間に多く存在して
通気性が低下する。本発明の不織布を電池セパレータに
使用する場合には、4〜50重量%が好ましく、より好
ましくは4〜30重量%である。重量率が4重量%以下
であると電解液保持性が不十分となり、50重量%より
多くなると、ガス透過性が悪くなる。また、クッション
性が不足し、電池セパレータと電極板との密着力が小さ
くなり、その間に隙間ができ易くなる。そして、電極板
による電解液の吸収が起こり易くなり、電池の寿命が短
くなる。
【0048】本発明の不織布の繊維の種類は、その用途
により決定されるべきものであり、特に限定されない。
本発明の不織布を電池セパレータに使用する場合には、
アルカリ性電解液を使用するため、耐アルカリ性に優れ
るポリアミドもしくはポリオレフィン系の繊維が好まし
い。特に、電池性への悪影響が少なく、耐酸化性に優れ
るポリプロピレンもしくはポリエチレンが好適である。
【0049】本発明の不織布の繊維の径も上述の種類と
同様に、その用途により決定されるべきものであり、特
に限定されるものではないが、フィルタや電池セパレー
タなどに使用される不織布においては、0.5〜30μ
mであることが好ましい。あまり太過ぎると多孔質層の
剥離が多くなり好ましくない。本発明の不織布を電池セ
パレータに使用する場合には、その値が1〜20μmで
あることが好ましい。より望ましくは3〜15μmであ
る。繊維の径が1μmより細い場合は、電池セパレータ
の空孔が小さくなり過ぎ、ガス透過性が悪くなる。反対
に、20μmより太い場合は、電池セパレータの比表面
積が小さくなり、電池セパレータの電解液保持性が不十
分となる。ガス透過性については、フラジール法(JI
S L 1096)に従い測定した値で3〜100ml/
(cm2・s)が好ましく、5〜60ml/(cm2・s)がより好まし
い。
【0050】親水性機能を必要とする場合には、親水性
の微粒子で形成された多孔質層を具える不織布が適して
いる。しかし、ポリオレフィン系繊維のように繊維表面
が疎水性である場合において、さらに親水性を高める必
要がある場合には、繊維の表面を親水化処理することが
好ましい。多孔質層を形成させる前に繊維表面を親水化
処理することにより、多孔質層が繊維表面から剥離して
も親水化された繊維の表面が現れることになり、親水性
の低下を最小限に押さえることができる。この親水化処
理には、コロナ放電やスルホン化処理などの公知の方法
が利用できる。本発明の不織布を電池セパレータに使用
する場合には、特に電解液保持性が向上し、多孔質層が
剥離した後も電解液保持性を高く維持することができ
る。さらに、繊維表面を親水化処理した場合、外力によ
る多孔質層の脱落が起こり難くなることが確認されてい
る。
【0051】本発明の不織布の製造方法は、特に限定さ
れるものではないが、以下の方法が好ましい。まず、1
〜100nm径の無機酸化物微粒子の2次凝集粒子を、
水、有機溶剤もしくはこれらの相溶液に混入し、2次凝
集粒子の粗分散液を製造する。ここで、2次凝集粒子は
溶媒に混入される前に粗粉砕されてもよいし、混入後に
撹拌器により粗粉砕されてもよいが、溶媒中で粗粉砕さ
れる方が粒子径が均一になり易いことからより好まし
い。その後、マイクロビーズミルなどの湿式粉砕機を用
いて、溶媒中で機械的衝撃を加えることにより、その7
0%以上が10〜800nmになるように微粉砕する。ま
た、その70%以上が10〜500nmであることが好適
であり、さらには60%以上が10〜200nmであるこ
とが望ましい。微粉砕後に、粒子径の大きい2次凝集粒
子が多いと分散液の安定が悪く、多孔質層の形成が困難
になり、多孔質層からの微粒子の脱落が多くなる。
【0052】分散液の溶媒は、水、有機溶剤もしくは水
と有機溶剤との相溶液であることが好ましい。この相溶
液における水の割合や有機溶剤の種類は使用する無機酸
化物微粒子や使用する繊維の材質により異なるため限定
されるものではないが、繊維および微粒子の双方と親和
性があることが必要である。また、これらの溶媒は酸化
物微粒子を繊維表面に定着させ、乾燥させ、多孔質層を
形成させる過程の雰囲気において蒸発し易い溶媒である
ことが好ましい。具体的には、アルコール系有機溶剤ま
たはアルコール系有機溶剤と水の相溶液であることが好
適である。
【0053】また、繊維の表面が疎水性である場合は、
アルコール系有機溶剤またはアルコール系有機溶剤と水
の相溶液であることが好ましく、相溶液の水の割合は0
〜80重量%が好ましい。アルコールは、エタノール、
2−プロパノールなどが好適である。水の割合があまり
高くなると、繊維表面における親和性が悪くなり、微粒
子を繊維表面に定着させるために、界面活性剤もしくは
有機結着剤が必要になり好ましくない。対して、ガラス
繊維やポリアミド繊維のような親水性である場合には、
水だけでもよいが、乾燥工程などの生産性や多孔質層の
形成の容易性から疎水性の時と同様の溶媒であることが
より好ましい。
【0054】次に、この分散液を繊維の表面に塗布す
る。塗布方法は、特に限定されるものではなく、吹き付
け法もしくはディッピング法などが利用できるが、多孔
質層の均一性、塗布工程の環境などの点から、ディッピ
ング法の方が好ましい。この分散液の粒子濃度は、特に
限定されず、多孔質層の必要厚みや不織布の繊維径など
に応じて調整される。多孔質層の厚み調整は前述の方法
でも良いが、分散液の塗布回数で調整してもよい。一般
的に使用する濃度は1〜200g/Lである。この濃度が
1g/Lより低い場合は、1回の塗布で繊維の表面に形成
される多孔質層が薄くなり過ぎるので、塗布を何度も繰
り返さなければならない。反対に、200g/Lより高い
場合は、不織布の繊維径にもよるが、多孔質層の部分的
な濃淡が著しくなり多孔質層が均一に形成され難くな
る。また、この場合は、微粒子が繊維間の隙間を詰めて
しまうこともあり、あまり好ましくない。電池セパレー
タに使用する場合には、1〜100g/L、さらには1〜
60g/L程度が好ましい。
【0055】さらに、分散液を付着させた不織布を乾燥
させて、溶媒を除去し、繊維の表面に微粒子を集合さ
せ、多孔質層を形成させる。繊維は有機繊維であっても
無機繊維であってもよく、特に限定されるものではな
い。不織布以外の基材、例えばシートまたは板状体など
に分散液を塗布することによっても多孔質層は形成され
るが、僅かの外力でも剥離や微粒子の脱落が発生する。
【0056】以上のようにして形成された多孔質層は、
繊維表面によく定着し、超音波洗浄を施しても殆ど剥離
しない。このように微粒子が結着剤を使用せずに繊維の
表面に定着できるのは、分散液中における無機酸化物微
粒子と繊維表面の双方における静電的効果、無機酸化物
粒子を溶媒中で微粉砕を行う際のメカノケミカル的効果
における微粒子表面の変化、乾燥成形過程における無機
酸化物微粒子の2次凝集などが複合していることが原因
であると考えられる。
【0057】また、アナターゼ型酸化チタンを含む無機
酸化物粒子を用いて製造した本発明の不織布に、400
nm以下の波長の紫外線を照射することにより、不織布の
繊維表面を親水化できる。これは、酸化チタンが光触媒
作用を発現し、繊維表面を改質するからである。また、
多孔質層表面あるいは多孔質層内部の空隙部に有機物が
存在する場合には、紫外線照射によりこれらを分解除去
することができる。したがって、この不織布を電池セパ
レータに使用した場合には、電解液保持性の向上のみな
らず、付着有機物の分解による性能回復も期待できる。
【0058】本発明の不織布を電池セパレータとして使
用するアルカリ2次電池は、電解液保持性が大幅に向上
し、セパレータ内の電解液の枯渇を防ぐことができる。
また、内部抵抗の上昇を押さえることができ、充放電に
よるサイクル寿命が長く、高率充放電特性(大電流で充
放電した場合の電池容量特性)や高温充放電特性がよ
い。
【0059】特に、酸化チタンもしくは酸化ジルコニウ
ムの微粒子からなる多孔質層を具えるセパレータを用い
た2次電池は、高率充放電特性が極めてよい。その理由
は明確ではないが、以下のように考えられる。酸化チタ
ンもしくは酸化ジルコニウムは無機酸化物であることか
ら、大電流を流すような高負荷が掛かる状況においても
酸化分解されることがなく、親水性を保つことができる
ためである。また、アルカリ電解液中においてこれらの
酸化物は、表面(電解液との界面)がマイナスに帯電
し、その値も大きい。このため、アルカリ電解液のイオ
ン解離度が大きくなり、その結果イオン伝導度が大きく
なるためであると考えられる。
【0060】酸化チタンもしくは酸化ジルコニウムから
なる多孔質層を具えるセパレータを用いた2次電池は、
大電流を必要とする用途や高温で使用する場合、例えば
電動工具や電気自動車などにおいて、その特性を効果的
に発現できる。
【0061】
【実施例】以下、実施例および比較例により、本発明を
さらに具体的に説明する。まず、その特性を評価するた
め、その評価項目の定義および測定方法を以下に示す。
【0062】(平均繊維径)走査型電子顕微鏡を用いて
繊維を1,000倍で写真撮影し、その写真における任
意の100本の繊維径を測り、単純平均した値である。
なお、単位はμmである。
【0063】(目付)1m2当たりの不織布の重量であ
り、単位はg/m2である。なお、不織布を任意に0.1m2
サンプリングして、測定値を10倍することにより1m2
に換算した。
【0064】(厚み)不織布の任意の5箇所をマイクロ
メーターで測定し、その値を単純平均したものである。
なお、単位はμmである。
【0065】(充填率)不織布の目付と厚みとから算出
される見掛け密度ρを繊維の密度ρ0で割った値の百分
率である。すなわち、充填率=ρ/ρ0×100であ
る。この値が高いほど、本発明の不織布は、繊維の占め
る割合が高くなり、空孔が少なくなることを示してい
る。
【0066】(付着率)不織布に付着する酸化チタンも
しくは酸化ジルコニウム(以下、酸化物と称する)の重
量wを、不織布の重量で割った値の百分率である。すな
わち、付着率=(酸化物重量w)/(電池セパレータ重
量)×100である。なお、本発明の不織布を任意に
0.1m2サンプリングし測定した。
【0067】(多孔質層の厚み)本発明の不織布を10
0kg/cm2の圧力で圧縮し、繊維から部分的に多孔質層を
剥離させた。走査型電子顕微鏡を用いて、剥離した多孔
質層の断面を見て、その厚みを計測した。なお、単位は
μmである。
【0068】(脱落率)本発明の不織布を任意にサンプ
リングして重量a1を測定し、これを常温水の入ったビ
ーカーに浸し、超音波洗浄槽(柴田科学製SU−2T)
に10分間入れた。その後、この不織布を取り出し、乾
燥させ重量a2を測定した。このときの重量差すなわち
(a1−a2)を、酸化物重量wで割った値の百分率が
脱落率である。すなわち、脱落率=(a1−a2)/w
×100である。この値が低いほど、多孔質層が繊維の
表面に強固に定着しており、耐久性が高いことを示して
いる。
【0069】(比表面積)B.E.T理論に基づく低温
ガス吸着法を基本としたBET比表面積測定装置(カン
タソーブ QS−17 QUANTASORB社製)を
用いて測定した。なお、吸着ガスには、クリプトンガス
を使用した。単位は、m2/gである。
【0070】(通気度低下率)フラジール型試験器を用
いてJIS L 1096にしたがい、不織布の通気度
b1と不織布の通気度b2とを測定し、その差(b2−
b1)をb2で割った値の百分率である。すなわち、通
気度低下率=(b2−b1)/b2×100である。こ
の値が小さいほど、多孔質層の形成による目詰まりが少
なく、不織布のガス透過性が高いことを示している。
【0071】(自然保液率)100×100mmの不織布
(重量c1)を30重量%水酸化カリウムKOH水溶液
に3分間浸漬し、その後引き上げて室温で10分間釣り
下げ放置し、不織布の重量c2を測定した。このときの
KOH水溶液の残留量をc1で割った値の百分率が自然
保液率である。すなわち、自然保液率=(c2−c1)
/c1×100である。この値が高いほど、電池セパレ
ータの電解液保持性が高いことを示している。
【0072】(吸取り保液率)70×70mmの不織布
(重量d1)を30重量%KOH水溶液に3分間浸漬
し、2枚重ねの5A濾紙の上にこの不織布を置き、その
上から2枚重ねの5A濾紙を置いた。さらに、この上に
1kgの加重板を置いて1分間放置し、不織布の重量d2
を測定した。不織布に残留するKOH水溶液重量すなわ
ち(d2−d1)をd1で割った値の百分率が吸取り保
液率である。すなわち、吸取り保液率=(d2−d1)
/d1×100である。この値が高いほど、電池セパレ
ータの電解液保持性が高く、電極板の膨張収縮によって
も電解液が吸い取られ難いことを示している。
【0073】[実施例1]繊維径が8μmのポリエチレ
ンテレフタレート繊維と、鞘部が低融点変成ポリエチレ
ンテレフタレート、芯部がポリエチレンテレフタレート
からなる15μm径の芯鞘複合繊維とを50%:50%
の配合とし、これから抄紙法により薄い不織布を製造し
た。この薄い不織布を2枚重ねて表面温度115℃のカ
レンダーロールに通し、140μmの厚みに接着成形
し、不織布を得た。この不織布は目付60g/m2、比表面
積0.27m2/gであった。
【0074】酸化チタン(Degussa製:P−2
5、平均粒子径21nm、ただし2次凝集している)を2
−プロパノール中に混入し、ホモジナイザー(Omni
製)を用いて6,000〜9,000r.p.mで10分間
撹拌して、酸化チタン濃度180g/Lの分散液Aを製造
した。そして、この分散液Aにおける平均粒子径を、遠
心沈降式粒度分布測定装置(島津製作所製 SA−CP
3)で測定した。その結果、分散液Aにおける平均粒子
径は800nm程度であり、その粒度分布は800nm以下
が50〜60%、500nm以下が30〜40%であっ
た。
【0075】上記分散液Aを、マイクロビーズミル(W
AB社製)を用いてさらに微粉砕させた。微粉砕の条件
は直径1mmの酸化ジルコニウムのビーズを使用し、5〜
10m/秒の周速度で10分間、回転させて微粉砕を行っ
た。このときの平均粒子径は120nm程度であり、その
粒度分布は1,000nm以下が90〜95%、500nm
以下が80〜90%、200nm以下が70〜80%であ
った。この分散液に、2−プロパノールをさらに加え
て、酸化チタン濃度20g/Lの分散液Bを得た。この分
散液Bをディッピング槽に入れ、その後30分以内に上
記不織布をディッピングし、酸化チタンを繊維の表面に
付着させた。そして、常温にて乾燥させることにより、
酸化チタンを繊維の表面に定着させた不織布を製造し
た。
【0076】この不織布の繊維表面を走査型電子顕微鏡
を用い1,000〜50,000倍で観察したところ、
繊維の全表面を覆うような多孔質層が繊維径の異なる2
種類の繊維について同じように形成されていた。この不
織布の酸化チタン微粒子の付着率は6%であり、比表面
積1.3m2/g、脱落率は2.3%であった。
【0077】本発明の不織布を電池セパレータとした例
を実施例2〜11、および比較例2〜5に示す。
【0078】[実施例2]まず、電池セパレータの骨格
となる不織布を製造する。ポリプロピレンが芯部ポリマ
ーでポリエチレンが鞘部ポリマーである12μm径の芯
鞘複合繊維を用いて、抄紙法により薄い不織布を成形し
た。この薄い不織布を2枚重ねて表面温度120℃のカ
レンダーロールに通し、150μmの厚みに接着成形
し、不織布を得た。次に実施例1と同様にして分散液
A、分散液Bを作製し、実施例1と同様の方法にて酸化
チタンを繊維の表面に定着させ、電池セパレータを製造
した。
【0079】以上の方法により製造された電池セパレー
タは、実施例1と同様に走査型電子顕微鏡を用いて観察
した結果、繊維の全表面を覆うように多孔質層が形成さ
れていた。なお、この電池セパレータの走査型電子顕微
鏡写真の簡略図を図1に示す。
【0080】この電池セパレータは、目付55g/m2、充
填率40%、付着率5重量%、多孔質層の厚み0.1μ
m、比表面積1.8m2/gであった。また、電池セパレー
タの性質は、脱落率0.9%、通気度低下率7%、自然
保液率167%、吸取り保液率16%であった。
【0081】[実施例3]〜[実施例7] 実施例2において、ディッピングの回数のみを変えて、
電池セパレータを製造した。したがって、各実施例の電
池セパレータは、ディッピングの回数に比例して付着率
が高くなる。各実施例の電池セパレータを、下記表1に
示す。
【0082】[実施例8]および[実施例9] 紫外線ランプ(NEC製ブラックライト20型)から4
0mmの位置に、実施例4および実施例6で得た電池セパ
レータを置き、40分間紫外線を照射した。実施例8お
よび実施例9の電池セパレータを、下記表1に示す。
【0083】[実施例10]実施例2の電池セパレータ
に、実施例8と同様の方法で紫外線を照射し、繊維の表
面を親水化させた後、さらに分散液Bでディッピングし
て、付着率22重量%の電池セパレータを得た。この電
池セパレータを、下記表1に示す。
【0084】[実施例11]実施例10の電池セパレー
タを用いて評価用の簡易密閉型電池を製造した。この電
池の断面の簡略図を図6に示す。電池の製造方法は以下
の通りである。まず、導電材としてオキシ水酸化コバル
トをコーティングした水酸化ニッケル粉末に増粘剤を少
量添加してペースト状とした。このペーストを発泡ニッ
ケルに充填し乾燥させた後、5,000kg/cm2でプレス
成形し、正極32とした。また、導電補助剤としてNi
粉末を加えたミッシュメタル合金に、増粘剤を少量添加
してペースト状にした。後は正極の場合と同様にして負
極34を製造した。この正極、負極を3cm×4cmのサイ
ズに切断し、試験用電極とした。
【0085】つぎに、この正負両電極32,34の間に
電池セパレータ33を1枚挟み込んだ。電解液として3
0重量%の苛性カリ水溶液1gを電池セパレータに添加
した後、表面にNiメッキを施したSUS容器38,3
9でこの両電極を挟み込んだ。負極は下部SUS容器3
9と、正極は上部SUS容器38およびNi板31とで
導電を取り、上下SUS容器38,39の間はテフロン
パッキン35で絶縁した。これをボルト40で一定圧力
に締め、簡易密閉型電池とした。この電池は、実際のア
ルカリ2次電池のセパレータの使用状況と近似してい
る。また、負極容量は正極容量に対して約2倍とした。
【0086】この電池について定電流充放電装置を用い
て充放電テストを行った。充電はどの場合も充電率0.
25C(4時間で電池容量を満たすような電流値)で電
池容量の120%まで充電した。放電は放電率を0.2
5C(4時間で容量を放出するような電流値)、0.5
C(同2時間)、1.0C(同1時間)と変化させて放
電した。放電容量は、電池電圧0.8Vで放電終了とし
た時の値を基準とした。ここで、充電率もしくは放電率
とは、電池の容量を完全充電もしくは完全放電するのに
必要な時間(h)の逆数であり、単位をCで表す。例え
ば、2時間で電池の持つすべての容量を放電する場合
は、0.5Cである。$まず、製造した簡易密閉型電池
を0.25Cで10サイクル充放電を行った。その結
果、正極の利用率は、ほぼ100%であり、評価可能な
電池であることを確認した。そこで、放電率を0.25
C、0.5C、1.0Cと変化させて高率放電における
放電容量の維持率を求めた。0.25Cの容量維持率を
100%とした時の0.5C、1.0Cの容量維持率を
表2に示す。
【0087】[実施例12]実施例2で使用した薄い不
織布を3枚重ねて表面温度120℃のカレンダーロール
に通し、200μmの厚みの不織布を得た。次に、実施
例1の分散液Bを用いて、酸化チタンを繊維の表面に定
着させ、多孔質層を具える不織布を製造した。この不織
布は、目付70g/m2、付着率6重量%、脱落率は1.2
%であった。この不織布にRhodamine−6Gの
水溶液(0.1重量%)を0.2ml滴下し、着色した
後、紫外線を30分間照射した。この紫外線の強度は3
65nm波長において1mW/cm2であった。照射30分後、
目視で確認したところRhodamine−6Gの赤色
が消失した。
【0088】[比較例1]厚み1mmのポリプロピレンシ
ートおよびガラス板を基材とし、これらを実施例1の分
散液Bにディッピングし、溶媒を取り除き酸化チタンを
基材表面に定着させた。これら基材の表面を実施例1と
同様に走査型電子顕微鏡を用い観察したところ、不均一
な多孔質層が形成されていた。この酸化チタン微粒子の
付着率はポリプロピレンシートで0.13%、ガラス板
で0.08%であり、脱落率はそれぞれ51%、47%
であった。
【0089】[比較例2]実施例2と同様の方法で、目
付64g/m2、厚み150μmの不織布を製造した。この
不織布に、界面活性剤を0.7重量%付着させ、以下の
スルホン化処理を行った。すなわち、濃度15%の発煙
硫酸を40℃に保った槽の中に不織布を10分間浸漬さ
せ、続けて濃度が低い希硫酸に順次浸漬し、最後に水洗
し40℃で乾燥させた。この電池セパレータを、下記表
1に示す。
【0090】[比較例3]分散液Aに2−プロパノール
を加えさらに希釈し、酸化チタン濃度20g/Lの分散液
Cを製造した。実施例1と同様の方法で不織布を製造
し、分散液Cでディッピングし加熱乾燥させ、酸化チタ
ンを繊維の表面に定着させた。さらに、この不織布に、
実施例8と同様の方法で紫外線照射を40分間行った。
この電池セパレータを、下記表1に示す。なお、この電
池セパレータを走査型電子顕微鏡を用いて観察したとこ
ろ、酸化チタンが繊維の表面に偏在し、多孔質層が形成
されていなかった。この走査型電子顕微鏡写真の簡略図
を、図4に示す。
【0091】[比較例4]実施例2において、分散液B
を分散液Cに変えて、電池セパレータを製造した。この
電池セパレータを走査型電子顕微鏡で観察したところ、
多孔質層は形成されていなった。この電池セパレータ
を、下記表1に示す。
【0092】[比較例5]比較例2の電池セパレータを
使い、実施例11と同様の簡易密閉型電池を製造した。
この電池に実施例11と同様の試験を行い、高率充放電
特性を評価した。この評価結果を実施例11で行った
0.25C放電の容量を100%とし、それに対する容
量比で表2に示す。
【0093】[比較例6]合成ゴム系接着剤:1521
(スリーエム製)をトルエンで希釈し、その希釈液を分
散液Bに加えた。この分散液に実施例12で製造した不
織布と同一のものをディッピングし、酸化チタン微粒子
を繊維表面に接着させ、不織布を得た。この不織布には
0.6重量%の合成ゴム系接着剤が付着していた。この
不織布は、目付および付着率に関して実施例12の不織
布と変わらなかったが、酸化チタン微粒子の脱落率が0
%であった。実施例12と同様に、Rhodamine
−6Gの水溶液を滴下して着色した後、同様の紫外線照
射を行った。30分間の紫外線照射の後、目視で観察し
たところ赤色は薄くなったがはっきりと確認できる程度
であった。さらに、120分間紫外線照射を行ったが、
赤色は完全には消えなかった。
【0094】
【表1】 ==================================== 目付 セハ゜レータ 充填 付着 多孔質 脱落 通気度 自然 吸取り 厚み 率 率 層厚み 率 低下率 保液率 保液率 g/m2 μm % % μm % % % % −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例2 55 150 40 5 0.1 0.9 7 167 16 実施例3 58 151 42 7 0.3 1.5 13 171 27 実施例4 61 155 43 13 0.7 3.6 22 175 28 実施例5 64 157 45 17 0.9 2.7 25 181 29 実施例6 66 154 47 23 1.1 3.2 28 170 31 実施例7 69 153 50 26 1.6 2.9 32 169 41 実施例8 61 155 43 13 0.8 3.3 22 175 32 実施例9 66 154 47 23 1.2 3.1 28 181 34 実施例10 65 152 47 22 1.2 1.5 27 175 32 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 比較例2 64 150 47 − − − − 132 12 比較例3 53 151 46 5 − 13 21 140 12 比較例4 53 150 39 5 − 14 21 0 0 ====================================
【0095】
【表2】 ============================= 放電率 実施例11 比較例5 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 0.25C 100% 97% 0.5 C 92% 79% 1.0 C 83% 68% =============================
【0096】実施例1と比較例1とを比較することによ
り、基材の形状により多孔質層の定着力に大きな差があ
ることが判る。すなわち、基材が繊維で構成されている
場合は酸化チタン微粒子の脱落率が極めて少ないことか
ら、繊維状が多孔質層の定着力を向上させる形状である
と考えられる。
【0097】実施例2〜7は、同じ不織布と同じ分散液
Bとを使用し、付着率だけを変化させたものである。こ
の結果から付着率が増加するにしたがい、自然保液率は
あまり変化しないが、吸取り保液率は増加することが判
る。したがって、付着率の高い電池セパレータの方が、
充放電時の極板の膨張収縮によっても電解液を吸い取ら
れ難いことが判る。
【0098】比較例2は従来のスルホン化処理された電
池セパレータであり、比較例3は特開平9−59403
号の電池セパレータである。実施例2〜10と比較例2
および3とを比較することにより、本発明の電池セパレ
ータは、電解液保持性が優れていることが判る。
【0099】また、実施例2〜10は酸化チタンの脱落
率が3%程度であり、比較例3,4と比べて非常に少な
いことが判る。これは、酸化チタン微粒子が繊維全面を
覆うように存在するので、繊維上で微粒子が2次凝集
し、より強固に定着したためと考えられる。
【0100】実施例2と比較例3,4とを比較すること
により、酸化チタンの粒度が請求項11の範囲よりも大
きくなると、繊維表面に多孔質層が形成され難くなるこ
とが判る。
【0101】実施例2と比較例3,4とを比較すること
により、付着率は同じでも多孔質層が形成されることに
より、通気度低下率が1/3程度になることが判る。こ
れは、電池セパレータの空孔を酸化チタンの2次凝集粒
子が塞いでしまうためと考えられる。
【0102】実施例4,6と実施例8,9とを比較する
ことにより、紫外線を照射することにより、電池セパレ
ータの吸取り保液率が高くなることが判る。これは、繊
維の表面が親水化され、さらに酸化チタン微粒子表面に
付着した有機溶剤が分解除去されたためと考えられる。
【0103】実施例9と実施例10とを比較することに
より、繊維の表面を直接親水化させることで、脱落率を
低下させられることが判る。実施例10は、多孔質層が
形成された後に紫外線照射されるが、多孔質層の厚みが
薄いので繊維表面を親水化できる。
【0104】実施例11と比較例5とを比較することに
より、実施例10のセパレータを使用した電池の方が、
従来品である比較例2のセパレータを使用した電池に比
べて、放電率が高くなるほど容量維持率が高くなってい
ることが判る。このように多孔質層を有するセパレータ
を使用した電池は極めて高率充放電特性がよく、大電流
を必要とする用途には特に適している。
【0105】実施例12と比較例6とを比較することに
より、実施例12で製造した不織布は、微粒子の脱落率
が比較例6の不織布に比べ少し高いが、一方紫外線照射
による色素の分解能力が極めて高いことが判る。この比
較により、多孔質層の形成に結着剤を用いた場合の影響
を明確にすることができる。すなわち、実施例12と比
較例6の差はそのまま結着剤の存在による差であると考
えることができる。これらの差の内、脱落率に関して実
施例12の不織布に好ましくない結果が見られるが、そ
の絶対値は低く実用上問題にならない。しかし、紫外線
照射による色素の分解能力に関しては、実施例12の不
織布は比較例6の不織布に比べ明らかに優れている。こ
れは、結着剤の使用により微粒子の表面が被覆された影
響であると考えられる。したがって、結着剤を用いずに
多孔質層を形成させた不織布は、光触媒作用などを効果
的に発揮でき、例えばフィルタとして使用した場合、殺
菌、抗菌、脱臭効果などに優れた効果を発揮するものと
なる。
【0106】
【発明の効果】請求項1に記載の発明の不織布によれ
ば、繊維の表面に微粒子の集合により形成された多孔質
層を具えているので、多孔質層の比表面積を極めて大き
くすることができ、微粒子の持つ機能を充分に発現させ
ることができる。フィルタなどに使用する場合には、雰
囲気との接触面積を大きくすることができ、また通気抵
抗を低減させることができる。また、電池セパレータと
して使用する場合には、微粒子間の空隙に電解液が保持
されることから、電解液保持性を高めることができる。
【0107】請求項2に記載の発明の不織布によれば、
請求項1に記載の発明の効果に加えて、比表面積が0.
5〜50m2/gであるので、フィルタに使用する場合は、
有機物の吸着量を向上させることができる。また、電池
セパレータに使用する場合は、電解液保持性とガス透過
性とを高い次元で両立させることができる。
【0108】請求項3に記載の発明の不織布によれば、
請求項1または請求項2に記載の発明の効果に加えて、
多孔質層が無機酸化物の微粒子からなるので、親水性が
高く多孔質層が容易に形成される不織布を得ることがで
きる。
【0109】請求項4に記載の発明の不織布によれば、
請求項3に記載の発明の効果に加えて、多孔質層が酸化
チタン、酸化ジルコニウムもしくはこれらの混合の微粒
子からなるので、アルカリ性雰囲気に強く、耐久性の高
い不織布を容易に得ることができる。この不織布を電池
セパレータに使用する場合は、電解液と親和性が良好な
ことから、高い電解液保持性が得られる。
【0110】請求項5に記載の発明の不織布によれば、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明の効果に加え
て、微粒子の径が1〜100nmであり、多孔質層の厚み
が10nm以上かつ繊維径の1/4以下であるので、微粒
子の脱落や剥離が少なく、均質で耐久性の高い多孔質層
を得ることができる。また、充分な空隙を形成させるこ
とができる。
【0111】請求項6に記載の発明の不織布によれば、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の発明の効果に加え
て、多孔質層の重量率が1〜50重量%であるので、微
粒子が本来持つ機能を十分に発現する多孔質層を得るこ
とができる。
【0112】請求項7に記載の発明の不織布によれば、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の発明の効果に加え
て、繊維の平均径が1〜30μmであるので、多孔質層
が均一かつ容易に形成され、剥離や微粒子の脱落を少な
くすることができる。この不織布を用いた電池セパレー
タは、電解液保持性とガス透過性とのバランスが良い。
【0113】請求項8に記載の発明の不織布によれば、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の発明の効果に加え
て、繊維がポリアミド繊維またはポリオレフィン系繊維
であるので、アルカリ性雰囲気に強い繊維製品を得るこ
とができる。この不織布を用いた電池セパレータは、電
解液に対して高い耐久性を示す。
【0114】請求項9に記載の発明の不織布によれば、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の発明の効果に加え
て、繊維の表面が親水基を有するので、多孔質層が繊維
表面から剥離しても親水化された繊維の表面が現れるこ
とになり、親水性の低下を最小限に押さえることができ
る。電池セパレータに使用した場合には、特に電解液保
持性が向上し、多孔質層が剥離した後も電解液保持性を
高く維持することができる。
【0115】請求項10に記載の発明の不織布によれ
ば、請求項1〜9のいずれか1項に記載の不織布を電池
セパレータとして使用するので、寿命が長く、充放電特
性が極めて良いアルカリ2次電池を得ることができる。
【0116】請求項11に記載の発明の不織布の製造方
法によれば、1〜100nm径の無機酸化物の微粒子と、
その70%以上が10〜800nm径である前記微粒子の
2次凝集粒子とを溶質とし、水、有機溶剤もしくは水と
有機溶剤との相溶液を溶媒とする分散液を製造し、この
分散液を付着させ乾燥させることにより、繊維表面に多
孔質層を形成させるので、無機酸化物粒子が繊維の表面
に均等に付着し脱落し難く、その機能を効果的に発現す
る不織布を容易に製造することができる。
【0117】請求項12に記載の発明の不織布の製造方
法によれば、請求項11に記載の発明の効果に加えて、
溶質が溶媒中で機械的衝撃により微粉砕され、その溶質
の粒子径は70%以上が10〜500nmであり、さらに
60%以上が10〜200nmであるので、分散液の安定
性が増し、多孔質層の形成が一層容易になり、微粒子の
脱落がさらに少ない不織布を得ることができる。
【0118】請求項13に記載の発明の不織布の製造方
法によれば、請求項11または請求項12に記載の発明
の効果に加えて、溶媒がアルコール系有機溶剤またはア
ルコール系有機溶剤と水の相溶液であるので、溶媒の除
去が容易になり不織布の生産性を向上させることができ
る。また、分散液の安定化や多孔質層の状態をさらに向
上させることができる。
【0119】請求項14に記載の発明の不織布の製造方
法によれば、請求項11〜13のいずれか1項に記載の
発明の効果に加えて、アナターゼ型酸化チタンを含む多
孔質層を具えた不織布に、波長が400nm以下である紫
外線を照射するので、繊維の表面が親水基を具えた不織
布を容易に製造することができる。また、多孔質層に付
着した有機物が分解されることから、洗浄効果をも得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)実施例2の電池セパレータの走査型電子
顕微鏡写真の簡略図 (b)a−a鎖線にしたがう繊維の拡大断面図
【図2】a−a鎖線付近における繊維の長さ方向の拡大
断面図
【図3】繊維の表面から多孔質層が剥離した状態の簡略
【図4】(a)比較例3の電池セパレータの走査型電子
顕微鏡写真の簡略図 (b)b−b鎖線にしたがう繊維の拡大断面図
【図5】b−b鎖線付近における繊維の長さ方向の拡大
断面図
【図6】実施例11および比較例5の簡易密閉型電池の
断面簡略図
【符号の説明】
1 芯鞘複合繊維 2 芯部ポリマー 3 鞘部ポリマー 10 多孔質層 11 酸化チタンの2次凝集粒子 20 繊維 31 Ni板 32 正極 33 電池セパレータ 34 負極 35 テフロンパッキン 38 上部SUS容器 39 下部SUS容器 40 ボルト 41 ワッシャ 42 正極端子 43 負極端子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山岸 隆司 三重県津市高茶屋小森町4902番地 日本硝 子繊維株式会社内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維の表面に、微粒子の集合により形成
    された多孔質層を具える不織布。
  2. 【請求項2】 その比表面積が、0.5〜50m2/gであ
    る請求項1に記載の不織布。
  3. 【請求項3】 前記多孔質層は、無機酸化物の微粒子か
    らなる請求項1または請求項2に記載の不織布。
  4. 【請求項4】 前記無機酸化物の微粒子は、酸化チタ
    ン、酸化ジルコニウムもしくはこれらの混合の微粒子で
    ある請求項3に記載の不織布。
  5. 【請求項5】 前記微粒子の径が1〜100nmであり、
    また多孔質層の厚みが10nm以上かつ繊維径の1/4以
    下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の不織布。
  6. 【請求項6】 前記多孔質層は、その重量率が1〜50
    重量%である請求項1〜5のいずれか1項に記載の不織
    布。
  7. 【請求項7】 前記繊維は、その平均径が1〜30μm
    である請求項1〜6のいずれか1項に記載の不織布。
  8. 【請求項8】 前記繊維は、ポリアミド繊維またはポリ
    オレフィン系繊維である請求項1〜7のいずれか1項に
    記載の不織布。
  9. 【請求項9】 前記繊維の表面は、親水基を有する請求
    項1〜8のいずれか1項に記載の不織布。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれか1項に記載の
    不織布を、電池セパレータとして用いるアルカリ2次電
    池。
  11. 【請求項11】 1〜100nm径の無機酸化物の微粒子
    と、その70%以上が10〜800nm径である前記微粒
    子の2次凝集粒子とを溶質とし、水、有機溶剤もしくは
    水と有機溶剤との相溶液を溶媒とする分散液を製造し、 この分散液を付着させ乾燥させることにより、繊維表面
    に多孔質層を形成させる不織布の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記分散液は、溶質が溶媒中で機械的
    衝撃により微粉砕され、溶質の70%以上が10〜50
    0nm径、さらに60%以上が10〜200nm径にされた
    ものである請求項11に記載の不織布の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記溶媒は、アルコール系有機溶剤ま
    たはアルコール系有機溶剤と水の相溶液である請求項1
    1または請求項12に記載の不織布の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記溶質にアナターゼ型酸化チタン微
    粒子を含有させ、波長が400nm以下である紫外線を照
    射する請求項11〜13のいずれか1項に記載の不織布
    の製造方法。
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