JPH11302076A - Si含有ガラス状カーボン材の製造方法 - Google Patents

Si含有ガラス状カーボン材の製造方法

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JPH11302076A
JPH11302076A JP10111639A JP11163998A JPH11302076A JP H11302076 A JPH11302076 A JP H11302076A JP 10111639 A JP10111639 A JP 10111639A JP 11163998 A JP11163998 A JP 11163998A JP H11302076 A JPH11302076 A JP H11302076A
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carbon material
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Kunihiro Fujitsuka
公仁弘 藤塚
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 組織中にSiが連続相として均一に分布した
均質緻密な複合組織構造を備え、強度特性や耐酸化性な
どに優れたSi含有ガラス状カーボン材の製造方法を提
供する。 【解決手段】 熱硬化性樹脂に有機シラン化合物を混合
して調製した原料樹脂液を成形し、加熱硬化したのち、
非酸化性雰囲気下で焼成炭化するSi含有ガラス状カー
ボン材の製造方法において、熱硬化性樹脂の分子量MR
と有機シラン化合物の分子量MS の比MS /MR の値を
0.5〜5の範囲に設定するSi含有ガラス状カーボン
材の製造方法。熱硬化性樹脂の粘度は100ポイズ(25
℃)以下であることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、ガラス状カーボン
の組織中にSi成分が均一に分散複合して均質緻密な複
合組織構造を備え、耐酸化性や強度特性に優れたSi含
有ガラス状カーボン材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ガラス状カーボン材は、熱硬化性樹脂の
成形体を非酸化性雰囲気下で加熱し、焼成炭化して得ら
れる巨視的にガラス質の緻密な組織構造を有する炭素材
料である。ガラス状カーボン材は一般の炭素材料に比べ
てガス不透過性、耐摩耗性、耐蝕性、自己潤滑性、表面
平滑性及び堅牢性などに優れており、その特性を生かし
て多様の分野で各種工業部材として有用されている。ま
た、近年では組織から微小な炭素粒子が離脱することの
ない非汚染性の材質性状に着目して、シリコンウエハー
のプラズマエッチング用電極やイオン注入装置用部材な
ど汚染を嫌う半導体分野での実用が図られている。
【0003】ところが、ガラス状カーボン材は材質的に
脆弱であるうえ、一般のカーボン材と同様に高温酸化雰
囲気中では速やかに酸化が進行して物性を損ねる炭素材
固有の材質的欠点がある。このため、ガラス状カーボン
組織中にセラミックス成分を複合させて物性の改善を図
る試みがなされている。しかしながら、原料となる熱硬
化性樹脂に乾式もしくは湿式法でセラミックスの微粒子
を混合し、これを硬化した成形体を焼成炭化する方法で
はセラミックス微粒子を炭素組織に均一に分散させるこ
とができず、またセラミックス微粒子と炭素組織間に粒
界が存在するため過酷な使用条件では材質破壊を起こし
たり、セラミックス微粒子が離脱する現象などが生じる
難点があった。
【0004】このため、熱硬化性樹脂に珪素含有化合物
を混合して原料系とすることにより均一組織のSi含有
ガラス状カーボン材を得る方法が提案されている。例え
ば特開昭61−6111号公報には、液状珪素化合物、
官能基を有し加熱により炭素化する液状有機化合物、お
よび重合または架橋用の触媒を溶化したSi、Oおよび
Cを含む前駆体物質を炭化して耐酸化性の炭素材料を製
造する方法が開示されている。この方法では、液状珪素
化合物として水ガラスの脱アルカリで得られた珪酸ポリ
マー、水酸基を含有する有機化合物と珪酸とのエステ
ル、エチルシリケートのようなSiエステル、四塩化珪
素とエタノールの反応生成物等が挙げられ、触媒として
硫酸、塩酸、有機過酸化物、有機スルホン酸類などの併
用を必須要件としている。
【0005】しかし、上記の方法は比較的多量のSi成
分(C/Si原子比;0.5〜19)を含有する炭素材
料を製造目的としている関係で、原料系に混合する液状
珪素化合物の量が多いため、Si、OおよびCを含む前
駆体物質を形成する過程で珪素化合物が相互に結合して
微細な凝集体を形成し、これがそのまま炭化組織中にS
i粒状体となって分散する不均一な組織性状になり易
い。また、シロキサン結合(Si-0-Si) のような複数のS
i原子が連鎖する重合エステルを珪素源として用いた場
合にも、同様に凝集化に伴う不均質な組織になるため、
液状有機化合物に対する配合量を少なくしても、Siが
粒子状態で分散することのない連続相の炭素質組織を得
ることはできない。そのうえ、併用する触媒が硫酸や塩
酸等の強酸の場合にはゲル化反応を急激に進行させて組
織の均一性を損ね、ナトリウムエチラートや有機スルホ
ン酸類などの触媒を使用すると含有無機成分が残留不純
物となって純度を低下させる要因となる。
【0006】また、特開平2−192411号公報に
は、焼成後高硬度不通気性を有するガラス状硬質炭素を
生成し、かつ高い炭素残査収率を示す熱硬化性樹脂のモ
ノマー又は初期縮重合物と、有機ケイ素樹脂とを混合
後、所望の形状に賦形し、加熱硬化体とした後、不活性
ガス雰囲気中で焼成することから成る炭素系製品の製造
方法が開示されている。しかしながら、この方法におい
てはSi源となる珪素化合物として有機ケイ素樹脂が用
いられるので、ガラス状カーボンの組織中にSiを原子
レベルで分散させ、複合化することはできない。
【0007】特開平5−43319号公報には、熱硬化
性樹脂と有機金属化合物を液状で均一に混合し、加熱
(焼成)して得られる超微細なセラミックスが高度に分
散した状態のガラス状炭素複合材料が開示されている。
この発明では、珪素源となる有機金属化合物として、S
iCを与えるポリカルボシランおよびポリシラン、Si
−Ti−C−Oを与えるTi含有ポリカルボシラン、S
x y 、Si−N−CあるいはSi2 4 −SiCを
与えるポリシラザン類が用いられている。しかしなが
ら、複数のシラン結合を有するポリカルボシランやポリ
シラン等のポリマーを熱硬化性樹脂と混合して原料系と
すると、セラミックス源が分子として分散する状態とな
るため、熱処理後に微細な金属炭化物粒子となって粒界
が生成することが避けられず、セラミックスと炭素が均
質な連続相を呈するガラス状カーボン組織を得ることが
できない。
【0008】このほか、特開平5−339006号公報
には、液状のケイ素化合物と官能基を有し加熱により炭
素を生成する液状の有機化合物を原料とし、これを均一
に溶化する重合又は架橋触媒を加え、重合又は架橋反応
させ、得られた前駆体物質を非酸化性雰囲気中で加熱炭
化した中間体生成物を非酸化性雰囲気中で更に高温焼成
することからなるβ型炭化ケイ素−炭素混合粉末の製造
方法において、該原料および触媒が不純物元素を実質的
に含有しないものであり、中間体成形物の炭素/ケイ素
のモル比が2.5〜3.5であり、混合粉末中の炭化ケ
イ素と炭素が均質に混合され、その炭素量が3〜28重
量%であり、混合粉末中の各不純物元素の含有量が1pp
m 以下である高純度β型炭化ケイ素−炭素混合粉末の製
造方法が提案されている。しかし、この方法は焼結体用
のSiC−C系粉末を製造するものであって、主要成分
がガラス状カーボン組織からなるSi含有カーボン成形
体の製造技術ではない。
【0009】上記の実情に鑑み、本出願人は先に−O−
Si−O−で架橋された熱硬化性樹脂の成形体を焼成炭
化して得られ、原子レベルのSiがガラス状カーボン組
織中に0.1〜15重量%の範囲で均一な連続相として
分布する組織性状を備えるSi含有ガラス状カーボン材
と、その製造技術として熱硬化性樹脂と1分子中に単一
のSi原子を有するSiアルコキシドの加水分解物を有
機溶媒中で攪拌混合し、架橋反応により得られるゲル化
物を硬化成形したのち、硬化成形体を非酸化性雰囲気下
で800℃以上の温度で焼成炭化処理する方法(特開平
8−325059号公報)を開発した。
【0010】本出願人は上記技術をベースに更に開発研
究を進め、Siアルコキシドの加水分解物のゲル化に代
えて1分子中に単一のSi原子を含むアミノシラン化合
物を熱硬化性樹脂液中に滴下して攪拌混合し、該混合溶
液を成形硬化したのち、硬化成形体を非酸化性雰囲気下
で800℃以上の温度により焼成炭化処理することを特
徴とするSi含有ガラス状カーボン材の製造方法(特開
平9−59065 号公報)を開発し、更にアミノシラン化合
物を炭化残留率の高い有機溶媒で混合希釈し、該希釈溶
液を熱硬化性樹脂液中に滴下して攪拌混合するその改良
発明(特開平9−110528号公報)を提案した。しかしな
がら、アミノ基は熱硬化性樹脂との反応性が高いために
急速反応に伴う局部的組織欠陥等が生じ易い欠点があ
り、その改良技術としてアミノシラン化合物に代えて1
分子中に単一のSi原子を含むエポキシシラン化合物を
用いる発明(特開平9−227231号公報)を開発提案し
た。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】これらの発明によれ
ば、原子レベルのSiがガラス状カーボン組織中に均一
な連続相として分布する複合組織性状を備え、高強度と
高耐酸化性を有するSi含有ガラス状カーボン材を製品
得率よく製造することが可能となる。
【0012】すなわち、ガラス状カーボン材の組織中に
原子レベルのSi成分が均一に分散して複合した組織性
状とすることにより、強度特性の増大とガラス状カーボ
ン組織中のC成分と酸化性ガスや腐蝕性ガス等との反応
が阻止されて化学的安定性の向上が図られる。しかし工
業的に多量で大きな成形品やSi含有量が15%を超え
る大きな成形品を作る際、原料樹脂と有機シラン化合物
との組合せにより不均一な混合が発生する。不均一な混
合が生じた場合、得られるガラス状カーボンはSiの原
子レベルでの分散が達成されないため充分な化学的安定
性が得られないばかりか、組織中に不均質な組織や欠陥
が避けられないために製造するうえで割れ、反りなどが
生じ易くなる。
【0013】したがって、強度特性が高く、Si含有量
の高い、化学的安定性に優れたSi含有ガラス状カーボ
ン材を得るためには、複合組織中に不均質な組織や組織
欠陥のない複合組織構造とすることが重要である。そこ
で、本発明者はこのような複合組織を備えたSi含有ガ
ラス状カーボン材を得る方法について鋭意研究を進めた
結果、熱硬化性樹脂に有機シラン化合物を混合して調製
した原料樹脂液の均一分散性及び分散安定性を高めるこ
とが重要であり、原料樹脂液の均一分散性や分散安定性
は混合する熱硬化性樹脂と有機シラン化合物の分子の大
きさの相互関係に大きく影響されることを見出した。
【0014】本発明は上記の知見に基づいて開発された
もので、その目的はガラス状カーボンの組織中にSiが
連続相として均一に分布した均質緻密な複合組織構造が
形成され、強度特性が高く、耐酸化性などの化学的安定
性に優れたSi含有ガラス状カーボン材の製造方法を提
供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明によるSi含有ガラス状カーボン材の製造方
法は、熱硬化性樹脂に有機シラン化合物を混合して調製
した原料樹脂液を成形し、加熱硬化したのち、非酸化性
雰囲気下で焼成炭化するSi含有ガラス状カーボン材の
製造方法において、有機シラン化合物の分子量MS と熱
硬化性樹脂の平均分子量MR との比MS /MR の値を
0.5〜5の範囲に設定することを構成上の特徴とす
る。また、熱硬化性樹脂の粘度は100ポイズ(25℃)
以下に設定される。
【0016】
【発明の実施の形態】熱硬化性樹脂は焼成炭化処理によ
りガラス状カーボンに転化する炭素源となるもので、ガ
ラス状カーボン製造用に通常使用される各種の樹脂、例
えばフェノール系樹脂、フラン系樹脂、ポリイミド系樹
脂、エポキシ系樹脂、あるいはこれらの混合樹脂、など
が用いられる。また、有機シラン化合物はガラス状カー
ボン組織中にSi成分を均一に分散複合化するSi源と
なる原料成分であり、有機シラン化合物を熱硬化性樹脂
液中に混合して均一に分散させることにより、原料樹脂
液が調製される。
【0017】有機シラン化合物としては1分子中に1個
のSi原子を含む、例えば下記の一般式で表される有機
シラン化合物が用いられる。但し、下記一般式において
1〜R4 はC、H、O、Nのいずれかを含む有機官能
基である。
【0018】原料樹脂液は必要に応じて真空脱気処理し
て吸蔵する空気を除去したのち、所定形状に成形する。
成形手段は、通常、注型成形や遠心成形により行われる
が、半硬化した段階で圧縮成形、押出成形、トランスフ
ァー成形などを適用することもできる。成形された成形
体は、70〜150℃の温度に加熱して硬化しガラス状
カーボンの前駆体とする。
【0019】次いで、硬化成形体をアルゴン、窒素等の
非酸化性雰囲気に保持された加熱炉内で800℃以上の
温度、好ましくは1000〜2000℃の温度域で焼成
炭化処理を行って熱硬化性樹脂成分をガラス状カーボン
に転化する。この過程において有機シラン化合物は脱酸
素反応や熱分解反応等によりガラス状カーボン組織中に
Si成分が分散、複合化して、Siが原子レベルで均一
な連続相として分布するSi含有ガラス状カーボン材が
製造される。なお、Siが原子レベルで均一な連続相と
して分布する組織性状とは組織内に実質的にSiとCと
の粒界が存在せず、透過型電子顕微鏡(TEM)の観察
によって粒状組織が識別できない組織状態を指す。ま
た、原料樹脂液中の有機シラン化合物と熱硬化性樹脂と
の割合は最終的にSi含有ガラス状カーボン材中のSi
濃度が0.1〜30重量%の範囲となるように適宜制御
する。
【0020】この製造プロセスにおいて、Siが均一に
分散し均質な複合組織構造を有するガラス状カーボン材
を得るためには、原料樹脂液の均一分散性や分散安定性
などの分散性能を高めることが必要である。有機シラン
化合物の熱硬化性樹脂液中への分散は、熱硬化性樹脂分
子間に有機シラン化合物の分子が、あるいは有機シラン
化合物分子間に熱硬化性樹脂分子が、それぞれ相互に侵
入することにより起こるものであるから、分散性能はこ
れら分子の大きさの相互関係によって影響されることと
なる。また、分子の大きさは概ね分子量と相関するの
で、分子の大きさの相互関係を分子量の相互関係で代替
して表すことも可能である。
【0021】そこで、本発明においては原料樹脂液を構
成する熱硬化性樹脂と有機シラン化合物の分子量の相互
関係を特定範囲に設定することによって分散性能の優れ
た原料樹脂液を調製するものであり、具体的には有機シ
ラン化合物の分子量MS と熱硬化性樹脂の平均分子量M
R との比MS /MR の値を0.5〜5の範囲に設定す
る。分子量の比MS /MR の値が0.5を下回る場合に
は、有機シラン化合物分子に比べて熱硬化性樹脂分子の
大きさが相対的に非常に大きいために、有機シラン化合
物分子間に熱硬化性樹脂分子が効果的に浸入できないた
め有機シラン化合物の分布が不均一化し易くなる。
【0022】一方、有機シラン化合物の分子量MS と熱
硬化性樹脂の平均分子量MR との比MS /MR の値が5
を越えると、有機シラン化合物分子の大きさが熱硬化性
樹脂分子の大きさに比べて相対的に非常に大きくなるた
めに、有機シラン化合物分子間に熱硬化性樹脂分子が均
等に入り難くなり、均一な分散状態を得ることができな
くなる。更に、有機シラン化合物の再凝集が生じ易くな
って分散状態が悪化することとなる。
【0023】また、有機シラン化合物の熱硬化性樹脂へ
の分散性は熱硬化性樹脂の粘度が高いと拡散抵抗が増大
するので分散し難くなる。したがって、熱硬化性樹脂の
粘度は100ポイズ(25℃)以下であることが好まし
い。
【0024】このようにして、本発明は熱硬化性樹脂に
有機シラン化合物が均一かつ安定に分散した原料樹脂液
を調製し、該樹脂液を用いてSi含有ガラス状カーボン
材を製造することにより、ガラス状カーボンの組織中に
Siが連続相として均一に分布した均質緻密な複合組織
構造が形成され、強度特性が高く、耐酸化性などの化学
的安定性に優れたSi含有ガラス状カーボン材を製造す
ることができる。
【0025】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して具
体的に説明する。
【0026】実施例1〜4 減圧蒸留により精製したフェノール及びホルマリンを原
料として常法に従い付加縮合反応させて分子量MR の異
なるフェノール樹脂初期縮合物を作成し、次いでフルフ
リルアルコールを添加して粘度調整を行った。これらの
分子量MR 及び粘度の異なるフェノール樹脂初期縮合物
に、有機シラン化合物として3−グリシドキシプロピル
メチルジメトキシシラン〔東レ・ダウコーニング・シリ
コーン(株)製、AY43-026、分子量MS 220 〕を滴下
し、1時間攪拌混合した。この際、滴下量を変えて最終
的にガラス状カーボン組織に占めるSi含有量が所定の
重量%になるように設定制御した。その後、室温で緩や
かな流動状態で45時間攪拌して均質性を高めた。この
ようにして調製した原料樹脂液を成形型に注入し、真空
装置内で脱泡処理したのち、70〜180℃の温度で加
熱硬化した。得られた硬化成形体を窒素雰囲気に保持し
た加熱炉内で2℃/hrの昇温速度で1000℃まで加熱
して焼成炭化し、更に塩素/アルゴンの混合ガス雰囲気
中で2000℃まで加熱処理して高純度化し、Si含有
ガラス状カーボン材(縦横200mm、厚さ5mm)を製造
した。
【0027】実施例5〜7 有機シラン化合物としてテトラメトキシシラン〔チッソ
(株)製、T1980 、分子量MS 152 〕を用いて分子量M
R 及び粘度の異なるフェノール樹脂初期縮合物に滴下し
た他は、実施例1〜4と同一の方法によりSi含有ガラ
ス状カーボン材を製造した。
【0028】実施例8 有機シラン化合物としてテトラキス(2-エチルヘキシロ
キシ)シラン〔チッソ(株)製、T1928 、分子量MS 54
5 〕を用いて分子量MR 及び粘度の異なるフェノール樹
脂初期縮合物に滴下した他は、実施例1〜4と同一の方
法によりSi含有ガラス状カーボン材を製造した。
【0029】比較例1〜2 有機シラン化合物としてテトラメチルシラン〔チッソ
(株)製、T2050 、分子量MS 88〕を用いて分子量MR
及び粘度の異なるフェノール樹脂初期縮合物に滴下した
他は、実施例1〜4と同一の方法によりSi含有ガラス
状カーボン材を製造した。
【0030】比較例3 有機シラン化合物としてテトラキス(2-エチルヘキシロ
キシ)シラン〔チッソ(株)製、T1928 、分子量MS 54
5 〕を用いて分子量MR 及び粘度の異なるフェノール樹
脂初期縮合物に滴下した他は、実施例1〜4と同一の方
法によりSi含有ガラス状カーボン材を製造した。
【0031】このようにして製造したSi含有ガラス状
カーボン材について、曲げ強度及び耐酸化性を測定し
た。なお、耐酸化性は乾燥空気流で960℃の温度に6
0分間処理した際の重量減少率として示した。また、透
過型電子顕微鏡(TEM) により組織内に存在する粒子、粒
界などの粒状構造を観察した。得られた結果を、熱硬化
性樹脂の分子量MR 及び粘度、有機シラン化合物の分子
量MS 、MS /MR 比などとともに表1に示した。
【0032】
【表1】
【0033】表1の結果から、有機シラン化合物の分子
量MS と熱硬化性樹脂の平均分子量MR との比MS /M
R の値を0.5〜5の範囲に設定して調製した原料樹脂
液を用いて製造した実施例のSi含有ガラス状カーボン
材は、その範囲を外れる原料樹脂液を用いて製造した比
較例のSi含有ガラス状カーボン材に比べて曲げ強度や
耐酸化性が向上していることが判る。更に、原料樹脂液
の粘度を100ポイズ(25℃)以下に調整すると有機シ
ラン化合物の均一分散性に一層効果があることが認めら
れる。また、実施例では原料樹脂液の均一分散性及び分
散安定性が高いため、製造されたSi含有ガラス状カー
ボン材の組織中にSiが連続相として均一に分布した均
質緻密な複合組織構造が形成されるので粒子形成による
粒界も観察されないことが判る。
【0034】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば有機シラ
ン化合物の分子量MS と熱硬化性樹脂の平均分子量MR
との比MS /MR の値を特定範囲に制御して原料樹脂液
を調製することにより、有機シラン化合物を熱硬化性樹
脂に均一かつ安定に分散させることができる。したがっ
て、この原料樹脂液を用いることにより組織中にSiが
連続相として均一に分布した均質緻密な複合組織構造を
形成し、強度特性が高く、耐酸化性などの化学的安定性
に優れたSi含有ガラス状カーボン材を製造することが
可能となる。このように、本発明は半導体用の各種部材
をはじめ広い用途分野における工業用部材として用いら
れるSi含有ガラス状カーボン材の製造技術として極め
て有用である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱硬化性樹脂に有機シラン化合物を混合
    して調製した原料樹脂液を成形し、加熱硬化したのち、
    非酸化性雰囲気下で焼成炭化するSi含有ガラス状カー
    ボン材の製造方法において、有機シラン化合物の分子量
    S と熱硬化性樹脂の平均分子量MR との比MS /MR
    の値を0.5〜5の範囲に設定することを特徴とするS
    i含有ガラス状カーボン材の製造方法。
  2. 【請求項2】 熱硬化性樹脂の粘度が100ポイズ(25
    ℃)以下である請求項1記載のSi含有ガラス状カーボ
    ン材の製造方法。
JP10111639A 1998-04-22 1998-04-22 Si含有ガラス状カーボン材の製造方法 Pending JPH11302076A (ja)

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