JP3396119B2 - Si含有ガラス状カーボン材の製造方法 - Google Patents

Si含有ガラス状カーボン材の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、Si成分を連続相
として含有する均質緻密な複合組織構造を備える改質さ
れたガラス状カーボン材、特に優れた耐酸化性を有する
Si含有ガラス状カーボン材の製造方法に関する。
【0002】ガラス状カーボン材は、熱硬化性樹脂の成
形体を焼成炭化して得られる巨視的にガラス質の緻密な
組織構造を有する異質な炭素材料で、一般のカーボン材
に比べてガス不透過性、耐摩耗性、耐蝕性、自己潤滑
性、表面の平滑性および堅牢性などに優れることから、
その特性を生かして多様の分野で各種工業部材に有用さ
れている。近年では、組織から微小な炭素粒子が離脱す
ることのない非汚染性の材質性状に着目して、シリコン
ウエハーのプラズマエッチング用電極やイオン注入装置
用部材など汚染を嫌う半導体分野での実用が図られてい
る。
【0003】
【従来の技術】ところが、ガラス状カーボン材は材質的
に脆弱であるうえ、一般のカーボン材と同様に高温酸化
雰囲気中では速やかに酸化が進行して物性を損ねる炭素
材固有の材質的欠点がある。このため、従来からガラス
状カーボン組織中にセラミックス成分を複合させて物性
の改善を図る試みがなされている。初期の段階では、原
料となる熱硬化性樹脂に乾式もしくは湿式法でSiCの
ようなセラミックス微粒子を混合し、これを硬化した成
形体を焼成炭化する方法が行われたが、この方法ではセ
ラミックス粒子を炭素組織に均一に分散させることがで
きず、またセラミックス粒子と炭素組織間に粒界が存在
するため、過酷な使用条件では材質破壊を起こしたり、
セラミックス粒子が離脱する現象が生じる問題があっ
た。
【0004】このため、熱硬化性樹脂に珪素含有化合物
を混合して原料系とすることにより均一組織のSi含有
ガラス状カーボン材を得る方法が提案されている。例え
ば特開昭61−6111号公報には、液状珪素化合物、
官能基を有し加熱により炭素化する液状有機化合物、お
よび重合または架橋用の触媒を溶化したSi、Oおよび
Cを含む前駆体物質を炭化して耐酸化性の炭素材料を製
造する方法が開示されている。この方法では、液状珪素
化合物として水ガラスの脱アルカリで得られた珪酸ポリ
マー、水酸基を含有する有機化合物と珪酸とのエステ
ル、エチルシリケートのようなSiエステル、四塩化珪
素とエタノールの反応生成物等が挙げられ、触媒として
硫酸、塩酸、有機過酸化物、有機スルホン酸類などの併
用を必須要件としている。
【0005】しかし、上記の方法は比較的多量のSi成
分(C/Si原子比;0.5〜19)を含有する炭素材
料を製造目的としている関係で、原料系に混合する液状
珪素化合物の量が多いため、Si、OおよびCを含む前
駆体物質を形成する過程で珪素化合物が相互に結合して
微細な凝集体を形成し、これがそのまま炭化組織中にS
i粒状体となって分散する不均一な組織性状になり易
い。また、シロキサン結合(Si-0-Si) のような複数のS
i原子が連鎖する重合エステルを珪素源として用いた場
合にも、同様に凝集化に伴う不均質な組織になるため、
液状有機化合物に対する配合量を少なくしても、Siが
粒子状態で分散することのない連続相の炭素質組織を得
ることはできない。そのうえ、併用する触媒が硫酸や塩
酸等の強酸の場合にはゲル化反応を急激に進行させて組
織の均一性を損ね、ナトリウムエチラートや有機スルホ
ン酸類などの触媒を使用すると含有無機成分が残留不純
物となって純度を低下させる要因となる。
【0006】特開平5−43319号公報には、熱硬化
性樹脂と有機金属化合物を液状で均一に混合し、加熱
(焼成)して得られる超微細なセラミックスが高度に分
散した状態のガラス状炭素複合材料が開示されている。
この発明では、珪素源となる有機金属化合物として、S
iCを与えるポリカルボシランおよびポリシラン、Si
−Ti−C−Oを与えるTi含有ポリカルボシラン、S
x y 、Si−N−CあるいはSi2 4 −SiCを
与えるポリシラザン類が用いられている。しかしなが
ら、複数のシラン結合を有するポリカルボシランやポリ
シラン等のポリマーを熱硬化性樹脂と混合して原料系と
すると、セラミックス源が分子として分散する状態とな
るため、熱処理後に微細な金属炭化物粒子となって粒界
が生成することが避けられず、セラミックスと炭素が均
質な連続相を呈するガラス状カーボン組織を得ることが
できない。
【0007】このほか、特開平5−339006号公報
には、液状のケイ素化合物と官能基を有し加熱により炭
素を生成する液状の有機化合物を原料とし、これを均一
に溶化する重合又は架橋触媒を加え、重合又は架橋反応
させ、得られた前駆体物質を非酸化性雰囲気中で加熱炭
化した中間体生成物を非酸化性雰囲気中で更に高温焼成
することからなるβ型炭化ケイ素−炭素混合粉末の製造
方法において、該原料および触媒が不純物元素を実質的
に含有しないものであり、中間体成形物の炭素/ケイ素
のモル比が2.5〜3.5であり、混合粉末中の炭化ケ
イ素と炭素が均質に混合され、その炭素量が3〜28重
量%であり、混合粉末中の各不純物元素の含有量が1pp
m 以下である高純度β型炭化ケイ素−炭素混合粉末の製
造方法が提案されている。しかし、この方法は焼結体用
のSiC−C系粉末を製造するものであって、主要成分
がガラス状カーボン組織からなるSi含有カーボン成形
体の製造技術ではない。
【0008】上記の実情に鑑み、本出願人は先に−O−
Si−O−で架橋された熱硬化性樹脂の成形体を焼成炭
化して得られ、原子レベルのSiがガラス状カーボン組
織中に0.1〜15重量%の範囲で均一な連続相として
分布する組織性状を備えるSiC含有ガラス状カーボン
材と、その製造技術として熱硬化性樹脂と1分子中に単
一のSi原子を有するSiアルコキシドの加水分解物を
有機溶媒中で撹拌混合し、架橋反応により得られるゲル
化物を硬化成形したのち、硬化成形体を非酸化性雰囲気
下で800℃以上の温度で焼成炭化処理する方法(特願
平7−155177号)を開発し、更にその改良発明として1
分子中に単一のSi原子を含むアミノシラン化合物を熱
硬化性樹脂液中に滴下して撹拌混合し、該混合溶液を成
形硬化したのち、硬化成形体を非酸化性雰囲気下で80
0℃以上の温度により焼成炭化処理することを特徴とす
るSi含有ガラス状カーボン材の製造方法を提案した
(特願平7−234696号)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】特願平7−23469
6号の発明に係る方法によれば、Si源としてアミノ基
を有し、かつ1分子中に単一のSi原子を含むシラン化
合物を選択し、これを直接に熱硬化性樹脂液と均一混合
させて緩徐に重合反応させることにより、大型成形体と
した場合でも亀裂、ポアおよび寸法変形のなく、かつS
iが原子レベルで組織中に均質分散した複合組織のSi
含有ガラス状カーボン材を製造することが可能となる。
【0010】上記の方法においては、Si原子を含むア
ミノシラン化合物を熱硬化性樹脂液に滴下する段階でア
ミノ基がアルコキシ基に優先して熱硬化性樹脂と結合
し、脱水縮合反応が進行するが、この脱水縮合は発熱反
応であるため反応系内の温度が急激に上昇する。このた
め、このままの状態を放置すると熱硬化性樹脂の硬化が
促進されて粘度が上昇し、均一な成分混合系を得ること
が困難となる。特にガラス状カーボン材中に占めるSi
含有率を高くするためにアミノシラン化合物の滴下量を
多くする場合に発熱が著しくなり、ガラス状カーボンの
前駆体である成形体組織にボイドやSi成分の偏析等を
発生し易くなる。
【0011】このような現象を避けるため、特願平7−
234696号の発明では熱硬化性樹脂液とアミノシラ
ン化合物の混合溶液を冷却保存して発熱による硬化反応
を抑制し、その後に緩徐な流動を与えて混合状態の均質
性を高める手段を講じているが、この方法のみではガラ
ス状カーボン材に占めるSi含有量が5重量%を越える
ような配合条件において十分な発熱抑制効果を得られ
ず、常に均質な成分混合系を形成することが難しい。
【0012】本発明者は、かかる課題を解決するため引
き続き改良研究を重ねた結果、特願平7−234696
号の方法において、1分子中に単一のSi原子を含むア
ミノシラン化合物を予め炭化残留率の高い有機溶媒で混
合希釈したのち熱硬化性樹脂液中に滴下するとアミノ基
と樹脂間の反応進行が緩和され、Si源が高配合比率の
条件下においても効果的に発熱を抑制した状態で均一な
成分混合ができることを見出した。
【0013】本発明は前記の知見に基づいて開発された
もので、その目的とする解決課題は、Siが連続相とし
て分布する均一緻密な複合組織構造を備える高耐酸化性
のSi含有ガラス状カーボン材を、材質欠陥のない状態
で工業的に得るための製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めの本発明によるSi含有ガラス状カーボン材の製造方
法は、1分子中に単一のSi原子を含むアミノシラン化
合物を炭化残留率の高い有機溶媒で混合希釈し、該希釈
溶液を熱硬化性樹脂液中に滴下して撹拌混合し、得られ
たアミノシラン含有樹脂組成物を所定形状に成形硬化し
たのち、成形体を非酸化性雰囲気下で800℃以上の温
度により焼成炭化処理することを構成上の特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明において、アミノシラン化
合物はガラス状カーボン組織にSiを原子レベルで分散
複合させるSi源となる原料成分で、1分子中に単一の
Si原子を含むアミノシラン化合物が選択的に使用され
る。1分子中に2個以上のSi原子が結合したポリシラ
ンでは熱硬化性樹脂液との混合段階で凝集現象が発生し
易く、またアミノ基以外の有機官能基、例えばメチル
基、ビニル基等の有するシラン化合物では熱硬化性樹脂
と直接反応しないため、混合時に分離したり、会合、多
量化(高分子化)が生じて原子レベルでのSi分散化が
不可能となる。
【0016】1分子中に単一のSi原子を含むアミノシ
ラン化合物は、下記の一般式(化1)で表され、通常、
アミン系シランカップリング剤として市販されている。
【0017】
【化1】
【0018】アルコキシ基を含有するアミン系シランカ
ップリング剤としては、3−アミノプロピルトリエトキ
シシラン(SiC9H23NO3)、N−(2−アミノエチル)−3
−アミノプロピルトリメトキシシラン(SiC8H22N2O3) 、
N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチル
ジメトキシシラン(SiC8H22N2O2) 、p−〔N−(2−ア
ミノエチル)アミノメチル〕フェネチルトリメトキシシ
ラン(SiC14H2 6N2O3)、4−アミノブチルジメチルメトキ
シシラン(SiC7H19NO) 、4−アミノブチルトリエトキシ
シラン(SiC10H2 5NO3) 、N−(2−アミノエチル)−3
−アミノプロピルトリス(2−エチルヘキシソ)シラン
(SiC29H6 4N2O3)、p−アミノフェニルトリメトキシシラ
ン(SiC9H15NO3)、p−アミノフェニルトリエトキシシラ
ン(SiC9H15NO3)、3−(1−アミノプロポキシ)3,3
−ジメチル−1−プロペニルトリメトキシシラン(SiC11
H2 5NO4) 、3−アミノプロピルトリス(メトキシエトキ
シエトキシ)シラン(SiC18H4 1NO9) 、3−アミノプロピ
ルジメチルエトキシシラン(SiC7H19NO) 、3−アミノプ
ロピルメチルジエトキシシラン(SiC8H21NO2)、3−アミ
ノプロピルトリメトキシシラン(SiC9H23NO3)、ω−アミ
ノウンデシルトリメトキシシラン(SiC14H3 3NO3) 、1−
トリメトキシシリル−2−(p,m−アミノメチル)フ
ェニルエタン(SiC12H2 1NO3) 、6−(アミノヘキシルア
ミノプロピル)トリメトキシシラン(SiC12H3 0N2O3)、N
−(トリエトキシシリルプロピル)尿素(SiC10H1 4N
2O4)、トリメトキシシリルプロピルジエチレントリアミ
ン(SiC10H2 7N3O3)などが例示される。
【0019】また、アルコキシ基を含有しないアミン系
シランカップリング剤としては、3−アミノプロピルト
リメチルシラン(SiC6H17N)、3−アミノプロピルジエチ
ルメチルシラン(SiC8H21N)などが挙げられる。
【0020】これらのアミノシラン化合物は、炭化する
際にSi以外の有機成分が熱分解して揮散するため可及
的に低分子量のものを用いることが好ましい。したがっ
て、本発明に最も好適なアミノ基含有シラン化合物は3
−アミノプロピルトリエトキシシランである。
【0021】上記の1分子中に単一のSi原子を含むア
ミノシラン化合物(以下、単に「アミノシラン化合物」
という)は、炭化残留率の高い有機溶媒に混合して希釈
化する。炭化残留率の高い有機溶媒とは、揮発成分が少
なく、固形物を焼成処理した際に炭化物として残留する
比率が高い性質を有する有機溶媒を指す。この種の有機
溶媒としては、例えばフルフリルアルコール、フルフラ
ール、フェノール、フラン、テトラヒドロフラン等が挙
げられるが、特に滴下する熱硬化樹脂液との親和性がよ
く、かつ焼成処理によるガラス状カーボンに転化するフ
ルフリルアルコール、フルフラールまたはこれらの混合
物が好ましく用いられる。これに対し、揮発性のあるア
セトンやアルコール等の有機溶媒を用いると、滴下混合
した熱硬化樹脂液を成形硬化する段階で著しい体積収縮
を伴う関係で破損が生じ易く、また残留した溶媒成分は
硬化時に揮散して組織内部にポアが生成する。
【0022】炭化残留率の高い有機溶媒は、アミノシラ
ン化合物と混合する過程で僅かに反応するが均一混合を
阻害するほどの増粘現象を伴うことはない。該有機溶媒
によるアミノシラン化合物の希釈度合には特に制約はな
いが、概ね希釈倍率が0.5〜3倍程度になるように調
整することが好ましい。
【0023】アミノシラン化合物を炭化残留率の高い有
機溶媒で混合希釈した希釈溶液は、ついで熱硬化性樹脂
液に滴下する。熱硬化性樹脂液は焼成炭化処理によりガ
ラス状カーボンに転化する炭素源となるもので、例えば
液状のフェノール系樹脂、フラン系樹脂、ポリイミド系
樹脂、ポリカルボジイミド系樹脂、ポリアクリロニトリ
ル系樹脂、ピレン−フェナントレン系樹脂、ポリ塩化ビ
ニル系樹脂、エポキシ系樹脂あるいはこれらの混合樹脂
等を用いることができる。特に樹脂を非酸化性雰囲気下
で800℃の温度により焼成したときに残留する残炭率
が高く、かつ珪素源成分と混合した際にシラン化合物中
のアミノ基が作用して緩徐に脱水縮合反応を生じるフェ
ノール系樹脂またはフラン系樹脂の初期縮合物もしくは
これらの混合樹脂液が好適に使用される。
【0024】熱硬化性樹脂液へ希釈溶液を滴下するに当
たっては、十分な撹拌ならびに冷却条件下で行う。滴下
混合を進めると、アミノシラン化合物中のアミノ基が他
の官能基(アルコキシ基)に優先して熱硬化性樹脂と結
合し、脱水縮合反応が進行する。例えば、3−アミノプ
ロピルトリエトキシシランをフェノール樹脂液中に滴下
しながら撹拌混合すると、下記の化2および化3に示す
ような二段階の反応が進行する。
【0025】
【化2】
【0026】
【化3】
【0027】上記の反応を介して発熱を伴いながらアミ
ノシラン化合物は熱硬化性樹脂中に分散するが、本発明
においてはアミノシラン化合物が炭化残留率の高い有機
溶媒で希釈化した状態で熱硬化性樹脂液に滴下されるか
ら、激しい反応の進行は緩和され、極度の発熱は効果的
に抑制される。したがって、アミノシラン化合物を高配
合比率で熱硬化性樹脂液に添加しても、反応系の粘度が
高まらず、常に良好な流動性を維持したまま均一混合系
のアミノシラン含有樹脂組成物が形成される。また、こ
の段階でアミノシラン化合物中のアルコキシ基は熱硬化
性樹脂と殆ど反応せず、アミノ基が樹脂成分と結合して
Siを中心として分子が巨大化した特有の形態となる。
このため、相対的にアルコキシ基の反応性は減退するか
らアルコキシ基と樹脂成分との反応は抑制され、同時に
アミノシラン同士の重合に伴う凝集化が抑制されるた
め、混合溶液は凝集粒子を含まない極めて均質な連続相
を呈する。
【0028】このようにして形成されたアミノシラン含
有樹脂組成物は、そのまま放置しておくと蓄熱作用によ
り硬化反応が進行し、不均質組成の混合分散状態となり
易いため、冷却保存して硬化反応を抑制し、成形段階で
再び緩徐な流動を与えて混合状態の均質性を高める操作
を施すことが好ましい。
【0029】アミノシラン含有樹脂組成物は、必要に応
じて真空脱気処理して吸蔵する空気を除去したのち所定
形状に成形する。成形手段は、通常、注型成形や遠心成
形により行われるが、半硬化した段階で圧縮成形、押出
成形、トランスファー成形などを適用することもでき
る。成形された成形体は、70〜150℃の温度に加熱
して硬化しガラス状カーボンの前駆体とする。
【0030】ついで、硬化成形体を非酸化性雰囲気に保
持された加熱炉に移し、800℃以上の温度域、好まし
くは1000〜2500℃の温度範囲で焼成炭化処理す
る。該焼成炭化処理の段階で熱硬化性樹脂成分ならびに
炭化残留率の高い有機溶媒の残留物は共にガラス状カー
ボンに転化する。
【0031】上記の工程で製造されるSi含有ガラス状
カーボン材は、実質的に熱硬化性樹脂の成形体を焼成炭
化して得られる炭素質構造体であって、原子レベルのS
iがガラス状カーボン組織中に均一な連続相として分布
する複合組織性状を備えている。この組織性状は、Si
成分が微粒子状態で分散する複合組織とは異なり、組織
内部にSiとCとの粒界が存在しないアロイ状の連続固
溶相を呈しており、巨視的にはガラス状カーボン単独の
組織構造と実質的に相違が認められず、他方、微視的に
はガラス状カーボン組織の一部のCがSiに置換結合さ
れた独特の複合形態となっている。特に本発明によると
ガラス状カーボン組織に占めるSi含有量が5重量%を
越える高配合領域においても、材質欠陥がなく、高強度
と高耐酸化性を兼備する高品位のSi含有ガラス状カー
ボン材を得ることが可能となる。
【0032】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して具
体的に説明する。しかし、本発明の範囲はこれらの実施
例に制約されるものではない。
【0033】実施例1〜3 3−アミノプロピルトリエトキシシラン〔東芝シリコー
ン(株)製、TSL8345)をSi源とし、これに0.5倍
容量のフルフリルアルコールを混合して十分に撹拌し、
均一な希釈溶液を作製した。この希釈溶液を流水冷却槽
中で撹拌状態にあるフェノール樹脂初期縮合物〔住友デ
ュレズ(株)製、PR-940〕中に滴下し、撹拌混合操作を
1時間継続した。この際、希釈溶液の滴下量を変え、最
終的にガラス状カーボン組織に占めるSi含有量が7、
10、15重量%になるように設定した。撹拌混合した
アミノシラン含有樹脂組成物を冷蔵庫(2℃) に入れて1
8時間冷却保存し、再び撹拌機で緩やかに撹拌し、24
時間に亘り溶液を流動状態に保持した。ついで、溶液を
型枠に流入し、真空装置内で脱泡処理を施したのち、7
0〜150℃まで加温して樹脂成分を硬化した。得られ
た硬化成形体を窒素雰囲気に保持された加熱炉に移し、
10℃/hrの昇温速度で2000℃まで加熱して焼成炭
化した。このようにしてSi含有量の異なるSi含有ガ
ラス状カーボン材(縦横300mm 、厚さ5mm) を製造し
た。得られた各Si含有ガラス状カーボン材には、組織
に亀裂やポアの発生は認められず、表面状態はガラス状
の平滑面を呈していた。
【0034】得られた各Si含有ガラス状カーボン材の
嵩密度、曲げ強度および高温域での耐酸化性を測定し、
その結果を表1に示した。なお、耐酸化性は試片を乾燥
空気流で750℃および950℃の温度に40分間処理
した際の重量減少率として示した。
【0035】比較例1〜3 3−アミノプロピルトリエトキシシラン〔東芝シリコー
ン(株)製、TSL8345)をSi源とし、これに有機溶媒
で希釈せず、直接に流水冷却槽中で撹拌状態にあるフェ
ノール樹脂初期縮合物〔住友デュレズ(株)製、PR-94
0〕中に滴下し、撹拌混合操作を1時間継続した。この
際、希釈溶液の滴下量を変え、最終的にガラス状カーボ
ン組織に占めるSi含有量が7、10、15重量%にな
るように設定した。その他は実施例1〜3と同一条件に
よりSi含有ガラス状カーボン材を製造した。得られた
各Si含有ガラス状カーボン材には、組織に亀裂やポア
の発生は認められず、表面状態も平滑であったが、Si
成分の分散に若干偏析が認められた。各Si含有ガラス
状カーボン材の嵩密度、曲げ強度および高温域での耐酸
化性を測定し、その結果を表1に併載した。
【0036】実施例4 Si源を3−アミノプロピルジエチルメチルシランに代
え、その他は実施例2と同一条件によりSi含有量が1
0重量%のSi含有ガラス状カーボン材を製造した。得
られたSi含有ガラス状カーボン材には、組織に亀裂や
ポアの発生は認められず、表面状態はガラス状の平滑面
を呈するものであった。このSi含有ガラス状カーボン
材について測定された嵩密度、曲げ強度および高温域で
の耐酸化性を表1に併載した。
【0037】実施例5 3−アミノプロピルトリエトキシシランを希釈化する有
機溶剤としてフルフラールを用い、その他は実施例2と
同一条件によりSi含有量が10重量%のSi含有ガラ
ス状カーボン材を製造した。得られたSi含有ガラス状
カーボン材には、組織に亀裂やポアの発生は認められ
ず、表面状態はガラス状の平滑面を呈するものであっ
た。このSi含有ガラス状カーボン材について測定され
た嵩密度、曲げ強度および高温域での耐酸化性を表1に
併載した。
【0038】比較例4 3−アミノプロピルトリエトキシシランを希釈化する有
機溶剤にエタノールを用い、その他は実施例2と同一条
件によりSi含有量が10重量%のSi含有ガラス状カ
ーボン材を製造した。得られたSi含有ガラス状カーボ
ン材には、組織内部に微小なボイドが多数認められた。
このSi含有ガラス状カーボン材について測定された嵩
密度、曲げ強度および高温域での耐酸化性を表1に併載
した。
【0039】比較例5 Si源にテトラエトキシシランを、また希釈化する有機
溶剤にエタノールを用い、その他は実施例2と同一条件
によりSi含有ガラス状カーボン材を製造したところ、
フェノール樹脂液に滴下する段階で反応系が著しくゲル
化し、成形硬化時に成形体に割れが発生してSi含有ガ
ラス状カーボン材を得ることができなかった。
【0040】
【表1】
【0041】表1の結果から、本発明の製造方法から得
られたSi含有ガラス状カーボン材は本発明の条件を外
れる製造方法による比較例品に比べて、曲げ強度および
耐酸化性能が向上していることが認められた。
【0042】
【発明の効果】以上のとおり、本発明に従えば原子レベ
ルのSi成分を連続相として含有する均質緻密な複合組
織を備え、かつ優れた耐酸化性を有するSi含有ガラス
状カーボン材を工業的に製造することができる。特にS
i含有量が高い製造条件でも、常に材質欠陥のない高品
位のSi含有ガラス状カーボン材を容易に得ることがで
きる。したがって、組織中からの微細粒子の脱離や酸化
損傷が生じ易い苛酷な条件においても十分に安定した使
用状態が保証されるため、半導体用部材をはじめ多様な
用途分野を対象とする工業用部材の製造技術として極め
て有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01L 21/3065 H01L 21/302 101L

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1分子中に単一のSi原子を含むアミノ
    シラン化合物を炭化残留率の高い有機溶媒で混合希釈
    し、該希釈溶液を熱硬化性樹脂液中に滴下して撹拌混合
    し、得られたアミノシラン含有樹脂組成物を所定形状に
    成形硬化したのち、成形体を非酸化性雰囲気下で800
    ℃以上の温度により焼成炭化処理することを特徴とする
    Si含有ガラス状カーボン材の製造方法。
  2. 【請求項2】 炭化残留率の高い有機溶媒が、フルフリ
    ルアルコール、フルフラール、またはこれらの混合物で
    ある請求項1記載のSi含有ガラス状カーボン材の製造
    方法。
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