JPH11295830A - ハロゲン化銀粒子の製造方法及び粒子 - Google Patents

ハロゲン化銀粒子の製造方法及び粒子

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JPH11295830A
JPH11295830A JP9446398A JP9446398A JPH11295830A JP H11295830 A JPH11295830 A JP H11295830A JP 9446398 A JP9446398 A JP 9446398A JP 9446398 A JP9446398 A JP 9446398A JP H11295830 A JPH11295830 A JP H11295830A
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halide grains
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silver
grains
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Haruhiko Masutomi
春彦 益富
Satoshi Ito
聡 伊藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハロゲン化銀粒子製造時の生産性を高め、ハ
ロゲン化銀粒子のサイズや晶癖の粒子間均一性に優れた
ハロゲン化銀粒子の製造方法及び該製造方法で得られる
ハロゲン化銀粒子の提供。 【解決手段】 分散媒とハロゲン化銀粒子を用いて形成
するハロゲン化銀乳剤の形成中に、該ハロゲン化銀粒子
を濃縮する過程を有する製造方法であって、核生成後よ
り熟成終了迄の間に、液量を核生成後の液量の0.9以
下に濃縮し、かつ少なくとも熟成終了後のある一定期
間、該ハロゲン化銀乳剤から除去される水溶液の量を式
(1)に従って行うことを特徴とするハロゲン化銀粒子
の製造方法。 式(1) Q=A×(Q1+Q2+Q3) Q : 排液量 Q1: 銀塩水溶液流量 Q2:ハロゲン塩水溶液流量 Q3:その他の添加液流量 A>0.1

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はハロゲン化銀粒子の
製造方法及びハロゲン化銀粒子(以下、単に粒子ともい
う)に関する。更に詳しくは、生産性に優れ、ハロゲン
化銀粒子のサイズや晶癖が粒子間で均一に制御された粒
子形成過程を有するハロゲン化銀粒子の製造方法及びハ
ロゲン化銀粒子に関する。
【0002】
【従来の技術】写真用ハロゲン化銀粒子の形成過程は、
ハロゲン化銀粒子核形成、結晶成長の2つの過程に大別
される。
【0003】更に、不要な塩を除去する脱塩の過程をへ
てハロゲン化銀粒子は製造される。
【0004】特にそれが平板状ハロゲン化銀粒子(以
下、単に平板粒子ともいう)であるとき、ハロゲン化銀
粒子核形成と結晶成長の間に熟成工程を経る場合があ
る。又、予め調製した種晶乳剤を成長させて調製するこ
ともある。その際、成長工程においては、成長に伴う結
晶の表面積の増加に応じて成長物質の供給速度を増加
し、設定した晶相毎にそれぞれ線成長速度を一定に保持
して、安定かつ速やかな成長を行わせるのが常である。
従って、脱塩、熟成を含めると4つの過程でハロゲン化
銀乳剤は製造される。
【0005】この4過程の中で、特に結晶成長過程で
は、成長に要する銀イオン及びハロゲン化物イオンの供
給に伴い大量の水が添加されるので、反応容器内の液量
が増大する。特公昭59−43727号公報、特開平6
−67326号公報には、結晶成長中に限外濾過装置を
用いて連続的に乳剤を濃縮する技術が開示されている。
【0006】この技術によれば、反応容器中の総液量を
一定に維持しながら連続的に結晶成長を行うことが可能
なので、粒子製造の生産性が向上する。
【0007】一方、ハロゲン化銀粒子に伴って混在する
可溶性塩を除去する脱塩過程では、特開昭58−140
322号公報等には凝集沈降剤を用いた脱塩法が開示さ
れている。また同50−45625号公報等には限外濾
過装置を用いた脱塩法が開示されている。近年、写真業
界ではより一層の高感度化、高画質化を図るべく、ハロ
ゲン化銀粒子1個当たりの感度/サイズ比を向上させる
技術が研究されているが、その一つとして平板状ハロゲ
ン化銀を用いる技術が特開昭58−111935号、同
58−111936号、同58−111937号、同5
8−113927号、同59−99433号等に記載さ
れている。
【0008】これらの平板状ハロゲン化銀粒子を6面体
や8面体、或いは12面体粒子等のいわゆる正常晶ハロ
ゲン化銀粒子と比較すると、ハロゲン化銀粒子の単位体
積当たりの表面積が大きくなるため、同一体積の場合に
は平板粒子の方が粒子表面により多くの分光増感色素を
吸着させることができ、一層の高感度化を図れる利点が
ある。一般に、臭化銀又は沃臭化銀を基本とする、平行
2枚双晶を有する粒子の調製の際はその側面の成長活性
がきわめて高いために核生成初期に生成した極一部の2
枚双晶核は同時に生成した他の正常晶核の再溶解で放出
される溶質を受けて平行2枚双晶のみが選択的に生き残
るオストワルド熟成過程を利用する。
【0009】この後この平板粒子に比較的高pBrで硝
酸銀溶液とハロゲン化物溶液をダブルジェット法で成長
させると種粒子のサイズ分布を維持又は縮小させること
が出来る。しかし、オストワルド熟成過程に頼りすぎる
と、種晶段階で平行2枚双晶比率が上がるのと同時に過
度の熟成による分布の劣化を伴ってしまう。
【0010】従って高度に分布の狭い形の揃った平板粒
子を調製するには、まず平板種晶段階でサイズ分布を狭
くすることが望まれる。平板状ハロゲン化銀粒子の単分
散技術としては、特開平1−213637号では、平行
な双晶面を2枚有する単分散なハロゲン化銀粒子で感度
や粒状性等を改良する技術について述べられている。
【0011】また、特開平5−173268号、及び特
開平6−202258号では、粒径分布の小さな平板状
ハロゲン化銀粒子を製造する方法が示されている。この
平板状粒子の核生成に関しては前述した成長過程と同様
に銀イオン及びハロゲン化物イオンの供給に伴い水が添
加されるので反応容器内の液量が増大することになる
が、むしろ均一性をあげるため一般的に母液と呼ばれる
大量のゼラチン水溶液が必要とされ生産性が低くなる。
【0012】上述したように、ハロゲン化銀粒子の形成
過程で乳剤の濃縮や脱塩をする方法は各々公知である。
又、均一性を高める技術についても多くの技術が開示さ
れている。しかしながら生産性を高めつつハロゲン化銀
粒子の均一性を更に高めるという点に関しては、有効な
技術は具体的には開示されていない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ハロ
ゲン化銀粒子製造時の生産性を高め、ハロゲン化銀粒子
のサイズや晶癖の粒子間均一性に優れたハロゲン化銀粒
子の製造方法及び該製造方法で得られるハロゲン化銀粒
子を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は以下
の構成により達成される。
【0015】1.分散媒とハロゲン化銀粒子を用いて形
成するハロゲン化銀乳剤の形成中に、該ハロゲン化銀粒
子を濃縮する過程を有する製造方法であって、核生成後
より熟成終了迄の間に、液量を核生成後の液量の0.9
以下に濃縮し、かつ少なくとも熟成終了後の粒子成長の
ある一定期間、該ハロゲン化銀乳剤から除去される水溶
液の量を式(1)に従って行うことを特徴とするハロゲ
ン化銀粒子の製造方法。
【0016】式(1) Q=A×(Q1+Q2+Q3) Q :排液量 Q1:銀塩水溶液流量 Q2:ハロゲン塩水溶液流量 Q3:その他の添加液流量 A>0.1 2.前記濃縮過程が、ハロゲン化銀乳剤を形成する反応
容器の外部に具備された循環経路中に設置されている限
外濾過装置であることを特徴とする前記1に記載のハロ
ゲン化銀粒子の製造方法。
【0017】3.前記ハロゲン化銀乳剤中のハロゲン銀
粒子が平均アスペクト比2以上、TPAが90%以上で
ある平板状ハロゲン化銀粒子であることを特徴とする前
記1又は2に記載のハロゲン化銀粒子の製造方法。
【0018】4.濃縮過程が、ハロゲン化銀乳剤を形成
する反応容器の外部に具備された循環経路中に設置され
ている限外濾過装置であることを特徴とする前記1、2
又は3に記載のハロゲン化銀粒子の製造方法。
【0019】5.平板状ハロゲン化銀粒子が単分散度1
5%以下であることを特徴とする前記3に記載のハロゲ
ン化銀粒子の製造方法。
【0020】6.濃縮過程が、ハロゲン化銀乳剤を形成
する反応容器の外部に具備された循環経路中に設置され
ている限外濾過装置であることを特徴とする前記1、
2、3、4又は5に記載のハロゲン化銀粒子の製造方
法。
【0021】7.前記1〜6の何れか1項に記載のハロ
ゲン化銀粒子の製造方法により得られることを特徴とす
るハロゲン化銀粒子。
【0022】以下、本発明を詳細に述べる。
【0023】通常、ハロゲン化銀粒子の形成過程は、特
にそれが平板状ハロゲン化銀粒子である場合、ハロゲン
化銀粒子核形成、熟成、結晶成長、脱塩の4過程に大別
される。
【0024】ハロゲン化銀粒子核形成は、保護コロイド
を水に溶かした分散媒存在下で、銀塩溶液とハロゲン化
物塩溶液を添加・反応させることによってハロゲン化銀
の微細な核を形成する過程である。これは、後の結晶成
長過程を行うのと同じ反応容器内で行っても良く、予め
別の反応容器で行っても良く、更には別の混合機で行っ
て連続的に反応容器に供給する態様であっても良い。
【0025】次に、平板状ハロゲン化銀粒子である場合
など必要に応じて、熟成過程を経る。これは、非平板状
粒子など意図しないハロゲン化銀粒子を優先的に消失さ
せる過程であって、ハロゲン化銀乳剤中のハロゲン化銀
粒子の形状の均一性を高めるためにこの過程を有するこ
とが好ましい。
【0026】次に、前述したハロゲン化銀粒子核形成又
は熟成過程を経たハロゲン化銀粒子に、新たに銀イオン
及びハロゲン化物イオン等の溶質を供給して、ハロゲン
化銀結晶のサイズを任意のサイズに増大させる成長過程
を有する。この過程は、前記溶質を水溶液の形態で供給
すること、別の混合機内で形成したハロゲン化銀微粒子
乳剤の形態で供給すること、又は両者を併用することな
どを含み、何れの形態を用いても良い。
【0027】溶質の供給によって反応容器内には不要の
可溶性塩類が混在することになるが、この可溶性塩類を
除去する脱塩過程を結晶成長過程に続いて設けることが
好ましい。この脱塩過程は、必ずしも結晶成長過程の後
のみである必要はなく、ハロゲン化銀粒子形成中に必要
に応じて任意に設けることが可能である。
【0028】本発明では、上記ハロゲン化銀粒子の形成
中に、少なくとも1回、濃縮する過程を有する。濃縮と
は、ハロゲン化銀乳剤中のハロゲン化銀粒子の量を変え
ずに分散媒のみを除去することであって、第1の効果と
してある量のハロゲン化銀粒子を含有する乳剤全体の容
量を減らすことができるため、生産性に優れることにな
る。特に、結晶成長過程では成長に必要な溶質と共に大
量の水が反応容器内に添加されるので、該結晶成長過程
に並行して連続的に濃縮を行うことでこの効果が顕著で
あり、好ましい。更に平板粒子においては核生成の際は
多量の母液がその均一性を上げるために必要とされるの
で核生成後の濃縮も極めて効果的である。
【0029】以下に従来の正常晶に比較し生産性の低い
平板粒子を例として本発明を詳細に説明する。平板粒子
は、前述したように核形成→熟成→成長と言う過程で製
造することができる。
【0030】(I)核生成 平板粒子の核形成は、一般にはゼラチンの水溶液を保持
する反応容器に、銀塩水溶液とハロゲン化アルカリ水溶
液を添加して行われるダブルジェット法、或いはハロゲ
ン化アルカリを含むゼラチン溶液に銀塩水溶液を添加す
るシングルジェット法が用いられる。また、必要に応じ
て銀塩を含むゼラチン溶液にハロゲン化アルカリ水溶液
を添加する方法も用いることができる。更に、必要に応
じて特開平2−44335号に開示されている混合器に
ゼラチン溶液と銀塩溶液とハロゲン化アルカリ水溶液を
添加し、ただちにそれを反応容器に移すことによって平
板粒子の核形成を行うこともできる。また、米国特許第
5,104,786号に開示されているように、ハロゲ
ン化アルカリと保護コロイド溶液を含む水溶液をパイプ
に通し、ここに銀塩水溶液を添加することにより核形成
を行うこともできる。核形成は、保護コロイドを分散媒
とし、pBrが1〜4の条件で分散媒形成することが好
ましく、特に1〜3.5の範囲が好ましい。
【0031】保護コロイドとしては、ゼラチンと保護コ
ロイドポリマーがある。ゼラチンの種類としては、通常
アルカリ処理ゼラチンが用いられるが、フタル化ゼラチ
ンでも良く、好ましくは低分子量ゼラチン(分子量:3
000〜4万)及び酸化処理ゼラチンである。保護コロ
イドポリマーとしては、以下にあげるものが適当であ
る。
【0032】分散媒の濃度は、10重量%以下が好まし
く、更に1重量%以下がより好ましい。核形成時の温度
は、5〜60℃が好ましいが、平均粒径が0.5μm以
下の微粒子平板粒子を作る場合は5〜48℃がより好ま
しい。分散媒のpHは、8以下、好ましくは6以下が望
ましい。添加するハロゲン化アルカリ溶液の組成として
は、Br-に対するI-含量は生成するAgBrIの固溶
限界以下、好ましくは10モル%以下である。
【0033】従来ハロゲン化銀写真乳剤を製造するに際
し、ゼラチン水溶液を製造する工程、ゼラチン水溶液に
水溶性ハロゲン化物及び水溶性銀塩を添加する工程、乳
剤を支持体上に塗布する工程など乳剤原料を攪拌した
り、移動したりする場合には発泡現象が著しく、消泡剤
が用いられる。これらの技術については特開昭44−9
497号に詳しく述べられている。
【0034】(II)熟成 (I)における核形成では、平板粒子以外の微粒子(特
に、八面体及び一重双晶粒子)が形成される。次に述べ
る成長過程に入る前に平板粒子以外の粒子を消滅せし
め、平板粒子となるべき形状でかつ単分散性の良い核を
得る必要がある。これを可能とするために、核形成に引
き続いてオストワルド熟成を行うことがよく知られてい
る。核形成後直ちにpBrを調節した後、温度を上昇さ
せ六角平板粒子比率が最高となるまで熟成を行う。この
際に、ゼラチン濃度を調節する場合もある。ゼラチン濃
度は、分散媒溶液に対して1〜10重量%が好ましい。
この時使用するゼラチンは、通常アルカリ処理ゼラチン
であるが、酸化処理ゼラチンやフタル化ゼラチンを用い
る事も好ましい。ゼラチン添加のタイミングは熟成過程
のどの時期でも良い。また、ゼラチンの代わりに上述し
た保護コロイドポリマーを用いても良い。熟成の温度
は、通常40〜80℃、好ましくは50〜80℃であ
り、pBrは1.2〜3.0である。また、この時平板
粒子以外の粒子を速やかに消失せしめるために、ハロゲ
ン化銀溶剤を添加しても良い。このように熟成して、1
00%平板状粒子のみとする。
【0035】(III)成長 熟成過程終了後、成長過程にはいる。結晶成長期におけ
るAg+、及びハロゲンイオンの添加速度を結晶臨界成
長速度の通常20〜100%、30〜100%の結晶成
長速度になるようにする事が好ましい。
【0036】この場合、結晶成長とともに銀イオン及び
ハロゲンイオンの添加速度を増加させていく。また、予
め調製しておいたAgX微粒子を反応容器に添加して成
長させる方法や、特開平1−183417号の如く反応
容器の外の混合器でAgX微粒子を形成し直ちにその微
粒子を反応容器に添加して成長を行う方法も行える。
【0037】以上が平板粒子の形成の概要であるが、
(II)の熟成操作は、数10分から1時間以上にも及び
生産性を低くしている。又、数Lの小さなスケールでは
速やかな昇温が行えるが、これを数100Lから数10
000L以上といった生産スケールでは、昇温操作だけ
でも数10分から数時間に及ぶことになる。鋭意検討の
結果、核生成直後より濃縮を行うことにより(II)の熟
成時間が大幅に短縮できることがわかった。そして、副
次的な効果であるが熟成時間短縮を行った結果、平板粒
子の粒子径分布が大幅に向上し、かつ平板比率も著しく
向上する結果が得られた。粒子間距離を短くすることに
より物質移動が促進されたものと考えられる。
【0038】本発明の好ましい濃縮度は、核生成終了後
の液量の90%以下であり、好ましくは70%以下、更
に好ましくは50%以下である。又、熟成環境を整える
ため加えたゼラチン水溶液やpBr制御のためのハロゲ
ン塩水溶液、硝酸銀水溶液などを加えた場合は、これら
の添加量と核生成後の液量を加えた総量を90%以下、
好ましくは70%以下、更に好ましくは50%以下にす
ればよい。
【0039】更に生産性を向上させるため我々は試行錯
誤により鋭意検討した結果、(III)の成長に関しては
以下の式に従うことにより、単分散性を損なうことなく
濃縮可能なことが見出された。
【0040】Q=A×(Q1+Q2+Q3) Q :排液量 Q1:銀塩水溶液流量 Q2:ハロゲン塩水溶液流量 Q3:その他の添加液流量 Aは、0.1以上であり、好ましくは0.5以上、最も
好ましくは1.0以上である。
【0041】本発明で使用される濃縮手段としては、限
外濾過、中和透析、電気透析などが使用可能であるが、
限外濾過装置がもっとも好ましい。限外濾過装置は、公
知の種々の形態ものを使用することが可能で、公知の種
々の形態で反応容器に具備することが可能である。本発
明ではその中でも、中空子膜を内部に有する限外濾過装
置を用いることが好ましく、更に該装置を反応容器に接
続された外部循環経路中に具備する形態が最も好まし
い。本発明で好ましく使用される反応容器、及び限外濾
過装置の上記以外の点については、上記特公昭59−4
3727号公報等を参考にすることができる。
【0042】次に、限外濾過装置が反応容器に接続され
た外部循環経路中に具備する形態で結晶成長過程に並行
して連続的に濃縮を行う場合の具体的な一例としての方
法を、図1に示す本発明のハロゲン化銀粒子の製造方法
を図1に示すのハロゲン化銀乳剤の製造装置一例の概念
図を参考に説明する。
【0043】反応容器1は最初から、分散媒体3を含有
している。この装置は反応容器1に、少なくとも1種の
銀塩水溶液、好ましくは硝酸銀水溶液を添加するための
銀添加ライン4と、少なくとも1種のハロゲン化塩水溶
液、好ましくは臭素や沃素、塩素のアルカリ金属塩水溶
液、又はアンモニウム塩水溶液、或いはそれらの混合物
を添加するためのハライド添加ライン5を有する。ま
た、ハロゲン化銀乳剤調製過程で、分散媒体及び反応物
溶液(分散媒体とハロゲン化銀粒子の混合物)を撹拌す
るための撹拌機構2を有する。この撹拌機構はあらゆる
通常の様式が可能である。銀塩水溶液は銀添加ライン4
から、銀添加バルブ20によって制御された流量で反応
容器に添加される。ハロゲン塩水溶液はハライド添加ラ
イン5から、ハライド添加バルブ21によって制御され
た流量で反応容器に添加される。この銀添加ライン4及
びハライド添加ライン5を通じての溶液の添加は、液面
添加でもよいが、より好ましくは撹拌機構2近傍の液中
に添加する方がよい。撹拌機構2は、銀塩水溶液及びハ
ロゲン塩水溶液を分散媒体と混合させ、可溶性銀塩が可
溶性ハロゲン化物塩と反応してハロゲン化銀を生成する
ことを可能にする。
【0044】第一段階のハロゲン化銀形成中、即ち核生
成工程において、基盤となるハロゲン化銀核粒子を含む
分散物(反応物溶液)が生成される。続いて必要に応じ
て熟成工程を経て核形成工程を終了する。その後、銀塩
水溶液及びハロゲン塩水溶液の添加を継続すると、第二
段階のハロゲン化銀形成、即ち成長工程段階へ移り、そ
の工程で反応生成物として生じた追加のハロゲン化銀
が、最初に生成されたハロゲン化銀核粒子の上に沈積し
て、これら粒子のサイズを増大させる。本発明では、反
応容器への銀塩水溶液及びハロゲン塩水溶液の添加によ
る粒子形成過程で、反応容器内の反応物溶液の一部が循
環ポンプ13によって、液取り出しライン8を通して限
外濾過ユニット12に送られ、液戻しライン9を通して
反応容器に戻される。その際、液戻しライン9の途中に
設けられた圧力調整用バルブ18により限外濾過ユニッ
ト12にかかる圧力を調節して、反応物溶液中に含まれ
る水溶性塩の溶液の一部を限外濾過ユニットにより分離
し、透過液排出ライン10を通して系外に排出する。こ
のような方法で、反応容器への銀塩水溶液及びハロゲン
塩水溶液の添加による粒子成長過程においても、粒子間
距離を任意に制御しながらの粒子形成が可能となる。
【0045】本発明においてこの方法を適用するときに
は、限外濾過膜によって分離される水溶性塩の溶液の透
過液量(限外濾過フラックス)を任意に制御することが
好ましい。例えばその場合には、透過液排出ライン10
の途中に設けられた流量調節用バルブ19を用いて限外
濾過フラックスを任意に制御できる。その際、限外濾過
ユニット12の圧力変動を最小限に抑えるために、透過
液戻りライン11の途中に設けられたバルブ25を開放
して透過液戻りライン11を使用しても良い。或いは、
バルブ25を閉じて透過液戻りライン11を使用しなく
とも良く、それは操作条件により任意に選択することが
可能である。また限外濾過フラックスの検出には透過液
排出ライン10の途中に設けられた流量計14を使用し
ても良いし、透過液受け容器27と秤28を用いて重量
変化により検出しても良い。
【0046】本発明において、粒子成長過程における限
外濾過法による濃縮は、粒子形成過程を通じて連続して
実施しても良いし、断続的に実施しても良い。但し、粒
子成長過程において限外濾過法を適用する場合には、限
外濾過工程への反応物溶液の循環を開始した以降は、少
なくとも粒子形成終了時まで反応物溶液の循環を継続す
ることが好ましい。従って、濃縮を中断している時も限
外濾過ユニットへの反応物溶液の循環は継続しているこ
とが好ましい。これは、反応容器内の粒子と限外濾過工
程の粒子間における成長偏在を回避するためである。ま
た、限外濾過工程を通る循環流量は十分に高くすること
が好ましい。具体的には、ハロゲン化銀反応物溶液の液
取り出しライン及び液戻しラインを含む限外濾過ユニッ
ト内における滞留時間は、30秒以内が好ましく、15
秒以内がより好ましく、更には10秒以内が特に好まし
い。
【0047】液取り出しライン8、液戻しライン9、限
外濾過ユニット12及び循環ポンプ13等を含む限外濾
過工程の容積は、反応容器容積の30%以下であること
が好ましく、20%以下であることがより好ましく、1
0%以下であることが特に好ましい。
【0048】次に、限外濾過装置及びその操作方法につ
いて詳細に説明する。
【0049】限外濾過装置は、ハロゲン化銀粒子の製造
時に特別な利用性をもつ手段として従来から広く知られ
ている。一般に膜が用いられ、これは不要の物質は通過
させ、そしてハロゲン化銀粒子のような必要な物質は通
過させないものである。この選択的な分離は、特定のサ
イズ以下の分子を全て選択的に通し、そしてこれより大
きい分子が残留するように作られている、合成半透性膜
に対し溶液を液圧で押し付けることにより、遂行され
る。
【0050】限外濾過は、半透性限外濾過膜を横切って
圧力差ができるように、反応容器内の分散液を該半透性
限外濾過膜と接触させながら循環させることによって実
施するのが好ましい。一般に、膜は特定の寸法以下の分
子のみ透過することができ、かつそれより大きい分子及
びハロゲン化銀粒子を分散液中に保持するような寸法の
細孔を含む。適当な膜は、好ましくは約500〜30
0,000もしくはそれ以上、より好ましくは約500
〜50,000の分子量範囲の透過カットオフ特性を示
すものの中から選択できる。
【0051】本発明の実施に際しては、カットオフ分子
量は、この範囲外に容易に変えることができる。このカ
ットオフ分子量は、一般的に保護コロイドの分子量より
大きくすべきではないことは容易に理解されよう。
【0052】一般に、特定の透過カットオフ分子量の選
択は、限外濾過の最初におけるハロゲン化銀の粒径と、
乳剤中に保持される必要のある微小分子量の物質〔「滞
留物(retentate)」とも称する〕との関数で
ある。
【0053】限外濾過膜に接触する乳剤の圧力は、広範
囲に変化させてよい。代表的には、本発明の実施につい
ては、限外濾過膜に接触する反応容器内の圧力は、好ま
しくは100palg〜500palgで、代表的には
100palg(7.03kg/cm2)であり、滞留
物の出口圧力は、好ましくは5palg〜10palg
で、代表的には10palg(0.703kg/c
2)以下である。
【0054】膜を横切る圧力差は代表的には40〜60
palg(2.81〜4.22kg/cm2)である。
もちろん、反応容器及び限外濾過膜の構造、乳剤の粘
度、滞留物の濃度及び所望の滞留物の純度に応じて、こ
れらの範囲外の圧力で操作することは当業者が任意に設
定してよいことである。
【0055】限外濾過に使用する膜は、代表的には、極
めて微細な多孔構造の極めて薄い壁をこれにより厚い多
孔質構造上に支持して含む異方性膜である。有用な膜
は、種々の高分子物質、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ
カルボン酸ビニル、ポリ蟻酸ビニル、ポリ酢酸ビニル、
ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリビニルエー
テル、ポリアクリルアミド、ポリイミド、ポリエステ
ル、ポリフルオロアルキレン(例えば、ポリテトラフル
オロエチレン)、及びポリ弗化ビニリデン、ならびにセ
ルロース系ポリマー、例えば、セルロース及びセルロー
スエステル、例えば、酢酸セルロース、酪酸セルロース
及び酢酪酸セルロース製の中から選ばれた任意のもので
あることができる。
【0056】本発明のハロゲン化銀粒子の製造方法で
は、脱塩工程としては、限外濾過、もしくは凝集沈殿法
が選択できる。
【0057】この凝集沈殿法による可溶性塩の除去法と
して、主に以下の方法が知られている。
【0058】(1) ハロゲン化銀乳剤に凝集沈降剤を
添加して乳剤のpHを調節し、乳剤をフロック化して沈
降させ、上澄み液を除去する方法 (2) 化学修飾ゼラチン(例えばアシル化したゼラチ
ン)を用いると乳剤のpHを等電点以下(通常3.3〜
4.7)に調節するだけで乳剤が凝集し、沈降する。こ
れを利用して乳剤を沈降させた後、上澄み液を除去する
方法 (3) 乳剤に酵素を添加して分散媒を酵素分解させ、
乳剤を低粘度化すると乳剤は沈降する。これを利用して
乳剤を沈降させた後、上澄み液を除去する方法 (4) 分量が6万以下の低分子量ゼラチンを60重量
%以上含むゼラチンを分散媒として用いた場合、該乳剤
は自然沈降しやすくなる。これを利用して乳剤を沈降さ
せた後、上澄み液を除去する方法 (5) ゼラチンは脂肪族アルコールの様な水溶性有機
溶剤を加えると、親水性を失ない、沈降する (6) 硫酸アンモニウムの様な塩類、特に多価の塩類
を等電点以下のpH(3〜5)で加えると、塩析を起こ
して沈降する (7) また、これらの2つ以上の併用をあげることが
できる。
【0059】前記のハロゲン化銀乳剤の凝集沈殿法の詳
細に関しては、グラフキデ著、写真の化学と物理(Ch
imie et Physique Photogra
phiques)、第5版、Edition de
1′Usine Nouvelle,パリ、第3部(1
987)、リサーチ ディスクロージャー(Resea
rch Disclosure)、176巻、アイテム
17643(12月、1978年)、同307巻(アイ
テム307105、11月、1989年)等の文献の記
載を参考にすることができる。前記の何れの場合におい
ても、乳剤のpHを乳剤の等電点近傍(pH3〜5)に
調整した時に、沈降が最も促進される。但しpHを下げ
すぎると、親水性基の存在の為に、再溶解する。
【0060】本発明のハロゲン化銀粒子の製造方法で好
ましく適用される凝集沈殿法による脱塩方法としては、
上記の中で特に凝集沈降剤を添加する方法、及び化学修
飾ゼラチンを添加してpHを調節する方法が好ましく、
化学修飾ゼラチンを添加してpHを調節する方法が最も
好ましい。
【0061】次に凝集沈降剤を用いる脱塩法について説
明する。この方法は、ハロゲン化銀粒子に凝集沈降剤を
添加することによりハロゲン化銀粒子をゼラチンと共に
凝集沈殿させ、これを可溶性塩類を含む上澄み液と分離
する。更に凝集沈殿したハロゲン化銀粒子を含むゼラチ
ンの凝析物内に残留する過剰の可溶性塩類を除去するた
め、デカンテーションによる水洗を行う。このような水
洗方法に用いられる凝集沈降剤としては、例えば特開昭
58−140322号公報、同62−32445号公
報、同63−243936号公報等を参考にすることが
できる。
【0062】次に化学修飾ゼラチンを添加してpHを調
節する脱塩法について説明する。本発明でいう化学修飾
ゼラチンとは、ハロゲン化銀粒子を保護コロイドと共に
凝析せしめることができるゼラチンをいう。化学修飾ゼ
ラチンとして、ゼラチン分子のアミノ基の50%以上を
置換した変性ゼラチンを好ましく用いることができる。
以下、これをG剤と称することもある。ゼラチンのアミ
ノ基に対する置換基例は、米国特許第2,691,58
2号公報、同2,614,928号公報に記載がある。
【0063】アミノ基を置換して変性ゼラチンを得るた
めの有用な置換基としては、(1)アルキルアシル、ア
リールアシル、アセチル及び置換、無置換のベンゾイル
等の各アシル基、(2)アルキルカルバモイル、アリー
ルカルバモイル等の各カルバモイル基、(3)アルキル
スルホニル、アリールスルホニル等のスルホニル基、
(4)アルキルチオカルバモイル、アリールチオカルバ
モイル等の各チオカルバモイル基、(5)炭素数1〜1
8の直鎖、分岐のアルキル基、(6)置換、無置換のフ
ェニル、ナフチル及びピリジル、フリル等の芳香族複素
環等の各アリール基が挙げられる。
【0064】中でも、好ましい変性ゼラチンは、アシル
基(−COR11)又はカルバモイル基(−CONR11
12)によるものである。前記R11は置換、無置換の脂肪
族基(例えば炭素数1〜18個のアルキル基、アリル
基)、アリール基又はアラルキル基(例えばフェネチル
基)であり、R12は水素原子、脂肪族基、アリール基、
又はアラルキル基である。特に好ましいものは、R11
アリール基、R12が水素原子の場合である。
【0065】本発明の特に化学修飾ゼラチンを用いる脱
塩過程においては、その期間中、ハロゲン化銀乳剤のp
Hを5.1以下に保つことが好ましい。特にpHを4.
9〜4.1に保つと好ましい凝折が起こり、かつカブリ
の低い乳剤が得られるため、更に好ましい。pH調節に
は一般的に酸が使用され、酢酸、クエン酸、サリチル酸
等の有機酸や、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸等の無機酸が好
ましく用いられるが、それらのなかでも特にクエン酸が
好ましい凝折をおこさせる。
【0066】更に、化学修飾ゼラチンを添加するときの
ハロゲン化銀乳剤の温度を50℃以上に保つことが好ま
しい。特に温度を53〜75℃に保つと好ましい凝折を
行うことができるため、更に好ましい。
【0067】本発明に係るハロゲン化銀乳剤は、種晶を
含有する乳剤を調製して、種晶から結晶成長させて得る
のでも、種晶を用いないで得るのでもよい。種晶を用い
た時は、種晶を含有するハロゲン化銀乳剤自体が限外濾
過装置を用いた濃縮過程、及び凝集沈殿法による脱塩過
程を経た本発明に係るハロゲン化銀粒子である場合、こ
れから得られるハロゲン化銀乳剤は全て本発明に係るハ
ロゲン化銀乳剤に該当する。
【0068】但し、本発明に係るハロゲン化銀粒子を得
るための種晶乳剤は必ずしも本発明に係る乳剤である必
要はない。好ましくは、種晶として本発明に係るハロゲ
ン化銀乳剤である種晶乳剤を用い、かつ、それからの結
晶成長時にも本発明における過程を経ることである。
【0069】本発明に係るハロゲン化銀乳剤は、その中
に含有されるハロゲン化銀粒子が立方体、8面体、14
面体のような正常晶、又は双晶面を有する平板状粒子な
ど、公知の種々の形状のものに適用することができる。
しかし本発明のハロゲン化銀乳剤製造方法は、平板状粒
子を含有するハロゲン化銀乳剤に適用することが特に好
ましい。
【0070】本発明に係るハロゲン化銀乳剤のハロゲン
化銀組成は任意であり、例えば塩化銀、臭化銀、沃化
銀、塩臭化銀、沃臭化銀、塩沃化銀、塩沃臭化銀、及び
これらの混合物等の任意のハロゲン化銀が包含される
が、特に沃臭化銀が好ましく用いられる。沃臭化銀を用
いる場合、その沃化銀の含有量は、ハロゲン化銀粒子全
体での平均沃化銀含有率として4モル以上であることが
好ましく、6.0〜10.0モル%であることが更に好
ましい。
【0071】本発明に係るハロゲン化銀乳剤は、保護コ
ロイドの存在下に、即ち保護コロイドを含む溶液中に、
銀イオン(一般に水溶性銀塩溶液)とハロゲン化物イオ
ン(一般に水溶性ハロゲン化物塩溶液)を添加して調製
することができる。ここで保護コロイドを含む水溶液と
は、ゼラチンその他の親水性コロイドを構成し得る物質
(バインダーとなり得る物質など)により保護コロイド
が水溶液中に形成されているものをいい、好ましくはコ
ロイド状の保護ゼラチンを含有する水溶液である。
【0072】本発明を実施する際、上記保護コロイドと
してゼラチンを用いる場合は、ゼラチンは石灰処理され
たものでも、酸を使用して処理されたものでもどちらで
もよい。ゼラチンの製法の詳細はアーサー・ヴアイス
著、ザ・マクロモレキュラー・ケミストリー・オブ・ゼ
ラチン、(アカデミック・プレス、1964年発行)に
記載がある。保護コロイドとして用いることができるゼ
ラチン以外の親水性コロイドとしては、例えばゼラチン
誘導体、ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマー、
アルブミン、カゼイン等の蛋白質;ヒドロキシエチルセ
ルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロース硫
酸エステル類等の如きセルロース誘導体、アルギン酸ソ
ーダ、澱粉誘導体などの糖誘導体;ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルアルコール部分アセタール、ポリ−N−
ビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル
酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルイミダゾール、ポ
リビニルピラゾール等の単一或いは共重合体の如き多種
の合成親水性高分子物質がある。
【0073】また、本発明に係るハロゲン化銀乳剤の形
成手段としては、各種の公知の技術を用いることができ
る。
【0074】例えば順混合法、逆混合法、同時混合法、
ダブルジェット法、同時混合法の一つの形式であるハロ
ゲン化銀の生成される液相中のpAgを一定に保ついわ
ゆるコントロールドダブルジェット法、また、異なる組
成の可溶性ハロゲン塩を各々独立に添加するトリプルジ
ェット法(例えば可溶性銀塩と可溶性臭素塩と可溶性沃
素塩とを独立に添加)も用いることができる。
【0075】本発明を実施してハロゲン化銀乳剤を得る
に際し、ハロゲン化銀粒子には、該ハロゲン化銀粒子形
成又は熟成の過程において、カドミウム塩、亜鉛塩、鉛
塩、タリウム塩、イリジウム塩又はその錯塩、ロジウム
塩又はその錯塩、鉄塩又はその錯塩、金塩又はその錯塩
などを共存させてもよい。
【0076】本発明に係るハロゲン化銀乳剤は、上述し
た以外は公知のあらゆる製造方法を適用することが可能
である。
【0077】ハロゲン化銀粒子の粒子サイズは、特に制
限は無いが、平均粒径が0.1〜3.0μmのものが好
ましい。更に好ましくは0.2〜2.0μmである。本
発明に係る乳剤は、単分散乳剤でも多分散乳剤であって
も、本発明の効果を有効に発揮し得るが、単分散乳剤で
あることが好ましい。
【0078】本発明に係るハロゲン化銀乳剤は、ハロゲ
ン化銀粒子形成後に、通常に用いられる化学増感を施す
ことができる。即ち、本発明においては、金増感、硫黄
に代表されるカルコゲン増感、金−カルコゲン増感又は
還元増感に代表される種々の化学増感を施すことができ
る。化学熟成即ち、化学増感の過程の条件、例えばp
H、pAg、温度、時間及添加剤等に特に制限はなく、
当業界で一般に行われている条件で行うことができる。
用いることができる化学増感剤の種類や量、化学増感方
法等については、公知の量や方法に従うことができる。
【0079】本発明に係るハロゲン化銀乳剤は、所望の
波長域に光学的に分光増感することができる。分光増感
手段は任意であり、公知の種々の方法に従うことができ
る。
【0080】その他、本発明に係るハロゲン化銀乳剤に
は、公知のあらゆる添加剤を用いることが可能である。
また、本発明のハロゲン化銀粒子の製造方法を適用して
得られたハロゲン化銀乳剤は、公知の様々なハロゲン化
銀写真感光材料に適用することができる。
【0081】
【実施例】次に本発明を実施例によって具体的に説明す
るが、本発明の実施態様はこれらに限定されるのもので
はない。
【0082】〔比較乳剤EM−1の調製〕 《核形成過程》反応容器内の下記反応母液(Gr−1)
を30℃に保ち、特開昭62−160128号公報記載
の混合攪拌装置を用いて攪拌回転数400回転/分で攪
拌しながら、1Nの硫酸を用いてpHを1.96に調整
した。その後ダブルジェット法を用いて(S−1)液と
(H−1)液を一定の流量で1分間で添加し核形成を行
った。
【0083】 (Gr−1) アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 40.50g 臭化カリウム 12.40g 蒸留水で16.2Lに仕上げる (S−1) 硝酸銀 862.5g 蒸留水で4.06Lに仕上げる (H−1) 臭化カリウム 604.5g 蒸留水で4.06Lに仕上げる 《熟成過程》上記核形成過程終了後に(G−1)液を加
え、30分間を要して60℃に昇温した。この間、反応
容器内の乳剤の銀電位(飽和銀−塩化銀電極を比較電極
として銀イオン選択電極で測定)を2Nの臭化カリウム
溶液を用いて6mVに制御した。続いて、アンモニア水
溶液を加えてpHを9.3に調整し、更に7分間保持し
た後、酢酸水溶液を用いてpHを6.1に調整した。こ
の間の銀電位を2Nの臭化カリウム溶液を用いて6mV
に制御した。
【0084】 (G−1) アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 173.9g HO(CH2CH2O)m(CH(CH3)CH2O)19.8(CH2CH2O)nH (m+n=9.77)の10重量%メタノール溶液 5.80ml 蒸留水で4.22Lに仕上げる 《結晶成長過程》熟成過程終了後、続いてダブルジェッ
ト法を用いて前記(S−1)液と(H−1)液を流量を
加速しながら(終了時と開始時の添加流量の比が約12
倍)37分間で添加した。添加終了後に(G−2)液を
加え、攪拌回転数を550回転/分に調整した後、引き
続いて(S−2)液と(H−2)液を流量を加速しなが
ら(終了時と開始時の添加流量の比が約2倍)40分間
で添加した。この間乳剤の銀電位を2Nの臭化カリウム
溶液を用いて6mVに制御した。上記添加終了後に、反
応容器内の乳剤温度を15分間を要して40℃に降温し
た。その後、3Nの臭化カリウム溶液を用いて反応容器
内の銀電位を−39mVに調整し、続いて(F−1)液
を407.5g加えた後、(S−2)液と(H−3)液
を流を加速しながら(終了時と開始時の添加流量の比が
約1.2倍)25分間で添加した。
【0085】 (S−2) 硝酸銀 2.10kg 蒸留水で3.53Lに仕上げる (H−2) 臭化カリウム 859.5g 沃化カリウム 24.45g 蒸留水で2.11Lに仕上げる (H−3) 臭化カリウム 587.0g 沃化カリウム 8.19g 蒸留水で1.42Lに仕上げる (G−2) オセインゼラチン 284.9g HO(CH2CH2O)m(CH(CH3)CH2O)19.8(CH2CH2O)nH (m+n=9.77)の10重量%メタノール溶液 7.75ml 蒸留水で1.93Lに仕上げる (F−1) 3重量%のゼラチンと、沃化銀粒子(平均粒径0.05μm)からなる 微粒子乳剤(*) 407.5g *調製法は以下の通り:0.06モルの沃化カリウムを
含む6.0重量%のゼラチン溶液5000mlに、7.
06モルの硝酸銀と、7.06モルの沃化カリウムを含
む水溶液、それぞれ2000mlを、10分間かけて添
加した。微粒子形成中のpHは硝酸を用いて2.0に、
温度は40℃に制御した。粒子形成後に、炭酸ナトリウ
ム水溶液を用いてpHを6.0に調整した。仕上がり重
量は12.53kgであった。
【0086】〔比較乳剤EM−2の調製〕核形成過程、
熟成過程は比較乳剤EM−1と同様に行い、結晶成長過
程及び脱塩過程は以下に記述するように変更して、比較
乳剤EM−2を調製した。
【0087】《結晶成長過程》熟成過程終了後、続いて
ダブルジェット法を用いて前記(S−1)液と(H−
1)液を流量を加速しながら(終了時と開始時の添加流
量の比が約12倍)37分間で添加した。添加開始と同
時に、図1に示される装置を用いて濃縮を行った。反応
容器1から液取り出しライン8内にハロゲン化銀乳剤を
吸入し、限外濾過ユニット12に供給した。限外濾過ユ
ニットは旭化成製SIW−3014を使用した。不要分
散媒を添加中の(S−1)液と(H−1)液の合計の
1.00倍になるように加速しながら排出した。限外濾
過装置を通過したハロゲン化銀乳剤は液戻しライン9で
示されるようにして反応容器に戻した。この操作を37
分間実施した。
【0088】添加終了後に(G−2)液を加え、攪拌回
転数を550回転/分に調整した後、引き続いて(S−
2)液と(H−2)液を流量を加速しながら(終了時と
開始時の添加流量の比が約2倍)40分間で添加した。
【0089】添加開始と同時にハロゲン化銀乳剤を収入
し、同様の限外濾過操作を40分間実施した。この間乳
剤の銀電位を2Nの臭化カリウム溶液を用いて6mVに
制御した。上記添加終了後に、反応容器内の乳剤温度を
15分間を要して40℃に降温した。その後、3Nの臭
化カリウム溶液を用いて反応容器内の銀電位を−39m
Vに調整し、続いて(F−1)液を407.5g加えた
後、(S−2)液と(H−3)液を流量を加速しながら
(終了時と開始時の添加流量の比が約1.2倍)25分
間で添加した。添加開始と同時にハロゲン化銀乳剤を収
入し、同様の限外濾過操作を25分間実施した。
【0090】〔本発明乳剤EM−3の調製〕核形成過程
は、EM−1と同様に行い、熟成過程において昇温操作
の際に、0.4L/minで合計12L排出し、結晶成
長過程は、比較乳剤EM−2と同様に行い、本発明乳剤
EM−3を調製した。
【0091】〔本発明乳剤EM−4の調製〕濃縮操作
を、加えたS−1,S−2,H−1,H−2,H−3量
に対し0.5になるようにしたほかは比較乳剤EM−3
と同様に行い、本発明乳剤EM−4を調製した。
【0092】〔本発明乳剤EM−5の調製〕熟成過程に
おいて昇温操作を15分とし流量0.8L/minで合
計12L排出した他は、EM−3と同様に行い、本発明
乳剤EM−5を調製した。
【0093】〔本発明乳剤EM−6の調製〕熟成過程に
おいて昇温操作を10分とし1.2L/minで合計1
2L排出した他は、EM−3と同様に行い、本発明乳剤
EM−6を調製した。
【0094】上記EM−1〜6は、成長終了後に常法に
従い脱塩、水洗処理を施し、ゼラチンを加えて良く分散
し、40℃にてpHを5.80、pAgを8.1に調整
した。
【0095】上記によって得られたハロゲン化銀乳剤E
M−1〜6について、その製造過程の生産性の評価、及
びハロゲン化銀粒子の形状の均一性の評価を行った。形
状の均一性の評価は、ハロゲン化銀粒子の電子顕微鏡写
真から、粒径分布及び平板比率を算出した。尚、平板比
率とは、隣接する2つの辺の長さの比が2未満である平
板状ハロゲン化銀粒子が全投影面積に占める割合で示し
ている。生産性の評価は、脱塩前の液量とした。なお、
ロス量等で値がバラツクので表の値は加えた全液量より
排出した理論量をしめした。これらの評価結果を表1に
示す。
【0096】
【表1】
【0097】表1より、結晶成長中に限外濾過装置を用
いて濃縮を行った場合(EM−2から5)では、同量の
ハロゲン化銀乳剤を製造するのに反応容器の容積が小さ
くできるので、明らかに生産性に優れている。核発生後
の熟成時に濃縮操作を行った(EM−3〜6)では、濃
縮操作を行ったEM−2に比べ粒径分布が狭く、更に平
板比率も優れている。更に、熟成時間を短縮したもの
(EM−5、6)については、粒子径分布が著しく狭
く、更に平板比率も著しく優れている。
【0098】
【発明の効果】実施例で実証した如く、本発明によるハ
ロゲン化銀粒子の製造方法及び該製造方法で得られるハ
ロゲン化銀粒子はハロゲン化銀粒子製造時の生産性を高
め、ハロゲン化銀粒子のサイズや晶癖の粒子間均一性に
優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のハロゲン化銀粒子の製造方法に適用で
きるハロゲン化銀乳剤の製造装置の一例を示す概念図で
ある。
【符号の説明】
1 反応容器 2 撹拌機構 3 分散媒体 4 銀添加ライン 5 ハライド添加ライン 6 分散媒体添加ライン 7 添加ライン 8 液取り出しライン 9 液戻しライン 10 透過液排出ライン 11 透過液戻りライン 12 限外濾過ユニット 13 循環ポンプ 14 流量計 15,16,17 圧力計 18 圧力調整用バルブ 19 流量調節用バルブ 20 銀添加バルブ 21 ハライド添加バルブ 22 液抜き取りバルブ 23,24,25 バルブ 26 限外濾過透過液 27 透過液受け容器 28 秤

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分散媒とハロゲン化銀粒子を用いて形成
    するハロゲン化銀乳剤の形成中に、該ハロゲン化銀粒子
    を濃縮する過程を有する製造方法であって、核生成後よ
    り熟成終了迄の間に、液量を核生成後の液量の0.9以
    下に濃縮し、かつ少なくとも熟成終了後の粒子成長のあ
    る一定期間、該ハロゲン化銀乳剤から除去される水溶液
    の量を式(1)に従って行うことを特徴とするハロゲン
    化銀粒子の製造方法。 式(1) Q=A×(Q1+Q2+Q3) Q :排液量 Q1:銀塩水溶液流量 Q2:ハロゲン塩水溶液流量 Q3:その他の添加液流量 A>0.1
  2. 【請求項2】 前記濃縮過程が、ハロゲン化銀乳剤を形
    成する反応容器の外部に具備された循環経路中に設置さ
    れている限外濾過装置であることを特徴とする請求項1
    に記載のハロゲン化銀粒子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記ハロゲン化銀乳剤中のハロゲン銀粒
    子が平均アスペクト比2以上、TPAが90%以上であ
    る平板状ハロゲン化銀粒子であることを特徴とする請求
    項1又は2に記載のハロゲン化銀粒子の製造方法。
  4. 【請求項4】 濃縮過程が、ハロゲン化銀乳剤を形成す
    る反応容器の外部に具備された循環経路中に設置されて
    いる限外濾過装置であることを特徴とする請求項1、2
    又は3に記載のハロゲン化銀粒子の製造方法。
  5. 【請求項5】 平板状ハロゲン化銀粒子が単分散度15
    %以下であることを特徴とする請求項3に記載のハロゲ
    ン化銀粒子の製造方法。
  6. 【請求項6】 濃縮過程が、ハロゲン化銀乳剤を形成す
    る反応容器の外部に具備された循環経路中に設置されて
    いる限外濾過装置であることを特徴とする請求項1、
    2、3、4又は5に記載のハロゲン化銀粒子の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6の何れか1項に記載のハロ
    ゲン化銀粒子の製造方法により得られることを特徴とす
    るハロゲン化銀粒子。
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