JPH11218859A - ハロゲン化銀乳剤製造方法 - Google Patents

ハロゲン化銀乳剤製造方法

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JPH11218859A
JPH11218859A JP2081498A JP2081498A JPH11218859A JP H11218859 A JPH11218859 A JP H11218859A JP 2081498 A JP2081498 A JP 2081498A JP 2081498 A JP2081498 A JP 2081498A JP H11218859 A JPH11218859 A JP H11218859A
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JP
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silver halide
halide emulsion
emulsion
silver
present
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JP2081498A
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Inventor
Yusuke Kawahara
雄介 川原
Kaneo Mamiya
周雄 間宮
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Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハロゲン化銀乳剤製造時の生産性を高め、し
かも該ハロゲン化銀乳剤製造中に意図しない種々の成分
を該ハロゲン化銀乳剤中から除去して、ハロゲン化銀粒
子のサイズや晶癖の粒子間均一性に優れたハロゲン化銀
乳剤の製造を可能にする方法の提供。 【解決手段】 分散媒とハロゲン化銀粒子を含有するハ
ロゲン化銀乳剤の製造方法において、該ハロゲン化銀乳
剤の形成中及び/または形成後に、限外濾過装置を用い
て該ハロゲン化銀乳剤を濃縮する過程、及び凝集沈降剤
を用いる凝集沈殿法によって該ハロゲン化銀乳剤から可
溶性塩を除去する過程を有することを特徴とするハロゲ
ン化銀乳剤製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は写真用ハロゲン化銀
乳剤の製造方法に関する。更に詳しくは、生産性に優
れ、ハロゲン化銀粒子のサイズや晶癖が粒子間で均一に
制御された粒子形成過程を有するハロゲン化銀乳剤の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】写真用ハロゲン化銀粒子の製造過程は、
ハロゲン化銀粒子核形成、熟成、結晶成長、脱塩の4過
程に大別される。この4過程の中で、特に結晶成長過程
では、成長に要する銀イオン及びハロゲン化物イオンの
供給に伴い大量の水が添加されるので、反応容器内の液
量が増大する。特公昭59−43727号公報、特開平
6−67326号公報には、結晶成長中に限外濾過装置
を用いて連続的に乳剤を濃縮する技術が開示されてい
る。この技術によれば、反応容器中の総液量を一定に維
持しながら連続的に結晶成長を行うことが可能なので、
乳剤製造の生産性が向上する。
【0003】一方、ハロゲン化銀粒子製造に伴って混在
する可溶性塩を除去する脱塩過程では、特開昭58−1
40322号公報等には凝集沈降剤を用いた脱塩法が開
示されている。また同50−45625号公報等には限
外濾過装置を用いた脱塩法が開示されている。
【0004】上述したように、ハロゲン化銀粒子製造過
程で乳剤の濃縮や脱塩をする方法は各々公知であるが、
これらのうち特定の方法を組み合わせることによってハ
ロゲン化銀乳剤の均一性を更に高めるという点に関して
は、これまでに何も開示されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ハロゲン化
銀乳剤製造時の生産性を高め、しかも該ハロゲン化銀乳
剤製造中に意図しない種々の成分を該ハロゲン化銀乳剤
中から除去して、ハロゲン化銀粒子のサイズや晶癖の粒
子間均一性に優れたハロゲン化銀乳剤の製造を可能にす
ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下
記構成により達成された。
【0007】(1) 分散媒とハロゲン化銀粒子を含有
するハロゲン化銀乳剤の製造方法において、該ハロゲン
化銀乳剤の形成中及び/または形成後に、限外濾過装置
を用いて該ハロゲン化銀乳剤を濃縮する過程、及び凝集
沈降剤を用いる凝集沈殿法によって該ハロゲン化銀乳剤
から可溶性塩を除去する過程を有することを特徴とする
ハロゲン化銀乳剤製造方法。
【0008】(2) 前記限外濾過装置がハロゲン化銀
乳剤を形成する反応容器の外部に具備された循環経路中
に設置されていることを特徴とする前記1に記載のハロ
ゲン化銀乳剤製造方法。
【0009】(3) 分散媒とハロゲン化銀粒子を含有
するハロゲン化銀乳剤の形成中及び/または形成後に、
限外濾過装置を用いて該ハロゲン化銀乳剤を濃縮する過
程、及び化学修飾ゼラチンを添加しpHを調節する凝集
沈殿法によって該ハロゲン化銀乳剤から可溶性塩を除去
する過程を有することを特徴とするハロゲン化銀乳剤製
造方法。
【0010】(4) 前記限外濾過装置がハロゲン化銀
乳剤を形成する反応容器の外部に具備された循環経路中
に設置されていることを特徴とする前記3に記載のハロ
ゲン化銀乳剤製造方法。
【0011】次に、本発明を詳細に説明する。通常、ハ
ロゲン化銀粒子の製造過程は、特にそれが平板状ハロゲ
ン化銀粒子である場合、ハロゲン化銀粒子核形成、熟
成、結晶成長、脱塩の4過程に大別される。
【0012】ハロゲン化銀粒子核形成は、保護コロイド
を水に溶かした分散媒存在下で、銀塩溶液とハロゲン化
物塩溶液を添加・反応させることによってハロゲン化銀
の微細な核を形成する過程である。これは、後の結晶成
長過程を行うのと同じ反応容器内で行っても良く、予め
別の反応容器で行っても良く、更には別の混合機で行っ
て連続的に反応容器に供給する態様であっても良い。
【0013】次に、平板状ハロゲン化銀乳剤である場合
など必要に応じて、熟成過程を経る。これは、非平板状
粒子など意図しないハロゲン化銀粒子を優先的に消失さ
せる過程であって、ハロゲン化銀乳剤中のハロゲン化銀
粒子の形状の均一性を高めるためにこの過程を有するこ
とが好ましい。
【0014】次に、前述したハロゲン化銀粒子核形成ま
たは熟成過程を経たハロゲン化銀粒子に、新たに銀イオ
ン及びハロゲン化物イオン等の溶質を供給して、ハロゲ
ン化銀結晶のサイズを任意のサイズに増大させる成長過
程を有する。この過程は、前記溶質を水溶液の形態で供
給すること、別の混合機内で形成したハロゲン化銀微粒
子乳剤の形態で供給すること、または両者を併用するこ
となどを含み、いずれの形態を用いても良い。
【0015】溶質の供給によって反応容器内には不要の
可溶性塩類が混在することになるが、この可溶性塩類を
除去する脱塩過程を結晶成長過程に続いて設けることが
好ましい。この脱塩過程は、必ずしも結晶成長過程の後
のみである必要はなく、ハロゲン化銀粒子形成中に必要
に応じて任意に設けることが可能である。
【0016】本発明では、上記ハロゲン化銀乳剤の製造
中及び/または製造後に、少なくとも1回、限外濾過装
置を用いて乳剤を濃縮する過程を有する。濃縮とは、ハ
ロゲン化銀乳剤中のハロゲン化銀粒子の量を変えずに分
散媒のみを除去することであって、第1の効果としてあ
る量のハロゲン化銀粒子を含有する乳剤全体の容量を減
らすことができるため、生産性に優れることになる。特
に、結晶成長過程では成長に必要な溶質と共に大量の水
が反応容器内に添加されるので、該結晶成長過程に並行
して連続的に濃縮を行うことがこの効果が顕著であり、
好ましい。
【0017】本発明の形態の第2の効果として、特にハ
ロゲン化銀乳剤製造中に分散媒のみを除去することによ
って、ハロゲン化銀粒子形成中に添加した化合物で未反
応の化合物や不要になった化合物を同時に除去すること
になり、その後の過程で所望のハロゲン化銀粒子を形成
する点で有利になる。また、この第2の効果は、後述す
る本発明のもう一つの要件である凝集沈殿法による脱塩
を共に行うことによって、更に著しく発現される。
【0018】本発明で使用される限外濾過装置は、公知
の種々の形態のものを使用することが可能で、公知の種
々の形態で反応容器に具備することが可能である。本発
明ではその中でも、中空糸膜を内部に有する限外濾過装
置を用いることが好ましく、更に該装置を反応容器に接
続された外部循環経路中に具備する形態が最も好まし
い。本発明で好ましく使用される反応容器、及び限外濾
過装置の上記以外の点については、上記特公昭59−4
3727号公報等を参考にすることができる。
【0019】次に、限外濾過装置が反応容器に接続され
た外部循環経路中に具備する形態で結晶成長過程に並行
して連続的に濃縮を行う場合の具体的な一例としての方
法を、概念図(図1)を用いて述べる。
【0020】図1において、反応容器1には、最初に分
散媒と共に前記粒子核形成過程または熟成過程を経たハ
ロゲン化銀粒子を含むハロゲン化銀乳剤2を含有してい
る。該ハロゲン化銀乳剤を撹拌するための機構3は、回
転可能な軸に分散翼が付設されたものとして図示されて
いるが、この機構を任意の常用の形状とすることが可能
である。撹拌機構を運転しながら、第1のジェット4を
通して結晶成長用の銀塩溶液を反応容器に、そしてこれ
と同時に第2のジェット5を通して結晶成長用のハロゲ
ン化物塩溶液を反応容器に注加する。注加ノズル位置は
任意の位置に設置することが可能であるが、反応容器下
部から液中添加される位置に設置することが好ましい。
【0021】反応容器内に含まれる物質の容量は、前記
分散媒を含むハロゲン化銀乳剤の一部を外部循環経路6
(限外濾過装置7に至る)により図示されるようにして
取り出すことによって調節することができる。この時、
反応条件により適宜分散媒を加えても構わない。限外濾
過装置は、外部排出経路8により図示されるようにして
分散媒の一部を分離することを通じて、受け取ったハロ
ゲン化銀乳剤の容量を低下し、その間、保留物と呼ばれ
る残留ハロゲン化銀乳剤の内部においてハロゲン化銀粒
子が保持される。このようにして容量の低下したハロゲ
ン化銀乳剤、即ち、保留物を外部循環経路9により図示
されるようにして反応容器に戻す。
【0022】本発明では前述したように、結晶成長過程
に並行して連続的に上記のような濃縮を行う形態が特に
好ましい。
【0023】次に、限外濾過装置及びその操作方法につ
いて詳細に説明する。限外濾過装置は、ハロゲン化銀粒
子の製造時に特別な利用性をもつ手段として従来から広
く知られている。一般に膜が用いられ、これは不要の物
質は通過させ、そしてハロゲン化銀粒子のような必要な
物質は通過させないものである。この選択的な分離は、
特定のサイズ以下の分子を全て選択的に通し、そしてこ
れより大きい分子が残留するように作られている、合成
半透性膜に対し溶液を液圧で押し付けることにより、遂
行される。
【0024】限外濾過は、半透性限外濾過膜を横切って
圧力差ができるように、反応容器内の分散液を該半透性
限外濾過膜と接触させながら循環させることによって実
施するのが好ましい。一般に、膜は特定の寸法以下の分
子のみ透過することができ、かつそれより大きい分子及
びハロゲン化銀粒子を分散液中に保持するような寸法の
細孔を含む。適当な膜は、好ましくは約500〜30
0,000もしくはそれ以上、より好ましくは約500
〜50,000の分子量範囲の透過カットオフ特性を示
すものの中から選択できる。
【0025】本発明の実施に際しては、カットオフ分子
量は、この範囲外に容易に変えることができる。このカ
ットオフ分子量は、一般的に保護コロイドの分子量より
大きくすべきではないことは容易に理解されよう。一般
に、特定の透過カットオフ分子量の選択は、限外濾過の
最初におけるハロゲン化銀の粒径と、乳剤中に保持され
る必要のある微小分子量の物質(「滞留物」とも称す
る)との関数である。
【0026】限外濾過膜に接触する乳剤の圧力は、広範
囲に変化させてよい。代表的には、本発明の実施につい
ては、限外濾過膜に接触する反応容器内の圧力は、好ま
しくは約100palg以上500palg以下で、代
表的には約100palg(7.03kg/cm2)で
あり、滞留物の出口圧力は、好ましくは約5palg以
上10palg以下で、代表的には約10palg
(0.703kg/cm2)以下程度である。膜を横切
る圧力差は代表的には約40〜60palg(2.81
〜4.22kg/cm2)である。もちろん、反応容器
及び限外濾過膜の構造、乳剤の粘度、滞留物の濃度及び
所望の滞留物の純度に応じて、これらの範囲外の圧力で
操作することは当業者が任意に設定してよいことであ
る。
【0027】限外濾過に使用する膜は、代表的には、極
めて微細な多孔構造の極めて薄い壁をこれにより厚い多
孔質構造上に支持して含む異方性膜である。有用な膜
は、種々の高分子物質、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ
カルボン酸ビニル、ポリ蟻酸ビニル、ポリ酢酸ビニル、
ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリビニルエー
テル、ポリアクリルアミド、ポリイミド、ポリエステ
ル、ポリフルオロアルキレン(例えば、ポリテトラフル
オロエチレン)、及びポリ弗化ビニリデン、ならびにセ
ルロース系ポリマー、例えば、セルロース及びセルロー
スエステル、例えば、酢酸セルロース、酪酸セルロース
及び酢酪酸セルロース製の中から選ばれた任意のもので
あることができる。
【0028】本発明のハロゲン化銀乳剤製造方法では、
ハロゲン化銀乳剤の形成中及び/または形成後に、少な
くとも一度、凝集沈殿法によって該ハロゲン化銀乳剤か
ら可溶性塩を除去する脱塩過程を有する。上述したよう
に、この脱塩形態を用いることによって、限外濾過装置
を用いて濃縮を行うことによる第2の効果を著しく高め
ることが可能となる。即ち、ハロゲン化銀粒子形成中に
添加した化合物で未反応の化合物や不要になった化合物
を濃縮と同時に除去し、更に凝集沈殿法によって可溶性
塩を除去することによって、驚くべきことにハロゲン化
銀粒子のサイズや晶癖の粒子間均一性を著しく高めるこ
とが可能になった。この効果は、ハロゲン化銀粒子形成
後に続く増感過程に至っても粒子間で均一に増感を施す
ことが可能となり、ハロゲン化銀写真感光材料に適用す
るに当たって好ましい。
【0029】この凝集沈殿法による可溶性塩の除去法と
して、主に以下の方法が知られている。
【0030】(1)ハロゲン化銀乳剤に凝集沈降剤を添
加して乳剤のpHを調節し、乳剤をフロック化して沈降
させ、上澄み液を除去する方法、(2)化学修飾ゼラチ
ン(例えばアシル化したゼラチン)を用いると乳剤のp
Hを等電点以下(通常3.3〜4.7)に調節するだけ
で乳剤が凝集し、沈降する。これを利用して乳剤を沈降
させた後、上澄み液を除去する方法、(3)乳剤に酵素
を添加して分散媒を酵素分解させ、乳剤を低粘度化する
と乳剤は沈降する。これを利用して乳剤を沈降させた
後、上澄み液を除去する方法、(4)分子量が6万以下
の低分子量ゼラチンを60重量%以上含むゼラチンを分
散媒として用いた場合、該乳剤は自然沈降しやすくな
る。これを利用して乳剤を沈降させた後、上澄み液を除
去する方法、(5)ゼラチンは脂肪族アルコールの様な
水溶性有機溶剤を加えると、親水性を失ない、沈降す
る、(6)硫酸アンモニウムの様な塩類、特に多価の塩
類を等電点以下のpH(3〜5)で加えると、塩析を起
こして沈降する、(7)また、これらの2つ以上の併
用、をあげることができる。
【0031】前記のハロゲン化銀乳剤の凝集沈殿法の詳
細に関しては、グラフキデ著、写真の化学と物理(Ch
imie et Physique Photogra
phiques)、第5版、Edition de
1′Usine Nouvelle,パリ、第3部(1
987)、リサーチ・ディスクロージャー(Resea
rch Disclosure)(RDと略記する)、
176巻、アイテム17643(12月、1978
年)、同307巻(アイテム307105、11月、1
989年)等の文献の記載を参考にすることができる。
前記のいずれの場合においても、乳剤のpHを乳剤の等
電点近傍(pH3〜5)に調整した時に、沈降が最も促
進される。但しpHを下げすぎると、親水性基の存在の
為に、再溶解する。
【0032】本発明のハロゲン化銀乳剤製造方法で好ま
しく適用される凝集沈殿法による脱塩方法としては、上
記の中で特に凝集沈降剤を添加する方法、及び化学修飾
ゼラチンを添加してpHを調節する方法が好ましく、化
学修飾ゼラチンを添加してpHを調節する方法が最も好
ましい。
【0033】次に凝集沈降剤を用いる脱塩法について説
明する。この方法は、ハロゲン化銀乳剤に凝集沈降剤を
添加することによりハロゲン化銀粒子をゼラチンと共に
凝集沈殿させ、これを可溶性塩類を含む上澄み液と分離
する。更に凝集沈殿したハロゲン化銀粒子を含むゼラチ
ンの凝析物内に残留する過剰の可溶性塩類を除去するた
め、デカンテーションによる水洗を行う。このような水
洗方法に用いられる凝集沈降剤としては、例えば特開昭
58−140322号公報、同62−32445号公
報、同63−243936号公報等を参考にすることが
できる。
【0034】次に化学修飾ゼラチンを添加してpHを調
節する脱塩法について説明する。本発明でいう化学修飾
ゼラチンとは、ハロゲン化銀粒子を保護コロイドと共に
凝析せしめることができるゼラチンをいう。化学修飾ゼ
ラチンとして、ゼラチン分子のアミノ基の50%以上を
置換した変性ゼラチンを好ましく用いることができる。
以下、これをG剤と称することもある。ゼラチンのアミ
ノ基に対する置換基例は、米国特許第2,691,58
2号公報、同2,614,928号公報に記載がある。
【0035】アミノ基を置換して変性ゼラチンを得るた
めの有用な置換基としては、(1)アルキルアシル、ア
リールアシル、アセチル及び置換,無置換のベンゾイル
等のアシル基、(2)アルキルカルバモイル、アリール
カルバモイル等のカルバモイル基、(3)アルキルスル
ホニル、アリールスルホニル等のスルホニル基、(4)
アルキルチオカルバモイル、アリールチオカルバモイル
等のチオカルバモイル基、(5)炭素数1〜18個の直
鎖,分岐のアルキル基、(6)置換、無置換のフェニ
ル、ナフチル及びピリジル、フリル等の芳香族複素環等
のアリール基が挙げられる。
【0036】中でも、好ましい変性ゼラチンは、アシル
基(−COR11)またはカルバモイル基(−CONR11
12)によるものである。前記R11は置換、無置換の脂
肪族基(例えば炭素数1〜18個のアルキル基、アリル
基)、アリール基またはアラルキル基(例えばフェネチ
ル基)であり、R12は水素原子、脂肪族基、アリール
基、またはアラルキル基である。特に好ましいものは、
11がアリール基、R12が水素原子の場合である。
【0037】以下に本発明において用いることができる
化学修飾ゼラチンの具体例をアミノ基置換基によって例
示するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0038】
【化1】
【0039】溶存物除去(脱塩)に際してG剤を使用す
る場合、その添加量は特に制限はないが、除去時に保護
コロイドとして含まれている物質(好ましくはゼラチ
ン)の0.1〜5倍量(重量)が一般に適当であり、特
に好ましくは0.3〜2倍量(重量)である。
【0040】本出願の各発明においては、ハロゲン化銀
乳剤を凝析せしめるためには、該化学修飾ゼラチンは、
固体のままハロゲン化銀乳剤に加えて溶解せしめてもよ
いが、水溶液、特に好ましくは20%以下の水溶液とし
て加えるのが便利である。
【0041】好ましい化学修飾ゼラチンとして、下記A
鎖及びB鎖からなる一般式〔I〕で表される高分子化合
物を挙げることができる。
【0042】
【化2】
【0043】式中、R1、R2は脂肪族基を表し、互に異
なっていても同じでもよい。R3は水素原子、脂肪族
基、アリール基、またはアラルキル基を表す。Xは−O
−、または−NH−、Mは陽イオンを表す。nは10〜
104の数値をとる。なおB鎖の2つの連結手は、A鎖
のR1,R2を配した第三級炭素に対しいずれの側が結ば
れてもよい。またXが−NH−の場合には、R3と共に
含窒素環を形成してもよい。
【0044】この高分子化合物は、分子量として好まし
くは103〜106、より好ましくは3×103〜2×1
5であり、添加量は乳剤に含まれている保護コロイド
(好ましくはゼラチン)に対し重量比で好ましくは1/
50〜1/4、より好ましくは1/40〜1/10であ
る。使用方法は前記G剤に準ずる。
【0045】以下一般式〔I〕で表される高分子化合物
(以下、これをP剤とも称する場合がある)の具体例を
掲げるが、これに限定されるものではない。
【0046】
【化3】
【0047】
【化4】
【0048】本発明の特に化学修飾ゼラチンを用いる脱
塩過程においては、その期間中、ハロゲン化銀乳剤のp
Hを5.1以下に保つことが好ましい。特にpHを4.
9〜4.1に保つと好ましい凝折が起こり、かつカブリ
の低い乳剤が得られるため、更に好ましい。pH調節に
は一般的に酸が使用され、酢酸、クエン酸、サリチル酸
等の有機酸や、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸等の無機酸が好
ましく用いられるが、それらのなかでも特にクエン酸が
好ましい凝折をおこさせる。
【0049】更に、化学修飾ゼラチンを添加するときの
ハロゲン化銀乳剤の温度を50℃以上に保つことが好ま
しい。特に温度を53〜75℃に保つと好ましい凝折を
行うことができるため、更に好ましい。
【0050】本発明に係るハロゲン化銀乳剤は、種晶を
含有する乳剤を調製して、種晶から結晶成長させて得る
のでも、種晶を用いないで得るのでもよい。種晶を用い
た時は、種晶を含有するハロゲン化銀乳剤自体が限外濾
過装置を用いた濃縮過程、及び凝集沈殿法による脱塩過
程を経た本発明に係るハロゲン化銀乳剤である場合、こ
れから得られるハロゲン化銀乳剤は全て本発明に係るハ
ロゲン化銀乳剤に該当する。但し、本発明に係るハロゲ
ン化銀乳剤を得るための種晶乳剤は必ずしも本発明に係
る乳剤である必要はない。好ましくは、種晶として本発
明に係るハロゲン化銀乳剤である種晶乳剤を用い、か
つ、それからの結晶成長時にも本発明における過程を経
ることである。
【0051】本発明に係るハロゲン化銀乳剤は、その中
に含有されるハロゲン化銀粒子が立方体、8面体、14
面体のような正常晶、または双晶面を有する平板状粒子
など、公知の種々の形状のものに適用することができ
る。しかし本発明のハロゲン化銀乳剤製造方法は、平板
状粒子を含有するハロゲン化銀乳剤に適用することが特
に好ましい。
【0052】本発明に係るハロゲン化銀乳剤のハロゲン
化銀組成は任意であり、例えば塩化銀、臭化銀、沃化
銀、塩臭化銀、沃臭化銀、塩沃化銀、塩沃臭化銀、及び
これらの混合物等の任意のハロゲン化銀が包含される
が、特に沃臭化銀が好ましく用いられる。沃臭化銀を用
いる場合、その沃化銀の含有量は、ハロゲン化銀粒子全
体での平均沃化銀含有率として4モル以上であることが
好ましく、6.0〜10.0モル%であることが更に好
ましい。
【0053】本発明に係るハロゲン化銀乳剤は、保護コ
ロイドの存在下に、即ち保護コロイドを含む溶液中に、
銀イオン(一般に水溶性銀塩溶液)とハロゲン化物イオ
ン(一般に水溶性ハロゲン化物塩溶液)を添加して調製
することができる。ここで保護コロイドを含む水溶液と
は、ゼラチンその他の親水性コロイドを構成し得る物質
(バインダーとなり得る物質など)により保護コロイド
が水溶液中に形成されているものをいい、好ましくはコ
ロイド状の保護ゼラチンを含有する水溶液である。
【0054】本発明を実施する際、上記保護コロイドと
してゼラチンを用いる場合は、ゼラチンは石灰処理され
たものでも、酸を使用して処理されたものでもどちらで
もよい。ゼラチンの製法の詳細はアーサー・ヴアイス
著、ザ・マクロモレキュラー・ケミストリー・オブ・ゼ
ラチン、(アカデミック・プレス、1964年発行)に
記載がある。保護コロイドとして用いることができるゼ
ラチン以外の親水性コロイドとしては、例えばゼラチン
誘導体、ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマー、
アルブミン、カゼイン等の蛋白質;ヒドロキシエチルセ
ルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロース硫
酸エステル類等の如きセルロース誘導体、アルギン酸ソ
ーダ、澱粉誘導体などの糖誘導体;ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルアルコール部分アセタール、ポリ−N−
ビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル
酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルイミダゾール、ポ
リビニルピラゾール等の単一あるいは共重合体の如き多
種の合成親水性高分子物質がある。
【0055】本発明に係るハロゲン化銀乳剤は、保護コ
ロイドを含む溶液中に、銀イオン(一般に水溶性銀塩溶
液)と、ハロゲン化物イオン(一般に水溶性ハロゲン化
物塩溶液)を添加してハロゲン化銀粒子を形成して調製
するが、この場合の形成手段としては、各種の公知の技
術を用いることができる。
【0056】例えば順混合法、逆混合法、同時混合法、
ダブルジェット法、同時混合法の一つの形式であるハロ
ゲン化銀の生成される液相中のpAgを一定に保ついわ
ゆるコントロールドダブルジェット法、また、異なる組
成の可溶性ハロゲン塩を各々独立に添加するトリプルジ
ェット法(例えば可溶性銀塩と可溶性臭素塩と可溶性沃
素塩とを独立に添加)も用いることができる。
【0057】本発明を実施してハロゲン化銀乳剤を得る
に際し、ハロゲン化銀粒子には、該ハロゲン化銀粒子形
成または熟成の過程において、カドミウム塩、亜鉛塩、
鉛塩、タリウム塩、イリジウム塩またはその錯塩、ロジ
ウム塩またはその錯塩、鉄塩またはその錯塩、金塩また
はその錯塩などを共存させてもよい。
【0058】本発明に係るハロゲン化銀乳剤は、上述し
た以外は公知のあらゆる製造方法を適用することが可能
である。
【0059】ハロゲン化銀粒子の粒子サイズは、特に制
限は無いが、平均粒径が0.1〜3.0μmのものが好
ましい。更に好ましくは0.2〜2.0μmである。本
発明に係る乳剤は、単分散乳剤でも多分散乳剤であって
も、本発明の効果を有効に発揮し得るが、単分散乳剤で
あることが好ましい。
【0060】本発明においてハロゲン化銀粒子の粒径
は、該ハロゲン化銀粒子の投影面積の円相当直径(該ハ
ロゲン化銀粒子と同じ投影面積を有する円の直径)で示
されるが、0.6μmが好ましく、更に好ましくは1.
0μm以上である。粒径は、例えば該粒子を電子顕微鏡
で1万倍から7万倍に拡大して撮影し、そのプリント上
の粒子径または投影時の面積を実測することによって得
ることができる(測定粒子個数は無差別に1000個以
上あることとする)。
【0061】ここに、平均粒径rは、粒径riを有する
粒子の頻度niとri3との積ni×ri3が最大となる
ときの粒径riと定義する(有効数字3桁,最小桁数字
は4捨5入する)。
【0062】本発明のハロゲン化銀粒子は単分散のハロ
ゲン化銀乳剤からなるものが好ましい。ここで単分散の
ハロゲン化銀乳剤としては、平均粒径rを中心に±20
%の粒径範囲内に含まれるハロゲン化銀重量が、全ハロ
ゲン化銀粒子重量の60%以上であるものが好ましく、
より好ましくは70%以上、更に好ましくは80%以上
である。
【0063】本発明において高度の単分散乳剤は、 (標準偏差/平均粒径)×100=粒径分布(粒径の変
動係数)(%) によって分布の広さを定義したとき25%以下のもので
あり、好ましくは20%以下、更に好ましくは16%以
下のものである。ここに平均粒径および標準偏差は、後
述により定義する粒径riから求めるものとする。
【0064】本発明において平板状ハロゲン化銀粒子の
アスペクト比とは、面積換算粒径と粒子厚さの比(アス
ペクト比=直径/厚さ)をいう。ここで、面積換算粒径
とは、主平面に対して垂直にその粒子を投影した場合の
面積に等しい面積を有する円の直径を意味する。粒子厚
さとは、主平面に垂直な方向での粒子の厚さであり、一
般に2つの主平面間の距離に一致する。
【0065】面積換算粒径を算出するための粒子の投影
面積と厚さは以下の方法で求められる。支持体上に内部
標準となる粒径既知のラテックスボールと、主平面が基
板に平行に配向するようにハロゲン化銀粒子とを塗布し
た試料を作製し、ある角度からカーボン蒸着によりシャ
ドーを施した後、通常のレプリカ法によってレプリカ試
料を作製する。同試料の電子顕微鏡写真を撮影し、画像
処理装置等を用いて個々の粒子の投影面積と厚さを求め
る。この場合、粒子の投影面積は内部標準の投影面積か
ら、粒子の厚さは内部標準と粒子の影(シャドー)の長
さから算出することができる。本発明において、アスペ
クト比、面積換算粒径、粒子厚さ、体積換算粒径の平均
値は、上記レプリカ法を用いてハロゲン化銀乳剤に含ま
れるハロゲン化銀粒子を任意に500個以上測定し、そ
れらの算術平均として求められる値をいう。
【0066】本発明に関係するハロゲン化銀乳剤は、該
ハロゲン化銀乳剤に含まれるハロゲン化銀粒子の全投影
面積の50%以上がアスペクト比5以上の平板状ハロゲ
ン化銀粒子であることが好ましく、全投影面積の50%
以上がアスペクト比7以上の平板状ハロゲン化銀粒子で
あることがさらに好ましい。
【0067】本発明に係るハロゲン化銀乳剤は、ハロゲ
ン化銀粒子形成後に、通常に用いられる化学増感を施す
ことができる。即ち、本発明においては、金増感、硫黄
に代表されるカルコゲン増感、金−カルコゲン増感また
は還元増感に代表される種々の化学増感を施すことがで
きる。化学熟成即ち、化学増感の過程の条件、例えばp
H、pAg、温度、時間及び添加剤等に特に制限はな
く、当業界で一般に行われている条件で行うことができ
る。用いることができる化学増感剤の種類や量、化学増
感方法等については、公知の量や方法に従うことができ
る。
【0068】本発明に係るハロゲン化銀乳剤は、所望の
波長域に光学的に分光増感することができる。分光増感
手段は任意であり、公知の種々の方法に従うことができ
る。
【0069】その他、本発明に係るハロゲン化銀乳剤に
は、公知のあらゆる添加剤を用いることが可能である。
また、本発明のハロゲン化銀乳剤製造方法を適用して得
られたハロゲン化銀乳剤は、公知の様々なハロゲン化銀
写真感光材料に適用することができる。
【0070】
【実施例】次に本発明を実施例によって具体的に説明す
るが、本発明の態様はこれに限定されるのもではない。
【0071】実施例1 比較乳剤EM−1の調製 《核形成過程》反応容器内の下記反応母液(Gr−1)
を30℃に保ち、特開昭62−160128号公報記載
の混合攪拌装置を用いて攪拌回転数400回転/分で攪
拌しながら、1Nの硫酸を用いてpHを1.96に調整
した。その後ダブルジェット法を用いて(S−1)液と
(H−1)液を一定の流量で1分間で添加し核形成を行
った。
【0072】 (Gr−1) アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 40.50g 臭化カリウム 12.40g 蒸留水で16.2Lに仕上げる (S−1) 硝酸銀 862.5g 蒸留水で4.06Lに仕上げる (H−1) 臭化カリウム 604.5g 蒸留水で4.06Lに仕上げる 《熟成過程》上記核形成過程終了後に(G−1)液を加
え、30分間を要して60℃に昇温した。この間、反応
容器内の乳剤の銀電位(飽和銀−塩化銀電極を比較電極
として銀イオン選択電極で測定)を2Nの臭化カリウム
溶液を用いて6mVに制御した。続いて、アンモニア水
溶液を加えてpHを9.3に調整し、更に7分間保持し
た後、酢酸水溶液を用いてpHを6.1に調整した。こ
の間の銀電位を2Nの臭化カリウム溶液を用いて6mV
に制御した。
【0073】 (G−1) アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 173.9g HO(CH2CH2O)m(CH(CH3)CH2O)19.8(CH2CH2O)nH (m+n=9.77)(10%エタノール溶液)(以後EO溶液という) 5.80ml 蒸留水で4.22Lに仕上げる 《結晶成長過程》熟成過程終了後、続いてダブルジェッ
ト法を用いて前記(S−1)液と(H−1)液を流量を
加速しながら(終了時と開始時の添加流量の比が約12
倍)37分間で添加した。添加終了後に(G−2)液を
加え、攪拌回転数を550回転/分に調整した後、引き
続いて(S−2)液と(H−2)液を流量を加速しなが
ら(終了時と開始時の添加流量の比が約2倍)40分間
で添加した。この間乳剤の銀電位を2Nの臭化カリウム
溶液を用いて6mVに制御した。上記添加終了後に、反
応容器内の乳剤温度を15分間を要して40℃に降温し
た。その後、3Nの臭化カリウム溶液を用いて反応容器
内の銀電位を−39mVに調整し、続いて(F−1)液
を407.5g加えた後、(S−2)液と(H−3)液
を流量を加速しながら(終了時と開始時の添加流量の比
が約1.2倍)25分間で添加した。
【0074】 (S−2) 硝酸銀 2.10kg 蒸留水で3.53Lに仕上げる (H−2) 臭化カリウム 859.5g 沃化カリウム 24.45g 蒸留水で2.11Lに仕上げる (H−3) 臭化カリウム 587.0g 沃化カリウム 8.19g 蒸留水で1.42Lに仕上げる (G−2) オセインゼラチン 284.9g EO溶液 7.75ml (F−1) 3重量%のゼラチンと、沃化銀粒子(平均粒径0.05μm)からなる微粒子 乳剤(*) 407.5g *調製法は以下の通り:0.06モルの沃化カリウムを含む6.0重量%のゼ ラチン溶液5000mlに、7.06モルの硝酸銀と、7.06モルの沃化カリ ウムを含む水溶液、それぞれ2000mlを、10分間かけて添加した。
【0075】微粒子形成中のpHは硝酸を用いて2.0
に、温度は40℃に制御した。粒子形成後に、炭酸ナト
リウム水溶液を用いてpHを6.0に調整した。仕上が
り重量は12.53kgであった。
【0076】《脱塩過程》上記結晶成長終了後に、次に
この乳剤を55℃に調整し、化学修飾ゼラチンとして前
記例示のG−8で変性された(置換比率90%)変性ゼ
ラチン15%(重量)水溶液を1345ml添加し、3
分間攪拌した。その後、クエン酸73%(重量)水溶液
を添加して、乳剤のpHを4.7に調整し、3分間撹拌
した後、20分間静置させ、デカンテーションにより、
上澄み液を排水した。その後、40℃の蒸留水20lを
加えて5分間撹拌した後、15分間静置させ、デカンテ
ーションにより、上澄み液を排水した。この時の乳剤p
Hは4.6に保たれた。さらに40℃の蒸留水15lを
加えて5分間撹拌した後、15分間静置させ、デカンテ
ーションにより、上澄液を排水した。この時の乳剤pH
は4.5に保たれた。
【0077】脱塩過程の後、後ゼラチンを加え分散し、
40℃にてpHを5.80、pAgを8.06に調整し
た。かくして得られた乳剤をEM−1とする。
【0078】比較乳剤EM−2の調製 核形成過程、熟成過程は比較乳剤EM−1と同様に行
い、結晶成長過程及び脱塩過程は以下に記述するように
変更して、比較乳剤EM−2を調製した。
【0079】《結晶成長過程》熟成過程終了後、続いて
ダブルジェット法を用いて前記(S−1)液と(H−
1)液を流量を加速しながら(終了時と開始時の添加流
量の比が約12倍)37分間で添加した。添加開始と同
時に、図1に示される装置を用いて濃縮を行った。反応
容器1から外部循環経路6内にハロゲン化銀乳剤2を吸
入し、限外濾過装置7に供給した。限外濾過装置は旭化
成製SIW−3014を使用した。不要分散媒を添加中
の(S−1)液と(H−1)液の合計の0.93倍にな
るように加速しながら排出した。限外濾過装置を通過し
たハロゲン化銀乳剤は外部循環経路9で示されるように
して反応容器に戻した。この操作を37分間実施した。
添加終了後に(G−2)液を加え、攪拌回転数を550
回転/分に調整した後、引き続いて(S−2)液と(H
−2)液を流量を加速しながら(終了時と開始時の添加
流量の比が約2倍)40分間で添加した。添加開始と同
時にハロゲン化銀乳剤を収入し、同様の限外濾過操作を
40分間実施した。この間乳剤の銀電位を2Nの臭化カ
リウム溶液を用いて6mVに制御した。上記添加終了後
に、反応容器内の乳剤温度を15分間を要して40℃に
降温した。その後、3Nの臭化カリウム溶液を用いて反
応容器内の銀電位を−39mVに調整し、続いて(F−
1)液を407.5g加えた後、(S−2)液と(H−
3)液を流量を加速しながら(終了時と開始時の添加流
量の比が約1.2倍)25分間で添加した。添加開始と
同時にハロゲン化銀乳剤を収入し、同様の限外濾過操作
を25分間実施した。
【0080】《脱塩過程》上記結晶成長終了後に、限外
濾過装置を用いて脱塩を行った。上記と同様に外部循環
経路内でハロゲン化銀乳剤を循環させ、可溶性塩類を含
有する分散媒を系外に排出すると同時に同量の水を反応
容器内に連続的に添加した。この操作を60分間実施し
た。
【0081】脱塩過程の後、乳剤EM−1と同様に後ゼ
ラチンを加え分散し、40℃にてpHを5.80、pA
gを8.06に調整した。かくして得られた乳剤をEM
−2とする。
【0082】本発明乳剤EM−3の調製 核形成過程、熟成過程、結晶成長過程は比較乳剤EM−
2と同様に行い、脱塩過程は比較乳剤EM−1と同様の
方法によって、本発明乳剤EM−3を調製した。
【0083】脱塩過程の後、乳剤EM−1と同様に後ゼ
ラチンを加え分散し、40℃にてpHを5.80、pA
gを8.06に調整した。かくして得られた乳剤をEM
−3とする。
【0084】上記によって得られた乳剤ハロゲン化銀乳
剤EM−1〜3について、その製造過程の生産性の評
価、及びハロゲン化銀粒子の形状の均一性の評価を行っ
た。形状の均一性の評価は、ハロゲン化銀粒子の電子顕
微鏡写真から、粒径分布及び平板比率を算出した。尚、
平板比率とは、隣接する2つの辺の長さの比が2未満で
ある平板状ハロゲン化銀粒子が全投影面積に占める割合
で示している。これらの評価結果を表1に示す。
【0085】
【表1】
【0086】表1より、結晶成長中に限外濾過装置を用
いて濃縮を行った場合(EM−2,3)では、同量のハ
ロゲン化銀乳剤を製造するのに反応容器の容積が小さく
できるので、明らかに生産性に優れている。また、凝集
沈殿法による脱塩を行った場合(EM−1,3)では、
限外濾過による濃縮操作を併用した本発明乳剤EM−3
において粒径分布が最も狭く、更に平板比率も著しく優
れている。
【0087】
【発明の効果】本発明の態様に従ってハロゲン化銀乳剤
を製造することによって、生産性の向上と優れた粒子間
の均一性を両立することが達成された。
【図面の簡単な説明】
【図1】ハロゲン化銀乳剤の製造方法を示す概念図であ
る。
【符号の説明】
1 反応容器 2 ハロゲン化銀乳剤 3 撹拌機構 4 第1ジェット 5 第2ジェット 6 外部循環経路 7 限外濾過装置 8 外部排出経路 9 外部循環経路

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分散媒とハロゲン化銀粒子を含有するハ
    ロゲン化銀乳剤の製造方法において、該ハロゲン化銀乳
    剤の形成中及び/または形成後に、限外濾過装置を用い
    て該ハロゲン化銀乳剤を濃縮する過程、及び凝集沈降剤
    を用いる凝集沈殿法によって該ハロゲン化銀乳剤から可
    溶性塩を除去する過程を有することを特徴とするハロゲ
    ン化銀乳剤製造方法。
  2. 【請求項2】 前記限外濾過装置がハロゲン化銀乳剤を
    形成する反応容器の外部に具備された循環経路中に設置
    されていることを特徴とする請求項1に記載のハロゲン
    化銀乳剤製造方法。
  3. 【請求項3】 分散媒とハロゲン化銀粒子を含有するハ
    ロゲン化銀乳剤の形成中及び/または形成後に、限外濾
    過装置を用いて該ハロゲン化銀乳剤を濃縮する過程、及
    び化学修飾ゼラチンを添加しpHを調節する凝集沈殿法
    によって該ハロゲン化銀乳剤から可溶性塩を除去する過
    程を有することを特徴とするハロゲン化銀乳剤製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記限外濾過装置がハロゲン化銀乳剤を
    形成する反応容器の外部に具備された循環経路中に設置
    されていることを特徴とする請求項3に記載のハロゲン
    化銀乳剤製造方法。
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