JPH11294084A - セグメント等の接合具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 接合具の型枠への取り付け取り外し作業及び
接合棒のセグメントへの取り付け作業を容易にかつ迅速
にしかも確実に行う。 【解決手段】 接合具１は、先細り状スリーブ２と、接
合棒の挿入固定孔Ｈを形成して環状に配置されスリーブ
２内に装入された複数の楔体３と、挿入固定孔Ｈが縮径
するように楔体３をスリーブ２の小径の先端側に付勢し
て設けられた断面円形の弾性を有する樹脂から形成され
た付勢ばね４とを主体としている。スリーブ２の先端側
の開口部２ａにおける内周面にめねじ部１０を形成す
る。めねじ部１０に、セグメントＳの成形用型枠４１の
外面から型枠４１に形成された取り付け孔４２へ挿入し
たボルト４３を締結し、スリーブ１を型枠４１の内面に
取り付ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、セグメント等の接
合に接合棒と組み合わせて用いられ、それぞれのセグメ
ント同士を接合する接合具に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】例えば、多数のセグメントでトンネル壁
体を構築する場合、従来においては、セグメントの接合
面に孔部を有する継手を埋め込んでおき、セグメントの
接合面どうしを互いに当接させてそれらの孔部にボルト
を挿通させ、このボルトにナットを螺着することにより
多数のセグメントどうしを順次接合して構築している。

【０００３】しかしながら、上記の接合方式では、セグ
メント接合面の継手に形成された孔部にボルトを挿通さ
せ、そのボルトにナットを螺着して締め付けなければな
らず、操作がきわめて煩雑で手間がかかる。

【０００４】そこで、図５に示す接合具が提案された。
この新しい接合具２１は、先細り状のスリーブ２２と、
互いの中心部に接合棒３０の挿入固定孔Ｈを形成して環
状に配置されるとともに外周面をスリーブ２２の内周面
に触れさせてスリーブ２２の長手方向に移動自在にスリ
ーブ２２内に装入された複数の楔体２３と、挿入固定孔
Ｈが縮径するように楔体２３をスリーブ２２の小径の先
端側に付勢してスリーブ２２の大径の根端部に設けられ
た板ばね２４とを備える。符号２５はスリーブ２２の根
端部に設けられた底板である。

【０００５】この接合具２１はセグメントＳの接合面に
埋め込まれて用いられ、また接合棒３０は他のセグメン
トＳに埋設されたインサートナット３１に螺着して用い
られる。

【０００６】接合具２１の作用を説明すると、セグメン
トＳ，Ｓどうしの接合に際して、接合棒３０をスリーブ
２２に押し込むと、楔体２３が板ばね２４を圧縮して後
退し、挿入固定孔Ｈを拡径させて挿入固定孔Ｈへの接合
棒３０の挿入を自由にする。そして、挿入固定孔Ｈに接
合棒３０が挿入され終ると、楔体２３が板ばね２４の作
用によりスリーブ２２の先端側に押し動かされて縮径
し、接合棒３０をくわえて固定する。

【０００７】楔体２３は、接合棒３０の引抜き移動に対
して縮径し、その固定力を増すので、接合棒３０を楔体
２３から引き抜くことができず、したがってセグメント
Ｓ，Ｓどうしが一体に接合されることとなる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記接合具
２１は、コンクリート製セグメントＳの場合、セグメン
ト製造用型枠の内面に取り付けられて型枠内に打設され
た生コンクリートに埋設されるが、その際、この接合具
２１を型枠の所定の位置へ正確に取り付けておかなけれ
ばならず、しかも、セグメントＳの脱型時には、接合具
２１の型枠への支持を迅速に解除しなければならなかっ
た。このため、この接合具２１の型枠への取り付け取り
外しを容易にかつ迅速に行える構造が要求されていた。
また、セグメントＳに埋設されたインサートナット３１
への接合棒３０の取り付けを容易にかつ迅速、しかも確
実に行うことができる構造も要求されていた。

【０００９】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、接合具の型枠への取り付け取り外し作業及び接合棒
のセグメントへの取り付け作業を容易にかつ迅速に、し
かも確実に行うことが可能なセグメント等の接合具を提
供することを目的としている。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項１記載のセグメント等の接合具は、先細り
状のスリーブと、互いの中心部に接合棒の挿入固定孔を
形成して環状に配置されるとともに外周面をスリーブの
内周面に触れさせてスリーブの長手方向に移動自在にス
リーブ内に装入された複数の楔体と、上記挿入固定孔が
縮径するように上記楔体をスリーブの小径の先端側に付
勢してスリーブの大径の根端部に設けられた付勢ばねと
を有してなり、前記スリーブには、その先端側の開口部
における内周面にめねじ部が形成されてなり、該めねじ
部には、セグメントの成形用型枠の外面から型枠に形成
された取り付け孔へ挿入されたおねじが締結されて前記
スリーブが前記型枠の内面側に取り付けられることを特
徴としている。これにより、型枠の取り付け孔へ型枠の
外面側からボルトを挿入して、接合具のスリーブに形成
されためねじ部へねじ込むだけで、接合具が型枠の内面
における所定の場所へ設置され、また、セグメントの成
形後は、ボルトを緩めて接合具から取り外すことによ
り、セグメントの脱型が可能となる。

【００１１】請求項２記載のセグメント等の接合具は、
請求項１記載のセグメント等の接合具において、前記挿
入固定孔に挿入される前記接合棒が、その後端側がセグ
メントに設けられためねじへねじ込まれて取り付けられ
てなり、該接合棒の先端部には、前記めねじへのねじ込
み時に工具が係合可能な係合部が形成されていることを
特徴としている。これにより、接合棒の先端部の係合部
へ工具を係合させ、この工具によって接合棒をめねじへ
ねじ込んで固定することが可能である。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態のセグ
メント等の接合具を図面を参照して説明する。図１は本
発明に係るセグメント等の接合具１である。接合具１は
図２の接合具２１と基本的な構造が同じであり、断面円
形の先細り状スリーブ２と、互いに中心部に接合棒３０
の挿入固定孔Ｈを形成して環状に配置されるとともに外
周面をスリーブ２の内周面に触れさせてスリーブ２の長
手方向に移動自在にスリーブ２内に装入された複数の楔
体３と、挿入固定孔Ｈが縮径するように楔体３をスリー
ブ２の小径の先端側に付勢してスリーブ２の大径の根端
部に設けられた筒状の付勢ばね４とを有している。

【００１３】また、この接合具１には、楔体３と付勢ば
ね４との間に、リテーナ６が設けられている。このリテ
ーナ６は、平板状に形成された金属板からなるもので、
楔体３よりも硬質金属材料から形成されている。

【００１４】付勢ばね４は、弾性を有するウレタンやゴ
ム或いはそれらと同等材料で製造されたもので、断面円
形に形成されている。そして、この付勢ばね４は、折曲
部２ａによってスリーブ２の根端面に固定されたケース
７内に収められている。ケース７の底部中央には突部７
ａが形成されていてケース７の強度を強めるとともに、
付勢ばね４に形成された中心孔４ａに嵌め込まれて付勢
ばね４を所定位置に位置決めしている。なお、付勢ばね
４は、必要に応じてその両面をケース７とリテーナ６に
接着剤で接着する場合もある。

【００１５】また、接合具１を構成するスリーブ２に
は、その開口部２ａにおける内周面側にめねじ部１０が
形成されている。

【００１６】ここで、上記構成の接合具１に挿入される
接合棒３０は、図２にも示すように、その先端部に、工
具穴（係合部）３２が形成されている。この工具穴３２
は、断面六角形に形成された穴からなるもので、六角レ
ンチＴが嵌合されるようになっている。つまり、この接
合棒３０の先端部に形成された工具穴３２へ六角レンチ
Ｔを差し込み、この六角レンチＴによってインサートナ
ット（めねじ）３１への締結を確実に行うことができる
ようになっている。

【００１７】また、この接合棒３０の外周面には、ノコ
歯３３が形成されている。これらノコ歯３３は、図３に
示すように、接合具１への挿入方向（図３中イ方向）側
がなだらかな傾斜とされた断面山型に形成された突条３
４を長手方向へ沿って複数形成したものである。そし
て、このノコ歯３３が形成された接合棒３０によれば、
接合具１へ挿入した際に、この接合棒３０のノコ歯３３
が、接合具１の楔体３の内周面に噛合して、挿入固定孔
Ｈからの接合棒３０の引き抜きが困難なものとされてい
る。なお、このノコ歯３３は、この接合棒３０及び楔体
３の内周面の両方に形成しても良く、あるいは楔体３の
内周面だけに形成しても良い。

【００１８】そして、上記接合具１によれば、接合棒３
０をスリーブ２に押し込むと、楔体３がリテーナ６を介
して付勢ばね４を圧縮して後退する。そして、この挿入
固定孔Ｈに接合棒３０が挿入されると、楔体３がリテー
ナ６を介して付勢ばね４の付勢力によりスリーブ２の先
端側に押し動かされて縮径し、接合棒３０をくわえて固
定する。

【００１９】ここで、楔体３は、平板状に形成されしか
も楔体３よりも硬いリテーナ６を介して付勢ばね４を圧
縮する構造とされているので、接合棒３０の挿入時に
は、楔体３は、リテーナ６へ食い込むことなくその表面
を滑り、半径方向外方へ移動し、これにより、挿入固定
孔Ｈが容易に拡径され挿入固定孔Ｈへの接合棒３０の挿
入力が低減される。また、接合棒３０の挿入後は、リテ
ーナ６を介して楔体３が均一に付勢されて半径方向内方
へ移動され、しかもリテーナ６の表面を滑るので、挿入
固定孔Ｈが確実に縮径され、接合棒３０を安定して確実
にくわえ込んで固定する。

【００２０】ここで、上記構造の接合具１を型枠へ取り
付ける場合は、まず、図４に示すように、接合具１を型
枠４１の内面の所定の場所へ配設し、型枠４１に形成さ
れた取り付け孔４２と接合具１のスリーブ２の開口部２
ａとを連通させる。この状態において、型枠４１の外面
側から取り付け孔４２へボルト４３を挿入し、このボル
ト４３を接合具１のスリーブ２の開口部２ａにおける内
周面に形成されためねじ部１０へねじ込んで締結する。

【００２１】このようにすると、接合具１がボルト４３
によって型枠４１の所定の場所に締結固定された状態に
支持される。そして、この状態において、型枠４１内に
コンクリートを打設し、硬化・養生させることにより、
所定の位置に接合具１が設けられたコンクリート製セグ
メントＳが製造される。また、セグメントＳの成形後、
接合具１のスリーブ２へねじ込んだボルト４３を緩めて
取り外すことにより、このセグメントＳの型枠４１から
の脱型が可能な状態とされる。

【００２２】このように、上記接合具１によれば、型枠
４１の取り付け孔４２へ型枠４１の外面側からボルト４
３を挿入して、接合具１のスリーブ２に形成されためね
じ部１０へねじ込むだけで、極めて容易にかつ迅速に接
合具１を型枠４１の内面における所定の場所へ設置させ
ることができ、また、セグメントＳの成形後は、ボルト
４３を緩めて接合具１から取り外すことにより、極めて
容易にかつ迅速にセグメントＳの脱型を行うことができ
る。また、接合棒３０には、その先端部に工具穴３２が
形成されているので、この工具穴３２へ六角レンチＴを
嵌合し、この六角レンチＴによって接合棒３０をインサ
ートナット３１へ極めて容易にかつ迅速にねじ込んで固
定することができ、また、確実に固定することができ
る。

【００２３】なお、上記接合棒３０は、工具穴３２を形
成し、この工具穴３２に六角レンチＴを係合させて接合
棒３０をインサートナット３１へねじ込むようにした
が、この工具穴３２に代えて、係合部として六角形の突
起を形成し、この突起にレンチを係合させるようにして
も良い。また、楔体３の個数は、通常、３個か４個とさ
れるが、これよりも多くても或いは少なくても実施可能
である。

【００２４】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るセグ
メント等の接合具によれば、下記の効果を得ることがで
きる。請求項１記載のセグメント等の接合具によれば、
型枠の取り付け孔へ型枠の外面側からボルトを挿入し
て、接合具のスリーブに形成されためねじ部へねじ込む
だけで、極めて容易にかつ迅速に接合具を型枠の内面に
おける所定の場所へ設置させることができ、また、セグ
メントの成形後は、ボルトを緩めて接合具から取り外す
ことにより、極めて容易にかつ迅速にセグメントの脱型
を行うことができる。請求項２記載のセグメント等の接
合具によれば、接合棒の先端部に係合部が形成されてい
るので、この係合部へ工具を係合させて、この工具によ
って接合棒をめねじへ極めて容易にかつ迅速にねじ込ん
で固定することができ、また、確実に固定することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の実施の形態のセグメント等の接合具
の構成及び構造を説明する接合具の断面図である。

【図２】 本発明の実施の形態のセグメント等の接合具
に用いられる接合棒の構造及び形状を説明する接合棒の
一部を断面視した側面図及び正面図である。

【図３】 本発明の実施の形態のセグメント等の接合具
に用いられる接合棒に形成されたノコ歯の形状を示す接
合棒の一部の断面図である。

【図４】 本発明の実施の形態のセグメント等の接合具
の型枠への取り付け構造を説明する型枠に取り付けられ
た接合具の断面図である。

【図５】 従来の接合具の断面図である。

【符号の説明】

１ 接合具 ２ スリーブ ２ａ 開口部 ３ 楔体 ４ 付勢ばね １０ めねじ部 ３０ 接合棒 ３１ インサートナット（めねじ） ３２ 工具穴（係合部） ４１ 型枠 ４２ 取り付け孔 ４３ ボルト Ｈ 挿入固定孔 Ｔ 六角レンチ（工具）

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 仲野 明彦 東京都千代田区神田司町２丁目３番地 株 式会社大林組東京本社内 (72)発明者 武田 厚 東京都千代田区神田司町２丁目３番地 株 式会社大林組東京本社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 先細り状のスリーブと、互いの中心部に
   接合棒の挿入固定孔を形成して環状に配置されるととも
   に外周面をスリーブの内周面に触れさせてスリーブの長
   手方向に移動自在にスリーブ内に装入された複数の楔体
   と、上記挿入固定孔が縮径するように上記楔体をスリー
   ブの小径の先端側に付勢してスリーブの大径の根端部に
   設けられた付勢ばねとを有してなり、 前記スリーブには、その先端側の開口部における内周面
   にめねじ部が形成されてなり、該めねじ部には、セグメ
   ントの成形用型枠の外面から型枠に形成された取り付け
   孔へ挿入されたおねじが締結されて前記スリーブが前記
   型枠の内面側に取り付けられることを特徴とするセグメ
   ント等の接合具。
2. 【請求項２】 前記挿入固定孔に挿入される前記接合棒
   は、その後端側がセグメントに設けられためねじへねじ
   込まれて取り付けられてなり、該接合棒の先端部には、
   前記めねじへのねじ込み時に工具が係合可能な係合部が
   形成されていることを特徴とする請求項１記載のセグメ
   ント等の接合具。