JPH11293864A - 建築用防水工法および防水パネル - Google Patents

建築用防水工法および防水パネル

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JPH11293864A
JPH11293864A JP10260498A JP10260498A JPH11293864A JP H11293864 A JPH11293864 A JP H11293864A JP 10260498 A JP10260498 A JP 10260498A JP 10260498 A JP10260498 A JP 10260498A JP H11293864 A JPH11293864 A JP H11293864A
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JP
Japan
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waterproof
heat
layer
panel
glass fiber
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Withdrawn
Application number
JP10260498A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Marui
浩 丸井
Toshiya Sekiguchi
敏也 関口
Kanenori Kasahara
兼典 笠原
Yasuo Kadoi
康雄 角井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TOOTEKU KK
Taiheiyo Cement Corp
Fuji Kasei Kogyo Co Ltd
Original Assignee
TOOTEKU KK
Taiheiyo Cement Corp
Fuji Kasei Kogyo Co Ltd
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Publication date
Application filed by TOOTEKU KK, Taiheiyo Cement Corp, Fuji Kasei Kogyo Co Ltd filed Critical TOOTEKU KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 乾式の作業により、脱気筒回りの煩雑な作業
もなく、短時間で施工でき、防水機能、耐食性に優れ、
部分的な補修も可能な建築用防水工法を提供する。 【解決手段】 カール状の磁気テープ収縮片にバインダ
ーとして熱硬化性樹脂を加えて加圧成形してなるパネル
状の断熱通気層3aの上面に、ガスラ繊維強化プラスチ
ックの板体またはシートからなる防水層3bを貼り付け
て防水パネル3を形成する。必要に応じ下地処理を施し
たコンクリート1の表面に、未硬化のモルタル2を離散
的に配置する。その上に防水パネル3を水平に敷き並べ
て行く。防水パネル3間の目地部分にガラス繊維テープ
4aを貼り付け、その上からエポキシ樹脂などの含浸剤
4bを塗布する。含浸剤4bの硬化により、ガラス繊維
強化プラスチックのシール部4を形成し、防水面を連続
させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、建築物の防水工
事あるいはその補修工事などに適用される乾式の防水工
法および同工法に使用される防水パネルに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来の代表的な建築用防水工法として
は、アスファルト防水、シート防水、塗膜防水あるいは
これらを組み合わせた複合防水工法などがある。
【0003】しかし、これらの施工方法は、下地処理に
手間がかかり、また湿式工法であることから多層からな
る防水層の施工において、乾燥、硬化に多くの時間を要
していた。
【0004】さらに、躯体の水分の影響で防水層に膨れ
が生じ、これが防水層の亀裂、漏水の原因の一つとなっ
ており、その対策として所定面積ごとに脱気筒などが設
けられているが、この脱気筒回りの防水作業が施工上の
ネックにもなっている。
【0005】これに対し、施工性の向上、耐食性の向
上、防水層の膨れを防止することなどを目的として、パ
ネルあるいは合成樹脂製のシートを用いた乾式、あるい
は一部乾式の施工方法が種々提案されている。
【0006】例えば、特開昭60−59259号公報に
は、下面に凹溝が設けられたオレフィン系樹脂発泡体な
どからなる独立気泡の柔軟性シートとゴム系の防水シー
トを積層させた複合シートを下地に接着し、その上に塗
膜型防水材を塗布する屋上防水工法が記載されている。
【0007】また、実開平1−114731号公報に
は、表面をFRP加工した硬質発泡体ボードをアンカー
止めを介して屋上面から浮かせた状態で固定し、その上
に防水層を形成した屋上断熱防水構造が記載されてい
る。
【0008】また、特開平5−214791号公報に
は、柔軟性を有するFRP成形板と弾性を有する合成樹
脂発泡シートを貼り合わせた軟質複合FRPパネルを、
合成樹脂発泡シート側を接着面として、下地に接着する
ことを特徴とする防水工法が記載されている。
【0009】なお、上記特開平5−214791号公報
には、この軟質複合FRPパネルがロール巻き可能なも
のであり、目地部分は所定の幅のガラス繊維マットと不
飽和ポリエステル樹脂によるライニングによって形成さ
れる旨、また実施例において脱気筒を50m2 当り1箇
所設置し、FRPライニングにより固定した旨が記載さ
れている。
【0010】一方、本願出願人は、先にコンクリート型
枠兼用断熱パネルとして、カール状の磁気テープ収縮片
にバインダーとして熱硬化性樹脂を加えて加圧成形して
なるパネルを開発しており(特開平7−256667号
公報参照)、このように成形されたパネルは曲げ強度お
よび曲げ剛性が大きく、寸法安定性が良く、また吸音
性、断熱性、電磁波吸収性能、静電気防止性能を併せ持
つという特徴を有している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従来の合成樹脂その他
のパネルを用いた工法は、現場における湿式作業の一部
を省略することで施工性を向上させ、また断熱性や弾性
を有するパネルを用いることで、屋根部分などにおける
断熱性を向上させたり、防水層の膨れを防止するといっ
た効果を有している。
【0012】しかし、ほとんどの場合、防水性を確保す
るためには、別途、防水用の塗装や防水シートの接着を
必要とし、防水面ほぼ全体にわたって湿式の作業が残
り、工期短縮効果に限界がある。
【0013】また、パネルとコンクリート面あるいは下
地処理面との間に断熱空間を設ける形式のものは、その
断熱空間を利用してある程度の通気性が得られるが、パ
ネルの材質によっては結露等の問題が残る。あるいは、
他の湿式工法の場合と同様、脱気筒を必要とし、脱気筒
回りの作業が湿式工法以上に面倒となる場合がある。
【0014】さらに、断熱空間を設ける形式のもので
は、パネルを支持するための支持具が必要であり、パネ
ルについては支持間隔に応じた強度が要求される。一
方、パネル重量が大きいと、設計、施工面でも不利とな
る。
【0015】本願発明は、上述のような従来技術におけ
る課題の解決を図ったものであり、所定の性能を有する
工場製作の通気性を有する防水パネルを利用すること
で、ほとんど乾式の作業により、脱気筒回りの煩雑な作
業もなく、短時間で施工でき、防水機能、耐食性に優
れ、部分的な補修も可能な建築用防水工法および同工法
に使用される防水パネルを提供することを目的としてい
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】本願の請求項1に係る建
築用防水工法は、コンクリートなどの躯体表面または必
要に応じ下地処理を施した下地処理面に、カール状の磁
気テープ収縮片にバインダーとして熱硬化性樹脂を加え
て加圧成形してなる断熱通気層と、少なくとも前記断熱
通気層の上面に設けた水密な板体またはシートからなる
防水層とを有する防水パネルを敷き並べ、前記防水パネ
ル間の目地部分を布状テープによりライニングし、前記
布状テープに含浸させた合成樹脂の硬化により前記防水
パネル間を水密に接合してなることを特徴とするもので
ある。
【0017】断熱通気層は、上述した特開平7−256
667号公報記載のコンクリート型枠兼用断熱パネルと
同様のパネルからなり、曲げ強度および曲げ剛性が大き
く、寸法安定性が良く、また吸音性、断熱性、電磁波吸
収性能、静電気防止性能を併せ持っている。
【0018】さらに、本願発明に適した性能として、通
気性を有するため、施工面が湿気を帯びている場合で
も、水蒸気などを側方に逃がすことができ、脱気筒を全
く必要としないか、あるいは必要とする場合でもその設
置間隔を広げ、必要個数を減らすことができる。
【0019】また、上記断熱通気層を構成するパネルは
透水性、吸水性も有するため、一般的な合成樹脂パネル
の場合ような結露が生じにくいという利点も有する。
【0020】水密な板体またはシートからなる防水層と
しては、水密性や耐食性の面から、従来の各種防水工法
でも多用されているFRP、その他のガラス繊維強化プ
ラスチック等の強化プラスチックの板体あるいはシート
などが適し、断熱通気層とは、例えばエポキシ樹脂、ア
クリル樹脂などの樹脂系接着剤、あるいは無機系グラウ
ト剤などで貼り合わせるなどして一体化することができ
る。
【0021】なお、防水層は、水密性を有し、必要な強
度を有し、歩行等が可能なものであれば、FRP等の上
記強化プラスチックに限らず、塩化ビニル樹脂等の熱可
塑性樹脂、ウレタン、あるいはゴム、強化ガラスや金属
板などでもよい。また、防水層は接着剤等によって貼り
合わせる場合に限らず、合成樹脂による塗装といった形
で断熱通気層の表面に所要厚のシートまたは板体を形成
するものであってもよい。
【0022】このような防水パネルを、躯体のコンクリ
ート表面あるいは必要に応じ下地処理を施した下地表面
に敷き並べ、目地部分を水密に接合することで、防水構
造が得られる。
【0023】建築物における主な適用対象位置として
は、屋上、ベランダなどが挙げられるが、屋上パラペッ
ト部分その他の垂直面、あるいは傾斜面についても適用
可能である。
【0024】なお、断熱通気層については、ある程度の
断熱性が期待できるが、屋上等において積極的に外断熱
効果を求める場合には、断熱通気層の裏面にさらに発泡
スチロールその他、断熱性の高い樹脂を貼り付けるなど
して防水パネルに高い断熱性能を与えることも可能であ
る。
【0025】請求項2は、請求項1に係る建築用防水工
法において、防水層が断熱通気層の上面または上面およ
び下面に接着したガラス繊維強化プラスチックの板体ま
たはシートからなる場合を限定したものである。
【0026】このような板体またはシートとして、最も
一般的なものとしては、ガラス繊維を補強材として不飽
和ポリエステル樹脂を含浸させたFRPやガラス繊維等
の繊維材料を補強材とするエポキシ樹脂などの各種繊維
強化プラスチックが挙げられる。
【0027】表面の防水性の観点からは、上面側に防水
層が設けられることで十分であるが、上下両面にガラス
繊維強化プラスチックの板体またはシートが設けられて
いてもよい。ただし、パネル下部の通気性や結露対策の
面では、防水層が上面だけの方がよい。
【0028】請求項3は、請求項1または2に係る建築
用防水工法において、布状テープがガラス繊維からな
り、そのガラス繊維からなる布状テープを目地部分に貼
り付けた後、布状テープの上から不飽和ポリエステル樹
脂またはエポキシ樹脂などの合成樹脂を塗布して含浸さ
せ、前記合成樹脂の硬化によりガラス繊維強化プラスチ
ックの目地を形成する場合を限定したものである。
【0029】布状のテープもガラス繊維その他の従来用
いられているプラスチック強化繊維材料からなり、エポ
キシ樹脂、不飽和ポルエステル樹脂などの樹脂を含浸さ
せて硬化させることにより、目地部分に水密な繊維強化
プラスチックが形成されることになる。
【0030】特に、防水パネルの表面の防水層に繊維強
化プラスチックの板体またはシートを用いる場合に、防
水層と目地部がほぼ同じ材質となる。
【0031】本願の請求項4に係る発明は、上記請求項
1〜3記載の建築用防水工法での使用に適した防水パネ
ルを与えるものであり、カール状の磁気テープ収縮片に
バインダーとして熱硬化性樹脂を加えて加圧成形してな
る断熱通気層と、少なくとも前記断熱通気層の片面に接
着したガラス繊維強化プラスチックの板体またはシート
からなる防水層とを有することを特徴とする。
【0032】断熱通気層および防水層の基本的な構成お
よび作用、効果は、請求項1〜3に関して説明した通り
である。なお、請求項4では防水層をガラス繊維強化プ
ラスチックの板体またはシートしているが、屋根面の使
用方法等によっても、シートとするか板体とするか、あ
るいはそれらの厚みをどの程度とするかが変わってく
る。
【0033】すなわち、非歩行、あるいは軽歩行用の屋
根の場合は、比較的薄いシート状のものでよく、中歩
行、重歩行になるに従い、強度や耐食性の面で厚いもの
が必要となってくる。
【0034】少なくとも片面としたのは、上述のように
表面の防水性の観点からは、上面となる片面のみに防水
層が設けられることで十分であるが、両面にガラス繊維
強化プラスチックの防水層を設けてもよいことを意味す
る。
【0035】請求項5に係る発明は、同様に上記請求項
1〜3記載の建築用防水工法に使用される防水パネルを
与えるものであり、カール状の磁気テープ収縮片にバイ
ンダーとして熱硬化性樹脂を加えて加圧成形してなる断
熱通気層と、少なくとも前記断熱通気層の片面に接着し
た透明な強化ガラスまたは透明な合成樹脂からなる防水
層とを有し、その防水層内に薄板状の太陽電池が埋設さ
れていることを特徴とする。
【0036】太陽電池パネルは、例えばアモルファス金
属系の薄板等を基板としており、それ自体は割れやすい
ため、屋根面等に設置する場合には、通常、透明な強化
ガラス、あるいは透明な合成樹脂内に埋め込んだ形で用
いられる。請求項5ではそのような太陽電池を埋め込ん
だパネルを防水層として用いることで、本願における防
水パネルの効果に、太陽エネルギーの有効利用という効
果を加えたものである。
【0037】請求項6は、請求項4または5に係る防水
パネルにおいて、断熱通気層が、長さ20mm以下の磁気
テープ切断片または粉砕片を加熱処理してなるカール状
の磁気テープ収縮片100重量部と、バインダーとして
加えた熱硬化性樹脂10〜50重量部とを加圧成形して
なる場合を限定したものである。
【0038】磁気テープについては、収縮してカール状
になるものであればその種類は問わないが、ビデオテー
プ、カセットテープなどの磁気テープが好ましく、これ
ら磁気テープの切断片または粉砕片は、その長さが5〜
20mmであり、それが全テープ重量の50%以上含まれ
ていることが望ましい。
【0039】また、熱硬化性樹脂としては、フェノール
樹脂、ユリア樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹
脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂のグループから選ばれ
た少なくも1種であることが好ましい。
【0040】さらに、ビデオテープ、カセットテープな
どの磁気テープを20mm以下に切断あるいは粉砕し、摂
氏100〜200度で加熱してカール状に収縮させて得
られた磁気テープの収縮片に、上記熱硬化性樹脂のバイ
ンダーを加え、摂氏100〜200度、圧力2〜20kg
f/cm2 で加圧成形すると、曲げ強度が50kgf/cm2 以上
(JIS A 5908 パーティクルボード:曲げ強
さ試験)、曲げ剛性が4×105kgf/cm2 以上で、コン
クリート打設時の最大たわみ量が2mm以下となる断熱通
気層を構成するパネルが得られる。
【0041】上記磁気テープは、その全てをカール状に
収縮させず、一部を切断あるいは粉砕したままの形で用
いることもできる。
【0042】請求項7は、請求項4または5に係る防水
パネルについて、断熱通気層および防水層を合わせた好
ましい厚さが10〜50mmであり、断熱通気層の片面に
接着される防水層の厚さが、断熱通気層および防水層を
合わせた厚さの5〜10%の厚さである場合を限定した
ものである。
【0043】本願の防水パネルの性能としては、表面の
防水性、耐食性、パネル全体としての断熱性、通気性の
他、例えば屋上防水等に使用される場合には、歩行性、
強度等が要求される。また、基本的に乾式工法によって
施工されるパネルであることから、寸法や重量の面でも
ある程度の制約が考えられる。
【0044】防水層一層の厚さを、断熱通気層および防
水層を合わせた厚さの5〜10%としたのは、材質にも
よるが、必要な耐食性を有し、傷などによって防水機能
が損なわれないようにするためには、FRP等のガラス
強化プラスチックのシート、あるいは塩化ビルニシート
等の場合で0.5mm程度以上あることが望ましく(ただ
し、例えば屋上の用途が非歩行であるか、軽歩行、中歩
行、重歩行であるかなどによっても異なる)、防水層に
ゴム等を使用する場合でも耐食性や防水性能の面で5mm
以上必要とする場合はあまり考えられず、コストや重
量、嵩の面で不利となるためである。
【0045】断熱通気層および防水層を合わせた厚さを
10〜50mmとしたのは、通気性の面で断熱通気層につ
いては10mm程度あることが望ましく(断熱通気層に外
断熱効果を期待する場合には30mm程度以上あることが
望ましく、さらに必要に応じより断熱効果の高い断熱材
を貼り合わせることもある)、また防水層と断熱通気層
の材質や相対的な厚さによっても異なるが、屋上防水等
における歩行性等を考慮した場合、これらの層を合わせ
た厚さが10mm以上あることが望まれるためである。
【0046】また、全体の厚さが50mm以上となると、
通気性や断熱性の面では有利である反面、コストが増
し、また嵩張ることや材質によっては重量が重くなるこ
とで、運搬性が悪くなり、取り扱いにも不便となること
が考えられるためである。
【0047】ただし、以上は好ましいと考えられる範囲
を挙げたものであり、施工条件や防水層の材質、外断熱
効果を図って別途断熱材を貼り合わせる場合等を考慮す
るとパネル全体の厚みとして5〜100mm程度となるこ
ともあり得る。
【0048】なお、防水パネルの長さや幅は、主として
運搬性や取り扱いの容易さなどを考慮して任意に設定す
ることができるが、この主のパネルでは、従来から、例
えば920mm×1820mmといった寸法が好まれる傾向
があり、おおよその目安としては、長さ450〜240
0mm程度、幅450〜1200mm程度が適当であると考
えられる。
【0049】
【発明の実施の形態】図1および図2は、本願発明を共
同住宅あるいはオフィスビルなどの屋上防水に適用した
場合の一実施形態および施工手順の一例を示したもので
ある。
【0050】本実施形態では、建物躯体を構成するコン
クリート1の表面に未硬化のモルタル2を離散的に配置
し、その上に長方形の防水パネル3を水平に敷き並べ、
目地部分にガラス繊維強化プラスチックのシール部4を
形成することで、屋上の防水層が形成されている。
【0051】モルタル2は、防水パネル3の水平調整と
位置決め、固定を兼ねて設置されるものであり、コンク
リート1の表面に直接、または凹凸などがある場合、補
修において亀裂等がある場合には下地処理を施した後、
未硬化のモルタル2を団子状にして置いて行く(図2
(a) 参照)。
【0052】モルタル2を用いる代わりに、スペーサー
や位置決めの機能を有する支持金具、あるいは単に水平
調整を目的としたゴム片、合成樹脂シート片等を用いる
こともできる。
【0053】本実施形態に用いた防水パネル3は、カー
ル状の磁気テープ収縮片にバインダーとして熱硬化性樹
脂を加えて加圧成形してなる断熱通気層3aの上面に、
ガラス繊維強化プラスチックからなる防水層3bをエポ
キシ樹脂などにより一体化したものである。
【0054】断熱通気層3aの組成の一例を挙げると、
ビデオテープ、カセットテープなどの磁気テープを用い
る場合、加熱処理前にその長さは20mm以下、より好ま
しくは10mm以下に切断あるいは粉砕し、その切断片あ
るいは粉砕片の長さが5〜20mmのものが全テープ重量
の50%以上、より好ましくは70%以上含まれるよう
にする。
【0055】磁気テープの長さが20mmより大きい場合
は、成形後の表面状態が粗となり、パネルとしての強度
が十分に得られない恐れがある。また、切断片あるいは
粉砕片の長さが5〜20mmのものが全テープ重量の50
%に満たない場合は、テープ自体が曲げ補強効果を十分
に発揮せず、パネルに必要な強度特性が得られないおそ
れがある。
【0056】バインダーとしては、フェノール樹脂、ユ
リア樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポ
キシ樹脂、メラミン樹脂等の、加熱により硬化・成型で
きる材料を用いることができる。これらの樹脂は粉末で
もエマルジョンでもよい。これらのバインダーは、テー
プ、例えば磁気テープ100重量部に対して10〜50
重量部、好ましくは15〜30重量部添加される。バイ
ンダーの量が10重量部に満たない場合は、テープ間の
接着が十分でないためパネルに必要な強度特性が得られ
ない。また、50重量部より大きい場合強度が頭打ちと
なり経済的でない。
【0057】製造においては、ビデオテープ、カセット
テープ等の磁気テープを長さ20mm以下、好ましくは3
〜10mmに切断あるいは粉砕し、摂氏100〜200
度、好ましくは摂氏140〜170度で加熱してカール
状に収縮させ、これを加熱処理したのち、バインダーを
加え、加圧成形する。
【0058】加熱処理温度は摂氏100〜200度がよ
い。摂氏100度以下ではカール状にならない。摂氏2
00度以上では、酸化により劣化し使用できない。加圧
成形時の温度も摂氏100〜200度がよい。摂氏10
0度以下ではバインダーが熱硬化せず成形できない。摂
氏200度以上ではテープが酸化し劣化するため使用で
きない。また、加圧成形圧力は、2kgf/cm2 以下ではパ
ネルに成形できない。20kgf/cm2 以上では、密度が大
きくなり断熱性を有しない。
【0059】上面に形成される防水層3bとしては、上
述したような従来から用いられているガラス繊維強化プ
ラスチックなどが防水性の上からも強度の上からも好ま
しい。
【0060】このように形成された防水パネル3は、上
面が水密性および気密性を有し、側方および下面側には
通気性、透水性を有し、さらに全体として断熱性が得ら
れる。
【0061】防水パネル3の大きさとしては、本実施形
態においては、厚さt=10mm(防水層3aの厚さは1
mm)、長さL=1820mm、幅B=910mmとした。
【0062】敷き並べた防水パネル3間の目地について
は、その上面にガラス繊維テープ4aを貼り付けて行き
(図2(b) 参照)、その上からエポキシ樹脂などの含浸
剤4bを塗布し(図2(c) 参照)、含浸剤4bの硬化に
より、ガラス繊維強化プラスチックのシール部4が形成
される。
【0063】なお、歩行性等を考慮し、防水面の上にさ
らに樹脂系のバインダーに砂を混入したものを塗布して
ノンスリップ加工を施したり、必要に応じ紫外線劣化を
防ぐための耐候性塗料を塗布したりすることも行われ
る。
【0064】以上は、防水層3aにガラス繊維強化プラ
スチックを用いた請求項4に係る防水パネル3を用いた
実施形態であるが、図3は防水層3aに太陽電池5を埋
め込んだ強化ガラス板を用いた請求項5に係る防水パネ
ル3の実施形態として、その断面を示したものである。
【0065】太陽電池5を埋め込んだ強化ガラス板を防
水層3aとして用いることで、屋根防水の効果に加え、
太陽エネルギーの有効利用が図れる。強化ガラス板の代
わりにアクリル樹脂その他の透明な樹脂を用いてもよ
い。
【0066】
【発明の効果】現場作業は、必要に応じ下地処理を行
った後、防水パネルを敷き並べ、パネル間の目地部分に
ガラス繊維などからなる布状のテープによるライニング
を施し、合成樹脂の含浸等により硬化させるだけの簡単
な作業であり、特に設備を要することなく、短時間で作
業を行うことができる。 パネルが断熱性を有することと、少なくとも側方への
通気性を有することで、従来の屋上防水で一般的な脱気
筒を省略することができ、やっかいな脱気筒回りの施工
がなくなることで、さらに作業が単純化される。 建物躯体のコンクリートの素地とは接着状態にないた
め、部分的に不具合が生じた場合には、その部分のパネ
ルを取り外して部分的な補修が可能である。従って、従
来の全面補修の場合に比べ、補修費用を大幅に削減する
ことができる。 下地処理の作業をあまり必要とせず、例えば、敷設さ
れるパネルのレベル合わせのためのモルタルを部分的に
置くか、あるいは簡単なスペーサーを設置する程度で済
ますこともできる。 ほとんどが乾式の作業であり、目地部分などについて
一部湿式の作業が入る場合でも、ごく限られた範囲の部
分的なものであり、施工上、他作業に対する大きな支障
とはならない。 防水層に太陽電池を埋め込んだものを用いた場合に
は、上記の効果に加え、さらに太陽エネルギーの有効利
用が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明を屋上防水に適用した場合の一実施形
態を示したもので、(a) は一部切り欠いて示した平面
図、(b) はそのA−A断面図である。
【図2】(a) 〜(c) は図1の実施形態における施工手順
の一例を示す平面図である。
【図3】防水層として強化ガラス板内に太陽電池パネル
を埋設した場合の防水パネルの一実施形態を示す断面図
である。
【符号の説明】
1…コンクリート、2…モルタル、3…防水パネル、3
a…断熱通気層、3b…防水層、4…シール部、4a…
ガラス繊維テープ、4b…含浸剤、5…太陽電池パネル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 関口 敏也 神奈川県横浜市鶴見区向井町1−12−410 (72)発明者 笠原 兼典 神奈川県厚木市鷲尾1−35−17 (72)発明者 角井 康雄 東京都立川市柏町4−65−22

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 躯体表面または下地処理面に、カール状
    の磁気テープ収縮片にバインダーとして熱硬化性樹脂を
    加えて加圧成形してなる断熱通気層と、少なくとも前記
    断熱通気層の上面に設けた水密な板体またはシートから
    なる防水層とを有する防水パネルを敷き並べ、前記防水
    パネル間の目地部分を布状テープによりライニングし、
    前記布状テープに含浸させた合成樹脂の硬化により前記
    防水パネル間を水密に接合してなることを特徴とする建
    築用防水工法。
  2. 【請求項2】 前記防水層が前記断熱通気層の上面また
    は上面および下面に接着したガラス繊維強化プラスチッ
    クの板体またはシートからなる請求項1記載の建築用防
    水工法。
  3. 【請求項3】 前記布状テープがガラス繊維からなり、
    該ガラス繊維からなる布状テープを目地部分に貼り付け
    た後、布状テープの上から不飽和ポリエステル樹脂また
    はエポキシ樹脂などの合成樹脂を塗布して含浸させ、前
    記合成樹脂の硬化によりガラス繊維強化プラスチックの
    目地を形成する請求項1または2記載の建築用防水工
    法。
  4. 【請求項4】 カール状の磁気テープ収縮片にバインダ
    ーとして熱硬化性樹脂を加えて加圧成形してなる断熱通
    気層と、少なくとも前記断熱通気層の片面に接着したガ
    ラス繊維強化プラスチックの板体またはシートからなる
    防水層とを有することを特徴とする防水パネル。
  5. 【請求項5】 カール状の磁気テープ収縮片にバインダ
    ーとして熱硬化性樹脂を加えて加圧成形してなる断熱通
    気層と、少なくとも前記断熱通気層の片面に接着した透
    明な強化ガラスまたは透明な合成樹脂からなる防水層と
    を有し、前記防水層内には薄板状の太陽電池が埋設され
    ていることを特徴とする防水パネル。
  6. 【請求項6】 前記断熱通気層は、長さが20mm以下の
    磁気テープ切断片または粉砕片を加熱処理してなるカー
    ル状の磁気テープ収縮片100重量部と、バインダーと
    して加えた熱硬化性樹脂10〜50重量部とを加圧成形
    してなる請求項4または5記載の防水パネル。
  7. 【請求項7】 前記断熱通気層および防水層を合わせた
    厚さが10〜50mmであり、前記断熱通気層の片面に接
    着される防水層の厚さが、断熱通気層および防水層を合
    わせた厚さの5〜10%の厚さである請求項4、5また
    は6記載の防水パネル。
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