JPH11293045A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物

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JPH11293045A
JPH11293045A JP10134798A JP10134798A JPH11293045A JP H11293045 A JPH11293045 A JP H11293045A JP 10134798 A JP10134798 A JP 10134798A JP 10134798 A JP10134798 A JP 10134798A JP H11293045 A JPH11293045 A JP H11293045A
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vinyl compound
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olefin
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祐一郎 櫛田
Takeshi Oda
威 尾田
Toru Arai
亨 荒井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、引張り物性と耐表面傷つき
性を改良した熱可塑性エラストマー組成物を提供するこ
とにある。 【解決手段】 (A)結晶性オレフィン樹脂10〜85
重量%と、(B)芳香族ビニル化合物含量が1〜99.
9モル%未満であり、2個以上の芳香族ビニル化合物ユ
ニットのヘッド−テイルの連鎖構造を有する芳香族ビニ
ル−オレフィンランダム共重合体15〜90重量%から
なり、動的加硫法によって得られる、引張り物性、耐表
面傷つき性が優れた芳香族ビニル・オレフィン系熱可塑
性エラストマー組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は芳香族ビニル化合物
・オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物に関し、更
に詳しくは耐表面傷つき性、引張物性に優れ、かつ動的
加硫法で得られた架橋された芳香族ビニル化合物・オレ
フィン系熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】オレフィン系熱可塑性エラストマーは省
エネルギー、省資源タイプのエラストマーとして特に加
硫ゴムや軟質塩ビの代替として、自動車部品、工業機械
部品、建材等に広く使用されはじめている。オレフィン
系熱可塑性エラストマーについては広く知られており、
例えば特公昭53−21021号公報、特公昭54−2
662号公報、特公昭55−18448号公報、特公昭
56−15740号公報等に記載されている。しかしな
がら、オレフィン系熱可塑性エラストマーは従来の加硫
ゴム、例えばSBRやCRに対し加工性や製造コストに
は優れているものの、引張り物性や耐表面傷つき性等が
劣り不充分であった。従って引っ張り物性や耐表面傷つ
き性に優れたオレフィン系熱可塑性エラストマーの出現
が望まれていた。
【0003】
【発明解決しようとする課題】本発明の目的は、上記の
様な従来技術に伴う問題を解決しようとするものであっ
て、従来のオレフィン系熱可塑性エラストマーの引っ張
り物性、耐表面傷つき性における欠点を改良した芳香族
ビニル化合物・オレフィン系熱可塑性エラストマー組成
物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる芳香族ビ
ニル化合物・オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物
は、(A)結晶性オレフィン樹脂10〜85重量%と下
記の(B)芳香族ビニル化合物−オレフィンランダム共
重合体15〜90重量%とからなり、動的加硫法により
得られた架橋された芳香族ビニル化合物・オレフィン系
熱可塑性エラストマー組成物である。 (B)芳香族ビニル化合物−オレフィンランダム共重合
体は、芳香族ビニル化合物含量が1〜99.9モル%未
満であり、2個以上の芳香族ビニル化合物ユニットのヘ
ッド−テイルの連鎖構造を有する芳香族ビニル化合物−
オレフィンランダム共重合体である。
【0005】本発明の(B)芳香族ビニル化合物−オレ
フィンランダム共重合体は、好ましくは、芳香族ビニル
化合物−エチレンランダム共重合体である。また、本発
明の(B)芳香族ビニル化合物−オレフィンランダム共
重合体は、芳香族ビニル化合物含量が1〜99.9モル
%未満、好ましくは1〜50モル%であり、2個以上の
芳香族ビニル化合物ユニットのヘッド−テイルの連鎖構
造を有する芳香族ビニル化合物−オレフィンランダム共
重合体である。この芳香族ビニル化合物−オレフィンラ
ンダム共重合体は新規共重合体であり、以下の遷移金属
化合物を用いて、または以下の製造方法によって得られ
る芳香族ビニル化合物−エチレンランダム共重合体を包
含するが、特に本発明の遷移金属化合物または製造方法
には限定されない。
【0006】以下に、本発明の共重合体の一例であるス
チレン−エチレンランダム共重合体を例に取り説明す
る。その構造は、核磁気共鳴法(NMR法)によって決
定される。
【0007】本発明のスチレン−エチレンランダム共重
合体は、TMSを基準とした13C−NMRにおいて以
下の位置に主なピークを有する。主鎖メチレン及び主鎖
メチン炭素に由来するピークを24〜25ppm付近、
27ppm付近、30ppm付近、34〜37ppm付
近、40〜41ppm付近及び42〜46ppm付近
に、また、フェニル基のうちポリマー主鎖に結合してい
ない5個の炭素に由来するピークを126ppm付近及
び128ppm付近に、フェニル基のうちポリマー主鎖
に結合している1個の炭素に由来するピークを146p
pm付近に示す。本発明のスチレン−エチレンランダム
共重合体は、その構造中に含まれる下記の一般式(1)
で示されるスチレンとエチレンの交互構造のフェニル基
の立体規則性がアイソタクティクダイアッド分率mで
0.75より大きく、かつ下記の式(i)で与えられる
交互構造指数λが70より小さく1より大きい、好まし
くは70より小さく5より大きいスチレン−エチレンラ
ンダム共重合体である。 λ=A3/A2×100 式(i) ここでA3は、13C−NMR測定により得られる、下
記の一般式(1’)で示されるスチレン−エチレン交互
構造に由来する3種類のピークa、b、cの面積の総和
である。また、A2はTMSを基準とした13C−NM
Rにより0〜50ppmの範囲に観測される主鎖メチレ
ン及び主鎖メチン炭素に由来するピークの面積の総和で
ある。
【0008】
【化4】
【0009】(式中、Phはフェニル基、xは繰り返し
単位数を示し2以上の整数を表す。)
【0010】
【化5】
【0011】(式中、Phはフェニル基、xは繰り返し
単位数を示し2以上の整数を表す。)
【0012】本発明のスチレン−エチレンランダム共重
合体に於いて、エチレンとスチレンの交互共重合構造の
フェニル基の立体規則性がアイソタクティク構造とは、
アイソタクティクダイアッド分率m(またはメソダイア
ッド分率ともいう)が0.75より大きい、好ましくは
0.85以上、さらに好ましくは0.95以上を示す構
造をいう。
【0013】エチレンとスチレンの交互共重合構造のア
イソタクティクダイアッド分率mは、25ppm付近に
現れるメチレン炭素ピークのr構造に由来するピーク面
積Arと、m構造に由来するピークの面積Amから、下
記の式(ii)によって求めることができる。 m=Am/(Ar+Am) 式(ii) ピークの出現位置は測定条件や溶媒によって若干シフト
する場合がある。例えば、重クロロホルムを溶媒とし、
TMSを基準とした場合、r構造に由来するピークは、
25.4〜25.5ppm付近に、m構造に由来するピ
ークは25.2〜25.3ppm付近に現れる。また、
重テトラクロロエタンを溶媒とし、重テトラクロロエタ
ンの3重線の中心ピーク(73.89ppm)を基準と
した場合、r構造に由来するピークは、25.3〜2
5.4ppm付近に、m構造に由来するピークは25.
1〜25.2ppm付近に現れる。なお、m構造はメソ
ダイアッド構造、r構造はラセミダイアッド構造を表
す。本発明のスチレン−エチレンランダム共重合体に於
いては、エチレンとスチレンの交互共重合構造にr構造
に帰属されるピークは実質的に観測されない。
【0014】さらに、本発明のスチレン−エチレンラン
ダム共重合体は、スチレンユニットの連鎖構造のフェニ
ル基の立体規則性がアイソタクティクである。スチレン
ユニットの連鎖構造のフェニル基の立体規則性がアイソ
タクティクとは、アイソタクティクダイアッド分率ms
(またはメソダイアッド分率ともいう)が0.5より大
きい、好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.8
以上を示す構造をいう。スチレンユニットの連鎖構造の
立体規則性は13C−NMRによって観測される43〜
44ppm付近のメチレン炭素のピーク位置、及び1H
−NMRによって観測される主鎖プロトンのピーク位置
で決定される。
【0015】米国特許5502133号公報によれば、
アイソタクティクポリスチレン連鎖構造のメチレン炭素
は42.9〜43.3ppmに現れるが、シンジオタク
ティクポリスチレン連鎖構造のメチレン炭素は44.0
〜44.7ppm付近に現れる。シンジオタクティクポ
リスチレンのシャープなメチレン炭素及びアタクティク
ポリスチレンの43〜45ppmのブロードなピークの
出現位置は、本発明のスチレン−エチレンランダム共重
合体のほかの炭素の比較的強度が低いピーク位置と近接
あるいは重なっている。しかし、本発明において42.
9〜43.4ppmにメチレン炭素ピークが強く観測さ
れるのに比較して、44.0〜44.7ppm付近には
明瞭なピークは認められない。
【0016】さらに、米国特許5502133号公報及
び本発明の比較例によれば1H−NMRにおいて主鎖メ
チレン、メチンプロトンに帰属されるピークはアイソタ
クティクポリスチレンの場合、1.5〜1.6ppm、
2.2〜2.3ppmに、シンジオタクティクポリスチ
レンの場合、1.3〜1.4ppm、1.8〜1.9p
pmに観測される。本発明の共重合体においては、ピー
クが1.5〜1.6ppm及び2.2ppmに観測さ
れ、このNMR解析の結果は、本発明の共重合体中のス
チレン連鎖はアイソタクティクの立体規則性であること
を示す。
【0017】スチレンユニットの連鎖構造のアイソタク
ティクダイアッド分率msは、13C−NMR測定によ
るスチレン連鎖構造のメチレン炭素または1H−NMR
測定による主鎖メチレン、メチンプロトンの各ピークか
ら以下の式で導かれる。各ピークのシンジオタクティク
ダイアッド構造(r構造)に由来するピーク面積Ar’
とアイソタクティクダイアッド構造(m構造)に由来す
るピークの面積Am’から、下記の式(iii)によっ
て求めることができる。 ms=Am’/(Ar’+Am’) 式(iii) ピークの出現位置は測定条件や溶媒によって若干シフト
する場合がある。
【0018】本発明におけるランダム共重合体とは、ス
チレンユニットのヘッド−テイルで結合した連鎖構造、
エチレンユニットの結合した連鎖構造及びスチレンユニ
ットとエチレンユニットが結合した構造を含む共重合体
である。本共重合体は、スチレンの含量、あるいは重合
温度等の重合条件によってこれらの構造の含まれる割合
は変化する。スチレン含量が少なくなれば、スチレンユ
ニットのヘッド−テイルで結合した連鎖構造の含まれる
割合は減少する。例えばスチレン含量が約20モル%以
下の共重合体の場合、スチレンユニットのヘッド−テイ
ルで結合した連鎖構造は通常の13C−NMR測定では
その構造に由来するピークを直接観測することは困難で
ある。しかし、本発明の遷移金属化合物を用いて、また
は本発明の製造方法により、スチレン単独の重合におい
て高い活性で立体規則性を有するホモポリマーが製造で
きること、すなわち、本質的にスチレンユニットのヘッ
ド−テイルで結合した連鎖構造を形成することが可能で
あること、及び共重合体においては、少なくとも13C
−NMR法によって20〜99モル%のスチレン含量に
対応してスチレンユニットのヘッド−テイルで結合した
連鎖構造の割合が連続的に変化することから、20モル
%以下であっても量は少ないもののスチレンユニットの
ヘッド−テイルで結合した連鎖構造が共重合体中に存在
しうることは明白である。13Cでエンリッチしたスチ
レンモノマーを用い、13C−NMRで分析する等の手
段により、スチレン含量20モル%以下の共重合体中の
スチレンユニットのヘッド−テイルで結合した連鎖構造
を観測することは可能である。エチレンユニットの連鎖
構造についてもまったく同様である。
【0019】本発明の(B)スチレン−エチレンランダ
ム共重合体に含まれるスチレンユニットのヘッド−テイ
ルで結合した連鎖構造は、以下の構造で示すことができ
る2個以上の連鎖構造であり、3個以上の連鎖構造を有
することが好ましい。
【0020】
【化6】
【0021】ここで、nは2以上の任意の整数。Phは
フェニル基を表す。
【0022】他方、従来公知のいわゆる擬似ランダム共
重合体では、芳香族ビニル化合物含量が最大の50モル
%付近においても、芳香族ビニル化合物のヘッド−テイ
ルの連鎖構造を見出すことはできない。さらに、擬似ラ
ンダム共重合体を製造する触媒を用いて芳香族ビニル化
合物の単独重合を試みても重合体は得られない。重合条
件等により極少量のアタクティク芳香族ビニル化合物ホ
モポリマーが得られる場合があるが、これは共存するメ
チルアルモキサンまたはその中に混入するアルキルアル
ミニウムによるカチオン重合、またはラジカル重合によ
って形成されたものと解するべきである。
【0023】従来の立体規則性のない擬似ランダム共重
合体のスチレンの異種結合に由来する構造のメチレン炭
素のピークは、34.0〜34.5ppm及び34.5
〜35.2ppmの2つの領域にあることが知られてい
る。(例えば、Polymer Preprints,
Japan,42,2292(1993)) 本発明のスチレン−エチレンランダム共重合体は、スチ
レンに由来する異種結合構造のメチレン炭素に帰属され
るピークが34.5〜35.2ppmの領域に観測され
るが、34.0〜34.5ppmにはほとんど認められ
ない。これは、本発明の共重合体の特徴の一つを示し、
スチレンに由来する下記の式のような異種結合構造にお
いてもフェニル基の高い立体規則性が保持されているこ
とを示す。
【0024】
【化7】
【0025】さらに、本発明のスチレン−エチレンラン
ダム共重合体は、高い立体規則性を有するエチレンとス
チレンの交互構造と、同時に種々の長さのエチレン連
鎖、スチレンの異種結合、スチレンの連鎖等の多様な構
造を併せて有するという特徴を持つ。また、本発明のス
チレン−エチレンランダム共重合体は、共重合体中のス
チレンの含量によって交互構造の割合を、上記の式で得
られるλ値で1より大きく70未満の範囲で種々変更可
能である。この立体規則的な交互構造は結晶可能な構造
であるので、本発明の共重合体は、スチレンの含量によ
り、あるいは適当な方法で結晶化度を制御することによ
り、結晶性、非結晶性、部分的に結晶構造を有するポリ
マーという多様な特性を与えることが可能である。λ値
が70未満であることは、結晶性ポリマーでありなが
ら、有意の靭性、透明性を与えるために、また、部分的
に結晶性のポリマーとなるために、あるいは、非結晶性
のポリマーとなるために重要である。本発明の共重合体
は、およそ10モル%以上のスチレン含量域において、
従来の立体規則性を有せずまたスチレン連鎖も有しない
スチレン−エチレン共重合体に比べて、高い融点(DS
Cによる)を有することができる。
【0026】以下に、本発明の芳香族ビニル化合物・オ
レフィン系樹脂組成物に使用される(B)芳香族ビニル
化合物−オレフィン共重合体の製造方法を示す。本発明
に用いられる(B)芳香族ビニル化合物−オレフィン共
重合体は下記の遷移金属化合物を用いて製造することが
できる。
【0027】
【化8】
【0028】式中、Aは非置換または置換インデニル
基、あるいは非置換または置換ベンゾインデニル基であ
る。Bは、非置換または置換シクロペンタジエニル基、
非置換または置換インデニル基、非置換または置換ベン
ゾインデニル基、あるいは非置換または置換フルオレニ
ル基である。A、B共に非置換または置換インデニル
基、あるいは非置換または置換ベンゾインデニル基であ
る場合には両者は同一でも異なっていてもよい。Yは、
A、Bと結合を有し、置換基として水素または炭素数1
〜15の炭化水素基を有するメチレン基またはシリレン
基である。これらの置換基は互いに異なっていても同一
でもよい。また、Yはシクロヘキシリデン基、シクロペ
ンチリデン基等の環状構造を有していてもよい。Xは、
水素や塩素、臭素等のハロゲン、メチル基、エチル基等
のアルキル基、フェニル基等のアリール基、トリメチル
シリル基等のシリル基、メトキシ基、エトキシ基、イソ
プロポキシ基等のアルコキシ基またはジアルキルアミド
基等である。Mは第IV族金属である。
【0029】一般式(2)において、Aは好ましくは下
記の一般式、化9、化10、化11または化12で表す
ことができる非置換または置換インデニル基、あるいは
非置換または置換ベンゾインデニル基である。
【0030】
【化9】
【0031】
【化10】
【0032】
【化11】
【0033】
【化12】
【0034】上記の化9〜化12において、R1、R
2、R3及びR4はそれぞれ水素、炭素数1〜20のア
ルキル基、6〜10のアリール基、7〜20のアルキル
アリール基、ハロゲン原子、OSiR3 基、SiR3
またはPR2 基(Rはいずれも炭素数1〜10の炭化水
素基を表す)であり、R1同士、R2同士、R3同士及
びR4同士は互いに同一でも異なっていても良い。ま
た、隣接するR1、R2、R3及びR4は一体となって
5〜8員環の芳香環または脂肪環を形成しても良い。
【0035】非置換インデニル基としては1−インデニ
ルが、置換インデニル基としては、4−アルキル−1−
インデニル、4−アリール−1−インデニル、4,5−
ジアルキル−1−インデニル、4,6−ジアルキル−1
−インデニル、5,6−ジアルキル−1−インデニル、
4,5−ジアリール−1−インデニル、5−アリール−
1−インデニル、4−アリール−5−アルキル−1−イ
ンデニル、2,6−ジアルキル−4−アリール−1−イ
ンデニル、5,6−ジアリール−1−インデニル、4,
5,6−トリアリール−1−インデニル等が挙げられ
る。非置換ベンゾインデニル基として、4,5−ベンゾ
−1−インデニル、(別名、ベンゾ(e)インデニ
ル)、5,6−ベンゾ−1−インデニル、6,7−ベン
ゾ−1−インデニルが、置換ベンゾインデニル基とし
て、4,5−ナフト−1−インデニル、4,5−ピレン
−1−インデニル、4,5−トリフェニレン−1−イン
デニル、α−アセナフト−1−インデニル、3−シクロ
ペンタ〔c〕フェナンスリル、1−シクロペンタ〔l〕
フェナンスリル基等が例示できる。
【0036】上記の一般式(2)においてBは好ましく
は、上記のAと同様の非置換または置換インデニル基あ
るいは非置換または置換ベンゾインデニル基、あるいは
下記の一般式化13、化14で示される非置換または置
換シクロペンタジエニル基あるいは非置換または置換フ
ルオレニル基である。A、B共に非置換または置換イン
デニル基あるいは非置換または置換ベンゾインデニル基
である場合には両者は同一でも異なっていてもよい。
【0037】
【化13】
【0038】
【化14】
【0039】上記の化13、化14において、R5、R
6はそれぞれ水素、炭素数1〜20のアルキル基、6〜
10のアリール基、7〜20のアルキルアリール基、ハ
ロゲン原子、OSiR3 基、SiR3 基またはPR2
(Rはいずれも炭素数1〜10の炭化水素基を表す)で
あり、R5同士、R6同士は互いに同一でも異なってい
ても良い。ただし、Bは、Aとラセミ体(または擬似ラ
セミ体)の立体関係にあることが好ましい。
【0040】非置換シクロペンタジエニル基としてシク
ロペンタジエニルが、置換シクロペンタジエニル基とし
て4−アリール−1−シクロペンタジエニル、4,5−
ジアリール−1−シクロペンタジエニル、5−アルキル
−4−アリール−1−シクロペンタジエニル、4−アル
キル−5−アリール−1−シクロペンタジエニル、4,
5−ジアルキル−1−シクロペンタジエニル、5−トリ
アルキルシリル−4−アルキル−1−シクロペンタジエ
ニル、4,5−ジアルキルシリル−1−シクロペンタジ
エニル等が挙げられる。
【0041】非置換インデニル基または置換インデニル
基、非置換ベンゾインデニル基または置換ベンゾインデ
ニル基としては上記のAについて例示したものが使用で
きる。非置換フルオレニル基として9−フルオレニル基
が、置換フルオレニル基として、7−メチル−9−フル
オレニル基、ベンゾ−9−フルオレニル基等が挙げられ
る。
【0042】上記の一般式(2)において、YはA、B
と結合を有し、水素または炭素数1〜15の炭化水素基
を有するメチレン基、またはシリレン基である。置換基
は互いに異なっていても同一でもよい。また、Yはシク
ロヘキシリデン基、シクロペンチリデン基等の環状構造
を有していてもよい。好ましくは、Yは、A、Bと結合
を有し、水素または炭素数1〜15の炭化水素基で置換
された置換メチレン基である。炭化水素置換基として
は、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、シク
ロアリール基等が挙げられる。置換基は互いに異なって
いても同一でもよい。特に好ましくは、Yは、−CH2
−、−CMe2 −、−CEt2 −、−CPh 2 −、シク
ロヘキシリデン、シクロペンチリデン基等である。ここ
で、Meはメチル基、Etはエチル基、Phはフェニル
基を表す。Xは、水素、ハロゲン、炭素数1〜15のア
ルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜4
の炭化水素置換基を有するシリル基、炭素数1〜10の
アルコキシ基、または炭素数1〜6のアルキル置換基を
有するジアルキルアミド基である。ハロゲンとしては塩
素、臭素等が、アルキル基としてはメチル基、エチル基
等が、アリール基としてはフェニル基等が、シリル基と
してはトリメチルシリル基等が、アルコキシ基としては
メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等が、また
ジアルキルアミド基としてはジメチルアミド基等が挙げ
られる。
【0043】Mは、第IV族金属でありZr、Hf、T
i等が挙げられる。特に好ましくはZrである。
【0044】かかる遷移金属化合物の例としては下記の
化合物が挙げられる。例えば、ジメチルメチレンビス
(1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジエチル
メチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロリ
ド、ジn−プロピルメチレンビス(1−インデニル)ジ
ルコニウムジクロリド、ジi−プロピルメチレンビス
(1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、シクロヘ
キシリデンビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロ
リド、シクロぺンチリデンビス(1−インデニル)ジル
コニウムジクロリド、ジフェニルメチレンビス(1−イ
ンデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルメチレン
ビス(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウム
ジクロリド{別名、ジメチルメチレンビス(ベンゾ
〔e〕インデニル)ジルコニウムジクロリド}、ジn−
プロピルメチレンビス(4,5−ベンゾ−1−インデニ
ル)ジルコニウムジクロリド、ジi−プロピルメチレン
ビス(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウム
ジクロリド、シクロヘキシリデンビス(4,5−ベンゾ
−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、シクロぺ
ンチリデンビス(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジ
ルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレンビス(4,
5ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルメチレン(シクロペンタジエニル)(4,5−
ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジ
メチルメチレン(1−インデニル)(4,5−ベンゾ−
1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルメ
チレン(1−フルオレニル)(4,5−ベンゾ−1−イ
ンデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルメチレン
(4−フェニル−1−インデニル)(4,5−ベンゾ−
1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルメ
チレン(4−ナフチル−1−インデニル)(4,5−ベ
ンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメ
チルメチレンビス(5,6−ベンゾ−1−インデニル)
ジルコニウムジクロリド、ジメチルメチレン(5,6−
ベンゾ−1−インデニル)(1−インデニル)ジルコニ
ウムジクロリド、ジメチルメチレンビス(6,7−ベン
ゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチ
ルメチレン(6,7−ベンゾ−1−インデニル)(1−
インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルメチレ
ンビス(4,5−ナフト−1−インデニル)ジルコニウ
ムジクロリド、ジメチルメチレンビス(α−アセナフト
−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチル
メチレンビス(3−シクロペンタ〔c〕フェナンスリ
ル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルメチレン(3−
シクロペンタ〔c〕フェナンスリル)(1−インデニ
ル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルメチレンビス
(1−シクロペンタ〔l〕フェナンスリル)ジルコニウ
ムジクロリド、ジメチルメチレン(1−シクロペンタ
〔l〕フェナンスリル)(1−インデニル)ジルコニウ
ムジクロリド、ジメチルメチレンビス(4,5−ベンゾ
−1−インデニル)ジルコニウムビス(ジメチルアミ
ド)等が挙げられる。以上、Zr錯体を例示したが、T
i、Hf錯体も上記と同様の化合物が好適に用いられ
る。また、ラセミ体、メソ体の混合物を用いても良い
が、好ましくはラセミ体または擬似ラセミ体を用いる。
これらの場合、D体を用いても、L体を用いても良い。
【0045】本発明で用いる助触媒としては、従来遷移
金属化合物と組み合わせて用いられている助触媒を使用
することができるが、そのような助触媒として、アルミ
ノキサン(またはアルモキサンと記す)またはほう素化
合物が好適に用いられる。更に本発明は、その際助触媒
として下記の一般式(3)、(4)で示されるアルミノ
キサン(またはアルモキサンと記す)が好適に用いられ
る。
【0046】
【化15】
【0047】式中、Rは炭素数1〜5のアルキル基、炭
素数6〜10のアリール基、または水素、mは2〜10
0の整数である。それぞれのRは互いに同一でも異なっ
ていても良い。
【0048】
【化16】
【0049】式中、R’は炭素数1〜5のアルキル基、
炭素数6〜10のアリール基、または水素、nは2〜1
00の整数である。それぞれのR’は互いに同一でも異
なっていても良い。アルミノキサンとしては好ましく
は、メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、トリイ
ソブチルアルモキサンが用いられるが、特に好ましくは
メチルアルモキサンが用いられる。必要に応じ、これら
種類の異なるアルモキサンの混合物を用いてもよい。ま
た、これらアルモキサンとアルキルアルミニウム、例え
ば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウ
ム、トリイソブチルアルミニウムやハロゲンを含むアル
キルアルミニウム、例えばジメチルアルミニウムクロラ
イド等を併用してもよい。
【0050】アルキルアルミニウムの添加は、スチレン
中の重合禁止剤、スチレン、溶媒中の水分等の重合を阻
害する物質の除去、重合反応に対する無害化のために効
果的である。しかし、あらかじめスチレン、溶媒等を蒸
留し、あるいは乾燥不活性ガスでのバブリングやモレキ
ュラーシーブを通す等の公知の方法でこれらの量を重合
に影響のないレベルまで低減する、あるいは用いるアル
モキサンの使用量を若干増やす、または分添すれば、特
にアルキルアルミニウムを重合時に添加することは、必
ずしも必要ではない。
【0051】本発明では、上記の遷移金属化合物と共に
助触媒としてほう素化合物を用いることができる。助触
媒として用いられるほう素化合物は、トリフェニルカル
ベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレー
ト{トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボ
レート}、リチウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)
ボレート、トリ(ペンタフルオロフェニル)ボラン、ト
リメチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリエ
チルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリプロピ
ルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリ(n−ブ
チル)アンモニウムテトラフェニルボレート、トリ(n
−ブチル)アンモニウムテトラ(p−トリル)フェニル
ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(p
−エチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アン
モニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)ボレー
ト、トリメチルアンモニウムテトラキス−3,5−ジメ
チルフェニルボレート、トリエチルアンモニウムテトラ
キス−3,5−ジメチルフェニルボレート、トリブチル
アンモニウムテトラキス−3,5−ジメチルフェニルボ
レート、トリブチルアンモニウムテトラキス−2,4−
ジメチルフェニルボレート、アニリニウムテトラキスペ
ンタフルオロフェニルボレート、N,N’−ジメチルア
ニリニウムテトラフェニルボレート、N,N’−ジメチ
ルアニリニウムテトラキス(p−トリル)ボレート、
N,N’−ジメチルアニリニウムテトラキス(m−トリ
ル)ボレート、N,N’−ジメチルアニリニウムテトラ
キス(2,4−ジメチルフェニル)ボレート、N,N’
−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ジメチル
フェニル)ボレート、N,N’−ジメチルアニリニウム
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,
N’−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオ
ロフェニル)ボレート、N,N’−2,4,5−ペンタ
メチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N’
−2,4,5−ペンタエチルアニリニウムテトラフェニ
ルボレート、ジ−(イソプロピル)アンモニウムテトラ
キスペンタフルオロフェニルボレート、ジ−シクロヘキ
シルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリフェニ
ルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリ(メチル
フェニル)ホスホニウムテトラフェニルボレート、トリ
(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラフェニルボレ
ート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(p−トリ
ル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス
(m−トリル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテ
トラキス(2,4−ジメチルフェニル)ボレート、トリ
フェニルカルベニウムテトラキス(3,5−ジメチルフ
ェニル)ボレート、トロピリウムテトラキスペンタフル
オロフェニルボレート、トロピリウムテトラキス(p−
トリル)ボレート、トロピリウムテトラキス(m−トリ
ル)ボレート、トロピリウムテトラキス(2,4−ジメ
チルフェニル)ボレート、トロピリウムテトラキス
(3,5−ジメチルフェニル)ボレート等である。これ
らほう素化合物と上記の有機アルミニウム化合物を同時
に用いても差し支えない。特にほう素化合物を助触媒と
して用いる場合、重合系内に含まれる水等の重合に悪影
響を与える不純物の除去に、トリイソブチルアルミニウ
ム等のアルキルアルミ化合物の添加は有効である。
【0052】本発明に用いられる芳香族ビニル化合物と
しては、スチレンおよび各種の置換スチレン、例えばp
−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルス
チレン、o−t−ブチルスチレン、m−t−ブチルスチ
レン、p−t−ブチルスチレン、p−クロロスチレン、
o−クロロスチレン、α−メチルスチレン等が挙げら
れ、またジビニルベンゼン等の一分子中に複数個のビニ
ル基を有する化合物等も挙げられる。工業的には好まし
くはスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレ
ン、特に好ましくはスチレンが用いられる。
【0053】また、本発明に用いられるオレフィンとし
ては、炭素数2〜20のα−オレフィン、すなわちエチ
レン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メ
チル−1−ペンテン、1−オクテンや環状オレフィン、
すなわちノルボルネンやノルボルナジエンが適当であ
る。またこれらのオレフィンを2種以上用いてもよい。
オレフィンとしてはエチレン、プロピレンが好ましい。
【0054】本発明の共重合体を製造するにあたって
は、オレフィン、上記に例示した芳香族ビニル化合物、
金属錯体である遷移金属化合物および助触媒を接触させ
るが、接触の順番、接触方法は任意の公知の方法を用い
ることができる。重合方法としては溶媒を用いずに液状
モノマー中で重合させる方法、あるいはペンタン、ヘキ
サン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、クロロ置換ベンゼン、クロロ置換トルエ
ン、塩化メチレン、クロロホルム等の飽和脂肪族または
芳香族炭化水素またはハロゲン化炭化水素の単独または
混合溶媒を用いる方法がある。また、必要に応じ、バッ
チ重合、連続重合、回分式重合、スラリー重合、予備重
合あるいは気相重合等の方法を用いることができる。
【0055】重合温度は、−78℃から200℃が適当
であり、好ましくは−50℃〜160℃である。−78
℃より低い重合温度は工業的に不利であり、200℃を
超えると金属錯体の分解が起こるので適当ではない。さ
らに工業的に特に好ましくは、0℃〜160℃である。
【0056】助触媒として有機アルミニウム化合物を用
いる場合には、錯体の金属に対し、アルミニウム原子/
錯体金属原子比で0.1〜100000、好ましくは1
0〜10000の比で用いられる。0.1より小さいと
有効に金属錯体を活性化出来ず、100000を超える
と経済的に不利となる。助触媒としてほう素化合物を用
いる場合には、ほう素原子/錯体金属原子比で0.01
〜100の比で用いられるが、好ましくは0.1〜1
0、特に好ましくは1で用いられる。0.01より小さ
いと有効に金属錯体を活性化出来ず、100を超えると
経済的に不利となる。金属錯体と助触媒は、重合槽外で
混合、調製しても、重合時に槽内で混合してもよい。
【0057】本発明に用いられる(B)芳香族ビニル化
合物−オレフィンランダム共重合体の重量平均分子量
は、1000以上、共重合体としての物性を考慮にいれ
ると好ましくは1万以上、特に好ましくは3万以上であ
る。ここでの重量平均分子量はGPCで標準ポリスチレ
ンを用いて求めたポリスチレン換算分子量をいう。本発
明に用いられる(B)芳香族ビニル化合物−オレフィン
ランダム共重合体は、必ずしもそれが純粋な共重合体で
ある必要はなく、構造及び立体規則性が上記の範囲にあ
れば他の構造が含まれていても、他のモノマーが共重合
されていても差し支えない。共重合される他のモノマー
としてプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘ
キセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、3
−メチルペンテン−1等及びこれらの組み合わせの炭素
数3から20までのα−オレフィン、ブタジエン等の共
役ジエン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジ
エン、1,4−ヘキサジエン等の非共役ジエン化合物が
挙げられる。また前記の芳香族ビニル化合物が2種以上
共重合されていても良い。また重合条件等によっては、
芳香族ビニル化合物が熱、ラジカル、またはカチオン重
合したアタクティクホモポリマーが少量含まれる場合が
あるが、その量は全体の10重量%以下である。このよ
うなホモポリマーは溶媒抽出により除去できるが、物性
上特に問題がなければこれを含んだまま使用することも
できる。
【0058】本発明に用いられる(A)結晶性オレフィ
ン樹脂としては、炭素原子数2〜20のα−オレフィン
の単独重合体、又はその共重合体が挙げられる。これら
の(A)結晶性オレフィン樹脂の具体例としては、低
圧法、高圧法等のエチレン単独重合体、エチレンと、
30モル%以下の他のα−オレフィン、酢酸ビニルおよ
びエチルアクリレート等のビニルモノマーの少なくとも
1種以上との共重合体、プロピレン単独重合体、プ
ロピレンと10モル%以下の他のα−オレフィンとのラ
ンダム共重合体、プロピレンと30モル%以下の他の
α−オレフィンとのブロック共重合体、1−ブテン単
独重合体、1−ブテンと10モル%以下の他のα−オ
レフィンとのランダム共重合体、4−メチルペンテン
−1単独重合体、4−メチルペンテン−1と20モル
%以下の他のα−オレフィンとのランダム共重合体が挙
げられる。上記の(A)結晶性オレフィン樹脂の中で
も、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体または
プロピレン含量が50モル%以上のプロピレン−α−オ
レフィン共重合体が特に好ましい。上記のような(A)
結晶性オレフィン樹脂は、単独で或いは組み合わせて用
いることができる。
【0059】更に、本発明の芳香族ビニル化合物・オレ
フィン系熱可塑性エラストマー組成物の物性改善を目的
とし、他のポリマーとのブレンドも可能である。例え
ば、ポリスチレン、ポリ(スチレン−アクリロニトリ
ル)、PMMA、ABS、SBS、SIS、SEBS,
SEPS等とのブレンドが挙げられる。又、芳香族ビニ
ル化合物含量が異なる本発明の芳香族ビニル化合物−オ
レフィンランダム共重合体どうしのブレンド物も利用可
能である。これらは動的加硫反応の前に加えて主成分と
共に反応させても良いし反応が終わった後に加えて単な
るブレンド材として用いても良い。
【0060】本発明の芳香族ビニル化合物・オレフィン
系熱可塑性エラストマー組成物は、(A)結晶性オレフ
ィン樹脂と(B)芳香族ビニル化合物−オレフィンラン
ダム共重合体からなるブレンド物を、有機過酸化物やフ
ェノール樹脂架橋剤の存在下でいわいる動的加硫(動的
に熱処理する)することにより得ることが出来る。動的
加硫は各種配合物を溶融状態で、架橋剤が反応する条件
下で強力に混練させることにより分散と架橋を同時に起
させる手法であり、A.Y.Coranらの文献(Ru
b.Chem.and Technol.vol.5
3,141(1980))に詳細に記されており広く知
られている。動的加硫はバンバリーミキサー、加圧式ニ
ーダーの様な密閉式混練機、一軸又は二軸押出機等を用
いて行われる。混練温度は通常130〜300℃、好ま
しくは150〜250℃である。混練時間は通常1〜3
0分である。動的加硫に用いられる有機過酸化物として
は、具体的にはジキュミルパーオキサイド、2,5−ジ
メチル−2,5−ジ(tertーブチルペルオキシ)−
ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−
ブチルペルオキシ)−ヘキシン−3、ジ−tert−ブ
チルペルオキシド等が挙げられる。本発明において、有
機過酸化物は(B)芳香族ビニル化合物−オレフィンラ
ンダム共重合体100重量部に対し好ましくは0.1〜
5重量部、更に好ましくは0.5〜3重量部の割合で用
いられる。又、有機過酸化物による動的加硫の際にマレ
イミド化合物の様な過酸化物架橋用助剤、ジビニルベン
ゼン、トリメチロールプロパントリメタクリレートの様
な多官能性ビニルモノマーを配合することが出来る。
【0061】本発明の熱可塑性エラストマーには、本発
明の目的を損なわない範囲内で必要に応じて、鉱物油系
軟化剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防
止剤、充填剤、着色剤、滑剤等の添加物を配合すること
が出来る。製品の硬さや流動性の調節の為に必要に応じ
て配合することが出来る軟化剤としては、具体的にはパ
ラフィン系、ナフテン系、アロマ系プロセスオイル、流
動パラフィン、ヒマシ油、アマニ油等種々のものが使わ
れる。そしてこれらの軟化剤は混練時に添加しても、
(B)芳香族ビニル化合物−オレフィンランダム共重合
体の製造時に予め含ませておいても良い(いわいる油展
ゴム)。又、本発明においては軟化剤は(B)芳香族ビ
ニル化合物−オレフィンランダム共重合体100重量部
に対し通常0〜150重量部添加する。本発明において
は必要に応じて添加することが出来る無機充填剤として
は、具体的には炭酸カルシウム、タルク、クレー、珪酸
カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等
が挙げられる。
【0062】
【実施例】以下、実施例により、本発明を説明するが、
これらの実施例は本発明を限定するものではない。な
お、以下の説明でIndはインデニル基を、BIndは
ベンソインデニル基を、Meはメチル基を表す。各実験
例で得られたポリマーの分析は以下の手段によって実施
した。13C−NMR測定は、装置は日本電子社製JN
MGX−270またはα−500を用い、溶媒は重クロ
ロホルムまたは重1,1,2,2−テトラクロロエタン
を用い、TMSを基準として測定した。ポリマー中のス
チレン含量の決定は、1H−NMRで行い、装置は日本
電子社製JNMGX−270またはα−500を用い、
溶媒は重クロロホルムまたは1,1,2,2−テトラク
ロロエタンを用い、TMSを基準として、フェニル基プ
ロトン由来のピークとアルキル基由来のプロトンピーク
の強度比較で行った。分子量はGPC(ゲルパーミエー
ションクロマトグラフィー)を用いて標準ポリスチレン
換算の分子量を求めた。溶媒はTHFまたは1,2,4
−トリクロロベンゼンを用い、カラムは東ソー社製HL
C−8020またはセンシュウ科学社製GPC−710
0を用いた。
【0063】実験例 <遷移金属化合物の合成A>下式のrac−ジメチルメ
チレンビス(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコ
ニウムジクロリド、(別名、rac−イソプロピリデン
ビス(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウム
ジクロリド、またはrac{BInd−C(Me)2
BInd}ZrCl2 と記す)は以下の合成法で合成し
た。4,5−ベンゾインデンはOrganometal
lics,13,964(1994)に従って合成し
た。
【0064】A−1 1,1−イソプロピリデン−4,
5−ベンゾインデンの合成 1,1−イソプロピリデン−4,5−ベンゾインデンの
合成は、Can.J.Chem.,62,1751(1
984)に記載されている6,6−ジフェニルフルベン
の合成を参考に行った。ただし、出発原料はベンゾフェ
ノンの代わりにアセトンを、シクロペンタジエンの代わ
りに4,5−ベンゾインデンを用いた。
【0065】A−2 イソプロピリデンビス4,5−ベ
ンゾ−1−インデンの合成 Ar雰囲気下、21mmolの4,5−ベンゾインデン
を70mlのTHFに溶解し、0℃で、当量のBuLi
を加え、3時間攪拌した。1,1−イソプロピリデン−
4,5−ベンゾインデン21mmolを溶解したTHF
を加え、室温で一晩攪拌した。水100ml、ジエチル
エーテル150mlを加え振盪し、有機層を分離、飽和
食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し溶媒を減圧
下、留去した。得られた黄色固体をヘキサンで洗浄、乾
燥しイソプロピリデンビス4,5−ベンゾ−1−インデ
ンを3.6g(収率46%)得た。1H−NMRスペク
トル測定により、7.2〜8.0ppm(m、12
H)、6.65ppm(2H)、3.75ppm(4
H)、1.84ppm(6H)の位置にピークを有す
る。測定はTMSを基準とし、CDCl3 を溶媒として
行なった。
【0066】A−3 rac−ジメチルメチレンビス
(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジク
ロリドの合成 Ar雰囲気下、7.6mmolのイソプロピリデンビス
4,5−ベンゾ−1−インデンと7.2mmolのジル
コニウムテトラキスジメチルアミド、別名{Zr(NM
2 4 }をトルエン50mlとともに仕込み、130
℃で10時間攪拌した。減圧下、トルエンを留去し、塩
化メチレン100mlを加え、−78℃に冷却した。ジ
メチルアミン塩酸塩14.4mmolをゆっくり加え、
室温にゆっくり昇温し、2時間攪拌した。溶媒を留去
後、得られた固体をペンタン、続いて少量のTHFで洗
浄し、下記の式で表される黄燈色のrac−ジメチルメ
チレンビス(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコ
ニウムジクロリドを0.84g(収率21%)得た。
【0067】
【化17】
【0068】1H−NMRスペクトル測定により、8.
01ppm(m、2H)、7.75ppm(m、2
H)、7.69ppm(d、2H)、7.48〜7.5
8ppm(m、4H)、7.38ppm(d、2H)、
7.19ppm(d、2H)、6.26ppm(d、2
H)、2.42ppm(s、6H)の位置にピークを有
する。測定はTMSを基準とし、CDCl3 を溶媒とし
て行なった。元素分析装置1108型(イタリア、ファ
イソンズ社製)を用いて元素分析を行い、C63.86
%、H3.98%の結果を得た。理論値はC65.39
%、H4.16%である。
【0069】<遷移金属化合物の合成B>rac−ジメ
チルメチレン(1−インデニル)(4,5−ベンゾ−1
−インデニル)ジルコニウムジクロリド、(別名、ra
c−イソプロピリデン(1−インデニル)(4,5−ベ
ンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、また
はrac{Ind−C(Me)2 −BInd}ZrCl
2 と記す)は以下の合成法で合成した。
【0070】B−1 イソプロピリデン(1−インデ
ン)(4,5−ベンゾ−1−インデン)の合成 Ar雰囲気下、14mmolのインデンを50mlのT
HFに溶解し、0℃で、当量のBuLiを加え、10時
間攪拌した。1,1−イソプロピリデン−4,5−ベン
ゾインデン13mmolを溶解したTHF10mlを加
え、室温で一晩攪拌した。水50ml、ジエチルエーテ
ル100mlを加え振盪し、有機層を分離飽和食塩水で
洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し溶媒を減圧下、留去し
た。カラムでさらに精製し、イソプロピリデン(1−イ
ンデン)(4,5−ベンゾ−1−インデン)を2.5g
(収率59%)得た。
【0071】B−2 rac−ジメチルメチレン(1−
インデニル)(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジル
コニウムジクロリドの合成 Ar雰囲気下、6.5mmolのイソプロピリデン(1
−インデン)(4,5−ベンゾ−1−インデン)と6.
5mmolのジルコニウムテトラキスジメチルアミド、
別名{Zr(NMe2 4 }をトルエン40mlととも
に仕込み、130℃で10時間攪拌した。減圧下、トル
エンを留去し、塩化メチレン100mlを加え、−78
℃に冷却した。ジメチルアミン塩酸塩13mmolをゆ
っくり加え、室温にゆっくり昇温し、2時間攪拌した。
溶媒を留去後、得られた固体をペンタン、続いて少量の
塩化メチレンで洗浄し、燈色のrac−ジメチルメチレ
ン(1−インデニル)(4,5−ベンゾ−1−インデニ
ル)ジルコニウムジクロリドを0.76g(収率24
%)得た。1H−NMRスペクトル測定により、7.0
5〜8.04ppm(m、10H但し、7.17ppm
のピークを除く)、7.17ppm(d、H)、6.7
3ppm(d、H)、6.25ppm(d、H)、6.
18ppm(d、H)、2.41ppm(m、3H)、
2.37ppm(m、3H)の位置にピークを有する。
測定はTMSを基準とし、CDCl3 を溶媒として行な
った。
【0072】実験例1 共重合体P−1の合成 容量10L、攪拌機及び加熱冷却用ジャケット付のオー
トクレーブを用いて重合を行った。脱水したトルエン4
000ml、脱水したスチレン800mlを仕込み、内
温50℃に加熱攪拌した。窒素を約100Lバブリング
して系内をパージし、トリイソブチルアルミニウム8.
4mmol、メチルアルモキサン(東ソーアクゾ社製、
PMAO)をAl基準で8.4mmol加えた。ただち
にエチレンを導入し圧力10Kg/cm2 Gで安定した
後に、オートクレーブ上に設置した触媒タンクから、触
媒rac{BInd−C(Me)2 −BInd}ZrC
2 を0.84μmol、トリイソブチルアルミニウム
0.84mmolを溶かしたトルエン溶液約50mlを
オートクレーブに加えた。内温を50℃、エチレン圧を
1Kg/cm2 G(エチレン圧2気圧)に維持しながら
5時間重合を実施した。重合中は、反応液温及びエチレ
ンの消費速度を流量積算計によりモニターして、重合反
応が実質的に終了するまで重合を実施した。重合終了
後、得られた重合液を激しく攪拌した過剰のメタノール
中に少量ずつ投入し生成したポリマーを析出させた。減
圧下、60℃で重量変化が認められなくなるまで乾燥し
たところ、スチレン含量11.5モル%の共重合体46
4gを得た。
【0073】実験例2 共重合体P−2の合成 触媒量を2.1μmolに、用いるメチルアルモキサン
を東ソーアクゾ社製、MMAO−3Aに変更しAl基準
で84mmolに、重合時間を4時間に変更した以外は
実験例1と同様に重合及び後処理を実施した。その結果
スチレン含量15.5モル%の共重合体874gを得
た。
【0074】実験例3 共重合体P−3の合成 触媒量を8.4μmolに、用いるメチルアルモキサン
を東ソーアクゾ社製、MMAO−3Aに変更しAl基準
で84mmolに、スチレンを2400mlにトルエン
を2400mlに、重合時間を1.5時間に変更した以
外は実験例1と同様に重合及び後処理を実施した。その
結果スチレン含量37.1モル%の共重合体1320g
を得た。
【0075】実験例4 共重合体P−4の合成 用いる触媒をrac{Ind−C(Me)2 −BIn
d}ZrCl2 8.4μmolに、用いるメチルアルモ
キサンを東ソーアクゾ社製、MMAO−3Aに変更しA
l基準で84mmolに、スチレンを2400mlに、
トルエンを2400mlに、重合時間を5時間に変更し
た以外は実験例1と同様に重合及び後処理を実施した。
その結果スチレン含量31.8モル%の共重合体870
gを得た。
【0076】表1に、各実験例で得られた共重合体の1
H−NMR測定から求めたスチレン含量、GPC測定か
ら得られた分子量、分子量分布、13C−NMR測定か
ら求めたスチレン−エチレン交互構造のタクティシティ
m値、λ値、θ値、DSC測定で得られた融点を示す。
【0077】
【表1】
【0078】実施例1 結晶性オレフィン樹脂として チッソポリプロK−77
30(エチレンブロック共重合タイプ、メルトフローレ
ート=25gr/10min(230℃、2.16k
g))を30重量部と、実験例1で得たスチレンーエチ
レンランダム共重合体P−1(スチレン11.5モル
%)70重量部とパーキュミルD−40(日本油脂製、
純分40%)、ジビニルベンゼン各1重量部を容量3リ
ットルのバンバリーミキサーに仕込み水冷下100rp
mで混練した。内温が185℃に上がった後、更に3分
間混練してストップし、熱可塑性エラストマー組成物を
作成した。ロールでシーティングし、プレスシートを作
成し物性測定を行った。結果を表2に示す。
【0079】実施例2 実施例1においてスチレン−エチレンランダム共重合体
P−1の替わりにP−2(スチレン15.5モル%)を
用いた以外は実施例1と同様にして熱可塑性エラストマ
ー組成物を作成し、物性測定を行った。結果を表2に示
す。
【0080】実施例3、4 実施例1においてスチレン−エチレンランダム共重合体
P−1の替わりにP−3、P−4(各々スチレン37.
1モル%、31.8モル%)を用いた以外は実施例1と
同様にして、熱可塑性エラストマー組成物を作成し物性
測定を行った。結果を表2に示す。
【0081】実施例5 実施例3の処方で軟化剤として出光興産社製プロセスオ
イルPW−380を50PHR追加しプロセスオイルの
効果を見た。
【0082】実施例6 実施例3の処方で、結晶性オレフィン樹脂とスチレン−
エチレンランダム共重合体の比率を20:80とした。
【0083】比較例1 実施例3の処方で、スチレン−エチレンランダム共重合
体の替わりに通常のEPDMのEP−22(JSR社
製、ムーニー値(100℃)=42、プロピレン含量=
43%)を用いて、実施例1と同様の操作を行い通常の
オレフィン系熱可塑性エラストマーをつくった。
【0084】比較例2 実施例6の処方で、スチレン−エチレンランダム共重合
体の替わりに通常のEPDMであるEP−22を使用し
た。
【0085】
【表2】
【0086】<物性測定方法> (1).硬度:JIS K−6301に準拠し、A硬度
を測定した。 (2).引張強度、伸度:JIS K−6723に準拠
して測定した。 (3).耐傷つき性:フェルト布で表面をこすり傷がつ
きにくいものをとし、傷がつきやすいものを×とした。
(目視判定)
【0087】
【発明の効果】以上に示すように、本発明の結晶性オレ
フィン樹脂と芳香族ビニル化合物−オレフィンランダム
共重合体からなり、動的加硫法によって得られる芳香族
ビニル・オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物は、
引張り物性、耐表面傷つき性において優れており、自動
車部品、工業機械部品、建材等広範囲な分野において有
用である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)結晶性オレフィン樹脂10〜85
    重量%と、下記の(B)芳香族ビニル化合物−オレフィ
    ンランダム共重合体15〜90重量%とからなり、動的
    加硫法によって得られる芳香族ビニル化合物・オレフィ
    ン系熱可塑性エラストマー組成物。 (B)芳香族ビニル化合物−オレフィンランダム共重合
    体は、芳香族ビニル化合物含量が1〜99.9モル%未
    満であり、2個以上の芳香族ビニル化合物ユニットのヘ
    ッド−テイルの連鎖構造を有する芳香族ビニル化合物−
    オレフィンランダム共重合体である。
  2. 【請求項2】 (B)芳香族ビニル化合物−オレフィン
    ランダム共重合体が、芳香族ビニル化合物−エチレンラ
    ンダム共重合体であることを特徴とする請求項1記載の
    芳香族ビニル化合物・オレフィン系熱可塑性エラストマ
    ー組成物。
  3. 【請求項3】 (B)芳香族ビニル化合物−エチレンラ
    ンダム共重合体が、共重合体構造中に含まれる下記の一
    般式(1)で示される芳香族ビニル化合物とエチレンの
    交互構造のフェニル基の立体規則性に関してアイソタク
    ティクダイアッド分率mで0.75より大きく、かつ下
    記の式(i)で与えられる交互構造指数λが70より小
    さく、1より大きいことを特徴とする請求項2記載の芳
    香族ビニル化合物・オレフィン系熱可塑性エラストマー
    組成物。 λ=A3/A2×100 式(i) ここでA3は、13C−NMR測定により得られる、下
    記の一般式(1’)で示される芳香族ビニル化合物−エ
    チレン交互構造に由来する3種類のピークa、b、cの
    面積の総和である。また、A2はTMSを基準とした1
    3C−NMRにより0〜50ppmの範囲に観測される
    主鎖メチレン及び主鎖メチン炭素に由来するピークの面
    積の総和である。 【化1】 (式中、Phは芳香族基、xは繰り返し単位数を示し2
    以上の整数を表す。) 【化2】 (式中、Phは芳香族基、xは繰り返し単位数を示し2
    以上の整数を表す。)
  4. 【請求項4】 (B)芳香族ビニル化合物−エチレンラ
    ンダム共重合体が、TMSを基準とした13C−NMR
    測定によって40〜41ppm及び/または42〜44
    ppmに現れるピークにより帰属される芳香族ビニル化
    合物ユニットの連鎖構造を有することを特徴とする請求
    項2記載の芳香族ビニル化合物・オレフィン系熱可塑性
    エラストマー組成物。
  5. 【請求項5】 (B)芳香族ビニル化合物−エチレンラ
    ンダム共重合体の芳香族ビニル化合物含量がモル分率で
    1%以上20%未満でありかつポリスチレン換算重量平
    均分子量が6万以上であることを特徴とする請求項2記
    載の芳香族ビニル化合物・オレフィン系熱可塑性エラス
    トマー組成物。
  6. 【請求項6】 (B)芳香族ビニル化合物−エチレンラ
    ンダム共重合体の芳香族ビニル化合物含量がモル分率で
    20%以上99.9%未満であり、かつポリスチレン換
    算重量平均分子量が3万以上であることを特徴とする請
    求項2記載の芳香族ビニル化合物・オレフィン系熱可塑
    性エラストマー組成物。
  7. 【請求項7】 (B)芳香族ビニル化合物−エチレンラ
    ンダム共重合体の芳香族ビニル化合物ユニットの連鎖構
    造の立体規則性がアイソタクティクであることを特徴と
    する請求項2記載の芳香族ビニル化合物・オレフィン系
    熱可塑性エラストマー組成物。
  8. 【請求項8】 (B)芳香族ビニル化合物−オレフィン
    ランダム共重合体が、下記の一般式(2)で表される重
    合用遷移金属化合物と助触媒から構成される触媒により
    製造される共重合体であることを特徴とする請求項1記
    載の芳香族ビニル化合物・オレフィン系熱可塑性エラス
    トマー組成物。 【化3】 式中、Aは非置換または置換インデニル基あるいは非置
    換または置換ベンゾインデニル基である。Bは非置換ま
    たは置換シクロペンタジエニル基、非置換または置換イ
    ンデニル基、非置換または置換ベンゾインデニル基、あ
    るいは非置換または置換フルオレニル基である。A、B
    共に非置換または置換インデニル基あるいは非置換また
    は置換ベンゾインデニル基である場合には両者は同一で
    も異なっていてもよい。Yは、A、Bと結合を有し、置
    換基として水素または炭素数1〜15の炭化水素基を有
    するメチレン基またはシリレン基である。これらの置換
    基は互いに異なっていても同一でもよい。また、Yは環
    状構造を有していてもよい。Xは、水素、ハロゲン、ア
    ルキル基、アリール基、シリル基、アルコキシ基または
    ジアルキルアミド基である。Mは第IV族金属である。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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