JP2003113211A - 遷移金属化合物及びそれを用いた重合体、重合体組成物の製造方法 - Google Patents

遷移金属化合物及びそれを用いた重合体、重合体組成物の製造方法

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JP2003113211A
JP2003113211A JP2002217630A JP2002217630A JP2003113211A JP 2003113211 A JP2003113211 A JP 2003113211A JP 2002217630 A JP2002217630 A JP 2002217630A JP 2002217630 A JP2002217630 A JP 2002217630A JP 2003113211 A JP2003113211 A JP 2003113211A
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copolymer
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aromatic vinyl
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olefin
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JP2002217630A
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English (en)
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Toru Arai
亨 荒井
Shingo Hanasato
真吾 花里
Masaki Nakajima
正貴 中島
Toshiaki Otsu
敏明 大津
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Denka Co Ltd
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Denki Kagaku Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の統計的なモノマー連鎖分布を有するオ
レフィン−芳香族ビニル化合物共重合体、特にエチレン
−芳香族ビニル化合物共重合体の欠点を改良する新規オ
レフィン−芳香族ビニル化合物共重合体、特に新規エチ
レン−芳香族ビニル化合物共重合体およびその効率的な
製造方法を提供する。 【解決手段】 SP2構造とSP3構造間の構造転移が
可能な遷移金属化合物と助触媒からなる重合触媒を用い
ることを特徴とする共重合体または共重合体組成物の製
造方法、または、特定の一般式で表される遷移金属化合
物と助触媒からなる重合触媒を用いる共重合体または共
重合体組成物の製造方法。それによって得られるオレフ
ィン−芳香族ビニル化合物共重合体またはオレフィン−
芳香族ビニル化合物共重合体組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な共重合体ま
たは共重合体組成物の製造方法に関する。更に詳しく
は、本発明は特定の遷移金属化合物と助触媒から構成さ
れる重合触媒およびそれによって得られる従来のオレフ
ィン−芳香族ビニル化合物共重合体の欠点を改良する新
規オレフィン−芳香族ビニル化合物共重合体またはオレ
フィン−芳香族ビニル化合物共重合体組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】遷移金属触媒成分と有機アルミニウム化
合物からなるいわゆる均一系チーグラ−ナッタ触媒系を
用いて得られるエチレン−芳香族ビニル化合物(スチレ
ン)ランダム性共重合体及びその製造方法がいくつか知
られている。特開平3−163088号公報、特開平7
−53618号公報では、いわゆる拘束幾何構造を有す
る錯体を用いて得られる、スチレン含量50モル%以下
のヘッド−テイルのスチレン連鎖が存在しないエチレン
−スチレン共重合体、いわゆる擬似ランダム共重合体が
記載されている。特開平6−49132号公報、及びP
olymer Preprints,Japan,4
2,2292(1993)には、架橋メタロセン系Zr
錯体と助触媒からなる触媒を用いて同様のヘッド−テイ
ルの芳香族ビニル化合物連鎖の存在しない、芳香族ビニ
ル化合物含量50モル%以下のエチレン−スチレン共重
合体、いわゆる擬似ランダム共重合体の製造方法が記載
されている。これらの共重合体には、芳香族ビニル化合
物ユニットに由来する立体規則性はない。
【0003】さらに最近、特定の架橋ビスインデニル系
Zr錯体、すなわちラセミ[エチレンビス(インデニ
ル)ジルコニウムジクロライド]を用い、極低温(−2
5℃)の条件下、立体規則性を有する交互共重合に近い
エチレン−芳香族ビニル化合物共重合体が報告されてい
る。(Macromol. Chem.,RapidC
ommun.,17,745(1996).)本共重合
体においてもヘッド−テイルの芳香族ビニル化合物連鎖
は存在していない。また、特開平9−309925号公
報、特開平11−130808号公報には、それぞれス
チレン含量が1〜55モル%、1〜99モル%で、エチ
レン−スチレン交互構造及びスチレン連鎖構造にアイソ
タクティクの立体規則性を有し、また、ヘッド−テイル
のスチレン連鎖構造を有し、共重合体の交互度(本明細
書におけるλ値)が70以下の高分子量新規エチレン−
スチレン共重合体が記載されている。また、この共重合
体は、高い透明性を有する。
【0004】以上に示した各種エチレン−スチレンラン
ダム性共重合体は、種々のすぐれた特長を有するもの
の、その実用化にあたっては、特にその耐熱性や高温下
での物性の向上が望まれている。
【0005】以上のエチレン系共重合体(エチレン−ス
チレン共重合体に限定されない共重合体)はモノマーユ
ニット分布が、ベルヌーイ統計、マルコフ一次統計また
はマルコフ二次統計から選ばれるいずれかの統計分布に
より記述され、いわゆる統計的な共重合体と呼ばれる
が、このような共重合体の特に比較的低いスチレン含量
域においてはエチレン連鎖に由来する結晶性がその耐熱
性を決定している。エチレン−スチレン共重合体におい
てはスチレンモノマーの共重合により、透明性、軟質性
が増加し、塩ビ様の物性(たとえば耐傷付き性、耐摩耗
性、耐溶剤性)が付与されるが、スチレンモノマーのよ
うなコモノマーの共重合によりエチレン連鎖に由来する
結晶性は減少し、融点(耐熱性)は著しく低下してしま
う。すなわち、このような統計的な共重合体において
は、耐熱性とコモノマーの共重合により付与される種々
の物性を共に満足させることは困難である。特開平20
00−129043号公報、WO98/10018号公
報では、組成の異なるエチレン−スチレン共重合体同士
のブレンド物が記載されているが、組成がたとえば10
モル%以上異なるエチレン−スチレン共重合体同士は相
溶性が乏しく、それゆえブレンド物においては相分離を
起こし、実用的な高温物性を発現することは非常に困難
であると考えられる。
【0006】WO01/19881公報では、特定の重
合触媒を用いエチレン−スチレン共重合体に極少量のジ
エンを共重合させることによってエチレン−スチレン共
重合体の修飾(クロス共重合)を行い、ゲル生成や架橋
反応を抑制しつつエチレン−スチレン共重合体の物性
(特に耐熱性)を改善している。しかし、ジエンの共重
合は精密な組成、転換率のコントロール等プロセス上の
複雑化と制御の困難化という問題点を有している。ま
た、ゲル生成や架橋反応が抑制されるとはいっても、通
常のエチレン−スチレン共重合体に比較して成形加工性
は低下してしまう場合がある。またWO98/3497
0公報では、ポリマー末端の不飽和二重結合を利用して
分岐ポリマーを合成しているが、複数の触媒を用いる等
複雑であり、また末端二重結合の利用効率(分岐形成効
率)が低い等の問題点を有すると考えられる。Waym
outhらは、配位子が回転可能な非架橋のジルコノセ
ン錯体を用いて、アイソタクティックとアタクティック
のミクロブロックのポリプロピレンやオレフィン共重合
体を合成している(WO9935171公報)。このよ
うなアプローチは、シングルサイト触媒を用い、一段階
でブロック共重合体を合成するために優れている。しか
し、例示されている非架橋のジルコノセン触媒ではエチ
レン−スチレン共重合体を得ることはできないと考えら
れる。Reetzらは、硼素架橋構造とインデニル配位
子を有するジルコノセン触媒を提案している(WO97
/15581公報、US5962718公報)が、その
架橋部分の硼素にはルイス塩基性物質が配位、結合して
いる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の統計
的なモノマー連鎖分布を有するオレフィン−芳香族ビニ
ル化合物共重合体、特にエチレン−芳香族ビニル化合物
共重合体の欠点を改良する新規オレフィン−芳香族ビニ
ル化合物共重合体、特に新規エチレン−芳香族ビニル化
合物共重合体およびその効率的な製造方法を提供するも
のである。
【0008】
【課題を解決するための手段】<共重合体の製造方法>
本発明は、特定の遷移金属化合物と助触媒から構成され
る重合触媒を用いた新規な共重合体または共重合体組成
物(新規な共重合体を含む重合体組成物)の製造方法で
ある。すなわち、SP2とSP3混成軌道間の構造転移
が可能な構造を有する遷移金属化合物や、図6に模式的
に例示したような遷移金属化合物と助触媒から構成され
る重合触媒を用いる新規な共重合体または共重合体組成
物の製造方法である。遷移金属化合物の構造の一部にS
P2構造とSP3構造間の構造転移を生じることができ
る構造を有する遷移金属化合物を用いることにより、重
合中、遷移金属化合物から導かれる重合活性種周辺の立
体構造が変化するため、それぞれの構造に対応して得ら
れる共重合体セグメントを含む新規な共重合体、または
その共重合体組成物(この新規な共重合体を含む重合体
組成物)を得ることができると考えられる。本発明は、
SP2とSP3混成軌道間の構造転移が可能な構造を有
する遷移金属化合物と助触媒からなる重合触媒を用いる
新規な共重合体または共重合体組成物の製造方法であ
る。このSP2とSP3混成軌道間の構造転移が可能な
構造を有する遷移金属化合物は特に限定されず、遷移金
属化合物の構造の一部にSP2とSP3混成軌道間の構
造転移が可能な構造を有する3族から10族(IUPA
C無機化学命名法改訂版、1989年)の遷移金属化合
物である。また本発明は、下記の一般式(1)で表され
る遷移金属化合物と助触媒からなる重合触媒を用いる新
規な共重合体または共重合体組成物の製造方法である。
【0009】
【化4】
【0010】式中、A、Bはそれぞれ独立に下記の一般
式で示される非置換もしくは置換シクロペンタジエニル
基である。
【0011】
【化5】
【0012】式中、Rはそれぞれ独立に水素、ハロゲ
ン、水酸基、アミン基または炭素数1〜50までの炭化
水素基である。Rが炭化水素基である場合、1から3個
までのハロゲン原子、珪素原子、燐原子、酸素原子、硼
素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子を含んでも良
い。これらは、OSiR基、SiR基、NR基、
OH基、OR基またはPR基(Rはいずれも炭素数1
〜10の炭化水素基を表す)の構造を有していても良
い。これらR同士は互いに同一でも異なっていても良
い。また隣接するこれらRは一体となって単数のもしく
は複数の5〜8員環の芳香環または脂肪環を形成しても
良い。YはA、Bと結合を有し、他に水素もしくは炭素
数1〜20の炭化水素を含む基(この基は1〜3個の窒
素、硼素、珪素、燐、セレン、酸素、塩素、フッ素、臭
素または硫黄原子を含んでもよい)を置換基として有す
る置換硼素基または置換アルミニウム基である。また、
Yはシクロヘキシリデン基、シクロペンチリデン基等の
環状構造を有していてもよい。Xは、それぞれ独立に水
素、ハロゲン、炭素数1〜15のアルキル基、炭素数3
〜20のアルケニル基、炭素数6〜10のアリール基、
炭素数8〜12のアルキルアリール基、炭素数1〜4の
炭化水素置換基を有するシリル基、炭素数1〜10のア
ルコキシ基、または水素、または炭素数1〜22の炭化
水素置換基を有するアミド基またはアミノ基である。n
は、0、1または2の整数である。nが2の場合、2つ
のXは互いに結合を有していてもよい。Mはジルコニウ
ム、ハフニウム、またはチタンである。好ましくは、
A、Bはそれぞれ独立に非置換もしくは置換ベンゾイン
デニル基、非置換もしくは置換インデニル基、または非
置換もしくは置換フルオレニル基から選ばれる基であ
る。
【0013】非置換または置換ベンゾインデニル基は、
下記の化6〜8で表すことができる。下記の化学式にお
いてR1b〜R3bはそれぞれ独立して水素、ハロゲ
ン、水酸基、アミン基または炭素数1〜20の炭化水素
基からなる置換基である。これらが炭化水素基である場
合は1から3個までのハロゲン原子、珪素原子、燐原
子、酸素原子、硼素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン
原子を含んでも良い。これらは、OSiR基、SiR
基、NR基、OH基、OR基またはPR基(Rは
いずれも炭素数1〜10の炭化水素基を表す)の構造を
有していても良い。さらにこれらが炭化水素基である場
合は、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数
3〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール
基、炭素数7〜20のアルキルアリール基である。これ
らR1b同士、R2b同士、またはR3b同士は互いに
同一でも異なっていても良い。また、隣接するこれら置
換基は一体となって単数のもしくは複数の5〜10員環
の芳香環または脂肪環を形成しても良い。またR1a〜
R3aは、それぞれ独立して水素、ハロゲン、水酸基、
アミン基または炭素数1〜20の炭化水素基からなる置
換基である。これらが炭化水素基である場合は1から3
個までのハロゲン原子、珪素原子、燐原子、酸素原子、
硼素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子を含んでも
良い。これらは、OSiR 基、SiR基、NR
基、OH基、OR基またはPR基(Rはいずれも炭
素数1〜10の炭化水素基を表す)の構造を有していて
も良い。さらにこれらが炭化水素基である場合は、好ま
しくは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20の
アルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7
〜20のアルキルアリール基である。これらR1a同
士、R2a同士、またはR3a同士は互いに同一でも異
なっていても良い。また、隣接するこれら置換基は一体
となって単数のもしくは複数の5〜10員環の芳香環ま
たは脂肪環を形成しても良い。しかし、R1a〜R3a
は、水素であることが好ましい。
【0014】
【化6】
【0015】
【化7】
【0016】
【化8】
【0017】非置換ベンゾインデニル基として、4,5
−ベンゾ−1−インデニル、(別名ベンゾ(e)インデ
ニル)、5,6−ベンゾ−1−インデニル、6,7−ベ
ンゾ−1−インデニルが、置換ベンゾインデニル基とし
て、α−アセナフト−1−インデニル、3−シクロペン
タ〔c〕フェナンスリル、1−シクロペンタ〔l〕フェ
ナンスリル基等が例示できる。特に好ましくは非置換ベ
ンゾインデニル基として、4,5−ベンゾ−1−インデ
ニル、(別名ベンゾ(e)インデニル)が、置換ベンゾ
インデニル基として、α−アセナフト−1−インデニ
ル、3−シクロペンタ〔c〕フェナンスリル、1−シク
ロペンタ〔l〕フェナンスリル基等が挙げられる。非置
換もしくは置換インデニル基または非置換もしくは置換
フルオレニル基は、化9〜10で表すことができる。
【0018】
【化9】
【0019】
【化10】
【0020】R4b、R5はそれぞれ独立して水素、ハ
ロゲン、水酸基、アミン基または炭素数1〜20の炭化
水素基からなる置換基である。これらが炭化水素基であ
る場合は1から3個までのハロゲン原子、珪素原子、燐
原子、酸素原子、硼素原子、窒素原子、硫黄原子、セレ
ン原子を含んでも良い。これらは、OSiR基、Si
基、NR基、OH基、OR基またはPR基(R
はいずれも炭素数1〜10の炭化水素基を表す)の構造
を有していても良い。さらにこれらが炭化水素基である
場合は、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基、炭素
数3〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール
基、炭素数7〜20のアルキルアリール基である。これ
らR4b同士、R5同士は互いに同一でも異なっていて
も良い。また、隣接するこれら置換基は一体となって単
数のもしくは複数の5〜10員環(6員環の芳香環とな
る場合を除く)の芳香環または脂肪環を形成しても良
い。しかし、R4b、R5は水素であることが好まし
い。またR4aは、それぞれ独立して水素、ハロゲン、
水酸基、アミン基または炭素数1〜20の炭化水素基か
らなる置換基である。これらが炭化水素基である場合は
1から3個までのハロゲン原子、珪素原子、燐原子、酸
素原子、硼素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子を
含んでも良い。これらは、OSiR基、SiR基、
NR基、OH基、OR基またはPR基(Rはいずれ
も炭素数1〜10の炭化水素基を表す)の構造を有して
いても良い。さらにこれらが炭化水素基である場合は、
好ましくは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜2
0のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素
数7〜20のアルキルアリール基である。これらR4a
同士は互いに同一でも異なっていても良い。しかし、R
4aは、水素であることが好ましい。
【0021】A、B共に非置換もしくは置換ベンゾイン
デニル基、非置換もしくは置換インデニル基または非置
換もしくは置換フルオレニル基である場合には両者は同
一でも異なっていてもよい。本発明に用いられる共重合
体を製造するにあたっては、A、Bのうち少なくとも一
方が非置換もしくは置換ベンゾインデニル基であること
が特に好ましい。さらに、両方とも非置換もしくは置換
ベンゾインデニル基であることが最も好ましい。
【0022】上記の一般式(1)において、YはA、B
と結合を有し、他に置換基として水素もしくは炭素数1
〜20の炭化水素を含む基(この基は1〜5個の窒素、
硼素、珪素、燐、セレン、酸素、塩素、フッ素、臭素ま
たは硫黄原子を含んでもよい)を有する置換硼素または
置換アルミニウム基である。また、Yはシクロヘキシリ
デン基、シクロペンチリデン基等の環状構造を有してい
てもよい。好ましくは、Yは、上記構造を有する置換硼
素基であって、さらに好ましくは、YはA、Bと結合を
有し、水素もしくは炭素数1〜20の炭化水素基または
アミノ基、トリメチルシリル基で置換された置換硼素基
である。最も好ましくは、YはA、Bと結合を有し、水
素もしくは炭素数1〜20の炭化水素基で置換された置
換硼素基である。炭化水素置換基としては、アルキル
基、アリール基(芳香族基)、シクロアルキル基、シク
ロアリール基等が挙げられ、その中でもアリール基(芳
香族基)が最も好ましい。具体的にはフェニル基、ナフ
チル基、アントラセニル基、2,6−ジメチルフェニル
基、2,4,6−トリメチルフェニル基等があげられ
る。
【0023】Xは、それぞれ独立に水素、ハロゲン、炭
素数1〜15のアルキル基、炭素数3〜20のアルケニ
ル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数8〜12の
アルキルアリール基、炭素数1〜4の炭化水素置換基を
有するシリル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、また
は水素、または炭素数1〜22の炭化水素置換基を有す
るアミド基またはアミノ基である。nは、0、1または
2の整数である。nが2の場合、2つのXは結合を有し
ていてもよい。ハロゲンとしては塩素、臭素、フッ素等
が、アルキル基としてはメチル基、エチル基等が、アリ
ール基としてはフェニル基等が、アルキルアリール基と
しては、ベンジル基が、シリル基としてはトリメチルシ
リル基等が、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキ
シ基、イソプロポキシ基等が、またアミド基としてはジ
メチルアミド基等のジアルキルアミド基、N−メチルア
ニリド、N−フェニルアニリド、アニリド基等のアリー
ルアミド基等が挙げられる。また、Xとしては米国特許
5859276号、米国特許5892075号に記載し
てある基を用いることもできる。Mはジルコニウム、ハ
フニウム、またはチタンである。特に好ましくジルコニ
ウムである。
【0024】本遷移金属化合物を用いることにより、重
合中、活性種に生ずるSP2構造とSP3構造間の構造
転移に伴うモノマーの配位環境の変化により、モノマー
の配位確率、重合確率が変化し、それぞれの構造に対応
して得られる共重合体セグメントを含む新規な共重合体
を得ることが可能である。このSP2構造とSP3構造
間の構造転移は、重合中、MAO等の助触媒との相互作
用により誘発されることも可能である。SP2構造とS
P3構造間の構造転移可能な構造は、具体的には二つの
シクロペンタジエニル環を架橋する部位の硼素原子、ま
たはアルミニウム原子およびこれらと結合する構造であ
るが、ここにエーテル等の強いルイス塩基性物質が非可
逆的に配位してしまうと、その構造が、ルイス塩基性物
質との結合を含め、SP3型の混成軌道に固定されてし
まうため本発明には好ましくない。すなわち、Yの硼
素、またはアルミニウム原子には、あらかじめエーテル
やアミン、フォスフィン等の強いルイス塩基物質が配位
していないことが好ましい。
【0025】以下に、上記一般式(1)で示される遷移
金属化合物の例を示す。フェニルボランジイルビス(1
−シクロペンタ〔l〕フェナンスリル)ジルコニウムジ
クロリド{または、フェニルボリルビス(1−シクロペ
ンタ〔l〕フェナンスリル)ジルコニウムジクロリ
ド}、フェニルボランジイルビス(1−シクロペンタ
〔l〕フェナンスリル)ジルコニウムビス(N−メチル
アニリド)、フェニルボランジイル(1−シクロペンタ
〔l〕フェナンスリル)(1−インデニル)ジルコニウ
ムジクロリド、フェニルボランジイル(1−シクロペン
タ〔l〕フェナンスリル)(4,5−ベンゾ−1−イン
デニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルボランジイ
ル(1−シクロペンタ〔l〕フェナンスリル)(フルオ
レニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルボランジイ
ル(1−シクロペンタ〔l〕フェナンスリル)(3−シ
クロペンタ〔c〕フェナンスリル)ジルコニウムジクロ
リド、フェニルボランジイルビス(4,5−ベンゾ−1
−インデニル)ジルコニウムジクロリド{別名フェニル
ボランジイルビス(ベンゾ〔e〕インデニル)ジルコニ
ウムジクロリド}、フェニルボランジイル(シクロペン
タジエニル)(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジル
コニウムジクロリド、フェニルボランジイル(1−イン
デニル)(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニ
ウムジクロリド、フェニルボランジイル(1−フルオレ
ニル)(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウ
ムジクロリド、フェニルボランジイル(4−フェニル−
1−インデニル)(4,5−ベンゾ−1−インデニル)
ジルコニウムジクロリド、フェニルボランジイル(4−
ナフチル−1−インデニル)(4,5−ベンゾ−1−イ
ンデニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルボランジ
イルビス(5,6−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニ
ウムジクロリド、フェニルボランジイル(5,6−ベン
ゾ−1−インデニル)(1−インデニル)ジルコニウム
ジクロリド、フェニルボランジイルビス(6,7−ベン
ゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、フェニ
ルボランジイル(6,7−ベンゾ−1−インデニル)
(1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、フェニル
ボランジイルビス(4,5−ナフト−1−インデニル)
ジルコニウムジクロリド、フェニルボランジイルビス
(α−アセナフト−1−インデニル)ジルコニウムジク
ロリド、フェニルボランジイルビス(3−シクロペンタ
〔c〕フェナンスリル)ジルコニウムジクロリド、フェ
ニルボランジイル(3−シクロペンタ〔c〕フェナンス
リル)(1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、フ
ェニルボランジイルビス(4,5−ベンゾ−1−インデ
ニル)ジルコニウムビス(ジメチルアミド)、フェニル
ボランジイル(1−インデニル)(4,5−ベンゾ−1
−インデニル)ジルコニウムビス(ジメチルアミド)、
フェニルボランジイルビス(4,5−ベンゾ−1−イン
デニル)ジルコニウムビス(N−メチルアニリド)等。
【0026】好ましくは本発明のオレフィン−芳香族ビ
ニル化合物共重合体は、一種類の遷移金属化合物と他に
適当な助触媒から構成されるシングルサイト配位重合触
媒を用いてオレフィンモノマーと芳香族ビニル化合物モ
ノマーを共重合させることにより得られる。本発明の共
重合体を得るために用いられるシングルサイト配位重合
触媒は好ましくは上記の一般式(1)で表される遷移金
属化合物の一種類と助触媒から構成されるシングルサイ
ト配位重合触媒である。
【0027】本発明の製造方法で用いる助触媒として
は、従来遷移金属化合物と組み合わせて用いられている
公知の助触媒やアルキルアルミニウム化合物を使用する
ことができるが、そのような助触媒として、各種アルミ
ノキサン(またはアルモキサンまたはMAOと記す)ま
たはほう素化合物が好適に用いられる。用いられるアル
ミノキサンやアルキルアルミニウム化合物の例として
は、EP−0872492A2号公報、特開平11−1
30808号公報、特開平9−309925号公報、W
O00/20426号公報、EP0985689A2号
公報、特開平6−184179号公報に記載されている
アルミノキサンやアルキルアルミニウム化合物が挙げら
れる。更に下記の一般式(3)、(4)で示されるアル
ミノキサン(またはアルモキサンと記す)が好ましい。
【0028】
【化11】
【0029】式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、
炭素数6〜20のアリール基、または水素、mは2〜1
00の整数である。それぞれのRは互いに同一でも異な
っていても良い。
【0030】
【化12】
【0031】式中、R'は炭素数1〜10のアルキル
基、炭素数6〜20のアリール基、または水素、nは2
〜100の整数である。それぞれのR'は互いに同一で
も異なっていても良い。
【0032】助触媒として用いられるほう素化合物は、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロ
フェニル)ボレート{トリチルテトラキス(ペンタフル
オロフェニル)ボレート}、リチウムテトラ(ペンタフ
ルオロフェニル)ボレート、トリ(ペンタフルオロフェ
ニル)ボラン、トリメチルアンモニウムテトラフェニル
ボレート、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレ
ート、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボレー
ト、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラフェニルボ
レート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(p−
トリル)フェニルボレート、トリ(n−ブチル)アンモ
ニウムテトラ(p−エチルフェニル)ボレート、トリ
(n−ブチル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフ
ェニル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(p
−トリル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキ
ス−3,5−ジメチルフェニルボレート、トリエチルア
ンモニウムテトラキス−3,5−ジメチルフェニルボレ
ート、トリブチルアンモニウムテトラキス−3,5−ジ
メチルフェニルボレート、トリブチルアンモニウムテト
ラキス−2,4−ジメチルフェニルボレート、アニリニ
ウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート、N,
N’−ジメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、
N,N’−ジメチルアニリニウムテトラキス(p−トリ
ル)ボレート、N,N’−ジメチルアニリニウムテトラ
キス(m−トリル)ボレート、N,N’−ジメチルアニ
リニウムテトラキス(2,4−ジメチルフェニル)ボレ
ート、N,N’−ジメチルアニリニウムテトラキス
(3,5−ジメチルフェニル)ボレート、N,N’−ジ
メチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニ
ル)ボレート、N,N’−ジエチルアニリニウムテトラ
キス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N’−
2,4,5−ペンタメチルアニリニウムテトラフェニル
ボレート、N,N’−2,4,5−ペンタエチルアニリ
ニウムテトラフェニルボレート、ジ−(イソプロピル)
アンモニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレー
ト、ジ−シクロヘキシルアンモニウムテトラフェニルボ
レート、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレ
ート、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラフェ
ニルボレート、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウム
テトラフェニルボレート、トリフェニルカルベニウムテ
トラキス(p−トリル)ボレート、トリフェニルカルベ
ニウムテトラキス(m−トリル)ボレート、トリフェニ
ルカルベニウムテトラキス(2,4−ジメチルフェニ
ル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス
(3,5−ジメチルフェニル)ボレート、トロピリウム
テトラキスペンタフルオロフェニルボレート、トロピリ
ウムテトラキス(p−トリル)ボレート、トロピリウム
テトラキス(m−トリル)ボレート、トロピリウムテト
ラキス(2,4−ジメチルフェニル)ボレート、トロピ
リウムテトラキス(3,5−ジメチルフェニル)ボレー
ト等である。また、特開2000−212225号公報
記載の硼素化合物も本発明に好適に用いることができ
る。以上の各種アルミノキサン(アルモキサン)や硼素
化合物と、必要に応じてアルキルアルミニウム化合物を
同時に用いても差し支えない。特に場合、重合系内に含
まれる水等の重合に悪影響を与える不純物の除去に、ト
リイソブチルアルミニウム等のアルキルアルミ化合物の
併用は有効である。
【0033】本発明の新規共重合体または共重合体組成
物を製造するにあたっては、下記のモノマー類、遷移金
属化合物および助触媒、必要に応じてアルキルアルミニ
ウム類を接触させるが、接触の順番、接触方法は任意の
公知の方法を用いることができる。以上の重合あるいは
共重合の方法としては溶媒を用いずに液状モノマー中で
重合させる方法、あるいはペンタン、ヘキサン、ヘプタ
ン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、エチルベン
ゼン、キシレン、クロロ置換ベンゼン、クロロ置換トル
エン、塩化メチレン、クロロホルム等の飽和脂肪族また
は芳香族炭化水素またはハロゲン化炭化水素の単独また
は混合溶媒を用いる方法がある。好ましくは混合アルカ
ン系溶媒やシクロヘキサンやトルエン、エチルベンゼン
を用いる。重合形態は溶液重合、スラリー重合いずれで
もよい。また、必要に応じ、バッチ重合、連続重合、予
備重合、多段式重合等の公知の方法を用いることが出来
る。リニアやループの単数、連結された複数のパイプ重
合を用いることも可能である。この場合、パイプ状の重
合缶には、動的、あるいは静的な混合機や除熱を兼ねた
静的混合機等の公知の各種混合機、除熱用の細管を備え
た冷却器等の公知の各種冷却器を有しても良い。また、
バッチタイプの予備重合缶を有していても良い。さらに
は気相重合等の方法を用いることができる。気相重合
は、特にエチレン、プロピレン等の炭素数6以下のα−
オレフィンの単独重合体またはこれらの共重合体を製造
する場合において、経済的であり好ましい。気相重合に
おいては遷移金属化合物を公知の任意の担体に担持して
もよい。重合温度は、0℃から200℃が適当である。
0℃より低い重合温度では十分な重合活性が得られず工
業的に不利であり、200℃を超えると金属錯体の分解
が起こるので適当ではない。さらに工業的に好ましく
は、50℃〜180℃である。重合時の圧力は、大気圧
〜1000気圧が適当であり、好ましくは10〜300
気圧、特に工業的に特に好ましくは、10〜100気圧
である。遷移金属化合物と助触媒は、重合槽外で混合、
調製しても、重合時に槽内で混合してもよい。
【0034】<本発明に用いられるモノマー>以下のモ
ノマーが本発明の共重合体または共重合体組成物の製造
に用いることができる。オレフィン類としては、炭素数
2〜20のαオレフィン、すなわちエチレン、プロピレ
ン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペン
テン、1−オクテン、ビニルシクロヘキサンや炭素数5
〜20の環状オレフィン、すなわちシクロペンテン、ノ
ルボルネンが挙げられる。好ましくは、エチレン、プロ
ピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、または1−オクテ
ン等のα−オレフィンが用いられる。また複数のオレフ
ィンを用いてもよい。この場合、好ましくはエチレンと
プロピレン、エチレンと1−ブテン、エチレンと1−オ
クテンが用いられる。最も好ましく用いられるオレフィ
ンは、エチレンである。芳香族ビニル化合物としては、
最も好ましくはスチレンが用いられる。しかし、1〜5
のハロゲン置換基を有する芳香族ビニル化合物たとえば
p−クロロスチレン等、または1〜5の炭素数1〜10
の炭化水素置換基を有する芳香族ビニル化合物、たとえ
ば、p−ターシャリ−ブチルスチレン、α−メチルスチ
レン、ビニルナフタレン、p−メチルスチレン、ビニル
ナフタレン、ビニルアントラセン等を用いることも可能
である。また、必要に応じて分子内に複数の炭素二重結
合を有する炭素数4〜30までのジエン、ポリエンの一
つ以上を共重合させることも可能である。このようなジ
エン、ポリエンの例としては、エチリデンノルボルネ
ン、ビニルシクロヘキセンの各種異性体、ブタジエン、
1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、オル
ト、メタ、パラの各種ジビニルベンゼン等があげられ
る。ジビニルベンゼンは各種異性体の混合物を用いても
よい。このようなジエンまたはポリエンの含量は、通常
全体の0.001モル%以上3モル%以下、好ましくは
0.01モル%以上0.5モル%以下である。しかし、
ジエンの共重合はプロセスの複雑化、または得られる共
重合体の成形加工性の低下をもたらす場合がある。
【0035】本明細書において、共重合体の芳香族ビニ
ル化合物含量とは、共重合体に含まれる芳香族ビニル化
合物モノマー由来のユニットの含量を示す。オレフィン
含量、ジエン含量等も同様である。本発明の製造方法に
より、少なくとも2種以上のオレフィンモノマーを用
い、オレフィン系共重合体またはオレフィン系共重合体
組成物を製造することができる。このようにして得られ
たオレフィン系共重合体またはオレフィン系共重合体組
成物は、従来のオレフィン系共重合体と比較し、オレフ
ィン連鎖構造に由来するより高い結晶融点を有すること
ができる。さらに、本発明の製造方法により、少なくと
も一種以上のオレフィンモノマーと少なくとも一種以上
の芳香族ビニル化合物モノマーを用い、オレフィン−芳
香族ビニル化合物共重合体またはオレフィン−芳香族ビ
ニル化合物共重合体組成物を製造することができる。
【0036】<本発明の共重合体>本発明の第二は、新
規なオレフィン−芳香族ビニル化合物共重合体である。
この共重合体は、好ましくは上記の本発明の製造方法に
より各モノマーの重合により直接得ることができる共重
合体組成物中に含まれ、溶媒分別等で分離して得ること
ができる。すなわち、本発明のオレフィン−芳香族ビニ
ル化合物共重合体は、芳香族ビニル化合物含量が3モル
%以上50モル%以下であり、残部がオレフィンであ
り、その芳香族ビニル化合物含量とDSC測定において
観測される結晶融解熱が10J/g以上である融点の一
つ以上が下式の関係を満たすことを特徴とするオレフィ
ン−芳香族ビニル化合物共重合体である。 (2≦St≦5) −4・St+140≦Tm≦140 (5≦St≦50) 120≦Tm≦140 Tm:DSC測定において観測される結晶融解熱が10
J/g以上である融点。St:芳香族ビニル化合物含量
(モル%)。好ましくは、本発明はオレフィン連鎖構造
に由来する結晶構造を有することを特徴とするオレフィ
ン−芳香族ビニル化合物共重合体である。このオレフィ
ン連鎖構造に由来する結晶構造はX線回折法等公知の方
法で確認することができる。このオレフィン連鎖構造が
DSC測定において、従来の共重合体に対し高い融点を
与えることを可能にしている。さらに好ましくは、オレ
フィン連鎖構造が、エチレン連鎖構造に由来する結晶構
造を有することを特徴とするオレフィン−芳香族ビニル
化合物共重合体である。さらに本発明は、オレフィン−
芳香族ビニル化合物共重合体構造を有することを特徴と
するオレフィン−芳香族ビニル化合物共重合体である。
このオレフィン−芳香族ビニル化合物共重合体構造は、
本共重合体の13C−NMRスペクトル測定またはDS
C測定によるガラス転移温度により確認することができ
る。このオレフィン−芳香族ビニル化合物共重合体構造
はDSC測定において、−30℃から50℃までのガラ
ス転移点を示すことにより確認することができる。
【0037】本発明の最も好ましいオレフィン−芳香族
ビニル化合物共重合体は、エチレン連鎖構造に由来する
従来より高い結晶融点を有する「エチレン−芳香族ビニ
ル化合物共重合体」である。すなわち、本発明の共重合
体は、高い耐熱性を有するオレフィン連鎖構造(好まし
くはエチレン連鎖構造)とオレフィン−芳香族ビニル化
合物共重合体構造(好ましくはエチレン−芳香族ビニル
化合物共重合体構造)をそのポリマー鎖中に有する共重
合体である。本発明の共重合体に含まれる芳香族ビニル
化合物(スチレン)連鎖構造が少ないことが軟質性の共
重合体のためには好ましい。好ましくは芳香族ビニル化
合物(スチレン)連鎖構造に含まれる芳香族ビニル化合
物ユニット量は、全共重合体に含まれる全芳香族ビニル
化合物ユニット量の20%以下、さらに好ましくは5%
以下である。また、芳香族ビニル化合物(スチレン)連
鎖構造に由来する結晶構造を有しないことが軟質性のま
たは成形加工性が良好な共重合体のためには好ましい。
そのためには、芳香族ビニル化合物(スチレン)連鎖構
造が、融点が約250〜270℃と成形加工するには高
すぎるシンジオタクティックの立体規則性を有しないこ
とが必要である。さらに好ましくは、本発明のオレフィ
ン−芳香族ビニル化合物共重合体は、芳香族ビニル化合
物含量が3モル%以上30モル%以下、最も好ましくは
芳香族ビニル化合物含量が3モル%以上20モル%以下
である。本組成範囲の共重合体は、オレフィン連鎖構造
に由来する結晶構造による良好な耐熱性とオレフィン−
芳香族ビニル化合物共重合体構造に由来する良好な軟質
性、相溶性を有することができる。本発明のオレフィン
−芳香族ビニル化合物共重合体において、芳香族ビニル
化合物がスチレンであり、オレフィンがエチレンである
ことが最も好ましい。好ましくは本発明のオレフィン−
芳香族ビニル化合物共重合体はゲルパーミエーションク
ロマトグラフィーにより得られる分子量分布が4以下
1.2以上、好ましくは3以下1.5以上である特徴を
有することができる。さらに好ましくは、ゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィーにより得られる分子量分布
は単峰性(モノディスパーション)である。
【0038】本発明のオレフィン−芳香族ビニル化合物
共重合体としては、好ましくはエチレン−スチレン共重
合体、またはエチレン−スチレン−α−オレフィン共重
合体、またはエチレン−スチレン−環状オレフィン共重
合体、特に好ましくはエチレン−スチレン共重合体、エ
チレン−スチレン−αオレフィン共重合体が挙げられ
る。本発明のオレフィン−芳香族ビニル化合物共重合体
は、上記オレフィンモノマーと上記芳香族ビニル化合物
からなる共重合体である。オレフィン−芳香族ビニル化
合物共重合体の例としては、エチレン−スチレン共重合
体、エチレン−プロピレン−スチレン共重合体、エチレ
ン−1−ヘキセン−スチレン共重合体、エチレン−1−
ブテン−スチレン共重合体、エチレン−1−オクテン−
スチレン共重合体、エチレン−ノルボルネン−スチレン
共重合体が挙げられる。また、前記ジエンまたはポリエ
ンを共重合させてもよく、このような例としては、例え
ばエチレン−スチレン−エチリデンノルボルネン共重合
体、エチレン−スチレン−エチリデンノルボルネン共重
合体、エチレン−スチレン−ブタジエン共重合体、エチ
レン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、エチレン
−1−ブテン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、
エチレン−1−オクテン−スチレン−ジビニルベンゼン
共重合体があげられる。このようなジエンまたはポリエ
ンを含むオレフィン−芳香族ビニル化合物共重合体は、
WO00/37517公報やWO01/19881公報
記載のクロス共重合体に好適に用いることができる。
【0039】以下に本発明のオレフィン−芳香族ビニル
化合物共重合体の一例であるエチレン−スチレン共重合
体を例に取り説明する。しかし、本発明のオレフィン−
芳香族ビニル化合物共重合体はエチレン−スチレン共重
合体に限定されるものではない。本発明のエチレン−芳
香族ビニル化合物共重合体は、エチレン連鎖構造とエチ
レン−芳香族ビニル化合物共重合体構造を共にその主鎖
中に有することができる。本発明のエチレン−スチレン
共重合体は、好ましくはそのエチレン−芳香族ビニル化
合物共重合体構造中に含まれる下記の一般式(2)で示
されるエチレンとスチレンの交互構造のフェニル基の立
体規則性がアイソタクティクダイアッド分率(またはメ
ソダイアッド分率)mで0.5より大きい、より好まし
くは0.75より大きい、特に好ましくは0.95より
大きい共重合体である。
【0040】
【化13】
【0041】(式中、Phはフェニル基等の芳香族ビニ
ル化合物ユニット、xは繰り返し単位数を示し2以上の
整数を表す。) エチレンとスチレンの交互共重合構造のアイソタクティ
クダイアッド分率mは、25ppm付近に現れるメチレ
ン炭素ピークのr構造に由来するピーク面積Arと、m
構造に由来するピークの面積Amから、下記の式(i
i)によって求めることができる。 m=Am/(Ar+Am) 式(ii) ピークの出現位置は測定条件や溶媒によって若干シフト
する場合がある。例えば、重クロロホルムを溶媒とし、
TMSを基準として測定した13C−NMRにおいて、
r構造に由来するピークは、25.4〜25.5ppm
付近に、m構造に由来するピークは25.2〜25.3
ppm付近に現れる。また、重テトラクロロエタンを溶
媒とし、重テトラクロロエタンの3重線の中心ピークを
73.89ppmとして基準にした場合、r構造に由来
するピークは、25.3〜25.4ppm付近に、m構
造に由来するピークは25.1〜25.2ppm付近に
現れる。なお、m構造はメソダイアッド構造、r構造は
ラセミダイアッド構造を表す。本発明のエチレン−スチ
レン共重合体は、好ましくはそのエチレン−芳香族ビニ
ル化合物共重合体構造中にアイソタクティックの立体規
則性を有するヘッド−テイルのスチレン連鎖構造を有す
ることができる。特に上記一般式(1)に示す遷移金属
化合物と助触媒から構成される触媒を用いて得られるエ
チレン−スチレン共重合体は、アイソタクティックの立
体規則性を有するヘッド−テイルのスチレン連鎖構造を
有することができる。このような連鎖構造は、TMSを
基準とした13C−NMR測定によって40〜45pp
mに観察されるピークによって帰属される。さらに、4
2.3〜43.1ppm、43.7〜44.5ppm、
40.4〜41.0ppm、43.0〜43.6ppm
に観察されるピークによって帰属される連鎖構造を有す
ることが好ましい。このようなスチレン連鎖構造に含ま
れるスチレンユニット量は、全共重合体に含まれる全ス
チレンユニット量の20%以下、さらに好ましくは5%
以下である。
【0042】以上、本発明の代表的、好適な例としての
エチレン−スチレン共重合体について説明したが、上記
立体規則性、連鎖構造の発現は他のオレフィン−芳香族
ビニル化合物においても可能である。本発明の共重合体
は溶出性の可塑剤や、ハロゲンを基本的に含有しないた
め、環境適応性や安全性が高いという基本的特徴を有す
る。
【0043】本発明のオレフィン−芳香族ビニル化合物
共重合体の重量平均分子量は、1000以上、好ましく
は1万以上、特に好ましくは3万以上であり、100万
以下、好ましくは50万以下である。分子量分布(Mw
/Mn)は、好ましくは4以下1.2以上、特に好まし
くは3以下1.5以上である。ここでの重量平均分子量
はGPCで標準ポリスチレンを用いて求めたポリスチレ
ン換算分子量をいう。以下の説明でも同様である。本発
明のオレフィン−芳香族ビニル化合物共重合体の重量平
均分子量は、水素等の連鎖移動剤を用いる公知の方法、
或いは重合温度を変えることにより上記の範囲内で必要
に応じて調節することが可能である。
【0044】本発明の第三は、「オレフィン−芳香族ビ
ニル化合物共重合体組成物(オレフィン−芳香族ビニル
化合物共重合体を含む重合体組成物)」である。この組
成物は、好ましくは上記本発明の製造方法により各モノ
マーの重合により直接得ることができる。本発明の「オ
レフィン−芳香族ビニル化合物共重合体組成物」は、組
成物中に本発明のオレフィン−芳香族ビニル化合物共重
合体を少なくとも1質量%以上含む。すなわち、本発明
のオレフィン−芳香族ビニル化合物共重合体組成物は、
平均芳香族ビニル化合物含量が5モル%以上96モル%
以下であり、DSC測定において結晶融解熱が10J/
g以上である融点の少なくとも一つの融点が110℃以
上140℃以下、好ましくは120℃以上140℃以下
の範囲に観測されること特徴とする重合体組成物であ
る。本発明においては、オレフィンがエチレンであるこ
とが好ましい。さらに本発明においては芳香族ビニル化
合物がスチレンであることが好ましい。本発明で得られ
るオレフィン−芳香族ビニル化合物共重合体組成物は、
さらに適当な分離方法、たとえば溶媒分別法を用いるこ
とで本発明のオレフィン−芳香族ビニル化合物共重合体
を得ることができる。しかし、物性上特に問題がなけれ
ば分離することなしに様々な用途に用いることができ
る。
【0045】本発明の「オレフィン−芳香族ビニル化合
物共重合体組成物」は、好ましくは本発明の新規「オレ
フィン−芳香族ビニル化合物共重合体」の他に「その他
のオレフィン−芳香族ビニル化合物共重合体」を含み、
本発明の新規「オレフィン−芳香族ビニル化合物共重合
体」を1質量%以上含むことを特徴とする。この上記重
合体組成物は、上記「オレフィン−芳香族ビニル化合物
共重合体」の製造方法と同様の製造方法により、オレフ
ィンモノマー及び芳香族ビニル化合物モノマーから製造
することができる。本明細書において、「その他のオレ
フィン−芳香族ビニル化合物共重合体」とは、下記本発
明の新規「オレフィン−芳香族ビニル化合物共重合体」
の定義にはいらないエチレン−芳香族ビニル化合物共重
合体である。本発明の新規「オレフィン−芳香族ビニル
化合物共重合体」の定義芳香族ビニル化合物含量が3モ
ル%以上50モル%以下であり、残部がオレフィンであ
り、その芳香族ビニル化合物含量とDSC測定において
観測される結晶融解熱が10J/g以上である融点の一
つ以上が下式の関係を満たすことを特徴とするオレフィ
ン−芳香族ビニル化合物共重合体。 (2≦St≦5) −4・St+140≦Tm≦140 (5≦St≦50) 120≦Tm≦140 Tm:DSC測定において観測される結晶融解熱が10
J/g以上である融点。St:芳香族ビニル化合物含量
(モル%)。「その他のオレフィン−芳香族ビニル化合
物共重合体」の概念は、統計的エチレン−芳香族ビニル
化合物共重合体の概念を含む。
【0046】本発明製造方法により得られる「オレフィ
ン−芳香族ビニル化合物共重合体」または「オレフィン
−芳香族ビニル化合物共重合体組成物」は、いずれもそ
の物性を向上させるために他の適当なポリマーとの樹脂
組成物として用いても良い。ここでの他の適当なポリマ
ーとは上記新規「オレフィン−芳香族ビニル化合物共重
合体」及び「その他のオレフィン−芳香族ビニル化合物
共重合体」以外のポリマーである。また、フィラーや可
塑剤、他の添加剤との樹脂組成物として用いることもで
きる。好ましくは従来、エチレン−スチレン共重合体と
の樹脂組成物として公知のポリマーや添加剤が本発明の
共重合体との樹脂組成物としても用いることができる。
このようなポリマー、添加剤としては以下のようなもの
が挙げられる。以下のポリマーは、本発明の共重合体を
用いた樹脂組成物に対して1〜99質量%の範囲で添加
することができる。すなわち、本樹脂組成物中、本発明
の「オレフィン−芳香族ビニル化合物共重合体」、また
は「オレフィン−芳香族ビニル化合物共重合体組成物」
からなる重合体組成物は1〜99質量%含まれる。ま
た、本発明の共重合体は、下記に示すような「芳香族ビ
ニル化合物系重合体」と「オレフィン系重合体」との相
溶化剤として用いることができる。この場合、本発明の
「エチレン−芳香族ビニル化合物共重合体」、または
「エチレン−芳香族ビニル化合物共重合体組成物」は、
樹脂組成物に対し、1〜50質量%の範囲で用いること
ができる。さらに、下記に示すような「フィラー」や
「可塑剤」の場合、樹脂組成物に対し1〜80質量%、
好ましくは5〜50質量%の範囲で用いることができ
る。
【0047】「芳香族ビニル化合物系重合体」芳香族ビ
ニル化合物単独の重合体及び芳香族ビニル化合物と共重
合可能な1種類以上のモノマー成分を含む芳香族ビニル
化合物含量が10質量%以上、好ましくは30質量%以
上の共重合体。芳香族ビニル化合物系重合体に用いられ
る芳香族ビニル化合物モノマーとしては、スチレンおよ
び各種の置換スチレン、例えばp−メチルスチレン、m
−メチルスチレン、o−メチルスチレン、o−t−ブチ
ルスチレン、m−t−ブチルスチレン、p−t−ブチル
スチレン、α−メチルスチレン等が挙げられ、またジビ
ニルベンゼン等の一分子中に複数個のビニル基を有する
化合物等も挙げられる。また、これら複数の芳香族ビニ
ル化合物間の共重合体も用いられる。なお、芳香族ビニ
ル化合物の相互の芳香族基間の立体規則性は、アタクテ
ィック、アイソタクティク、シンジオタクティクいずれ
でもよい。芳香族ビニル化合物と共重合可能なモノマー
としては、ブタジエン、イソプレン、その他の共役ジエ
ン類、アクリル酸、メタクリル酸及びアミド誘導体やエ
ステル誘導体、無水マレイン酸及びその誘導体が挙げら
れる。共重合形式はブロック共重合、テーパードブロッ
ク共重合、ランダム共重合、交互共重合のいずれでもよ
い。さらに、上記のモノマーからなる重合体に、上記芳
香族ビニル化合物をグラフト重合したもので芳香族ビニ
ル化合物を10質量%以上、好ましくは30質量%以上
含有するものでも差し支えない。以上の芳香族ビニル化
合物系重合体は、その実用樹脂としての性能を発現する
ために、スチレン換算重量平均分子量として、3万以
上、好ましくは5万以上が必要である。
【0048】用いられる芳香族ビニル化合物系樹脂とし
ては例えばアイソタクティクポリスチレン(i−P
S)、シンジオタクティクポリスチレン(s−PS)、
アタクティクポリスチレン(a−PS)、ゴム強化ポリ
スチレン(HIPS)、アクリロニトリル−ブタジエン
−スチレン共重合体(ABS)樹脂、スチレン−アクリ
ロニトリル共重合体(AS樹脂)、スチレン−メタクリ
ル酸メチル共重合体等のスチレン−メタクリル酸エステ
ル共重合体、スチレン−ジエンブロック/テーパード共
重合体(SBS、SISなど)、水添スチレン−ジエン
ブロック/テーパード共重合体(SEBS、SEPSな
ど)、スチレン−ジエン共重合体(SBRなど)、水添
スチレン−ジエン共重合体(水添SBRなど)、スチレ
ン−マレイン酸共重合体、スチレン−イミド化マレイン
酸共重合体が挙げられる。さらに石油樹脂を含む概念で
ある。
【0049】「オレフィン系重合体」例えば低密度ポリ
エチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDP
E)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、アイ
ソタクティクポリプロピレン(i−PP)、シンジオタ
クティクポリプロピレン(s−PP)、アタクティクポ
リプロピレン(a−PP)、プロピレン−エチレンブロ
ック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合
体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPD
M)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリイソブテ
ン、ポリブテン、ポリノルボルネン等の環状オレフィン
重合体、エチレン−ノルボルネン共重合体等の環状オレ
フィン共重合体が挙げられる。必要に応じてブタジエン
やα−ωジエン等のジエン類を共重合したオレフィン系
樹脂でもよい。以上のオレフィン系重合体は、その実用
樹脂としての性能を発現するために、スチレン換算重量
平均分子量として、1万以上、好ましくは3万以上が必
要である。
【0050】「その他の樹脂、エラストマー、ゴム」例
えば、ナイロン等のポリアミド、ポリイミド、ポリエチ
レンテレフタレート等のポリエステル、ポリビニルアル
コールや、SBS(スチレン−ブタジエンブロック共重
合体)、SEBS(水添スチレン−ブタジエンブロック
共重合体)、SIS(スチレン−イソプレンブロック共
重合体)、SEPS(水添スチレン−イソプレンブロッ
ク共重合体)、SBR(スチレン−ブタジエンブロック
共重合体)、水添SBR等スチレン系ブロック共重合体
で上記芳香族ビニル化合物系樹脂の範疇に入らないも
の、天然ゴム、シリコン樹脂、シリコンゴムが挙げられ
る。
【0051】「フィラー」公知のフィラーを用いること
が出来る。好適な例としては炭酸カルシウム、タルク、
クレー、珪酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マ
グネシウム、マイカ、硫酸バリウム、酸化チタン、水酸
化アルミニウム、シリカ、カーボンブラック、木粉、木
材パルプ等を例示することができる。また、ガラス繊
維、公知の黒鉛、炭素繊維等の導電性フィラーを用いる
ことができる。
【0052】「可塑剤」パラフィン系、ナフテン系、ア
ロマ系プロセスオイル、流動パラフィン等の鉱物油系軟
化剤、ヒマシ油、アマニ油、オレフィン系ワックス、鉱
物系ワックス、各種エステル類等公知のものが使われ
る。本発明の樹脂組成物を製造するには、公知の適当な
ブレンド法を用いることができる。例えば、単軸、二軸
のスクリュー押出機、バンバリー型ミキサー、プラスト
ミル、コニーダー、加熱ロールなどで溶融混合を行うこ
とができる。溶融混合を行う前に、ヘンシェルミキサ
ー、リボンブレンダー、スーパーミキサー、タンブラー
などで各原料を均一に混合しておくこともよい。溶融混
合温度はとくに制限はないが、130〜300℃、好ま
しくは150〜250℃が一般的である。本発明の共重
合体や各種樹脂組成物の成型法としては、真空成形、射
出成形、ブロー成形、押出し成形、異型押し出し成形等
公知の成型法を用いることができる。本発明の共重合体
を含む樹脂組成物は、各種フィルムやパッケージ材料、
シート、チューブやホース、ガスケット、さらには床
材、壁材等の建築材料や自動車の内装材として好適に用
いることができる。
【0053】
【実施例】以下に実施例を挙げ、本発明を説明するが、
本発明は以下の実施例に限定されるものではない。各実
施例、比較例で得られた共重合体の分析は以下の手段に
よって実施した。13C−NMRスペクトルは、日本電
子社製α−500を使用し、重クロロホルム溶媒または
重1,1,2,2−テトラクロロエタン溶媒を用い、T
MSを基準として測定した。ここでいうTMSを基準と
した測定は以下のような測定である。先ずTMSを基準
として重1,1,2,2−テトラクロロエタンの3重線
13C−NMRピークの中心ピークのシフト値を決め
た。重1,1,2,2−テトラクロロエタンの3重線中
心ピークのシフト値は73.89ppmであった。次い
で共重合体を重1,1,2,2−テトラクロロエタンに
溶解して13C−NMRを測定し、各ピークシフト値
を、重1,1,2,2−テトラクロロエタンの3重線中
心ピークが73.89ppmとして算出した。測定は、
これら溶媒に対し、ポリマーを3重量/体積%溶解して
行った。ピーク面積の定量を行う13C−NMRスペク
トル測定は、NOEを消去させたプロトンゲートデカッ
プリング法により、パルス幅は45°パルスを用い、繰
り返し時間5秒を標準として行った。ちなみに、同一条
件で、但し繰り返し時間を1.5秒に変更して測定して
みたが、共重合体のピーク面積定量値は、繰り返し時間
5秒の場合と測定誤差範囲内で一致した。
【0054】共重合体中のスチレン含量の決定は、1H
−NMRで行い、機器は日本電子社製α−500及びB
RUCKER社製AC−250を用いた。重クロロホル
ム溶媒または、重1,1,2,2−テトラクロロエタン
を用いTMSを基準として、フェニル基プロトン由来の
ピーク(6.5〜7.5ppm)とアルキル基由来のプ
ロトンピーク(0.8〜3ppm)の強度比較で行っ
た。実施例中の分子量は、GPC(ゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィー)を用いて標準ポリスチレン換算
の重量平均分子量を求めた。室温でTHFに可溶な共重
合体は、THFを溶媒とし、東ソー社製HLC−802
0を用い測定した。室温でTHFに不溶な共重合体は、
測定はオルトジクロロベンゼンを溶媒として、東ソー製
HLC−8121装置を用い、145℃で測定した。D
SC測定は、セイコー電子社製DSC200を用い、N
気流下昇温速度10℃/分で行った。サンプル10m
gを用い、昇温速度20℃/分で240℃まで加熱し
(1st run)、液体窒素で−100℃以下まで急
冷し(以上前処理)、次に−100℃より10℃/分で
昇温し240℃までDSC測定を行い(2nd ru
n)、融点、結晶融解熱及びガラス転移点を求めた。M
FRは、JIS K7210に従って測定した。測定温
度は200℃、荷重は5kgで測定した。
【0055】<錯体(遷移金属化合物)合成>下記に示
すrac−フェニルボランジイルビス{1−(シクロペ
ンタ[l]フェナンスリル)}ジルコニウムジクロライ
ド、別名rac−フェニルボリルビス{1−(シクロペ
ンタ[l]フェナンスリル)}ジルコニウムジクロライ
ドは以下の方法により合成した。1H−シクロペンタ
[l]フェナンスレンは、Organometalli
cs,16,3413(1997)等の公知の方法で合
成した。
【0056】
【化14】
【0057】<配位子合成>配位子は、米国特許596
2718号公報に記載してあるrac−フェニルボラン
ジイルビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロライ
ドの合成法を参考に、但し用いるインデンを1H−シク
ロペンタ[l]フェナンスレンに変更して合成した。す
なわち、アルゴン気流下、1H−シクロペンタ[l]フ
ェナンスレン2.0g(9.3mmol)のジエチルエ
ーテル溶液20mlを0℃に冷却後、n−ブチルリチウ
ム/ヘキサン溶液(ブチルリチウムとして9.3mmo
l)を加え、室温で3時間攪拌した。−75℃に冷却し
たPhBCl(4.7mmol)のジエチルエーテル
溶液20mlに、1H−シクロペンタ[l]フェナンス
レンのリチウム塩のジエチルエーテル溶液を滴下し、徐
々に室温に戻しながら一晩攪拌した。上澄みを除き、残
った固体を乾燥し、配位子フェニルボランジイルビス
(1−シクロペンタ[l]フェナンスレン)を2.54
g(粗収率53%、塩および不純物を含む)得た。
【0058】<Zr錯体合成>アルゴン雰囲気下、Zr
(NMe)4、0.61g(2.3mmol)のトル
エン溶液(30ml)に配位子1.18g、(2.3m
mol)のトルエン溶液(20ml)を加え、4時間還
流攪拌した。その後、溶媒を減圧留去し、トルエン(3
0ml)、トリメチルシリルクロライド(36.6mm
ol)を加え、一晩攪拌した。溶媒を減圧留去後、ペン
タン洗浄、塩化メチレン抽出を行い、濾液を濃縮し、析
出した結晶を濾集した。rac−フェニルボランジイル
ビス(1−シクロペンタ[l]フェナンスリル)ジルコ
ニウムジクロライド0.17gの鮮やかな黄色結晶を得
た。(但し、上記においてMeはメチル基を表す。)得
られた錯体は、TMSを基準として測定した1H−NM
Rにおいて以下の位置にピークを示した。1HNMR
(400MHz、CDCl)δ5.64ppm(d、
2H)、7.37ppm(d、2H)、7.32〜8.
65ppm(多数のピーク、21H) また、少量のジエチルエーテルに由来するピークが観測
されたが、そのモル数はジルコニウム錯体のモル数の1
/5以下であった。さらに、配位子のシクロペンタジエ
ニル環の2種類のプロトンピークが等価である(それぞ
れダブレットの2Hとして観察された)ことから、配位
子の硼素の3本の結合は平面上にあること、硼素のフェ
ニル置換基に対し、2個のシクロペンタ[l]フェナン
スリル基は等しい位置関係にあることが示される。ま
た、合成された錯体においては、構造異性体が含まれて
いないことが示される。これらは、実質的に本ジルコニ
ウム錯体の架橋部硼素原子には、エーテル等のルイス塩
基性物質が配位していないことを示している。観測され
た少量のジエチルエーテルは、架橋部硼素原子に配位し
ているのではないことを示す。
【0059】実施例1<エチレン−スチレン共重合> 容量10L、攪拌機及び加熱冷却用ジャケット付のオー
トクレーブを用いて重合を行った。トルエン4000m
l、スチレン800mlを仕込み、内温50℃に加熱攪
拌した。窒素を約100Lバブリングして系内をパージ
し、トリイソブチルアルミニウム8.4mmol、メチ
ルアルモキサン(東ソーアクゾ社製、PMAO−3A)
をAl基準で8.4mmol加えた。エチレンを導入
し、圧力1.1MPa(10Kg/cmG)で安定し
た後に、オートクレーブ上に設置した触媒タンクから、
上記錯体合成により得られた触媒;rac−フェニルボ
ランジイルビス(1−シクロペンタ[l]フェナンスリ
ル)ジルコニウムジクロライドを2.1μmol、トリ
イソブチルアルミニウム0.84mmolを含むトルエ
ン溶液50mlをオートクレーブに加えた。重合時間6
0分間で重合を終了したが、エチレンの消費速度(マス
フローコントローラーにて重合中、エチレン消費速度を
モニターしている)から、重合は失活することなく進行
中であった。得られた重合液を激しく攪拌した過剰のメ
タノール中に少量ずつ投入し生成したポリマーを析出さ
せた。真空下、80℃で重量変化が認められなくなるま
で乾燥したところ、265gのポリマーを得た。
【0060】実施例2〜4 表1に示す条件下、実施例1と同様に重合、後処理を行
った。表1にポリマー収量を、表2に得られたポリマー
の分析値を示す。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】比較例1〜8 rac−ジメチルメチレンビス(4,5−ベンゾ−1−
インデニル)ジルコニウムジクロライド、またはrac
−ジメチルメチレンビス(3−シクロペンタ[c]フェナ
ンスリル)ジルコニウムジクロライドを触媒として、メ
チルアルモキサン(MAO)を助触媒としてEP−08
72492A2号公報、特開平11−130808号公
報に示された方法(重合温度50℃から70℃)、エチ
レン圧1.1MPaで重合して得られた各スチレン含量
のエチレン−スチレン共重合体の分析結果を表3に示
す。
【0064】
【表3】
【0065】図1には、比較例のエチレン−スチレン共
重合体(RP−1〜RP−8)と各実施例で得られた共
重合体の組成(スチレン含量)とDSCによる融点の関
係を示す。本実施例1〜4で得られた共重合体は、その
組成(スチレン含量)によらず、110℃以上に少なく
とも1つのDSC融点を示すことがわかる。また、X線
回折法により、エチレン連鎖構造に帰属される回折ピー
クを与えた。比較例のエチレン−スチレン共重合体で
は、スチレン含量の増加に伴い著しい融点の低下が観測
された。
【0066】実施例5〜8 <溶媒分別> 実施例で得られた共重合体約3gを精秤し、クロロホル
ムを溶媒として8時間ソックスレー抽出を行った。得ら
れたクロロホルム可溶分と不溶分についてその分析結果
を表4に示す。
【0067】図2には、比較例のエチレン−スチレン共
重合体(RP−1〜RP−8)と各実施例で得られた共
重合体を溶媒分別して得られたクロロホルム可溶分の組
成(スチレン含量)とDSCによる融点の関係を示す。
本実施例の共重合体のクロロホルム可溶成分は、比較例
のエチレン−スチレン共重合体の組成−融点の関係と同
様の関係を示した。図3には、比較例のエチレン−スチ
レン共重合体(RP−1〜RP−8)と各実施例で得ら
れた共重合体を溶媒分別して得られたクロロホルム不溶
成分の組成(スチレン含量)とDSCによる融点の関係
を示す。本実施例の共重合体のクロロホルム不溶成分
は、比較例のエチレン−スチレン共重合体の組成−融点
の関係とは全く異なる関係を示した。クロロホルム不溶
成分はその組成(スチレン含量)によらず、120℃以
上に一つ以上のDSC融点を示すことがわかる。また、
実施例1〜4で得られた共重合体及び溶媒分別して得ら
れたクロロホルム不溶成分はX線回折法により、エチレ
ン連鎖構造に帰属される回折ピークを与えた。しかしス
チレン連鎖構造に由来する結晶回折ピ−クは観察されな
かった。また、実施例1〜4で得られた共重合体及び溶
媒分別して得られたクロロホルム不溶成分の13C−N
MRスペクトルから、2個または3個以上のスチレンユ
ニットからなるスチレン連鎖構造に含まれるスチレンユ
ニット量を求めたが、その量は、ポリマー全体に含まれ
るスチレンユニット量の5%以下であった。
【0068】比較例9(スチレン含量が異なるエチレン
−スチレン共重合体組成物の合成とその溶媒分別) 比較例1と8で得られたエチレン−スチレン共重合体
(RP−1:4gとRP−8:16g)を秤取り、トル
エンを200ml入れ、窒素置換した容量1Lのオート
クレーブで130℃、2時間加熱攪拌しトルエン溶液と
した。これをメタールで析出し、エチレン−スチレン共
重合体組成物を作った。この組成物を実施例7〜10と
同様にクロロホルムを用いソックスレー抽出を行った。
得られたクロロホルム可溶成分と不溶成分の分析結果を
表4に示す。クロロホルム可溶成分と不溶成分は、それ
ぞれ重合体組成物に用いたRP−8とRP−1とほぼ同
じ組成、融点、分子量を示した。すなわち、このような
クロロホルム沸点よりも高融点と低融点のエチレン−ス
チレン共重合体同士の組成物は、本実施例のソックスレ
ー抽出法により、完全に元の共重合体に分別されること
が示される。得られたクロロホルム不溶成分の組成と融
点の関係を図3に示すが、実施例5〜8に示されるクロ
ロホルム不溶成分の場合とは異なり、比較例のエチレン
−スチレン共重合体のプロットを結ぶ直線上に乗った。
【0069】<TEM観測>図4には、実施例5で得ら
れた、共重合体(P−1)のクロロホルム不溶分のTE
M写真を示す。180℃、2分間のプレス成形により得
られたシ−トを試料として用いた。結晶相(低スチレン
含量相)は白で、低結晶相(高スチレン含量の相)は黒
で示される。0.1ミクロンまたはそれ以下の大きさが
そろった球状または層状、またはロッド状の規則性を有
した微細な構造(ミクロ相分離構造)が観測される。本
実施例の共重合体の場合、このような特徴的な構造が観
測される。比較例1と7で得られたエチレン−スチレン
共重合体(RP−1とRP−7)10gずつを秤取り、
トルエンを200ml入れ、窒素置換した容量1Lのオ
ートクレーブで130℃、2時間加熱攪拌しトルエン溶
液とした。これをメタールで析出し、エチレン−スチレ
ン共重合体組成物を作った。図5には、この比較サンプ
ルのTEM写真を示す。上記同様に180℃、2分間の
プレス成形により得られたシートを試料として用いた。
結晶相(低スチレン含量相)、低結晶相(高スチレン含
量の相)ともに入り組んだ、不定形の大きな(1ミクロ
ン以上)連続層が観測される。このような構造が観測さ
れるのは、この組成物の組成の異なるエチレン−スチレ
ン共重合体同士、またはポリエチレンとエチレン−スチ
レン共重合体の相溶性が低く、それぞれのポリマーが巨
視的なレベルでの(マクロな)相分離を起こしているた
めであると考えられる。以上の検討結果は、溶媒分別
(ソックスレー抽出)によって得られた実施例P−1〜
4共重合体のクロロホルム不溶成分が、新規な共重合体
であること示す。この共重合体は、本発明の規定する
「エチレン−芳香族ビニル化合物共重合体」である。こ
の共重合体は、高い融点を示す主にエチレン連鎖構造か
らなる(スチレン含量約1〜2モル%以下の)構造と、
比較的高いスチレン含量のエチレン−スチレン共重合構
造から構成されると考えられる。本発明のクロロホルム
不溶成分(新規エチレン−スチレン共重合体)は、エチ
レン連鎖構造に由来する高い融点と、クロロホルム可溶
成分のガラス転移温度に近いガラス転移点を有する特徴
がある。実施例1〜4で、重合の結果得られた共重合体
は、この新規エチレン−スチレン共重合体とクロロホル
ム可溶成分である「その他のオレフィン−スチレン共重
合体(エチレン−スチレン共重合体)」からなる「オレ
フィン−芳香族ビニル化合物共重合体組成物(エチレン
−芳香族ビニル化合物共重合体組成物)」である。
【0070】
【表4】
【0071】実施例9〜11、比較例10〜12表5に
示す配合比および下記方法に従って共重合体組成物を得
て、C−セットおよび耐熱性を測定した。 <C−セットの測定>ブラベンダープラスチコーダー
(ブラベンダー社PLE331型)を使用し、ポリマー
溶融後、200℃、60rpm、10分間、表5に示す
配合で混練しサンプルを作製した。サンプルをプレス成
形し、力学物性を測定し、またJISK6262に準拠
し、70℃、24時間、加圧熱処理後における高温圧縮
永久歪み(C−セット)を測定した(表5)。本実施例
1で得られた共重合体は、比較例のエチレン−スチレン
共重合体(比較例)やエチレン−スチレン共重合体とポ
リエチレンの組成物に比べ、やや良好なC−セット値
(90%)を有する。また、本実施例1の共重合体は、
同じスチレン含量を有する比較例のエチレン−スチレン
共重合体に比べ優れた耐熱性を示す。これらは、含まれ
る新規共重合体または共重合体組成物の効果であると考
えられる。さらに、本実施例1の共重合体は、ポリエチ
レンおよび可塑剤とのブレンドによりC−セット値を大
幅に改善し、耐熱性も向上させることができる。また、
可塑剤の添加により硬度を低下させることも可能であ
る。これらは、含まれる新規共重合体がポリエチレン、
可塑剤との相溶化剤として働くためであると考えられ
る。一方、比較例のエチレン−スチレン共重合体にポリ
エチレン、可塑剤をブレンドした場合、これより劣るC
−セット値を示す(比較例11)か、または耐熱性が発
現しない(比較例12)。
【0072】
【表5】
【0073】
【発明の効果】本発明により、従来のオレフィン−芳香
族ビニル化合物共重合体の欠点を改良する新規オレフィ
ン−芳香族ビニル化合物共重合体および共重合体組成
物、その効率的な製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 比較例のエチレン−スチレン共重合体(RP
−1〜RP−8)と各実施例で得られた共重合体の組成
(スチレン含量)とDSCによる融点の関係。
【図2】 比較例のエチレン−スチレン共重合体(RP
−1〜RP−8)と各実施例で得られた共重合体を溶媒
分別して得られたクロロホルム可溶分の組成(スチレン
含量)とDSCによる融点の関係。
【図3】 比較例のエチレン−スチレン共重合体(RP
−1〜RP−8)と各実施例で得られた共重合体を溶媒
分別して得られたクロロホルム不溶成分の組成(スチレ
ン含量)とDSCによる融点の関係。
【図4】 実施例1で得られた共重合体(P−1)のク
ロロホルム不溶分のTEM写真
【図5】 比較サンプル(組成の異なるエチレン−スチ
レン共重合体同士の組成物)のTEM写真
【図6】 本発明の遷移金属化合物のSP2構造(高ス
チレン含量の共重合体を与える)とSP3構造(低スチ
レン含量の共重合体を与える)間の構造転移の模式図
(平面図及び正面図)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 25/08 C08L 25/08 (72)発明者 大津 敏明 東京都町田市旭町3丁目5番1号 電気化 学工業株式会社中央研究所内 Fターム(参考) 4J002 AE05Y BB03X BB05X BB06X BB10W BB10X BB13X BB15X BC01W BC01X BC03X BC04W BC04X BC05X BC07X BC08W BC08X BC09W BC09X BK00X BN14X BN15X BP01X BP02X FD02Y GL00 GN00 4J100 AA02P AA03P AA04P AA16P AA17P AA19P AA20P AB00Q AB02Q AB03Q AB08Q AB16R AR04P AR11P AS11R AU21R CA04 CA05 FA08 4J128 AA01 AB00 AB01 AC01 AC28 AD13 AD15 BA00A BA01B BA02B BB00A BB00B BB01B BC12B BC13B BC15B BC25B EB02 EB04 EB05 EB09 EB10 EB18 EB21 GA06 GA14 GA19

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 SP2構造とSP3構造間の構造転移が
    可能な遷移金属化合物と助触媒からなる重合触媒を用い
    ることを特徴とする共重合体または共重合体組成物の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 下記の一般式(1)で表される遷移金属
    化合物と助触媒からなる重合触媒を用いる共重合体また
    は共重合体組成物の製造方法。 【化1】 式中、A、Bはそれぞれ独立に下記の式で示される非置
    換もしくは置換シクロペンタジエニル基である。 【化2】 Rはそれぞれ独立に水素、ハロゲン、水酸基、アミン基
    または炭素数1〜50までの炭化水素基である。Rが炭
    化水素基である場合、1から3個までのハロゲン原子、
    珪素原子、燐原子、酸素原子、硼素原子、窒素原子、硫
    黄原子、セレン原子を含んでも良い。これらは、OSi
    基、SiR基、NR基、OH基、OR基または
    PR基(Rはいずれも炭素数1〜10の炭化水素基を
    表す)の構造を有していても良い。これらR同士は互い
    に同一でも異なっていても良い。また隣接するこれらR
    は一体となって単数のもしくは複数の5〜8員環の芳香
    環または脂肪環を形成しても良い。Yは、A、Bと結合
    を有し、他に置換基として水素あるいは炭素数1〜20
    の炭化水素基を有する置換硼素または置換アルミニウム
    基である。Yの置換基は、1〜5個の窒素、硼素、珪
    素、燐、セレン、酸素、塩素、フッ素、臭素または硫黄
    原子を含んでも良い。また環状構造を有していてもよ
    い。Xは、それぞれ独立に水素、ハロゲン、炭素数1〜
    15のアルキル基、炭素数3〜20のアルケニル基、炭
    素数6〜10のアリール基、炭素数8〜12のアルキル
    アリール基、炭素数1〜4の炭化水素置換基を有するシ
    リル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、または水素も
    しくは炭素数1〜22の炭化水素置換基を有するアミド
    基またはアミノ基である。nは、0、1または2の整数
    である。また、Xが複数である場合、複数のXは互いに
    結合を有していてもよい。Mはジルコニウム、ハフニウ
    ムまたはチタンである。
  3. 【請求項3】 一般式(1)で示される遷移金属化合物
    において、Aおよび/またはBが、非置換もしくは置換
    ベンゾインデニル基であることを特徴とする請求項2記
    載の製造方法。
  4. 【請求項4】 Yが炭素数6から20の芳香族基を含む
    基を置換基として有する置換硼素基であることを特徴と
    する請求項2記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 少なくとも2種以上のオレフィンモノマ
    ーを用い、請求項1または2記載の製造方法により得ら
    れる、オレフィン系共重合体またはオレフィン系共重合
    体組成物。
  6. 【請求項6】 オレフィンモノマーと芳香族ビニル化合
    物を用い、請求項1または2記載の製造方法により得ら
    れるオレフィン−芳香族ビニル化合物共重合体またはオ
    レフィン−芳香族ビニル化合物共重合体組成物。
  7. 【請求項7】 請求項6において、オレフィン−芳香族
    ビニル化合物共重合体を含む組成物の平均芳香族ビニル
    化合物含量が5モル%以上96モル%以下であり、DS
    C測定において結晶融解熱が10J/g以上である融点
    の少なくとも一つの融点が110℃以上140℃以下の
    範囲に観測されること特徴とする重合体組成物。
  8. 【請求項8】 芳香族ビニル化合物含量が3モル%以上
    50モル%以下であり、残部がオレフィンであり、その
    芳香族ビニル化合物含量とDSC測定において観測され
    る結晶融解熱が10J/g以上である融点の一つ以上が
    下式の関係を満たすことを特徴とするオレフィン−芳香
    族ビニル化合物共重合体。 (2≦St≦5) −4・St+140≦Tm≦140 (5≦St≦50) 120≦Tm≦140 Tm:DSC測定において観測される結晶融解熱が10
    J/g以上である融点。St:芳香族ビニル化合物含量
    (モル%)。
  9. 【請求項9】 オレフィン連鎖構造に由来する結晶構造
    を有することを特徴とする請求項8記載のオレフィン−
    芳香族ビニル化合物共重合体。
  10. 【請求項10】 オレフィン−芳香族ビニル化合物共重
    合体構造を有することを特徴とする請求項8記載のオレ
    フィン−芳香族ビニル化合物共重合体。
  11. 【請求項11】 ゲルパーミエーションクロマトグラフ
    ィーにより得られる分子量分布(Mw/Mn)が4以下
    1.2以上であることを特徴とする請求項8記載の共重
    合体。
  12. 【請求項12】 オレフィンがエチレンであり、共重合
    体の構造中に含まれる下記の一般式(2)で示される芳
    香族ビニル化合物とエチレンの交互構造のフェニル基の
    立体規則性がアイソタクティクダイアッド分率mで0.
    5より大きいことを特徴とする請求項8記載のオレフィ
    ン−芳香族ビニル化合物共重合体。 【化3】 (式中、Phはフェニル基等の芳香族ビニル化合物ユニ
    ット、xは繰り返し単位数を示し2以上の整数を表
    す。)
  13. 【請求項13】 請求項8記載の共重合体を1から99
    質量%含むことを特徴とする重合体組成物。
  14. 【請求項14】 請求項8記載の共重合体1から99質
    量%とその他のエチレン−芳香族ビニル化合物共重合体
    からなることを特徴とする重合体組成物。
  15. 【請求項15】 請求項6または8記載の共重合体とそ
    の他のオレフィン−芳香族ビニル化合物共重合体、ポリ
    オレフィン、及び/または可塑剤からなることを特徴と
    する樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007191654A (ja) * 2006-01-23 2007-08-02 Denki Kagaku Kogyo Kk 樹脂組成物

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