JPH11291621A - 記録シート及びその製造方法 - Google Patents

記録シート及びその製造方法

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JPH11291621A
JPH11291621A JP10108623A JP10862398A JPH11291621A JP H11291621 A JPH11291621 A JP H11291621A JP 10108623 A JP10108623 A JP 10108623A JP 10862398 A JP10862398 A JP 10862398A JP H11291621 A JPH11291621 A JP H11291621A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】クラックの発生がなく且つ吸収性に優れたイン
クジェットプリンターに好適な記録シートを得る。 【解決手段】ホウ酸およびホウ酸塩からなる群より選ば
れた1種以上および紙表面処理剤により表面処理した基
材の、該処理表面上に、ベーマイトおよびポリビニルア
ルコールを含有する多孔質インク吸収層を有することを
特徴とする記録シート及びその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリンター、特に
インクジェットプリンターによる記録に適した記録シー
ト及びその製造方法に関する。より具体的には、塗工紙
製造時の生産管理が簡便であり、また製造された記録シ
ートが吸収性に優れ且つクラック防止性に優れた特性を
有するインクジェットプリンターによる記録に適した記
録シート及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば紙基材に対してバインダーとして
ポリビニルアルコールを用いる塗工液で塗工する場合、
水分が紙に吸収されてバインダーにマイグレーションが
起り、バインダー力が低下し、その結果塗工層にクラッ
クが発生する場合が多い。これら欠点を防ぐためにポリ
ビニルアルコールの添加量を増やしたり、分子量を高く
したり、ケン化度を変更したりしてクラック防止を図る
工夫が行われているが、インクの吸収性と両立させるこ
とはなかなか難しかった。
【0003】透明で吸収性を有しない基材に対するイン
クの吸収性を向上させるためにアルミナ水和物からなる
吸着層を設けた記録シートが提案されている(特開平2
ー276670号公報)。その実施例に記載のとおり、
この記録シートも、バインダーとしてポリビニルアルコ
ールが用いられるため同様のクラック発生の問題があっ
た。また、近年、各種学会、会議室などのプレゼンテー
ション用として、従来のスライドプロジェクターに代わ
り、オーバーヘッドプロジェクターが用いられる機会が
多くなっており、また印刷の分野でも、各種の印刷物や
包装等の用途において、透明な印刷物が求められるよう
になっている。
【0004】ところが、これらの透明なフィルムへの印
字、印刷は、基材であるフィルムそれ自体に吸収性がな
いため、一般の紙面上に行う印刷に比べて、印刷の速度
や乾燥の面で特別な配慮が必要である。
【0005】インク吸収性が高く、且つ、クラックのな
い塗工層を得る方法として、フィルム上に水系の塗工液
を塗工する際、アルミナ水和物を含有する調合液中にバ
インダーとともにホウ酸あるいはその塩を添加すること
によりクラックを防止する技術が提案されている(特開
平7ー76161号公報)。この場合、塗工液に多くの
成分が含まれるため、安定して塗工を行うためには、比
較的厳密な条件制御が必要であり、取扱が容易でない場
合があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの事
情に鑑みてなされたものであり、これまで提案された技
術における以上の諸問題点を解消することを課題とする
ものである。すなわち本発明は、前記したような生産工
程の管理について特に配慮することなく、調合液の安定
性を保ちつつ、クラック防止性及び画面の均質性が保た
れ、しかも吸収性に優れた記録シート及びその製造方法
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成する記録シートであり、ホウ酸およびホウ酸塩からな
る群より選ばれた1種以上および紙表面処理剤により表
面処理した基材の、該処理表面上に、ベーマイトおよび
ポリビニルアルコールを含有する多孔質インク吸収層を
有することを特徴とする記録シートである。また本発明
は、基材の表面を、ホウ酸およびホウ酸塩からなる群よ
り選ばれた1種以上および紙表面処理剤により表面処理
し、さらに該処理表面上に、ベーマイトおよびポリビニ
ルアルコールからなる塗工液を塗工して多孔質インク吸
収層を形成することを特徴とする記録シートの製造方法
である。以下、本明細書において、ホウ酸およびホウ酸
塩からなる群より選ばれた1種以上を総称して「ホウ酸
類」という。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明で用いる基材としては、紙
基材が好ましいが、他に合成紙やプラスチックフィルム
を用いることもできる。紙基材を用いる場合、主原料で
あるパルプに加え、適宜填料、内部サイズ剤その他各種
の材料からなるものが使用できる。またそれら材料の種
類が限定されるものではない。
【0009】ホウ酸類と紙表面処理剤による表面処理の
手法は、ホウ酸類と紙表面処理剤ととの混合物により表
面処理する方法で行うか、ホウ酸類と紙表面処理剤とを
別にして、ホウ酸類による表面処理を先に行い、それに
続いて紙表面処理剤による表面処理を行うことが好まし
い。
【0010】ホウ酸類および紙表面処理剤によって、紙
を表面処理する方法としては、バーチカル型サイズプレ
ス、ホリゾンタル型サイズプイス、インクラインド型サ
イズプレス、ゲートロール、ビルブレード等のサイズプ
レス装置を用いるのが好ましい。また、ロッドコータ
ー、バーコーター、ダイコーター、ロールコーター、ナ
イフコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター
等の塗工機を用いて塗布することにより表面処理を行う
こともできる。
【0011】本発明の記録シートにおいては、ホウ酸類
をH3BO3換算で基材の単位面積当り0.5g/m2
1.5g/m2 含むように表面処理することが好まし
い。H3BO3換算で0.5g/m2を下回る場合は、本
発明の効果が発現されず、特に多孔質インク吸収層のク
ラック防止効果を完全に達成することができないおそれ
があり好ましくない。またそれが1.5g/m2 を上回
る場合は、多孔質インク吸収層の塗工液のゲル化が速く
なり、塗工層の表面性状が悪くなるおそれがあり好まし
くない。また循環系の場合、塗工液が不安定になるおそ
れもある。さらにホウ酸類とインクとの相互作用により
印字後の色調にも悪影響を与えるおそれがある。
【0012】本発明でのホウ酸類におけるホウ酸として
は、オルトホウ酸(H3BO3)だけでなく、メタホウ酸
や次ホウ酸等が使用できる。ホウ酸塩としてはこれらの
ホウ酸の水溶性の塩であるのが好ましい。その例として
は具体的にはNa247・10H2O、NaBO2・4H
2O、K247・5H2O、KBO2、NH449・3H
2OあるいはNH4BO2 などが挙げられる。特に、高濃
度の水溶液が得られる点で四ホウ酸ナトリウム(ホウ
砂)が好ましい。
【0013】本発明において、紙表面処理剤とは、紙の
表面に塗布することにより紙の特性を改質するための物
質をいう。具体的には、表面紙力剤または表面サイズ剤
をいう。表面紙力剤としては、でんぷんまたはその変成
物、ポリアクリルアミドなどの水溶性高分子などが用い
られる。表面サイズ剤としてはスチレンーアクリル系エ
マルジョンが用いられる。紙表面処理剤は単独または2
種以上混合して用いることができる。ホウ酸類と紙表面
処理剤との比率については、H3BO3:紙表面処理剤が
重量比で90〜10:10〜90の範囲にあるのがよ
い。
【0014】本発明の記録シートは、ベーマイトとポリ
ビニルアルコールからなる多孔質層を有する。ベーマイ
トはAl23・nH2O(n=1〜1.5)の組成式で表
されるアルミナ水和物である。ベーマイトの1次粒子径
は1〜20nmが好ましい。ベーマイト粒子は、凝集し
て2次粒子を形成していてもよく、この場合の2次粒子
径は100〜500nmが好ましい。ベーマイトを、基
材紙に塗工して得られる塗工層は、平均細孔半径1〜2
0nmの多孔質層であるのが好ましい。ポリビニルアル
コールとしては、ケン化度90%以上、重合度500以
上であるのが好ましい。バインダーの使用量は合成ベー
マイトの5〜50%程度を採用することが好ましい。バ
インダーの使用量が5%未満では層強度が不十分になる
おそれがあり、逆に50%を上回るとインクの吸収性ま
たは染料の吸着性が不十分になるおそれがある。
【0015】塗工方法としては、ホウ酸類および紙表面
処理剤により表面処理した紙基材にロットコーター、バ
ーコーター、ダイコーター、ロールコーター、ナイフコ
ーター、エアナイフコーターあるいはブレードコーター
などを用いて塗工するのが好ましい。塗工層の厚さにつ
いては、各プリンター等の仕様、記録に用いられるイン
クの種類、その溶剤の種類あるいはインク量などによっ
て適宜選択される。
【0016】本発明においては前記した手段を採用する
ことにより記録シートのクラックの発生が抑制される。
その特性が発現する作用機序については、ホウ酸類と紙
表面処理剤とで表面処理した紙基材は、ポリビニルアル
コールを含む塗工液が塗布された時、紙表面でゲル化が
促進されポリビニルアルコールの紙へのマイグレーショ
ンが抑制され、かつ層内のバインダーを比較的均一に分
布させることができ、その結果クラックの発生が抑制さ
れると考えられる。
【0017】
【実施例】以下に、実施例に基づき本発明をさらに詳し
く説明するが、本発明がこれら実施例により限定されな
いことはもちろんである。
【0018】〈実施例1〉広葉樹晒しクラフトパルプ
(LBKP)100重量部を500mlC.S.F.に叩
解し、これに白土10重量部、内填サイズ剤(商品名
「サイズパイン」、荒川化学工業製)0.3重量部、硫酸
バンド2.0重量部を加えて調製した紙料を用いて、長
網抄紙機を使用して、常法により坪量120g/m2
原紙を得た。この原紙にホウ砂(Na247・10H2
O)溶液をH3BO3換算で1.2g/m2 の割合でサイ
ズプレスした。次に紙表面処理剤として酸化でんぷんと
ポリアクリルアミドとを重量比で1対3に混合した液を
使用して上記と同様に1.2g/m2 になるようにサイ
ズプレスを行って塗工用原紙を得た。次にベーマイト1
00部と、重合度2600、ケン化度97%のポリビニ
ルアルコール10部とをとり、固形分濃度として17重
量%の塗工液を調製した。この塗工液を前記サイズプレ
スした原紙にバーコーターを用いて乾燥重量で25g/
2 になるように塗工した後、乾燥して塗工紙を得た。
【0019】〈実施例2〉上記の方法で抄紙した原紙に
ホウ砂と酸化でんぷんとポリアクリルアミドとを重量比
で1:1に混合した液を使用してH3BO3換算で1.2
g/m2 になるようにサイズプレスした。この原紙を用
いて実施例1と同様にしてベーマイトを塗工し、塗工紙
を得た。
【0020】〈比較例〉実施例1で抄紙した原紙に対
し、ホウ酸あるいはホウ酸塩はサイズプレスせずに、紙
表面処理剤のみをサイズプレスした。この表面処理をし
た原紙に実施例1と同様にしてベーマイトを塗工し、塗
工紙を得た。
【0021】〈実施例3〉実施例1と同様にして、抄紙
し、サイズプレスを行った。次にベーマイト100部に
対し、重合度2300及びケン化度98%のポリビニル
アルコール10部を添加して固形分濃度17%になるよ
うに調整した。これを実施例1と同様にして塗工し、乾
燥して塗工紙を得た。 〈実施例4〉実施例1と同様にして抄紙した原紙に対
し、ホウ砂を0.4g/m2の量でサイズプレスを行った
以外は、実施例1と同様の方法により処理して塗工紙を
得た。 〈実施例5〉実施例1におけるサイズプレスの順序を紙
表面処理剤、ホウ砂の順に変えた以外は実施例1と同様
にして塗工紙を得た。
【0022】《評価試験》以上の各実施例1〜5及び比
較例で調製した塗工紙を用いて評価用パターンをプリン
ターとしてセイコーエプソン(株)のPMー700Cを
用い印字した。黒ベタについて色濃度及び比較例を標準
とした場合の L***色差を測定するとともに、光学
顕微鏡を用いてクラックの有無を観察した。その際、色
濃度及び色差の測定は、GRETAGSPM100ーI
Iにて行った。
【0023】測定の結果は表1に示すとおりである。ク
ラック性に関しては光学顕微鏡下で観察5段階表示で表
しており、その評価基準は、5=クラックが全くなく良
好、4=微細なクラックが少し観察される、3=微細な
クラックが4よりも観察される、2=クラックが観察さ
れる、1=多数のクラックがあり不良、としている。ま
た表1中、符号−は色差の規準値であることを示してい
る。
【0024】色濃度は1.90程度を下回ると適性な色
濃度とはいえず、色差は4以下であるのが好ましいが、
比較例ではクラック性の点で不適である。この点、実施
例4ではクラックの点で比較例より良好である。実施例
5においては色濃度の点で幾分低いが、クラック性の点
で良好であり、色差の値をも加味すると、良好な結果と
云える。
【0025】実施例1〜実施例3では何れの点でも良好
な値を示している。すなわち色濃度は2.13〜2.2
6の範囲、色差は2.5〜3.8の範囲であり、またク
ラック性はいずれも評価5、すなわちクラックが全くな
く良好であることから、いずれも画質の均質性及びクラ
ック抑制の両特性で優れていることが分かる。
【0026】
【表1】
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、クラックの発生のな
い、吸水性の良好な記録シートが得られる。その結果、
特にインクジェットプリンターによる記録に好適な記録
シートが提供できる。また塗工液の安定化も図れ、生産
管理上の利点も得られる。
フロントページの続き (72)発明者 横田 信行 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社中央研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ホウ酸およびホウ酸塩からなる群より選ば
    れた1種以上および紙表面処理剤により表面処理した基
    材の、該処理表面上に、ベーマイトおよびポリビニルア
    ルコールを含有する多孔質インク吸収層を有することを
    特徴とする記録シート。
  2. 【請求項2】上記基材が、ホウ酸およびホウ酸塩からな
    る群より選ばれた1種以上と紙表面処理剤との混合物に
    より表面処理した基材であることを特徴とする請求項1
    記載の記録シート。
  3. 【請求項3】上記基材が、1段目にホウ酸およびホウ酸
    塩からなる群より選ばれた1種以上により表面処理さ
    れ、2段目に紙表面処理剤により表面処理される2回の
    表面処理により得られた基材であることを特徴とする請
    求項1記載の記録シート。
  4. 【請求項4】上記ホウ酸およびホウ酸塩からなる群より
    選ばれた1種以上がH3BO3換算で基材の単位面積当り
    0.5g/m2〜1.5g/m2付着するよう表面処理さ
    れた請求項1〜3のいずれか1に記載の記録シート。
  5. 【請求項5】基材の表面を、ホウ酸およびホウ酸塩から
    なる群より選ばれた1種以上および紙表面処理剤により
    表面処理し、さらに該処理表面上に、ベーマイトおよび
    ポリビニルアルコールからなる塗工液を塗工して多孔質
    インク吸収層を形成することを特徴とする記録シートの
    製造方法。
  6. 【請求項6】上記基材の表面処理を、ホウ酸およびホウ
    酸塩からなる群より選ばれた1種以上と紙表面処理剤と
    を混合して表面処理することを特徴とする請求項5記載
    の記録シートの製造方法。
  7. 【請求項7】上記基材の表面処理を、1段目にホウ酸お
    よびホウ酸塩からなる群より選ばれた1種以上により表
    面処理をし、2段目に紙表面処理剤により表面処理する
    2回の表面処理により行うことを特徴とする請求項5記
    載の記録シートの製造方法。
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