JPH11286605A - 振動溶着用樹脂組成物及び成形品 - Google Patents

振動溶着用樹脂組成物及び成形品

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JPH11286605A
JPH11286605A JP8905998A JP8905998A JPH11286605A JP H11286605 A JPH11286605 A JP H11286605A JP 8905998 A JP8905998 A JP 8905998A JP 8905998 A JP8905998 A JP 8905998A JP H11286605 A JPH11286605 A JP H11286605A
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英夫 松岡
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直木 三宅
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形性、耐熱性、強靱性、耐オイル・ガソリ
ン性、耐摩耗性、などナイロン樹脂本来の特性にも均衡
して優れた振動溶着に適したナイロン樹脂組成物を提供
する。 【解決手段】 (A)ナイロン樹脂100重量部に対し
て、(B)潤滑剤0.1〜50重量部、及び(C)平均
繊維径5〜15μmのガラス繊維10〜150重量部、
好ましくは、さらに(D)銅化合物0.01重量部以上
を溶融混練することにより振動溶着用樹脂組成物を製造
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性、成形性品
表面外観、寸法安定性、振動溶着性が均衡して優れた溶
着用樹脂組成物に関し、更には溶融成形後の2つ以上の
成形品を振動溶着して得られる中空成形体などに適した
ナイロン樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ナイロン樹脂は、その優れた射出成形
性、耐熱性、強靱性、耐オイル・ガソリン性、耐摩耗性
などを利して、自動車、機械部品の分野で射出成形品と
して広範に利用されている。上記分野でのナイロン樹脂
の開発経緯は基本的には金属材料からの代替が主体であ
り、軽量化、防錆化などの利点の多い部品から実用化が
進んできた。更に最近はナイロン樹脂材料の高性能化お
よび成形加工技術の進展に伴って、大型且つ複雑形状
で、従来技術では樹脂化が困難とされてきた部品へのナ
イロン樹脂の適用が検討されるようになっている。この
ような難度の高い部品を樹脂化するためには射出成形や
押し出し成形、ブロー成形などの単独成形技術だけでは
不十分で、切削、接着、溶着などの後加工技術をを組み
合わせることが必要となる。しかし、従来のナイロン樹
脂材料の設計はかかる後加工への適用性まで考慮したも
のとは言えず、たとえば2つ以上のパーツからなるガラ
ス繊維強化ナイロン樹脂成形品を振動溶着法などによっ
て溶着して用いる場合には特に部品が大型の場合、溶着
部分の強度が不十分であるために使用が制限されるのが
現状であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述した従来
のナイロン樹脂における問題点であった振動溶着性の改
良を課題とし、更に成形性、耐熱性、強靱性、耐オイル
・ガソリン性、耐摩耗性、成形品表面平滑性などナイロ
ン樹脂本来の特性にも均衡して優れた振動溶着に適した
ナイロン樹脂組成物を得ることを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは上記
の課題を解決すべく検討した結果、ガラス繊維強化ナイ
ロン樹脂において潤滑剤を含み、必要に応じて、銅化合
物および含有されるガラス繊維の長さ分布を特定の範囲
に制御することにより目的が達成されることを見出し本
発明に到達した。
【0005】即ち本発明は、 (1)「(A)ナイロン樹脂100重量部に対して、
(B)潤滑剤0.1〜50重量部、及び(C)平均繊維
径5〜15μmのガラス繊維10〜150重量部からな
る振動溶着用樹脂組成物。」 (2)「(B)潤滑剤の添加量が0.1〜30重量部で
ある前記(1)記載の振動溶着用樹脂組成物。」 (3)「(B)潤滑剤が、シリコーン系化合物である前
記(1)〜(2)いずれかに記載の振動溶着用樹脂組成
物。」 (4)「(B)潤滑剤が、オイル状シリコーン系化合物
である前記(3)記載の振動溶着用樹脂組成物。」
【0006】(5)「さらに(D)銅化合物を、生成す
る樹脂組成物成形品を振動溶着法で溶着した後アニーリ
ングした際の溶着部強度保持率を向上せしめるに足る量
で含む前記(1)〜(4)いずれかに記載の振動溶着用
樹脂組成物。」 (6)「(D)銅化合物の添加量が、(A)ナイロン樹
脂100重量部に対して、0.01〜2重量部である前
記(5)に記載の振動溶着用樹脂組成物。」 (7)「銅化合物が1価の銅化合物である前記(5)、
(6)いずれかに記載の溶着用樹脂組成物。」 (8)「1価の銅化合物がハロゲン化第1銅である前記
(7)記載の振動溶着用樹脂組成物。」 (9)「樹脂組成物中のガラス繊維の重量平均繊維長が
100〜400μmの範囲にあってかつ繊維長が60μ
m以下のガラス繊維の割合が全ガラス繊維の10〜50
重量%を占める前記(1)〜(8)いずれかに記載の振
動溶着用樹脂組成物。」
【0007】(10)「ナイロン樹脂が融点200℃以
上の脂肪族ナイロン樹脂の中から選ばれた少なくとも1
種である前記(1)〜(9)いずれかに記載の振動溶着
用樹脂組成物。」 (11)「ナイロン樹脂がナイロン66、ナイロン6お
よびそれらを主成分とする共重合ナイロンの中から選ば
れた少なくとも1種である前記(10)記載の振動溶着
用樹脂組成物。」 (12)「共重合ナイロンがナイロン6成分とナイロン
66成分からなる共重合体である前記(11)記載の振
動溶着用樹脂組成物。
【0008】(13)「共重合ナイロンがナイロン6成
分98〜80重量%およびナイロン66成分2〜20重
量%からなる共重合体またはナイロン66成分98〜8
0重量%およびナイロン6成分2〜20重量%からなる
共重合体である前記(12)記載の振動溶着用樹脂組成
物。」
【0009】(14)「(A)ナイロン樹脂100重量
部に対して、(B)潤滑剤0.1〜50重量部、(C)
平均繊維径5〜15μmのガラス繊維10〜150重量
部、(D)銅化合物0.01重量部以上を溶融混練す
る、あるいは(B)成分のみを外添することによる振動
溶着用樹脂組成物の製造方法。」 (15)「(A)成分、(B)成分、(C)成分、
(D)成分の混練を行った段階で組成物中のガラス繊維
の繊維長分布が前記(9)に記載の条件を満たす前記
(14)記載の振動溶着用樹脂組成物の製造方法。」 (16)「前記(1)〜(13)いずれかに記載の振動
溶着用樹脂組成物からなる成形品。」 (17)「前記(1)〜(13)いずれかに記載の振動
溶着用樹脂組成物からなる成形品を振動溶着してなる成
形体。」 を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。本発明において「重量」とは「質量」を意味す
る。
【0011】本発明で用いられる(A)ナイロン樹脂と
は、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン
酸を主たる構成成分とするポリアミドである。その主要
構成成分の代表例としては、6ーアミノカプロン酸、1
1ーアミノウンデカン酸、12ーアミノドデカン酸、パ
ラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、εーアミノカ
プロラクタム、ωーラウロラクタムなどのラクタム、テ
トラメチレンジアミン、ヘキサメレンジアミン、2ーメ
チルペンタメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミ
ン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4ー/2,4,
4ートリメチルヘキサメチレンジアミン、5ーメチルノ
ナメチレンジアミン、メタキシレンジアミン、パラキシ
リレンジアミン、1,3ービス(アミノメチル)シクロ
ヘキサン、1,4ービス(アミノメチル)シクロヘキサ
ン、1ーアミノー3ーアミノメチルー3,5,5ートリ
メチルシクロヘキサン、ビス(4ーアミノシクロヘキシ
ル)メタン、ビス(3ーメチルー4ーアミノシクロヘキ
シル)メタン、2,2ービス(4ーアミノシクロヘキシ
ル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ア
ミノエチルピペラジンなどの脂肪族、脂環族、芳香族の
ジアミン、およびアジピン酸、スペリン酸、アゼライン
酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフ
タル酸、2ークロロテレフタル酸、2ーメチルテレフタ
ル酸、5ーメチルイソフタル酸、5ーナトリウムスルホ
イソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒド
ロイソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族のジカル
ボン酸が挙げられ、本発明においては、これらの原料か
ら誘導されるナイロンホモポリマーまたはコポリマーを
各々単独または混合物の形で用いることができる。
【0012】本発明において、とくに有用なナイロン樹
脂は、200℃以上の融点を有する耐熱性や強度に優れ
たナイロン樹脂であり、具体的な例としてはポリカプロ
アミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド
(ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナ
イロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロ
ン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン
612)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリ
カプロアミドコポリマー(ナイロン6T/6)、ポリヘ
キサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタ
ルアミドコポリマー(ナイロン66/6T)、ポリヘキ
サメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタル
アミドコポリマー(ナイロン66/6I)、ポリヘキサ
メチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルア
ミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー
(ナイロン66/6T/6I)、ポリヘキサメチレンテ
レフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミド
コポリマー(ナイロン6T/6I)、ポリヘキサメチレ
ンテレフタルアミド/ポリ(2ーメチルペンタメチレ
ン)テレフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/M5
T)、ポリキシリレンアジパミド(ナイロンXD6)お
よびこれらの混合物ないし共重合体などが挙げられる。
【0013】とりわけ好ましいものとしては、ナイロン
6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン6/66
コポリマー、またナイロン6T/66コポリマー、ナイ
ロン6T/6Iコポリマー、ナイロン6T/6コポリマ
ーなどのヘキサメチレテレフタラミド単位を有する共重
合体を挙げることができ、更にこれらのナイロン樹脂を
成形性、耐熱性、振動溶着性などの必要特性に応じて混
合物として用いることも実用上好適である。
【0014】これらナイロン樹脂の重合度にはとくに制
限がなく、1%の濃硫酸溶液中、25℃で測定した相対
粘度が、1.5〜5.0の範囲、特に2.0〜4.0の
範囲のものが好ましい。
【0015】本発明において用いられる(B)潤滑剤と
は、ナイロン樹脂に配合することで潤滑性を示すもので
あり、具体的な例としては、黒鉛、二硫化モリブデン、
シリコーン系化合物、フッ素系樹脂などが選ばれる。
【0016】本発明で用いられるシリコーン系化合物と
は、シロキサン結合を骨格とし、そのケイ素に有機基な
どが直接結合した有機ケイ素化合物である。ケイ素に直
接結合した有機基としては、メチル基、エチル基、フェ
ニル基、ビニル基、トリフルオロプロピル基およびそれ
らの併用などが知られているが、これら公知のシリコー
ン系化合物を特に制限なく使用できる。また有機基の一
部がエポキシ基、アミノ基、ポリエーテル基、カルボキ
シル基、メルカプト基、エステル基、クロロアルキル
基、炭素数3個以上のアルキル基、ヒドロキシル基など
を有する置換基で置換されたシリコーンも使用可能であ
る。シリコーンはその架橋の程度などからシリコーンオ
イル、シリコーンエラストマ、シリコーンレジンに分類
される。それらシリコーン系化合物に関しては、「シリ
コーン材料ハンドブック」(東レ・ダウコーニング・シ
リコーン(株)発行・編集、1993年8月発行)の記
載を参照すればよい。
【0017】本発明のシリコーン系化合物としてはその
いずれも使用可能であるが、化合物の具体例としては、
ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーン
オイル、アルキル変性シリコーンオイル、フロロシリコ
ーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、脂肪
族エステル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコー
ンオイル、カルボン酸変性シリコーンオイル、カルビノ
ール変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオ
イル、メルカプト変性シリコーンオイルなどのオイル状
シリコーン類が溶着強度向上のためには好ましい。ま
た、シリコーンオイルの無機微粉末坦持物、微粉末化さ
れたシリコーンエラストマ、シリコーンレジン(例えば
東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、“トレフ
ィル”F,E、Rシリーズ)や超高分子量のシリコーン
ポリマーを高濃度で分散させたペレット(例えば東レ・
ダウコーニング・シリコーン(株)製、シリコーンコン
セントレート“BY27”シリーズ)は、分散性もよく
また作業性にも優れており溶着強度向上にも有効であ
る。
【0018】また、本発明で用いられるフッ素系樹脂と
しては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフル
オロプロピレン、(テトラフルオロエチレン/ヘキサフ
ルオロプロピレン)共重合体、(テトラフルオロエチレ
ン/パーフルオロアルキルビニルエーテル)共重合体、
(テトラフルオロエチレン/エチレン)共重合体、(ヘ
キサフルオロプロピレン/プロピレン)共重合体、ポリ
ビニリデンフルオライド、(ビニリデンフルオライド/
エチレン)共重合体などが挙げられるが、中でもポリテ
トラフルオロエチレン、(テトラフルオロエチレン/パ
ーフルオロアルキルビニルエーテル)共重合体、(テト
ラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン)共重
合体、(テトラフルオロエチレン/エチレン)共重合
体、ポリビニリデンフルオライドが好ましく、特にポリ
テトラフルオロエチレン、(テトラフルオロエチレン/
エチレン)共重合体が溶着強度向上のために好ましい。
更にこれら(B)潤滑剤は2種類以上併用することも可
能である。
【0019】かかる(B)潤滑剤の配合量は、(A)ポ
リアミド樹脂100重量部に対し、(B)潤滑剤0.1
〜50重量部の範囲が選択され、特に0.1〜30重量
部の範囲が好ましい。潤滑剤量が0.1重量部未満で
は、得られる樹脂組成物の振動溶着性が不十分であり、
また50重量部を越えると溶融成形時の揮散や耐熱性の
低下などの悪影響が顕在化するため好ましくない。
【0020】本発明においては(C)成分として用いら
れるガラス繊維はナイロン樹脂との溶融混練後の状態、
特に1回の溶融混練を受けた状態で重量平均繊維長10
0〜400μm、且つ繊維長60μm以下のガラス繊維
の割合が全ガラス繊維中10〜50重量%の範囲に制御
されていることが好ましい。なぜならば繊維長60μm
以下のガラス繊維が特定量存在することによりナイロン
樹脂組成物の成形品を振動溶着させた場合に高い溶着強
度が得られるからである。この理由は必ずしも明確では
ないが、摩擦熱で溶融したマトリクス樹脂層中のガラス
繊維の振動による配向挙動に影響を与えることが一因と
考えられる。
【0021】ガラス繊維の好ましい重量平均繊維長およ
び60μm以下のガラス繊維の割合は各々120〜30
0μmおよび15〜40重量%の範囲である。ガラス繊
維の重量平均繊維長が上記の範囲より短いと樹脂組成物
の強度が低下するので好ましくなく、一方上記範囲より
長いと成形品外観、振動溶着性が低下するので好ましく
ない。また、60μm以下のガラス繊維の割合が上記範
囲より少ないと振動溶着性の低下を招くので好ましくな
く、逆に上記範囲より多いと機械強度への悪影響が出る
ので好ましくない。
【0022】かかる繊維長分布を有するガラス繊維強化
ナイロン樹脂組成物を1回の溶融混練工程で得ることが
生産効率上好ましく、それを実現するための効率的な方
法の一例としてストランド長1mm以上のガラス繊維と
繊維長20〜500μmのガラス繊維を適正な割合の混
合物として原料に使用する方法を挙げることができる。
また、ストランド長の異なるガラス繊維を2種以上併用
する際には、用いるガラス繊維の平均径が2μm以上異
なる種類のものを使用することも好ましい方法である。
【0023】本発明の樹脂組成物中の全ガラス繊維含有
量はナイロン樹脂100重量部に対して10〜150重
量部の範囲であり、20〜80重量部の範囲が更に好ま
しい。
【0024】本発明で用いられる(D)成分の銅化合物
の具体的な例としては、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化
第一銅、臭化第二銅、ヨウ化第一銅、ヨウ化第二銅、硫
酸第二銅、硝酸第二銅、リン酸銅、酢酸第一銅、酢酸第
二銅、サリチル酸第二銅、ステアリン酸第二銅、安息香
酸第二銅および前記無機ハロゲン化銅とキシリレンジア
ミン、2ーメルカプトベンズイミダゾール、ベンズイミ
ダゾールなどとの錯化合物などが挙げられる。なかでも
1価の銅化合物とりわけ1価のハロゲン化銅化合物が好
ましく、酢酸第1銅、ヨウ化第1銅などを特に好適な銅
化合物として例示できる。
【0025】銅化合物の添加量は生成する樹脂組成物の
成形品を振動溶着法で溶着した後アニーリングした際の
溶着部強度保持率を向上せしめるに足る量であるが、こ
れには通常ナイロン樹脂100重量部に対して0.01
〜3重量部が求められ、さらに0.015〜2重量部の
範囲であることが好ましい。銅化合物の添加量が0.0
1重量部に満たないと溶着した後アニーリングした際の
溶着部強度保持率が不足となる傾向があり、逆に3重量
部を越える量の添加では溶融成形時に金属銅の遊離が起
こり、着色により製品の価値を減ずることになる。
【0026】本発明では銅化合物と併用する形でハロゲ
ン化アルカリを添加することも可能である。このハロゲ
ン化アルカリ化合物の例としては、塩化リチウム、臭化
リチウム、ヨウ化リチウム、塩化カリウム、臭化カリウ
ム、ヨウ化カリウム、臭化ナトリウムおよびヨウ化ナト
リウムを挙げることができ、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナ
トリウムが特に好ましい。
【0027】本発明においては上記の特定のガラス繊維
以外にも繊維状/非繊維状無機強化材を添加することも
可能であり、それら強化剤の具体例としては、炭素繊
維、チタン酸カリウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硼酸ア
ルミウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素
繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、
金属繊維などの繊維状充填剤、ワラステナイト、ゼオラ
イト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、パイロ
フィライト、ベントナイト、アスベスト、タルク、アル
ミナシリケートなどの珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸
化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化
鉄などの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウ
ム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バ
リウムなどの硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カル
シウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスビ
ーズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素および
シリカなどの非繊維状充填剤が挙げられ、これらは中空
であってもよく、さらにはこれら充填剤を2種類以上併
用することも可能である。また、これら繊維状/非繊維
状充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合
物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エ
ポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理して使用
することは、より優れた機械的強度を得る意味において
好ましい。
【0028】さらに、本発明のナイロン樹脂組成物に
は、タルク、カオリン、有機リン化合物、ポリエーテル
エーテルケトンなどの結晶核剤、次亜リン酸塩などの着
色防止剤、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミンな
どの酸化防止剤、熱安定剤、紫外線防止剤、着色剤、な
どの添加剤を添加することができる。
【0029】本発明のナイロン樹脂組成物の調製方法は
特定の方法に限定されないが、具体的且つ効率的な例と
して原料のナイロン樹脂およびガラス繊維の混合物を単
軸あるいは2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダ
ーおよびミキシングロールなど公知の溶融混練機に供給
して用いるナイロン樹脂の融点に応じて220〜330
℃の温度で溶融混練する方法などを挙げることができ
る。
【0030】この溶融混練において、好ましいガラス繊
維長分布を実現するためには、たとえば2軸押し出し機
で溶融混練する場合にガラス繊維の一部を樹脂原料フィ
ーダーからナイロン樹脂と共に供給し、残りのガラス繊
維を押し出し機の先端部分のサイドフィーダーから供給
してガラス繊維の受けるせん断履歴を制御する方法や原
料として用いるガラス繊維を異なる繊維長のものとする
方法などが挙げられる。
【0031】本発明において銅化合物の添加は上記溶融
混練過程のいずれでなされても良い。また潤滑剤の添加
は、上記溶融過程で行われても、その他の成分を押し出
し機中で溶融混連した後にタンブラー等を用いて外添し
ても良い。
【0032】このようにして得られた本発明のナイロン
樹脂組成物は、耐熱性、成形製品表面外観、寸法安定
性、振動溶着性が均衡して優れたものであり、射出成形
や押し出し成形、ブロー成形で得られた成形品を振動溶
着法などによって溶着して用いる場合に特に有用であ
り、この利点を生かしてたとえば自動車のインテークマ
ニホールドなどの吸気系部品、ウォーターインレット、
ウォーターアウトレットなどの冷却系部品、フューエル
インジェクション、フューエルデリバリーパイプなどの
燃料系部品、オイルタンクなどの容器類といった中空形
状部品用などに好適に用いることができる。
【0033】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定される
ものではない。また、実施例及び比較例中に示された配
合割合は全て重量部である。
【0034】また、以下の実施例において材料強度、流
動性、振動溶着強度の評価は、次の方法により行った。 [繊維長分布] 樹脂組成物約1gを電気炉中で燃焼さ
せて樹脂成分を除去し、得られたガラス繊維を顕微鏡写
真で撮影し、各々のガラス単繊維の長さを測定すること
によって求めた。
【0035】 [材料強度] 以下の標準方法に従って測定した。 引張強度 :ASTM D638 曲げ弾性率 :ASTM D790 [流動性] 幅10mm、厚さ2mm、全長600mm
の渦巻き形状を有するスパイラルフロー測定金型を用
い、射出成形温度250℃(ナイロン66系は280
℃)、射出成形圧力30kgf/cm2 、金型温度80
℃の条件下で材料を射出成形した際に金型内を流れた距
離を測定して流動性の指標とした。流動長が長いほど流
動性が良好であることを示す。
【0036】[振動溶着強度測定]溶着強度評価に用い
た試験片の形状は図1、図2に示すとおりである。ま
た、図1に示す試験片の溶着面には、幅1.5mm、高さ
2.5mmのリブを設けてあり、溶着の際には摩擦により
リブが溶融して接合される。図1、図2に示す形状の試
験片を成形し、ブランソン社製2850型振動溶着装置
を用いて以下の条件で溶着した。 振動数 : 240Hz 加圧力 : 70kgf 振幅 : 1.5mm 溶着代 : 1.5mm 溶着によって得られた中空成形品の形状を図3に示す。
得られた中空成形品中に水を充填し、水槽中にて中空成
形品に内圧をかけ、破裂時の圧力を溶着強度とした。ま
た、溶着した試験片を加熱オーブン中で150℃/10
時間処理した後の溶着強度を測定し、その強度保持率を
算出した。
【0037】[実施例1〜9、比較例1〜2]ナイロン
樹脂、潤滑剤、ガラス繊維および銅化合物を表1に示す
ように混合し、日本製鋼所製TEX30型2軸押し出し
機を用いてシリンダー温度250〜280℃、スクリュ
ー回転数150rpmで溶融混練を行った。得られたペ
レットを乾燥後、射出成形(金型温度80℃)により各
種試験片を調製した。各サンプルの流動性、材料強度、
溶着強度などを測定した結果は表1に示すとおりであっ
た。なおここで表中のナイロン樹脂の種類は、N6は相
対粘度2.70のナイロン6、N6/66は融点217
℃相対粘度2.65のナイロン6/66共重合体、N6
6は相対粘度2.90のナイロン66を表す。
【0038】また、潤滑剤の種類は、(a)は黒鉛、
(b)はテトラフルオロエチレン樹脂(ダイキン工業
(株)社製、“ルブロン”L−5)、(c−1)ジメチ
ルシリコーンオイル(東レ・ダウコーニング・シリコー
ン(株)製、SH200)、(c−2)はアミノ変性シ
リコーンオイル(東レ・ダウコーニング・シリコーン
(株)製、SF8417)、(c−3)は超高分子量の
シリコーンポリマーの高濃度含有物(東レ・ダウコーニ
ング・シリコーン(株)製、シリコーンコンセントレー
トBY27−105)、(c−4)は微粉末化されたシ
リコーンエラストマ、シリコーンレジン(東レ・ダウコ
ーニング・シリコーン(株)製、“トレフィル”E60
2)を表す。耐熱材の種類は、CuIはヨウ化第1銅、
KIはヨウ化カリウムを表す。
【0039】
【表1】
【0040】実施例1〜9および比較例1〜2より本発
明の組成物は、流動性、材料強度のバランスに優れ、溶
着強度も高く、特にアニーリング後の溶着部強度が優れ
た実用価値の高いものである。また、実施例6、7より
ガラス繊維をストランド長1.5mm のものと0.2mm のもの
を併用した本発明の組成物は、流動性、溶着強度に優
れ、特に溶着部強度が優れた実用価値の高いものであ
る。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のナイロン
樹脂組成物は、耐熱性、流動性、寸法安定性、振動溶着
性が均衡して優れたものであり、射出成形や押し出し成
形、ブロー成形で得られた成形品を振動溶着法などによ
って溶着して用いる場合に特に有用であり、この利点を
生かしてたとえば自動車のインテークマニホールドなど
の吸気系部品、ウォーターインレット、ウォーターアウ
トレットなどの冷却系部品、フューエルインジェクショ
ン、フューエルデリバリーパイプなどの燃料系部品、オ
イルタンクなどの容器類といった中空形状部品用などに
好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例で使用した溶着強度測定用試験片の形
状を示す平面図である。
【図2】 実施例で使用した溶着強度測定用試験片の形
状を示す平面図である。
【図3】 試験片を溶着することにより得られた中空成
形品の形状を示す平面図である。

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ナイロン樹脂100重量部に対し
    て、(B)潤滑剤0.1〜50重量部、及び(C)平均
    繊維径5〜15μmのガラス繊維10〜150重量部か
    らなることを特徴とする振動溶着用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (B)潤滑剤の添加量が0.1〜30重
    量部であることを特徴とする請求項1記載の振動溶着用
    樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 (B)潤滑剤が、シリコーン系化合物で
    あることを特徴とする請求項1〜2いずれかに記載の振
    動溶着用樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 (B)潤滑剤が、オイル状シリコーン系
    化合物であることを特徴とする請求項3記載の振動溶着
    用樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 さらに、(D)銅化合物を、生成する樹
    脂組成物の成形品を振動溶着法で溶着した後アニーリン
    グした際の溶着部強度保持率を向上せしめるに足る量で
    含むことを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の振
    動溶着用樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 (D)銅化合物の添加量が、(A)ナイ
    ロン樹脂100重量部に対して、0.01〜2重量部で
    あることを特徴とする請求項5記載の振動溶着用樹脂組
    成物。
  7. 【請求項7】 銅化合物が1価の銅化合物であることを
    特徴とする請求項5、6いずれかに記載の溶着用樹脂組
    成物。
  8. 【請求項8】 1価の銅化合物がハロゲン化第1銅であ
    ることを特徴とする請求項7記載の振動溶着用樹脂組成
    物。
  9. 【請求項9】 樹脂組成物中のガラス繊維の重量平均繊
    維長が100〜400μmの範囲にあってかつ繊維長が
    60μm以下のガラス繊維の割合が全ガラス繊維の10
    〜50重量%を占めることを特徴とする請求項1〜8い
    ずれかに記載の振動溶着用樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 ナイロン樹脂が融点200℃以上の脂
    肪族ナイロン樹脂の中から選ばれた少なくとも1種であ
    ることを特徴とする請求項1〜9いずれかに記載の振動
    溶着用樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 ナイロン樹脂がナイロン66、ナイロ
    ン6およびそれらを主成分とする共重合ナイロンの中か
    ら選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求
    項10記載の振動溶着用樹脂組成物。
  12. 【請求項12】 共重合ナイロンがナイロン6成分とナ
    イロン66成分からなる共重合体であることを特徴とす
    る請求項11記載の振動溶着用樹脂組成物。
  13. 【請求項13】 共重合ナイロンがナイロン6成分98
    〜80重量%およびナイロン66成分2〜20重量%か
    らなる共重合体またはナイロン66成分98〜80重量
    %およびナイロン6成分2〜20重量%からなる共重合
    体であることを特徴とする請求項12記載の振動溶着用
    樹脂組成物。
  14. 【請求項14】 (A)ナイロン樹脂100重量部に対
    して、(B)潤滑剤0.1〜50重量部、(C)平均繊
    維径5〜15μmのガラス繊維10〜150重量部、及
    び(D)銅化合物0.01重量部以上を溶融混練する、
    あるいは(B)成分のみを外添し他成分は溶融混練する
    ことにより振動溶着用樹脂組成物を製造することを特徴
    とする振動溶着用樹脂組成物の製造方法。
  15. 【請求項15】 (A)成分、(B)成分、(C)成
    分、及び(D)成分の混練を行った段階での組成物中の
    ガラス繊維の繊維長分布が請求項9記載の条件を満たす
    ことを特徴とする請求項14記載の振動溶着用樹脂組成
    物の製造方法。
  16. 【請求項16】 請求項1〜13いずれかに記載の振動
    溶着用樹脂組成物からなる成形品。
  17. 【請求項17】 請求項1〜13いずれかに記載の振動
    溶着用樹脂組成物からなる成形品を振動溶着してなる成
    形体。
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