JPH11277719A - 印刷物のインキ除去方法、印刷物のインキ除去装置、印刷装置 - Google Patents

印刷物のインキ除去方法、印刷物のインキ除去装置、印刷装置

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JPH11277719A
JPH11277719A JP8564398A JP8564398A JPH11277719A JP H11277719 A JPH11277719 A JP H11277719A JP 8564398 A JP8564398 A JP 8564398A JP 8564398 A JP8564398 A JP 8564398A JP H11277719 A JPH11277719 A JP H11277719A
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JP8564398A
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Yusuke Nemoto
雄介 根本
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Tohoku Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Tohoku Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 印刷物の裏移りを防止し、印刷直後の印刷物
をローラで搬送することを可能にし、さらに、こすれに
よる印刷物の汚れを防止する。 【解決手段】 印刷物を一方向に搬送する過程で、回転
するインキ除去部材1に印刷物上の未乾燥の余剰のエマ
ルジョンインキをインキ除去部材1に付着させ、インキ
除去部材1に付着するエマルジョンインキをインキ払拭
部材10で払拭する。この場合、インキ除去部材1を臨
界表面張力が30dyne/cm 以上に高いものにすること
で、裏移りの原因となる量の余剰のインキはもちろんの
こと、搬送系の部材に擦られた場合に搬送系の部材に付
着するほどの量までのインキを除去することができる。
これにより、裏移りを防止するだけでなく、印刷物をロ
ーラで挾持して搬送してもローラが汚れることがなく、
さらに、印刷物をこすっても汚れない程度に印刷物上の
余剰のエマルジョンインキを除去するようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、印刷済みの印刷物
の印画部上の余分なエマルジョンインキを除去する印刷
物のインキ除去方法、印刷物のインキ除去装置、印刷装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、エマルジョンインキを用いて印刷
する印刷装置として、平版印刷装置、凹版印刷装置、凸
版印刷装置、孔版印刷装置等があるが、孔版印刷装置で
は殆どエマルジョンインキを使用している。このような
印刷装置に使用されているエマルジョンインキは、不乾
性油や不揮発性油に顔料を均一に分散させた油相約10
〜50%に水相を約90〜50%乳化させたもの、いわ
ゆるW/O型(油中水型)エマルジョンであり、油相中
には、必要に応じて溶剤、樹脂、乳化剤、界面活性剤等
が含まれている。
【0003】ところで、このようなエマルジョンインキ
を用いる印刷装置において、印刷直後の印刷物のインキ
画像は、通常そのまま放置させて自然乾燥によって乾燥
している。具体的には、印刷後は、エマルジョンインキ
中の油相成分を用紙中に自然に浸透させ、水相成分を自
然に大気中に蒸発させると言う、単なる放置に任せてい
る。
【0004】そのため、印刷装置において連続的に印刷
された印刷物を排紙トレイの上に重ねて排紙すると、先
に排紙された印刷物上の印画部を構成するエマルジョン
インキの一部が、後から排紙された印刷物の裏面に付着
すると言ういわゆる「裏移り」と称せられる不具合が発
生する。また、印刷直後のエマルジョンインキが印刷物
の搬送部材、搬送経路を定める案内部材、指、衣服等に
触れると、その触れた部分が乾燥していないエマルジョ
ンインキにより汚れたり、印刷物上の画像が損なわれる
と言う不具合が発生する。特に、孔版印刷装置によって
形成されたインキ画像は、その画像の盛り上がりが他の
印刷装置により印刷されたインキ画像に比して大きく、
上述の不具合の発生は顕著なものとなっている。
【0005】そこで、エマルジョンインキの吸収性の高
い材料により形成したインキ吸収部材で印刷物上の余剰
のエマルジョンインキを吸収することが考えられるが、
インキ吸収部材はエマルジョンインキを蓄積し、水分が
蒸発したとしても顔料等が残るため、インキ吸収部材を
ローラ状又はベルト状に形成してエンドレスに印刷物に
接触させるように構成した場合には、ローラ又はベルト
状のインキ吸収部材に吸収したエマルジョンインキ、又
は水分が蒸発して残った顔料が印刷物に再度移るため、
長いテープ状にして供給側から巻き取りながら印刷物に
接触させるような構成を採り、使い捨ての使用形態を採
用せざるを得なくなり、不経済である。
【0006】また、裏移りを防止するために、特開平1
−202487号公報に記載されているように、臨界表
面張力が低い物質の表面にエマルジョンインキの剥離性
を向上させるための加工を施した第一のローラと、この
第一のローラに印刷物を当接させる第二のローラとを設
け、これら第一、第二のローラを等しい周速度で回転さ
せて両者で印刷直後の印刷物を挾持して搬送することに
より、印刷物上の未乾燥のエマルジョンインキを第一の
ローラの表面に付着させ、この第一のローラの表面に付
着したエマルジョンインキを払拭するようにした孔版印
刷物裏移り防止装置がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】特開平1−20248
7号公報に記載された、印刷物上のエマルジョンインキ
を付着させる第一のローラは、シリコン樹脂、ポリテト
ラフルオルエチレン等、臨界表面張力が低い物質により
形成されている。例えば、ポリテトラフルオルエチレン
を用いた場合には、臨界表面張力がおおよそ18dyne/c
m と低い。このように臨界表面張力が低いと、裏移りの
原因となる程度の余剰のインキを第一のローラにより除
去することはできるが、搬送系の部材に擦られた場合に
搬送系の部材に付着するほどの量までのインキを除去す
ることは困難である。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の印刷物の
インキ除去方法は、エマルジョンインキを用いて印刷さ
れた印刷物を一方向に搬送する過程で、臨界表面張力が
30dyne/cm 以上のインキ除去部材を前記印刷物と同速
で回転させてその印刷物の印刷面に接触させることによ
り、前記印刷物上の未乾燥の余剰インキを前記インキ除
去部材に付着させ、前記インキ除去部材に付着するイン
キを払拭部材で払拭する。
【0009】したがって、インキ除去部材は臨界表面張
力が30dyne/cm 以上と高いため、裏移りの原因となる
量の余剰のインキはもちろんのこと、搬送系の部材に擦
られた場合に搬送系の部材に付着するほどの量までのイ
ンキを除去することが可能となる。
【0010】請求項2記載の印刷物のインキ除去装置
は、臨界表面張力が30dyne/cm 以上のインキ除去部材
と、このインキ除去部材を一方向に回転させるインキ除
去部材駆動手段と、エマルジョンインキを用いて印刷さ
れた印刷物をその印刷面を前記インキ除去部材の表面に
向けて一方向に導入する導入部と、この導入部により導
入された前記印刷物を前記インキ除去部材駆動手段によ
り回転される前記インキ除去部材に圧接する圧接部材
と、前記インキ除去部材に接触されるインキ払拭部材と
を具備する。
【0011】したがって、一方向に回転駆動されるイン
キ除去部材と圧接部材との間に印刷物を導入部により導
き入れると、印刷物はインキ除去部材と圧接部材とによ
り挾持されて搬送され、この搬送過程で印刷物上の余剰
のエマルジョンインキがインキ除去部材に付着する。イ
ンキ除去部材に付着したエマルジョンインキは、インキ
払拭部材によって払拭される。この場合、インキ除去部
材は臨界表面張力が30dyne/cm 以上と高いため、裏移
りの原因となる量の余剰のインキはもちろんのこと、搬
送系の部材に擦られた場合に搬送系の部材に付着するほ
どの量までのインキを除去することが可能となる。
【0012】請求項3記載の印刷物のインキ除去装置
は、請求項2記載の発明において、インキ除去部材は、
時間差をもってインキ除去部材上のインキを払拭する複
数位置に配設されている。
【0013】したがって、インキ除去部材は、付着した
インキが複数回数にわたり払拭される。
【0014】請求項4記載の印刷装置は、エマルジョン
インキを用いて用紙に画像を印刷する印刷手段と、この
印刷手段に用紙を給紙する給紙手段と、請求項2または
3記載の印刷物のインキ除去装置とを具備する。
【0015】したがって、印刷物のインキ除去装置によ
りインキの裏移りの発生を防止しながら、印刷手段によ
り連続的に印刷を行い得る印刷装置を提供することが可
能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の実施の第一の形態におけ
る印刷物のインキ除去装置を図1に基づいて説明する。
本実施の形態における印刷物のインキ除去装置Aは、イ
ンキ除去部材であるインキ除去ローラ1と、このインキ
除去ローラ1を一方向に回転させるインキ除去部材駆動
手段であるモータ(図示せず)と、エマルジョンインキ
を用いて印刷された印刷物をその印刷面をインキ除去ロ
ーラ1の表面に向けて一方向に導入する導入部である案
内板2と、この案内板2より導入された印刷物をモータ
により回転されるインキ除去ローラ1に圧接する圧接部
材である圧接ローラ3と、インキ除去ローラ1に接触さ
れたインキを払拭するクリーニング部4,5とを備えて
いる。さらに、案内板2の下流側には印刷物を排紙トレ
イ6に向けて搬送する搬送ベルト7が設けられ、この搬
送ベルト7の下方には印刷物を搬送ベルト7に吸引する
吸引ファン8が設けられている。
【0017】圧接ローラ3は、その両端を軸支する軸受
(図示せず)が上方に付勢されているためインキ除去ロ
ーラ1に圧接されている。このため、圧接ローラ3はイ
ンキ除去ローラ1を駆動するとこれに追従して回転する
が、インキ除去ローラ1の周速度と等しい周速度で回転
させるならば圧接ローラ3をモータにより駆動するよう
にしてもよい。
【0018】そして、インキ除去ローラ1は、低臨界表
面張力を有する表面では取りきれない余剰のエマルジョ
ンインキを付着させるために、臨界表面張力が30dyne
/cm以上の物質により形成されている。
【0019】ところで、固体の臨界表面張力の測定の問
題はまだ完全には解決されていないが、文献、丸茂秀雄
著「高分子の表面化学」第19頁ないし第25頁には、
「金属、無機物などの天然物の表面は、500〜500
0erg/cm2 の表面自由エネルギーをもち、高エネルギー
表面と呼ばれるが、高分子は、常温では100erg/cm2
以下の低い表面自由エネルギーを示すので、低エネルギ
ー表面と呼ばれる。各種の液体で低エネルギー表面の接
触角(θ)を測定すると、それら液体の表面張力(τL
V)とcosθとが直線的な関係にあることを知り、cosθ
=1、すなわち、θ=0°とする液体の表面張力をその
表面の臨界表面張力と定義した。」との記載がなされて
いるので、この定義に基づいてインキ除去ローラ1の物
質を選択した。
【0020】臨界表面張力が30dyne/cm 以上の物質と
しては、値が低い順から、ポリエチレン、ポリ・トリフ
ルオロクロロエチレン、ナイロン10・10、ナイロン
11、ポリスチレン、ナイロン8・8、ナイロン9・
9、ポリ・ビニルアルコール、ポリ・メタクリル酸メチ
ル、ポリ・ビニルクロリド、ポリ・ビニリデンクロリ
ド、Starch Type Polymers、ナイロン6、ナイロン6・
6、ナイロン7・7、ポリ・エチレンテレフタレート、
低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ABS(ア
クリルニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、AS
(アクリロニトリル・スチレン共重合体)等が候補とし
て挙げられる。
【0021】前述したクリーニング部4,5は、供給軸
9に巻回状態で支持されたインキ払拭部材であるインキ
払拭シート10を、このインキ払拭シート10との摩擦
で回転可能な押圧ローラ11によりインキ除去ローラ1
に押し付けながら巻取軸12により巻き取るようにした
構造である。この場合、インキ除去ローラ1の周速度と
インキ払拭シート10の走行速度とに差をもたせること
により、インキ除去ローラ1上のインキをインキ払拭シ
ート10で払拭するように構成されている。この例で
は、インキ除去ローラ1の回転方向とは反対の方向にイ
ンキ払拭シート10を巻き取ることで実現している。ま
た、供給軸9は引き出されるインキ払拭シート10の張
力により回転可能であるが、回転慣性により回転しない
ように制動部材により抵抗が付与されている。なお、ク
リーニング部5で用いるインキ払拭シート10は、他方
のクリーニング部4のそれよりも目の細かい素材が用い
られている。
【0022】このような印刷物のインキ除去装置Aは、
図示しない印刷装置の排紙側に取り付けられて使用され
る。すなわち、図1において、印刷時にインキ除去ロー
ラ1を時計方向に、搬送ベルト7を反時計方向に回転さ
せるとともに、巻取軸12を反時計方向に駆動する。こ
れにより、印刷装置から排紙された印刷物は案内板2に
よりインキ除去ローラ1と圧接ローラ3との間に導か
れ、両者に挾持された状態で搬送され、搬送ベルト7に
より排紙トレイ6に排紙される。印刷物上の余剰のエマ
ルジョンインキは、インキ除去ローラ1に接触するとき
にこのインキ除去ローラ1に付着する。インキ除去ロー
ラ1は、付着したエマルジョンインキがクリーニング部
4のインキ払拭シート10により払拭され、続いてクリ
ーニング部5のインキ払拭シート10によって仕上げの
ために払拭される。
【0023】これにより、排紙トレイ6上の印刷物の上
に続けて印刷物を排紙しても、下側の印刷物の余剰のエ
マルジョンインキがその上に排紙された印刷物の裏面に
付着するという裏移りを防止することができるととも
に、払拭後にインキ除去ローラ1にエマルジョンインキ
が残ることがない。これにより、このインキ除去ローラ
1が再び印刷物に接触しても、インキ除去ローラ1から
印刷物にエマルジョンインキが移るということがない。
この場合、インキ除去ローラ1は印刷物から付着したエ
マルジョンインキを一方のクリーニング部4のインキ払
拭シート10により払拭された後に、他方のクリーニン
グ部5のインキ払拭シート10により仕上げの清掃がな
されるため、清掃効果が極めて高い。
【0024】次に、本発明の実施の第二の形態における
印刷物のインキ除去装置を図2に基づいて説明する。本
実施の形態及びこれに続く他の実施の形態について、前
実施の形態と同一部分は同一符号を用い説明も省略す
る。本実施の形態における印刷物のインキ除去装置B
は、インキ除去部材として、図1のインキ除去ローラ1
に代えて無端帯のインキ除去ベルト13を用いた例で
る。このインキ除去ベルト13は、定位置で回転自在に
支持された三つの支持ローラ14a,14b,14cに
巻回されている。これらの支持ローラ14a,14b,
14cの一つは、インキ除去部材駆動手段としてのモー
タ(図示せず)に駆動されて図2において時計方向に回
転する。また、一つの支持ローラ14aは圧接ローラ3
の圧力を受ける位置に配置され、他の二つの支持ローラ
14b,14cはクリーニング部4,5の押圧ローラ1
1の圧力を受ける位置に配置されている。
【0025】このような印刷物のインキ除去装置Bは、
前実施の形態と同様に、図示しない印刷装置の排紙側に
取り付けられて使用される。印刷時にインキ除去ベルト
13を時計方向に、搬送ベルト7を反時計方向に回転さ
せるとともに、巻取軸12を反時計方向に駆動する。こ
れにより、印刷装置から排紙された印刷物は案内板2に
よりインキ除去ベルト13と圧接ローラ3との間に導か
れ、両者に挾持された状態で搬送され、搬送ベルト7に
より排紙トレイ6に排紙される。印刷物上の余剰のエマ
ルジョンインキは、インキ除去ベルト13に接触すると
きにこのインキ除去ベルト13に付着する。インキ除去
ベルト13は、付着したエマルジョンインキが支持ロー
ラ14b上でクリーニング部4のインキ払拭シート10
により払拭され、続いて支持ローラ14c上でクリーニ
ング部5のインキ払拭シート10によって仕上げのため
に払拭される。
【0026】これにより、排紙トレイ6上の印刷物の上
に続けて印刷物を排紙しても、下側の印刷物のインキの
画像がその上に排紙された印刷物の裏面に付着するとい
う裏移りを防止することができるとともに、払拭後にイ
ンキ除去ベルト13にインキが残らないので、このイン
キ除去ベルト13が再び印刷物に接触しても、インキ除
去ベルト13から印刷物にインキが移るということがな
い。この場合、インキ除去ベルト13は印刷物から付着
したインキを一方のクリーニング部4のインキ払拭シー
ト10により払拭された後に、他方のクリーニング部5
のインキ払拭シート10により仕上げの清掃がなされる
ため、清掃効果が極めて高い。
【0027】ここで、実施の第一の形態におけるインキ
除去ローラ1、実施の第二の形態におけるインキ除去ベ
ルト13の物質として、臨界表面張力が30dyne/cm 未
満であるポリテトラフルオルエチレンを用いた例と、臨
界表面張力が30dyne/cm 以上であるポリエチレン、ナ
イロン6及びポリエチレンテレフタレートを用いた例と
の比較実験の結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】印刷物上の余剰のエマルジョンインキを除
去する目的は、 (1)裏移りが発生しないこと (2)ローラ搬送が可能なこと (3)こすれ汚れが発生しないこと の三つである。(1)は、印刷物を排紙して排紙トレイ
6に積層したときに、それまでに排紙した印刷物のエマ
ルジョンインキが後から排紙した印刷物に移らない程度
に余剰のエマルジョンインキを除去することである。
(2)は、裏移りを防止できても、印刷物をローラで挾
持して搬送した場合にはエマルジョンインキがローラに
付着し、そのローラに付着したエマルジョンインキが印
刷物に再転移することがない程度に、印刷物の余剰のエ
マルジョンインキを除去することである。(3)は、印
刷物が搬送経路中の案内部材にこすられたり、或いは、
排紙トレイ6から印刷物を取り出すときに印刷面が指等
でこすられたりした場合に、印刷面に汚れが発生しない
程度に余剰のエマルジョンインキを除去することであ
る。
【0030】実験に際しては、上記の三つの目的に合わ
せて実験項目を定めた。表中、○は合格を示し、×は不
合格を示す。この表1で示すように、臨界表面張力が3
0dyne/cm 未満であるポリテトラフルオルエチレンを用
いた例では、(1)の目的は達成できるが(2)(3)
の目的まで満足するには至っていない。これに対して、
臨界表面張力が30dyne/cm 以上であるポリエチレン、
ナイロン6及びポリエチレンテレフタレートを用いた例
は、上記の三つの項目を何れも満足することができた。
【0031】次に、本発明の実施の第三の形態として印
刷物のインキ除去装置を備えた印刷装置を図3に基づい
て説明する。
【0032】印刷装置Dは、エマルジョンインキを用い
て用紙Pに画像を印刷する印刷手段15と、この印刷手
段15に用紙を給紙する給紙手段16と、印刷物のイン
キ除去装置Cとを備える。印刷手段15と給紙手段16
については、従来から用いている構成と変わりがないた
め、説明は概略に留める。
【0033】給紙手段16は、多数枚の用紙Pを積層状
態で載置する給紙台17を昇降させて最上位の用紙Pの
高さを一定に定め、最上位の用紙Pを給紙ローラ18に
より給紙し、分離ローラ19で重送を防止しながらレジ
ストローラ20まで送り出す機能である。
【0034】この例の印刷手段15は、印刷開始に先立
って、二つの版胴21のそれぞれに巻き付けられている
使用済みのマスタを排版部22で剥ぎ取り、スキャナ2
3で読み取った原稿の画像データに基づいて、二つの製
版部24により製版したマスタMを版胴21のそれぞれ
に巻き付け、給紙手段16により給紙された用紙Pを二
つの版胴21で挾持しながら搬送する過程で、版胴21
内部に供給されたインキをマスタMの穿孔部から滲み出
させて用紙Pに転写することにより、一度に両面印刷を
するものである。
【0035】印刷物のインキ除去装置Cは、印刷物の搬
送経路を間にして、図1で示した印刷物のインキ除去装
置Aを上下に対称的に配置した構造をもつ。すなわち、
この印刷物のインキ除去装置Cは、上下方向で対をなす
インキ除去部材であるインキ除去ローラ1u,1dと、
これらのインキ除去ローラ1u,1dを一方向に回転さ
せるインキ除去部材駆動手段であるモータ(図示せず)
と、印刷手段15により印刷された印刷物をインキ除去
ローラ1u,1dの間に導入する案内板2と、インキ除
去ローラ1u,1dに付着したエマルジョンインキを払
拭するクリーニング部4,5とを備えている。この例で
は、インキ除去ローラ1u,1dは、印刷物を相手側の
インキ除去ローラ1d,1uに圧接する圧接部材として
の機能をも備えている。この場合、インキ除去ローラ1
u,1dは、前実施の形態と同様に、臨界表面張力が3
0dyne/cm 以上の物質により形成されている。
【0036】このような構成において、図3において、
印刷時にインキ除去ローラ1uを時計方向に回転させ、
インキ除去ローラ1d及び搬送ベルト7を反時計方向に
回転させるとともに、巻取軸12を反時計方向に回転さ
せる。これにより、印刷手段15により両面印刷された
印刷物は案内板2によりインキ除去ローラ1u,1dの
間に入り込み、両者に挾持された状態で搬送され、搬送
ベルト7により排紙される。この実施の形態における排
紙先はソータEである。印刷物の上面の余剰のエマルジ
ョンインキは、インキ除去ローラ1uに接触するときに
このインキ除去ローラ1uに付着し、印刷物の下面の余
剰のエマルジョンインキは、インキ除去ローラ1dに接
触するときにこのインキ除去ローラ1dに付着する。そ
して、インキ除去ローラ1u,1dが回転するときに、
クリーニング部4,5の巻取軸12を駆動することによ
り、インキ除去ローラ1u,1dは、付着したエマルジ
ョンインキがクリーニング部4のインキ払拭シート10
により払拭され、続いてクリーニング部5のインキ払拭
シート10によって仕上げのために払拭される。
【0037】なお、印刷物のインキ除去装置を組み込む
印刷装置は、本実施の形態のように一度に両面印刷をす
る形式のものに限られるものではない。用紙を搬送する
過程で時間差をつけて片面ずつ印刷するように、用紙搬
送経路と複数の版胴の配置とを変えたものを含む。もち
ろん、片面印刷用の印刷装置であってもよい。
【0038】両面印刷する印刷装置でも、片面ずつ時間
差をつけて両面印刷する印刷装置に印刷物のインキ除去
装置を組み込む場合には、図1または図2に示す構造と
原理が同様の印刷物のインキ除去装置を個々の版胴のそ
れぞれの下流側に配置すればよい。片面印刷用の印刷装
置に印刷物のインキ除去装置を組み込む場合には、図1
または図2に示す構造と原理が同様の印刷物のインキ除
去装置を版胴の下流側に配置すればよい。
【0039】
【発明の効果】請求項1記載の印刷物のインキ除去方法
は、エマルジョンインキを用いて印刷された印刷物を一
方向に搬送する過程で、臨界表面張力が30dyne/cm 以
上のインキ除去部材を前記印刷物と同速で回転させてそ
の印刷物の印刷面に接触させることにより、前記印刷物
上の未乾燥の余剰インキを前記インキ除去部材に付着さ
せ、前記インキ除去部材に付着するインキをインキ払拭
部材で払拭する。したがって、インキ除去部材は臨界表
面張力が30dyne/cm 以上と高いため、裏移りの原因と
なる量の余剰のインキはもちろんのこと、搬送系の部材
に擦られた場合に搬送系の部材に付着するほどの量まで
のインキを除去することができ、また、インキ除去部材
に付着したインキをインキ払拭部材で払拭することがで
きるため、裏移りを防止するだけでなく、印刷物をロー
ラで挾持して搬送してもローラが汚れることがなく、さ
らに、印刷物をこすっても汚れない程度に印刷物上の余
剰のエマルジョンインキを除去することができる。
【0040】請求項2記載の印刷物のインキ除去装置
は、臨界表面張力が30dyne/cm 以上のインキ除去部材
と、このインキ除去部材を一方向に回転させるインキ除
去部材駆動手段と、エマルジョンインキを用いて印刷さ
れた印刷物をその印刷面を前記インキ除去部材の表面に
向けて一方向に導入する導入部と、この導入部により導
入された前記印刷物を前記インキ除去部材駆動手段によ
り回転される前記インキ除去部材に圧接する圧接部材
と、前記インキ除去部材に接触されるインキ払拭部材と
を具備するので、一方向に回転駆動されるインキ除去部
材と圧接部材との間に印刷物を導入部により導き入れる
と、印刷物はインキ除去部材と圧接部材とにより挾持さ
れて搬送され、この搬送過程で印刷物上の余剰のエマル
ジョンインキがインキ除去部材に付着するが、インキ除
去部材に付着したエマルジョンインキをインキ払拭部材
によって払拭することができる。この場合、インキ除去
部材は臨界表面張力が30dyne/cm 以上と高いため、裏
移りの原因となる量の余剰のインキはもちろんのこと、
搬送系の部材に擦られた場合に搬送系の部材に付着する
ほどの量までのインキを除去することができ、また、イ
ンキ除去部材に付着したインキをインキ払拭部材で払拭
することができるため、裏移りを防止するだけでなく、
印刷物をローラで挾持して搬送してもローラが汚れるこ
とがなく、さらに、印刷物をこすっても汚れない程度に
印刷物上の余剰のエマルジョンインキを除去することが
できる。
【0041】請求項3記載の印刷物のインキ除去装置
は、請求項2記載の発明において、インキ除去部材は、
時間差をもってインキ除去部材上のインキを払拭する複
数位置に配設されているので、インキ除去部材に付着し
たインキを複数回数にわたり払拭することができる。こ
れにより、時間的に後でインキ除去部材のインキを払拭
するインキ払拭部材を仕上げ用にして、インキ除去部材
をより一層きれいに清掃することができる。
【0042】請求項4記載の印刷装置は、エマルジョン
インキを用いて用紙に画像を印刷する印刷手段と、この
印刷手段に用紙を給紙する給紙手段と、請求項2または
3記載の印刷物のインキ除去装置とを具備するので、印
刷物のインキ除去装置によりインキの裏移りの発生を防
止しながら、印刷手段により連続的に印刷を行い得る印
刷装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第一の形態におけるインキ除去
装置の内部構造を示す縦断正面図である。
【図2】本発明の実施の第二の形態におけるインキ除去
装置の内部構造を示す縦断正面図である。
【図3】本発明の実施の第三の形態として印刷物のイン
キ除去装置を備えた印刷装置の内部構造を示す縦断正面
図である。
【符号の説明】
1,13 インキ除去部材 1u,1d インキ除去部材、圧接部材 2 導入部 3 圧接部材 15 印刷手段 16 給紙手段 A,B,C 印刷物のインキ除去装置

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エマルジョンインキを用いて印刷された
    印刷物を一方向に搬送する過程で、臨界表面張力が30
    dyne/cm 以上のインキ除去部材を前記印刷物と同速で回
    転させてその印刷物の印刷面に接触させることにより、
    前記印刷物上の未乾燥の余剰のエマルジョンインキを前
    記インキ除去部材に付着させ、前記インキ除去部材に付
    着するエマルジョンインキを払拭する印刷物のインキ除
    去方法。
  2. 【請求項2】 臨界表面張力が30dyne/cm 以上のイン
    キ除去部材と、このインキ除去部材を一方向に回転させ
    るインキ除去部材駆動手段と、エマルジョンインキを用
    いて印刷された印刷物をその印刷面を前記インキ除去部
    材の表面に向けて一方向に導入する導入部と、この導入
    部により導入された前記印刷物を前記インキ除去部材駆
    動手段により回転される前記インキ除去部材に圧接する
    圧接部材と、前記インキ除去部材に接触されるインキ払
    拭部材とを具備することを特徴とする印刷物のインキ除
    去装置。
  3. 【請求項3】 インキ除去部材は、時間差をもってイン
    キ除去部材上のインキを払拭する複数位置に配設されて
    いる請求項2記載のインキ除去装置。
  4. 【請求項4】 エマルジョンインキを用いて用紙に画像
    を印刷する印刷手段と、この印刷手段に用紙を給紙する
    給紙手段と、請求項2または3記載の印刷物のインキ除
    去装置とを具備する印刷装置。
JP8564398A 1998-03-31 1998-03-31 印刷物のインキ除去方法、印刷物のインキ除去装置、印刷装置 Pending JPH11277719A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6736560B2 (en) 1999-06-09 2004-05-18 Tohoku Ricoh Co., Ltd. Printer

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