JP3367771B2 - 印刷画像後処理装置 - Google Patents

印刷画像後処理装置

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JP3367771B2
JP3367771B2 JP26982794A JP26982794A JP3367771B2 JP 3367771 B2 JP3367771 B2 JP 3367771B2 JP 26982794 A JP26982794 A JP 26982794A JP 26982794 A JP26982794 A JP 26982794A JP 3367771 B2 JP3367771 B2 JP 3367771B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は孔版印刷等の印刷装置に
おいて使用される印刷画像後処理装置に関する。本発明
は、特に印刷物における裏移り、裏抜け対策として有効
である。
【0002】
【従来の技術】液体の印刷インキを使用する印刷におい
ては、印刷直後に被印刷体を重ねた場合に、印刷画像を
形成している印刷インキが一枚上の裏面に付着する裏移
りが発生したり、また印刷直後に印刷画像面が指先など
で軽く擦られただけで印刷画像が崩れる等の不都合が発
生したり、さらに印刷画像を形成している印刷インキが
被印刷体を通過して裏面に滲み出る裏抜けなどの問題が
発生することがある。
【0003】これらの問題は、被印刷体上に印刷画像を
形成する印刷インキの量、即ち着肉量が他の印刷に比し
て多い孔版印刷において特に顕著である。
【0004】従来、この裏移り、裏抜け等の発生を防止
するため、被印刷体に対する着肉量を印刷過程で低減す
る試みがなされている。しかしながら、着肉量の定量的
制御は難しく、着肉量を抑え過ぎると印刷画像の濃度低
下、かすれなどを生じ、印刷画像の品質を低下させる原
因になってしまう。
【0005】また、前述したような問題を回避する手段
として、印刷画像を形成する印刷インキを加熱乾燥する
ことも考えられるが、その場合には相当大きい発熱量を
有するヒーターを使用しなければならない。このように
ヒータ等の乾燥手段によって被印刷物を乾燥させる場合
には、印刷機の印刷速度が高速度化するほど乾燥手段に
課せられる条件は厳しくなる。実際には、裏移り、裏抜
け等の発生を防止する効果が得られるほどの高速で印刷
インキを乾燥させることはできない。
【0006】この他、印刷方式によっては、澱粉、タル
クなどの微粉を印刷画像面に塗布して裏移りを防止する
場合もある。しかしながら、このような微粉の塗布装置
は圧縮空気を使っており、かかる装置を備えた印刷装置
は相当大きな印刷装置となってしまう。
【0007】また印刷完了後の被印刷体を排紙トレイ、
ソータなどへ搬送する場合、印刷画像の保全のために、
被印刷体の印刷画像面には搬送ローラを当てることがで
きない。このため、従来は、被印刷体の裏面(非印刷画
像面)にのみ接触するベルトコンベア等の搬送機構によ
り被印刷体を搬送していた。この種の被印刷体搬送装置
は、例えば特開昭50−88769号公報に示されてい
る。
【0008】しかし、印刷画像面に接触せず、裏面のみ
に接触して被印刷体の搬送を行うと、PPCなどの複写
装置のように複写用紙を両面から挟んで強制的に搬送す
る場合に比べ、排紙トレイ、ソータなどの搬送先で紙揃
えに不良が生じる等、排紙性能が劣る。この傾向は、印
刷速度、換言すれば排紙速度の高速化に伴い顕著なもの
になっている。またこのような問題点は、印刷装置にお
ける排紙搬送路の経路設定の自由度を大きく低減させて
いる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、印刷の
品位を向上させるために、被印刷体から余剰のインキを
除去する新規な装置を発明した。この装置は、余剰イン
キ除去液を周面に層状に塗布して回転する接触ローラ
と、接触ローラに対向して回転する対向ローラを有し、
接触ローラと対向ローラによって印刷済みの被印刷体を
挟持して搬送する。そして、被印刷体の印刷画像面上の
余剰分の印刷インキを、接触ローラの層状の余剰インキ
除去液に転移させ、この接触ローラ上の余剰のインキは
接触ローラに接触するブレード等のクリーニング手段に
よって除去する。
【0010】前記装置では、印刷インキと相溶せず、且
つ表面張力が印刷インキよりも低い液体を余剰インキ除
去液とし、これを接触ローラに層状に塗布して使用す
る。しかし、この余剰インキ除去液の粘度が低すぎる
と、接触ローラの予想もつかない箇所から流れだし、被
印刷体を汚してしまうことがあった。また、粘度が高す
ぎると、ブレード等のクリーニング手段で除去すること
ができず、余剰のインキを保持したままでこれを通り抜
け、再び被印刷体に接触して被印刷体を汚してしまうこ
とがあった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の如き
従来の問題点に着目し、本願発明者等の提案になる前述
した余剰インキを除去する装置の改良を目指したもので
あり、印刷された被印刷体において裏移り・裏抜け等の
発生を他の障害を誘発することなく確実に回避し、印刷
画像面の余剰分の印刷インキを確実に取り除くことがで
きる印刷画像後処理装置を提供することを目的としてい
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載された印
刷画像後処理装置は、印刷インクを使用する孔版印刷装
置に用いられる印刷画像後処理装置において、印刷画像
を形成する印刷インキに相溶せず印刷インキよりも表面
張力が低く粘度1〜50000(cP)の範囲に設定さ
れた余剰インキ除去液が塗布されて回転駆動される接触
部材と、前記接触部材との間に印刷済みの被印刷体を挟
んで搬送することにより被印刷体の印刷面を前記接触部
材に接触させる対向部材と、前記接触部材に余剰インキ
除去液を供給する供給手段と、前記接触部材に接触する
クリーニング手段とを有することを特徴としている。
【0013】請求項2に記載された印刷画像後処理装置
は、請求項1記載の印刷画像後処理装置において、前記
接触部材上での粘度が1〜50000(cP)の範囲に
設定されるように前記接触部材の内部に余剰インキ除去
液を加熱する加熱装置を有することを特徴としている。
【0014】請求項3に記載された印刷画像後処理装置
は、請求項1記載の印刷画像後処理装置において、前記
余剰インキ除去液がシリコーンオイルであることを特徴
としている。
【0015】請求項4に記載された印刷画像後処理装置
は、請求項1記載の印刷画像後処理装置において、前記
接触部材が接触ローラであることを特徴としている。
【0016】請求項5に記載された印刷画像後処理装置
は、請求項1記載の印刷画像後処理装置において、前記
接触部材が二つのローラ部材に掛け回された無端ベルト
であることを特徴としている。
【0017】
【作用】接触部材の周面に付着した余剰インキ除去液
が、被印刷体の印刷画像面に接触する。印刷画像を形成
している印刷インキの余剰分が、接触部材の余剰インキ
除去液に転移し、被印刷体から除去される。余剰インキ
除去液は、印刷画像を形成する印刷インキに相溶せず、
且つ表面張力が前記印刷インキよりも低い液体である。
このため余剰インキ除去液に転移した余剰の印刷インキ
は、余剰インキ除去液の表面に余剰インキ除去液とは物
理的に分離した浮遊状態で存在する。接触部材の表面か
ら浮遊した状態にある余剰の印刷インキは、接触部材の
回転に伴い、接触部材の表面に接触するクリーニング手
段によって余剰インキ除去液と共に接触部材から除去さ
れる。接触部材の表面に付着した余剰インキ除去液の粘
度は1〜50000(cP)の範囲に設定されているの
で、余剰の印刷インキを含む余剰インキ除去液はクリー
ニング手段によって完全に接触部材から除去することが
できる。
【0018】
【実施例】図1及び図2を参照して第1実施例の孔版印
刷装置の構造を説明する。原稿画像読み取り部5はイメ
ージスキャナ3を有し、印刷すべき原稿の画像を読み取
る。製版部9は製版デバイス7を有し、原稿読み取り部
5が読み取った原稿画像データに応じて孔版印刷用原紙
Sに穿孔画像を形成する。
【0019】円筒状の印刷ドラム13の外周面には、製
版部9により穿孔された孔版印刷用原紙Sが巻き付けら
れる。印刷ドラム13の内部にはインクのスキージ装置
を含むインク供給装置11があり、印刷ドラム13の内
周面にインクを供給する。印刷ドラム13の下方には上
下動するプレスローラ15がある。プレスローラ15
は、印刷ドラム13とプレスローラ15の間に供給され
る被印刷体Pを印刷ドラム13との間で挟持搬送し、被
印刷体Pに画像を形成させる。
【0020】給紙部23においては、給紙台17上の被
印刷体Pが紙捌きローラ19により1枚ずつ送りださ
れ、給紙タイミングローラ21によってプレスローラ1
5と印刷ドラム13の間に送りこまれる。
【0021】排紙部33においては、剥ぎ取り爪25が
被印刷体を印刷ドラム13から剥がす。剥ぎ取られた被
印刷体Pはベルトコンベア機構の搬送装置27によって
印刷画像後処理装置29に搬送される。印刷画像後処理
装置29は、被印刷体Pの印刷画像から余剰のインクを
除去する処理を行う。処理済みの被印刷体は排紙台31
に排出されて積み重ねられていく。
【0022】印刷が終了した孔版印刷用原紙Sは、排版
部35によって印刷ドラム13から剥ぎ取られて廃棄さ
れる。
【0023】上記の構成における印刷動作を説明する。
印刷ドラム13が不図示の駆動手段により自身の中心軸
線の周りに図中反時計廻り方向に回転駆動される。印刷
ドラム13の回転に同期した所定のタイミングで被印刷
体Pが給紙タイミングローラ21により図にて左方より
右方へ搬送され、印刷ドラム13とプレスローラ15と
の間に供給される。被印刷体Pは、印刷ドラム13の外
周面に巻き付けられている孔版原紙Sに対してプレスロ
ーラ15によって押し付けられ、孔版印刷が施される。
【0024】印刷済みの被印刷体Pは、剥ぎ取り爪25
により印刷ドラム13から剥ぎ取られ、印刷画像面を上
面にして排紙搬送装置27によって印刷画像後処理装置
29へ送られる。被印刷体Pは、印刷画像後処理装置2
9により印刷画像後処理作用を受けつつ排紙台31へ向
けて搬送され、排紙台31上に積み重ねられる。
【0025】次に、前記印刷画像後処理装置29の構成
と作用について説明する。図2に示す如く、印刷画像後
処理装置29は、印刷完了後の被印刷体Pの印刷画像面
(上面)に接触する接触部材としての接触ローラ37
と、接触ローラ37と対向配置された対向部材としての
対向ローラ39とを有する。接触ローラ37と対向ロー
ラ39は、各々軸41,43により互いに平行に且つ回
転可能に支持されている。対向ローラ39は、図示しな
い付勢手段としてのばねにより、図にて上方、即ち接触
ローラ37へ向けて付勢されている。接触ローラ37と
対向ローラ39の間に被印刷体Pがない場合には、接触
ローラ37と対向ローラ39は互いに接触する。
【0026】接触ローラ37の外周面37a(余剰イン
キ除去液塗布面)には、断面略矩形の板状の部材である
ブレード45が接している。ブレード45は、基端部を
板金部材の先端に固定されており、先端部が接触ローラ
37に接している。ブレード45は、接触ローラ37の
頂点の上方に傾斜した姿勢で設けられており、その先端
部の下側角部が、接触ローラ37の頂点よりも回転方向
手前側において、接触ローラ37の外周面37aに接触
している。
【0027】ブレード45と接触ローラ37の接触位置
よりも回転方向手前側において、接触ローラ37の外周
面37aの上方には、余剰インキ除去液供給ノズル47
が設けられている。余剰インキ除去液供給ノズル47
は、余剰インキ除去液を前記接触ローラ37の外周面3
7aに供給する供給手段である。余剰インキ除去液は、
印刷画像を形成する印刷インキに相溶せず、表面張力が
印刷インキの表面張力よりも低く、接触ローラ37に塗
布した時点で粘度が1〜50000(cP)の範囲にあ
る液体である。ここで、cP(センチポイズ)は1/1
00P(ポイズ)である。P(ポイズ)は粘度(粘性
率)のCGS単位であり、1P=1dyn・s/cm2
=1gcm-1s -1=10-1Ns/m2 である。
【0028】前記余剰インキ除去液供給ノズル47が接
触ローラ37の外周面37aに余剰インキ除去液を供給
すれば、余剰インキ除去液は図示のように前記ブレード
45と接触ローラ37との間に溜まる。接触ローラ37
の回転に伴い、余剰インキ除去液は接触ローラ37とブ
レード45の間を通って接触ローラ37の表面に層を形
成する。この時、ブレード45は、接触ローラ37の外
周面37aに形成される余剰インキ除去液の液量を均一
とする作用を有する。さらに、ブレード45は接触ロー
ラ37の外周面37aの汚れを除去するクリーニング手
段としても作用する。
【0029】接触ローラ37の回転方向についてブレー
ド45の手前側には、余剰インキ除去液の回収手段とし
てシート状弾性体49が設けられている。シート状弾性
体49は所定の弾性を有する薄い板状の部材である。ブ
レード45と接触ローラ37の接触位置よりも接触ロー
ラ37の回転方向の手前側に位置する接点dにおいて、
シート状弾性体49の先端部は接触ローラ37の外周面
37aに接触している。さらに、シート状弾性体49
は、前記接点dにおける接触ローラ37の接線eよりも
接触ローラ37に近接した位置に配置され、その後端部
は先端部よりも低い位置にある。従って、シート状弾性
体49の先端部付近の一部分は接触ローラ37の外周面
37aに対して所定の長さを以て密着し、従って当該部
分のシート状弾性体49は接触ローラ37の外周面37
aの形状に倣って弾性変形している。
【0030】シート状弾性体49の後端部は、前記接点
dよりも下方に配置された余剰インキ除去液の受け皿部
材51に固定されている。シート状弾性体49の先端部
は自由端であり、上述したように接触ローラ37に接触
している。このように、シート状弾性体49は、自由端
である先端部が接触ローラ37に接触し、固定された後
端部が下方に位置するように傾斜して配置されている。
【0031】本実施例で使用される余剰インキ除去液
は、被印刷体Pの印刷画像面上に印刷画像を形成する印
刷インキと相溶せず、その表面張力が該印刷インキの表
面張力より低く、さらに接触ローラ37に塗布した時点
で粘度が1〜50000(cP)の範囲に設定される液
体である。この条件を満たす液体としては、ジメチルシ
リコーンオイルと、フェニル、ポリエーテル、フッ素、
アミノ、エポキシ、カルボキシル、カルビノール、メタ
クリル、メルカプト、フェノールなどの変成シリコーン
オイルが例示できる。これらの液体を余剰インキ除去液
として利用する場合には、特に温度に留意して接触ロー
ラ37に塗布した時点での粘度が1〜50000(c
P)の範囲にはいるようにする。
【0032】本実施例の接触ローラ37の内部には、加
熱装置60が取り付けてある。この加熱装置60として
は、一般に複写機の定着装置等で用いられているものが
使用できる。この加熱装置60を用いることにより、本
来、50000(cP)を越える粘度を有する余剰イン
キ除去液を低粘度化し、50000(cP)以下とする
ことができる。例えば、例示したシリコーンオイルの場
合、接触ローラ37の外周面37aの温度を加熱装置6
0によって150℃とし、塗布したシリコーンオイルを
同温度まで加温すれば、室温で300000(cP)の
粘度を50000(cP)以下とすることができる。
【0033】余剰インキ除去液の粘度が50000cP
を越えると接触ローラ37の外周面に対する塗布厚を1
μm以下とすることが困難となる。その結果接触ローラ
37の外周面から余剰インキ除去液をブレード45で除
去することができなくなる。余剰のインキを保持した余
剰インキ除去液はブレード45を通り抜け、再び被印刷
体Pに接触して被印刷体Pの画像面を汚してしまう。こ
のため、余剰インキ除去液の粘度は50000cP以下
にする必要がある。
【0034】この他、界面活性剤や有機溶剤などを添加
した水溶液を余剰インキ除去液として使用することもで
きる。
【0035】水に添加する界面活性剤としては、アニオ
ン、カチオン、及び両性のイオン系、並びに非イオン系
の界面活性剤があり、この界面活性剤の添加量は余剰イ
ンキ除去液の表面張力が印刷インキの表面張力より低く
なるように決定される。
【0036】水に添加する有機溶剤は、水と相溶する有
機溶剤であり、これには、メタノール、エタノール、イ
ソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、エチ
レングリコール、グリセリンなどがある。
【0037】但し、このような水溶液は、多くの場合粘
度が1cP以下である。粘度が1cP以下であると、印
刷インキを含む余剰インキ除去液は接触ローラ37の外
周面以外の部分に流れ出し、被印刷体を汚損してしま
う。このため、余剰インキ除去液の粘度は1cP以上に
する必要がある。界面活性剤や有機溶剤などを添加した
水溶液を余剰インキ除去液として使用する場合には、そ
の粘度について十分に検討し、添加する成分の種類・分
量等を適宜に選択・調整することが好ましい。
【0038】また、余剰インキ除去液は、接触ローラ3
7の外周面37a上に均一に塗布され、その塗布厚は
0.0001〜1μm程度が好ましい。これを被印刷体
に対する塗布量に換算すれば、0.1〜100mg/B
4判程度となる。接触ローラ37に対する塗布厚さをこ
の程度にするには、前述した通り余剰インキ除去液の粘
度を50000cPより小さくしておく必要がある。
【0039】接触ローラ37、対向ローラ39、ブレー
ド45は余剰インキ除去液により膨潤などの変質を来す
ことがない材質のものにより構成する。余剰インキ除去
液の主成分が例えばシリコーンオイルである場合には、
接触ローラ37、対向ローラ39、ブレード45は、フ
ッ素系樹脂(ゴム)、フェニル変成シリコーン樹脂(ゴ
ム)、ウレタンゴムなどにより構成するのが好ましい。
【0040】次に、以上のように構成された印刷画像後
処理装置29の作用について説明する。印刷済みの被印
刷体Pが、接触ローラ37と対向ローラ39に挟まれて
搬送される。接触ローラ37の外周面37aに形成され
ている余剰インキ除去液皮膜aが、被印刷体Pの印刷画
像面に接触する。この接触により、被印刷体P上に印刷
画像を形成している印刷インキbのうち、余剰の印刷イ
ンキが、接触ローラ37の余剰インキ除去液皮膜aに転
移し、余剰の印刷インキが被印刷体Pより取り除かれ
る。
【0041】接触ローラ37の余剰インキ除去液皮膜a
に転移した印刷インキcは、接触ローラ37の回転に伴
い、シート状弾性体49と接触ローラ37の摺接部を通
過する。
【0042】本実施例において使用される余剰インキ除
去液は、印刷画像を形成する印刷インキbに対して相溶
せず、その表面張力が印刷インキcの表面張力よりも低
い液体である。従って余剰インキ除去液に転移した余剰
の印刷インキは、余剰インキ除去液の表面に余剰インキ
除去液とは物理的に分離した浮遊状態で存在する。
【0043】接触ローラ37上にある余剰の印刷インキ
cを含んだ余剰インキ除去液皮膜aは、ブレード45に
よって掻き取られる。即ち、接触部材の回転に伴い、余
剰の印刷インキは余剰インキ除去液と共にブレード45
によって接触ローラ37から除去される。接触ローラ3
7の表面に付着した余剰インキ除去液の粘度は1〜50
000(cP)の範囲に設定されているので、余剰の印
刷インキを含む余剰インキ除去液はブレード45によっ
て完全に接触ローラ37から除去することができる。そ
して印刷インキcを含む余剰インキ除去液溜まり部f
が、接触ローラ37の回転方向についてブレード45の
手前側に発生する。
【0044】このブレード45を通過した後の接触ロー
ラ37の外周面37aには、印刷インキcを含まない余
剰インキ除去液皮膜aが再生される。接触ローラ37
は、この余剰インキ除去液皮膜aをもって被印刷体Pの
印刷画像面と再接触するから、被印刷体Pの印刷画像面
が接触ローラ37に転移した印刷インキcにより汚損さ
れることはない。
【0045】ブレード45と接触ローラ37の外周面3
7aとの接触位置が接触ローラ37の頂点より回転方向
手前側にあるため、前記余剰インキ除去液溜まり部fの
液量がある限度を越えると、接触ローラ37が回転して
いても、余剰インキ除去液溜まり部fの余剰インキ除去
液は自重によって接触ローラ37の回転方向とは逆方向
へ流れ始める。この余剰インキ除去液の流れはシート状
弾性体49の傾斜した上面に案内されて流れ、受け皿5
1内に落下して回収される。
【0046】このように、被印刷体Pは、接触ローラ3
7と対向ローラ39の間を通過することにより、上述の
如く印刷画像を形成している印刷インキbの余剰分は接
触ローラ37の外周面37aより確実に除去される。こ
れにより印刷済みの被印刷体における裏移り、裏抜けの
発生が抑制され、また排紙直後に印刷画像面が指先など
で擦られても印刷画像が崩れ難くなり、さらに印刷画像
を形成している印刷インキbの乾燥が速くなる。
【0047】次に、以上説明した実施例のさらに具体的
な態様である例1〜例5と、比較例1、2を説明する。 (例1)孔版印刷機(リソグラフ(登録商標)RA20
5理想科学工業(株)製)に、前述した図2に示す本実
施例の装置を設置した。アルミローラの表面にP.T.
F.E.(4フッ化エチレン)による焼き付けを行った
後、研磨処理を行ったものを接触ローラに使用した。ブ
レード45は、フッ素ゴムの板を板金に固定して使用し
た。加熱装置60は使用しなかった。
【0048】余剰インキ除去液としてはジメチルシリコ
ーンオイル(信越化学工業株式会社製KF−96、粘度
1(cP))を使用した。接触ローラ37の外周面に対
する余剰インキ除去液の塗布厚は0.0001μmであ
った。
【0049】(例2)例1と同様の装置を用いた。余剰
インキ除去液として、ジメチルシリコーンオイル(信越
化学工業株式会社製KF−96、粘度1000(c
P))を使用した。接触ローラ37の外周面に対する余
剰インキ除去液の塗布厚を0.0008μmとした。そ
の他の条件は例1と同一である。
【0050】(例3)例1と同様の装置を用いた。余剰
インキ除去液として、ジメチルシリコーンオイル(信越
化学工業株式会社製KF−96、粘度10000(c
P))を使用した。接触ローラ37の外周面に対する余
剰インキ除去液の塗布厚を0.11μmとした。その他
の条件は例1と同一である。
【0051】(例4)例1と同様の装置を用いた。余剰
インキ除去液として、ジメチルシリコーンオイル(信越
化学工業株式会社製KF−96、粘度50000(c
P))を使用した。接触ローラ37の外周面に対する余
剰インキ除去液の塗布厚を1.0μmとした。その他の
条件は例1と同一である。
【0052】(例5)例1と同様の装置を用いた。余剰
インキ除去液として、ジメチルシリコーンオイル(信越
化学工業株式会社製KF−96、粘度100000(c
P))を使用した。接触ローラ37の外周面に対する余
剰インキ除去液の塗布厚を0.35μmとした。加熱装
置60を使用し、接触ローラ37の外周面の温度を15
0℃とした。この時、接触ローラ上での余剰インキ除去
液の粘度は、16000(cP)になる。その他の条件
は例1と同一である。
【0053】(比較例1)例1と同様の装置を用いた。
余剰インキ除去液として、ジメチルシリコーンオイル
(信越化学工業株式会社製KF−96、粘度0.65
(cP))を使用した。接触ローラ37の外周面に対す
る余剰インキ除去液の塗布厚は0.0001μmより小
さく測定不能であった。その他の条件は例1と同一であ
る。
【0054】(比較例2)例1と同様の装置を用いた。
余剰インキ除去液として、ジメチルシリコーンオイル
(信越化学工業株式会社製KF−96、粘度10000
0(cP))を使用した。接触ローラ37の外周面に対
する余剰インキ除去液の塗布厚は12.0μmであっ
た。その他の条件は例1と同一である。
【0055】各例と比較例の性能は、ブレードによる余
剰インキの除去が完全には行われず、接触ローラの余剰
インキが再度被印刷体に転移して被印刷体を汚す現象
(取り除き性能)と、インキを含む余剰インキ除去液が
必要な箇所以外に流れ出し、被印刷体を汚す現象(除去
液のダレ現象)の有無によって評価した。この評価結果
を表1に示す。
【0056】被印刷体の裏面の汚れは、以下の基準に従
って○と×で判定した。 取り除き性能 ○:接触ロール37に転移した印刷インキがプレード4
5によって充分に除去され、転移印刷インキが再度、被
印刷体に転移することがなかった。 ×:接触ロール37に転移した印刷インキがプレード4
5によって充分に除去されず、転移印刷インキが再度、
被印刷体に転移して汚れが発生した。 余剰インキのダレ現象 ○:シート状弾性体49の上面を印刷インキを含む余剰
インキ除去液が流れおち、被印刷体を汚すこともなかっ
た。 ×:シート状弾性体49以外の部分を、印刷インキを含
む余剰インキ除去液が流れ出し、被印刷体に転移して汚
れが発生した。
【0057】
【表1】
【0058】次に、本発明の他の実施例を図3を参照し
て説明する。図3に於いて、図2に対応する部分には図
2に付した符号と同一の符号を付してその説明を省略す
る。この実施例では、上下に隔置された二つのローラ5
3,55の間に、接触部材として可撓性の無端ベルト5
7が所定の張力を与えられて掛け渡されている。本実施
例によっても、前記実施例と略同様の効果を得ることが
できる。
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、被印刷体は対向部材に
よって接触部材に押しつけられ、その印刷画像面を接触
部材の表面の余剰インキ除去液に接触させる。この接触
により、被印刷体上で印刷画像を形成している印刷イン
キの余剰分が完全に除去される。従って、印刷済みの被
印刷体における裏移り、裏抜けの発生が他の障害を誘発
することなく確実に回避され、また印刷直後に印刷画像
面が指先などで擦られても印刷画像が崩れ難くなる。
【0060】余剰インキ除去液は、印刷画像を形成する
印刷インキと相溶せず、且つ表面張力が印刷インキの表
面張力よりも低い液体であることから、余剰インキ除去
液層に転移した印刷インキは余剰インキ除去液層の表面
に余剰インキ除去液とは物理的に分離した浮遊状態で存
在する。さらに、余剰インキ除去液は、接触部材に塗布
された状態での粘度が1〜50000(cP)の範囲に
設定されているので、余剰インキを分離状態で含む余剰
インキ除去液はクリーニング手段で完全に接触部材から
取り除かれる。この結果、被印刷体の印刷画像面が接触
部材に付着したインキで汚損されることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の構成を示す図である。
【図2】図1における印刷画像後処理装置の拡大図であ
る。
【図3】本発明における印刷画像後処理装置の他の構成
例を示す図である。
【符号の説明】
29 印刷画像後処理装置 37 接触部材としての接触ローラ 39 対向部材としての対向ローラ 45 クリーニング手段としてのブレード 47 供給手段としての余剰インキ除去液供給ノズル 57 接触部材としての無端ベルト P 被印刷体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−91084(JP,A) 特開 平3−213340(JP,A) 実開 昭57−13242(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41L 13/04 B41F 23/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 印刷インクを使用する孔版印刷装置に用
    いられる印刷画像後処理装置において、印刷画像を形成
    する印刷インキに相溶せず印刷インキよりも表面張力が
    低く粘度1〜50000(cP)の範囲に設定された余
    剰インキ除去液が塗布されて回転駆動される接触部材
    と、前記接触部材との間に印刷済みの被印刷体を挟んで
    搬送することにより被印刷体の印刷面を前記接触部材に
    接触させる対向部材と、前記接触部材に余剰インキ除去
    液を供給する供給手段と、前記接触部材に接触するクリ
    ーニング手段とを有する印刷画像後処理装置。
  2. 【請求項2】 前記接触部材上での粘度が1〜5000
    0(cP)の範囲に設定されるように前記接触部材の内
    部に余剰インキ除去液を加熱する加熱装置を有する請求
    項1記載の印刷画像後処理装置。
  3. 【請求項3】 前記余剰インキ除去液がシリコーンオイ
    ルであることを特徴とする請求項1記載の印刷画像後処
    理装置。
  4. 【請求項4】 前記接触部材が、接触ローラである請求
    項1記載の印刷画像後処理装置。
  5. 【請求項5】 前記接触部材が、二つのローラ部材に掛
    け回された無端ベルトである請求項1記載の印刷画像後
    処理装置。
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